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JP4635575B2 - 絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルム、絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶 - Google Patents
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JP4635575B2 - 絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルム、絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶 - Google Patents

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Description

本発明は、絞り・しごき缶に用いられるフィルム被覆金属板に好適な熱可塑性樹脂フィルムに関する。詳細には、絞り・しごき加工などの製缶加工性に極めて優れ、且つ耐デント性も優れるという、相反する特性を両立した金属板貼り合せ成形加工用熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。また、本発明は該熱可塑性樹脂フィルムを被覆したフィルム被覆金属板に関し、さらに、該フィルム被覆金属板を製缶した絞り・しごき缶に関する。
金属缶内壁面及び外壁面の腐食防止方法として、金属缶内壁面及び外壁面に熱可塑性樹脂フィルムを被覆する方法がある。例えば、食品缶詰用の金属材料に被覆するためのポリエステルフィルムが開示されている(下記特許文献1参照)。
上記ポリエステルフィルムは耐スクラッチ性に優れていて、例えば、金属板を円筒成形し、この円筒の上下開口部分に蓋体を巻締め加工するという製缶工程において、巻締め加工などにより被覆金属板を加工する時や、フィルムが被覆された金属板(以下、「フィルム被覆金属板」という)を移送する時に、フィルム表面にスクラッチ傷が発生したりして、商品価値を低下せしめるということが少なくて済む。
又、上記ポリエステルフィルムは、巻締め加工時の耐スクラッチ性に優れ、かつ製缶後に食品を充填後、レトルト処理などの加熱温水処理を行った時のオリゴマー溶出量が少ないので、金属容器の内壁面に被覆するフィルムとして優れている。
ところで、食品用缶には、金属板を円筒成形してなる金属円筒の上下開口部に蓋体を取り付けてなる、所謂3ピース缶の他に、金属板を深絞り成形して容器部を形成し、この容器部の上面開口部に蓋体を巻締め加工してなる、所謂2ピース缶がある。
3ピース缶の場合には、フィルム被覆金属板は円筒状に成形されるだけであるが、2ピース缶の場合には、フィルム被覆金属板は、絞り・しごき成形されることになる。従って2ピース缶に適用するためには、フィルムが、金属板の成形に追随して成形されるという良好な成形性を有し、金属板に対する密着性が優れている必要がある。成形性が不十分であったり、金属板に対するフィルムの密着性が不十分な場合には、フィルムが金属板から剥がれるという、所謂デラミネーション現象が起こったり、2ピース缶の容器部の作製時にフィルムが破れてしまう等の不具合が発生する。2ピース缶に適用するためには下記の数式1で表される缶壁部の板厚減少率が高い加工に耐えるフィルムが必要である。
板厚減少率(%)=((元板厚−缶壁部板厚)/元板厚))×100 … 数式1
さらに、絞り加工では、深絞り成形用加工ポンチの下降・上昇を繰返しながらフィルム被覆金属板を容器状に加工していくため、容器内壁面側に被覆されるフィルムにおいてはポンチとの離型性が要求され、同様に容器外壁面に被覆されるフィルムにおいてはダイスとの離型性が要求される。即ち、2ピース缶用の被覆フィルムにおいて良好な製缶性を得るには、密着性と離型性という相反する要素を兼ね備える必要があり、この点で前出の特許文献1に開示されたポリエステルフィルムは、2ピース缶用の被覆フィルムとして使用するには不十分なものであった。
また、製缶され、食品充填後の流通段階や低温保管時に、外部からの衝撃を受けてフィルムの破れ等が発生すると、容器内の食品の品位を著しく損なうことになるため、該フィルムには耐衝撃性、耐腐蝕性(これらをまとめて耐デント性とする)が要求されることとなる。即ち、2ピース缶用の被覆フィルムにおいては上記の製缶性と耐デント性を両立させることが必要となり、この点で前出の特許文献1に開示されたポリエステルフィルムは、2ピース缶用の被覆フィルムとして使用するには不十分なものであった。
特開平7―227946号公報
本発明の目的はこのような事情に鑑みてなされたものであり、金属板、特に所謂2ピース缶用の金属板被覆フィルムとして適用可能な、良好な成形性を有し、密着性に優れた絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムを提供し、該フィルムを被覆した、成形加工性に優れた絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板を提供し、さらに、該フィルム被覆金属板を用いた、耐デント性に優れ、外観特性にも優れるポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は下記の構成を有する。
(1)ポリエステルA層とポリエステルB層の二層よりなり、該ポリエステルB層が、ポリエステル原料成分中の全酸成分の1〜8モル%が炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸であるポリエステルよりなる積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムは、該積層ポリエステルフィルムを該ポリエステルB層が金属板に接するように金属板に貼り合わせ、該積層ポリエステルフィルムの融点以上の熱で再溶融して急速冷却させた後、50℃環境下で鋼球を滑走子としたときの該ポリエステルA層表面の動摩擦係数が、0.30以下であることを特徴とする絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルム。
(2)前記ポリエステルA層が金属板との非被覆面側となり、かつワックスを含有してなることを特徴とする(1)に記載の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルム。
(3)前記(1)又は(2)記載の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムを、前記ポリエステルB層を被覆面として、金属板の少なくとも一方の面に被覆してなることを特徴とする、絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板。
(4)前記(3)記載の絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板を成形加工してなることを特徴とする、ポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、特に2ピース缶用の被覆フィルムとして使用した場合、良好な成形性を有し、極めて密着性に優れたフィルムであり、該フィルムを被覆した本発明のフィルム被覆金属板は成形加工性に優れ、さらに、該フィルム被覆金属板を成形加工した本発明のフィルム被覆金属缶は耐デント性に優れ、また外観特性にも優れるものである。
本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層及びポリエステルB層の二層構成であり、それぞれ、耐熱性および保香性などの点から熱可塑性ポリエステル樹脂から主としてなり、該ポリエステルB層を金属板に接する層とする積層ポリエステルフィルムである。
前記ポリエステルA層を構成する成分としては、本フィルムの特性を損なわない範囲で、どのジカルボン酸成分・ジオール成分を用いてもよい。
例えば、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、その他オキシカルボン酸、脂環族ジカルボン酸を用いることができる。
また、ジオール成分としてはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムにおいて、上記ポリエステルA層を構成する熱可塑性ポリエステル樹脂は、更に詳細には結晶性のポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)とを配合した混合ポリエステルを主成分として使用することが好ましい。
上記混合ポリエステルを使用する場合、PET/PBT=20〜80/80〜20重量%、特に40〜60/60〜40重量%の比率で配合することが好ましい。ポリブチレンテレフタレートの比率が20重量%未満であると飲食料品の充填プロセスにおける温水処理によって被覆フィルムが不均一に白化するという外観不良をもたらす場合があり、80重量%を超えると白化防止という前記の機能が飽和し、かつ生産性・原料コストの面からも経済的に不利になる可能性があるためである。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは、上記積層ポリエステルフィルムを、ポリエステルB層を金属板に接する層として金属板上に貼り合わせてフィルム被覆金属板とし、そのフィルムの融点以上の熱で再溶融して急速冷却させた後、50℃環境下で鋼球を滑走子としたときのフィルム表面(即ちポリエステルA層表面)の動摩擦係数が0.30以下であることが必要である。該動摩擦係数が0.30を超えると、成形加工性(製缶性)が低下し収率が悪くなるため好ましくない。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムにおいて、フィルム表面の動摩擦係数0.30以下を達成するためには、金属板との非接触面側となるポリエステルA層側にワックスが添加されており、且つ後述するポリエステルB層のポリエステル原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸含有量が全酸成分の1〜8モル%の範囲内であることが必要である。
添加されるワックスとしてはポリオレフィン系ワックス、ポリエステル系ワックス等の合成ワックス、カルナバワックス等の天然ワックス等が使用できる。例えばポリエチレンワックス等が好適に使用される。
前記ポリエステルA層側に添加されるワックス量は特に限定しないが、ポリエステルA層の構成樹脂に対し500ppm〜2000ppmの範囲で添加されることが好ましい。500ppm未満では、50℃環境下での鋼球を滑走子としたときのフィルム表面の動摩擦係数が0.30以下となりにくく成形加工性の向上効果が得られない場合があり、2000ppmを越えて含有しても成形加工性の効果が変わらず、コスト的に不利になり易いからである。
該ポリエステルA層側には滑剤として不活性無機粒子や架橋高分子粒子等を用いることが好ましい。滑剤量も特に限定しないが、0.01〜2重量%の範囲であることが好ましい。当該フィルムが絞り加工を受ける際に、ポンチやダイスとスムーズに離型させるために、0.01重量%以上の滑剤量が好ましいからである。一方、2重量%を超える量を含有しても離型性の効果が変わらず、コスト的に不利になり易いからである。
前記の不活性無機粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化リチウム、硫酸バリウム、カーボンブラック等が使用できる。
また前記の架橋高分子粒子としては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のアクリル系単量体、スチレンやアルキル置換スチレン等のスチレン系単量体等と、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメチルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメチルアクリレート等の架橋性単量体との共重合体;メラミン系樹脂;ベンゾグアナミン系樹脂;フェノール系樹脂;シリコン含有系樹脂等が使用できる。
前記粒子系滑剤の平均粒径は、1〜3μmが好ましい。1μm未満ではポンチ離型性の改良効果が発現できない場合が多いからであり、逆に3μmを越えるとポンチ離型性の向上効果が飽和する一方、摩耗による滑剤の脱落が起こりやすくなったり、金属板との被覆時にフィルム破断が起こる場合があるからである。
フィルム表面の動摩擦係数は温度によって変化する。この動摩擦係数の温度変化は少ないほど好ましい。絞り加工においては、ポンチの下降・上昇を繰返しながらフィルム被覆金属板を容器状に加工していくため、加工開始から終了までに摩擦による温度上昇が避けられず、動摩擦係数の温度変化が大きいと加工ポンチの離型性が変化し、成形性が劣化する可能性があるためである。
動摩擦係数の温度変化は、加工開始時(フィルム表面温度約23℃)から加工終了時(同約50℃)までの動摩擦係数の変化割合として次式の動摩擦係数比で表され、この値が1に近いほど良好だが、1.3以下であれば大きな問題は生じない。
(50℃での動摩擦係数)÷(23℃での動摩擦係数)=動摩擦係数比
また、本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムの表面層、即ちポリエステルA層においては製缶ラインでの防汚性、缶内面への使用の場合における保香性等の点から低分子量化合物含有量が少ないものほど好ましく、エチレンテレフタレート環状三量体をはじめとするオリゴマー環状三量体の含有量は、好ましくは0.7重量%以下である。これはフィルムからオリゴマーが析出するのを抑制し、製缶ラインが汚染されにくくするためである。また、缶内面に用いる場合には飲料などの食料品を充填し、レトルト処理などの加熱処理を行ったときに、オリゴマーが多量に溶出し、更にこのオリゴマーが食品に移行して、食品の味や匂いに対して悪影響を及ぼすことを防ぐためである。
前記のオリゴマー環状三量体含有量を0.7重量%以下にする方法は特に限定しないが、例えば、[1]フィルム形成後に、このフィルムから水または有機溶剤で環状三量体を抽出除去する方法、[2]環状三量体の少ないポリエステルを用いる方法などが挙げられる。これらのうち、[2]の方法の方が経済的で好ましい。
上記[2]の方法において、環状三量体の含有量の少ないポリエステルを製造する方法も限定されず、固相重合法;重合後、減圧加熱処理により、あるいは水または有機溶剤による抽出により環状三量体を抽出除去する方法;及びこれらの方法を組み合わせた方法などが挙げられる。特に、固相重合法により環状三量体含有量の少ないポリエステルを製造した後、得られたポリエステルを水で抽出してさらに環状三量体を低減させる方法は、フィルム形成工程での環状三量体の生成量も低減できるので最も好ましい。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムにおいて、金属板に接する層であるポリエステルB層は、そのポリエステル原料成分中の全酸成分の1〜8モル%が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸であることが必要である。特に好ましくは2〜4モル%の範囲である。炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸はフィルムの耐衝撃性を向上させるために含有されるもので、含有量が1モル%未満では、低温(約5℃)での耐衝撃性が得られず、フィルムが破れたり、傷が入ったりして好ましくない。一方、含有量が4モル%を超えると、製缶条件によっては製缶性に低下がみられる場合があり、8モル%を越えると前記した動摩擦係数を0.30以下に抑えることが困難になり、製缶性が著しく悪化し収率が低下するため好ましくない。炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸としては、デカンジカルボン酸、ダイマー酸等を挙げることができる。又、炭素数10以下の脂肪族ジカルボン酸では上記したフィルムの耐衝撃性の向上効果は得られず好ましくない。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムにおいて、ポリエステルB層は、ポリエステルB層のポリエステル原料成分中の全酸成分の1〜8モル%が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸であること以外は特に限定されないが、耐熱性および保香性などの点からポリエチレンテレフタレートを主成分として用いることが好ましい。例えばジカルボン酸成分としてテレフタル酸と上記ダイマー酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いた共重合ポリエチレンテレフタレート(共重合PET)を構成成分とした、混合ポリエステル樹脂を用いることができる。詳細には原料成分中のジカルボン酸成分がテレフタル酸単位(a)モル%、ダイマー酸(炭素数36個)単位(b)モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PET(c)重量%と、PET残部とを混合した、混合ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ここでa、b、cは、a+b=100、b×c÷100=1〜8となるように設定すれば良く、例えばa=90、b=10、c=40で配合した場合、ポリエステルB層のポリエステル原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸の割合は、全酸成分の4モル%となる。
前記ポリエステルB層を構成する成分としては、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を1〜8モル%含む他は、本フィルムの特性を損なわない範囲で、どのジカルボン酸成分・ジオール成分を用いてもよい。
例えば、ジカルボン酸成分として、上記テレフタル酸の他に、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、その他オキシカルボン酸、脂環族ジカルボン酸を用いることができる。
また、ジオール成分としては上記エチレングリコールの他に、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
上記ポリエステルA層及びポリエステルB層に用いられるポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法などの従来公知の方法により合成される。これらの方法はそれぞれ、回分式および連続式のいずれの方法で行ってもよい。あるいは、分子量を高めるために固相重合法を用いてもよい。固相重合法は、前記のように環状三量体の含有量を低減させる点からも好ましい。このようにして合成されるポリエステルは、当該フィルムに1種類だけ含まれていてもよいし、2種以上が混合して含まれていてもよい。
上記ポリエステルA層及びポリエステルB層に用いられるポリエステルには、上記化合物の他、必要に応じて、無機微粒子、非相溶の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤などの添加剤が含有され得る。特に酸化防止剤を0.01〜1重量%含有することは好ましい実施態様である。
また、前記ポリエステルA層及びポリエステルB層に用いられるポリエステルは、昇温時の結晶化ピーク温度が50〜150℃の範囲に存在することが好ましい。結晶化ピーク温度が50℃より低いと成膜性が悪化するおそれがあり、逆に150℃を超えると温水処理時に結晶白化を起こし易くなる場合があるためである。
前記各種成分を混合したときの前記ポリエステルA層及びポリエステルB層に用いられるポリエステルの極限粘度は、0.6〜1.2dl(デシリットル)/gの範囲であることが好ましい。極限粘度が0.6dl/g未満の場合には、得られるフィルムの力学特性が低下するおそれがあり、1.2dl/gを越えても力学特性の効果は変わらず、また原料のポリエステルの生産性も低下し、経済的に不利になる場合があるからである。
本発明の絞り・しごき缶被覆用フィルムは前記したようにポリエステルA層及びポリエステルB層を積層してなる二層構成である。積層方法も特に制限はなく、例えばA層用ポリエステルとB層用ポリエステルをそれぞれ別の押出機で所定の温度で溶融し、それぞれの溶融体をダイ内で合流させた後、冷却ドラム上にフィルム状に押し出し、積層フィルムとする多層押出し法で製造してもよいし、あるいは押出し被覆法等で製造してもよい。積層後は、必要に応じて急冷し、延伸処理を施して本発明の積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルA層とポリエステルB層の層比率は30〜70/70〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは50〜60/50〜40重量%の比率である。ポリエステルB層の比率が30重量%未満では、耐衝撃吸収層としてのポリエステルB層が薄くなるため、低温(約5℃)での耐衝撃性が得られないおそれがあり、70重量%を超えると逆にポリエステルB層が厚くなりすぎて成膜性、耐熱性が低下する場合があり、又、前記した動摩擦係数を0.30以下に抑えることが困難になり、製缶性が悪化し収率が低下する可能性が高くなるからである。
また、ポリエステルB層は、金属板との接着性を向上させるため、その表面に水分散型高分子化合物からなるコーティング層を有していても良い。本発明において、水分散型高分子とはそれ自身は水には不溶であるが、水系溶媒に分散または溶解することが出来る高分子化合物をいう。具体的には分子内に親水性基を有するモノマー成分を共重合した高分子化合物が挙げられる。このような高分子化合物を用いることにより金属板との優れた密着強度を実現することが出来る。また、有機溶剤を使用しないことにより、人体や環境への影響を低減することが出来る。
上記水分散型高分子化合物からなるコーティング層については、所謂コーティングにより、1nm〜50nmの厚みに制御されてなることが好ましい。コート厚みが1nm以下ではコート層が所謂膜割れを起こし、適正な樹脂膜を形成しにくく、50nmを超えても過剰品質であり、経済的に好ましくないからである。このコーティング処理に関しては、ポリエステルA層及びポリエステルB層の成膜中(インライン)の延伸膜でも成膜後(オフライン)のフィルムに処理してもどちらでも良い。
上記水分散型高分子化合物としては、親水性基を有するモノマー成分を共重合したポリエステル樹脂が挙げられる。親水性基とは、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基または、それらの誘導体や金属塩基、エーテル基等であり、これらの基を分子内に含むモノマーを共重合し、水に分散可能な状態で存在するものである。
親水性基を含むモノマーとしては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のスルホン酸含有モノマーの金属塩等が挙げられる。
また、上記共重合ポリエステルに、親水性基を有するピニル系モノマーをグラフト重合させる方法がある。上記親水性基を有するビニル系モノマーとしては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基等を含むもの、親水性基に変化させることができる基としては酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを含むものが挙げられる。なかでもカルボキシル基を有するものが好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及びそれらの塩等のモノマーである。
尚、上記コーティング層については、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上であることが好ましい。
本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムは二軸延伸フィルムであっても、無延伸フィルムであってもよい。ここで、二軸延伸法としては、遂次二軸延伸、同時二軸延伸、それらを組み合わせたいずれの方法であってもよい。そして遂次二軸延伸の場合は、一般的には縦方向に延伸した後、横方向に延伸する方法が採用されているが、逆の順序で延伸する方法で実施してもかまわない。また二軸延伸後、熱処理によりポリエステルの配向を固定することが好ましいが、二軸延伸後、熱処理工程に供する前に長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。さらに、延伸工程またはその前後において、フィルムの片面または両面にコロナ放電処理や所定の塗布処理を施すことも何ら制限を受けない。
本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムは、前記ポリエステルB層側を被覆面として金属板の少なくとも一方の面に被覆して、絞り・しごき缶用金属板として好適に使用できる。
本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムを金属板に被覆する方法は特に限定せず、例えば、ドライ被覆法、サーマル被覆法などを採用することができる。具体的にはポリエステルB層の融点以上に金属板を加熱し、その金属板の表面にポリエステルB層が接するようにフィルムを接触させ、かかる状態でニップロール間を通過させる。次いで、10〜40℃で急冷硬化させることにより、被覆する。ニップロールを通過させた後、必要に応じて、フィルムの融点以上で再溶融してもよい。
また、本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムは、金属板の片面だけに被覆しても、両面に被覆してもよく、両面被覆の場合は同時に被覆しても遂次で被覆してもよい。
本発明において、用いる絞り・しごき缶被覆用フィルムを二軸延伸フィルムとし、かつフィルム被覆金属板を2ピース缶に適用する場合、被覆の後にポリエステルの分子配向を除去するために、フィルムを構成するポリエステルの融点以上で加熱するリメルト(再溶融)処理を行うことが好ましい。リメルト直後には冷却水等の使用による急冷却を実施することが好ましい。なぜならば、リメルト後、大気中での放冷等を例とした除冷却のみではポリエステルが冷却固化する過程で結晶化が起こり易く、その後の製缶プロセスにおいて絞り・しごき加工を受ける際、ポリエステルがその加工による変形に追随しにくくなり、結果として製缶できなくなる場合があるからである。
前記リメルト処理後のX線観察による分子配向度は10%以下で、実質的に無配向と言えるものである。つまり、ポリエステルが配向状態にある二軸延伸フィルムでは、塑性変形しにくく、且つ、延びにくいため、容器部を形成するための絞り成形工程を実施しにくくなり、場合によっては絞り・しごき成形時に金属板から剥がれるというデラミネーション現象が起こり易くなり、破れ、削れ等が発生する可能性が高くなる。一方、実質的に無配向であれば、被覆している金属板の変形に追随できるので、デラミネーションや破れ等を生じることなく、2ピース缶用として金属の塑性変形を伴う成形を行うことができる。
本発明では金属板として、ティンフリースティール等の表面処理鋼板、あるいはアルミニウム板又はアルミニウム合金板、あるいは表面処理を施したアルミニウム板又はアルミニウム合金板が使用できる。また、その厚さは、特に限定しないが、材料の費用や製缶加工速度等に代表される経済性、一方では材料強度の確保の点から、好ましくは100〜500μm、より好ましくは150〜400μmである。
本発明では金属板上の樹脂膜厚みは特に限定されないが、10〜50μmが被覆効果(防錆性)および耐衝撃性、さらには経済性の点から好ましい実施態様である。該樹脂膜厚みが10μm未満では、耐衝撃性が得られない可能性があり、50μmを超えると過剰品質となり、経済的に好ましくない場合が多い。
本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムは、上述のようにポリエステルB層側を被覆面として金属板の少なくとも一方の面に被覆して、絞り・しごき缶用金属板とし、該絞り・しごき缶用金属板を製缶して絞り・しごき缶とする場合に好適に使用できる。
上記絞り・しごき缶は、本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムを被覆した金属板を適宜成形してなる金属缶であり、その金属缶の形状、金属缶を成形する方法は、特に限定しない。具体的には、天地蓋を巻き締めて内容物を充填する、いわゆる3ピース缶は勿論、金属板を絞り成形して容器部を形成する2ピース缶などが挙げられる。特に上記絞り・しごき缶としては2ピース缶が好適である。
本発明のポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶において、本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムは、金属缶の内壁面側になるように成形してもよいし、外壁面側になるように成形してもよい。
尚、絞り・しごき成形を行う場合、必要に応じて、ポンチが接触するフィルム表面に、潤滑剤を塗布してもよい。
本発明の絞り・しごき缶には、必要に応じて印刷等を施してもよく、また製缶工程・印刷工程等の後、再リメルト処理を行ってもかまわない。
以下、実施例を挙げて本発明の内容及び効果を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下に本発明における各種評価方法を示す。
(1)鋼球を滑走子とする動摩擦係数
i)50℃環境下での鋼球動摩擦係数
実施例1、2、及び比較例1、2で作成したリメルトアルミニウム板の測定箇所に、50℃の環境下にて鋼球3個を三角形状に配置、固定させ、前記測定箇所と3点で接触(各鋼球で1点ずつ接触)するように滑走子(重量=0.5kg)をセットし、速度200mm/分で滑走させた時の動摩擦係数を測定した。
ii)23℃環境下での鋼球動摩擦係数
23℃環境下にて測定を実施する以外は、上記測定と同様の方法で行った。
iii)動摩擦係数比
(上記i法での鋼球動摩擦係数)÷(上記ii法での鋼球動摩擦係数)
=動摩擦係数比
とした。
(2)温水白化性(温水処理後の白化程度)
実施例1、2、及び比較例1、2で作成したリメルトアルミニウム板を製缶して得た缶を、更に270℃で40秒間加熱した後水中冷却したものをサンプルとする。このサンプルを80℃の温水中に10分間浸漬した後、水中急冷して得た缶を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:白化が目立たない
×:白化によりアルミニウム合金板の色が見えない
(3)成形加工性(製缶性:缶内面樹脂と加工ポンチの離型性)
実施例1、2、及び比較例1、2で作成したリメルトアルミニウム板をn=10で製缶し、成形缶上部に起こる座屈程度を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:缶開口部の座屈未発生
×:缶開口部円周の1/3以上に座屈発生
(4)耐衝撃性(耐デント性)
実施例1、2、及び比較例1、2で作成したリメルトアルミニウム板を製缶して得た缶を280℃で40秒加熱後水中冷却した缶の胴壁中央部より7cm角のサンプルを切り出す。このサンプルの評価をしない面に対して先端径10mmφの重り(600g)を高さ10cmから落して衝撃を付与した。ついで衝撃を与えた部分の評価を実施する面を7%の希塩酸に浸漬させ、3日後に該部の腐蝕状態を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:腐蝕未発生
×:腐蝕発生
[実施例1]
(積層ポリエステルフィルムの作製)
ポリエステルA層:ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、固相重合法にて合成したポリエチレンテレフタレート(PET)と、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを用い、同じく固相重合法にて合成したポリブチレンテレフタレート(PBT)とを、PET/PBT=40/60重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)0.3重量%とポリエチレンワックスを1000ppm含有させた、極限粘度0.7dl/g、エチレンテレフタレート環状三量体が0.4重量%のポリエステル組成物A1を用いた。
ポリエステルB層:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位90モル%、炭素数36個のダイマー酸単位10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%よりなるダイマー酸共重合PETを用い、この共重合PETとPETを、共重合PET/PET=40/60重量%の比率で混合した、ポリエステル組成物B1を用いた。
実施例1のポリエステル組成物B1における原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、前述したbとcがそれぞれb=10、c=40になるため、10×40÷100=4、即ち全酸成分の4モル%となる。
ポリエステル組成物A1及びポリエステル組成物B1をそれぞれパドルドライヤで乾燥させ、別々の単軸式押出機直上の漏斗状のホッパに供給し、それぞれ押出機内で溶融させた。それぞれの溶融体を、ポリエステル組成物A1/ポリエステル組成物B1=50/50重量%の比率となるようそれぞれの押出機から押し出し、ダイ内で合流させた後、押し出し急冷して未延伸積層シートを得た。
この未延伸積層シートを、予熱温度65℃、延伸温度100℃で、縦方向に3.3倍延伸し、さらにテンター中で予熱温度65℃、延伸温度90℃で、横方向に4.0倍延伸した後、160℃にて8秒間熱処理を行い、160℃で4%の弛緩処理を行い、厚さ20μm(ポリエステルA層の厚み10μm、ポリエステルB層の厚み10μm)の二軸延伸積層フィルムを得、絞り・しごき缶被覆用フィルムとした。
(フィルム被覆金属板の作製)
予熱したアルミニウム板の両面に、上記で作製した積層ポリエステルフィルムのポリエステルB層がアルミニウム板と接するように、ニップロール間を通過させて被覆した後、熱処理を行い、直後に10〜40℃の水槽中で急冷し、両面にフィルムが被覆されたアルミニウム板を得た。被覆時には、初期密着性や張力変動、ニップロールへの巻き付き等もなく、本実施例の積層ポリエステルフィルムの被覆適性は良好であった。次に、積層ポリエステルフィルムを被覆したアルミニウム板を、275℃で加熱した後冷却して、リメルトアルミニウム板を作製し、絞り・しごき缶用金属板とした。該絞り・しごき缶用金属板の23℃環境及び50℃環境下での鋼球動摩擦係数を測定した。又、得られたデータから動摩擦係数比を算出し、表1記載のとおり良好な結果を得た。
(フィルム被覆金属缶の作製)
上記で作製したリメルトアルミニウム板を、板厚減少率30%となるように、絞り・しごき成形を行ってポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶を作製した。成形時には、フィルムの剥離や破れはなく、金型との離型性等もよく、また熱処理後の急冷時にもフィルムの白化による外観変化はなかった。
さらに外面を印刷した後、ニスを塗布し、加熱硬化後、冷風で冷却した。
このようにして成形した金属缶に飲料を充填し、タブの付いた蓋を巻き締め接合後、100℃で30分間温水処理をして、2ピース飲料缶を製造した。
製造された飲料缶は、表1に示したように製缶時の成形加工性も良く、温水処理による白化、白化斑もなく、また飲料へのオリゴマーの溶出やフィルムからの析出もなかった。さらに流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してもフィルムの破れ等もなかった。
[実施例2]
ポリエステルA層:実施例1のポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)とを、PET/PBT=50/50重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)0.3重量%とポリエチレンワックスを500ppm含有させた、極限粘度0.7dl/g、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物A2を用いた。
ポリエステルB層:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位90モル%、炭素数36個のダイマー酸単位10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PETを用い、この共重合PETとPETを、共重合PET/PET=10/90重量%の比率で混合した、ポリエステル組成物B2を用いた。
実施例2のポリエステル組成物B2における原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、前述したbとcがそれぞれb=10、c=10になるため、10×10÷100=1、即ち全酸成分の1モル%となる。
これ以降のフィルム積層工程、フィルム被覆金属板、フィルム被覆金属缶の作製工程、評価については実施例1に準ずる。
製造されたフィルム被覆金属板の23℃環境及び50℃環境下での鋼球動摩擦係数、及び動摩擦係数比は、表1記載のとおりで良好な結果を示した。
製造された飲料缶は、実施例1と同様に、製缶時の成形加工性も良く、温水処理による白化、白化斑もなく、また飲料へのオリゴマーの溶出やフィルムからの析出もなかった。さらに流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してもフィルムの破れ等はなかった。
こうして製缶性と耐デント性の両立した絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルム、絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶を得ることができた。
[比較例1]
ポリエステルA層:実施例1のポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)とを、PET/PBT=60/40重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)0.3重量%とポリエチレンワックスを700ppm含有させた、極限粘度0.7dl/g、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物A3を用いた。
ポリエステルB層:PETのみを用い、ポリエステル組成物B3とした。従って、比較例1のポリエステル組成物B3における原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、0モル%となる。
これ以降のフィルム積層工程、フィルム被覆金属板、フィルム被覆金属缶の作製工程、評価については実施例1に準ずる。
製造されたフィルム被覆金属板の23℃環境及び50℃環境下での鋼球動摩擦係数、及び動摩擦係数比は、表1記載のとおりで良好な結果を示した。
製造された飲料缶は、製缶性は良好であり、飲料へのオリゴマーの溶出やフィルムからの析出もなかったが、温水処理による白化、白化斑は許容範囲外であり、かつ流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してフィルムの破れ等が発生した。製缶性と耐デント性のバランスはとれなかった。
[比較例2]
ポリエステルA層:実施例1のポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)とを、PET/PBT=40/60重量%の比率で配合した混合ポリエステルをベース樹脂とし、凝集タイプのシリカ粒子(平均粒径1.5μm)0.3重量%とポリエチレンワックスを1000ppm含有させた、極限粘度0.7dl/g、エチレンテレフタレート環状3量体が0.4重量%のポリエステル組成物A4を用いた。
ポリエステルB層:ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位90モル%、炭素数36個のダイマー酸単位10モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール単位100モル%であるダイマー酸共重合PETが100重量%であるポリエステル組成物B4を用いた。
従って比較例2のポリエステル組成物B4における原料成分中の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸(=ダイマー酸)の割合は、前述したbとcがそれぞれb=10、c=100になるため、10×100÷100=10、即ち全酸成分の10モル%となる。
これ以降のフィルム積層工程、フィルム被覆金属板、フィルム被覆金属缶の作製工程、評価については実施例1に準ずる。
製造されたフィルム被覆金属板の23℃環境及び50℃環境下での鋼球動摩擦係数、及び動摩擦係数比は、表1に記載のとおりで好ましい結果を得ることはできなかった。
製造された飲料缶は、実施例1と同様に、温水処理による白化、白化斑もなく、また飲料へのオリゴマーの溶出やフィルムからの析出もなかった。さらに流通段階や低温保管時に予想される外部からの衝撃に対してもフィルムの破れ等はなかったものの、製缶時の成形加工性に劣り収率は非常に悪く、製缶性と耐デント性のバランスはとれなかった。






Figure 0004635575
本発明の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムは、特に2ピース缶用の被覆フィルムとして使用した場合、良好な成形性を有し、極めて密着性に優れたフィルムであり、該フィルムを被覆した本発明のフィルム被覆金属板は成形加工性に優れ、かつ、該フィルム被覆金属板を成形加工した本発明のフィルム被覆金属缶は耐デント性に優れ、また外観特性にも優れる。

Claims (3)

  1. ポリエステルA層とポリエステルB層の二層よりなり、該ポリエステルB層は、該ポリエステルB層のポリエステル原料成分中の全酸成分の1〜4モル%が炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸であり、ポリエステルA層が金属板との非被覆面側となり、かつワックスを含有してなることを特徴とするポリエステルよりなる積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムは、該積層ポリエステルフィルムを該ポリエステルB層が金属板に接するように金属板に貼り合わせ、該積層ポリエステルフィルムの融点以上の熱で再溶融して急速冷却させた後、50℃環境下で鋼球を滑走子としたときの該ポリエステルA層表面の動摩擦係数が、0.30以下であり、該動摩擦係数を23℃環境下と50℃環境下にて測定した場合の下記式(1)の動摩擦係数比が1.3以下であることを特徴とする絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルム。
    (50℃での動摩擦係数)÷(23℃での動摩擦係数)=動摩擦係数比 式(1)
  2. 請求項1記載の絞り・しごき缶被覆用ポリエステルフィルムを、前記ポリエステルB層を被覆面として、金属板の少なくとも一方の面に被覆してなることを特徴とする、絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板。
  3. 請求項2記載の絞り・しごき缶用ポリエステルフィルム被覆金属板を成形加工してなることを特徴とする、ポリエステルフィルム被覆絞り・しごき缶。
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