JP4635015B2 - 金属ハニカムの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、技術的背景について詳述する。セル壁にて区画形成された中空柱状のセルの平面的集合体よりなるハニカムコアは、重量比強度に優れるのを始め種々の優れた特性を備えており、各種の構造材として広く用いられている。
ハニカムコアのセル壁の母材としては、用途に応じ、金属,プラスチック,紙等が用いられるが、金属としては、ステンレスやアルミニウム合金が代表的である。周知のごとく、ステンレスは、耐熱性,高温強度,耐酸化性,耐食性,加工性等々に優れる、という基本性能を備えている。又、マグネシウムMgを含有したアルミニウム合金も、耐熱性,高温強度,耐食性,加工性、等々に優れるという基本性能を得えており、例えば、A6951に代表される熱処理型の6000系合金や非熱処理型の5000系合金は、特に強度面に優れている。
もって、箔状のステンレスやアルミニウム合金を母材としたハニカムコアは、ハニカムコアとしての特性と共に、母材のこのような優れた基本性能に鑑み、例えば航空機用や鉄道車輌用の構造材,構造部品として使用されると共に、その他多くの分野において、多岐にわたる用途に使用されている。
次に、ハニカムコアの製造方法としては、展張方式とコルゲート方式が一般的である。まず展張方式では、箔状の母材に条線状に接着剤やろう材を塗布した後、多数枚を半ピッチずつずれた位置関係で重積し、次に、加圧,加熱して、母材間を条線状に接着やろう付けしてから、重積方向に引張力を加えて展張することにより、ハニカムコアを製造していた。
これに対しコルゲート方式では、箔状の母材を波板にコルゲート成形した後、成形された多数枚の波板を半ピッチずつずらせ、谷部と頂部とを合わせる位置関係で重積すると共に、相互間を接着剤やろう材(含.スポット溶接)にて、条線状に接着やろう付けすることにより、ハニカムコアを製造していた。
しかしながら、まず接着による場合は、次の難点が指摘されていた。すなわち、接着剤は耐熱温度が低く(一般的には300℃以下)、接合強度も弱い。そこで、前述したステンレスやアルミニウム合金を母材としたハニカムコアの製造に際し、接着剤を用いて接着を行うと、製造されたハニカムコアについて、母材の優れた基本性能が生かされなくなり、耐熱性,高温強度等に難点が生じ、用途が大きく限定されていた。
他方、ろう付けによる場合も、次の難点が指摘されていた。すなわち、ステンレスのろう付けには、ニッケル基ろう材等のろう材が用いられ、アルミニウム合金のろう付けには、アルミニウム基ろう材等のろう材が用いられている。そして、ステンレスやアルミニウム合金を母材としたハニカムコアの製造に際し、ニッケル基ろう材やアルミニウム基ろう材等のろう材を用いてろう付けを行うと、例えばニッケル基ろう材の場合は1000℃程度の所定温度でろう付けが行われるので、ある程度の耐熱性,高温強度は期待できるものの、このような所定温度以上では溶融してしまうことになる。
もって、製造されたハニカムコアについて、母材の優れた基本性能が生かされなくなることが多々あり(例えば1000℃以上でろう材が溶融してしまう)、耐熱性,高温強度に限界が生じ、用途が限定されていた。
又、ろう付けにより製造されたハニカムコアは、母材たるステンレスやアルミニウム合金間に、これらとは組成が異なる異種金属たるろう材が介在していることに起因して、耐酸化性,耐食性等に問題が生じることがあり、この面からも、母材の優れた基本性能が生かされず、用途が限定されていた。
更に、アルミニウム合金を母材としたハニカムコアの製造に用いられるろう材は、粉末状やペースト状ではなく、予め板状とされたブレージングシートの形態で使用されることが多いが、100μm未満の肉厚(箔厚)のブレージングシートを圧延して得ることは困難であり、実際上、100μm以上の肉厚のものが用いられていた。しかしながら、このように肉厚の厚いブレージングシートを用いると、その肉厚分だけ重量が重くなり、もって製造されたハニカムコアについて、その重量比強度に優れるという特性が生かされず、この面から用途が限定されることがあった。
結論として、展張方式やコルゲート方式による従来の金属ハニカムの製造方法にあっては、接着やろう付けを行うことに起因し、このように限界が存していた。
技術的背景については、以上の通り。
さて、このような技術的背景のもと、接着やろう付けに代え拡散接合を利用した、金属ハニカムの製造方法が開発されつつある。すなわち、ステンレスやアルミニウム合金を用いた母材について、その条線状の接合対象部(ノード部)を接合する際、接着剤やろう材を一切用いず、拡散接合にて直接的に接合し、もってハニカムコアを製造する、金属ハニカムの製造方法が最近開発されつつある。
この拡散接合による金属ハニカムの製造方法によると、母材間が同一組成にて直接接合され、接着剤やろう材が一切介在しない。従って、製造されたハニカムコアは、母材たるステンレスやアルミニウム合金の基本性能がそのまま生かされ、耐熱性,高温強度,耐酸化性,耐食性等々に優れると共に、重量比強度に優れるというハニカムコアの特性も生かされるようになる。
ところで、この最近開発されつつある拡散接合による金属ハニカムの製造方法は、展張方式に適用され、コルゲート方式には適用されない。
すなわち、拡散接合を行うためには、母材間を、加熱すると共に高圧にて加圧することが必須的に必要である。展張方式では、重積された平坦な平板、つまり箔状の母材を上下から加圧するので、母材はその加圧力に容易に耐えることができる。これに対しコルゲート方式では、箔状の母材を波板にコルゲート成形してから重積し、このような波板を拡散接合のために上下から加圧することになるが、これでは、波板たる母材がこの加圧力に耐えることができない。なお一般的に、展張方式はコルゲート方式に比べ、大きな全体サイズのハニカムコアの製造が容易であり、しかも製造コスト面に優れていることが知られている。
すなわち、この金属ハニカムの製造方法では、まず、箔状の母材に対し離型剤が、条線状に地肌を残しつつ塗布される。つまり、箔状の母材たるステンレスやアルミニウム合金を、地肌間にて条線状に直接的に拡散接合するのに先立ち、このような拡散接合対象部以外の非接合部について、予め離型剤を塗布して覆っておき、拡散接合されないようにしておくこと、が必要となる。離型剤の塗布は、印刷方式や塗装方式により行われ、塗布された離型剤は、直ちに乾燥せしめられる。
しかる後、このように離型剤が塗布された母材を、半ピッチずつずらしつつ重積してから、真空炉内で加圧,加熱することにより、拡散接合対象部たる露出,接触した地肌間にて、条線状に拡散接合が行われる。それから、重積方向に引張力を加え、離型剤にて覆われていた非接合部を展張することにより、母材をセル壁としたハニカムコアが製造される。なお、このように製造されたハニカムコアは、事後に洗浄され、残存していた離型剤の離型粉末等が除去される。
そして、この種従来例の離型剤は、通常、離型効果を発揮する離型粉末と、離型粉末を塗布可能にして母材に固定する樹脂製のバインダーと、バインダーを溶解,希釈,粘度調整する溶剤と、を必須的に含有していた。つまり、この種従来例の離型剤では、バインダーとして、樹脂製の溶剤に溶かして用いる溶剤系のものが、一般的に使用されていた。
(離型剤=離型粉末+バインダー+溶剤)
離型剤の離型粉末としては、セラミックス粉末が使用され、バインダーとしては、有機系の一般的に広く用いられている接着剤,塗料,インク等が使用され、溶剤としては、アセトン等の脂肪族系,イソホロン等のケトン系,キシレン等の芳香族系,エタノール等のアルコール類のものが使用されていた。
そして、離型剤に含有された溶剤は、母材への塗布工程後に行われる乾燥工程により、揮発,蒸発,消失せしめられていた。又、離型剤に含有されたバインダーは、重積された母材を拡散接合する接合工程に際し、熱分解,蒸発,消失するか灰化していた。離型剤に含有された離型粉末は、このように残留したバインダーの灰と共に、事後の洗浄工程において、除去されていた。
第1に、塗布工程において離型剤を母材に対して塗布する際、つまり印刷方式や塗装方式による塗布作業中に、離型剤中に含まれていた有機系の溶剤が、乾燥,揮発,蒸発してしまい、作業性が悪い、という問題が指摘されていた。すなわち、この種の離型剤にて用いられる有機系の溶剤は、その沸点が100℃未満と低いものが多く、使用と同時に乾燥,揮発,蒸発してしまうことが多々あり、溶剤としての機能を全うできず、離型剤全体も使用しずらいという問題があった。
なお、沸点が100℃以上で300℃以下程度の高沸点溶剤を使用すると、このような問題はかなり解消されるが、事後の乾燥工程が必須的に必要であり、この面から作業性が悪い、という問題が指摘されていた。すなわち、高沸点溶剤を用いた場合に限らず、この種従来例では、塗布工程の次に乾燥工程が実施されており、離型剤が塗布された母材は、乾燥炉へと搬入され、熱風乾燥等により、塗布された離型剤中に含有されていた有機系の溶剤が、揮発,蒸発,消失せしめられていた。そして、このような乾燥工程は、長時間にわたり実施することを要し、この面からも作業性に問題が生じていた。このように第1に、作業性に問題が指摘されていた。
そこで、この種従来例では、乾燥工程の乾燥炉に局所排気装置が付設されることが多いが、その分、コスト面に問題が生じることになる。このように第2に、安全面やコスト面にも問題が指摘されていた。
このように紫外線硬化型樹脂を離型粉末のバインダーとして用いた離型剤は、前述したこの種従来例の離型剤(離型粉末+一般的な有機系のバインダー+脂肪族系,ケトン系,芳香族系,アルコール類の溶剤)に比し、作業性や安全面に優れている。すなわち、紫外線硬化型樹脂は基本的に揮発,蒸発しにくく、もって第1に、塗布作業中に乾燥,揮発,蒸発せず、紫外線を当てる時間も短く、第2に、人体への危険も少ない。
しかしながら、このように紫外線硬化型樹脂をバインダーとして用いた離型剤については、まず、塗布厚が厚くなる、という問題が指摘されていた。すなわち、この金属ハニカムの製造方法において、離型剤は、塗布工程でなるべく薄い塗布厚で塗布される必要がある。前述したように、母材の離型剤が塗布されなかった条線状の地肌間が、接合工程で拡散接合対象部となって露出,接触,拡散接合されるので、横に隣接する離型剤は、なるべく薄く塗られていなければならない(後述する図3も参照)。
もしも、離型剤の拡散接合時における塗布厚が厚過ぎると、母材間の接触度・密着性が不足し、母材間が条線状に確実に拡散接合されず、接合強度が不足したり未接合箇所が発生する。このような母材間に引張力を加えて展張すると、製造されたハニカムコアについて、各セル間がセル壁にて確実に区画されていない、いわゆる目飛び箇所が発生し、ハニカムコアの品質上重大な欠陥が生じることになる。
そして、この種従来例の紫外線硬化型樹脂を用いた金属ハニカムの製造方法にあっては、このような目飛び発生が指摘されていた。
すなわちこの離型剤は、離型効果を発揮すべく粒径が大きな離型粉末を含有してなると共に、バインダーとして用いられた紫外線硬化型樹脂は、塗布後に揮発,蒸発しにくく、更に溶剤にて溶解されることなく用いられていたので、従来、塗布厚30μm未満の薄い塗布厚で塗布することは、困難とされていた。そこで、セルサイズが大きなハニカムコアの場合は、目飛び発生は比較的少ないが、セルサイズが例えば10mm以下等の小さいハニカムコアの場合は、目飛び発生が顕著となっていた。このように第3に、目飛び発生が問題となっていた。
すなわち、セルサイズが小さいハニカムコアを製造する際、離型剤の塗布厚が30μm程度以上と厚い場合は、接合工程の拡散接合のための真空炉内での加圧を極めて高圧で行うようにすると、例えば1Kg/mm2以上の高荷重にて母材を上下から加圧するようにすると、目飛び発生は回避される。つまり、母材間の接触度・密着性の不足を高圧の付与にて補い、もって接合強度を向上させ未接合箇所を解消させることにより、目飛びの回避は可能である。
しかしながら、一般的な真空炉では、このような高圧,高荷重の付与は困難であり、非常に高価な平面プレスを内蔵させるか静水圧プレス(HIP)が必要となると共に、大型化が困難となり全体サイズが大きなハニカムコアの製造が困難化する。このように第4に、コスト面や全体サイズ面にも、問題が指摘されていた。
すなわち真空炉内は、一定の真空雰囲気に保たれているが、もしも加圧,加熱による拡散接合処理中に、真空度が大きく落ち極端に悪化した場合には、装置保護のため付設された安定装置が作動して、拡散接合処理を中断するようになっている。そして、真空炉内における母材間の拡散接合に際し、離型剤中に含有されたバインダーは紫外線硬化型樹脂よりなるので、加圧,加熱により、かなりの部分が灰化し灰となって残留するものの、熱分解,蒸発,消失する部分もある。
そして、このような熱分解,蒸発は、従来、1種類の紫外線硬化型樹脂が使用されていたことに起因して、一度に一気に行われ、もって真空炉内の真空度が、急激に大きく悪化してしまうことが多々あった。
そこで、安全装置が作動してしまい、拡散接合処理が中断することが多々あり、生産効率上の不具合を生じる、という指摘があった。このように第5に、拡散接合処理が中断することが多々ある、という問題が指摘されていた。
これらに起因して、ステンレスやアルミニウム合金製の母材の表面部に、還元不可能な皮膜状の炭化物,酸化物,その他の化合物が、反応,生成,折出,粗大化されてしまいやすくなる。
すなわち、母材がステンレスの場合は、拡散接合時や事後の高温環境下において、この残留した灰が、ステンレス製の母材と反応して浸炭が生じ、もってその炭素Cが、ステンレス中のクロムCrと反応してクロム炭化物が発生して、母材の脆化,高温酸化,粒界腐食等を誘発する原因となる。又、母材がアルミニウム合金の場合は、例えば、含有されたマグネシウムMgの蒸発が阻害され、もってアルミナAl2O3よりなる酸化皮膜が、破壊,分散されなくなったり再形成されたりして、拡散接合自体に支障が生じるようになる。
いずれにしても、母材の表面部における炭化物,酸化物,その他の化合物等の生成物は、母材の脆化,高温酸化,粒界腐食等を誘発する原因となる。
そして、ステンレスやアルミニウム合金をセル壁の母材として製造されたハニカムコアは、このような高温環境下や腐食環境下で使用されることが多く、脆化,高温酸化,粒界腐食等の発生は、極めて望ましくないとされていた。このように第6に、脆化,高温酸化,粒界腐食等の問題が指摘されていた。
そして、このような離型剤を採用したことにより、第1に、離型剤の塗布作業中に乾燥せず紫外線にて短時間のうちに硬化し、もって作業性が向上し、第2に、人体に有害な揮発,蒸発もなく、第3に、離型剤の塗布厚を薄くでき、目飛び発生が回避され、第4に、もって拡散接合時の加圧を低圧,低荷重のもとで行えると共に、第5に、バインダーや希釈剤の熱分解,蒸発が緩慢なスピードで行われ、拡散接合処理の中断が回避され、第6に、真空度が低下した悪い雰囲気中で拡散接合のための加熱が行われることもなく、炭化物や酸化物等の生成が回避される、金属ハニカムの製造方法を提案することを目的とする。
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。すなわち、この金属ハニカムの製造方法では、まず、箔状のステンレスや、マグネシウムを含有した箔状のアルミニウム合金を、母材とし、該母材に離型剤を、条線状に地肌を残しつつ塗布して、紫外線を当てて硬化させる。
次に、複数枚の該母材を、該離型剤間に条線状に残されて露出した地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積してから、加圧,加熱することにより、該母材間を、接触した該地肌間にて条線状に拡散接合させる。それから、重積方向に引張力を加えて展張することにより、該母材をセル壁とし、該セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体たる、ハニカムコアを得る。
そして、このような金属ハニカムの製造方法において、該離型剤として、5重量%以上で60重量%以下であると共に粒径が5μm以下のセラミックス粉末よりなる離型粉末と、熱分解による蒸発温度が異なる2種類の紫外線硬化型樹脂のプレポリマーよりなるバインダーと、エステル系の紫外線硬化型樹脂のモノマーよりなる希釈剤と、を含有してなるものが用いられていること、を特徴とする。
本発明の金属ハニカムの製造方法は、このようになっているので、次のようになる。まず、箔状の母材たるステンレスやアルミニウム合金は、条線状に地肌を残しつつ、離型剤が塗布され紫外線にて硬化された後、半ピッチずつずらして重積され、加圧,加熱により条線状に拡散接合される。なお、母材がアルミニウム合金の場合は、まず、含有されたマグネシウムが蒸発して、地肌表面の酸化皮膜を破壊,分散せしめることにより、アルミニウムが地肌表面に露出し、拡散接合が可能となる。しかる後、重積,拡散接合された母材を展張することにより、母材をセル壁とし、セル壁にて区画形成されたセルの平面的集合体たる、ハニカムコアが製造される。
そして、この製造方法で用いられる離型剤は、まず、塗布作業中に乾燥しないと共に、事後、容易に硬化する。すなわち、離型剤のバインダーや希釈剤として用いられた紫外線硬化型樹脂のプレポリマーやモノマーは、紫外線を当てることにより硬化しポリマーとなる。
次に、この離型剤は、まず、粒径5μm以下と小さく含有率も60重量%以下のセラミックス粉末を、離型粉末として用いてなる。又、バインダーとして用いられた紫外線硬化型樹脂は、拡散接合当初の加圧,加熱により、一部が熱分解,蒸発,消失し残りが灰化し、灰は、セラミックス粉末間の隙間に圧縮,充填される。希釈剤としてエステル系の紫外線硬化型樹脂のモノマーが用いられているので、粘度が低下する。
これらによりこの離型剤は、塗布時に、薄い塗布厚で塗ることができると共に、拡散接合時に、塗布厚をより薄くできる。そこで、重積された母材は、離型剤間に条線状に露出した地肌間が確実に接触,当接,密着して、拡散接合される。
そして、この離型剤では、熱分解,蒸発温度が異なる2種類の紫外線硬化型樹脂が用いられると共に、エステル系の紫外線硬化型樹脂が用いられている。
そこで拡散接合に際し、この離型剤は、熱分解,蒸発が、これらの各成分毎に異なった温度で徐々に緩慢なスピードで行われ、もって拡散接合処理の中断の原因となることがなくなる。
そこで、離型剤に紫外線硬化型樹脂を用いない前述したこの種従来例、つまり一般的なバインダーを有機系の溶剤に溶かして用いる前述したこの種従来例のように、離型剤の塗布時に、塗布作業中の溶剤が乾燥,揮発,蒸発してしまうようなことはなく、離型剤が使用しやすく、離型剤の塗布作業が簡単容易化され、作業性が向上する。
更に、この離型剤においてバインダーとして用いられている紫外線硬化型樹脂は、紫外線に当てることにより、容易に硬化,乾燥する。すなわち、離型剤に紫外線硬化型樹脂を用いない前述したこの種従来例のように、塗布された離型剤を乾燥炉内で長時間にわたり熱風乾燥し、もって有機系の溶剤を揮発,蒸発,消失せしめる必要はない。この離型剤の紫外線硬化型樹脂は、紫外線を通過させることにより、簡単容易に、極く短時間で硬化,乾燥する。そこで、この面からも離型剤が使用しやすくなり、離型剤の塗布作業が簡単容易化され、作業性が向上する。
これに対し、この金属ハニカムの製造方法で使用される離型剤中には、このように揮発,蒸発すると危険な有機系の溶剤は用いられておらず、安全面に優れると共に、局所排気装置も不用でありコスト面にも優れている。
これに加え、塗布される離型剤の希釈剤として、エステル系の紫外線硬化型樹脂のモノマーが用いられているので、離型剤の粘度が低く、離型剤を薄く塗ることが可能となる。つまり、同様にバインダーとして紫外線硬化型樹脂を用いた前述したこの種従来例に比し、塗布時に離型剤を、より薄い塗布厚で塗ることができるようになる。
このように、この金属ハニカムの製造方法にあっては、離型剤の塗布厚を30μm未満、例えば20μm程度まで薄くすることができ、このように薄い塗布厚のもとで拡散接合が行われる。そこで、母材間が条線状に確実に拡散接合されるようになり、前述したこの種従来例のように、離型剤の塗布厚が30μm程度以上と厚過ぎることに起因して、接合強度が不足したり、未接合箇所が発生することは防止される。
従って、製造されたハニカムコアについて、前述したこの種従来例のように、各セル間がセル壁にて確実に区画されていない、いわゆる目飛び箇所の発生は回避されるようになり、ハニカムコアの品質が向上する。特に、セルサイズが10mm以下等、セルサイズが小さなハニカムコアでも、目飛びの発生が回避されつつ製造されるようになる。
又、離型剤の塗布時において、その塗布厚を極力薄くすべく配慮する必要がなくなるので、塗布方式として各種の塗装方式,印刷方式を、適宜自由に選択可能となり、この面からも、離型剤の塗布作業が簡単容易化される。
このように、この金属ハニカムの製造方法にあっては、従来よりの一般的な真空炉等を使用し、低圧,低荷重のもとでも、確実に拡散接合が行えるようになる。もって、コスト面に優れると共に、真空炉等の大型化も容易であり、全体サイズが大きなハニカムコアも容易に製造可能となる。
そこで、母材間の拡散接合に際し、加圧,加熱によるこれらの熱分解,蒸発が各々異なった温度で行われ、離型剤の熱分解,蒸発は、徐々に緩慢なスピードで行われる。
つまり、同様に紫外線硬化型樹脂を用いた前述したこの種従来例のように、1種類の紫外線硬化型樹脂が一度に一気に熱分解,蒸発してしまい、もって例えば真空炉内の真空度が急激に悪化し、付設された安全装置が作動して拡散接合処理が中断してしまうことも、回避されるようになる。
このように、この金属ハニカムの製造方法によると、拡散接合処理の中断が回避され、生産効率上の不具合が解消される。
すなわち、本発明の金属ハニカムの製造方法では、上述した第5のように、拡散接合に際し、例えば真空炉内の真空度が急激に悪化することは回避され、付設された安全装置が作動することは少ない。
そこで、紫外線硬化型樹脂を用いた前述したこの種従来例のように、実際上便宜的に、拡散接合処理の進行のため、安全装置が作動しないようにオフしてしまうことも、なくなる。従って、前述したこの種従来例のように、真空度が低下した悪い雰囲気中で、拡散接合のための加熱が行われた結果、母材の表面部に、炭化物,酸化物,その他の化合物が、反応,生成,折出,粗大化することもなくなる。
従って、製造されたハニカムコアは、高温環境下や腐食環境下で使用されても、母材つまりセル壁の脆化,高温酸化,粒界腐食等が誘発されることもなく、支障なく使用可能となる。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
そして、図1は斜視説明図であり、(1)図は準備された母材を、(2)図は離型剤を塗布した状態を、(3)図は重積する状態を、(4)図は拡散接合した状態を、(5)図はスライスする状態を、それぞれ示す。図2は、斜視説明図であり、(1)図は展張した状態を、(2)図はトリミングした状態を、(3)図は得られたハニカムコアの要部を、それぞれ示す。
図3は、正面拡大図であり、(1)図は、離型剤を塗布した状態を示し、(2)図は、拡散接合時の状態を示す。図4は、要部の正面説明図であり、(1)図は、ステンレス製の母材間が拡散接合される前の状態を、(2)図は、同母材間が拡散接合された後の状態を示し、(3)図は、アルミニウム合金製の母材間が拡散接合される前の状態を、(4)図は、同母材間が拡散接合される直前の状態を、(5)図は、同母材間が拡散接合された後の状態を示す。
この離型剤1は、母材2たる箔状のステンレスや、マグネシウムMgを含有した箔状のアルミニウム合金を拡散接合する際に、非接合部3を設定すべく、予め塗布して使用される(図1を参照)。そして、この離型剤1は、離型粉末とバインダーとを必須的に含有してなり、更に希釈剤,溶剤,分散剤,消泡剤,その他が、適宜含有せしめられる。
(離型剤1=離型粉末+バインダー+その他)
例えば、母材2のステンレスを構成する鉄Fe,クロムCr,ニッケルNi,炭素C等の元素の化合物の中では、クロム酸化物Cr2O3が熱力学的に安定しているが、セラミックスは、それよりも熱力学的に安定している。例えば、拡散接合のための800℃から1200℃程度の加熱により、その酸化物の酸素OがクロムCrと反応して、クロム酸化物Cr2O3となるようなことはない。
アルミニウム合金を母材2とした場合も、上述に準じセラミックスは熱力学的に安定しているが、特に、アルミニウム合金を母材2とした場合の拡散接合は、500℃から600℃と比較的低い温度の加熱により行われるので、より安定するようになる。このようなセラミックスとして、具体的には、ボロン窒化物BN,イットリア安定化ジルコニアY2O3-ZrO2,マグネシア安定化ジルコニアMgO-ZrO2,アルミナAl2O3,マグネシアMgO,カルシアCaO,シリカSiO2,セリアCe2O3,イットリアY2O3,トリアThO2等が、適宜選択使用される。
従って、3A族元素の酸化物、例えばセリアCe2O3,イットリアY2O3,トリアThO2等が適しており、特に、イットリアY2O3がコスト的に最も適している。すなわち、イットリアY2O3等の3A族元素の酸化物は、ステンレスやアルミニウム合金よりなる母材2の拡散接合に際し、加熱により還元そして母材2と反応しないのは勿論のこと、事後例えば1300℃以上の高温環境下でも、還元そして母材2と反応しない。又、イットリアY2O3は、各種用途に広く使用されている。
この離型剤1では、その離型粉末として、このようなセラミックスを粉末化した、セラミックス粉末が使用される。そして、このセラミックス粉末は、5重量%以上で60重量%以下であると共に、粒径が5μm以下のものが用いられる。
まず、このセラミックス粉末の粒径は5μm以下であり、もしも5μmを越えると、その粒径の大きさが支障となって、離型剤1を薄く塗布できなくなる。
又、セラミックス粉末は、離型剤1中に最低5重量%以上の割合で含有されており、もしも含有率が5重量%未満だと、離型剤1としての離型効果が不足する。更にセラミックス粉末は、離型剤1中に最高60重量%以下の割合で含有されており、もしも含有率が60重量%を越えると、セラミックス粉末が多過ぎて、離型剤1としての液状化,ペースト状化が困難化すると共に、離型剤1として薄く塗布できなくなる。
この離型剤1は、離型粉末として、このようなセラミックス粉末を必須的に含有している。
(離型剤1=離型粉末+2種類のバインダー+希釈剤+その他)
まずバインダーは、離型粉末たるセラミックス粉末を離型剤1として塗布可能とするため、そして離型剤1として塗布された後に、セラミックス粉末が母材2から剥離,脱落しないよう接着固定すべく、糊として用いられる。
そして、このようなバインダーとしては、例えば、光重合性のアミノ系のプレポリマー(オリゴマー)が、離型剤1中に5重量%以上で20重量%以下の割合で含有されると共に、光重合性のエポキシ系のプレポリマー(オリゴマー)が、離型剤1中に10重量%以上で35重量%以下の割合で含有される。それぞれ、光つまり紫外線を当てると、重合反応し硬化,乾燥して、ポリマー(含むオリゴマー)となるプレポリマーが用いられる。
この2種類の紫外線硬化型樹脂は、上述したようにほぼ見合った量で含有される。それぞれの含有率については、バインダー・糊としての機能を発揮すべく最低含有率が設定されると共に、最高含有率は、次に述べる希釈剤の含有率を勘案すると共に、事後の拡散接合時に加熱された際にポリマーが灰化する量が過多とならないように、設定される。
ところで、この2種類の紫外線硬化型樹脂(ポリマー)は、熱分解による蒸発温度が異なっている。すなわち、事後の拡散接合当初の加熱により、この2種類の紫外線硬化型樹脂(ポリマー)は、一部が熱分解,蒸発し、残りが灰化する。そして、このような熱分解,蒸発温度が異なる、2種類の紫外線硬化型樹脂が用いられる。例えば上述した、光重合性のアミノ系のポリマーと、光重合性のエポキシ系のポリマーとは、熱分解,蒸発温度が大きく異なっている。
そして、この希釈剤は、離型剤1を塗布可能な粘度に調整する(粘度を低く下げる)と共に、これにより、離型剤1を薄い塗布厚T(図3を参照)で塗布可能とすべく、使用される。そこで、最低でも15重量%以上含有されることを要すると共に、他の離型粉末やバインダーの含有率との関係から、最高45重量%以下が含有率の限界となる。
更に、この離型剤1は、1重量%以上で10重量%以下の光反応開始剤を含有してなると共に、適宜必要に応じ、10重量%を限度として分散剤や消泡剤が、添加,含有せしめられている。分散剤は、離型剤1中の離型粉末たるセラミックス粉末が相互に凝集,結合,固化しないように混入され、消泡剤は、離型剤1塗布時の泡立ちを防止すべく混入される。このような分散剤や消泡剤としては、例えばメタノール等の有機溶剤が代表的である。又、このような分散剤や消泡剤は、離型剤1中に0重量%以上で10重量%以下の割合で、含有される。
本発明の離型剤1は、このように、5重量%以上で60重量%以下の離型粉末たるセラミックス粉末、5重量%以上で20重量%以下のバインダー、これとは異なる10重量%以上で35重量%以下のバインダー、15重量%以上で45重量%以下の希釈剤、1重量%以上で10重量%以下の光反応開始剤、0重量%以上で10重量%以下の分散剤や消泡剤、等を含有してなる。本発明の離型剤1は、このようになっている。
(離型剤1=離型粉末+2種類のバインダー+希釈剤+その他)
すなわち、希釈剤で溶解,希釈されたバインダー中に、離型粉末を混合,分散させることにより、この離型剤1は配合,調合される。その際、次に述べる塗布方式に応じ、その塗布方式に最適な粘度を得るため、離型粉末,希釈剤等の含有率が調整され、もって離型剤1の粘度が調整される。いずれにしても離型剤1は、ある程度の粘性を備えた液状又はペースト状をなすが、エマルジョン化していても良い。
塗装方式は、予め条線状の拡散接合対象部4を、それぞれマスキングしておいてから、スプレーや浸漬・ディッピング等にて、離型剤1を非接合部3に対して塗布した後、マスキングを除去することにより行われる。印刷方式としては、スクリーン印刷等の孔版印刷や、転写ロール印刷等の凹版印刷や、凸版印刷等が、利用される。スクリーン印刷は、母材2を所定長さに切断した後に行うのに適しているが、勿論、ロール・ツー・ロールにて行うこと(切断前の帯状の母材2をロール間にて流しつつ印刷すること)も可能であり、転写ロール印刷は、ロール・ツー・ロールの印刷に適している。
このような塗装方式や印刷方式等の塗布方式により、離型剤1が母材2に対し、条線状に地肌5を残しつつ、塗布される(図1の(2)図や図3の(1)図を参照)。そして、母材2に対する離型剤1の塗布厚T(図3を参照)は、いずれの塗布方式によっても、従来は実際上、塗布時において30μm程度が一般的に制御可能な限界値とされていたが、理論上、拡散接合時における離型効果の面からは、最低0.5μm程度は必要である。離型剤1の塗布は、このように行われる。離型剤1は、以上説明したようになっている。
次に、このような離型剤1を用いた、金属ハニカムの製造方法について、製造工程の順に説明する。すなわち、この金属ハニカムの製造方法では、(1)準備工程,(2)塗布工程,(3)UV工程,(4)重積工程,(5)接合工程,(6)展張工程,(7)洗浄工程、等を順に辿る展張方式により、ハニカムコアHを製造する。
この母材2は、ハニカムコアHの製造に供されることに鑑み、肉厚が200μm以下の薄い箔状をなすステンレス、又は、マグネシウムMgを含有したアルミニウム合金よりなる。
ステンレスは、周知のごとく鉄Feに10%以上のクロムCrを加えてなると共に、更に多くの場合、ニッケルNi,炭素C,その他を添加してなり、耐熱性,高温強度,耐酸化性,耐食性,加工性、等々に優れている。マグネシウムMgを含有したアルミニウム合金も、耐熱性,高温強度,耐食性,加工性、等々に優れており、A6951に代表される6000系合金や5000系合金は、特に強度面に優れていることが知られている。
そして、このようなステンレスやアルミニウム合金よりなる箔状の母材2は、帯状に圧延された後、必要に応じ脱脂その他により洗浄されてから、一定幅や一定長さ毎に切断される。一定長さへの切断は、図示例によらず、次に述べる(2)塗布工程や(3)UV工程の後に、行うようにしてもよい。
なお、母材2たるアルミニウム合金の地肌5表面は、通常、酸化皮膜6(図4の(3)図を参照)にて覆われており、洗浄してもすぐに酸化されて酸化皮膜6が形成され、この酸化皮膜6はアルミナAl2O3よりなる。(1)準備工程では、このような母材2が準備される。
そして離型剤1は、母材2に対し、拡散接合対象部4(ノード部)となる地肌5を、一定幅とピッチの条線状に残すように間隔を存しつつ、一定幅とピッチで例えば幅方向に沿って塗布され、このように離型剤1が塗布された部分が、母材2の非接合部3となる。図示例では、母材2の片面(表面)に対してのみ、離型剤1が一定幅とピッチで塗布され、このような母材2のみが、以下に述べるように重積,接合,展張されることになる。
なお、このような図示例によらず、母材2の両面(表面と裏面)に対して、離型剤1が一定幅とピッチで塗布される場合もあり、この場合は、このように両面に離型剤1が塗布された母材2と、離型剤1が両面共に全く塗布されないままの母材2とが、順次交互に重積された後、接合,展張される。(2)塗布工程では、このように離型剤1の塗布が行われる。
そして、このような紫外線により、塗布された離型剤1中に含有されていた、バインダーや希釈剤の紫外線硬化型樹脂のプレポリマーやモノマーは、重合反応し硬化,乾燥して、ポリマー(含むオリゴマー)となる。そして離型剤1が、母材2にしっかりと固定される。(3)UV工程では、このように離型剤1が硬化,乾燥される。
例えば、400枚程度の母材2が、上下にブロック状に重積され、その際、図示例では片面について条線状に残された地肌5が、上下の各母材2間で、左右に互いに半ピッチずつずれた位置関係で、位置決めされる。(4)重積工程では、このように母材2が重積される。
このような拡散接合について、更に詳述する。重積されたブロック状の母材2は、適当な治具に拘束されると共に必要な荷重が加えられ、真空炉等に搬入されて所定の温度と時間にて加熱され、もって条線状に固相のまま拡散接合される。
a.温度条件は、母材2がステンレスの場合は、800℃から1200℃程度に設定され、母材2がアルミニウム合金の場合は、500℃から600℃程度に設定され、もって重積された母材2が加熱される。
b.荷重条件は、母材2がステンレスの場合もアルミニウム合金の場合も、0.1g/mm2から10g/mm2程度に設定され、もって重積された母材2が加圧される。
c.雰囲気条件は、真空雰囲気が代表的であり、もってこの固相拡散接合は、重積された母材2を真空炉中に搬入して行われることが多い。他に、還元雰囲気,不活性ガス雰囲気,アルゴンAr等を加えた減圧雰囲気、等のもとでも可能であり、これらの場合には、それぞれの専用炉が用いられる。
d.時間条件は、5分間から10時間程度に設定され、もって重積された母材2が、この設定時間、真空炉中等で加熱,加圧される。
このようなa.温度,b.荷重,c.雰囲気,d.時間等の条件下で、固相拡散接合が実施される。
もって、母材2の非接合部3を設定する離型剤1間の条線状に露出した地肌5が、各々拡散接合対象部4として接触,当接,密着される。図示例では、重積されてそれぞれ上下に対向する母材2について、下側の母材2表面の条線状に露出した地肌5と、上側の母材2裏面の離型剤1が塗布されずに全面的に露出した地肌5との間が、拡散接対象部4となって接触,当接,密着される。
そして、このような地肌5の拡散接合対象部4間で、母材2のステンレスやアルミニウム合金を構成する金属元素について、原子が粒界面で拡散移動し、もって、ブロック状に重積されていた各母材2間が、条線状に固相拡散接合される。
すなわち、図4の(3)図に示したように、固相拡散接合前において、アルミニウム合金よりなる母材2は、地肌5表面が、酸化皮膜6にて強固に安定的に覆われている。そして、図4の(4)図に示したように、固相拡散接合のための加圧,加熱開始により、母材2たるアルミニウム合金に含有されたマグネシウムMg(真空中では400℃程度で簡単に蒸発することが知られている)が、蒸気化して蒸発し、酸化皮膜6を破壊,分散せしめる。もって、図4の(5)図に示したように、母材2のアルミニウム合金のアルミニウムAlが、無垢の状態で露出して、所期の固相拡散接合が進行する。
なお、このような固相拡散接合に際し、離型剤1に含有された紫外線硬化型樹脂(ポリマー)よりなるバインダーや希釈剤等の熱分解,蒸発,消失を促進するため、つまりこれらをなるべく熱分解,蒸発,消失させるため、その熱分解温度にて一旦保持するとよい。
すなわち、固相拡散接合当初の初期段階において、使用された紫外線硬化型樹脂の熱分解温度にて、加熱温度をそのまま途中で一旦保持する(母材2がステンレスの場合は300℃から600℃程度、母材2がアルミニウム合金の場合は300℃から400℃程度で、一旦保持する)。加熱昇温途中の初期段階で、加熱温度をこのような熱分解温度にて一旦保持することにより、離型剤1中の紫外線硬化型樹脂よりなるバインダーや希釈剤の熱分解,蒸発,消失が促進される。そして事後、更に加熱を進め、温度が上昇して前述した温度条件に達すると、固相拡散接合が開始されることになる。
このように、固相拡散接合の開始前の初期段階で、離型剤1中のバインダーや希釈剤の熱分解が促進されると、事後の固相拡散接合の開始時の雰囲気を、清浄に保つことができる利点がある。(5)接合工程では、このように拡散接合が行われる。
すなわち、上述した(5)接合工程で条線状に拡散接合された、ブロック状に重積された母材2は、まず、長さ方向に沿ってスライスされ、必要な大きさに切断される。このスライスは、例えばウォータージェット,ワイヤー放電,バンドソー,切断砥石、等を利用した方式にて行われる。図中7は、そのスライス具である。
それから、このように必要な大きさにスライスされたブロック状の母材2は、重積方向Dに引張力を加えて、展張される。すなわち、ブロック状に重積されると共に条線状に拡散接合された母材2は、図面上では上下の重積方向Dに沿って引張力が加えられて、展張される。もって各母材2は、条線状の拡散接合対象部4の縁に沿って、上下方向に折曲されると共に、拡散接合対象部4以外の離型剤1にて覆われていた非接合部3が、伸長を伴い広がるように上下に分離,離隔される。(6)展張工程では、このように展張が行われる。
そして、製造されたハニカムコアHは、事後、エアブローや水洗等にて洗浄され、残存していた離型剤1の離型粉末たるセラミックス粉末やバインダーの灰等が、除去される。(7)洗浄工程では、このように洗浄が行われる。
このように製造されたハニカムコアHは、図2の(2)図や(3)図に示したように、条線状に拡散接合されたステンレス又はアルミニウム合金よりなる母材を、セル壁8とし、セル壁8にて区画形成された中空柱状の多数のセル9の平面的集合体よりなる。
このハニカムコアHは、このように、セル壁8の母材2として、ステンレスやアルミニウム合金が用いられると共に、セル壁8は、このような母材2が加熱,加圧による拡散接合にて、条線状に接合されてなる。セル壁8そしてセル9の断面形状は、図示の正六角形状のものが代表的であるが、これによらず縦長や横長の六角形状,その他の六角形状,台形状,略四角形状,その他各種形状のものも可能である。
ハニカムコアHは、多くの場合、その両開口端面たるセル端面に、それぞれ表面板が接合され、もってハニカムサンドイッチパネルとして、使用に供される。そして、ハニカムコアHやハニカムサンドイッチパネルは、一般のものと同様に、重量比強度に優れ、軽量であると共に高い剛性・強度を備えてなり、更に整流効果に優れ,単位容積当たりの表面積が大である等々の特性を備え、そのハニカムサンドイッチパネルは、平面精度,保温性,遮音性等にも優れてなる。
そして、このハニカムコアHは、更に、母材2たるステンレスやアルミニウム合金の基本性能を生かし、耐熱性,高温強度,耐酸化性,耐食性,加工性等々にも優れており、例えば航空機用や鉄道車輌用の構造材,構造部品としての用途、その他各種の用途に使用される。この金属ハニカムの製造方法では、このようなハニカムコアHが製造される。
すなわち、母材2の離型剤1間の条線状に露出した地肌5が、各々拡散接合対象部4となって接触,当接,密着し、もって母材2のステンレスやアルミニウム合金を構成する金属元素について、原子が粒界面で拡散移動することにより、重積された母材2間が拡散接合される(図4の(1)図,(2)図等を参照)。なお、母材2がアルミニウム合金の場合は、まず、含有されていたマグネシウムMgが蒸発して、アルミニウム合金の地肌5表面を覆っていた酸化皮膜6を破壊,分散せしめることにより、アルミニウムAlが無垢の状態で地肌5に露出し、上述した拡散接合が可能となる(図4の(3)図,(4)図,(5)図等を参照)。
しかる後、このように重積,拡散接合された母材2を、(6)展張工程において、重積方向Dに引張力を加えて展張することにより、母材2は、条線状の拡散接合対象部4の縁に沿って折曲されると共に、離型剤1にて覆われていた非接合部3が、分離,離隔される(図2の(1)図を参照)。
このようにして、ステンレスやアルミニウム合金製の母材2をセル壁8とし、セル壁8にて区画形成された中空柱状の多数のセル9の平面的集合体たる、ハニカムコアHが製造される(図2の(2)図,(3)図等を参照)。製造されたハニカムコアHは、(7)洗浄工程で洗浄される。
そして、(1)準備工程で準備され(2)塗布工程で塗布された離型剤1は、まず(3)UV工程で紫外線硬化型樹脂が硬化,乾燥され(ポリマー化され)、次に(4)重積工程後の(5)接合工程に際し、つまり重積後の母材2間の拡散接合に際し、当初の初期段階の加圧,加熱により、紫外線硬化型樹脂の一部が熱分解,蒸発,消失し、残りが灰化し灰となって残留し、(7)洗浄工程で、離型粉末や灰が除去される。
さてそこで、本発明の金属ハニカムの製造方法では、次の第1,第2,第3,第4,第5,第6のようになる。
そこで、(2)塗布工程において、離型剤1の印刷方式や塗装方式による母材2への塗布作業中に、塗布される離型剤1中に含まれていたバインダー,溶剤,希釈剤等が、100℃未満の温度下つまり塗布作業が行われる温度環境下で、乾燥,揮発,蒸発してしまうようなことはない(図1の(2)図,図3の(1)図を参照)。
そして、(2)塗布工程において塗布された離型剤1は、このように塗布作業中に乾燥しないと共に、次の(3)UV工程において、紫外線を当てることにより容易に硬化,乾燥する。すなわち、離型剤1のバインダーや希釈剤として用いられていた紫外線硬化型樹脂のプレポリマーやモノマーは、(3)UV工程にて紫外線を通過させることにより、簡単容易に極く短時間のうちに、硬化,乾燥したポリマー(含むオリゴマー)となる。
因に、この離型剤1中に含有された紫外線硬化型樹脂は、事後の(5)接合工程において(図1の(4)図,図3の(1)図を参照)、拡散接合当初の加圧,加熱により、大部分が灰化してしまう。なお、一部分が熱分解,蒸発するが、人体に吸い込まれるようなことがあっても、有機系の溶剤のように有害ではない。
b.離型剤1のバインダーや希釈剤として用いられた紫外線硬化型樹脂は、(5)接合工程において、拡散接合当初の加圧,加熱により、その一部が熱分解,蒸発,消失する。
c.残りの灰化した灰は強度がなく体積的にも半分以下となり、拡散接合のための加圧により、セラミックス粉末間の隙間に、事実上無視できる程度に圧縮,充填される(図1の(4)図,図3の(1)図を参照)。
これらにより、拡散接合の初期段階の次の開始段階においては、全体の塗布厚Tが、(2)塗布工程時より極薄化されるようになる。
更にd.この離型剤1では、希釈剤として、15重量%以上のエステル系の紫外線硬化型樹脂のモノマーが用いられており、粘度が低下している。そこで、塗布工程において、これまでより30重量%以上、より薄い塗布厚Tで塗ることができる(図1の(2)図,図3の(1)図を参照)。
このように離型剤1は、(5)接合工程における拡散接合開始時には、極めて薄い塗布厚Tとなっている。そこで、重積された母材2は、このような左右の離型剤1間に条線状に露出した上下の地肌5間が、左右の離型剤1の塗布厚Tに邪魔されることなく、加圧,加熱により、確実に接触,当接,密着するようになる(図3の(2)図,図4の(2)図,図4の(5)図等を参照)。従って、重積された母材2は、相互間が条線状に確実に拡散接合される。
つまり(5)接合工程において、離型剤1の塗布厚Tが支障となって、母材2の拡散接合対象部4たる地肌5間が、ぴったりと接触,当接,密着せず、もって接合強度が不足したり未接合箇所が発生したりすること(製造されたハニカムコアHについて、各セル9間がセル壁8にて確実に区画されない目飛びが発生すること)は、確実に回避される。これらの点は、セルサイズS(図2の(3)図を参照)が例えば10mm以下等、セルサイズSが小さなハニカムコアHを製造する際、特に顕著となる。
すなわち、母材2の肉厚が200μm以下である一般的前提のもと、前述したように0.1g/mm2から10g/mm2程度の低荷重により、ブロック状に重積された母材2を加圧することにより、母材2間が確実に拡散接合される。これに対し、もしも離型剤1の塗布厚Tが30μm程度以上のままの場合において、このような離型剤1の塗布厚Tに邪魔されることなく、母材2の地肌5間の確実な接触,当接,密着そして確実な拡散接合を実現するためには、1Kg/mm2程度の高荷重にて加圧することが必要となる。これらの点は、セルサイズSが例えば10mm以下等、セルサイズSが小さなハニカムコアHを製造する際、特に顕著となる。
このように、(2)塗布工程で塗布される離型剤1について、熱分解,蒸発温度が異なる3種類の成分が、混入されている。
そこで、(5)接合工程における母材2間の拡散接合に際し、このような3種類の紫外線硬化型樹脂は、例えば真空炉内で加圧,加熱されることにより、各々が、異なった温度にて順次、熱分解,蒸発するようになる(勿論、かなりの部分は灰化し灰となって残留する)。
つまり、離型剤1全体として見た場合、熱分解,蒸発は、広い温度範囲のもと段階的に徐々に緩慢なスピードで、ゆっくりと行われるようになる。
そして、もしも離型剤1の紫外線硬化型樹脂が一度に一気に熱分解,蒸発した場合には、例えば真空炉内の真空度が悪化し、完全装置が作動してしまう虞がある。
これに対し本発明では、その熱分解,蒸発は、段階的に徐々に緩慢なスピードで行われるので、真空度の悪化が最小限に抑えられ、拡散接合処理の途中で、安全装置が作動してしまう虞は少ない。
そこで、実際上便宜的に、拡散接合処理の進行のため、安全装置が作動しないようにオフしてしまうこともなくなる。
このように、(5)接合工程における母材2間の拡散接合は、所期のとおり例えば一定の真空雰囲気に保たれた真空炉内で、行われるようになる。もって、加圧,加熱に付随して、母材2の表面部に、皮膜状の炭化物,酸化物,その他の化合物が反応,生成,折出,粗大化するようなこともなくなる。
2 母材
3 非接合部
4 拡散接合対象部
5 地肌
6 酸化皮膜
7 スライス具
8 セル壁
9 セル
D 重積方向
H ハニカムコア
Mg マグネシウム
S セルサイズ
T 塗布厚
Claims (1)
- 箔状のステンレスや、マグネシウムを含有した箔状のアルミニウム合金を、母材とし、該母材に離型剤を、条線状に地肌を残しつつ塗布して、紫外線を当てて硬化させた後、
複数枚の該母材を、該離型剤間に条線状に残されて露出した地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積してから、加圧,加熱することにより、該母材間を、接触した該地肌間にて条線状に拡散接合させた後、
重積方向に引張力を加えて展張することにより、該母材をセル壁とし、該セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体たるハニカムコアを得る、金属ハニカムの製造方法において、
該離型剤として、5重量%以上で60重量%以下であると共に粒径が5μm以下のセラミックス粉末よりなる離型粉末と、熱分解による蒸発温度が異なる2種類の紫外線硬化型樹脂のプレポリマーよりなるバインダーと、エステル系の紫外線硬化型樹脂のモノマーよりなる希釈剤と、を含有してなるものが用いられていること、を特徴とする金属ハニカムの製造方法。
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