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JP4631366B2 - 光制御膜積層体及びそれを用いたプロジェクション用スクリーン - Google Patents
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光制御膜積層体及びそれを用いたプロジェクション用スクリーン Download PDF

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Description

本発明は、光制御膜積層体及びそれを用いたプロジェクション用スクリーンに関するものである。
プロジェクションディスプレイは、背面投射型表示装置とも呼ばれるもので、その例を図1に基づいて説明する。この図に示すように、プロジェクションディスプレイ1は、光源ユニット3からの光を、画像表示ユニット4、さらに投射レンズ5を通してミラー6に当て、そこで反射させてスクリーン7に背面から画像を投影するものである。画像表示ユニット4には、液晶パネルや陰極線管(CRT)などが用いられる。また、画像表示ユニットからの画像を直接スクリーンに投射する方式もある。
このようなプロジェクションディスプレイのスクリーン7には通常、フレネルレンズとレンチキュラーレンズを組み合わせたものが用いられている。フレネルレンズは、光源からの又はミラーからの光を平行光に変え、かつレンチキュラーレンズにほぼ垂直に入射させる機能を有しており、一方レンチキュラーレンズは、フレネルレンズから入射した光を制御して散乱させる機能を有している。
プロジェクション用スクリーンのレンチキュラーレンズやフレネルレンズの材料としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明な熱可塑性樹脂を使用することができ、なかでもアクリル樹脂が、透明性、硬度、耐久性、加工適性などを生かして多く用いられている。また、レンチキュラーレンズには、上記の熱可塑性樹脂に、シリカ、アルミナ、粘土、ガラス、ビーズなどの光拡散性物質を混合して、光拡散性を付与したものが広範に用いられている。
プロジェクション用スクリーンにおいては、光拡散性能と光線透過性能の両方が重要である。従来のプロジェクション用スクリーンは、光拡散性に優れるものの、全光線透過率が低いので、スクリーン画面が暗くなるという問題点を有する。スクリーン画面を明るくするために、全光線透過率を上げようとすると、光拡散性を犠牲にすることになり、スクリーン画面の解像度が低下してしまうことから、光拡散性能と光線透過性能の両方を同時に満足させることは難しかった。また、従来のプロジェクション用スクリーンは、フレネルレンズとレンチキュラーレンズのピッチに起因するモアレ模様が画面に発生しやすいという問題点も有していた。さらに、視認性の良好な画像を与える角度範囲が狭く、大型の高画質を目的としたテレビ用のスクリーンとしては満足のいくものでなかった。
これらの問題点を改善するために、曇価に角度依存性のある光制御膜をプロジェクション用スクリーンに適用することが、いくつか提案されている。例えば、特許第 2838295号公報(特許文献1)には、屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを有する組成物に2方向以上から光を照射することにより硬化してなる曇価に角度依存性のある光制御膜を、プロジェクション用スクリーンに適用することが記載されており、また特開平 4-77728号公報(特許文献2)には、屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを有する組成物に光を照射することにより硬化してなる曇価に角度依存性のある光制御膜を複数枚積層して、プロジェクション用スクリーンに適用することが記載されている。
また、屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを含有する組成物を膜状とし、そこに特定方向から光を照射して硬化させ、曇価に角度依存性のある光制御膜を作製する方法及びそのための組成物は、例えば、特公平 7-58361号公報(特許文献3)、特許第 2691543号公報(特許文献4)、特許第 2702521号公報(特許文献5)、特許第 2782200号公報(特許文献6)、特許第 2782250号公報(特許文献7)、特許第 2822065号公報(特許文献8)、特許第 3211381号公報(特許文献9)などに記載されている。
特許第2838295号公報 特開平4−77728号公報 特公平7−58361号公報 特許第2691543号公報 特許第2702521号公報 特許第2782200号公報 特許第2782250号公報 特許第2822065号公報 特許第3211381号公報
これらの文献で提案される光制御膜をプロジェクション用スクリーンに適用すれば、高い全光線透過率を保ちながら、明るい画像が得られるようになる。しかしながら、大型のテレビ用として、広い角度範囲にわたって画質の高い画像を与えるという面では、必ずしも十分に満足できる状態に至っていない。
本発明者は、現在の主流であるフレネルレンズとレンチキュラーレンズを組み合わせたスクリーン及び上記文献で提案されている光制御膜を用いたスクリーンにおける問題点に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に至ったものである。したがって本発明の目的は、プロジェクション用スクリーンに適用したときに、広い角度範囲にわたって明るく高画質の画像を与えうる光制御膜を提供することにある。
そこで本発明によれば、曇価に角度依存性があり、その表面に対して0〜180°の角度で光を入射させたときに、60%以上の曇価を示す光散乱角度域が30°以上である光制御膜を3枚以上積層してなる光制御膜積層体であって、光制御膜のうち2枚は、光散乱角度域が法線方向に対して偏った向きにあり、光散乱角度域の方向が互いにほぼ平行で、光散乱角度域が法線方向を中心に互いに逆向きとなるように、かつ光散乱角度域の一部が互いに重なる状態で積層されており、さらに別の1枚は、光散乱角度域の中心が法線方向にほぼ一致しており、先の2枚の光制御膜に対して光散乱角度域の方向がほぼ平行になるように積層されていることを特徴とする光制御膜積層体が提供される。
この積層体において、光制御膜は、屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを含有する組成物に光を照射して硬化させたものであることができる。また、この積層体において、光散乱角度域が法線方向に対して偏った向きにある2枚の光制御膜は、光散乱角度域が互いに5°以上重なっているのが有効であり、また光散乱角度域が法線方向を中心に互いに対象になっているのも有効である。そして、この積層体は、プロジェクション用スクリーンに好適に適用される。
なお、本明細書で「ほぼ平行」とか「ほぼ一致」とかというときの「ほぼ」は、そこに記載の配置(平行又は一致)を中心に、±10°程度までは許容されることを意味する。
本発明の光制御膜積層体をプロジェクション用スクリーンに適用することにより、広い角度範囲にわたって明るく高画質の画像を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、曇価に角度依存性があり、30°以上の角度範囲にわたって60%以上の曇価を示す光制御膜、すなわち、光散乱角度域の広い光制御膜を3枚以上積層して、光制御膜積層体とする。ここでいう曇価とは、 JIS K 7105 に従い、積分球式光線透過率測定装置(例えば、スガ試験機株式会社製のヘーズメーター HGM-2DP型測定装置等)を用いて、光制御膜の全光線透過率及び拡散透過率を測定し、下式により求められる値である。
Figure 0004631366
また、光制御膜における曇価の角度依存性は、次のようにして測定される。すなわち、図2に示す如く、光制御膜の試験片8への入射光の角度θを0〜180°の間で変化させて、それぞれの角度毎に上記の曇価を測定し、60%以上の曇価を示す角度範囲を光散乱角度域とする。ここで、角度θは、試験片8の面と平行な方向を0°とし、試験片8の法線方向を90°とする値であり、試験片8の回転は、曇価の角度依存性が最大となる方向に行う。図中にあるAとBは、左の図(試験片8に垂直方向から光を入射する場合:θ=90°)と右の図(試験片8に斜め方向から光を入射する場合)とで、試験片8の対応する部分がわかるように付した符号である。
本発明では、このようにして求められる60%以上の曇価を示す光散乱角度域が30°以上にわたる光制御膜を用いる。好ましくは、この光散乱角度域が40°以上、とりわけ45°以上の光制御膜が用いられる。この光散乱角度域があまり大きくても、視野角は広がるが、正面輝度が低下するので、通常は100°以内である。
かかる光制御膜は、例えば、前記特許文献3〜9に記載されているように、屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを含有する組成物を膜状に形成し、そこに特定方向から光を照射して硬化させることにより、製造できる。光制御膜の製造に用いられる光重合可能なモノマー又はオリゴマーは、分子内に、アクリロイル基〔CH2=CHCO-〕、メタクリロイル基〔CH2=C(CH3)CO-〕、ビニル基〔CH2=CH- 〕、アリル基〔CH2=CHCH2-〕などの重合可能な基を少なくとも1個有する化合物である。
モノマーとしては例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチルアクリレート、アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルオキシエチルフタレート、トリブロモフェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレートや、これらの単官能性アクリレートに対応するメタクリレート、さらには、N−ビニルピロリドン、トリアリルイソシアヌレート、ジエチレングリコールジアリルカーボネート、ジアリリデンペンタエリスリトールなどが挙げられる。
また、オリゴマーとしては例えば、ポリエステルアクリレート、ポリオールポリアクリレート、変性ポリオールポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格のポリアクリレート、メラミンアクリレート、ヒダントイン骨格のポリアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能アクリレートや、これらのアクリレートに対応するメタクリレートなどが挙げられる。
これらの光重合可能なモノマー又はオリゴマーは、少なくとも2種類の混合物からなる組成物として用いられる。この際、屈折率に差があるものを選択する。屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを混合した組成物に所定方向から光を照射して硬化させることで、光を散乱する領域、すなわち光散乱角度域が形成される。この組成物は、それを構成する複数の化合物相互の溶解性とそれぞれの屈折率差によって、曇価の角度依存性を発現するものであり、相溶性があまり良くない組合せで屈折率差が大きく、かつ反応速度が異なる場合に、光の散乱する度合い、すなわち曇価が大きくなる。この屈折率差は、0.01以上、とりわけ0.04以上であるのが好ましい。
この組成物には通常、硬化性を向上させるために光重合開始剤が混合されて、光重合に供される。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
このような、屈折率に差がある少なくとも2種類のモノマー又はオリゴマーを含有する光硬化性樹脂組成物を基板上に塗布するか、又はセル中に封入して膜状とし、棒状光源より光を照射しながら徐々に硬化させることで、入射光を選択的な角度域で散乱し、他の角度域では透過する光制御膜が得られる。硬化に用いる光は、この組成物を硬化させるものであればどのような波長を有していてもよく、例えば、可視光、紫外線などがよく用いられる。紫外線は、水銀ランプやメタルハライドランプなどから発せられるが、棒状のランプを用いた場合には、その照射条件を調節することにより、生成した光硬化膜が光源の長軸と短軸方向に対して異方性を示し、光源の長軸方向を軸として回転させた場合にのみ、特定角度の光を散乱するようになる。
すなわち、生成した光硬化膜は、屈折率の異なる樹脂が相分離して、特定の方向に回折格子状の層構造を形成しており、特定の角度から入射した光は、Bragg の回折条件に準じた原理にて散乱するものと考えられる。散乱の度合い及び選択的に散乱する入射光の角度は、使用する組成物及び照射条件によって調節することができ、特に硬化時に、膜状組成物試料面に対する照射光の入射角度を変えることによって、硬化したシートに入射する光がシートから出射する際に散乱又は直進透過するシート膜面との角度域が制御できる。
光硬化の際、光の照射方向を中心に光散乱角度域が発現する。例えば、光硬化性樹脂組成物から形成された膜面にほぼ垂直に光を照射すれば、当該垂直方向、すなわち法線方向を中心に、光散乱角度域が発現するし、法線方向に対して所定角度傾いた斜め方向から光を照射すれば、その傾いた方向を中心に、光散乱角度域が発現する。
光硬化性樹脂組成物膜に対して垂直方向から光を照射する場合の例を、図3に基づいて説明する。図3の(A)は、光硬化性樹脂組成物膜に対して垂直方向から光を照射する場合に採用しうる装置の一例を模式的に示す側面図であり、同(B)は、その装置の斜視図である。この装置は、白抜き矢印方向に移動するコンベア10と、その上方に配置され、コンベアの幅方向にわたってスリット13が形成された遮光板12と、さらにその上方に所定距離隔てて配置された棒状の光源ランプ15とで構成されている。スリット13は、光源ランプ15の長さ方向と一致するように形成されている。そして、光硬化性樹脂組成物膜が形成された基板20をコンベア10上に載置し、一定速度で移動させながら、光源ランプ15からの光を遮光板12のスリット13を介して樹脂組成物膜に照射すれば、組成物膜には垂直方向の光が中心となってあたるので、垂直方向(法線方向)に屈折率の異なる相が交互に形成され、その方向を中心に光散乱角度域が発現することになる。スリット13の幅や棒状の光源ランプ15から光硬化性樹脂膜までの距離、光硬化性樹脂膜の厚さ、照射光量、照射光の波長などを制御することにより、曇価が大きくなる角度範囲、すなわち光散乱角度域の大小が制御できる。
次に、光硬化性樹脂組成物膜に対して斜め方向から光を照射する場合の例を、図4に基づいて説明する。図4の(A)は、光硬化性樹脂組成物膜に対して斜め方向から光を照射する場合に採用しうる装置の一例を模式的に示す側面図であり、同(B)は、その装置の斜視図である。この装置は、白抜き矢印方向に移動するコンベア10と、その上方で所定位置を覆う遮光板12と、さらにその上方に所定距離隔てて配置された棒状の光源ランプ15とで構成されている。この例における遮光板12は、その端部が光源ランプ15の直下からコンベア10の進行方向側へ少しはみ出している。そして、光硬化性樹脂組成物膜が形成された基板20をコンベア10上に載置し、一定速度で移動させながら、光源ランプ15からの光を遮光板12側に向けて照射すれば、所定の角度αをもった光が中心となって組成物膜にあたるので、この光の入射方向に屈折率の異なる相が交互に形成され、その方向を中心に光散乱角度域が発現することになる。光照射角度αを変化させることにより、光散乱角度域の中心値を変化させることができ、また、光源ランプ15から光硬化性樹脂膜までの距離や光硬化性樹脂膜の厚さ、照射光量、照射光の波長などを制御することにより、曇価が大きくなる角度範囲、すなわち光散乱角度域の大小が制御できる。
本発明においては、以上説明したような方法によって得られ、かつ60%以上の曇価を示す光散乱角度域が30°以上である光制御膜を3枚以上積層して、光制御膜積層体とする。ここで、光制御膜のうち2枚は、光散乱角度域が法線方向に対して偏った向きにあり、この2枚の光制御膜を、光散乱角度域の方向が互いにほぼ平行で、光散乱角度域が法線方向を中心に互いに逆向きとなるように積層して、積層状態での光散乱角度域が1枚のときよりも広がるようにする。こうすることで、得られる光制御膜積層体をプロジェクション用スクリーンに適用したときに、左右又は上下方向の良視認領域、すなわち視野角を広げることができる。また、この2枚の光制御膜は、光散乱角度域の一部が互いに重なる状態にあり、これにより、得られる光制御膜積層体をプロジェクション用スクリーンに適用したときに、スクリーン正面で明るい画像を得ることができる。
さらに、光制御膜の別の1枚は、光散乱角度域の中心が法線方向にほぼ一致しており、この光制御膜を、先の2枚の光制御膜に対して光散乱角度域の方向がほぼ平行になるように積層する。こうすることで、得られる光制御膜積層体をプロジェクション用スクリーンに適用したときに、スクリーン正面でより明るい画像を得ることができる。
光制御膜を積層する方法としては、別々に作製した光制御膜を、粘着剤等の媒体を介して接着してもよいし、媒体を介さずに重ねてもよい。また、作製した光制御膜そのものを基材として、その上に前記光硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させ、もう一層の光制御膜を形成することによっても、光制御膜を積層することができる。
前記3枚の光制御膜を積層して本発明の光制御膜積層体を得る例を、図5に基づいて説明する。この例では、第一の光制御膜21が、法線方向からやや右側に偏った向きに角度βの範囲で60%以上の曇価を示すものとする。一方、第二の光制御膜22は、法線方向からやや左側に偏った向きに角度βの範囲で60%以上の曇価を示すものとする。これらの角度βが光散乱角度域に相当する。そして、この光散乱角度域が延在する方向を、「光散乱角度域の方向」とする。第二の光制御膜22は、第一の光制御膜21の向きを逆にした状態(この図では左右を反転させた状態)に相当する。これら2枚の光制御膜21,22をこの向きのまま積層すれば、それぞれの光散乱角度域βよりも広い角度γの範囲で60%以上の曇価を示すものとなる。
また、第三の光制御膜23は、法線方向を中心に角度δの範囲で60%以上の曇価を示すものとする。すなわち、その光散乱角度域δの二等分線が法線方向にある。そして、先の2枚の光制御膜21,22からなる積層体に対し、さらにこの第三の光制御膜23を、光散乱角度域β及びγの方向が互いに平行になるように積層することで、本発明の光制御膜積層体が構成される。
このとき、第一の光制御膜21の光散乱角度域と第二の光制御膜22の光散乱角度域βとが、互いに5°以上の重なりを有していると、得られる光制御膜積層体をプロジェクション用スクリーンに適用したときに、スクリーン正面でさらに明るい画像を得ることができ、有利である。一方で、2枚の光散乱角度域が重なる角度をあまり大きくすると、視野角拡大効果を犠牲にすることになるので、重ねる前の光制御膜における光散乱角度域の広がり具合にもよるが、2枚重ねたときに光散乱角度域の重ならない領域が合計で40°以上、さらには50°以上存在するようにするのが好ましい。
また、第一の光制御膜21の光散乱角度域と第二の光制御膜22の光散乱角度域とが、法線方向を中心に互いに対称であると、得られる光制御膜積層体をプロジェクション用スクリーンに適用したときに、スクリーンの右側と左側又は上側と下側で視認特性が同一となり、有利である。
なお、図5では、第一の光制御膜21と第二の光制御膜22の上に、第三の光制御膜23を積層する場合を例に説明したが、それらの積層順序は任意であり、例えば、第一の光制御膜21と第二の光制御膜22の下に第三の光制御膜23を積層してもよいし、第一の光制御膜21と第二の光制御膜22の間に第三の光制御膜23を挿入してもよい。また、図5では、2枚の光制御膜21,22が同じ種類のもので、光散乱角度域も同じであることを前提に説明したが、異なる種類で光散乱角度域も異なるものを用いてもよい。
さらに、図5では、3枚の光制御膜を積層する場合を例に説明したが、4枚以上積層することも可能である。例えば、図5に示した如き、3枚の光制御膜21,22,23を積層した状態で、さらに第四の、又はそれより多くの光制御膜を積層する場合は、第四の、又はそれ以降の光制御膜は、その光散乱角度域の方向が、例えば、光制御膜21,22,23の光散乱角度域の方向とほぼ同じになるように積層してもよいし、ほぼ直交するように積層してもよい。この場合の積層順序も任意に選ぶことができる。また、第四の、又はそれ以降の光制御膜も、上記3枚の光制御膜21,22,23同様、60%以上の曇価を示す光散乱角度域が30°以上、とりわけ40°以上、さらには45°以上であるのが、一層好ましい。
以上のような多層積層構成とすることで、本発明の光制御膜積層体は、プロジェクション用スクリーンに適用したときに、画像表示ユニットから入射してくる光軸を、視認者側(つまりスクリーンに対して垂直な方向)へ曲げることができる最大入射角度を広くすることが可能となり、その結果として、視認者側ではスクリーン全体が一様に明るく見える領域、すなわち高感度領域が大幅に広がる効果をもたらす。
プロジェクション用スクリーンは、上記の光制御膜積層体を透明ガラスや透明プラスチック等の透明基材表面に被着させるか、あるいは複数の基材の間に介挿させた積層体として形成することができる。また、磨りガラスや、フィラー添加量が比較的少なく、光拡散性を低下させて全光線透過率を高めた光拡散板に、上記の光制御膜積層体を積層して用いることにより、光拡散性に優れ、かつ全光線透過率の高いプロジェクション用スクリーンとして用いることもできる。光制御膜を形成させる際に用いる基板を、そのまま、上記した透明又は光拡散性の基材とすることもできる。
光制御膜積層体は、光制御膜を複数枚積層した状態の平板で用いてもよいし、最外層をレンチキュラーレンズ形状にしてもよい。レンズ曲面を形成する方法としては、レンズ曲面を有する基材に上記の光制御膜積層体を積層する方法のほか、レンズ曲面を有する光制御膜を形成する方法がある。後者の方法を採用する場合、例えば、レンズ曲面を有する鋳型を使用して、そこに光硬化性樹脂組成物を塗布し、さらに光照射して、硬化物にレンズ曲面をもたせることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す部は、重量基準である。
参考例1
平均分子量約2,000 のポリプロピレングリコールとトルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応によって得たポリエーテルウレタンアクリレート(屈折率 1.481)50部に対して、トリブロモフェノキシエチルアクリレート(屈折率 1.567)50部及びベンジルジメチルケタール3部を添加した光硬化性樹脂組成物を、ガラス板上に約220μm の厚さで塗布した。その塗膜の上方120cmの位置に、80W/cmの棒状高圧水銀ランプを、その照射面に波長313nmの紫外線を選択的に透過する干渉フィルターを設置して固定し、塗膜全面に光が垂直にあたるようにスリットをつけた遮光板を介して、0.7m/分の速度で塗膜付きガラス板を横方向へ移動させつつ光照射し(図3参照)、光制御膜(1)を得た。60%以上の曇価を示す光散乱角度域は、67〜113°の範囲(46°幅の領域)であった。
参考例2
樹脂組成物塗膜への高圧水銀ランプの光が塗膜の法線方向から15°の角度で照射されるようにした以外は、参考例1と同様に操作して、光制御膜(2)を得た。60%以上の曇価を示す光散乱角度域は、80〜130°の範囲(50°幅の領域)であった。
参考例3
参考例2で作製した光制御膜(2)を2枚用い、1枚はガラス板に付いたままとし、その光制御膜側(ガラス板と反対側)に別の1枚をガラス板から剥がした状態で、光散乱角度域が法線方向を中心に互いに逆向きとなるように積層して、二層構成の光制御膜積層体(3)を得た。
実施例1
参考例3で作製した二層構成の光制御膜積層体(3)の上に、参考例1で作製した光制御膜(1)を、ガラス板から剥がした状態で、光散乱角度域が同じ方向となるよう積層し、三層構成の光制御膜積層体(4)を得た。この光制御膜積層体(4)がガラス板に付いた状態のものを、そのままスクリーンとした。この際、その光散乱角度域の方向が横(水平)方向となるように配置した。
比較例1
参考例2で作製した光制御膜(2)を、ガラス板上に形成された状態で、その光散乱角度域の方向が横(水平)方向となるようにして、スクリーンとした。
比較例2
参考例3で作製した二層構成の光制御膜積層体(3)を、ガラス板上に形成された状態で、その光散乱角度域の方向が横(水平)方向となるようにして、スクリーンとした。
評価法及び評価結果
上記実施例1並びに比較例1〜2のスクリーンにつき、ゴニオフォトメータ〔(株)村上色彩技術研究所製のGP−230型)を用いて、スクリーンへの入射角度が40〜140°、スクリーンからの出射角度が30〜150°の範囲の光散乱強度を測定した。次に、幅1mのスクリーンの中央50cm後方(裏側)に設置されたプロジェクターから映像が投射され、かつスクリーンの1m前方(表側)で中央から右に0m、0.2m、0.4m及び1.0m離れた各点に観察者がいることを想定して、上記測定結果に基づいて、スクリーン上の水平方向の各点から観察者に向けて出射される光の強度を計算した。横軸にスクリーン上の水平方向の各点を取り、縦軸にその点から観察者に向けて出射される光の強度を取ってプロットし、グラフを図6に示した。また、このグラフの形状から、画像の均一性を以下の基準で評価し、表1に示した。
〈画像の均一性の判定基準〉
○:良好。
△:不均一だが、画像の識別は可能。
×:かなり不均一であり、画像が識別しにくい。
Figure 0004631366
図6に示されるように、実施例4のスクリーンは、各グラフのプロットが比較的平坦で、かつグラフ同士の形状が似ている、すなわち、観察者が様々な点にいるときでも画面の明るさが均一に近い。一方、比較例1や比較例2のスクリーンは、各グラフのプロットの凹凸が大きく、かつグラフ同士の形状が似ていない、すなわち画面の均一性が低いうえに観察位置によって画像の見え方がかなり異なっている。
プロジェクションディスプレイの例を概略的に示す縦断面図である。 曇価の角度依存性の測定方法を説明するための図である。 光硬化性樹脂組成物塗膜に対して垂直方向から光を照射する場合の装置の例を示す側面図(A)と斜視図(B)である。 光硬化性樹脂組成物塗膜に対して斜め方向から光を照射する場合の装置の例を示す側面図(A)と斜視図(B)である。 光制御膜3枚を積層して本発明の光制御膜積層体を得る場合の例を模式的に説明する縦断面図である。 実施例1並びに比較例1及び2の評価に用いた、横軸にスクリーン上の水平方向の各点を取り、縦軸にその点から観察者に向けて出射される光の強度を取ってプロットしたグラフである。
符号の説明
1……プロジェクションディスプレイ、
3……光源ユニット、
4……画像表示ユニット、
5……投射レンズ、
6……ミラー、
7……スクリーン、
8……曇価を測定する試験片、
10……コンベア、
12……遮光板、
13……遮光板に設けられたスリット、
15……棒状の光源ランプ、
20……光硬化性樹脂組成物膜が形成された基板、
21,22,23……光制御膜。

Claims (4)

  1. 曇価に角度依存性があり、その表面に対して0〜180°の角度で光を入射させたときに、60%以上の曇価を示す光散乱角度域が30°以上である光制御膜を3枚以上積層してなる光制御膜積層体からなるプロジェクション用スクリーンであって、
    光制御膜のうち2枚は、光散乱角度域が法線方向に対して偏った向きにあり、光散乱角度域の方向が互いにほぼ平行で、光散乱角度域が法線方向を中心に互いに逆向きとなるように、かつ光散乱角度域の一部が互いに重なる状態で積層されており、
    さらに別の1枚は、光散乱角度域の中心が法線方向にほぼ一致しており、先の2枚の光制御膜に対して光散乱角度域の方向がほぼ平行になるように積層されていることを特徴とする光制御膜積層体からなるプロジェクション用スクリーン
  2. 光制御膜は、屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能なモノマー又はオリゴマーを含有する組成物に光を照射して硬化させたものである請求項1に記載の光制御膜積層体からなるプロジェクション用スクリーン
  3. 光散乱角度域が法線方向に対して偏った向きにある前記2枚の光制御膜は、光散乱角度域が互いに5°以上の重なりを有する請求項1又は2に記載の光制御膜積層体からなるプロジェクション用スクリーン
  4. 光散乱角度域が法線方向に対して偏った向きにある前記2枚の光制御膜は、光散乱角度域が法線方向を中心に互いに対称である請求項1〜3のいずれかに記載の光制御膜積層体からなるプロジェクション用スクリーン
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