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JP4633281B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、視野絞り用の視野マスクを備えた内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置の行える医療用の内視鏡が広く利用されている。また、工業分野においても、ボイラ,タービン,エンジン,化学プラントなどの内部の傷や腐蝕などを観察したり検査することのできる工業用内視鏡が広く利用されている。
【0003】
また、内視鏡には対物光学系で結像された光学像を、イメージガイドによって接眼部まで伝達し、この接眼部に設けられた接眼光学系後方に観察者の眼を近接させることによって観察を行えるものがある。この接眼光学系には前記イメージガイドによって伝達された光学像を拡大観察するための接眼レンズ系と、視野範囲を設定するとともに視野方向を表示する指標を設けた視野絞り等とで構成されていた。この視野絞りはイメージガイドの最終伝達面近傍に配設されている。
【0004】
また、例えば実公平2−28491号公報には、接眼レンズ後方から観察される視野内に方向等を表示する突出する指標を備えた内視鏡において、この指標の機能を向上させるようにした内視鏡の視野絞り装置が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記実公平2−28491号公報の内視鏡の視野絞り装置のように中空視野部を形成した視野マスクを配置する場合、視野マスクの肉厚を30μm以下に形成することが困難である。このため、接眼部側から対物光学系で結像された光学像が伝達されたイメージガイド最終伝達面までの距離と、接眼部側から視野範囲の境界を形成する視野マスク端面までの距離とが異なる。このため、最終伝達面の観察光学像にピントを合わせた場合に、視野マスクの境界形成部に対する焦点距離が合致しなくなって、視野マスクの境界部がボケるという不具合が発生する。また、視野マスクを薄く形成すると、物理的な強度が低下するという問題があった。
【0006】
また、視野マスクをリン青銅で形成する場合、この視野マスクの中空視野部を形成する際、中空視野部内側面のある一面と、他の中空視野部内側面との稜線部に丸みを帯びるという特徴を有している。このため、視野マスクに形成する指標も丸みを帯びた形状になってしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、境界部のボケを解消した、物理的な強度が高く、指標に丸みの無い視野マスクを提供することを目的にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の内視鏡は、内視鏡挿入部の先端部に配置され、光学像を結像させる対物光学系と、この対物光学系で結像された光学像を内視鏡挿入部の基端部へ伝達するイメージガイドと、前記内視鏡挿入部の基端部に配置され、前記イメージガイドによって伝達された光学像を拡大する接眼光学系と、前記イメージガイドの接眼光学系側端面に設けられ、前記光学像の観察範囲を規制する中空視野部を有する視野マスクとを具備する内視鏡において、
前記視野マスクを、肉厚を1μmから30μmの範囲内に設定可能であり、前記イメージガイド側に配置される中空視野部を形成した薄肉部材と、この薄肉部材に一体で前記中空視野部よりも大きな透孔を有し、前記薄肉部材よりも厚肉な厚肉部材とを有して構成されている。
【0009】
この構成によれば、薄肉部材としてSOIウェハや有機被膜(ポリイミド)を用いることにより、視野マスクの肉厚が30μm以下にして、視野マスクとイメージガイドの光学像が伝達される最終伝達面との距離の差が極小になってピントのズレが減少する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は本発明の第1実施形態にかかり、図1は内視鏡の概略構成を説明する図、図2は視野マスクを説明する図である。なお、図2(a)は視野マスクの正面図、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図である。
【0011】
図1に示すように本実施形態の内視鏡1は、例えば体腔内に挿入される内視鏡挿入部(以下、挿入部と略記する)2と、この挿入部2の先端側に配設される対物光学系を構成する対物レンズ3aを配置した先端構成部3と、前記挿入部2の基端側に設けられた接眼光学系を構成する接眼レンズ4と後述する中空視野部を形成した視野マスク5とを配置した接眼部6とで主に構成されている。
【0012】
前記挿入部2には光学繊維束で構成されたイメージガイド7が挿通配置されている。このイメージガイド7の一端面は、前記対物レンズ3aに対向して配置され、他端面である光学像最終伝達面には視野マスク5が配置され、前記接眼レンズ4に対向している。この視野マスク5は、Silicon On Insulator Wafer(以下、SOIウェハと略記する)を用いたものであり、耐熱性及び耐湿性に優れるとともに、例えばリン青銅で形成した視野マスクに比べ高硬度である。
【0013】
図2(a)、(b)に示すように前記視野マスク5は、前記イメージガイド7の光学像最終伝達面側から順に、薄肉部材であるシリコンから成るSOIウェハである活性層11と、シリコンの酸化物から成る接合層12と、厚肉部材であるシリコンから成る基板13との3層で構成されている。
【0014】
つまり、前記視野マスク5は、前記活性層11の一面に設けた前記接合層12になるシリコンの酸化膜と、前記基板13の一面に設けた前記接合層12となるシリコンの酸化膜とを合わせた状態で、高熱中で機械的に接合して形成したものである。
【0015】
前記活性層11の肉厚は、1μmから30μmの範囲内である。この活性層11の中央部には境界部となる中空視野部11aが形成されている。この中空視野部11aには前記対物光学系で結像された光学像に対する表裏及び位置関係を判別するための楔状の突起として構成された指標11bが突設している。この指標11bを設けることによって、前記中空視野部11aが上下左右非対称になって光学像に対する位置関係を明確にしている。
【0016】
なお、前記中空視野部11a及び前記指標11bは、高密度プラズマInductive Coupled Plasma Etching(以下、ICPEと略記する)やReactive lon Etching(以下RIEと略記する)による直線的なエッチングで形成しているので、縁部に丸みが生じず、特に、リン青銅のように中空視野部内側面のある一面と他の中空視野部内側面との稜線部が丸みを帯びることがない。また、本実施形態では活性層11の肉厚を10μm程度にしている。
【0017】
一方、前記基板13の肉厚は、前記活性層11の肉厚より厚肉である。この基板13の中央部には前記中空視野部11aの外形より大きな窓部13aが形成してある。また、基板表面には表裏及び取付け方向を判別するための凹状の補助指標13bが形成してある。
【0018】
このことにより、イメージガイド7の光学像最終伝達面までの距離と、視野マスク5の境界部を形成する活性層11の接眼レンズ側面までの距離との差が極僅かになっている。
【0019】
このように、視野マスクにSOIウェハを用いた活性層の肉厚が、リン青銅を用いた視野マスクの肉厚に比べて薄いので、イメージガイドの光学像最終伝達面までの距離と、活性層の接眼レンズ側面までの距離との差が極小であるため、イメージガイドの光学像最終伝達面の光学像にピントを合わせたとき、視野マスクの中空視野部内を形成する境界部におけるピントのズレが減少して視野マスクのボケを無くすことができる。
【0020】
また、SOIウェハを用いた視野マスクでは、活性層の中空視野部がICPEにて形成されているので、指標のエッジが丸みを帯びること無く、明瞭にすることができる。
【0021】
さらに、SOIウェハを用いた視野マスクは、耐熱性、耐湿性に優れているので熱による変形や湿気による錆の発生を確実に防止することができるとともに、リン青銅を用いた視野マスクに比べて硬度が高いため、視野マスク装着作業時にピンセットで視野マスクを把持した際、視野マスクが屈曲することなく、視野マスクの装着作業を容易に行うことができる。なお、本実施形態では、活性層よりも厚肉に形成した基板を活性層に一体で視野マスクを形成したことによって、物理的強度をさらに向上させて、視野マスクの装着作業性をさらに向上させることができる。
【0022】
又、視野マスクに設けた補助指標の位置を視認することによって、指標を顕微鏡下で観察すること無く視野マスクの表裏及び取付け方向を判別することができる。このことにより、視野マスクの装着作業性をさらに向上させられる。
【0023】
なお、本実施形態の視野マスク5では活性層11と基板13とを接合層12とで一体にした構成にしているが、視野マスク5を薄肉な活性層11だけで構成してもよい。但し、この場合には、基板13を一体にした視野マスクに比べて物理的な強度が劣るので、視野マスクを装着する作業時の取扱に注意が必要となる。
図3は本発明の第2実施形態にかかる視野マスクの他の構成を説明する図である。
図3(a)はシリコンからなる基板の表面にポリイミドを成膜した視野マスクの正面図、図3(b)は図3(a)のB−B線断面図である。
【0024】
本実施形態においては図3(a)、(b)に示すように視野マスク5Aを、厚肉部材であるシリコンから成る基板21の一面側に、例えば薄肉部材として有機被膜であるポリイミドの薄膜層22を成膜して構成している。
【0025】
この薄膜層22の厚みは1μmから30μmの範囲内であり、5μm程度が望ましい。この薄膜層22を形成するポリイミドは、成膜後に収縮しつつ硬化し、完全に硬化した状態で基板21に対する応力が安定して、基板21の物理的耐性を向上させる。つまり、ポリイミドから成る薄膜層22に、シリコンから成る基板21を設けたことによって、視野マスク5Aの物理的耐性がポリイミド単体で構成した場合の視野マスクの物理的耐性より大幅に向上する。
【0026】
なお、前記基板21は、前記第1実施形態の基板13と同構造であり、窓21a及び補助指標21bを有する。また、薄膜層22も前記第1実施形態における活性層11と略同様に中空視野部22aを有し、この中空視野部22aは対物光学系で結像された光学像の表裏及び位置関係を判別するための楔状の突起から成る指標22bを有している。そして、本実施形態では前記指標22bを備えた中空視野部22aをRIEにより形成しているので縁部に丸みが無い。その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
【0027】
このように、ポリイミド薄膜層を基板に設けて形成した視野マスクは、薄膜層の肉厚がリン青銅を用いた視野マスクの肉厚に比べて極薄であるので、前記第1実施形態と同様にイメージガイドの光学像最終伝達面の光学像にピントを合わせたとき、視野マスクのボケを無くすことができる。
【0028】
また、ポリイミドを用いた視野マスクは、薄膜層における中空視野部をRIEで形成したので、リン青銅のようにある一面と他面との稜線部に丸みを帯びることが無いため、指標のエッジが丸みを帯びること無く、明瞭にすることができる。
【0029】
さらに、ポリイミドを用いた視野マスクは、視野範囲を規制する箇所にポリイミドを用いているため、加工費用が安価である。
【0030】
又、ポリイミドは成膜後に収縮しつつ硬化するため、完全に硬化した状態でと基板に対する応力が安定し、基板の物理的耐性を向上させることができ、加えてポリイミドはプラスチックであるので、薄膜層が割れにくい。これらのことにより、視野マスク装着時の作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、シリコンから成る基板にポリイミドを成膜することにより、視野マスクの物理的耐性をポリイミド単体で構成される視野マスクの物理的耐性より向上させて、視野マスク装着時の作業が容易に行える。
【0032】
なお、上述した実施形態において厚肉部材はシリコン基板に限定されるものではなく、サファイアガラス等の透明光学部材を用いるようにしてもよい。このことにより、厚肉部材に窓部を設ける必要がなくなる。
【0033】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0034】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0035】
(1)内視鏡挿入部の先端部に配置され、光学像を結像させる対物光学系と、この対物光学系で結像された光学像を内視鏡挿入部の基端部へ伝達するイメージガイドと、前記内視鏡挿入部の基端部に配置され、前記イメージガイドによって伝達された光学像を拡大する接眼光学系と、前記イメージガイドの接眼光学系側端面に設けられ、前記光学像の観察範囲を規制する中空視野部を有する視野マスクとを具備する内視鏡において、
前記視野マスクを、肉厚を1μmから30μmの範囲内に設定可能な薄肉部材で形成した内視鏡。
【0036】
(2)前記視野マスクを、前記イメージガイド側に配置される中空視野部を形成した薄肉部材と、この薄肉部材に一体で前記中空視野部よりも大きな透孔を有し、前記薄肉部材よりも厚肉な厚肉部材とで構成したことを特徴とする内視鏡。
【0037】
(3)前記薄肉部材は、シリコンである付記1又は付記2記載の内視鏡。
【0038】
(4)前記薄肉部材は、ポリイミドである付記1又は付記2記載の内視鏡。
【0039】
(5)前記薄肉部材は、有機被膜である付記2記載の内視鏡。
【0040】
(6)前記視野マスクは、シリコンから成る基板と、この基板の一面に設けられるシリコンの酸化物から成る接合層と、この接合層の他面に設けられた活性層とを有する付記2記載の内視鏡。
【0041】
(7)前記活性層はSOIウェハである付記6記載の内視鏡。
【0042】
(8)前記視野マスクは、シリコンから成る基板にポリイミドから成る薄膜層を形成して構成構成される付記2記載の内視鏡。
【0043】
(9)前記薄肉部材の中空視野部をドライエッチングにより成形した付記1又は付記2記載の内視鏡
(10)前記薄肉部材の中空視野部をInductive Coupled Plasma Etchingで形成した付記1又は付記2記載の内視鏡。
【0044】
(11)前記薄肉部材の中空視野部を、Reactive lon Etchingで形成した付記1又は付記2記載の内視鏡。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、境界部のボケを解消した、物理的な強度が高く、指標に丸みの無い視野マスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1及び図2は本発明の第1実施形態にかかり、図1は内視鏡の概略構成を説明する図
【図2】視野マスクを説明する図
【図3】本発明の第2実施形態にかかる視野マスクの他の構成を説明する図
【符号の説明】
1…内視鏡
5…視野マスク
6…接眼部
11…活性層
11a…中空視野部
11b…指標
12…接合層
13…基板
13a…窓部

Claims (4)

  1. 内視鏡挿入部の先端部に配置され、光学像を結像させる対物光学系と、この対物光学系で結像された光学像を内視鏡挿入部の基端部へ伝達するイメージガイドと、前記内視鏡挿入部の基端部に配置され、前記イメージガイドによって伝達された光学像を拡大する接眼光学系と、前記イメージガイドの接眼光学系側端面に設けられ、前記光学像の観察範囲を規制する中空視野部を有する視野マスクとを具備する内視鏡において、
    前記視野マスクを、肉厚を1μmから30μmの範囲内に設定可能であり、前記イメージガイド側に配置される中空視野部を形成した薄肉部材と、この薄肉部材に一体で前記中空視野部よりも大きな透孔を有し、前記薄肉部材よりも厚肉な厚肉部材とを有して構成したことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記厚肉部材はシリコンから成る基板であり、さらに、この基板の一面に設けられるシリコンの酸化物から成る接合層を有し、かつ前記薄肉部材は、この接合層の他面に設けられた活性層であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  3. 前記薄肉部材は、シリコン又はポリイミドであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内視鏡。
  4. 前記活性層はSOIウェハである請求項2に記載の内視鏡。
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