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JP4642196B2 - 発酵処理方法およびセメント製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発酵処理方法およびセメント製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、厨芥等の有機廃棄物は、その処理量が増大する一方であり、その有効な処理方法および再利用方法に関して多くの試みがなされている。一つの方法として、回転発酵槽を用いて有機廃棄物を発酵処理(コンポスト化)することも提案されている。
一方、セメント製造工場は、セメントの需要に応じて操業状態が変動する。セメントの需要が少ない時期には、焼成装置等のうち一部の運転を停止することもあり、それらの活用が課題となっている。
このような状況のもと、有機廃棄物をセメント製造工場の保有するセメントキルンまたはセメント製造用ロータリードライヤーで処理することが考えられる。
この点、特開昭52−97270号公報には、有機廃棄物をセメントキルンで発酵処理させることが記載されており、さらに、それをセメント製造での燃料の一部として用いることも記載されている。しかし、この公報に記載されているようにセメントキルンを発酵処理装置として単に流用しても、有機廃棄物を安定してコンポスト化することは困難であった。また、セメント製造用の原燃料として発酵処理品を用いようとしても、質の高い発酵処理品を効率良く得ることが困難なことが判明した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に対してなされたものであり、セメントキルン等のセメント製造工場に備えられている設備を、廃棄物の処理のために有効に活かす途を開くことのできる発酵処理方法およびセメント製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る発酵処理方法は、ロータリーキルン、あるいはロータリードライヤーを用いた廃棄物の発酵処理方法であって、発酵処理の対象となる廃棄物がゴミ袋に収容された都市ゴミまたは/および他の廃棄物を含み、上記ゴミ袋を破袋せず、廃棄物をそのまま上記ロータリーキルンあるいは上記ロータリードライヤーに投入し、発酵処理することを特徴とする。
本明細書中、「廃棄物」というときは、以下の処理対象物を含む概念である。
有機汚泥:下水汚泥、し尿系汚泥(浄化槽汚泥、農業集落排水汚泥)、食品産業排水汚泥、アオコ・底泥等がこの範疇に含まれる。
食品加工残さ:ビールかす、焼酎かす、おから(豆腐かす)、製糖残さ、果汁残さ、コーヒーかす、茶かす、畜産残さ等がこの範疇に含まれる。
林産残さ、植物残さ:パルプ廃液、バーク、おがくず、チップダスト、剪定枝葉、バガス、籾殻、わら類等がこの範疇に含まれる。
生活ゴミ:厨芥類(生ゴミ)、都市収集可燃ゴミ、事業系生ゴミ等がこの範疇に含まれる。
畜産廃棄物:家畜ふん尿、鳥糞等がこの範疇に含まれる。
水産廃棄物:魚腸骨、へい死魚等がこの範疇に含まれる。
以上に列記したもののうち二以上の混合物も廃棄物の概念に含まれる。後述するように発酵処理品を一部戻し、廃棄物に混合して処理する場合には、このような発酵処理品を混合した混合物も廃棄物という。
本発明では、内張り煉瓦を撤去したロータリーキルン、あるいはロータリードライヤーを用いることが好ましい。これによって、廃棄物の移動が容易となり、ロータリーキルンを回転させるための消費エネルギーを減少させる等の利点がある。本発明において、ロータリーキルンとしては、セメントキルンが好ましく、ロータリードライヤーとしてはセメント製造用ロータリードライヤーが好ましい。
【0005】
そして、得られた発酵処理品の品質を向上させるために、その中の異物を分離・除去することが好ましい。異物の分離・除去を行うにあたり、少なくとも一段階の発酵処理品破砕工程(1次破砕、2次破砕)を行うことが好ましい。発酵処理品の粒度を適切に調整するためである。その後、貯蔵用タンク内に該発酵処理品を貯蔵することが好ましい。ここで、発酵処理品中の異物を分離・除去した後、貯蔵兼発酵処理用タンク内に該発酵処理品を貯蔵しつつ、好気性条件下の該タンク内でさらに発酵を進ませることができる。この場合、貯蔵用タンクの発酵処理品を循環し、該貯蔵用タンク内に循環することが好ましい。これによって、貯蔵用タンク内の好気条件を保つことができるとともに、発酵処理品の混合・均質化を図ることができる。この場合、発酵処理品を複数の貯蔵用タンクに分割して投入し、該複数の貯蔵用タンクからそれぞれ抽出した発酵処理品を合流させ、再度分割して上記複数の貯蔵用タンクに投入するようにして循環するようにすることが好ましい。これによって、セメント製造用原燃料の更なる均質化を図ることができるからである。
また、本発明に係る発酵処理方法では、得られた発酵処理品の一部を、上記ロータリーキルンあるいはロータリードライヤーに投入し、廃棄物を発酵処理することが好ましい。このように原料戻しを行うことによって、発酵処理品の品質を安定化する等の利点がある。
上記した本発明に係る発酵処理方法において、発酵処理に必要な空気を加熱するために、セメント製造で発生する廃熱を用いることが好ましい。消費エネルギーを減少させるためである。また、同様の趣旨から、発酵処理に必要な空気の一部として、あるいは発酵処理に必要な空気の予熱源として、セメント製造におけるクーラー排気の一部を用いることが好ましい。同様に、廃棄物、発酵処理中の廃棄物、または得られる発酵処理品中の有害な微生物を不活性化あるいは死滅させるために、セメント製造における廃熱を用いることが好ましい。この廃熱としては、キルン排ガス、クーラー排ガス等が挙げられる。
一方、本発明では、ゴミ袋に収容された都市ゴミ等の廃棄物を含む廃棄物の他に、廃棄物として下水汚泥を投入することが好ましい。廃棄物処理の効率化を図るとともに、下水汚泥の持つ水分により含水率を調整し、発酵状態を良好に保つためである。
【0006】
さらに、本発明は、別の形態としてセメント製造方法であり、該セメント製造方法では、上記した発酵処理方法で得られた発酵処理品を、セメント製造における原燃料の一部として用いている。この場合、得られた発酵処理品をセメント製造の焼成工程で用いるプレヒータ設備およびセメントキルン等の焼成設備のいずれかの投入部位に、そのまま投入することが好ましい。特段の処理を行わず工程を短縮するためである。また、発酵処理方法で発生するガスをセメント製造の焼成工程で用いるプレヒータ設備およびセメントキルン等の焼成設備のいずれかの導入部位に導入することが好ましい。このような発酵ガスの脱臭を行い、かつこのような発酵ガスの脱硝効果を発揮させるためである。
【0007】
なお、本発明でいう「セメント製造における原燃料」とは、セメント製造に用いる原料および燃料を含む概念である。ただし、「セメント製造用原燃料」の語を使用する場合に、原料または燃料のいずれか一方のみを指している場合もある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る発酵処理方法およびセメント製造方法の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る発酵処理方法およびセメント製造方法を実施するセメント製造工場の一実施の形態についてその概要を示す。
このセメント製造工場では、セメント製造設備100に、セメント製造用原燃料製造設備200を付設している。
セメント製造設備100は、ロータリーキルン(セメントキルン)102、クリンカクーラ103、仮焼炉104、サスペンジョンプレヒータ106を主要な設備として含む。
【0009】
ロータリーキルン102は、バーナ108を備える。該バーナ108は、後述する発酵処理品、微粉炭等の固体燃料を供給するための図示しない吹き込み風車、重油等の液体燃料を供給するための供給ポンプ110および空気を供給するための図示しない空気吹き込み風車等の空気供給手段を備える。ロータリーキルン102は、円筒型のドラムを図示しない支持ローラで支持し、図示しない電動モータ等の回転手段によって回転できる。そして、セメント原料(セメント調合原料ともいう)の送入部分からセメントクリンカの落口に向かって緩い勾配を持って傾斜して設置されている。セメント原料は、プレヒータ最下段のサイクロン107で捕集された後、投入され、ロータリーキルン102内壁の内張り煉瓦に付着したコーテイング上を回転しながら持ち上げられ、下降し、これを繰り返す。そして、バーナ108で形成される火焔の輻射熱によってセメント原料を焼成する。
【0010】
クリンカクーラ103は、ロータリーキルン102から排出されたセメントクリンカを冷却するための手段である。クリンカクーラ103は、数室に区切られており、各室の下部エアー室に設置された冷却用風車112によって供給された空気によって冷却される。
【0011】
仮焼炉104は、セメント原料の仮焼を行うための装置であり、セメント原料の仮焼を行うためのバーナ114を備える。バーナ114は、後述する発酵処理品、微粉炭等の固体燃料を供給するための図示しない吹き込み風車、重油等の液体燃料を供給するための供給ポンプ116および図示しない空気吹き込み風車等の空気供給手段を備える。仮焼炉104は、セメント原料の仮焼を行うことによって、脱炭酸率を向上させ、ロータリーキルン102の熱負荷を下げることによって、焼成を確実にし、ロータリーキルン102自体の機械的保護に寄与する。また、これと同時に、ロータリーキルン102からの廃熱を有効に活用し、セメント製造工場全体の熱効率を向上させる。
【0012】
サスペンジョンプレヒータ106は、セメント原料を予熱するための装置であり、サイクロン107を多段に重ねた構成となっている。各々のサイクロン107において、気体成分と固体成分の分離が行われ、セメント原料をダクト内で気流中にサスペンドしながらセメント原料と気体との間で熱交換を行い、セメント原料の予熱を行う。
【0013】
一方、セメント製造用原燃料製造設備200は、廃棄物をセメント製造用の原燃料として有効利用することを目的として廃棄物の発酵処理(コンポスト化)を行うための設備であり、発酵処理装置202、貯蔵兼発酵処理用タンク204、206を含む。さらに、このセメント製造用原燃料製造設備200は、発酵処理装置202の後段に、異物の分離・除去装置208〜218を備えている。
発酵処理装置202は、操業停止中のロータリーキルン(遊休キルン)を活用したものである。この発酵処理装置202も、前述したロータリーキルン102と同様、円筒型のドラムを図示しない支持ローラで支持し、図示しない回転手段によって回転するようにしたものである。
一般に、セメント製造に用いられるロータリーキルンは、セメント焼成の際の耐火性能を保つために、内張り煉瓦で内壁を保護している。しかし、本実施の形態に係る発酵処理装置202では、この内張り煉瓦を除去する。この内張り煉瓦を除去することによって、発酵処理装置202内に廃棄物を投入して処理した場合、廃棄物の移動が容易になるとともに消費エネルギーが大幅に減少する。また、攪拌設備、仕切板の取り付けが容易となる。
発酵処理装置202は、内張り煉瓦除去後のセメントキルンの内径が2〜7mであって、1.0〜6.0%好ましくは1.2〜1.6%の傾斜で設置することが好適である。
【0014】
また、発酵処理装置202は、保温材でその周囲を被覆している。これは、発酵用原料を発酵させる際の保温を図り、発酵の促進、均一化を行うためである。被覆する部位としては、発酵処理装置202の外壁全長とするのが好適である。保温材は、ロックウールやグラスウール等の軽量で断熱性のあるものを使用し、発酵処理装置202の外壁を適当な厚みで被覆することが好適である。
【0015】
本実施の形態で用いる発酵処理装置202の内部は、仕切り板によって4〜5室に仕切られている。通常の運転状態において、三日間、発酵処理装置202に滞留する。
上記仕切板は、被処理品である廃棄物を堰き止める一方、通風を確保できる構造、すなわちスリット状、穿孔板状等の通風可能な構造となっている。
以上の他、従来のロータリーキルン式発酵装置に内蔵されている攪拌設備、加熱設備、もしくは処理物の移動設備を必要に応じて適宜取り付けることができる。
【0016】
発酵処理装置202の入口部は、既設のサスペンジョンプレヒータと切り離されている。そして、そこには、例えば、都市ゴミの投入口220、下水汚泥の投入口222、戻し分の発酵処理品を投入する投入口224および発酵ガス引出口226が設けられている。この発酵ガス引出口226に対しては、排気手段として換気用風車219が設けられ、これによって発酵処理装置202内の発酵ガスを引き出し、セメント製造設備100に送ることができるようになっている。
発酵処理装置202の出口部は、既設のクリンカクーラと切り離し、発酵品の取出口228を設ける。また、空気吹込口227を設け、この空気吹込口227には、給気手段として空気吹き込み風車229を設け、これによって給気を行うことができる。空気吹き込み風車229は、大気とクリンカクーラー103からのクーラー排気とを適宜混合できるように構成されている。
発酵処理装置202の入口部と出口部は、既設の状態と同じでも逆でも構わない。
なお、上記した発酵処理装置202の入口部の投入口220、222、224は、原料投入時以外密閉され、発酵ガス引出口226、空気吹込口227も通風を行う時以外は、密閉され、発酵処理装置202は、基本的に密閉構造とする。
【0017】
上記貯蔵兼発酵処理用タンク204、206は、発酵処理装置202と同様の保温材でその周囲を被覆する。これは、発酵処理装置202での発酵をさらに進めるための保温を図り、発酵の促進を行うためである。被覆する部位としては、その外壁全長とするのが好適である。
【0018】
さらに、この貯蔵兼発酵処理用タンク204、206にも図示しないエアー供給手段を設けている。好気条件を確保し、養生を促進するためである。発酵処理装置202における発酵は、コンポスト化という観点からは、いわゆる一次発酵と呼ばれる処理であり、必要に応じて発酵をさらに進めることにより、いわゆる二次発酵まで終了させれば、堆肥としての製品化も可能である。
貯蔵兼発酵処理用タンク206には定量引出機を設けている。定量引出機からの発酵処理品は、セメント製造設備100への供給ライン230と、発酵処理装置202への戻しライン232のいずれにも供給可能となっている。
【0019】
発酵処理装置202の後段に設けられた機器208〜218は、発酵処理品から金属等のコンポスト化せず、セメント製造用の原燃料としては無用な異物を除去するための異物の分離・除去装置である。
ベルトコンベア209に付設された磁選機208は、ベルトコンベア234、スキップコンベア236によって運ばれてくる発酵処理品から磁石によって主として鉄を除去するためのものである。なお、この磁選機208は、この実施の形態では一段のみ設けているが2以上の多段のものとしても設計できる。
一次破砕機210は、このような鉄を除いた発酵処理品を一次破砕し、後のトロンメル212における篩分けを効率的なものとするための装置である。
トロンメル212は、回転篩であり、発酵処理品として適度の粒度合いを備えた発酵処理品をセメント製造用原燃料として篩い分けるための装置である。発酵処理品は、ベルトコンベア238を介して240に送られる。
高ガウス選別機214は、トロンメル212からのステンレス、アルミニウム等を包含する部分を受ける装置である。この装置は、ステンレスとその他のものとに被処理品を分ける。その他のものとは、アルミニウムとセメント製造用原燃料とを包含する部分である。
アルミニウム選別機216は、ステンレスを除去した後の部分から、アルミニウムとセメント製造用原燃料として適する部分を分けるための装置である。トロンメル212で回収しきれなかったこのような部分をここで回収することができる。このセメント製造用原燃料として適合する部分は、二次破砕機218に送られる。
二次破砕機218は、一次破砕機210で破砕しきれなかったセメント製造用原燃料適合部分を好適な粒度に調整するための装置である。ここで得られたセメント製造用原燃料は、ベルトコンベア239を介してベルトコンベア240に送られる。
発酵処理装置202の後段のこれらの異物の分離・除去装置は、換気手段を設けた建屋の中に設置し、できるだけ外部に発酵処理品等からの臭気が漏れないようにする。
【0020】
次に、以上の構成を備えたセメント製造工場を用い、本発明に係る発酵処理方法およびセメント製造方法を実施した場合の作用について説明する。
本実施の形態では、セメント製造工場内に設置された上記したセメント製造用原燃料製造設備200で、セメント製造用原燃料を製造する。セメント製造用原燃料製造設備200の発酵処理装置202には、都市ゴミの投入口220から都市ゴミを投入する。
投入する都市ゴミの成分は、水分15〜60重量%、可燃分30〜60重量%、灰分3〜30重量%が好ましい。
投入する際、都市ゴミの破袋等の前処理は行わない。さらに、都市ゴミに加えて下水汚泥の投入口222から下水汚泥を投入する。
投入する下水汚泥の成分は、水分50〜90重量%、可燃分6〜35重量%、灰分2〜15重量%が好ましい。
都市ゴミと下水汚泥を同時に投入するのは、都市ゴミと下水汚泥を同時に処理することにより、廃棄物処理の効率化を図るとともに、下水汚泥の持つ水分によって発酵用原料としての含水率を適切に調整し、発酵状態を良好に保つためである。仮に、発酵適性含水率を45〜60重量%とした場合、混合物中の下水汚泥の比率は、重量比で0〜85%が好適である。なお、混合物中の可燃分は、10〜60重量%、灰分は、2〜30重量%が好ましい。
なお、必要に応じて、肥料(尿素、硫安、塩化アンモニウム等)、水、水分調整材(稲わら、もみがら、おがくず、紙、木片等)、空隙保持用の切断ゴムタイヤ等を添加する。発酵菌は、発酵処理品を原料戻しすることによっても供給することができる。
【0021】
さらに、本実施の形態では、貯蔵兼発酵用処理タンク206から発酵処理品の一部をライン232を通じて発酵処理装置202に戻す。これは、発酵処理装置202内の菌体の安定化を図り、発酵処理品の品質を安定させる等の目的のためである。
【0022】
廃棄物は、発酵処理装置202内の4〜5室のうち、まず最も入口部に近い部屋に投入される。各室の間には仕切りがあるが、廃棄物は、その仕切りに設けられた開口部を通して各部屋間を移動して行く。そして、三日間経過後取出口228から発酵処理品を取り出す。前述したように、発酵処理装置202は、1.0〜6.0%の傾斜を持って設置されており、その回転によって、発酵中の被処理物は容易に移動する。なお、発酵処理期間中、発酵処理装置202は、例えば内張り煉瓦を撤去した内径を4〜5mとして、0.5〜3.0rpmのスピードで回転させることが好ましい。
【0023】
発酵中、入口部側の部屋では、自然界にどこにでも生息する発酵菌(好熱性細菌、一般細菌、放線菌類)により、易分解成分の好気的分解作用のような機序によって発酵(コンポスト化)が進行し、24時間以内に投入原料の温度が場合によって70℃にまで達する。そして、発酵処理装置202内において、原料である廃棄物は、一般に一次発酵と呼ばれる発酵工程を完了する。すなわち、好気的条件下で不安定な有機物(炭水化物、タンパク質等)が悪臭の少ない貯蔵のきく安定な物質へと変換される。
なお、上記した部屋の温度は、適切な温度センサーでモニターする。そして、給気手段によって供給するエアーの温度、廃棄物の投入割合等をモニターされた温度に対応して制御することにより、発酵処理装置202内の温度を適切に調整することができる。
発酵処理中、発酵処理装置202が上記した回転速度で回転することによって、都市ゴミのゴミ袋等の袋は破袋し、発酵処理に支障を来すことはない。このようなゴミ袋等は、発酵処理装置202の回転によって掻き上げられ、落下し、落下を繰り返すことによって、ほとんどのものが最初の室で破袋する。
【0024】
一方、発酵処理中、発酵ガス引出口226からは、換気用風車219によって発酵処理装置202内の発酵ガスを引き出し、配管を通じてセメント製造設備100の仮焼炉104等に導入する。これによって、発酵工程で発生するアンモニア等が分解され、排ガスが脱臭される。また、発酵処理品の出口側に設けた空気吹込口227から空気吹き込み風車229によって給気を行ない、発酵処理装置202内の好気条件を保つ。これによって、好気性菌による発酵を維持することができる。ここで、前述したように空気吹き込み風車229は、大気とクリンカクーラ103からのクーラー排気とを適宜混合できるように構成されているので、給気の際の温度を適切に設定することができる。50℃以上の温度で一日暴露すると、各種の有害菌は殺菌もしくは不活性化されて衛生的に安全である。一方、好気性菌の発酵速度は、60℃程度で最も促進される。これらを勘案すると、温度を55〜60℃程度に制御することが好適といえる。そこで、大気の温度に応じて、適宜クーラー排気の添加割合で調整し、供給する空気の温度を適切に設定することができる。この他、上記給気における空気をセメント製造装置で発生する種々の廃熱で予熱しつつ給気を行っても良い。
【0025】
以上のような三日間の発酵経過後、発酵処理品の好適な性状は、以下の通りである。
大腸菌群数(衛生指標微生物、JISK0102−1993に規定される工場排水試験方法−細菌試験により定量する。):103個/g以下
この指標は、チフス菌、サルモネラ菌等の有害菌が存在しないことの指標であり、この値を満足することによってこのような有害菌の不存在を確認できる。
有機性廃棄物の粒度組成:20mm以下のものが90%(重量比)以上
セメント製造用原燃料として用いるためには、この程度の粒度組成を満たすことが好ましい。
発酵処理品の組成は、含水率40〜60重量%、可燃分10〜55重量%、灰分4〜20重量%に調整することが好ましい。発熱量は、1,500kcal/kg(乾燥ベース)以上となることが好ましい。
このような仕様を満足する発酵処理品であれば、セメント製造用原燃料として特段さらなる処理を施さなくても、そのまま投入部位に投入することもできる。
【0026】
以上のようにして得られた発酵処理品は、磁選機208、高ガウス選別機214、アルミニウム選別機216によって、鉄、ステンレス、アルミニウムを除去し、これらの再資源化を図る。
さらに、一次破砕機210と二次破砕機218とによって、発酵処理品を適切な粒度に調整する。このように多段に破砕装置を設けることによって、セメント製造用原燃料として用いる際の品質を好適なものとすることができる。また、本発明では、プラスチック廃棄物は除去していない。これは、プラスチック廃棄物をそのままセメント製造用原燃料の一部として利用する意図からである。これらの一、二次破砕機210、218を用いることによって、プラスチック廃棄物も適度の大きさに寸断される。
ベルトコンベア240で回収した発酵処理品は、セメント製造用原燃料として貯蔵兼発酵処理用タンク204、206に送られる。
本実施の形態では、バケットエレベータ242、243によって寸胴型の貯蔵兼発酵処理用タンク204、206に発酵処理品を送る。これらの貯蔵兼発酵処理用タンク204、206に送られた発酵処理品は、循環系統によって循環される。
すなわち、タンク204、206の下にはベルトコンベア244、246が設けられており、これらに一部取り出された発酵処理品は、バケットエレベータ248で垂直輸送され、再度貯蔵兼発酵処理用タンク204、206に循環される。
これによって、好気状態が保たれ、このような混合処理により発酵処理品のセメント製造用原燃料としての均質化を図ることができる。
そして、発酵処理品は、ベルトコンベア250を経て、ライン230からセメント製造設備100にセメント製造用原燃料として供給され、あるいは一部ライン232を経て発酵処理装置202に戻される。
【0027】
一方、上記セメント製造設備100では、セメント製造用原燃料製造設備200の運転と併行してセメント原料の処理を行う。すなわち、サスペンションプレヒータ106における各サイクロン107でセメント原料の予熱、仮焼炉104で仮焼、ロータリーキルン102で焼成を行う。
本実施の形態では、ロータリーキルン102における焼成のための燃料もしくは仮焼炉104における仮焼のための燃料として、得られたセメント製造用原燃料を貯蔵兼発酵処理用タンク206からライン230を通して、ロータリーキルン102の窯尻または仮焼炉104に供給する。また、発酵処理装置202からの発酵ガスを仮焼炉104(ロータリーキルン102でも良い)に送り、高熱下で脱臭を行う。このような脱臭操作によって、脱硝の効果も得られる。なお、異物の分離・除去装置を囲む建屋からの空気も同様に脱臭することができる。
【0028】
他の実施の形態
本発明に係る発酵処理方法およびセメント製造方法は、図1の実施の形態について説明したが、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、当業者にとって自明な修飾・変更・付加は、全て本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、処理対象を都市ゴミとしたが、コンポスト化が可能な他の有機廃棄物であっても勿論本発明を実施することができる。
【0029】
上記実施の形態では、ロータリーキルン(セメントキルン)を発酵処理装置として用いたが、セメント製造用ロータリードライヤーを用いることもできる。
このロータリードライヤーは、セメント製造では、原料の乾燥をするために使われているものである。
図2にロータリードライヤーを含むセメント製造工場の一実施の形態についてその一部を示す。
ロータリードライヤー300は、石灰石、粘土類等のセメント原料を供給ライン302から供給され、その乾燥を行う。乾燥は、供給ライン304から供給されるロータリーキルン等からの排ガスの持つ廃熱で行う。ロータリードライヤー300からの排ガスは、電気集塵機306で除塵され、煙突308から排出される。乾燥後の原料は、原料粉砕機310で粉砕した後、所定の粒度のものがセパレータ312で分離された後、ライン314を通して後段の均一化、予熱、仮焼、焼成の各工程に送られる。
このようなロータリードライヤー300もセメントキルン(ロータリーキルン)と同様、遊休のものがあれば使用することができる。また、必要に応じて、これらを併用することも可能である。このロータリードライヤーも前記発酵処理装置202と同様の形態で使用することができる。
【0030】
上記発酵処理装置202は、ロータリーキルンの入口/出口をセメント製造時と同一としているが、必ずしも同一でなくても良い。これを逆転して用いることもできる。そのような際は、ロータリーキルン又はロータリードライヤーの傾斜を逆転させて使用する必要がある。
【0031】
上記発酵処理装置202は、4〜5室に区分し、発酵処理を三日間行うこととしている。しかし、区分の仕方はこれに限定されない。場合によって、3室以下のより少ない区分、または6室以上のより多い区分とすることもできる。また、発酵処理期間は、三日間に限らず、有害な微生物が死滅するのであれば、三日間未満のより少ない期間であっても良い。セメント製造用原燃料として使用する目的の場合、いわゆる一次発酵が終了していれば良く、完全な堆肥化までは必要がないからである。なお、完全な堆肥化を図る場合には、前述したように貯蔵兼発酵処理用タンクを利用して熟成することができる。
上記貯蔵兼発酵処理用タンク204、206は、二つを設けているが、さらに複数のものを設けるようにすることもできる。また、これらのタンク204、206は、内蔵物を取り出しやすくするため寸胴型のものとしたが、末広型のものとすることができる。より内蔵物を取り出しやすくするためである。貯蔵用タンクとしては、この他セメントキルンに併設されていたプレヒータ設備を用いることができる。プレヒータ設備としては、仮焼炉、サイクロン、ダクト部等を挙げることができる。このようなプレヒータ設備も、貯蔵用タンクとして用いる場合には、内張り煉瓦を撤去する等適切な変更を施すことが好適である。
発酵処理品は、図1について説明した実施の形態では、一部を発酵処理装置202に戻すこととしているが、場合によって必ずしも戻す必要はない。
図1について説明した実施の形態では実施されていないが、貯蔵兼発酵処理用タンク204、206からの発酵ガスをセメント製造装置100に戻し、脱硝剤として、発酵処理装置202からの発酵ガスと同様に活用することもできる。この場合、貯蔵兼発酵処理用タンク204、206にも排気手段を設ける。
図1について説明した実施の形態では実施されていないが、発酵処理品は、セメント調合原料の一部として、セメント調合原料の製造工程へ投入することも可能である。
得られた発酵処理品のセメント製造の焼成工程における投入部位は、上記した実施の形態に限ることなく、プレヒータ設備およびセメントキルン等の焼成設備の他のいずれかの投入部位に投入することができる。
発酵処理方法で発生するガスは、上記した導入部位だけでなく、セメント製造の焼成工程で用いるプレヒータ設備およびセメントキルン等の焼成設備の他のいずれかの導入部位に導入することができる。
【0032】
【実施例】
図1に示した発酵処理装置を用いて、都市ゴミの発酵処理を行った。
都市ゴミは、含水率21重量%、可燃分52重量%、灰分20重量%であった。この都市ゴミと、含水率80%、可燃分16重量%、灰分4重量%の下水汚泥とを発酵処理装置に投入した。都市ゴミと、下水汚泥とは、重量比で2:1となるように投入割合を設定した。都市ゴミは、破袋せず、そのまま投入した。
発酵処理は、三日間行った。発酵処理装置202は、内張り煉瓦を撤去した内径が5mであり、1.0rpmのスピードで回転させた。発酵処理中、発酵処理装置がこの回転速度で回転することによって、都市ゴミのゴミ袋等の袋は破袋し、発酵処理に支障を来すことはなかった。このようなゴミ袋等は、ほとんどのものが発酵処理装置の最初の室で破袋した。
発酵処理品は、大塊物を除去した後、孔径10mmの篩を通し、篩通過物を測定試料とした。
試料10gを生理食塩水100mLに懸濁し、スターラーで30分間攪拌・分散し、試料中の微生物を生理食塩水中に遊離させた。大腸菌群数(衛生指標微生物、JISK0102−1993に規定される工場排水試験方法−細菌試験により定量した。)は、103個/g以下であった。
また、篩通過物および不通過物の重量(湿潤)を測定し、10mm以下の生物分解性有機物の割合を重量%(湿潤重量)で算出した。その結果、10mm以下のものが90%(重量比)以上の割合であった。
発酵処理品の組成は、含水率50重量%、可燃分45重量%、灰分5重量%に調整することができた。発熱量は、3,000kcal/kg(乾燥ベース)であった。
以上ような仕様を満足する発酵処理品を得ることができ、セメント製造用原燃料として良好な最終製品を得ることができることが判明した。
【0033】
【発明の効果】
上記したところから明かなように、本発明によれば、セメントキルン等のセメント製造工場に備えられている遊休の装置を、廃棄物の処理のために有効に活かす途を開くことのできる発酵処理方法およびセメント製造と廃棄物のコンポスト化による処理を一環して行うことができるセメント製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発酵処理方法およびセメント製造方法を実施するためのセメント製造工場の一実施の形態を説明する概念図である。
【図2】セメント製造用ロータリードライヤーを説明するセメント製造工場の一部を説明する概念図である。
【符号の説明】
100 セメント製造設備
102 ロータリーキルン
103 クリンカクーラ
104 仮焼炉
106 サスペンジョンプレヒータ
107 サイクロン
108、114 バーナ
110 供給ポンプ
112 冷却用風車
116 供給ポンプ
200 セメント製造用原燃料製造設備
202 発酵処理装置
204、206 貯蔵兼発酵処理用タンク
208 磁選機
210 一次破砕機
212 トロンメル
214 高ガウス選別機
216 アルミニウム選別機
218 二次破砕機
219 換気用風車
220 都市ゴミの投入口
222 下水汚泥の投入口
224 戻し分の発酵処理品を投入する投入口
226 発酵ガス引出口
228 発酵品の取出口
227 空気吹込口
229 空気吹き込み風車
234、209、238、239 ベルトコンベア
236 スキップコンベア
240、244、246、250 ベルトコンベア
242、243、248 バケットエレベータ
300 ロータリードライヤー
306 電気集塵機
308 煙突
310 原料粉砕機
312 セパレータ

Claims (18)

  1. ロータリーキルン、あるいはロータリードライヤーを用いた廃棄物の発酵処理方法であって、発酵処理の対象となる廃棄物がゴミ袋に収容された廃棄物を含み、上記ゴミ袋を破袋せず、廃棄物をそのまま上記ロータリーキルン、あるいは上記ロータリードライヤーに投入し、発酵処理する発酵処理方法であって、内張り煉瓦を撤去したロータリーキルン、あるいはロータリードライヤーを用いることを特徴とする発酵処理方法。
  2. セメントキルン、あるいはセメント製造用ロータリードライヤーを用いた廃棄物の発酵処理方法であって、発酵処理の対象となる廃棄物がゴミ袋に収容された廃棄物を含み、上記ゴミ袋を破袋せず、廃棄物をそのまま上記セメントキルン、あるいは上記セメント製造用ロータリードライヤーに投入し、発酵処理することを特徴とする発酵処理方法。
  3. 内張り煉瓦を撤去したセメントキルン、あるいはセメント製造用ロータリードライヤーを用いることを特徴とする請求項に記載の発酵処理方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一に記載の発酵処理方法で得られた発酵処理品中の異物を分離・除去することを特徴とする発酵処理方法。
  5. 異物の分離・除去を行うにあたり、少なくとも一段階の発酵処理品破砕工程を行うことを特徴とする請求項に記載の発酵処理方法。
  6. 請求項1〜のいずれか一に記載の発酵処理方法で得られた発酵処理品中の異物を分離・除去した後、貯蔵用タンク内に該発酵処理品を貯蔵することを特徴とする発酵処理方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一に記載の発酵処理方法で得られた発酵処理品中の異物を分離・除去した後、貯蔵兼発酵処理用タンク内に該発酵処理品を貯蔵しつつ、好気性条件下の該タンク内でさらに発酵を進ませることを特徴とする発酵処理方法。
  8. 上記貯蔵用タンクの発酵処理品を循環し、該貯蔵用タンク内に循環するようにしたことを特徴とする請求項またはに記載の発酵処理方法。
  9. 異物の分離・除去装置から輸送された発酵処理品を複数の貯蔵用タンクに分割して投入し、該複数の貯蔵用タンクからそれぞれ抽出した発酵処理品を合流させ、再度分割して上記複数の貯蔵用タンクに投入するようにして循環するようにしたことを特徴とする請求項のいずれか一に記載の発酵処理方法。
  10. 請求項に記載の発酵処理方法で得られた発酵処理品の一部を、請求項1に記載のロータリーキルン、またはロータリードライヤーに投入し、廃棄物を発酵処理することを特徴とする発酵処理方法。
  11. 請求項2もしくは3に記載の発酵処理方法で得られた発酵処理品の一部を、請求項もしくはに記載のセメントキルン、またはセメント製造用ロータリードライヤーに投入し、廃棄物を発酵処理することを特徴とする発酵処理方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一に記載の発酵処理方法において、発酵処理に必要な空気を加熱するために、セメント製造で発生する廃熱を用いることを特徴とする発酵処理方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか一に記載の発酵処理方法において、発酵処理に必要な空気の一部として、あるいは発酵処理に必要な空気の予熱源として、セメント製造におけるクーラー排気の一部を用いることを特徴とする発酵処理方法。
  14. 廃棄物、発酵処理中の廃棄物、または請求項1〜11のいずれか一に記載の発酵処理方法で得られる発酵処理品中の有害な微生物を不活性化あるいは死滅させるために、セメント製造における廃熱を用いることを特徴とする発酵処理方法。
  15. ゴミ袋に収容された都市ゴミを含む廃棄物の他に、廃棄物として下水汚泥を投入することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一に記載の発酵処理方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか一に記載の発酵処理方法で得られた発酵処理品を、セメント製造における原燃料の一部として用いることを特徴とするセメントの製造方法。
  17. 請求項1〜15のいずれか一に記載の発酵処理方法で得られた発酵処理品をセメント製造用プレヒータ設備および焼成設備のいずれかの投入部位に、そのまま投入することを特徴とするセメントの製造方法。
  18. 請求項1〜15のいずれか一に記載の発酵処理方法で発生するガスをセメント製造用プレヒータ設備および焼成設備のいずれかの導入部位に導入することを特徴とするセメントの製造方法。
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