以下に、図に従って本発明を詳細に説明する。図1は本発明の1実施例であるレーザアニール装置の構成を示す図である。防振機構(図示せず)を備えた定盤1上に、連続発振レーザ光2を発生するレーザ発振器3、レーザ光2のON/OFFを行うシャッタ4、レーザ発振器3から出力されたレーザ光2のビーム径を拡大するためのビームエキスパンダ5、レーザ光2のパルス化およびエネルギの時間的な変調を実現するための電気光学モジュレータ(以後、EOモジュレータと称す)6、レーザ光2のエネルギを調整するための透過率連続可変NDフィルタ7、レーザ光2を均一なエネルギ分布に成形するビームホモジナイザ8、レーザ光2を1方向に圧縮して線状のビームに形成するためのシリンドリカルレンズ9、レーザ光2の照射位置・照射形状を確認するための参照光源10、参照光源10からの波長を透過しレーザ光2を反射する特性を有するダイクロイックミラー11、高速回転駆動装置12を備えた拡散板13、照射面内のエネルギ密度分布を所望形状にするためのフィルタ14、レーザ光2の裾野部分を除去して任意の矩形形状に成形するための矩形開口スリット15、照明光とレーザ光2及び参照光を結合するためのミラー17、観察時に使用する照明光源18、CCDカメラ19、CCDカメラ19にレーザ光が入射するのを防ぐためのレーザカットフィルタ20、CCDカメラ19で撮像した試料面を表示するためのモニタ22、焦点位置を検出し焦点位置からずれた場合に信号を出す自動焦点光学系24、観察及びレーザ光2の集光に用いる対物レンズ25、試料26を載置しXYZθに移動するためのステージ28、ステージ28に固定されレーザ光2の出力を測定するためのパワーモニタ29と、レーザ光の2次元的なエネルギ分布を測定するためのビームプロファイラ30、およびステージ28、レーザ発振器3、シャッタ4、EOモジュレータ6、透過率可変フィルタ7、電動矩形スリット15、自動焦点光学系24からの信号によるZステージ、図示していない画像処理装置等の制御を行う制御PC(制御装置)31が配置された構成になっている。
次に、各部の動作・機能について詳細に説明する。定盤1は床からの振動を遮蔽するために空気バネによる防振機構(図示せず)を備えていることが望ましい。設置される環境によっては防振機構が不必要な場合もある。ステージ28や種々の光学系を載置するためのもので、十分な強度・剛性を有する。
連続発振レーザ光2はアニール対象である非晶質あるいは多結晶シリコン薄膜に対して吸収のある波長、即ち紫外波長から可視波長が望ましく、より具体的にはArレーザあるいはKrレーザとその第二高調波、Nd:YAGレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YLFレーザの第二高調波及び第三高調波などが適用可能であるが、出力の大きさ及び安定性を考慮すると、LD(レーザダイオード)励起Nd:YAGレーザの第二高調波(波長532nm)あるいはNd:YVO4レーザの第二高調波(波長532nm)が望ましい。以後の説明では、大出力での安定性及び低雑音性に優れているLD励起Nd:YVO4レーザの第二高調波を使用した場合について説明する。
レーザ発振器3から発振されたレーザ光2はシャッタ3によりON/OFFされる。即ち、レーザ発振器3は常に一定出力でレーザ光2を発振した状態におかれ、シャッタ4は通常にはOFF状態として、レーザ光2はシャッタ4で遮られている。レーザ光2を照射する場合のみ、このシャッタ3を開き(ON状態に)することで、レーザ光2を出力させる。励起用レーザダイオードをON/OFFすることで、レーザ光のON/OFFを行うことは可能だが、レーザ出力の安定性を確保するためには望ましくない。このほか、安全上の観点からレーザ光2の照射を止めたい場合にも、シャッタ4を閉じればよい。
シャッタ4を通過したレーザ光2はビームエキスパンダ5でビーム径を拡大され、EOモジュレータ6に入射される。これは、EOモジュレータ6の耐パワー性を考慮して、EOモジュレータ6の有効径に近い大きさまで、ビームエキスパンダ5でビーム径を拡大するものである。レーザ発振器3から発振されたレーザ光2のビーム径がおよそ2mmで、有効径15mmのEOモジュレータ6を使用する場合、ビームエキスパンダ5の拡大率は6倍程度とする。もちろん、レーザ発振器3からのレーザ光2を直接入射してもEOモジュレータ6の耐パワー性が十分の場合には、ビームエキスパンダ5を使用しなくても良い。
EOモジュレータ6は、図2及び図3に示すようにポッケルス・セル61(以下、結晶と称する)と偏光ビームスプリッタ62を組み合わせて使用する。レーザ光2が直線偏光の場合、図2に示すようにドライバ(図示せず)を介して結晶61に電圧V1(通常は電圧0V)を印加したときに、結晶61を透過するレーザ光2の偏光方向は回転せずに偏光ビームスプリッタ62にS偏光として入射して、90度偏向されるように設定する。即ちこの状態では、レーザ光2は90度偏向して出力してしまうため、以降の光学系には入射せず、レーザ光2はOFF状態となる。次いで、図3に示すように結晶61を透過するレーザ光2の偏光方向を90度回転させることのできる電圧V2を印加して、偏光ビームスプリッタ62にP偏光として入射させると、レーザ光2は偏光ビームスプリッタ62を透過・直進するように設定する。即ち、この状態ではレーザ光2は直進して以降の光学系に入射するので、レーザ光2はON状態となる。
さらに、図4に示すように、結晶61に印加する電圧をV1(通常は0V)とV2の間で変化させることにより、EOモジュレータ6を透過するレーザ光2の透過率をT1(通常は0)とT2(ここでは最大透過率、即ち1)の間で任意に設定することができる。即ち、EOモジュレータ6を透過するレーザ光2の透過率を0から1の間で任意に設定することができる。
ただし、ここでは結晶61や偏光ビームスプリッタ62表面での反射や吸収はないものとして考えている。これらのことから、図5に示すように、EOモジュレータ6に入射するレーザ光2の出力(EOモジュレータ6への入力)をP0一定とし、結晶61への印加電圧をV1,V2,V3,V1と変化させることにより、EOモジュレータ6からのレーザ出力として、出力P2,P3の階段状のパルス出力が得られる。ここで出力P2はEOモジュレータ6への入力P0と電圧V2を印加したときの透過率T2との積で求められ、P3はP0と電圧V3を印加したときの透過率T3との積で求められる。当然、結晶61に印加する電圧を連続的に変化させることにより、透過するレーザ光2の出力を連続的に変化させることができ、結果的に任意の時間変化を有するパルスレーザ光2を得ることができることになる。
ここではEOモジュレータ6として、ポッケルス・セル61と偏光ビームスプリッタ62を組み合わせることで説明したが、各種偏光素子を用いることができる。尚、以後の説明では結晶61と偏光ビームスプリッタ62(または各種偏光素子)を組み合わせたものをEOモジュレータ6と称する。
EOモジュレータの他に、AO(音響光学)モジュレータを使用することができる。ただし、一般的にAOモジュレータはEOモジュレータと比較して、駆動周波数が低いため、高速の立ち上がり・立ち下がりが必要な場合や、パルス幅の小さいパルス光を切り出す場合には適さない。このようにEOモジュレータ6あるいはAOモジュレータなどの変調器を用いることにより、連続発振レーザ光から所望のパルス幅で所望の波形(時間的なエネルギ変化)を有するパルスレーザ光を得ることができる。即ち、所望の時間変調を行うことができる。
透過率連続可変NDフィルタ7は試料26に照射するレーザ光2の出力を調整するためのもので、連続的に透過率を変化できるものが望ましい。また図1では、EOモジュレータ6の後に設置してあるが、耐パワー性に問題がなく、透過率を変化させた場合に偏光方向が回転したり、直線偏光が崩れたりしなければ、EOモジュレータ6の前でも良い。ここでは、図6に示す構成の透過率連続可変NDフィルタ7を用いる。これはレーザ光2の波長に対して透明な平板、例えば石英板71、72を光軸73に対して垂直な面74に面対称となるように配置し、面対称の関係を保ったまま入射角を変化させ、透過するレーザ光量を変化させるものである。直線偏光のレーザ光2に対して石英板71、72にP偏光として入射するように調整すると、入射角と界面での反射率は図7に示すように変化する。透過率Tは界面での反射率をRとすると、T=1−Rで表すことができる。入射角がブリュースタ角、即ち石英板71、72の屈折率をNとしてtan-1(N)で得られる角度では反射率が0、即ち透過率が1となる。入射角が大きくなるに従い反射率が大きく、即ち透過率が小さくなり、入射角90度では反射率が1,即ち透過率が0となる。これにより、入射角をブリュースタ角と90度の間で変化させることにより、任意の透過率が得られる。図6に示した構成では、空気と石英の界面が4つあるため、全体の透過率Tは界面での透過率の4乗となり、T4=(1−R)4となる。
平板(石英板)が1枚のときには大きさに限界があるため、入射角を90度にすることはできないため、現実的には透過率数%が限界であるが、石英と空気の界面数で指数的に変化するため、容易に低い透過率を得ることができる。図8に示すように石英板71,71’、71”、72,72’、72”を3枚ずつで構成すると界面が12となるため、透過率T12はT12=(1−R)12で表され、入射角を極端に大きくしなくても効果的に透過率を低くすることができる。実際には入射角を90度にすることは不可能であるが、石英板の大きさを十分大きくすることで、透過率0.05(5%)程度は容易に得られ、透過率として5〜100%の範囲で連続的に変化させることができる。
尚、通常の石英板を使用した場合には裏面での反射が影響する場合があるが、石英板の片面に反射防止コーティングを実施することで、対策できる。また、複数枚の石英板を使用した場合には隣接する石英板からの反射が影響する場合があるが、石英板同士の間隔を十分に大きくすることで、対策できる。
このほか、レーザ光2のビーム径が小さい場合には、透明基板上に面内で連続的に透過率が変化するように金属薄膜あるいは誘電体多層膜を形成したNDフィルタを使用することができる。また、透過率を連続的に変化させることはできないが、透過率が異なるNDフィルタを順次切り替えることにより、あるいは種々の透過率を有する多数のNDフィルタを組み合わせることにより、実質的には本発明の目的を達成することができる。当然、レーザ励起用レーザダイオードの励起電流を制御することでも、レーザ出力を調整することは可能であるが、出力を変更した場合に出力が安定するまでに一定時間を必要とするなどの問題があるため、望ましくない。
通常、ガスレーザや固体レーザは、図9に示すようにガウス形のエネルギ分布を持っているため、そのままでは本発明のレーザアニールに使用することはできない。発振器出力が十分に大きければ、ビーム径を十分に広げ、中心部分の比較的均一な部分のみを切り出すことで、ほぼ均一なエネルギ分布を得ることができるが、ビームの周辺部分を捨てることになり、エネルギの大部分が無駄になる。この欠点を解決して、ガウス形の分布を均一な分布に変換するために、ビームホモジナイザ8を用いる。これは、図9に1例を示すように、ロッドレンズを2次元に配列させて構成したフライアイレンズ(蠅の目レンズ)81と凸レンズ82とを組み合わせており、出力ビームはほぼ均一な分布を持つビームに変換される。フライアイレンズ81以外にも、シリンドリカルレンズアレイをシリンドリカルレンズ軸が直交する様に組み合わせたもの2組と凸レンズの組み合わせなどでも同様の効果が得られる。ビームホモジナイザ8からの出力ビームを、シリンドリカルレンズ9により1方向のみ集光することで、最終的に矩形開口スリット面でほぼ均一なエネルギ分布の線状ビーム(ただし、幅方向にはガウス分布をしている)を得ることができる。フライアイレンズ81(あるいはシリンドリカルレンズアレイの組み合わせ)と凸レンズ82とシリンドリカルレンズ9を組み合わせ、エネルギ分布の均一な線状ビームを形成できるように構成したものをビームホモジナイザとしても良い。あるいは、複数のフライアイレンズの配置あるいはシリンドリカルレンズアレイの配置により、矩形形状あるいは線状に集光する構成にしても良い。要はガウス形の分布をしているレーザ光をほぼ均一なエネルギ密度分布を持つ矩形形状あるいは線状のビームに変換できればよい。
このほか、図10に示すように、レーザ光2をレンズ84で集光して中空の筒85内に入射させ、筒85内で多重反射させることで出力分布を均一化させるカライドスコープを使用することができる。この場合、レーザ光2の入射側を円形とし、出射側が矩形形状あるいは線状となるように、内部で連続的に変化させることで、ほぼ均一なエネルギ密度分布を有する矩形形状あるいは線状のレーザ光2が得られる。あるいはレーザ光2を複数に分割してそれぞれを重ね合わせるプリズムを使用しても良い。
得られた矩形形状あるいは線状ビームから、図11に示すように、必要に応じて裾野部分を電動矩形開口スリット15により除去し、必要な寸法の矩形形状(線状)に成形する。裾野部分が照射されても問題がなければ、電動矩形スリット15を解放状態にしてレーザ光2全てを通過させても良い。このレーザ光2を対物レンズ25で試料26面上に投影するように照射する。ここでは、対物レンズ25の倍率をMとすると、電動矩形開口スリット15の像、あるいは電動矩形スリット15面でのレーザ光2の大きさは倍率の逆数、即ち1/Mの大きさで投影される。しかしながら、電動矩形開口スリット15を通過するレーザが均一なエネルギ分布を有しても、通常のYVO4レーザ光のように可干渉性を有するレーザ光2を矩形開口スリット15で矩形に成形して試料面26上に照射しても、矩形開口スリット15のエッジにおける回折の影響で、レーザ光2の波長と対物レンズ25のNAで決まる干渉パターンが発生し、図12に示すように不均一な分布となる。更にはエネルギ密度が均一な部分でも干渉の影響でスペックルパターンが発生する。
これらの不均一を除去するために拡散板13を光路中に挿入する。この拡散板13は石英基板表面に1000〜2000メッシュの不規則(規則的でも良い)な凹凸が形成されている。単に拡散板13を挿入しただけでは効果はないが、拡散板13を高速回転駆動装置12で駆動して高速回転させると、レーザ光2が時間的にランダムな方向に拡散され、試料面26に届くまでの光路長及び進行方向がランダムに変化する。レーザ光2の1パルス分の照射が終了するまでの間に種々の方向に拡散され、従って試料面に到達するまでの光路長が変化するため、結果的に干渉の影響で発生したエネルギ密度の不均一がキャンセルされて可干渉性が低減され、図12に破線で示したように、幾何光学的で均一なエネルギ密度分布を有する投影像が得られる。
照射するレーザ光2のパルス幅を10マイクロ秒、拡散板13の中心から50ミリメートル離れた部分をレーザ光が透過すると仮定すると、拡散板13を6000回転/分の速度で回転させることにより、1パルス照射する間に拡散板13は約300ミクロン移動する。拡散板13として1000〜2000メッシュのものを使用すると、8〜16ミクロン周期のランダムな凹凸が形成されており、透過するレーザ光の各部分が平均的に20個程度以上の凹凸を通過することになるため、干渉の影響を十分キャンセルすることができてレーザ光の可干渉性が低減される。
尚、目的によっては均一なエネルギ密度分布より特定のエネルギ密度分布、例えば線状に成形したビームの幅方向に傾きを持つ分布、あるいは線状に成形したビームの長手方向に中心部のエネルギ密度が小さく、周辺部で大きくなる凹形の分布を持つ方が望ましい場合があり、その場合には特定の透過率分布を有するフィルタ14を電動矩形スリット15手前の光路中に挿入することで、目的を達することができる。
同様に、拡散板の代わりに位相版(例えばガラス基板上に位相が0、π/2ラジアン、πラジアン、3π/2ラジアンだけ変化する膜厚のSiO2膜を島状にランダムに形成したもの)を使用して、拡散板と同様に高速回転させても良い。あるいは図1に示した構成図の中でレーザ光を90度折り曲げているミラー150または151に振動子を取り付け、高周波数で振動させることにより、望ましくはレーザ光が照射されている時間(パルス幅に相当)に同期した周波数で振動させることにより、レーザ光2の光路長が変化し、干渉の影響をキャンセルすることができる。
試料26にレーザ光2を照射するに当たって、ステージ28をXY平面内で駆動しながら所望の位置にレーザ光2をパルス的に照射するが、試料26表面の凹凸、うねりなどによる焦点はずれが起きると、エネルギ密度の変化、照射形状の劣化が起き、目的を達成することができない。このため、常に焦点位置で照射できるように、自動焦点光学系24により焦点位置を検出し、焦点位置から外れた場合にはステージ28をZ方向(高さ方向)に駆動して、常に焦点位置になるように制御する。
レーザ光2を照射する試料26表面は、照明光源18からの落射照明により、CCDカメラ19で撮像し、モニタ22により観察することができる。レーザ照射中に観察する場合には、CCDカメラ19の手前にレーザカットフィルタ20を挿入して、試料26表面で反射したレーザ光でCCDカメラ19がハレーションを起こしたり、ダメージを受けるのを防止する。
ステージ28には、試料26に照射されるレーザ光2の出力(エネルギ)を測定するためのパワーメータ29、及びエネルギ密度分布を測定するためのビームプロファイラ30が設置されている。必要に応じて、ステージ28を移動して上記パワーメータ29あるいはビームプロファイラ30の受光部を対物レンズ25の直下、あるいは対物レンズ25を外した状態で光軸に位置決めすることにより、レーザ出力およびエネルギ分布(プロファイル)を測定することができる。尚、ビームプロファイルの測定においては、受光部のダメージ閾値が小さいため、エネルギ密度分布が変化しないように減衰させる必要がある。そのためには、光路中に減衰フィルタ(図示せず)を挿入すればよい。複数枚の減衰フィルタを挿入する場合には、フィルタ間で反射光が再反射して透過光と重なり、プロファイルを乱す場合があるので、光軸に垂直に挿入するのではなく、光軸に垂直な面に対して角度を持たせ、フィルタの間隔を大きくすればよい。
試料26のアライメントは、対物レンズ25、CCDカメラ19で試料26上に形成してあるアライメントマークあるいは特定のパターンを複数箇所撮像し、それぞれ画像処理装置(図示せず)によって処理を行って、アライメントマークの重心位置などを検出し、ステージ28を駆動することで、XYθ3軸方向に対して行うことができる。図1において、対物レンズ25は1個で表現してあるが、電動レボルバに複数の対物レンズを装着させておき、制御装置31からの信号により切り替え、処理に応じて最適な対物レンズを使い分けることができる。即ち、試料26をロードした時の粗アライメント、必要に応じた精アライメント、レーザアニール処理、処理後の観察、更には後で述べるアライメントマーク形成等にそれぞれ適した対物レンズを使用することができる。当然、アライメントには別な光学系(レンズ、撮像装置および照明装置)を設けて行うことは可能であるが、レーザアニールを行う光学系をアライメント光学系と兼用することで、同一光軸での検出になり、アライメント精度が向上する。
次に、前述した本発明のレーザアニール装置を用いて実施する、本発明の1実施例であるレーザアニール方法について、図13を用いて説明する。ここで、試料26として、図13(a)に示すように、ガラス基板101の1主面に絶縁体薄膜102を介して非晶質シリコン薄膜を形成し、エキシマレーザ光を全面走査することで多結晶シリコン薄膜103に結晶化させた多結晶シリコン薄膜基板100を用いる。ここで、絶縁体薄膜102はSiO2あるいはSiNあるいはそれらの複合膜である。多結晶シリコン薄膜基板100をステージ28上に載置する。この多結晶シリコン薄膜基板100には、図13(a)に示すように、2箇所にアライメントマーク104、104’が2箇所に形成されている。これらアライメントマーク104,104’は通常、フォトエッチング技術で形成するが、この目的だけでフォトレジスト工程を実施するのは無駄が多い。このためレーザアニールに使用するレーザ光2を電動矩形スリット15で、例えば縦長と横長の矩形に、順次成形して多結晶シリコン薄膜を除去加工することで十字マークを形成し、アライメントマーク104、104’とすることができる。この場合、当然アニールを実施する場合よりエネルギ密度は大きく設定する。
アライメントマーク104,104’を基準に設計上の座標に従って、図13(b)に示すようにステージ28あるいは光学系を移動させながら、EOモジュレータ6により任意のパルス波形を有し、ホモジナイザ8とフィルタ14により所望のエネルギ分布を有し、高速回転する拡散板13を透過させることにより可干渉性を失ったアニール用のレーザ光105を対物レンズ25で集光照射する。照射する領域は、例えば各画素を駆動するためのドライバ回路を形成する部分で、必要に応じて多結晶シリコン薄膜基板100を相対的に移動させながら複数回往復させながら必要な部分のみに順次照射する。装置の構成によっては、光学系を移動することで、相対的に走査しても良い。
より具体的には、図21(a)に示すようなエネルギ密度分布を有するレーザ光105を照射する。幅方向のエネルギ密度分布は図21(b)に示すように傾きを有しており、走査する方向にエネルギ密度が大きくなっている。また、長手方向のエネルギ密度分布は図21(c)に示すように一定のエネルギ密度分布になっている。また、パルス波形は図21(d)に示すように、始めの一定時間は一定のエネルギで、その後直線的に減少する波形になっている。
照射領域の大きさは、例えば500μm×20μmの矩形に設定する。この大きさはレーザ発振器3の出力で決まり、十分に大きな出力での発振が可能であれば、より大きな領域に照射することができる。図21(b)に示した幅方向のエネルギ密度は、走査する方向に向かって前方側のエネルギ密度を対辺側に比べて20%大きく直線的に変化するように設定する。また、図21(d)に示したように、レーザ光105の照射時間(パルス幅)は最初の10μsをエネルギ一定に、続く5μsで直線的に減少するように設定する。多結晶シリコン薄膜基板100を100mm/sの速度で相対的に移動させながら、25μmピッチで照射する。これにより、概ね500μm×20μmのレーザ照射領域(上記した15μsのレーザ照射時間中の移動距離を考慮すると、より厳密にはおよそ500μm×21.5μmのレーザ照射領域)が25μmピッチで形成されることになる。
ここで、正確に25μmピッチでレーザ光105を照射するには、ステージ28あるいは多結晶シリコン薄膜基板100の移動距離を検出して、25μm移動する度にEOモジュレータを駆動させればよい。より具体的には、多結晶シリコン薄膜基板100を載置したステージ28に、リニアエンコーダあるいはリニアスケールなどの測長器を設置し(図示せず)、あるいはステージ28の駆動軸にロータリエンコーダを設置し、25μmの移動に相当するエンコーダ出力パルスをカウントして、EOモジュレータを駆動するトリガ信号を発生さればよい。この方式では、ステージ28の速度が多少変動しても、正確に25μmピッチで照射することができる。当然、レーザ光105を照射している間は、ステージ28が定速移動することが望ましく、定速移動している場合には一定の時間間隔(上記の場合、250μs間隔)でEOモジュレータを駆動しても良いが、ステージ28の速度変動・速度むらを考慮すると、移動距離を検出する方式がより望ましいことは明らかである。
図15に示すように、本実施例では、多結晶シリコン薄膜103をエキシマレーザでアニールした基板を用いる。エキシマレーザによるアニールで得られた多結晶シリコン薄膜103は、結晶粒径が1ミクロン以下(数100nm)の微細な結晶粒120、121の集合体である。図中に示した領域にレーザ光を照射すると、レーザ照射領域外の微細結晶粒120はそのまま残るが、レーザ照射領域内の微細結晶粒(例えば結晶粒121)は溶融する。その後、レーザエネルギが低減あるいは照射が停止されることにより、溶融したシリコンは溶融部周辺に残留している結晶粒を種結晶として、種結晶の結晶方位にならった結晶が温度勾配に従って低温側から高温側へ成長して行く。この時の結晶粒の成長速度は結晶方位によって異なるため、最終的には最も成長速度の早い結晶方位を持つ結晶粒だけが残る。即ち、図16に示すように、成長速度の遅い結晶方位をもつ結晶粒122は、周囲の成長速度の早い結晶方位をもつ結晶粒の成長に抑えられ、結晶成長が止まる。また、成長速度が中程度の結晶方位を持つ結晶粒123、124は成長を続けるが、さらに成長速度の大きい結晶粒の成長に抑えられ、やがて成長が停止する。最終的には成長速度の最も大きな結晶方位を持つ結晶粒125、126、127のみが成長を続ける。これら、最後まで結晶成長が続いた結晶粒125、126、127は、厳密な意味では独立した結晶粒であるが、ほとんど同じ結晶方位を有しており、溶融再結晶した部分は実効的にほぼ単結晶と見なすことができる。レーザ光を上記したように多結晶シリコン薄膜103に照射することにより、図13(c)に示すように、多結晶シリコン薄膜103中にレーザ光105を照射した部分のみが島状にアニールされて特定の結晶方位を有する結晶粒のみが成長し、厳密な意味では多結晶状態であるが、ほぼ単結晶に近い性質を有する領域106が形成されたことになる。特に、結晶粒界を横切らない方向においては、実質的に単結晶と考えても良い。
多結晶シリコン薄膜基板100を相対的に走査しながらこの手順を繰り返し、順次アニールの必要な部分にレーザ105を照射することにより、ドライバ回路のトランジスタを形成する領域をすべて、ほぼ単結晶に近い性質を有する領域106に変換することができる。更に、単結晶に近い性質を有する領域106は図16に示したように、結晶粒が一定方向に成長しているため、トランジスタを形成した際に、電流が流れる方向と結晶粒の成長方向を一致させることにより、結晶粒界を横切るように電流が流れるのを避けることができる。結晶粒の成長方向は照射するレーザ光105のエネルギ密度分布およびレーザ光の走査方向(実際にはステージの走査方向)で制御することができる。即ち、図21(b)に示すように、エネルギ密度分布に傾きを持たせると、結晶粒はエネルギ密度の低い方(低温側)から結晶化が始まり、エネルギ密度の高い方(高温側)に成長する。また、レーザ光105を走査することで、照射領域から外れた部分から温度が低下して結晶化が始まり、レーザ光の走査する方向に結晶が成長して、本実施例によれば、幅方向にはエキシマレーザでアニールして得られた結晶粒径1μmよりも大きく成長し、長さ方向には10μm以上に成長した大きな結晶粒を得ることができる。
そこで、図19に示すようにレーザ照射領域301のうち、成長速度の速い結晶粒のみで構成された部分が駆動用トランジスタの能動層(活性領域)302、303となるように、位置合わせすればよい。不純物拡散工程およびフォトエッチング工程を経て、活性領域302、303以外を除去し、図20に示すようにフォトレジスト工程により、ゲート絶縁膜を介したゲート電極305、オーミックな接続を有するソース電極306およびドレイン電極306を形成してトランジスタが完成する。ここで、活性領域303には結晶粒界304、304’が存在する。しかし、電流はソース電極306とドレイン電極307の間を流れるため、電流が結晶粒界304、304’を横切ることがなく、実質的に単結晶で構成された場合と等価な移動度が得られる。
上記のように本発明のレーザアニールにより溶融再結晶した部分は、電流の流れる方向を、結晶粒界を横切らない方向に一致させることで、その移動度はエキシマレーザによるアニールを行っただけの多結晶シリコン薄膜103と比較して、2倍以上に改善することができる。この移動度は、高速に駆動できる液晶のドライバ回路を形成するに十分な値である。
一方、画素部のスイッチング用トランジスタは、エキシマレーザによるアニールを実施しただけの多結晶シリコン薄膜103の領域で形成する。エキシマレーザによるアニールで得られた多結晶膜は結晶粒が微細で結晶方向もランダムなため、本発明のレーザアニールで得られた結晶粒に比べて移動度は小さいが、画素部のスイッチング用トランジスタに使用するには十分である。 場合によっては、画素部のスイッチング用トランジスタとして非晶質シリコン膜でも十分に使える。この場合、エキシマレーザによるアニールを、駆動回路を形成する部分のみに限定して行い、その後、本発明のレーザアニール方法を実施すればよい。
上に述べた手順は図24及び図25に示すフローチャートにまとめることができる。
即ち、基板上に絶縁膜形成、a−Si膜形成を行い、エキシマレーザアニールを行った後に本発明のレーザアニールを、駆動回路を形成する部分のみに行う。本発明のレーザアニールを更に詳細に述べると、図25に示すような手順でエキシマレーザアニールを実施した基板を本発明のレーザアニール装置に搭載し、基板端面あるいは角部でプリアライメントを行い、レーザ加工によりアライメントマークを形成する。このアライメントマークを検出してアライメント(精アライメント)を行った後、設計データに従って駆動回路を形成する部分のみにレーザアニールを実施する。レーザアニール装置に搭載された時点で、フォトレジストプロセスによりアライメントマークが形成されている場合には、プリアライメント、アライメントマーク形成の工程は不要である。所望の領域が全てアニールされるまで繰り返した後、基板を搬出する。この後、図24のフローチャートに示すように、アライメントマーク104、104’を基準に、あるいはアライメントマーク104、104’から算出される原点座標を基準に、フォトエッチング工程により、多結晶シリコン膜の必要な部分のみに島状に残す。その後、フォトレジスト工程により、ゲート絶縁膜形成、ゲート電極形成を経て、不純物拡散、および拡散領域活性化を行う。その後、層間絶縁膜形成、ソース・ドレイン電極形成、保護膜(パッシベーション膜)形成などのフォトレジスト工程を経て、図14(a)に示すように、多結晶シリコン薄膜基板100に駆動回路107、107’と画素部109が形成され、TFT基板が完成する。尚、アライメントマーク104、104’は本発明のレーザアニールを行った後、少なくとも1回のフォトレジスト工程で位置合わせに用いられる。その後は上記フォトレジスト工程で新たに形成したアライメントマークを使用しても良い。
その後、配向膜形成、ラビングなどの工程を経たTFT基板に、図14(b)に示すようにカラーフィルタ109を重ねて液晶材料を封入するLCD工程(パネル工程)、および図14(c)に示すようにバックライト(図示せず)などと一緒にシャーシ110内に組み込むモジュール工程を経て、高速ドライバ回路を有する液晶表示装置が完成する。
本発明のレーザアニールを適用して製造された液晶表示装置を搭載した製品の一例として、図26(a)に示すような液晶テレビ401のディスプレイ部、図26(b)に示すような携帯電話402のディスプレイ部、あるいは図26(c)に示すようなノート形パソコン403のディスプレイ部のほか、自動車のダッシュボードに格納される各種計器のディスプレイ部、携帯型ゲーム機のディスプレイ部などが上げられる。
次に、本発明のレーザアニール装置の別な実施例について、図17を用いて説明する。
本実施例では、複数のパネル200、200’、200”が取得できる大形の基板201を載置するステージ202と、レーザ照射光学系を備えた複数の光学鏡筒203、203’、203”と、上記光学鏡筒の各々を独立に位置調整するための調整ステージ204(光学鏡筒203’、203”用の調整ステージは図示せず)と、上記調整ステージ204を保持するための架台205(図中では一部分を表示)から構成されている。
光学鏡筒203内部には図18に示すように、レーザ発振器210、シャッタ211、ビームエキスパンダ212、EOモジュレータ213、ビームホモジナイザ214、高速回転拡散板215、矩形スリット216、対物レンズ217、CCDカメラ218、および所望のエネルギ密度分布を得るためのフィルタ219等から構成されたレーザ照射光学系が納められている。尚、図18においては、観察用照明装置、参照光用光源装置、観察用モニタ、拡散板高速回転機構、自動焦点光学系、画像処理装置、制御装置等は省略してあるが、基本的には図1に示した構成を有する。また、各部分の機能については図1に示したレーザアニール装置と同様であり、ここでは詳細には触れない。異なる点は、複数組(図17においては3組)のレーザ照射光学系がそれぞれ独立の光学鏡筒203、203’、203”に納められ、それぞれが独立にXYZに移動可能な調整ステージ204上に固定されていて、各光学鏡筒203、203’、203”が各パネルの同一箇所にレーザ光を照射できるように位置の調整が可能であり、同時に複数箇所をレーザアニールできる点にある。
次に上記したレーザアニール装置によるレーザアニール方法を説明する。基板201として、図13(a)に示したように、ガラス基板101の1主面に絶縁体薄膜102を介して非晶質シリコン薄膜を形成し、エキシマレーザ光を全面走査することで多結晶シリコン薄膜103に結晶化させた多結晶シリコン薄膜基板100と同様の構成を有する基板を用いる。ここで、絶縁体薄膜102はSiO2あるいはSiNあるいはそれらの複合膜である。多結晶シリコン薄膜基板201には複数のパネルが形成されるようになっている(図17においては3パネルが、1基板上に形成される)。
基板201をステージ202上に載置する。この多結晶シリコン薄膜基板201には、各パネル200、200’、200”が形成される領域の複数箇所にアライメントマーク(図示せず)が形成されている。これらアライメントマークは通常、フォトエッチング技術で形成するが、この目的だけでフォトレジスト工程を実施するのは無駄が多い。このため、多結晶シリコン薄膜基板201の角部を検出して概略のアライメントを行った後、1つの光学鏡筒(例えば203)でレーザアニールに使用するレーザ光を矩形スリット216で、例えば縦長と横長の矩形に成形して多結晶シリコン薄膜を除去加工することで順次各パネル200、200’、200”の複数箇所に十字マークを形成し、アライメントマークとすることができる。あるいは各光学鏡筒203、203’、203”を予め設定した基準位置に位置決めした後、同時に各パネル203、203’、203”の複数箇所に十字マークを形成し、アライメントマークとすることができる。
次に、一つの光学鏡筒(例えば203)のCCDカメラ218で2個所のアライメントマークを順次撮象し、その重心位置を検出して、アライメントマークを基準に設計上の座標に従って、ステージ202をXYθ3軸で移動させて基板201の精アライメントを行う。尚、アライメントマークの検出にアニールを実施するための光学鏡筒のCCDカメラを使用したが、アライメント用光学系を別途設けても良い。この場合、1個の光学系で順次複数のアライメントマークを検出しても良いし、複数の光学系で同時に複数のアライメントマークを検出しても良い。
しかる後、設計上の座標に従い、各パネル200、200’、200”のアライメントマークのうち、各1個所が各光学鏡筒の視野内に入るようにステージ202を移動させ、各光学鏡筒203、203’、203”のCCDカメラ218でアライメントマークを撮像し、その重心が視野中央に一致するよう、各光学鏡筒203、203’、203”の調整ステージ204で調整する。これにより、各光学鏡筒203、203’、203”は基板201上に形成されたパネル200、200’、200”の同一個所を照射するように位置調整されたことになる。その後、前述したように設計データに従い、各パネル200、200’、200”の駆動回路の能動層(活性領域)が形成される部分のみにレーザ光を照射して、アニールを行う。照射されるレーザ光は前述したように、EOモジュレータ213により任意のパルス波形を有し、ホモジナイザ214と必要に応じて透過率フィルタにより所望のエネルギ密度分布を有し、高速回転する拡散板215を透過させることにより拡散されて可干渉性を失い、矩形スリット216で矩形に成形されて、対物レンズ217により集光照射される。必要に応じ、ホモジナイザ214からの出力は矩形形状あるいは線状に形成されるように構成される。
レーザ光が照射される領域は、例えば各画素を駆動するためのドライバ回路を形成する部分で、ステージ202を駆動させて多結晶シリコン薄膜基板201を走査しながら必要な部分のみに順次照射する。この時、各光学鏡筒203、203’、203”は自動焦点機構(図示せず)により、各光学鏡筒203、203’、203”を搭載している調整用ステージ204をそれぞれ独立にZ方向に駆動して、全ての対物レンズが基板201表面と一定の位置関係になるように制御される。
1枚の基板に小型のパネルが多数並んでいる場合には、数パネルおきにアニールを実施し、1パネル分だけ移動した後、再度アニールを実施する手順を繰り返すことで、全パネルのアニールを行うことができる。即ち、図22(a)に示したように、基板251に9列のパネルが形成されていて、3個の光学鏡筒でアニールする場合を例に説明する。
まず、3個の光学鏡筒250、250’、250”で基板251の右側から3列毎にアニールを実施する。1列目、4列目、7列目のパネルにアニールが終了して溶融再結晶領域252、252’、252”が形成されると、図22(b)に示すように、基板251を1パネル分だけ右に移動させるか、あるいは光学鏡筒250、250’、250”を1パネル分だけ左に移動させて、2列目、5列目、8列目のパネルにアニールを実施する。同様にさらに1パネル分だけ移動させた後、3列目、6列目、9列目のパネルのアニールを実施して基板251のアニールが終了する。必要に応じて、図示した走査方向に直角な方向に走査する場合は、基板251を90度回転しても良いし、レーザ光の幅方向と長手方向を切り換え、走査方向を変えても良い。走査方向を変える場合はまず、図23(a)に示すように、1行目のパネルを各光学鏡筒で250、250’、250”で基板251の右から3パネルずつ、アニールを実施して溶融再結晶領域254、254’、254”を形成する。次いで図23(b)に示すように、走査方向と直交する方向に1パネル分だけステージあるいは光学鏡筒を移動させ、2行目のパネルを3パネルずつアニールする。この手順を必要な回数だけ繰り返して全パネルのアニールを行い終了する。
基板201に形成されている多結晶シリコン膜は図15で説明したように、1ミクロン以下(数100nm)の微細結晶粒集合体である。この微細結晶粒集合体にレーザ光を照射すると、レーザ照射領域外の微細結晶粒はそのまま残るが、レーザ照射領域内の微細結晶粒は溶融する。その後、溶融したシリコン膜は溶融部周辺に残留している結晶粒を種結晶として、種結晶の結晶方位にならった結晶が成長して行く。この時の結晶粒の成長速度は結晶方位によって異なるため、最終的には最も成長速度の早い結晶方位を持つ結晶粒だけが残る。即ち、図16に示すように、成長速度の遅い結晶方位をもつ結晶粒122は、成長速度の早い結晶方位をもつ結晶粒の成長に抑えられ、結晶成長が止まる。また、成長速度が中程度の結晶方位を持つ結晶粒123、124は更に成長を続けるが、成長速度の大きい結晶粒125、126、127の成長に抑えられ、やがて成長が停止する。最終的には成長速度の大きな結晶方位を持つ結晶粒125、126、127のみが成長を続ける。これら、最終的に形成された結晶粒125、126、127は、厳密な意味では独立した結晶粒であるが、ほとんど同じ結晶方位を有しており、溶融再結晶した部分は実効的に単結晶と見なすことができる。即ち、図13(c)に示すように、多結晶シリコン薄膜103中にレーザ光105を照射した部分のみが島状にアニールされて特定の結晶方位を有する結晶粒のみが成長し、厳密な意味では多結晶状態であるが、ほぼ単結晶に近い性質を有する領域106が形成されたことになる。
基板201を走査しながらこの手順を繰り返し、順次アニールの必要な部分にレーザ光を照射することにより、ドライバ回路のトランジスタを形成する領域をすべて、ほぼ単結晶に近い性質を有する領域に変換することができる。更に、単結晶に近い性質を有する領域は図16に示したように、結晶粒が一定方向に成長するため、トランジスタを形成した際に、電流が流れる方向と結晶粒の成長方向を一致させることにより、電流が結晶粒界を横切るのを避けることができる。結晶粒の成長方向は照射するレーザ光のエネルギ分布およびレーザ光の走査方向(実際にはステージの走査方向)で制御することができる。即ち、エネルギ密度分布に傾きを持たせると、エネルギ密度の低い方(低温側)から結晶化が始まりエネルギ密度の高い方(高温側)に成長する。
また、レーザ光を走査することで、照射領域が移動して照射領域から外れた部分から温度低下が始まるために結晶化が始まり、レーザ光の走査する方向に結晶が成長して、本実施例によれば、幅方向にはエキシマレーザでアニールして得られた結晶粒径1μmよりも大きく成長し、長さ方向には10μm以上に成長した大きな結晶粒を得ることができる。本実施例によれば、10μm以上の大きな結晶粒を得ることができる。そこで、図19に示すようにレーザ照射領域301のうち、成長速度の速い結晶粒のみで構成された部分が駆動用トランジスタの能動層(活性領域)302、303となるように、位置合わせすればよい。不純物拡散工程およびフォトエッチング工程を経て、活性領域302、303以外を除去し、図20に示すようにフォトレジスト工程により、ゲート絶縁膜を介したゲート電極305、オーミックな接続を有するソース電極306およびドレイン電極307を形成してトランジスタが完成する。ここで、活性領域303には結晶粒界304、304’が存在する。しかし、電流はソース電極306とドレイン電極307の間を流れるため、電流が結晶粒界304、304’を横切ることがなく、実質的に単結晶で構成された場合と等価な移動度が得られる。即ち、溶融再結晶した部分の移動度はエキシマアニールを行っただけの多結晶シリコン薄膜と比較して2倍以上に改善することができ、これにより高速に駆動できる液晶のドライバ回路を、TFT基板上に形成することができる。
なお、図20に示したトランジスタは1例を示したに過ぎず、これに限定させるものではない。トランジスタとして種々の構造が可能であるが、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の構造のトランジスタを形成可能であることは明らかである。
一方、画素部のスイッチング用トランジスタはエキシマレーザによるアニールを実施しただけの多結晶シリコン薄膜103の領域で形成する。即ち、アライメントマークを基準に、あるいはアライメントマークから算出される原点座標を基準に、ゲート絶縁膜形成、ゲート電極形成、不純物拡散、拡散領域の活性化、ソース・ドレイン電極形成、パッシベーション膜形成等のためのフォトレジストプロセスを経て、TFT基板が完成する。尚、フォトレジスト工程におけるアライメントマークとして、レーザ加工により形成したアライメントマークを少なくとも1回のフォトレジストプロセスで位置合わせに用い、その後は上記フォトレジストプロセスで新たに形成したアライメントマークを使用しても良い。
この後、完成したTFT基板に配向膜を形成し、ラビング工程を経たTFT基板に、カラーフィルタを重ねて液晶を封入するLCD(パネル)工程、バックライトなどと一緒にシャーシに組み込むモジュール工程を経て、高速ドライバ回路をガラス基板上に形成した液晶表示装置(いわゆるシステム・オン・パネル)が完成する。