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JP4627207B2 - 熱交換システム - Google Patents
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この発明は、ヒートパイプにおけるウイックによって凝縮性の液相の作動流体を流動させて冷却を行う熱交換システムに関するものである。
従来、ウイックのポンプ作用によって流体を循環流動させるヒートパイプを使用した熱交換システムがある。このような熱交換システムでは、例えば前記熱交換システムにおける容器、あるいは流路等に凝縮性の作動流体を封入し、前記ウイックに生じる毛細管圧力によって前記作動流体を流動させる。その結果、熱交換システムの入熱の行う箇所から放熱を行う箇所まで、前記作動流体の潜熱として熱を輸送し冷却できる。そのような熱交換システムの一例が、特許文献1に記載されている。
特開2004−028444号公報
上記の熱交換システムでは、主に金属性の多孔質体をウイックとして使用している。そのため、熱交換システムの重量が不可避的に増大してしまうという不都合がある。また、熱交換システムのウイックの毛細管圧力を増大する場合、前記ウイックの孔を縮小する必要がある。その場合、例えば焼結金属ウイック等であれば粒径の小さい金属を大量に使用するので、重量が増大し、同時に体積も増大してしまう。熱交換システムの内部におけるウイックの体積が増大すると、内部の作動流体に対する流動抵抗が増大し、その結果、効率よく熱輸送されないおそれがある。そのため、前記熱交換システムは改良の余地が多分にあった。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、軽量で熱輸送効率が良好な熱交換システムを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ウイックによって凝縮性の液相作動流体を流動させて冷却するヒートパイプを主体とする熱交換システムにおいて、前記ヒートパイプは、蒸発部と凝縮部とが液戻り管と蒸気管とによって連通されて全体として環状流路に形成され、前記ウイックがイオン基を含む分子鎖を有した高吸水性樹脂によって形成され、かつ前記蒸発部容器の内部に配設され、前記蒸発部は前記凝縮部よりも相対的に高い位置に配置されるとともに、前記液戻り管に、イオン基を含む分子鎖を有する高吸水性樹脂によって形成された高吸水性樹脂ウイックが配設され、この高吸水性樹脂ウイックによって保持される液相の作動流体によって水柱が形成され、さらに、前記液戻り管の内部に、前記高吸水性樹脂ウイックを、前記液戻り管の流通方向で分割して支持する支持ウイックが配設されていることを特徴とする熱交換システムである。
また、請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前液戻り管の外部に断熱材が設けられ、前記液戻り管の内部が所定の温度に設定されていることを特徴とする熱交換システムである。
請求項1の発明によれば、高吸水性樹脂であるウイックに作動流体が接触すると、そのウイックに毛細管圧力による吸引力と、ウイックの内部と外部とのイオン濃度の差によって生じる浸透圧による吸引力と、分子鎖の拡張作用による吸引力とが生じて、従来のウイックよりも高い吸引力を得ることができる。そのため、蒸発部容器の内周面のほぼ全体に対して液相の作動流体が供給され、蒸発部における実質的な入熱面積を広くすることができる。その結果、熱交換システムの冷却性能を向上できる。さらに、熱交換システムを軽量化できる。
また、請求項1の発明によれば、前記蒸発部は凝縮部よりも相対的に高い位置に配置されているので、作動流体が液戻り管の内部に配設された他の高吸水性樹脂ウイックに接触すると、上方に吸引されるとともに、前記高吸水性樹脂ウイックの内部に所定量の液相の作動流体が保持されいわゆる水柱が形成される。そのため、蒸発部が凝縮部よりも相対的に高い位置に配置されていても、蒸発部に対する入熱の当初から、前記液戻り管から前記蒸発部の内部に液相の作動流体が補充される。その結果、前記作動流体の流動が円滑になって熱輸送量が増大し、熱交換システムの冷却性能を向上できる
さらにまた、請求項1の発明によれば、液戻り管の内部に、所定間隔で支持ウイックが配置されているので、前記作動流体を保持して重量が増加した高吸水性樹脂ウイックが、前記支持ウイックによって支持される。そのため、前記高吸水性樹脂ウイックが重力によって下方に移動することを防止できるとともに、液相の作動流体を上方に移動できる。その結果、液相の作動流体を蒸発部に効率よく還流できる。
項2の発明によれば、断熱材によって液戻り管の内部を前記高吸水性樹脂ウイックが正常動作を行う所定温度に設定できる。その結果、前記高吸水性樹脂ウイックに効率よく吸引力が発生し、その結果、前記作動流体の流動をさらに円滑にできる。
以下、本発明を実施した最良の形態について説明する。図3に示す熱交換システムは、ループ型ヒートパイプ1を主体として構成されている。このループ型ヒートパイプ1を形成している蒸発部2の流入口と凝縮部3の流出口とが、液戻り管4によって接続され、さらに蒸発部2の流出口と凝縮部3の流入口とが、液戻り管4よりも大径の蒸気管5によって接続され、全体として密閉された環状(ル−プ状)に形成されている。凝縮部3には、薄板状の放熱フィン7が設けられている。このヒートパイプ1の内部は、ほぼ完全に脱気された後に、水やアルコールなどの凝縮性の流体が作動流体8として封入されている。なお、この例では、蒸発部2が、凝縮部3よりも相対的に上方に配置されており、したがってヒートパイプ1はいわゆるトップヒートモードとして使用されている。
ヒートパイプ1における蒸発部2を図1および図2に示す。ここに示す蒸発部2は、円筒形に構成された複数の金属製のチューブ9と、その一端部を閉じるように取り付けられた流入カバー10と、他方の端部を閉じるように前記チューブ9に取り付けられた流出カバー11とによって蒸発部コンテナ12が構成されている。この蒸発部コンテナ12の内部には、ウイック13が収容されている。
上記の蒸発部コンテナ12を構成している各チューブ9の内周面には、多数の溝14が形成されている。これらの溝14は、蒸発部コンテナ12の内周面の面積を増大するように機能し、また後述するように作動流体蒸気15の流路となるものであって、チューブ9の軸線方向に向けて形成されている。なお、この溝14は、螺旋状に形成してもよく、またチューブ9の内周面の一部に形成されていてもよい。
チューブ9の一方の端部に取り付けられている流入カバー10には、前述した液戻り管4を接続するための流入ポート16が形成されている。また、チューブ9の他方の端部に取り付けられている流出カバー11には、前述した蒸気管5を接続するための流出ポート17が形成されている。したがってこれらの各ポート16,17がそれぞれ接続部となっている。
つぎに、ウイック13について説明すると、図1に示すウイック13は、高吸水性樹脂を原料としたものであって、例えばデンプン、アクリル酸グラフト重合体部分ナトリウム塩、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋等による多孔質体である。この高吸水性樹脂は、親水性であるイオン基を有した分子鎖が3次元架橋された構造をしており、自重の約200〜1000倍もの液体を吸収してゲル状になるという特性を有している。そして、これらのウイック13の外周面が、チューブ9の内周面(より正確には溝14同士の間のいわゆる山の部分)に密着している。また、ウイック13は中心部に貫通孔を形成するように蒸発部コンテナ12の内部に配置されており、この貫通孔が作動流体8の液流路18とされている。
また、前記チューブ9の流出ポート17側の端部には、アイソレータ19が設けられている。このアイソレータ19は、液相の作動流体8が流入ポート16側に逆流することを防止するためのものであって、液相作動流体8が浸透することのない金属板などの平板体に、流入ポート16側の開口径が小さくなる複数のテーパー孔を形成したものである。
上記の熱交換システムは、重力のある環境および無重力環境のいずれでも使用できる。すなわち、蒸発部コンテナ12の内部には液相の作動流体8が供給されていてウイック13が作動流体8で湿潤した状態となっている。この状態で蒸発部2に対して外部から熱が与えられると、蒸発部コンテナ12の内面に接触し、もしくはその近辺にある液相の作動流体8が加熱されて蒸発する。
ウイック13の外周部において作動流体8の蒸発が生じることによって、ウイック13の空孔における開口端にメニスカスが生じ、あるいは空孔での液面が低下するので、毛細管圧力による吸引力が生じる。したがって、ウイック13においては、その液流路18を通っている液相の作動流体8が、外周面に分散するように供給される。
また、高吸水性樹脂であるウイック13に作動流体8が接触すると、ウイック13のイオン基(例えば水酸基)を有した分子鎖は親水性であるため前記分子鎖が広がり、分子鎖によって形成される空孔が拡張する。同時にウイック13の内部におけるイオン濃度が、外部の作動流体8よりも高いことによって浸透圧が生じ、前記拡張された空孔に液相の作動流体8が入り込んでゲル状になる。したがって、ウイック13に毛細管圧力による吸引力に、浸透圧による吸引力と、前記分子鎖の拡張作用による吸引力とが加わるため、従来のウイックよりも高い吸引力を得ることができる。その結果、蒸発部コンテナ12の内周面のほぼ全体に対して液相の作動流体8が供給され、蒸発部2における実質的な入熱面積を広くすることができる。同時に、ウイック13は従来の金属性のウイックよりも軽いため、熱交換システム1の軽量化を実現できる。
一方、加熱されて蒸発した作動流体蒸気15は溝14に流れ込む。そして作動流体蒸気15はその溝14から流出ポート17を介して蒸気管5に流出する。すなわち、溝14が蒸気流路として機能するため、作動流体蒸気15が蒸発部コンテナ12の内部を円滑に流動する。その結果、作動流体8による熱輸送量が増大し、ひいてはヒートパイプ1全体としての熱輸送能力が向上する。
そして、作動流体蒸気15は蒸気管5を介して凝縮部3に至り、ここで外部に熱を放出して凝縮する。その結果生じた液相の作動流体8は、液戻り管4を介して蒸発部2に還流する。
上述のヒートパイプ1における液戻り管4の内部に、例えば、図4に示すようにウイックを配設することもできる。この図4に示すウイックの構成を説明すると、まず、液戻り管4の半径方向に金網等によるウイック21を設ける。そして、このウイック21の内周側にウイック13Aが設けられ、さらに、液戻り管4の長手方向の所定位置で、ウイック13Aが複数に分割されるように前記ウイック21が配置される。なお、ウイック13Aは、上述のウイック13と同一あるいは同等の材料で形成されている。すなわち、液戻り管4の内部において、作動流体8の流動方向に対して、所定間隔でウイック13Aとウイック21とが交互に配置されており、ウイック21がウイック13Aに対していわゆる敷居となる状態で配置されている。さらに、このウイック21とウイック13Aとによるウイック構造体の端部が、液戻り管4の内部から蒸発部2の内部に挿入されており、蒸発部2の内部において、前記ウイック構造体とウイック13とが連通している。
さらに、図4に示す液戻り管4の外表面には断熱材22が設けられており、液戻り管4の内部が所定温度となるように設定されている。なお、この例ではウイック13Aが、好適に正常動作を行う摂氏50度程度に設定されている。また、断熱材22の素材としては、低熱伝導率などの特性要求を満たす発泡性樹脂などが例示される。
したがって、液戻り管4の内部にウイック13Aが配設されているので、ウイック13Aには、所定量の液相の作動流体8が保持されるようになっている。すなわち、熱交換システム1において、蒸発部2に対して入熱がない場合、作動流体8は蒸発しない。したがって、作動流体8は液相の状態で、蒸発部2よりも相対的に下方に配置されている凝縮部3の内部に滞留する。凝縮部3と液戻り管4とは連通されているので、作動流体8が液戻り管4の内部のウイック13Aに接触し、作動流体8が上方に吸引され保持される。その結果、液戻り管4の内部に液相の作動流体8によるいわゆる水柱が形成される。そのため、蒸発部コンテナ12に対する入熱の当初から、前記液戻り管4から蒸発部コンテナ12の内部に液相の作動流体8が補充される。その結果、作動流体8の流動が円滑になって熱輸送量が増大し、熱交換システム1の冷却性能を向上できる。
また、断熱材22によって液戻り管4の内部をウイック13Aが、好適に正常動作を行う温度に設定できる。その結果、ウイック13Aに効率よく吸引力が発生し、その結果、作動流体8の流動をさらに円滑にできる。
さらに、液戻り管4の内部のウイックを上記の構成とした場合、作動流体8が液戻り管4の内部のウイックに接触すると、前記ウイックによって液相の作動流体8が上方に吸引され、ウイック13Aが内部に液相の作動流体8を保持して、ゲル状になる。液戻り管4の内部には、所定間隔でウイック21が配置されているので、ゲル状になり重量が増加したウイック13Aが、ウイック21によって支持される。そのため、ゲル状となったウイック13Aが重力によって下方に移動することを防止できるとともに、液相の作動流体8のみを上方に移動できる。その結果、液相の作動流体8が蒸発部2の内部に効率よく還流されるので、ヒートパイプ1がトップヒートモードとして使用された場合でもドライアウトが生じない。したがって、熱交換システムの冷却性能を向上できる。
なお、図4の例では液戻り管4の内部のウイックをウイック13Aとウイック21とによって構成したが、この発明の熱交換システムの液戻り管の内部におけるウイックの構成は、上記の構成に限定されない。例えば、接着テープを予め管壁面に取り付けてウイック13Aを液戻り管4の内部に固定して、液戻り管4の内部のウイックをウイック13Aのみによって構成することもできる。その場合、上述の作用・効果に加え、さらに熱交換システムを軽量化できる。
また、図4の例において、液戻り管4の内部のみに高吸水性樹脂によるウイック13Aを配設し、蒸発部コンテナ12の内部のウイックを従来のもの、あるいは蒸発部コンテナ12の内部にウイックを配設しない場合でも、上述のように液戻り管4の内部に水柱が形成され、前記液戻り管4から蒸発部コンテナ12の内部に液相の作動流体8を補充できる。したがって、熱交換システムの冷却性能を向上できる。
つぎに、この発明の他の例を説明する。図5の熱交換システムは、いわゆるヒートパイプ23を主体として構成され、そのヒートパイプ23を構成している気密状態に密閉した銅などによって形成される軸状体のコンテナ24(中空密閉容器)の内部に、空気などの非凝縮性ガスを脱気した状態で水などの凝縮性の流体を作動流体8として封入し、さらにウイック13がコンテナの内部に配設された熱伝導装置である。なお、コンテナ24は銅製に限られないのであり、適宜の金属パイプが使用される。さらにまた、作動流体との濡れ性を向上させるために、コンテナ24の内面に酸化被膜を形成してもよく、あるいはサンドブラストやエッチングなどによる粗面化処理を施してもよい。
上記の熱交換システムでは入熱があると、そして入熱部25の内部の水などの作動流体8が、伝達された熱によって加熱されて蒸発し、その作動流体蒸気15が放熱部26の内側に流動する。作動流体蒸気15は、放熱部26において熱を外部に奪われ、放熱して凝縮し液化する。そして、放熱部26において凝縮して液化した作動流体8が、ウイック13に接触する。その場合、ウイック13に毛細管圧力と、浸透圧と、前記分子鎖の拡張作用とによる吸引力が生じ、液相の作動流体8が放熱部26側へ還流する。
したがって、上述の熱交換システムでは、コンテナ24の内部にウイック13が設けられていることにより、毛細管作用が顕著に働く。そのため、コンテナ24の内部に封入してある作動流体の還流性が向上し、熱輸送量が増加する。また、ヒートパイプである熱交換システム軽量化できる。
なお、この発明の熱交換システムは、平板型ヒートパイプ、いわゆるベーパーチャンバーとすることもできる。このような場合、上述の効果に加えて、電子機器の内部等の限られたスペースに熱交換システムを配置する際の配置の自由度、あるいは設計の自由度を向上できる。
この発明に係る熱交換システムを示す断面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図1の熱交換システムの全体的な構成を示す模式的な図である。 この発明による他の熱交換システムの構成を示す模式的な図である。 この発明によるさらに他の熱交換システムの構成を示す模式的な図である。
符号の説明
1,23…ヒートパイプ、 2…蒸発部、 3…凝縮部、 4…液戻り管、 5…蒸気管、 12…蒸発部コンテナ、 13,13A…ウイック、 24…コンテナ。

Claims (2)

  1. ウイックによって凝縮性の液相作動流体を流動させて冷却するヒートパイプを主体とする熱交換システムにおいて、
    前記ヒートパイプは、蒸発部と凝縮部とが液戻り管と蒸気管とによって連通されて全体として環状流路に形成され、前記ウイックがイオン基を含む分子鎖を有した高吸水性樹脂によって形成され、かつ前記蒸発部容器の内部に配設され、
    前記蒸発部は前記凝縮部よりも相対的に高い位置に配置されるとともに、前記液戻り管に、イオン基を含む分子鎖を有する高吸水性樹脂によって形成された高吸水性樹脂ウイックが配設され、この高吸水性樹脂ウイックによって保持される液相の作動流体によって水柱が形成され、
    さらに、前記液戻り管の内部に、前記高吸水性樹脂ウイックを、前記液戻り管の流通方向で分割して支持する支持ウイックが配設されていることを特徴とする熱交換システム。
  2. 前記液戻り管の外部に断熱材が設けられ、前記液戻り管の内部が所定の温度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換システム。
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