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JP4634589B2 - 食品又は医薬品易服用化剤 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水又は液状物質を添加し混合するだけで、加熱及び冷却処理を必要とせず、速やかにゲル状またはペースト状になり、嚥下機能の低い人でも食品や医薬品を容易に服用することが可能となる易服用化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療現場からは、有効性、安定性、品質は勿論、より患者に対する負担の少ない薬剤の提供が求められるようになり、特に高齢化社会に向けての問題点として、食物摂取機能障害(義歯装着、咀嚼力の低下、嚥下障害等)により経口服用薬剤が服用できない或いは食事が摂取できない患者が増加している。
【0003】
このような医療現場からの要望に対応して、水なしで服用できる錠剤(口腔内速崩錠)、ドライシロップ剤、ゼリー剤、グミ製剤、シート状製剤等が開発され、その一部が発売されている。
【0004】
また、食物摂取が困難な患者のために、寒天やゼラチンを用いて食物をゼリー化させる素材が既に発売されている。
【0005】
従って、医療現場においては服用し難い医薬品製剤を小児や老人に投与する為に、粉砕した錠剤や、細粒剤等を清涼飲料水、牛乳、ヨーグルト等嗜好品と混合して液状或いはペースト状にして与える等工夫がなされている。
【0006】
また医療現場外では、介護を要する寝たきりの患者に、通常の錠剤、細粒剤等を上記手投で服用させるためには、介護人にかなりの手間が必要になるばかりか医薬品に関する専門的知識が要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、乳幼児、嚥下機能の低下した高齢者、寝たきりの患者は勿論のこと通常の患者でも固形製剤や液剤が飲めないという人に、食品又は医薬品を経口的に服用させる際、本易服用化剤と混合し、或いは薬剤を予め含んだ易服用化剤はそのまま、適量の液体を加えることにより速やかにゲル化或いはペースト状になり、容易に嚥下可能となる易服用化剤を提供するものである。上記のような患者の中には液体でさえも服用できなくなる人もおり、このような場合、ゼリー状のものが良いと言われている。従来の技術で述べた服用性の改善を目的として既に開発されている医薬品の数は非常に少なく、依然として服用性の改善を要する医薬品が大多数である。本易服用化剤は服用性改善を目的とした医薬品開発に利用されるばかりでなく、種々の既存医薬品又は服用性改善を必要とする既存医薬品と混合しその服用性を改善しうるものである。また、寒天や通常のゼラチンを用いたものは加熱や冷却を必要とするが、本易服用化剤はその必要がないことから介護者の手間を軽減できる。更に本易服用化剤が粉末又は粒状物質であることから、ゼリー剤のような特別な容器は必要なく携帯に便利である。以上のように本易服用化剤は幅広い医薬品や食材に利用でき、患者に対する服用時の負担は勿論、介護者の負担をも軽減し、生活の質の向上を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手投】
本発明者らは、これら問題点を解決すべく、本易服用化剤が医薬品と配合されるケースを想定し、特に散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、錠剤の粉砕品等の服用性改善を目的として、医薬品と混合した後、少量の水の添加で容易にゲル化或いはペースト化し、食品ゼリーと遜色のない服用性を持つ易服用化剤の検討を行った。その結果、室温では固体であるが水の添加でゲル化する物質(ゲル化剤)の1種或いは2種以上に、糖アルコール類を混合することにより、瞬時にゲル化する易服用化剤を調製するに至った。
【0009】
本発明の易服用化剤に使用可能なゲル化剤としては、多糖類、ペプチド類、ゴム、天然樹脂等の天然高分子とその関連誘導体又は合成高分子を用いることができ、特にアルギン酸又はその塩(例えばナトリウム塩)、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、グァーガム、ペクチン、トラガント、ゼラチン、水溶性ゼラチン、寒天、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸プロピレングリコールエーテル、グルコノーδ−ラクトン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、デキストラン、ポリビニルアルコール部分けん化物、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルピロリドン等が使用できる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、水溶性ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマーが好ましい。
【0010】
本発明の易服用化剤には、上記成分以外にさらに1種或いは2種以上の、甘味剤、矯味剤、香料、色素、苦味マスキング剤、製剤原料、食品素材、医薬品等を加えることができる。
【0011】
本発明において、ゲル化剤である水溶性ゼラチンのゲル化を促進するためには、水添加時の水溶性ゼラチンのママコの発生を抑制する必要があり、水溶性ゼラチン1重量部に対して糖アルコール1重量部以上を配合することが望ましい。更にゲル化促進を充分に発揮させるためには水溶性ゼラチン1重量部に対して糖アルコール3重量部以上を配合することが好ましい。
【0012】
本発明で用いられる糖アルコールとしては溶解熱(吸収熱量)が−20KJ/kg以下のものであれば特に制限はなく、−100KJ/kg以下であればより好ましい。例としては、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトールなどが挙げられる。水溶性ゼラチンのゲル化促進を充分に発揮させるためには、溶解時の吸収熱量の大きいエリスリトールを用いることが望ましい。これらの糖アルコールは、単独で用いるのみでなく、2種以上を組み合わせることもできる。なお、これら糖アルコール類は水に極めて溶けやすく、甘味があり服用性改善にもつながる。
【0013】
更に、本発明において、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマーのいずれか又は両方を添加することにより溶解熱が−20KJ/kg以下好ましくは−100KJ/kg以下の糖アルコールによる水溶性ゼラチンのゲル化促進を更に向上することができる。
【0014】
これらゲル化剤と糖アルコールを用いた易服用化剤は、少量の水の添加で速やかにゲル化し、食品又は嗜好品のゼリー菓子と遜色のない食感のものが得られる。また、加える水の量を調節することにより、服用者の好み或いは介護者が患者の健康状態に応じ、ペースト状からハードゼリー状のものまで自在に調製できる。
【0015】
また、本発明の易服用化剤は、既存の医薬品製剤と混合し、少量の水の添加で速やかにゲル化するため、通常のゼリー剤のように、保存時の安定性への配慮や工程数の多い複雑な製造方法を必要としない。
【0016】
本発明の易服用化剤を医薬品と予め混合した製剤とする場合、散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤などとすることができる。これらの製剤は、上記易服用化剤と薬物を用いて常法により製造することができる。この場合においては、賦形剤(乳糖、コーンスターチ、ショ糖、マンニトール、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、部分アルファー化デンプン、メチルセルロース、プルラン、デキストリン、アラビアゴム等)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン類、カルメロースナトリウム)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化ヒマシ油、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム等)を添加することができ、これらを2種以上添加してもよい。この他、必要に応じ界面活性剤、溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、色素、矯味剤、矯臭剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0017】
本発明における易服用性とは、水を服用することなく、低い咀嚼力及び嚥下力でも、服用し易いペースト状或いはゼリー状の形態を容易に提供しうるものである。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。尚、本発明の易服用化剤は実施例に記載された処方例に限定されるものではない。
【0019】
<実施例1>
【表1】
Figure 0004634589
【0020】
易服用化剤のゲル化剤として、室温下で固体で経口投与可能であり、かつ少量の水の添加でゲル化の可能性ある物質を選択した(表1)。ゲル化の評価は以下の方法で行った。
【0021】
(各種ゲル化剤のゲル化時間測定法)
各ゲル化剤を丸底共栓遠心沈澱管にとり、約26℃の水1mLを加え直ちに30秒間混和した。混和後、静置し30秒毎に試料を傾斜させ、ゲル化の確認をした。ゲル化時間は試料を倒立させる時、試料が流動せず丸底共栓遠心沈澱管内で形状が保持される時点とした。尚、測定は室温下で行った。
【0022】
【表2】
Figure 0004634589
【0023】
選択したゲル化剤のゲル化時間測定結果を表2に示した。測定の結果、選択したゲル化剤のうち、比較的速やかにゲル化したものは、水溶性ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマーの3品であった。中でも水溶性ゼラチンはゲル化に約45分要するものの、形成されたゲルはハードゼリー状(弾性体)であり、易服用化剤のゲル化剤として理想的なゲルを形成することが分かった。しかし、ゲル化時間がやや長いためゲル化時間の短縮化を検討することにした。
【0024】
<実施例2>
【表3】
Figure 0004634589
【0025】
表3に示すように水溶性ゼラチン1重量部に対し、各種糖アルコールを1〜5重量部添加し乳鉢中で混合し、易服用化剤を調製した。調製した易服用化剤について以下に示す方法でゲル化の評価を行った。
【0026】
(易服用化剤のゲル化時間測定法)
表3に示す採取量だけ丸底共栓遠心沈澱管にとり、約26℃の水1mLを加え直ちに30秒間混和した。混和後、静置し30秒毎に試料を傾斜させ、ゲル化の確認をした。ゲル化時間は試料を倒立させる時、試料が流動せず丸底共栓遠心沈澱管内で形状が保持される時点とした。尚、測定は室温下で行った。
【0027】
実施例2の結果をもとに水溶性ゼラチンのゲル化時間に対する各種糖アルコール添加量の影響を図表1に示した。
Figure 0004634589
【0028】
水溶性ゼラチン1重量部に対し、いずれの糖アルコールも1重量部の添加で水溶性ゼラチンのゲル化時間は約3分の1に短縮された。しかし、水溶性ゼラチンのママコは確認されたままであった。更に糖アルコールの配合比率を2〜3重量部に増加させていくと、ママコの消失と共に更にゲル化時間は短縮された。この時点におけるゲル化時間短縮は糖アルコールの添加に伴う水溶性ゼラチンのママコ抑制が大きく関与していると思われた。ママコ消失後は、配合比が増大してもゲル化時間はほぼ一定であった。ママコ消失時における各種糖アルコール類の水溶性ゼラチンのゲル化時間への影響には差が認められた。これより、糖アルコールのゲル化促進作用はママコの抑制以外に他の要因が存在すると考えられた。そこで、ゲル形成時に添加している水に各種糖アルコールが溶解する時生じる溶解熱(吸収熱量)に注目し、ゲル化時間との関係を調べた。
【0029】
【表4】
Figure 0004634589
【0030】
表4に検討に用いた糖アルコールの溶解熱を示した。実施例2の中で水溶性ゼラチンのママコの消失が認められた水溶性ゼラチン1重量部に対し、各種糖アルコール類3重量部を添加した組成物のゲル化時間と、表4に示した各種糖アルコール類の溶解熱の関係を図表2に示した。
Figure 0004634589
【0031】
図表2に示すようにゲル化時間と溶解熱の間には負の相関が認められ、吸収熱量の大きい糖アルコールほど水溶性ゼラチンのゲル化時間を促進した。つまり、水を添加した際、溶解時の吸収熱量の大きい糖アルコールを添加したものほど、系全体の温度が低くなり水溶性ゼラチンのゲル化が促進される。
【0032】
糖アルコールは水溶性ゼラチンのママコ抑制と糖アルコールが有する溶解熱の相乗効果でゲル化を促進した。中でも、エリスリトールがその作用が最も大きかった。
【0033】
<実施例3>
実施例2の結果から、ゲル化時間が約2分である水溶性ゼラチン1重量部に対し、エリスリトール3重量部の組成である易服用化剤▲1▼に、実施例1でゲル化時間が0分であったヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシビニルポリマーを添加し更にゲル化時間の短縮を試みた。
【0034】
【表5】
Figure 0004634589
【0035】
表5に示す組成で易服用化剤▲1▼とヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマーを丸底遠心沈澱管に採取し軽く振り混ぜた後、実施例2で示した方法でゲル化の評価を行った。
【0036】
【表6】
Figure 0004634589
【0037】
表6に示すように易服用化剤▲1▼のゲル化時間はヒドロキシプロピルメチルセルロースの添加により更に短縮された。一方、カルボキシビニルポリマーは、ハードゼリー状(弾性体)のものが形成されず、逆にゲル化時間が遅延した。
【0038】
実施例3の結果から、ゲル化時間が大幅に改善された易服用化剤▲1▼8重量部に対し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1重量部を添加した組成物を易服用化剤▲2▼として、既存医薬品及び既存薬物混合時のゲル化時間の変化を調べた。
【0039】
【表7】
Figure 0004634589
【0040】
表7に示す組成で易服用化剤と既存医薬品及び薬物を丸底共栓遠心沈澱管に採取し軽く振り混ぜた後、以下に示した方法でゲル化の評価を行った。
【0041】
(ゲル化時間測定法)
試料を採取した丸底共栓遠心沈澱管に、約26℃の水3mLを加え直ちに30秒間混和した。混和後、静置し30秒毎に試料を傾斜させ、ゲル化の確認を行った。ゲル化時間は試料を倒立させる時、試料が流動せず丸底共栓遠心沈澱管内で形状が保持される時点とした。尚、測定は室温下で行った。
【0042】
図表3に既存医薬品及び薬物混合時の易服用化剤のゲル化時間を示した。
Figure 0004634589
【0043】
図表3に示すように既存医薬品及び既存薬物を添加した結果、易服用化剤のゲル化時間が僅かに遅延したものも認められたが、全て1分以内にゲル化した。また、得られたゲルはハードゼリー状であった。
【0044】
【発明の効果】
本発明はゲル形成高分子(水溶性ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)と甘味剤(エリスリトール)を混合した易服用化剤であり、咀嚼及び嚥下機能の低い乳幼児及び高齢者、介護を有する寝たきりの患者等で飲みにくいと思われる既存医薬品と混合し少量の水で速やかにゲル化しゼリー状とすることにより服用性が改善される。また、介護者の調製の手間等の問題も、水を添加して混ぜるだけで、加熱や冷却もなしに僅か1分程度でゲル化することより改善される。また、得られたゼリーの硬さは添加する水の量で調整可能である。更に、本易服用化剤はゼリーを用時調製可能であることより、通常のゼリー剤において問題となる複雑な製造工程が不要、保存時の微生物による汚染或いは物理化学的安定性の確保、携帯が不便等の問題も改善される。

Claims (4)

  1. 粉末又は粒状であり、混合される食品または医薬品の服用・嚥下を容易とする易服用化剤であって、
    水溶性ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および溶解熱が−153KJ/Kg以下である糖アルコールを含有する易服用化剤。
  2. 前記溶解熱が−153KJ/Kg以下である糖アルコールが、キシリトールまたはエリスリトールである請求項1に記載の易服用化剤。
  3. 前記溶解熱が−153KJ/Kg以下である糖アルコールが、エリスリトールである請求項1または2に記載の易服用化剤。
  4. 水又は液状物質が加えられることによって加熱及び冷却処理することなくゲル又は粘性流体が形成され、混合される食品または医薬品の服用・嚥下が容易となる請求項1から3のいずれか1つに記載の易服用化剤。
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