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JP4638967B2 - コラーゲンを含有する化粧品の製造方法 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は種々の化粧品に配合可能なコラーゲンの製造方法及び、これを含有する化粧料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ネイティブコラーゲンおよびアテロコラーゲンはその保湿性や、生体適合性、膜形成能などの特性を活かし、化粧品への応用が為されているが、溶解可能なpH領域範囲の制限および他の基剤に対する相溶性が乏しいため応用できる範囲が限定され、その効果が望まれる全ての分野で利用可能な物ではなかった。
【0003】
一方、相溶性を改善するためにコラーゲンを加水分解して、その分子量を小さくして種々の化粧料に配合することも試みられている。しかし、コラーゲンを低分子化する方法では、溶解可能なpH領域範囲および他の基剤に対する相溶性の著しい向上は見られるものの、コラーゲンの構造上の特徴である長いペプチド鎖を切断してしまうために、コラーゲン特有の性質である低湿度下での保湿性を失い、コラーゲンの本来持っている性能を化粧品に利用できる方法ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗布した時の皮膚に対する感触および毛髪への残留性も良く、相溶性に優れ、かつ、コラーゲン本来が有している保湿性や膜形成能を失わないコラーゲンを製造し、これを含有する化粧料を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、分子量が約10万といわれている3本のコラーゲン分子鎖から構成されるコラーゲンの3重螺旋構造に着目し、分子鎖を切断することなく、この螺旋構造をほぐして単独のコラーゲン分子鎖にすることにより、未処理のアテロコラーゲンに比較し、溶解性が向上する事と保湿性、皮膜特性がアテロコラーゲンと同等であることを実験的に確認し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、コラーゲン特有の3重螺旋構造を温和な条件にて、コラーゲンの基本的な性質を変更することなく、溶解可能なpH領域範囲を広げ、他の基剤に対する相溶性を向上せしめ、化粧品分野で幅広く利用可能足らしめるコラーゲンを含む化粧料の製造方法に関するものである。
【0007】
【発明の実施の様態】
本発明において、コラーゲン独特の3重螺旋構造を温和に解くとは、コラーゲン分子鎖のペプチド結合を切断することなく、3重螺旋構造を崩すことを意味する。3重螺旋構造を構成する3本の分子鎖間にある水素結合等を切断することにより、3重螺旋コラーゲン分子の内側にあった親水基を外側に向かせる事、及び大部分が一本のコラーゲン鎖にまで解れている為水溶性が増加すると考えられる。反応点である親水基が外部に露出している事と水溶性が上昇しているので本発明によるコラーゲンは化学反応を施し化学修飾する原料としても有用である。
【0008】
一般にゼラチンと呼称されるコラーゲン変性物との相違は、ゼラチンの場合、3本の分子鎖をも加水分解される為、部分的に加水分解コラーゲンと同等の構造を有している点で本発明で用いるコラーゲン及びアテロコラーゲンと相違する。
ここでいうコラーゲンは特に限定されず、様々なコラーゲン抽出物が対象とされる。抽出はコラーゲン含有原料をもちいて、酸可溶化、アルカリ可溶化、中性塩可溶化、酵素可溶化などの公知の手法にておこなうことができる。コラーゲン含量原料としては、コラーゲンを含有する原料であれば何れの材料でも使用でき、脊椎動物(例えば、ウシ、ブタ、イワシ、サメ等)の皮あるいは鱗、骨、軟骨、腱、臓器が例示されるが、コラーゲン含量の高いことから、骨、軟骨、皮あるいは鱗、腱、胎盤などが好適に使用される。
【0009】
以下、本発明に使用するコラーゲンの製法を詳細に説明する。本発明に使用するコラーゲンは温和に加熱変性されたコラーゲン分子鎖で、コラーゲン抽出液を中性下で温和に熱処理をおこない、さらに限外濾過膜による分画精製をおこなうことによって得ることができる。最終的にはメンブランフィルターに除菌の為に通すことが望ましい。ここでいう温和な熱処理の温度および時間は、コラーゲン分子鎖を切断することがなければ、特に限定されないが、コラーゲン抽出液の含有塩量、pHにより適宜設定される。一般に、20から100℃で5分間から1ヶ月程度、好ましくは40から60℃の範囲で1時間から1週間攪拌しながら変性させる。20℃以下ではアテロコラーゲンの水素結合等に変化がなく、100℃を超える温度では水素結合等の切断と同時にコラーゲン分子鎖の加水分解が起こり一般に言うゼラチン及び加水分解コラーゲンとなってしまう。
【0010】
かくして得られたコラーゲンは比旋光度[α]20 D=−180から−130°の範囲にある。SDS−PAGE電気泳動法により得られる泳動パターンの主要なバンドは、分子量が約10万、約20万および約30万付近のいずれかの位置に1つ以上の蛋白質のバンドがシャープに観測される。各バンドの強度は分子量10万に相当する物がほとんどでありアテロコラーゲンが単分子化以上に切断されていない。通常のネイティブコラーゲンおよびアテロコラーゲンは比旋光度[α]20 Dが−360から−420°の範囲にある。SDS−PAGE電気泳動法により得られる泳動パターンの主要なバンドは、分子量が約10万、約20万および約30万付近のの位置に3つの蛋白質のバンドがシャープに観測される。一方、加水分解コラーゲンは比旋光度[α]20 Dが−130°未満の範囲にあり、SDS−PAGE電気泳動法により得られる泳動パターンは分子量が10万以下に、かつ幅が広く境界の不明瞭な蛋白質のバンドが観測される。コラーゲンは約10万の分子量のα鎖といわれているペプチド鎖を基本ユニットとして構成されているために、SDS−PAGE電気泳動により観測されるバンドは、約10万、約20万、約30万の主に3ヶ所に現れることは周知の事実である。また、α鎖のみを選択的に分画および精製してえられる比旋光度は約−130°付近であることが報告されている(「コラーゲンの基礎(II)」、宮田輝男著、フレグランスジャーナル、1989−4、p.122)。
【0011】
このことより、本発明コラーゲンはコラーゲンの分子鎖であるα鎖を加水分解することなく、3重螺旋構造が崩されていることがわかる。一方、加水分解コラーゲンの場合、比旋光度、SDS−PAGE電気泳動双方の結果より、もはやコラーゲンとは言い難い。また、アテロコラーゲンあるいはネイティブコラーゲンは保湿性や被膜形成能に優れるが、様々な物に配合しうる溶解性に欠ける。加水分解コラーゲンは、相溶性には優れるが、保湿効果や被膜形成能は十分ではない。これらに対し本発明のコラーゲンは、コラーゲンの化学的構造を崩すことなく、単独のコラーゲンペプチド鎖単位で構成された分子量が約10万、約20万および約30万のコラーゲンとすることにより、ペプチド鎖で構成された優れた相溶性と保湿性、被膜形成能を併せ持つものである。
【0012】
上記の操作を経たコラーゲンを含有する化粧料組成物を製造するに当たっては、本発明の化粧料における上記コラーゲンの配合割合は0.001から5%、好ましくは0.05%から2%である。0.001%未満ではその効果はなく、5%を超えて配合すると粘度が上昇して扱いづらくなるため好ましくない。
【0013】
配合は、他の成分を加熱溶解させて、冷却時に一般的に香料を配合するのと同じタイミングで配合することが望ましい。より具体的には、30℃から60℃で配合することが特に望ましい。60℃を超える高い温度にpH制御無しに配合すると部分的にコラーゲン分子鎖に加水分解が発生し、ゼラチンないしは加水分解コラーゲンを配合したものと結果的に変わらなくなってしまう。
【0014】
本発明の化粧料は、皮膚または毛髪に適用できる化粧料であれば特に限定されないが、例えば、化粧水、ローション、クレンジングクリーム、乳液、クリーム、パック、パウダー、ファウンデーション、シャンプー、リンス、ヘアーコンディショナー等の化粧料を挙げることができる。
【0015】
本発明の化粧料を製造するために、通常用いられている界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム高級脂肪酸石鹸などのアニオン界面活性剤、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、n−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン界面活性剤、塩酸アルキルアミノエチルグリシン液、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルベタインなどの両性界面活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、メチルグリコシドモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、などのノニオン界面活性剤などを適宜配合することができる。
【0016】
さらにオリーブ油、ホホバ油、などの油脂類、鯨ロウ、蜜ロウ、ラノリンなどのロウ類、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール等のアルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、等のエステル類、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン等の増粘剤などの他通常化粧料に用いる香料、色素、顔料、抗菌剤、薬剤等を適宜配合することができる。
【0017】
【実施例】
製造例1
コラーゲン抽出液の調整
コラーゲンはブタ皮より常法に従ってペプシンで抽出したものを用いた。この抽出液を、0.1N水酸化ナトリウム水溶液にて徐々に中和し、40℃にて1週間攪拌した。温和に加熱変性をほどこした抽出液をマイクロフィルターおよび限外濾過膜を用いて精製をおこない。タンパク濃度2.0wt%、pH6.5のコラーゲン溶液を得た。得られたコラーゲンの比旋光度と最小分子量を測定した。測定結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0004638967
【0019】
(試験例1)
評価サンプルはすべて、コラーゲン含量0.5wt%、pH4に調製した変性コラーゲンに対し、対照品として、同様に調製したアテロコラーゲン、加水分解コラーゲンを使用した(これらの比旋光度と最小分子量の測定結果を表1に示す)。
【0020】
保湿性
20から30代の健康な男女各5名の上腕部に、コラーゲン含量0.2wt%に希釈調製した各種評価溶液を200μlずつ塗布し、その時の保湿性能をインピーダンス試験によって評価した。結果は図1に示す。図1に示されるように、本発明の変性コラーゲンはアテロコラーゲンと同等でかつ加水分解コラーゲンに比して明らかに保湿性が優れていることがわかる。
【0021】
膜形成能
コラーゲン含量を0.2wt%に希釈調製した各種評価溶液をそれぞれ、8×70mmにカットした和紙に、純分で0.03gになるように均一に塗布した後乾燥させ、テンシロンメーターにて、引張り強度、伸張度の測定をおこなった。結果を図2および図3に示す。図2に示されるように、本発明のコラーゲンはアテロコラーゲンと同等でかつ加水分解コラーゲンに比して明らかに被膜形成能が優れていることがわかる。
【0022】
相溶性試験
調製した各種サンプルを用いて、コラーゲン含量が0.2wt%、各種テスト基剤含量が0.1wt%になるように調製し、5、25、40℃にそれぞれ靜置保管し、1ヶ月間にわたり、その外観の観測により経時安定性試験をおこなった。その結果を表2、3に示す。なお、表2中、「ソイポンSLE」は川研ファインケミカル(株)製アニオン界面活性剤の商品名、「ソフタゾリンCH」は川研ファインケミカル(株)製両性界面活性剤の商品名、「コータミン86Pコンク」は花王(株)製カチオン界面活性剤の商品名を表す。
【0023】
【表2】
Figure 0004638967
【0024】
【表3】
Figure 0004638967
【0025】
ここで示すように、本発明のコラーゲンは加水分解コラーゲンにはやや劣るが、アテロコラーゲンに比してかなり相溶性が向上されていることがわかる。ここで、本発明のコラーゲンは4週間経過後に外観およびSDS−PAGE電気泳動のバンドの崩れのないことを確認した。結果を図3に示す。
【0026】
SDS−PAGE電気泳動の測定方法は、化粧品原料基準外成分規格、一般試験法「水溶性コラーゲン試験法」の記載に準じて行なった。
【0027】
Figure 0004638967
本発明コラーゲンに精製水を徐々に加えながら、よく攪拌し、均一にする。次にソルビット液、Tween80を加える。パラオキシ安息香酸メチルおよび香料をエタノールに溶かしたものを加えたのち、pH調整をおこない濾過した。
【0028】
Figure 0004638967
油層(A)および水層(B)を72℃から75℃にて加熱溶解し、攪拌しながら(A)に(B)を徐々に加える。攪拌しながら冷却し、40℃から45℃にて(C)の香料および(D)のコラーゲンを添加し、攪拌混合した。pH調整は必要に応じておこなう。
【0029】
Figure 0004638967
油層(A)および水槽(B)を72℃から75℃にて加熱溶解し、攪拌しながら(B)に(A)を徐々に加える。攪拌しながら冷却し、40℃から45℃にて(C)の香料および(D)のコラーゲンを添加し、攪拌混合した。pH調整は必要に応じておこなう。
【0030】
比較例1
実施例1の製造例1の本発明コラーゲンの代わりにアテロコラーゲン(2.0%)を用い、実施例1と同様の化粧水を得た。
【0031】
比較例2
実施例1の製造例1の本発明コラーゲンの代わりにアテロコラーゲン(2.0%)を用い、油層(A)および水層(B)を72℃から75℃にて加熱溶解し、攪拌しながら(A)に(B)を徐々に加える。攪拌しながら冷却し、40℃から45℃にて(C)の香料を添加する。35℃以下にて、(D)のコラーゲンにクリームの一部を加え攪拌混合したのちクリーム中に加え攪拌混合した。pH調製は必要に応じておこなう。
【0032】
比較例3
実施例1の製造例1の本発明コラーゲンの代わりにアテロコラーゲン(2.0%)を用い、油層(A)および水層(B)を72℃から75℃にて加熱溶解し、攪拌しながら(B)に(A)を徐々に加える。攪拌しながら冷却し、40℃から45℃にて(C)の香料を添加する。35℃以下にて、(D)のコラーゲンに乳液の一部を加え攪拌混合したのち乳液中に加え攪拌混合した。pH調製は必要に応じておこなう。
【0033】
比較例4
実施例1の製造例1の本発明コラーゲンの代わりにゼラチン(2.0%)を用いた。
【0034】
比較例5
実施例2の製造例1の本発明コラーゲンの代わりにゼラチン(2.0%)を用いた。
【0035】
比較例6
実施例3の製造例1の本発明コラーゲンの代わりにゼラチン(2.0%)を用いた。
【0036】
比較例7
実施例1の製造例1の本発明コラーゲンの代わりに加水分解コラーゲン(2.0%)を用いた。
【0037】
比較例8
実施例2の製造例1の本発明コラーゲンの代わりに加水分解コラーゲン(2.0%)を用いた。
【0038】
比較例9
実施例3の製造例1の本発明コラーゲンの代わりに加水分解コラーゲン(2.0%)を用いた。
【0039】
以上のように、本発明のコラーゲンを含有化粧品の製法により、コラーゲンの有する保湿性、膜形成能等の性質を変化させることなく、化粧品組成物を製造することができる。また、上記実施例1から3、比較例1から9で得られた各種化粧料について皮膚に塗布し官能試験をおこなった。結果は表5に示す。
【0040】
【表5】
Figure 0004638967
【0041】
【発明の効果】
本発明により、塗布した時の皮膚に対する感触および毛髪への残留性も良く、相溶性に優れ、かつ、コラーゲン本来が有している保湿性や膜形成能を失わないコラーゲンを含有する化粧料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種コラーゲンのインピーダンス測定結果を示すグラフ。
【図2】各種コラーゲンのSDS−PAGE電気泳動試験結果

Claims (1)

  1. コラーゲン抽出液を中性下で温和に熱処理をおこない、さらに限外濾過膜による分画精製をおこなうことによって得られる、比旋光度[α]20 Dが−180から−130°の範囲であり、分子量10万以下の低分子が確認されないコラーゲンを調整し、該コラーゲンを化粧品に配合することを特色とする化粧品の製造方法。
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