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JP4638591B2 - 新規酵母及び酵母エキス - Google Patents
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JP4638591B2 - 新規酵母及び酵母エキス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規酵母エキスとその製造方法に関する。酵母エキスは天然調味料として利用されている。
【0002】
【従来の技術】
酵母エキスの工業的生産は、主としてパン酵母、ビール酵母、キャンディダ属の酵母を消化することにより行われ、生成されるアミノ酸やペプチド、ヌクレオチドの呈味成分からなる天然調味料として利用されてきた。これらの酵母エキスはビーフ代替や複雑味を付与するための隠し味に使用されている。これらの旨味は、ペプチド成分やイノシン酸、グアニル酸等のヌクレオチド成分の呈味に大きく依存したものであり、旨味力価はあまり高くはなく、酵母エキスの持つ不快な酵母臭の存在により、食品への添加量をあまり増やすことができないことから、その用途は限られたものになっていた。さらに酵母エキスの味質はペプチドやヌクレオチドが中心であり、幅の広い比較的濃厚な後味を特徴としたものであり、先味感のあるすっきりとした旨味には乏しい。
【0003】
酵母エキスの旨味力価を高めるため、また、いわゆる先味感を呈するアミノ酸と後味感を呈するヌクレオチド成分からなる複合調味料的特性を目指すため酵母エキスに添加物としてグルタミン酸ナトリウム等を添加(以下「外添」という。)した調味料も製造されている。しかし、近年の天然志向、健康志向に伴いグルタミン酸ナトリウムを添加した調味料を嫌う消費者が増加し、調味料業界も天然調味料を志向する趨勢になっている。このような背景から、グルタミン酸ナトリウムを外添することなく旨味力価が高い酵母エキス、即ちグルタミン酸含量が高い酵母エキスが望まれていた。
【0004】
原核生物、即ちコリネ型細菌や大腸菌等を用いたグルタミン酸の工業的生産方法は従来から広く知られているところである。たとえば、前記細菌のトリカルボン酸サイクルの1酵素である2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性を低下させることにより生産培地中にグルタミン酸を多量に放出蓄積させた例が報告されている。しかし、これら細菌細胞内のグルタミン酸濃度が増加したか否かについては知られていなかった。更に、たとえ酵母細胞のKGD活性を低下させたとしても、真核生物である酵母は複雑な代謝制御系に支配されており、KGD活性の低下のみでグルタミン酸が蓄積されるとは考えられていなかった。
【0005】
一方、グルタミン酸のアナログに耐性を有する酵母の変異株を培養することにより、酵母細胞内に直接グルタミン酸を蓄積させることも試みられている。細胞内の遊離グルタミン酸濃度が高い酵母を消化することによりグルタミン酸含量が高い酵母エキスが製造できることはEP592785に開示されているが、その酵母エキスの味のバランスや酵母臭に関する記述がないため、旨味力価の増加は想像できるもののそれ以外の効果については確認できない状況である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、グルタミン酸を外添することなくグルタミン酸含量が高い酵母エキスを製造する技術を確立し、その味質に及ぼす効果を確認することを目的として検討を開始した。
【0007】
すなわち、本発明は外添でないグルタミン酸の含有量を好ましくはエキス固形分に対して約3%以上に高めたことにより、旨味力価が高く且つ単にグルタミン酸を外添した場合には得られない味の厚みをもった酵母エキスを提供する。
【0008】
本発明はさらに、上記酵母エキスの製造方法ならびに上記酵母エキスの製造に用いる、細胞内に乾燥菌体1g当たり15mg以上の遊離グルタミンを含有する酵母を提供する。
【0009】
本発明はさらに、上記酵母の取得方法も提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(1)2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ(KGD)及び/又はグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)の活性を低下させた酵母の中に、細胞内の遊離グルタミン酸及び遊離グルタミンの濃度が上昇するものが存在すること、(2)このような酵母をグルタミナーゼの存在下に消化することにより、グルタミン酸含量が高い酵母エキスが製造できること、(3)このようにして製造された酵母エキスの味は、驚くべきことに従来の酵母エキスにグルタミン酸を外添したものに比べて味の「厚み」が強いことを見出した。更に、(4)KGD活性とともにグルタミンシンセターゼ(GS)活性を低下させた酵母はグルタミン酸を選択的に細胞内に蓄積するものの、それより得られた酵母エキスはグルタミン酸を外添したものと同様に「厚み」の少ないものであることを確認し、本発明に到達した。
【0011】
即ち、本発明の本質は細胞内に遊離のグルタミンを蓄積する酵母から酵母エキスを製造した場合には、特異的にその味の「厚み」が増大することを見出したことにある。更には、細胞内に蓄積されたグルタミンをグルタミナーゼでグルタミン酸に変換することにより、旨味力価も同時に高めることが可能となることも本発明を構成するもう1つの要素である。以下本発明を詳細に説明する。
遊離グルタミンを蓄積する酵母
使用する酵母としては食品として許容される酵母であればよく、サッカロミセス属、キャンディダ属、ハンゼヌラ属、ピキア属等に属する酵母が例示されこれらを元株として利用することができるが、サッカロミセス属等の1倍体胞子を形成する能力と雌雄交雑による2倍体化が可能な酵母であることが以下に述べる育種を実施する上で望ましい。
【0012】
本発明の細胞内遊離グルタミン濃度が高い酵母は、グルタミン酸やグルタミンの代謝に関与する酵素系の遺伝子に変異を導入することにより育種可能である。変異を導入する遺伝子としては、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子kgd1、グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子gad1があげられる。但し、これらの遺伝子に対して変異を導入しても全ての酵母で細胞内遊離グルタミン量が増加するわけではなく、変異の導入により細胞内遊離グルタミン量が増加する酵母株を選択することが重要である。
【0013】
近年の遺伝子操作技術の進歩に伴い、酵母の特定の遺伝子に特定の変異を導入することは容易に実施可能であり、遺伝子破壊の技術や部位特異的突然変異の技術を用いることにより、kgd1やgad1に変異を導入し、これらの遺伝子産物の活性が低下した株や欠損した株を作製することができる。特にサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ではゲノムの全塩基配列が公知となっており、PCRの技術を用いて容易にkgd1やgad1遺伝子をクローニングすることが可能である。目的とする遺伝子の少なくとも一部を含むDNA断片をPCRにより増幅し、これを大腸菌の宿主−ベクター系を用いてクローニングする。クローニングされた断片の塩基配列を確認し、変異を導入したい遺伝子の断片であることを確認した後、変異の導入に使用する。サッカロミセス・セレビシエ以外の酵母を用いる場合でも、サッカロミセス・セレビシエのゲノムの配列を基に設計したプライマーを用いてPCRを行うことにより、目的の遺伝子を増幅することが可能な場合もある。また、PCRでのクローニングが困難である場合には、目的の遺伝子産物(酵素)を精製し、そのアミノ酸配列を調べることによりクローニング用のプライマーやプローブを設計して確度高くクローニングを行うことも可能である。
【0014】
クローニングしたkgd1、gad1等を含む遺伝子断片を用いてこれら遺伝子に変異を起こす方法として、遺伝子破壊によるものが便利である。即ち、目的とする遺伝子のコーディング領域の一部であり、かつ蛋白質のN−末端およびC−末端に相当する部分を含まないDNA断片を制限酵素等を用いて切り出し、これを酵母用のyIp型ベクターに接続する。これを用いて酵母の形質転換を行い、遺伝子破壊株を選択する。酵母の形質転換用ベクターとしては、抗生物質等の薬剤耐性遺伝子をマーカーに利用したものが形質転換株を選択する上で有利である。
【0015】
遺伝子破壊以外の方法として、部位特異的突然変異(Nucleic Acids Res. 10, 6487-6500 (1982))も利用することができる。公知の定法を用いて、クローニングしたDNA断片のコーディング領域に欠失、挿入、置換等の変異を導入する。この場合は、変異が導入された株を効率よく検出するためには、薬剤耐性マーカーを有するyEp型やyRp型のプラスミドとの同時形質転換を行い、薬剤耐性を示すコロニーから選択することにより、目的の変異が導入された株を高頻度に選択することが可能になる。
【0016】
こうして変異を導入したDNAを酵母のゲノムへ導入する工程にも形質転換法が利用できる。すなわち変異が導入されたDNA断片を用いて酵母の形質転換を行い、変異DNAがゲノムDNAと置換された酵母を選択する。形質転換には公知の定法、即ちプロトプラスト法、アルカリ・カチオン法やエレクトロポレーション法が利用できる。目的の変異がゲノム中に導入されたかどうかは、PCRによる確認も可能であるし、遺伝子産物である酵素の活性を定法(α-ketoglutarate dehydrogenase:J. Biol. Chem 249,3660-3670(1969), Advance in Biophysics(Kotani,M.,ed) Vol 9,pp.187-227,Univ. of Tokyo press, Glutamate decarboxylase: Meth.Biochem.Anal. 4,285-306 (1957), Biochem.Biophys.Res. Commun. 28,525-530(1967), Biochemistry 9,226-233(1970), Glutamine synthetase: Anal.Biochem., 95, 275-285 (1979))に従い測定することでも確認できる。
【0017】
先にも述べたように、酵母の中にはKGDやGADの活性を低下させることによりグルタミンやグルタミン酸を細胞内に高濃度に蓄積するものとしないものとが存在するが、一方、遺伝子工学の技術、即ち遺伝子破壊や部位特異的突然変異を用いることにより、これらの差を容易に判別できることが可能となり、選別された優秀な株を育種の元株として利用することにより、確度高く本発明の酵母が育種可能となることを意味する。具体的には、遺伝子破壊や部位特異的突然変異を用いてこれらの変異(遺伝子破壊)を導入後、該酵母を培養し、公知の方法を用いて細胞内の遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度を測定することにより、本発明に利用可能な酵母を選択することができる。変異株(遺伝子破壊株)選択の基準は、細胞内に多くのグルタミン酸やグルタミンを蓄積していることである。そのような酵母をグルタミナーゼ存在下に消化することでグルタミン酸含量が高く、かつ味に厚みのある酵母エキスが製造できる。
【0018】
細胞内グルタミン及びグルタミン酸濃度は以下のようにして測定する。酵母の培養液より遠心分離により酵母菌体を集め、適宜水洗を行った後に凍結乾燥を行う。凍結乾燥した酵母菌体(重量既知)を水に懸濁後、ガラスビーズで破砕し、さらにその遠心上清に対して熱水抽出を行う。これをそのまま、及びグルタミナーゼ反応を行ったものの双方につき、アミノ酸分析等の既知の方法でグルタミン酸濃度を測定し、グルタミナーゼ反応の前後におけるグルタミン酸濃度を比較することにより細胞内遊離グルタミン酸と遊離グルタミンの濃度が算出される。また、アミノ酸分析装置の条件を変更することにより、グルタミナーゼ反応前の抽出液におけるグルタミンとグルタミン酸とをそれぞれ同時に定量することも可能である。
【0019】
酵母にkgd1またはgad1変異を単独で導入した場合には、酵母の乾燥重量1g当たり16〜22mgの遊離グルタミンと21〜30mgの遊離グルタミン酸が蓄積され、この酵母を消化することで固形分当たり12〜15%のグルタミン酸を含む酵母エキスが製造できる。このようにして得られた酵母エキスの呈味の特徴は、単にグルタミン酸を所要量外添して製造されたものに比して旨味の感応時間が長く、かつこく味、塩なれ効果等が付随しており、更に味に厚みが加わって全体的に調和のとれたものである。この呈味の特徴は酵母エキス中のグルタミン酸において、少なくとも3%以上が細胞内遊離グルタミン由来であることに一応の臨界的意義があると推察される。そしてこの3%以上の遊離グルタミンを乾燥酵母1g中の量に換算すると少なくとも15mgになる。
【0020】
細胞内にグルタミンが蓄積する酵母を消化することにより味に厚みのある酵母エキスができる理由は明らかではないが、グルタミンの蓄積により細胞内窒素代謝のバランス、即ちアミノ酸と有機酸とのバランスが変化し、その結果厚みのある酵母エキスができるものと推察される。また酵母を消化する際にグルタミナーゼ反応の工程を追加することで遊離のグルタミンを効率よくグルタミン酸に変換することができ、旨味力価の点でも優れた酵母エキスが製造できる。旨味力価の高い酵母エキスを製造するためには、細胞内の遊離グルタミンと遊離グルタミン酸との濃度の合計が30mg/g乾燥菌体以上となることが望ましい。
【0021】
本発明において、KGDおよびGADの活性を低下させることにより細胞内グルタミンが増加する酵母の具体例として、サッカロミセス・セレビシエIFO10150があげられる。この株は実験室酵母として財団法人発酵研究所より誰でも購入可能である。サッカロミセス・セレビシエIFO10150に対し、kgd1遺伝子破壊を実施することにより、この株は細胞内に16mg/g乾燥菌体以上と、元株の約2.5倍の遊離グルタミンを蓄積する。またこの株に対してgad1遺伝子破壊を行うと、細胞内遊離グルタミン含量は21mg/g乾燥菌体となる。さらにkgd1とgad1の両者を破壊した場合には24mg/g乾燥菌体の遊離グルタミンを蓄積できる。
【0022】
一方、同じサッカロミセス・セレビシエでもYPH499、YPH500、YPH501株(何れもストラタジーン(Stratagene)社より購入可能)に対しkgd1破壊を行っても、細胞内遊離グルタミン量は4.0〜4.8mg/g乾燥菌体程度と、元株と比べてほとんど増加しない。これらの株に対してgad1遺伝子破壊を行うと、細胞内遊離グルタミンは僅かに増加し6.0〜6.4mg/g乾燥菌体となるが、kgd1とgad1の双方を破壊してもgad1破壊株と比べてグルタミン量は増加しない。
【0023】
実用酵母においても同様に遺伝子破壊によるグルタミン蓄積量が変化する株と変化しない株に選別することができる。通常実用酵母は2倍体の形で存在するが、これより胞子を形成させ、1倍体の形で遺伝子破壊による評価を行う。胞子形成により得られる1倍体酵母の中で、遺伝子破壊により細胞内遊離グルタミン量が増加する株を選別することができる。選択された1倍体酵母に対し、部位特異的突然変異(Nucleic Acids Res. 10, 6487-6500 (1982))や、通常の変異誘発剤を用いた突然変異の誘発を実施し、KGDやGADの活性が低下した株を選択することにより、本発明の酵母が育種できる。一般に1倍体酵母は2倍体酵母に比べて生育速度が遅い場合が多いことから、育種された1倍体酵母を元に2倍体酵母を作製することも交雑や細胞融合の技術を用いれば可能である。
【0024】
また、遺伝子破壊や部位特異的突然変異を導入した酵母をそのまま酵母エキスの製造に利用することは可能であるが、組換えDNA技術を用いて作製した酵母を食品原料として利用するためのガイドラインはまだ制定されていない。そこで、組換えDNA技術を利用することなく上記のような酵母を育種することが実質的には重要になってくる。遺伝子破壊などの操作により選択された元株、即ち部位特異的突然変異や遺伝子破壊により選択された元株、即ち細胞内グルタミン量を増加させる能力のある株を元株とし、これらに紫外線照射や変異誘導物質による突然変異を施し、KGDやGAD活性の低下した株を選択することで食品衛生上問題のない酵母を育種することができる。幸いにも、kgd1破壊株はエタノール、グリセリンまたはピルビン酸等を単一炭素源として生育できない表現型を有する場合が多く、これを指標として目的の変異株を選択することも可能である。また、直接細胞内グルタミン濃度を測定することによっても目的の変異株が選択できる。選択された変異株は、そのままでは生育速度や収率が悪い場合が多いため、交雑や細胞融合を繰り返すことにより生育速度や収率がよく、かつ細胞内グルタミン濃度が高い株を育種することができる。
酵母エキスの調製
酵母の培養方法は既知の方法と何ら変わりはない。蔗糖やグルコース、液糖、廃糖蜜等を炭素源として、アンモニアや尿素を窒素源として含む培地で該酵母を培養する。酵母によるアルコール発酵を抑えるため、酸素の供給は充分に行う必要があるが、酸素が過剰に供給されるとグルタミン酸やグルタミンの蓄積が低下する場合もあるため、あらかじめ酵母株毎に最適の酸素供給量を求めておくと良い。培養終了後、遠心分離や濾過により酵母菌体を集める。
【0025】
集めた酵母菌体より酵母エキスを得る場合も公知の方法が利用可能である。典型的な例を示せば、酵母に水を添加し、酵母の細胞壁を溶解することにより内部に含まれる成分を抽出する。その後、酵母の有する酵素および/または外部から添加した酵素により酵素分解する。
【0026】
酵母の有する酵素で自己消化するには、40〜55℃で6〜72時間反応すればよい。
酵素を添加して消化する場合は、タンパク質の分解にはプロテアーゼ、細胞壁の溶解には細胞壁溶解酵素、グルタミンのグルタミン酸への変換にはグルタミナーゼ、呈味性核酸の生成にはデアミナーゼおよびヌクレアーゼ等を必要に応じて添加する。酵素を添加する際は、原料酵母由来の酵素が存在していてもよいし、失活していてもよい。
【0027】
酵素を添加する順序は、先ず細胞壁溶解酵素を添加し、次いで必要に応じてプロテアーゼを添加して反応させる。その後、さらにグルタミナーゼを添加して反応させてもよい。グルタミナーゼとの反応は、グルタミン酸の量を高めて酵母エキスの呈味力価を高めるため本発明の好ましい態様である。さらに、得られた酵母エキスの核酸成分による旨味を向上させるため、酵母の核酸をエキス中に抽出することも好ましい。その場合は、反応物をpH8.5付近で約65℃、2時間程加熱することにより酵母中の核酸を十分に効率良くエキス中に抽出することができる。こうして得られた酵母エキスは、さらに例えば約90℃、30分程度の加熱により菌体内の酵素および添加した各種酵素を失活させることが好ましい。
【0028】
上記の各種酵素は、市販されている酵素をそのまま使用することができる。例えば、プロテアーゼとしてはプロテアーゼA「アマノ」(天野製薬)、プロテアーゼN「アマノ」(天野製薬)等が、細胞壁溶解酵素としては、YL−15(天野製薬)、キタラーゼM(クミアイ化成)等が、グルタミナーゼとしてはグルタミナーゼダイワC100(大和化成)、グルタミナーゼF「アマノ」(天野製薬)等が、デアミナーゼとしてはデアミザイム(天野製薬)、ヌクレアーゼとしてはヌクレアーゼ「アマノ」(天野製薬)が挙げられる。これらの酵素は通常、原料に対して0.01%〜5%(好ましくは0.1〜2%)が添加される。プロテアーゼの反応はpH4〜7(好ましくは5〜6)、温度40〜60℃(好ましくは40〜55℃)で行い、反応時間は1〜72時間(好ましくは16〜24時間)が適当である。その他の各酵素反応の温度は各酵素の至適温度、至適pH域であれば問題ない。各反応時間はそれぞれ0.5〜8時間(好ましくは1〜4時間)が適当である。
【0029】
これらにより、本発明の酵母を消化して得られたエキスの乾燥固形分中のグルタミン酸量は12%以上となる。酵素反応後は酵素を熱失活し、遠心分離もしくはフィルタープレス等で菌体残渣を除き上清を得る。目的に応じて上清はUFやMF等で膜濾過し、澄明化を行うとよい。得られた液を目的の固形分量まで濃縮する。濃縮以外に粉末化をおこなってもよい。粉末化はスプレードライや凍結乾燥などを適宜選択するとよい。粉末化の際に助剤を用いてもよい。このようにして製造された酵母エキスはグルタミン酸の旨味が強く酵母エキスの複雑な呈味と相俟って良好な呈味を示すとともに、グルタミン酸を外添した場合には見られない厚みがあり、調味料として非常に好ましい呈味を示す。
【0030】
以下実施例により本発明の詳細を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】
遺伝子破壊株の作製と確認は以下に示す方法を用いた。
(1)2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(kgd1)のクローニングと遺伝子破壊
サッカロミセス・セレビシエIFO10150より、ニッポンジーン社製ゲノム抽出キット(ISOPLANT)を用いてゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNA約100ngに、配列表の配列番号1に示したプライマーDNA約1μgと配列表の配列番号2に示したプライマーDNA約1μgを加えた。これを液量50μlで宝酒造社製LA−Taqを用いてPCRを行った。PCRの条件は、95℃0.5分、55℃1分、72℃1.5分の25サイクルとした。約1.3kbの断片の増幅を確認し、これをQIAGEN社製DNA精製キットで精製した。PCR産物を制限酵素SacIで消化し、pKF18のSacI切断点に組み込み、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)JM109株(宝酒造社より購入)にエレクトロポレーション法により導入した。組み換えプラスミドを調整後、挿入断片のDNA配列を確認した結果、挿入断片は配列表の配列番号3に示すDNA配列を有することを確認した。挿入断片はサッカロミセス・セレビシエのkgd1遺伝子のコーディング領域(1015アミノ酸残基をコードしている)の中で80番目から497番目のアミノ酸残基に相当する部分であった。
【0032】
この挿入断片を再度SacIで切り出し、yIp型のシャトルベクターであるpAUR101(宝酒造)のSacI切断点に組込んだ組換えプラスミドpAUR101−KGD1を作製した。このプラスミドには挿入断片中に制限酵素NruI切断点が存在するため、この制限酵素で切断したプラスミドを用いてエレクトロポレーション法により酵母の形質転換を実施した。YPD寒天培地(10g/L酵母エキス,20g/Lペプトン,20g/Lグルコース,20g/L寒天)上で0.5μg/mlのオーレオバシジンに耐性を示す形質転換株につき、Shiio, I. and Ujigawa-Takeda, K., Agric.Biol.Chem., 44, 1897-1904 (1980)に記載された方法で2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性を測定した。
【0033】
(2)グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(gad1)のクローニングと遺伝子破壊
PCRのプライマーとして配列表の配列番号4および5のDNAを用いた。酵母のゲノムDNAを鋳型とし、上記と同じ条件でPCRを行い、約1.0kbの断片の増幅を確認した。増幅されたDNAを精製した後、制限酵素SacIで消化し、pKF18のSacI切断点に挿入した。挿入断片のDNA配列を配列表の配列番号6に示した。この断片は、サッカロミセス・セレビシエのgad1遺伝子のコーディング領域(586アミノ酸残基をコードしている)の中で141番目から461番目までのアミノ酸残基に相当する部分であった。
【0034】
この挿入断片を酵母のyIp型ベクターであるpI−RED1(東洋紡績)に組み込み、pI−RED1−GAD1を得た。このプラスミドが挿入断片上に唯一有する制限酵素切断点NruIでプラスミドDNAを消化し、これを用いてエレクトロポレーション法により酵母の形質転換を行った。YPD寒天培地上で100μg/mlのシクロヘキシミドに耐性を示す形質転換株につき、Okada, Y. and Shimada, C., Brain. Res., 98, 202-206 (1975)に記載された方法を用いてグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を測定した。ただし、この活性測定の際に行うγ‐アミノ酪酸量の測定は島津製作所製アミノ酸分析装置ALC−1000を用いて定量した。
【0035】
(3)グルタミンシンセターゼ遺伝子(gln1)のクローニングと遺伝子破壊
PCRのプライマーとして配列表の配列番号7および8のDNAを用いた。酵母のゲノムDNAを鋳型とし、上記と同じ条件でPCRを行い、約0.4kbの断片の増幅を確認した。増幅されたDNAを精製した後、制限酵素SacIで消化し、pKF18のSacI切断点に挿入した。挿入断片のDNA配列を配列表の配列番号9に示した。この断片は、サッカロミセス・セレビシエのgln1遺伝子のコーディング領域(351アミノ酸残基をコードしている)の中で92番目から232番目までのアミノ酸残基に相当する部分であった。
【0036】
この挿入断片を酵母のyIp型ベクターであるpI−RED1に組み込み、pI−RED1−GLN1を得た。このプラスミドが挿入断片上に唯一有する制限酵素切断点Eco0109IでプラスミドDNAを消化し、これを用いてエレクトロポレーション法により酵母の形質転換を行った。YPD寒天培地上で100μg/mlのシクロヘキシミドに耐性を示す形質転換株につき、Stadtman, E. R. et al, Anal. Biochem., 95, 275-285 (1979)に記載された方法を用いてグルタミンシンセターゼ活性を測定した。
【0037】
(4)細胞内遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度の測定
合成培地(6.7g/LYeast Nitrogen Base(Difco社製),20g/Lグルコース,必要に応じて0.5μg/mlのオーレオバシジンまたは100μg/mlのシクロヘキシミドを添加した)50mlを含む500ml容バッフル付きフラスコで、30℃、120rpmのロータリーシェーカーにより18時間の振盪培養を行った。酵母菌体を1500×gで4℃、5分の遠心分離により集菌し、2回水洗を行った後、洗浄菌体を回収した。これを凍結乾燥して乾燥菌体重量を測定した。乾燥菌体約30mgを1.5ml容エッペンドルフチューブに入れ、これに450μlの蒸留水と480mgのガラスビーズ(BRAUN社製、0.45−0.50mm)を加え、トミー社製マイクロチューブミキサーを用いて最大回転数にて2分間攪拌した。これを氷上で2分間冷却した。この操作を4回繰り返すことにより、酵母細胞を破砕した。遠心分離(10000×g、4℃、5分)により上清を回収し、これを95℃で15分間加熱して蛋白を沈殿させた。反応物の一部を取り、残りに10mg/mlのグルタミナーゼ ダイワC−100の溶液を等量添加し、37℃で20分反応させた。遠心分離(10000×g、4℃、5分)により沈殿物を除去した。グルタミナーゼ反応前後のサンプルにつき島津製作所製アミノ酸分析装置ALC−1000を用いてアミノ酸分析を行い、両者の差からグルタミンの量を求めた。分析されたグルタミン及びグルタミン酸の量と、用いた酵母乾燥菌体重量から細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸量を求めた。
【0038】
(5)酵母の培養
酵母をYPD平板培地で一昼夜培養後、一白金耳を合成培地(6.7g/LYeast Nitrogen Base(Difco社製),20g/Lグルコース,必要に応じて0.5μg/mlのオーレオバシジンまたは100μg/mlのシクロヘキシミドを添加した)10mlに接種し、上記(4)と同様の条件で30℃で24時間培養した。この培養液のOD660nmを分光光度計UV-160A(島津製作所)で測定した。次にこの培養液をシードとし、50mlの合成培地に対しOD660nm値が0.063±0.002となるように接種し、30℃で18時間培養した。得られた培養液を遠心分離(1500xg,5分)し、得られた菌体を生理食塩水で洗浄した。洗浄後、上記と同様の条件にて遠心分離し、菌体を集めた。
【0039】
実施例1
組換えプラスミドpAUR101−KGD1のNruI消化物を用いてサッカロミセス・セレビシエIFO10150の形質転換を行った。オーレオバシジン耐性を示すコロニーにつき、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性がないことを確認した(0.62nmol/min/mg protein以下)後、細胞内遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度を測定した。対照として、pAUR101で形質転換したIFO10150を用いた。細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸の濃度は、対照株でそれぞれ7.4mg/g乾燥菌体、10.6mg/g乾燥菌体であったのに対し、遺伝子破壊株ではそれぞれ16.2mg/g乾燥菌体、21.5mg/g乾燥菌体であった。
【0040】
実施例2
組み換えプラスミドpI−RED1−GAD1のNruI消化物を用いてサッカロミセス・セレビシエIFO10150の形質転換を行った。シクロヘキシミド耐性を示すコロニーにつき、グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性がない(0.01U/mg以下)ことを確認後、細胞内遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度を測定した。対照としてベクターDNAによる形質転換株を用いた。細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸の濃度は、対照株でそれぞれ6.8mg/g乾燥菌体、10.3mg/g乾燥菌体であったのに対し、遺伝子破壊株ではそれぞれ21.2mg/g乾燥菌体、27.1mg/g乾燥菌体であった。
【0041】
実施例3
上記実施例1で得られた形質転換株に対し、さらに実施例2と同様の方法を用いてGAD1遺伝子を破壊した。酵素活性を確認することにより遺伝子破壊を確認し、細胞内グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度の測定を行った。遺伝子を2重に破壊した株では、細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸の濃度はそれぞれ24.2mg/g乾燥菌体、29.7mg/g乾燥菌体であった。
【0042】
比較例1
組換えプラスミドpAUR101−KGD1のNruI消化物を用いてサッカロミセス・セレビシエYPH499の形質転換を行った。オーレオバシジン耐性を示すコロニーにつき、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性がないことを確認した後、細胞内遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度を測定した。対照として、pAUR101で形質転換したYPH499を用いた。細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸の濃度は、対照株でそれぞれ4.6mg/g乾燥菌体、7.4mg/g乾燥菌体であったのに対し、遺伝子破壊株ではそれぞれ4.4mg/g乾燥菌体、6.7mg/g乾燥菌体であった。
【0043】
比較例2
組み換えプラスミドpI−RED1−GAD1のNruI消化物を用いてサッカロミセス・セレビシエYPH499の形質転換を行った。シクロヘキシミド耐性を示すコロニーにつき、グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性がないことを確認後、細胞内遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度を測定した。対照としてベクターDNAによる形質転換株を用いた。細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸の濃度は、対照株でそれぞれ3.9mg/g乾燥菌体、6.2mg/g乾燥菌体であったのに対し、遺伝子破壊株ではそれぞれ6.5mg/g乾燥菌体、9.9mg/g乾燥菌体であった。
【0044】
比較例3
上記比較例1で得られた形質転換株に対し、さらに比較例2と同様の方法を用いてGAD1遺伝子を破壊した。酵素活性を確認することにより遺伝子破壊を確認し、細胞内遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度の測定を行った。遺伝子を二重に破壊した株では、細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸の濃度はそれぞれ7.8mg/g乾燥菌体、11.1mg/g乾燥菌体であった。
【0045】
実施例4
実施例1、2及び3で得られた酵母をそれぞれ乾燥固形分当たり20g用い、固形分10%になるように水を加え、十分に撹拌懸濁した。この懸濁液を40%NaOH溶液でpH5.7に調整した後、細胞壁溶解酵素YL−15(天野製薬)を乾燥固形分当たり0.1%添加し、45℃で8時間反応させた。反応後、70℃で30分加熱して酵素を失活させ、37℃まで冷却した。グルタミナーゼダイワC−100(大和化成)を固形分あたり1%添加し、37℃で1時間反応させた。反応終了後、70℃で30分加熱した後、遠心分離により上清を得た。得られた上清を凍結乾燥し、酵母エキス粉末を得た。エキス固形分回収率は52%〜56%であった。グルタミン酸含量は、対照とした非欠損酵母を用いたエキスで5.9%、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ欠損酵母を用いたエキスで12.6%、グルタミン酸デカルボキシラーゼ欠損酵母を用いたエキスで15.1%、両酵素が欠損した酵母を用いたエキスで16.2%であった。得られたエキスの味質は、欠損酵母を用いたエキスにおいてグルタミン酸の旨味が非常に強く感じられるものであり、独特の味の厚みが感じられた。
【0046】
実施例5
実施例1、2及び3で得られた酵母をそれぞれ乾燥固形分当たり20g用い、固形分10%になるように水を加え、十分に撹拌懸濁した。この懸濁液を40%NaOH溶液でpH8.5に調整した後、65℃で2時間加熱し、90℃で30分加熱した。この液を75%リン酸でpH5.8に調整し、プロテアーゼN「アマノ」を基質タンパク質当たり0.2%添加し、52℃で12時間反応させた。70℃で30分間加熱し、酵素失活を行い、さらに、75%リン酸でpHを5.3に調整した後、ヌクレアーゼ「アマノ」(天野製薬)を乾燥固形分当たり0.04%添加し、64℃で4時間反応させた。ヌクレアーゼによる反応後、40%NaOH溶液でpHを5.6に調整した。デアミザイム(天野製薬)を乾燥固形分当たり0.04%添加し、45℃で2時間反応させた。この後、酵素失活のために70℃で30分加熱し、遠心分離により上清を得た。得られた上清を凍結乾燥し、酵母エキス粉末を得た。エキス固形分回収率は50%〜52%であった。グルタミン酸含量及び(イノシン酸+グアニル酸)含量は、対照とした非欠損酵母を用いたエキスで4.2%及び1.8%、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ欠損酵母を用いたエキスで14.0%及び1.7%、グルタミン酸デカルボキシラーゼ欠損酵母を用いたエキスで17.4%および1.8%、両酵素が欠損した酵母を用いたエキスで19.1%及び1.8%であった。得られたエキスの味質は、欠損酵母を用いたエキスにおいてグルタミン酸と(イノシン酸+グアニル酸)による旨味の相乗作用が強く引き出され、旨味が非常に強く感じられるものであった。またこの酵母エキスにも独特の味の厚みが感じられた。
【0047】
比較例4組み換えプラスミドpI−RED1−GLN1のEco0109I消化物を用いて実施例1で得られたkgd1破壊株を更に形質転換した。シクロヘキシミド耐性を示すコロニーにつき、グルタミンシンセターゼ活性がない(0.01U/mg以下)ことを確認後、細胞内遊離グルタミン及び遊離グルタミン酸濃度を測定した。kgd1とgln1とを同時に破壊した株では、細胞内遊離グルタミンと遊離グルタミン酸の濃度はそれぞれ4.4mg/g乾燥菌体、40.2mg/g乾燥菌体であった。
【0048】
この酵母より、実施例4と実質的に同じ方法を用いて酵母エキスを製造した。エキス固形分回収率は53%であり、グルタミン酸含量は15.0%であった。得られたエキスには、グルタミン酸の旨味は強く感じられたものの、独特の味の厚みは感じられなかった。
【0049】
実施例6
細胞内遊離グルタミン濃度が酵母エキスの味の厚みに及ぼす影響につき、熟練したパネラー(グルタミン酸ナトリウムを識別する閾値が100ppm以下である人)25人により旨味強度と味の厚みの差を比較した。官能評価には、実施例4で得られた酵母エキス4種、即ち対照株由来のもの(エキスA)、kgd1破壊株由来のもの(エキスB)、gad1破壊株由来のもの(エキスC)とkgd1、gad1の同時破壊株由来のもの(エキスD)と、比較例4で得られたkgd1、gln1同時破壊株由来のもの(エキスE)を用いた。
【0050】
官能評価の結果を表1に示したが、旨味力価についてはエキスAに比べてエキスB、C、D、Eが1%の危険率で勝っており、B、C、Eの間には有意差は認められなかった。また、エキスBとエキスDとの比較ではエキスDが5%の危険率で優れていると評価された。一方、味の厚みについては、エキスAに比べてB、C、Dが5%の危険率で勝っていると評価されたが、エキスEはエキスAとの間で有意差はなかった。
【0051】
【表1】
Figure 0004638591
【0052】
以上のデータより酵母エキスの味の厚みは、原料酵母細胞内の遊離グルタミンの濃度が少なくとも15mg/g乾燥菌体以上の場合に発現していることが確認された。この細胞内遊離グルタミンの値は酵母エキスを製造した場合エキス固形分当たり3%のグルタミン酸に相当する。
【0053】
【発明の効果】
酵母におけるグルタミン酸およびグルタミンの代謝に関与する遺伝子を変異することにより、細胞内に多量に遊離グルタミンと遊離グルタミン酸を蓄積する酵は母が育種できた。また該酵母をグルタミナーゼを併用して消化することでグルタミン酸含量が高く呈味力価に優れ、さらに従来の酵母エキスにはない味の厚みが付与された呈味バランスの良い酵母エキスが製造できるようになった。
【0054】
【配列表】
Figure 0004638591
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Claims (10)

  1. 細胞内に、乾燥菌体1g当たり15mg以上の遊離グルタミンを含有する酵母であって、
    サッカロミセス・セレビシエに属する株に由来し、
    当該由来する株に比較して、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性のいずれか一方又は双方が低下した、酵母
  2. 細胞内に、乾燥菌体1g当たり15mg以上の遊離グルタミンを含有する酵母であって、
    サッカロミセス・セレビシエに属する株に由来し、
    サッカロミセス・セレビシエIFO10150に比較して、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性のいずれか一方又は双方が低下した、酵母
  3. 当該由来する株に比較して、グルタミンシンセターゼ活性が低下していない、請求項1に記載の酵母。
  4. サッカロミセス・セレビシエIFO10150に比較して、グルタミンシンセターゼ活性が低下していない、請求項2に記載の酵母。
  5. サッカロミセス・セレビシエに属する株に由来し、
    当該由来する株に比較して、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性のいずれか一方又は双方は低下しているがグルタミンシンセターゼ活性は低下していない、酵母。
  6. サッカロミセス・セレビシエに属する株に由来し、
    サッカロミセス・セレビシエIFO10150に比較して、2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性のいずれか一方又は双方は低下しているがグルタミンシンセターゼ活性は低下していない、酵母。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の酵母を消化する工程を含んでなる、酵母エキスの製造方法。
  8. 細胞内に含有されていた遊離グルタミンを、グルタミナーゼでグルタミン酸に変換する工程を含む、請求項7に記載の酵母エキスの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の酵母から得られる酵母エキスを含む、調味料。
  10. 酵母エキスの改良方法であって、原料酵母において2−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性のいずれか一方又は双方を低下させる工程を含み、それにより細胞内に乾燥菌体1g当たり15mg以上の遊離グルタミンを含有させることを特徴とする、方法。
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