JP4632201B2 - 油吸着材及びその製造方法 - Google Patents
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特許文献1には、素材として長さ76mm以下のポリプロピレン繊維のみを使用し、カード又はランダムの製綿機により繊維密度が0.05〜0.1g/cm3になるように作製したフェルトからなる油吸着材が記載されている。
特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂からなる基材、スターチ類からなる接合及び潤滑材料、活性炭とからなる出発材料を押し出し成型可能な状態に混合し、これらの材料を所定の形状に押し出し、蒸気発泡体よりなる押し出し成型体を形成し、その後、当該押し出し成型体を加熱処理することにより内部に油を吸収保持するための撥水性の特殊立体構造を形成させるようにした油吸着素材の製造方法が記載されている。
特許文献3には、植物性繊維からなる原料を粉砕して粉末化した吸油性粒子を用い、その表面の一部分を水溶性パラフィンワックスで被覆した油吸着材が記載されている。
特許文献1のポリプロピレン系樹脂のみを用いた油吸着材では、原料面やその特性管理面でコスト高になる上、高粘性油などの特定の油に対してはその吸着材重量当たりの吸油量を大きくできない場合があるという課題があった。
特許文献2の撥水性立体構造を押し出し成形により形成させた油吸着素材では、その製造工程が複雑でしかも油吸着材の形態が押し出し成形の型枠に限定されるので汎用性に欠けるという課題があった。
特許文献3の植物性繊維を用いた油吸着材では、植物性繊維を含む原料の種類によっては、その成分や性状にばらつきがあるため、油に対する吸着特性のコントロールが困難で品質維持性に欠ける場合があるという課題があった。
紙質材を粉砕調整して所定サイズの植物繊維Xを得る粉砕調整工程と、
前記植物繊維Xの表面にパラフィンワックスからなる撥水層を形成させる撥水処理工程と、
前記撥水層が形成された前記植物繊維XをポリエステルファイバーYを、
質量混合比率(X/Y)0.5〜0.8の範囲で混合して所定混合比率の繊維組成物を得る分散混合工程と、
前記繊維組成物を分散させて充填型枠の底部に沈降堆積させた繊維積層物を加熱及びプレス成形して油吸着材に形成させる加熱プレス工程と、
を有することを特徴とする。
撥水剤は、廃油が浮遊する水面などに油吸着材を投げ入れたときに、それ自体の浮力を維持するために植物繊維Xにコーティングされるものであって、一般にパラフィンワックス、石油樹脂、アスファルト、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が適用できる。中でもパラフィンワックス、特にアニオン系のパラフィンワックスはその撥水性と価格面から望ましい。パラフィンワックスを水中でエマルジョン化させるに際しては、所定の界面活性剤を添加するとよい。なお、界面活性剤を多量に使用すると、界面活性剤が系中に残存することとなって撥水効果に対して逆に作用し、予期した効果をあげることができない。そこで撥水剤と併用する界面活性剤として、加熱処理によって容易に分解する界面活性剤を用いてこの欠点を補うことも可能であるが、これを解消する撥水性組成物として、例えば酸化パラフィン、スチレン―無水マレイン酸共重合体のモノエステル、スチレン―無水マレイン酸共重合体の部分エステルのアルカリ塩、或いはオレフィンの飽和脂肪酸付加物などを併用することもできる。
なお、以下に示す実施例では、パラフィンワックス30gに対して水80gを加えてエマルジョン化して、このエマルジョン状態のパラフィンワックスに植物繊維Xを400gの割合となるように混合した。
なお、植物繊維Xは、その表面の一部又は全部を撥水剤でコーティングすること00によって油吸着材として使用できるが、油の処理量を増大させ、或いは処理を簡易にするために、他の物質、たとえば、油ゲル化剤、木炭粉、竹炭粉、粘土鉱物やその化学処理物、洗浄剤等の添加物と混合して使用することもできる。
使用済みの紙管や古紙などの紙質材を、シュレッダーを用いて綿状に粉砕して、これを篩により分級調整して所定サイズ、例えばその平均繊維長が例えば3〜10mmの植物繊維Xからなる綿状原料に調整する。
前記植物繊維Xからなる綿状原料を、パラフィンワックスのエマルジョンを保持したスクリュー式などの攪拌槽10内で、温度15〜20℃、時間2〜3分間攪拌分散させて、貯留槽10aに貯留させる。この処理物を、スプレードライヤなどを用いて高温乾燥空気と接触させたり(移動式)、ロータリキルン11中(ロータリーキルン式)で発生させた熱風を乾燥機12に吹き込んだりすることで乾燥させる。これによって、その表面にパラフィンワックスからなる所定厚み、例えば厚みが300〜500μmであり、植物繊維Xに対する添加率が5〜10質量%となる撥水層を、植物繊維Xの部分または全体を覆うように形成させる。
なお、前記パラフィンワックスとしては、その融点が71℃、密度0.97g/cm3、不揮発分40%、pH10.1(25℃)、固形バラフィン含有率30〜40%のアニオン系パラフィンワックスが好ましく挙げられる。
前記撥水層が形成された綿状の植物性繊維を、真空ポンプや送風機、コンベアなどの輸送手段13を介して搬送して、エアー攪拌機などの攪拌気流中や、ローラや攪拌羽根を攪拌槽内で回転させて混合するスクリュー攪拌式などの攪拌機15中で、ポリエステルファイバーYと混合することによって、その質量混合比率(X/Y)が0.5〜0.8となるようにそれぞれの繊維を配合して繊維組成物を得る。
次に、繊維組成物は、輸送手段13を介して原料投入機14の上部に供給されて上部から投入されると、箱状又は円筒状に形成された充填型枠16の上部開口に降下させられる。なお、このとき原料投入機14内において、自然落下若しくは下部から圧縮空気などを用いて、繊維組成物を分散させて均一に充填型枠16の底部に沈降堆積させる。
繊維組成物は、自然落下若しくは下部からの圧縮空気によって分散させられることによって、1〜2mmの高さの原料投入機14内を降下する過程で均一に分散するとともに、充填型枠16内に堆積して繊維積層物となる時には、植物繊維X及びポリエステルファイバーYの長手方向が横に寝かされた(水平方向)状態となる。この繊維積層物を、充填型枠16の下部に設けた回転型枠17を水平方向に回転移動させることにより、原料投入機14の下部から取り出す。
そして、プレス機18を用いて、その加熱された上型を下降させて繊維積層物を圧縮成形して、ボード状などの油吸着材19とする。さらに、ボード状油吸着材19の表面に合成樹脂接着剤、例えば、コニシ株式会社製ボンドスプレーのりZ−2やGS1Zなどによるコーティングをして、表面粉化防止のための紙粉対策を施すことも好ましい。上記加熱によりポリエステルファイバーYが軟化若しくは溶融して植物繊維Xの周りに結合材としての役割を果たし繊維積層物として結合させることができる。
なお、上記プレス機の上型の加熱は省力できる場合もある。例えば、充填型枠16に近接して電子レンジなどの加熱手段を設けることにより、繊維積層物を直接加熱することもできる。この場合、プレス成形用の上型を省略して、ガラス板、陶器板などを重しとして加重をかけながら繊維積層物を圧縮成形及び結合させることもできる。
この植物繊維XとポリエステルファイバーYとの混合比率を特定範囲としているので、その吸着する油の保持性と品質安定性に優れている。
また、この油吸着材の製造方法によれば、使用済みなどの安価な紙質原料を用いてバルク状やボード状などの多様な形態のものを効率的に製造でき、しかも、その原料がばらついても植物性繊維とポリエステルファイバーYとの混合比率を調整して柔軟に対応することができ、品質管理性や生産管理に優れた性質を有している。
以下、本実施例の形態で作成された油吸着材について、その油吸着特性を比較例1、比較例2のものと比較した実験結果について説明する。
図2は、吸着材についての油保持率を評価するための試験方法の説明図である。ここで比較例1としては米国NSI(ナショナル・ソーベンツ)社製商標名MAXXセレクトSAIR200Bを、比較例2としては三井化学(株)製商標名タフネルオイルブロッターを用いて試験片を作成して、本発明の実施例のものと比較した。
油保持率の評価方法は、まず、実施例、比較例1、比較例2のものをそれぞれ10cm平方の四角形状に裁断して各サンプルの試験片を作成して、その厚さ及び重さ(質量)Aを測定する。
この各試験片を、灯油や軽油、重油などの油中にそれぞれ5分間浸漬させて油を吸着させた後、その質量Bをそれぞれ測定する。
つぎに、図2に示すように、四角形状の試験片サンプルの四隅の一つを掴んで、菱形にして吊るした状態で5分間保持して、試験片に吸着した油を滴下させた後、この試験片の質量Cを測定する。
こうして、それぞれの油保持率Hを、H=(質量C−質量A)/(質量B−質量A)として算出した。
図4は実施例、比較例1、比較例2における油吸着力の試験結果をまとめて示したグラフである。図4に示されるように、実施例の油吸着材は、浸漬初期の段階において、比較例1及び比較例2の約2倍の油吸着力を示し、優れた油吸着性を示すので油吸着効率がよいことが分かる。
10a 貯留槽
11 ロータリキルン
12 乾燥機
13 輸送手段(真空ポンプ)
15 攪拌機
16 充填型枠
17 回転型枠
18 プレス機
19 油吸着材
Claims (3)
- 撥水剤によりその一部又は全部がコーティングされた植物繊維Xと、
前記植物繊維X間に分散接着するポリエステルファイバーYとからなる交絡組織を有してその全体がボード状やバルク状に形成され、
前記植物繊維Xと前記ファイバーYとの質量混合比率(X/Y)が0.5〜0.8の範囲であることを特徴とする油吸着材。 - 前記撥水剤が融点65〜75℃のアニオン系パラフィンワックスであって、
前記植物繊維Xに対する構成比率が5〜10質量%であることを特徴とする請求項1記載の油吸着材。 - 紙質材を粉砕調整して所定サイズの植物繊維Xを得る粉砕調整工程と、
前記植物繊維Xの表面にパラフィンワックスからなる撥水層を形成させる撥水処理工程と、
前記撥水層が形成された前記植物繊維XをポリエステルファイバーYを、
質量混合比率(X/Y)0.5〜0.8の範囲で混合して所定混合比率の繊維組成物を得る分散混合工程と、
前記繊維組成物を分散させて充填型枠の底部に沈降堆積させた繊維積層物を加熱及びプレス成形して油吸着材に形成させる加熱プレス工程と、
を有することを特徴とする油吸着材の製造方法。
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