JP4636664B2 - 化学反応促進用マイクロ波供給装置を設けた高温高圧容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、化学反応の促進または収率の向上を可能にする、化学反応促進用マイクロ波供給装置を設けた高温高圧容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波を利用した化学反応は試みられ始めて15年程度と年月が浅く、系統的な化学の基礎が整っておらず、工業技術への展開のための基礎的設計概念を与えるような体系は存在しない。しかしながら、マイクロ波による著しい反応速度(または収率)の向上や従来の加熱法とは異なる反応が促進するなどマイクロ波による化学反応促進効果が認められている(特開平11−21127)。これらの効果はしばしばマイクロ波による加熱効果以外の効果または加熱効果以上の効果という観点からマイクロ波効果またはマイクロ波電界効果或いは非熱的効果と呼ばれている。また、非熱的効果に加え局所加熱反応促進効果および局所反応場の形成による反応促進効果なども示唆されている。
【0003】
一般に高温高圧下での被処理物を処理することにより化学反応は促進される。そのための加熱源としては電気ヒーター、バーナー、蒸気などが使用されるが、それらは何れも被加熱物を外部からまたは表面から加熱する手法である(外部加熱法)。現在稼働している化学プラントもその多くは外部加熱法を用いている。本装置は現在稼働しているプラントを改造しマイクロ波を導入し、マイクロ波加熱を利用することにより、又外部加熱とマイクロ波加熱の併用により反応プロセス、収率、反応時間を改善し化学反応を促進させ省エネルギー型プロセスを可能とする。
【0004】
高温高圧条件下でのマイクロ波による加熱装置としては、特開平4−272688、特開平5−251175、特開平5−251176、実開平5−72092が有るが、何れもマイクロ波は単なる加熱源として使用しているにすぎず、また、マイクロ波の供給方法も高温高圧容器の壁部分に窓またはブロックを取付けマイクロ波を供給するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の方法または装置では、窓またはブロックは、耐熱、耐圧、耐腐食の特性を一度に有する材料および構造が必要であり、また、従来の装置では高温高圧容器内の任意の位置にマイクロ波を供給することができないという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来の装置の有する問題点を解決することを課題とする。より具体的には本発明は、窓の制限を緩和した化学反応促進用マイクロ波供給装置を設けた高温高圧容器を提供することを目的とする。
また本発明は、局所的に高温高圧状態を形成させることができ、そのような局所反応場形成により反応を促進させることができる化学反応促進用マイクロ波供給装置を設けた高温高圧容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、貫通口を有する耐圧容器と、耐圧容器の内側に設置された耐熱および耐食性の密閉式反応容器とを備え、先端部に第1の窓を設置した中空の導波管または同軸線路を有する化学反応促進用マイクロ波供給装置の前記先端部を前記貫通口に挿入して耐圧容器内に位置するように設けて導波管または同軸線路を介して被加熱物にマイクロ波を照射するための高温高圧容器であって、耐圧容器と反応容器の内圧を等しくするための制御手段を設けたことを特徴とする高温高圧容器を要旨としている。
【0007】
上記の反応容器が、マイクロ波透過性物質で構成された密閉式反応容器であることを特徴とする高温高圧容器を要旨としている
【0008】
また本発明は、上記の耐圧容器の外側に位置する導波管または同軸線路の途中に設置した第2の窓を備えることを特徴とする高温高圧容器を要旨としている。
【0009】
また本発明は、上記の耐圧容器内に取付けた圧力センサーを上記の第1の窓と第2の窓の間にも取付け、第1の窓と第2の窓の間の内圧を制御できるようにした、好ましくは高温高圧条件での反応時に第1の窓と第2の窓の間の内圧を耐圧容器の内圧と等しくなるように制御したことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記の導波管または同軸線路の複数本を耐圧容器中に導入し、反応容器中の大容量の被加熱物を均一に、かつ、広い範囲に加熱できるようにしていることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記の耐圧容器としての管路中に上記の導波管または同軸線路の複数本を流れに沿って配置し、反応容器中を流通する被加熱物を連続的に加熱できるようにしたことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記の容器中の被加熱物は、マイクロ波吸収体および/またはマイクロ波吸収性触媒を存在させた高温高圧反応系、亜・超臨界状態にある高温高圧流体系、および/または、電解反応系・光化学反応系・超音波を用いた反応系・外部加熱法を用いた反応系であることを特徴としている。
【0013】
温度センサーおよび圧力センサーを容器内に取付け、それらセンサーの検出値にもとづきマイクロ波出力を制御して容器内の圧力および温度を設定値に保持できるようにしたことを特徴としている。
【0014】
容器に観測用窓を取付け、目視、ファイバースコープによる観測およびリアルタイムでの分光計測を可能にしたことを特徴としている。
【0015】
【実施の形態】
本発明の耐圧容器および反応容器で構成される高温高圧容器への化学反応促進用マイクロ波供給装置は、次の構成を備えることを特徴とする。
中空の導波管または同軸線路を高温高圧容器を構成する耐圧容器中に導入し、その開口部が反応容器中の被加熱物の任意の位置を効率的にマイクロ波により加熱できるようにすること。
複数の導波管または同軸線路を耐圧容器中に導入し、反応容器中の大容量の被加熱物を均一に又広い範囲に加熱できるようにすること。
管路中に複数の導波管または同軸線路を流れに沿って配置し、反応容器中に流通する被加熱物を連続的に加熱できるようにすること。
超臨界状態へマイクロ波により加熱し化学反応を促進できるようにすること。
加熱手段にマイクロ波加熱と外部加熱とを併用すること。
温度センサーを反応容器内に取付け、および圧力センサーを耐圧容器内に取付け、それらセンサーの検出値にもとづきマイクロ波出力を制御して高温高圧容器内の圧力および温度を設定値に保持できるようにすること。
耐圧容器に観測用窓を取付け、目視およびリアルタイムでの分光計測が可能にすること。
【0016】
(1)高温高圧容器は耐圧容器および反応容器で構成され、耐圧容器の内側に耐熱および耐食性の密閉式反応容器を備え、耐圧容器と反応容器の内圧を等しくしたものである。したがって、導波管または同軸線路の第2の窓は基本的には必要がない。
(2)導波管または同軸線路は、開口部に仕切窓としての第1の窓を設置したものであり、好ましくは2つの仕切窓により密閉されている。第1の窓は導波管または同軸線路開口部(マイクロ波照射部、耐圧容器内)に、第2の窓は容器の外側に夫々設置されている。
(3)反応容器はマイクロ波透過性物質(例:石英やテトラフルオロエチレン等)で構成された密閉式反応容器である。
(4)連続式の場合、金属製耐圧容器内にマイクロ波透過性物質で構成された密閉式反応容器がある。反応容器内圧と耐圧容器内圧を等しくなるように制御する。
(5)反応容器は主に耐熱・耐食性であり、第1の窓は主に耐熱・耐圧性(第2の窓がある場合は耐熱性のみ)であり、第2の窓は主に耐圧性であり、これらを使い分け制限を緩和する。
(6)高温高圧条件の反応では、容器の圧力(耐圧容器と反応容器の内圧)と第1の窓と第2の窓の間の圧力が等しくなるように第1の窓と第2の窓の間の圧力を制御する。
これにより第1の窓の前後の圧力は等しいため、第1の窓の構造としては主に耐熱・耐腐食という観点からのみその構造を考慮すれば良く薄いシート構造を適用することが可能となる。
また、第2の窓は耐圧容器の外側に設置されるため第2の窓の構造としては主に耐圧という観点からのみその構造を選択すれば良い。
この様に第1の窓と第2の窓の構造を使い分けることにより、高温高圧容器に対する窓の制限を緩和することができる。
【0017】
(7)上記手法によりマイクロ波の浸透深さを考慮し、適当な周波数を選択することにより開口部近傍のみを局所的に加熱することが可能となる。
(8)また加熱したい部分が2箇所以上有る場合は、上記導波管または同軸線路を複数本耐圧容器中に導入することにより、マイクロ波透過性物質で構成された反応容器中の大容量の被加熱物に対しても均一に又広い範囲を加熱することができる。
(8)連続式(流通式)反応の場合には上記導波管または同軸線路を複数本間隔を空けて耐圧容器に取り付けることにより、反応容器中を流通する被加熱物を連続的に加熱することができる。
(9)付加的に冷却、溶液導入などの工程を取り入れることができる。
(10)温度をモニターしマイクロ波出力を制御することにより被加熱物の温度むらを小さくすることができる。
【0018】
【作用】
上記のように構成した化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する本発明の高温高圧容器は、第1の窓は耐熱性と耐腐食性を考慮すれば良く、強度は考慮しなくても良いので薄いシート状の構造が採用でき、高温高圧の高温高圧容器に対する窓の制限を緩和することができる。
【0019】
さらに本発明の化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する高温高圧容器は、次の作用・効果を奏するものである。被加熱物の任意の位置を効率的にマイクロ波により加熱することができる。大容量の被加熱物を均一に又広い範囲に加熱することができる。管路中を流通する被加熱物を連続的に加熱することができる。亜・超臨界状態にある高温・高圧流体系にマイクロ波を導入し化学反応を促進させることができる。反応プロセス、収率、反応時間の改善を図ることができる。反応温度を一定に保つことができ、また、反応状況を目視またはリアルタイムで監視することができる。
高温高圧反応系にマイクロ波吸収体および/またはマイクロ波吸収性触媒を存在させることにより、局所的に高温高圧状態を形成させることができる。そのような局所反応場の形成により反応を促進させることができる。
【0020】
【実施例】
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0021】
実施例1
図1は、本発明の第1実施例を示し、耐圧容器および反応容器で構成される高温高圧容器の耐圧容器の天板を貫通して該容器内に先端部が位置するように設けた導波管または同軸線路の挿入端に第1の窓(窓1)を設け、耐圧容器と反応容器の内圧を等しくし、マイクロ波発信器により発振したマイクロ波を導波管または同軸線路を介してマイクロ波透過性物質(石英)でできている反応容器内の被加熱物に照射するように構成してある。
本例では、第2の窓がないので、第1の窓の構造としては主に耐熱・耐圧という観点からその構造を選択することができる。
【0022】
実施例2
図2は、本発明の第2実施例を示し、耐圧容器および反応容器で構成される高温高圧容器の耐圧容器の天板を貫通して該容器内に先端部が位置するように設けた導波管または同軸線路の挿入端に第1の窓(窓1)を設け、導波管または同軸線路の他方の途中に第2の窓(窓2)を設け、耐圧容器内と導波管内を等圧にし、マイクロ波発信器により発振したマイクロ波を導波管または同軸線路を介してマイクロ波透過性物質(石英)でできている反応容器内の被加熱物に照射するように構成してある。
したがって、高温高圧条件の反応では、耐圧容器の圧力と第1の窓と第2の窓の間の圧力が等しくなるように第1の窓と第2の窓の間の圧力を制御すると、第1の窓の前後の圧力は等しくなるので、第1の窓の構造としては主に耐熱・耐腐食という観点からのみその構造を考慮すれば良く薄いシート構造を適用することが可能となり、また、第2の窓は高温高圧の耐圧容器の外側に設置されるため第2の窓の構造としては主に耐圧という観点からのみその構造を選択することができる。
【0023】
上記の導波管または同軸線路は、耐圧容器の天板に摺動可能に装着することができる。その場合、中空の導波管または同軸線路が耐圧容器中に導入され、その開口部が反応容器中の被加熱物(液体またはスラリー)に近接し、被加熱物の任意の位置を効率的にマイクロ波により加熱することができ、また、触媒反応において触媒部のみを選択的に加熱することができる。
開口部が反応容器中の被加熱物に近接し、マイクロ波の浸透深さを考慮し、適当な周波数を選択することにより開口部近傍のみを局所的に加熱することが可能となる。
【0024】
実施例3
図3および図4は、本発明の第3実施例を示し、反応容器に相当する管路を耐圧容器に相当する管路内に同心状に配置した高温高圧容器であって、耐圧容器に相当する管路中に侵入するように複数の導波管または同軸線路を流れに沿って配置し、複数本の導波管または同軸線路の挿入端に第1の窓を設け、導波管または同軸線路の途中に第2の窓を設け、耐圧容器内と導波管内(第1の窓、第2の窓内)を等圧にし、マイクロ波発信器により発振したマイクロ波を導波管または同軸線路を介してマイクロ波透過性物質でできている反応容器内の被加熱物に照射するように構成してある。
したがって、反応容器に相当する管路中を流通する液体を連続的に加熱することができ、さらに、付加的に冷却装置や溶液導入などの工程を取り入れることができ、流路中に温度計Tを配置して温度をモニターしマイクロ波出力を制御することにより被加熱物の温度を設定値に保持することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、高温高圧容器における窓の制限を緩和した化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する高温高圧容器を提供することができる。また、局所的に高温高圧状態を形成させることができ、そのような局所反応場形成により反応を促進させることができる化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する高温高圧容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する高温高圧容器の第1実施例の概念図である。
【図2】本発明の化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する高温高圧容器の第2実施例の概念図である。
【図3】本発明の化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する高温高圧容器の第3実施例の概念図である。
【図4】本発明の化学反応促進用マイクロ波供給装置を有する高温高圧容器の第3実施例の概念図である。
【符号の説明】
G 圧力計
P 加圧ポンプ
T 温度計
V 圧力調整バルブ
Claims (13)
- 貫通口を有する耐圧容器と、耐圧容器の内側に設置された耐熱および耐食性の密閉式反応容器とを備え、先端部に第1の窓を設置した中空の導波管または同軸線路を有する化学反応促進用マイクロ波供給装置の前記先端部を前記貫通口に挿入して耐圧容器内に位置するように設けて導波管または同軸線路を介して被加熱物にマイクロ波を照射するための高温高圧容器であって、耐圧容器と反応容器の内圧を等しくするための制御手段を設けたことを特徴とする高温高圧容器。
- さらに、先端部に第1の窓を設置した中空の導波管または同軸線路を有する化学反応促進用マイクロ波供給装置を備えることを特徴とする請求項1の高温高圧容器。
- 上記の反応容器が、マイクロ波透過性物質で構成された密閉式反応容器であることを特徴とする請求項1または2の高温高圧容器。
- 上記の導波管または同軸線路が、耐圧容器の外側に位置する導波管または同軸線路の途中に設置した第2の窓を備えることを特徴とする請求項1、2または3の高温高圧容器。
- 上記の第1の窓と第2の窓の間の内圧と耐圧容器の内圧を等しくするための制御手段を設けたことを特徴とする請求項4の高温高圧容器。
- 高温高圧条件での反応時に第1の窓と第2の窓の間の内圧を耐圧容器の内圧と等しくなるように制御可能に構成したことを特徴とする請求項5の高温高圧容器。
- 上記の耐圧容器が、上記の導波管または同軸線路を複数本導入するための貫通口を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの高温高圧容器。
- 上記の耐圧容器が、液体を連続的に流通する管路であり、当該管路中に上記の複数本の導波管または同軸線路を流れに沿って配置し、反応容器中を流通する被加熱物を連続的に加熱できるようにしたことを特徴とする請求項7の高温高圧容器。
- 上記の反応容器中の被加熱物が、マイクロ波吸収体および/またはマイクロ波吸収性触媒を存在させた高温高圧反応系である請求項1ないし8のいずれかの高温高圧容器。
- 上記の反応容器中の被加熱物が、亜・超臨界状態にある高温高圧流体系である請求項1ないし9のいずれかの高温高圧容器。
- 上記の反応容器中の被加熱物が、電解反応系、光化学反応系、超音波を用いた反応系および/または外部加熱法を用いた反応系である請求項1ないし9のいずれかの高温高圧容器。
- 上記の反応容器に温度センサーおよび圧力センサーを取付け、それらセンサーの検出値にもとづきマイクロ波出力を制御して反応容器内の圧力および温度を設定値に保持できるようにしたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかの高温高圧容器。
- 上記の耐圧容器に観測用窓を取付け、目視、ファイバースコープによる観測およびリアルタイムでの分光計測を可能にしたことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかの高温高圧容器。
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