JP4631191B2 - 電気泳動表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧の印加により泳動媒質の荷電粒子が移動することを利用した電気泳動表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図6に示すような電気泳動表示素子が知られている。この電気泳動表示装置は、少なくとも一方が透光性の一対のたとえばガラス基板11a,11bが、封止部材13a、13bを介して互いに所定間隔をもって対向し、これらガラス基板11a、11bと封止部材13a、13bによって閉空間が構成されるようになっている。これら一対のガラス基板11a,11bの互いに対向する内面側には平面状のITO等の透明電極12a,12bが固定されている。
【0003】
そして、上記閉空間には、電気泳動表示用媒質1aが収容されている。この電気泳動表示用媒質1aは、例えば分散媒中に黒色等の染料が溶解されたものであり、この媒質1aに分散されている白色の荷電粒子(泳動粒子、例えば白色顔料)2を含んでいる。
【0004】
このような電気泳動表示素子は、上記一対の電極12a,12bに対し、例えば図7に示すように、スイッチ15を閉じて電源14と接続することにより、上側の電極12aにプラスの電圧を印加し、下側の電極12bにマイナスの電圧を印加すると、負に帯電した上記白色顔料2がクーロン力によって陽極に向かって電気泳動し、その白色顔料2が上側の陽極電極12aに付着する。このような状態の電気泳動表示装置を、上方の位置から観察すると、白色顔料2が付着して層を形成した部分は透明電極12aとガラス基板11aとを介して白色に見えることになる。一方、印加電圧の極性を逆にすれば、白色顔料1は、対面側の電極12bに付着して層を形成し、白色顔料2の層が黒色の媒質1aの背後に隠れるので、電気泳動表示パネルは黒色に見えることになる。電圧の印加を停止すると、一旦白色顔料2が電極に付着した後は、付着状態を維持する以外は特に電圧を印加する必要がなくなる。
【0005】
しかし、このような泳動粒子2と媒質に用いられている溶媒とは比重差が大きく異なることから、両者の比重調整や溶媒の粘度調整、泳動粒子の微細化等の手法が検討されている。しかし、泳動粒子の微細化は、レイリー散乱でも明らかなように、細かくなるほど透過率が高まり、着色された泳動媒質の色が反映されやすくなる。このため、コントラスト比や、反射率、白色度などの低下を招く。
【0006】
また、泳動粒子2の微細化は、表面面積の増大を伴い、泳動粒子2の表面への泳動媒質中の染料の吸着を招き、泳動粒子自身が着色されてしまうといった問題も有していた。
【0007】
このような欠点を改善するため、泳動粒子2の大型化を図る試みもなされてきた。しかし、大型化によって、泳動粒子2間の間隙が大きくなり、上記同様に泳動媒質の色が反映されやすくなるという結果を招いてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コントラスト比が高く、応答速度が速く、付着状態を長期間維持でき、安定した表示が可能な電気泳動表示素子を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の構成により達成される。
(1) 一対の電極間に泳動媒質を有し、この泳動媒質中に泳動粒子が分散された電気泳動表示素子であって、
前記泳動粒子は、泳動粒子核表面に高分子鎖が付着している電気泳動表示素子。
(2) 前記泳動粒子の核は無機顔料である上記(1)の電気泳動表示素子。
(3) 前記高分子鎖は、カップリング剤により泳動粒子核表面に付着している上記(1)または(2)の電気泳動表示素子。
(4) 前記高分子鎖は、電荷制御用の官能基を有する上記(1)または(2)の電気泳動表示素子。
(5) 前記高分子鎖は、架橋構造を有する上記(1)〜(3)のいずれかの電気泳動表示素子。
(6) 前記泳動粒子核は、多孔である上記(1)〜(5)のいずれかの電気泳動表示素子。
(7) 前記泳動媒質は、少なくとも泳動粒子とのコントラストが得られる色彩を有し、かつ添加剤を含有する上記(1)〜(6)のいずれかの電気泳動表示素子。
(8) 前記泳動媒質中に膨潤性層状粘度鉱物を含有する上記(1)〜(7)のいずれかの電気泳動表示装置。
(9) 前記泳動媒質は、マイクロカプセル、またはセルのそれぞれが独立した構造体に封入され、前記一対の電極間に配置されている上記(1)〜(8)のいずれかの電気泳動表示素子。
【0010】
【発明に実施の形態】
本発明の電気泳動表示素子は、例えば図1に示すように一対の電極12a、12b間に泳動媒質1を有し、この泳動媒質1中に泳動粒子2が分散された電気泳動表示素子であって、前記泳動粒子2は、核表面に高分子鎖が付着しているものである。
【0011】
このように、泳動粒子核の表面に高分子鎖を付着させることにより、コントラスト比が高く、応答速度が速く、さらにメモリ効果を向上させることができる。これにより、優れた表示品質を長期間維持することのできる電気泳動表示素子が得られる。
【0012】
すなわち、例えば図3に示すように、泳動粒子核2aの表面に高分子鎖2bを付着させることにより、核2a表面と泳動媒質1との間に高分子層2bが介在することとなる。このため、泳動媒質1やこれに分散されている染料などが核2aに付着したり、吸着するのを防止でき、コントラスト比が向上する。
【0013】
また、泳動粒子の比重を調節することができ、より泳動媒質の比重に近い泳動粒子が得られ、メモリ性が向上する。さらに、泳動粒子表面の電荷を調節することも可能で、応答速度も向上する。
【0014】
高分子鎖2bは、図3に示すように、カップリング基2cを介して核2aに結合させるようにするとよい。カップリング基を介することで、高分子鎖2bと核2aとの結合が容易となり、高分子鎖2bの結合量を調整することもできる。
【0015】
本発明の高分子鎖を形成する高分子有機材料としては、カップリング基との相性がよく、荷電制御が容易で、重合反応の制御がしやすく、泳動媒質の反応性が低い材料であれば特に限定されるものではない。具体的には、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン、石油系樹脂等を挙げることができ、好ましくはスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等である。
【0016】
核に対する高分子鎖の割合は、好ましくは0.1〜95質量%、特に1〜70質量%である。また、高分子鎖の割合を調整することにより泳動粒子の比重を調整してもよい。
【0017】
高分子鎖を核に導入するためのカップリング剤としては、核の材質と高分子鎖の種類により、公知のカップリング剤のなかから好適なものを選択すればよい。具体的には、核に無機顔料、特に酸化チタンを用いる場合、Si系のカップリング剤またはTi系のカップリング剤が挙げられ、具体的には分子鎖の末端にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、ハロゲン等の官能基が含まれるもの等が好ましい。
【0018】
核に対するカップリング剤の添加量としては、その種類によっても異なり、特に限定されるものではないが、通常0.1〜5質量%、特に1〜3質量%程度である。
【0019】
高分子鎖には、表面電荷を制御するための官能基を導入してもよい。表面電荷制御用の官能基を導入することにより、応答速度を向上させることができる。このような官能基としては、スルホン酸、カルボシキル基、−NH2 、−OH、−Cl、−NO2 、4級アンモニウム塩などの極性基を挙げることができる。また、公知の荷電制御材を用いてもよく、例えば有機金属錯体、金属塩、キレート化合物で、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体などがあげられる。そのほかには、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類などのカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体などもあげられる。またビスフェノール類、カリックスアレーンなどのフェノール誘導体なども用いることができる。
【0020】
官能基を高分子鎖に導入する方法としては、高分子鎖の末端に荷電制御材と結合させるための反応基を持たせる方法、またはモノマーに予め荷電制御材を修飾し、重合等させればよい。
【0021】
高分子鎖に対する官能基の割合としては、高分子鎖や核の種類にもよるが、好ましくは0.1〜50質量%、特に1〜30質量%程度である。
【0022】
本発明に用いられる泳動粒子は、泳動媒質の溶媒に安定に分散され、単一の極性を有することが、表示装置の寿命、コントラスト、解像度などの観点から望ましい。また、その粒径は、上記範囲内であると、光散乱効率が低下せず、電圧印加時において十分な応答速度が得られる。
【0023】
泳動粒子の核の材料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、セレン化カドミウム、カーボンブラック、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム、炭酸カルシウムなどの無機顔料、あるいはフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ウオッチングレッド、ダイアリーライドイエローなどの有機顔料を用いることが可能であるが、無機顔料が好ましい。これらのなかでも高いコントラスト比を得るためには酸化チタンが好ましく、酸化チタンでは特にルチルタイプが好ましい。特に本発明は、泳動粒子核が多孔質のものに効果的である。
【0024】
泳動粒子核2aは、その一次粒子の平均粒径が0.01〜0.7μm、好ましくは0.05〜0.5μm 、より好ましくは0.1〜0.3μm である。
【0025】
無機顔料の周囲を樹脂により覆うことにより、泳動媒質中の染料が無機顔料に吸着することを防止することもでき、コントラストが向上する。また、樹脂を選択する等して泳動媒質の比重に近づけることができる。
【0026】
顔料粒子表面に樹脂材料の高分子鎖を形成する方法としては、例えば、あらかじめ樹脂モノマー、分散剤、重合開始剤が分散されている樹脂溶媒中に顔料粒子を分散し、前記モノマーを重合させればよい。
【0027】
泳動粒子の比重は、泳動媒質に近ければ近いほど好ましい。具体的には1.1〜2.0程度である。
【0028】
さらに、高分子鎖は、例えば図4に示すように架橋構造を有していてもよい。架橋構造を有することにより、泳動粒子核2aの周囲に高分子鎖2bが3次元の網目状構造を形成し、より強固な樹脂層を形成すると共に、泳動媒質中の染料が無機顔料に吸着することを防止することもでき、コントラストが向上する。
【0029】
このような架橋構造を得るには、例えば、上記重合工程において、架橋剤を添加すればよい。このような架橋剤としては、樹脂材料にもよるが、例えばスチレン系、アクリル系の場合、多官能モノマー等を挙げることができる。
【0030】
高分子鎖に架橋構造を導入することにより、複数の泳動粒子核を樹脂により結合させた複合体構造とすることもできる。このような複合体構造とすることにより、より大径の泳動粒子を得ることができる。
【0031】
この場合の複合体の泳動粒子は、一次粒子の平均粒径0.8〜7μm 、好ましくは0.8〜5μm である。これらの粒径は粒子を球形状に換算したときの値である。
【0032】
本発明において溶媒としては、泳動粒子に対する溶解能が小さく、色素や膨潤性層状粘度鉱物に対する溶解度が大きく、色素、電気泳動粒子、好ましくは下記の膨潤性層状粘度鉱物を安定に溶解または分散でき、イオンを含まずかつ電圧印加によりイオンを生じない絶縁性のものが望ましい。
【0033】
比較的多くの泳動粒子材料に対して用いることのできる絶縁性液体としては例えば、ヘキサン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン等の飽和炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化フッ素系炭化水素、フッ素系溶剤などを挙げることができる。なお、これらの液体は混合して用いることもできる。
【0034】
本発明において、泳動粒子の泳動媒質における混合率は、泳動粒子の電気泳動性が阻害されず、かつ泳動媒質の反射制御が十分に行える限り特に限定されるものではないが、例えば泳動粒子全量で1質量%から30質量%が好ましい。
【0035】
本発明において、泳動粒子の電荷を増加させるため、あるいは同極性にするために、必要に応じて、前述の溶媒に、樹脂、界面活性剤等の添加剤を加えることができる。
【0036】
泳動媒質は、泳動粒子とのコントラストが得られるような色彩を有していることが好ましい。このような色彩は、それ自身でそのような色彩を有しているか、または他の顔料を泳動媒質中に分散させてもよい。泳動媒質の色彩は、泳動粒子の色彩とのコントラスト比が3以上、特に5以上得られるものが好ましい。
【0037】
泳動媒質中に溶解される色素としては、例えばシアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アントラキノン系、アゾ系、トリフェニルメタン系、ピリリウムないしチアピリリウム塩系、スクワリリウム系、クロコニウム系、金属錯体色素系等から1種ないし2種以上を目的に応じて適宜選択すればよい。
【0038】
このような色素の含有量は、特に規制されるものではなく、その種類や所望の色彩、明度等により適宜調整すればよいが、好ましくは0.1〜20質量%程度である。
【0039】
本発明において、泳動媒質層の厚さは泳動粒子の径より大きく、粒子の運動を妨げない限り特に限定されるものではないが、電圧印加時の速い応答速度のためには、できるだけ薄いことが望ましい。このような観点から、泳動媒質層の好ましい厚さは、5μmから200μmである。
【0040】
本発明に用いられる電極材料として、アルミニウム、銅、銀、金、白金などの良導電性のものが好ましい。また、透明電極材料としては、酸化スズ、酸化インジウム、ヨウ化銅などの薄膜を好ましく用いることができる。また、電極形成は蒸着、スパッタリング、フォトリソグラフィなど通常の方法で行うことができる。
【0041】
本発明において、電極を配置する基板の材質および厚さは、十分な絶縁性及び平面性を保ち、十分な強度を有するものであれば、特に限定されない。具体的な材料としてはガラス、プラスチック、セラミックが好ましく使用される。また、基板に泳動粒子との対比色を担わせる場合は、適当な色素、顔料をガラスやプラスチック、セラミックに混合したものや有色セラミックを基板として用いることができる。
【0042】
電極間に、泳動媒質を配置、封入する方法は特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができるが、特にマイクロカプセルやセルなどで密封し、配置することが好ましい。これらのマイクロカプセルは、有機バインダー等を用いて電極間に配置すればよい。
【0043】
マイクロカプセル化の方法としては、既に、当業界において公知の技術となっている方法で作製することが可能である。例えば、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書等に示されるような水溶液からの相分離法、特公昭38−19574号、同昭42−446号、同昭42−771号公報等に示されるような界面重合法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号公報等に示されるモノマーの重合によるイン・サイチュ(in−situ)法、英国特許第952807号、同第965074号明細書に示される融解分散冷却法等があるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
マイクロカプセルの外壁部の形成材料としては、前記カプセル製造方法にて外壁部が作製可能であれば、無機物質でも有機物質でもよいが、光を十分に透過させるような材質が好ましい。具体例としては、ゼラチン、アラビアゴム、デンプン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリユリア、ポリウレタン、ポリスチレン、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等、及びこれらの共重合物等が挙げられる。
【0045】
マイクロカプセルの具体的な形成方法としては、まず、溶媒に泳動粒子2とを均一分散させる。更に、この分散液と、界面活性剤を添加した蒸留水を撹拌混合させ、分散液のエマルジョンを作製する。分散液エマルジョンの大きさは、撹拌速度、または、乳化剤、界面活性剤の種類と量とにより所望の大きさに調節される。また、必要に応じて1種類以上の乳化剤、界面活性剤、電解質、潤滑剤、安定化剤などを適宜添加することができる。
【0046】
また、上記界面重合法により、色調と帯電極性の異なる2種類の帯電粒子(例えば白色の帯電粒子と黒色の帯電粒子)を、液体溶媒とともにマイクロカプセル内に内包させてもよい。
【0047】
このとき、泳動粒子は、体積平均粒子径/個数平均粒子径で表される粒度分布の分散度が約2以下であることが好ましい。
【0048】
本発明の電気泳動素子は、泳動媒質1中に膨潤性層状粘度鉱物を含有させてもよい。泳動媒質1中に膨潤性層状粘度鉱物を含有させることにより、泳動媒質1にチクソトロピックな性質が付与される。チクソトロピックとは、静止時にはゼリー状の状態を維持し、一方、その系に力が加えられることにより流動性が増し、液体のような挙動を示すものをいう。このため、表示粒子を長期間保持することができ、安定した表示を行わせることができる。
【0049】
膨潤性層状粘度鉱物としては、スメクタイトが好ましい。スメクタイトは、その単位構造を図3に示すように、層状珪酸塩の一種で、基本的にはSi−O4 4面体が酸素頂点を共有して六角網目状に広がった四面体シートが2枚、残りの頂点酸素を向かい合わせて陽イオンを挟み酸素の八面体シートを形成した2:1構造を単位層として、これが重なった構造をもつものである。そして、溶媒中で膨潤し、層状構造がくずれ、コロイド性を示す。このため、ゲスト物質の吸着能が高く、さらに、存在する陽イオンにより、例えば表示粒子のもつアニオンを吸着しやすく、保持特性が格段にすぐれたものとなる。
【0050】
スメクタイトは、天然のものや工業的に合成されたものがある。本発明では、天然品および合成品のいずれを用いてもよいが、溶媒中での特性あるいは不純物を含まない等の点で、工業的に合成されたものが好ましい。
【0051】
工業的に合成されたものとしては、合成スメクタイトが市販されている。市販されている合成スメクタイトとしては、水中で膨潤し、層状構造を崩してコロイド状となり、粘性を示す親水性のタイプと、有機溶媒中でコロイド状となり、粘性を示す親油性のタイプとがある。親水性のタイプとしては、SWN(コープケミカル(株)製)として市販されている親水性スメクタイトがあるが、本発明では親油性のものが好ましい。
【0052】
親油性スメクタイトは、親水性スメクタイトの層状構造中にあるNaイオン等を、低極性溶媒や高極性溶媒等と溶媒和が可能な有機イオンで置換したものである。このような有機イオンとしては、特に限定はしないが、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等、例えば炭素原子数が1〜10程度のアルキル基を有する第4級アンモニウム等が挙げられる。
【0053】
置換する有機イオンを選択することで、種々の有機溶媒中に良好に分散してコロイド性や粘性を示し、さらにインクやその溶媒のようなゲスト物質をインターカレートするすぐれた特性をもつものである。このような親油性スメクタイトとしては、SAN、STN、SENおよびSPN(いずれもコープケミカル社製)として市販されているものがある。これらのなかでも多くの有機溶媒と親和性を有するSAN,STNが好ましい。
【0054】
このようなスメクタイトは、前述したように親水性、親油性ともに溶媒中で膨潤してコロイド性を示し、溶液の粘度を増加させる特性をもつ。静置時にはこのコロイドが水素結合により嵩高い網目構造を形成し、弾性挙動を示す。ところが、これに外力を加えると、この結合は弱いため、網目構造は簡単に壊れ流動性を示す。このため、スメクタイトを含めることで、泳動媒質1にチクソトロピックな性質を付与することができ、表示粒子の保持能力が向上し、表示が安定する。
【0055】
スメクタイトの含有量は、好ましくは泳動媒質の0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
【0056】
用いるスメクタイトの比表面積は、好ましくは200〜1000m2/g、より好ましくは500〜1000m2/g、特に好ましくは710〜800m2/g、である。
【0057】
光学顕微鏡を用いて観察したとき、不定形の形状で観察されるスメクタイトの平均長径は、好ましくは0.1〜100μm 、より好ましくは0.5〜50μm 、特に好ましくは1〜45μm である。
【0058】
本発明の電気泳動装置の基本構成を図1,2に示す。この電気泳動表示装置は、少なくとも一方が透光性の一対の基板11a,11bが、封止部材13a、13bを介して互いに所定間隔をもって対向し、これら基板11a、11bと封止部材13a、13bによって閉空間が構成されるようになっている。これら一対の基板11a,11bの互いに対向する内面側には平面状のITO等の透明電極12a,12bが固定されている。
【0059】
そして、上記閉空間には、泳動媒質1が収容されている。この泳動媒質1は、例えば溶媒中に黒色等の染料が溶解されたものであり、この泳動媒質1に分散されている白色の荷電粒子(泳動粒子、例えば白色顔料)2を含んでいる。
【0060】
このような電気泳動表示素子は、上記一対の電極12a,12bに対し、例えば図2に示すように、スイッチ15を閉じて電源14と接続し、上側の電極12aにプラスの電圧を印加し、下側の電極12bにマイナスの電圧を印加すると、負に帯電した上記白色顔料2がクーロン力によって陽極に向かって電気泳動し、その白色顔料2が上側の陽極電極12aに付着する。このような状態の電気泳動表示装置を、上方の位置から観察すると、白色顔料2が付着して層を形成した部分は透明電極12aとガラス基板11aとを介して白色に見えることになる。
【0061】
一方、印加電圧の極性を逆にすれば、白色顔料2は、対面側の電極12bに付着して層を形成し、白色顔料2の層が黒色の泳動媒質1の背後に隠れるので、電気泳動表示パネルは黒色に見えることになる。
【0062】
そして、本発明では、電圧の印加を停止しても、一旦白色顔料2が電極に付着した後は、付着状態を長期間、例えば2,3ヶ月程度維持することができる。このため、特に再度保持電圧を印加する必要がなくなる。
【0063】
本発明の電気泳動表示装置の駆動電圧としては、特に限定されるものではないが、通常、直流1〜250V 、特に5〜150V 程度である。
【0064】
本発明の電気泳動表示装置は、高速表示が可能であり、印加電圧にもよるが、0.5秒 以下、特に0.1〜0.5秒の応答速度を実現することができる。
【0065】
なお、本発明の電気泳動表示素子は、平面状、平面を屈曲させた形状の表示装置として好適に用いることができる。
【0066】
本発明の電気泳動表示装置は、店舗などの広告、価格表示板、案内板等や、道路標識、道路の案内板、薄型壁時計、電子手帳、電子本、電子新聞等といった分野で特に有効である。
【0067】
【実施例】
以下、実験例、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。
<実験例>
一次粒径が250nmの酸化チタンを用い、これに下記表1に示すような種々の表面処理を施した。このとき、ポリスチレン、ポリステアリルメタクリレートは下記の構造となるようにして付着させた。
【0068】
【化1】
【0069】
得られた表面処理済み粉体を、下記構造を有する染料(チバ製、BL)を0.1g、トリメチルベンゼン100mlに溶解させたものに、48時間浸漬し、浸漬前後の染料溶液の分光光度計による染料の透過率から吸着量を求めた。結果を表1に示す。
【0070】
【化2】
【0071】
【表1】
【0072】
表1の結果から、ポリスチレン+分散剤が最も効果的に吸着を抑制できることが解る。なお、ポリステアリルメタクリレートの吸着量が多いのは、構造中に存在するケトン基に染料が吸着したためであると推定される。
【0073】
<実施例1>
溶剤(溶媒)としてトリメチルベンゼン(TMB):10gとしてを用い、これに染料としてアントラキノン系染料〔Solvent Blue 136〕を0.5g、分散剤(マリアリム)0.1g、および増粘剤としてスメクタイト(コープケミカル(株)製、商品名:SAN)0.5gを分散溶解させ、泳動媒質とした。
【0074】
泳動粒子は、一次粒径が70nmでγ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン処理を施した酸化チタン10g、架橋剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレートを20g、分散剤として日本油脂製AWS-0851 を1g、重合開始剤として過酸化ベンゾイルを5g、スチレンを80g混合し懸濁液を作製した。この懸濁液を、前記分散剤(日本油脂製AWS-0851 )が10g溶解した水1kgに激しく撹拌しながら滴下し、乳化懸濁液を作製した。撹拌した状態で温度を上昇させ、90℃にて重合反応を促進させ、真球状の微粉体を得た。この微粉体の色調は白色、比重1.49、平均粒径は5.1μm であった。
【0075】
また、比較例として酸化チタンを造粒して平均粒径4.86μm の粉体を得た。
【0076】
これらの泳動媒質を図1および図2に示す装置のITO透明電極間に配置し、両電極間に通電前、通電中における表示面の状態を観察し、これからコントラスト比を求めた。その結果、発明サンプルのコントラストは8.5であったのに対し、比較サンプルは5.4しかなかった。
【0077】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、コントラスト比が高く、応答速度が速く、付着状態を長期間維持でき、安定した表示が可能な電気泳動表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動表示装置の基本構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の電気泳動表示装置の基本構成を示す概略断面図である。
【図3】泳動粒子核表面に高分子鎖が付着した状態を模式的示した断面図である。
【図4】図3の高分子鎖が架橋構造を有する状態を模式的示した断面図である。
【図5】スメクタイトの結晶構造を示した図である。
【図6】従来の電気泳動表示装置の基本構成を示す概略断面図である。
【図7】従来の電気泳動表示装置の基本構成を示す概略断面図である。
【符号の簡単な説明】
1 泳動媒質
2 泳動粒子
11a,11b 基板
12a,12b 電極
Claims (6)
- 一対の電極間に泳動媒質を有し、この泳動媒質中に泳動粒子が分散された電気泳動表示素子であって、
前記泳動粒子は、泳動粒子核表面にカップリング基を介して高分子鎖が結合しており、
前記高分子鎖は、架橋構造を有し、
前記高分子鎖を形成する高分子有機材料は、スチレン系樹脂を含み、
前記泳動粒子の核は無機顔料である電気泳動表示素子。 - 前記高分子鎖は、電荷制御用の官能基を有する請求項1の電気泳動表示素子。
- 前記泳動粒子核は、多孔である請求項1または2の電気泳動表示素子。
- 前記泳動媒質は、少なくとも泳動粒子とのコントラストが得られる色彩を有し、かつ添加剤を含有する請求項1〜3のいずれかの電気泳動表示素子。
- 前記泳動媒質中に膨潤性層状粘度鉱物を含有する請求項1〜4のいずれかの電気泳動表示装置。
- 前記泳動媒質は、マイクロカプセル、またはセルのそれぞれが独立した構造体に封入され、前記一対の電極間に配置されている請求項1〜5のいずれかの電気泳動表示素子。
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