JP4647793B2 - ラジカル重合の急停止法 - Google Patents
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Description
本発明は、ラジカル重合(フリーラジカル重合)の急停止法に関する。一旦開始されたラジカル重合は通常極めて発熱的、即ちかなりの熱放出を伴うものであり、除去されない限り、重合熱はラジカル重合をさらに加速する。
【0002】
上述の熱の除去を、意図的なラジカル重合において不適切なやり方で行った場合、重合が極めて活発となるので、制御不能となった重合(例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(モノマー)の、ラジカル、塊状、溶液又は懸濁液重合)が妨害されないときは、重合混合物を含む容器が爆発するとの危険がある。
【0003】
このようなことに対する有効な対策は、不意に開始したラジカル重合の場合に特に必要である。不意に開始したラジカル重合は、例えばモノマーを含む物質の貯蔵及び/又は輸送中に発生する。なぜなら熱と光の両方により又は望んでいないフリーラジカルにより、モノマーのラジカル重合が開始し得るからである。このような不意のラジカル重合は、少量(一般に1000ppm(質量)まで)のラジカル重合阻害剤(ラジカル受容体、重合阻害剤)をモノマーに添加することにより防止するようにされていることも事実である。しかしながら、これらの阻害効果は、余り強調されるべきではない。なぜなら、これらは、ラジカル重合の目的にモノマーを次に使用する前には分離されなければならないであろう。しかしながら、ラジカル重合開始剤は、例えば、ヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)が有するように、穏やかな阻害効果に対して、通常優勢であり得る。そして、このため、MEHQは、モノマー用に特に頻繁に使用される貯蔵及び/又は輸送用安定剤である。しかしながら、経験上、貯蔵及び/又は輸送用安定剤で安定化されたモノマーの場合でさえ、不意のモノマーのラジカル重合を完全に排除することはできないことが分かっている。モノマーが特に容易にラジカル重合を受ける(メタ)アクリルモノマー及び/又はスチレンである場合に特に、不意のラジカル重合を完全に排除することはできない。用語「(メタ)アクリルモノマー」は、ここではアクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸及び/又はこれら2種の酸のエステルを含む物質を意味していると理解すべきである。この明細書では、(メタ)アクリルは、一般にアクリル及び/又はメタクリルの略語として使用されている。
【0004】
特に、少なくとも90質量%の(メタ)アクリルモノマーを含む物質は、不意のラジカル重合(これはまた重合阻害剤を予防手段として添加した場合にも起こる)に関して危険性がある。これは特に、このような物質が輸送中及び/又は貯蔵中における極端な外部条件に曝された場合(例えばヨーロッパから南西アジアへの輸送の場合のように、例えば、種々の気候ゾーン(例、赤道を横切る)を通る船による輸送中における極端な高温、或いは北国の外部タンクにおける貯蔵のように極端な低温)に起こる。特に、低温は、極端な場合、モノマーを部分的又は完全に結晶化させるので、危険性はない。高温は、通常モノマーと安定剤との分離(結晶化による精製)をもたらし、これはモノマーの不安定化領域の存在及びその後のある持続時間の溶解をもたらすかもしれず、この領域は高い可能性で、不意のラジカル重合の出発点であり得る。
【0005】
このため、モノマー含有物質の安全輸送及び/又は安全貯蔵について、モノマーの不意に開始されるラジカル重合を極めて急速に中止することができる方法が求められている。しかしながら、このような方法は、制御不能の不意のラジカル重合を即座に停止させるためにも必要である。
【0006】
公知の阻害剤溶液の添加を考えるであろう、これまで知られている方法は、低温では、阻害剤溶液の結晶化のために、全く信頼性がない。
【0007】
本発明の目的は、0℃未満の温度でも適用可能なラジカル重合を急停止させる方法を提供することにある。
【0008】
本発明者等は、上記目的が、フェノチアジン及び少なくとも50%(w/w)のN−アルキルピロリドンを含む阻害剤溶液を、ラジカル重合下にある系に添加する工程を含むラジカル重合の急停止法により達成されることを見出した。
【0009】
上記目的は、本発明に従い、阻害剤溶液が、さらにp−フェノキシフェノール(即ちヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ))を含んでいる場合に達成される。
【0010】
上記新規方法の優位性は、徹底的且つ広範な研究活動の結果、下記の点にあることが分かった:
ラジカル重合を急停止するためにヒドロキノン又はブチルピロカテコール或いはこれらの誘導体を基礎とする重合阻害剤溶液を添加するとのEP−B64628及びEP−A200181の推奨方法に比較して、本発明の添加されるべきフェノチアジンを含む阻害剤溶液は、実質的にさらに有効で広範囲に適用可能な重合阻害剤を含んでいる;
アクリル酸の不意のラジカル重合を急停止するためにCu(II)塩水溶液を添加するとのRes. Dicl. 1989, 300, 245 (Eng.)の推奨方法に比較して、N−アルキルピロリドンを基礎とする阻害剤溶液は一般に水溶液及び非水溶液の両方の系に可溶で、またこれらの系から容易に分離され得る;
Saf. Prog. 12(2) (1993), 111-114の方法は、アクリル酸の不意のラジカル重合を急停止するために、これにフェノチアジンを基礎とする阻害剤溶液を添加することを薦めているが、この先行技術はフェノチアジンをN−アルキルピロリドンを主成分とする溶媒の溶液に添加すべきとの示唆はない;
1998年10月27日のPCT/EP98/06814には、フェノチアジン及び少なくとも50%(w/w)のN−アルキルピロリドンを含む阻害剤溶液をラジカル重合下の系に添加する工程を含む方法が記載されている。しかしながら、得られる阻害剤溶液は0℃付近で結晶化する。p−メトキシフェノール(MEHQ)の阻害剤溶液への添加が有利であるとは記載されていない。しかしながら、MEHQの阻害剤溶液への添加により、阻害剤溶液の結晶化点が極端に低下し、阻害剤溶液は今や0℃未満の温度でも信頼性がある。これ程までのMEHQの結晶化阻害性は全く驚くべきことである。これまで、MEHQはラジカル重合性モノマーには、貯蔵及び/又は輸送安定化剤としてのみ添加されてきた。
【0011】
さらに、新規な手順の優位性は、N−アルキルピロリドンがほとんどの物質に対して不活性であることにある。さらにまた、N−アルキルピロリドンの沸点は、ほとんどのモノマーの沸点より上であり、このため続くモノマーからの分離を容易にし、そしてモノマーのさらなる使用も可能にする。また、N−アルキルピロリドンの高沸点は、暑い気候ゾーンでの爆発性の蒸気/酸素混合物の形成を防止する。さらにN−アルキルピロリドンは一般に低融点であり、北国でさえ使用可能である。他の優位性は、N−アルキルピロリドンの低引火点であり、また毒性があるとしても低毒性であることである。しかしながら、フェノチアジンが室温(25℃)でN−アルキルピロリドンに高い溶解度を有するとの事実が、新規な方法の特に有利な点である。このことが、高濃度のフェノチアジンの溶液の新規な使用を、フェノチアジンが屋外の温度変化で部分的又は完全に急に沈殿するとの危険性を無しにして、可能にしている。
【0012】
ラジカル重合の急停止のためにフェノチアジン自体の添加は、フェノチアジン自体の分割の程度を小さくすることは必要な急停止には適当でないとの点で不利である。
【0013】
本発明で好ましいN−アルキルピロリドンは炭素原子数1〜8個のアルキル基を有するものである。特に好ましくは炭素原子数1〜6個のアルキル基を有するN−アルキルピロリドンである。N−アルキルピロリドンとしては、なかでもN−メチルピロリドン及びN−エチルピロリドンが好ましい。
【0014】
本発明に従い添加されるフェノチアジン溶液は、N−アルキルピロリドン以外に、他の溶剤を含んでも良い。この種の好適な溶剤は、N−アルキルピロリドンと相溶性のあるものである。このような溶剤の例としては、ビフェニル、ジフェニルエーテル、トルエン、キシレン、フタル酸ジメチル、酢酸ブチル及び酢酸2−エチルへキシルを挙げることができる。さらにアルキル基の炭素原子数が1〜8個のN,N−ジアルキルカルボキシアミドは、このような他の溶剤として好適である。特に有利なアルキル基は、メチル、エチル及びn−ブチルである。C1−C3−アルカンカルボン酸のN,N−ジアルキルカルボキシアミドも特に有利である。本発明に従い特に有利なN,N−ジアルキルカルボキシアミドは、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドである。
【0015】
本発明に従い添加されるフェノチアジンの溶剤は、溶剤の質量に対して、一般に少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは95%のN−アルキルピロリジンを含んでいる。本発明に従えば、フェノチアジン溶液の溶剤は、N−アルキルピロリドンのみ、特にN−メチルピロリドン又はN−エチルピロリドンのみから構成されることが有利である。
【0016】
本発明に従い添加される阻害剤溶液は、フェノチアジン及びMEHQに加えて、他の重合阻害剤を含んでいても良い。これらの例としては、ヒドロキノン、ジフェニルアミン、p−フェニレンジアミン、ニトロキシル遊離基(少なくとも1個の>N−O・−基を有する化合物)、ニトロソ基、即ち−N=Oを有する化合物及びヒドロキシルアミンを挙げることができる。
【0017】
本発明で特に好適なニトロキシル遊離基(N−オキシル遊離基とも呼ぶ)は、α−炭素原子上に水素原子を持たない第2級アミンから誘導されるものである(即ち、N−オキシル遊離基は対応する第2級アミノ基から誘導される)。これらの中で特に好適なものは、EP−A135280、先行出願DE−A19651307、US−A5322912、US−A5412047、US−A4581429、DE−A1618141、CN−A1052847、US−A4670131、US−A5322960、先行出願DE−A19602539、EP−A765856及びJP−A5/320217に記載のN−オキシル基である。
【0018】
このような好適で安定な、第2級アミンから誘導されるN−オキシル遊離基は、例えば一般式Iで表されるものである:
【0019】
【化1】
【0020】
上記一般式Iにおいて、
R1、R2、R5及びR6が、相互に同一でも異なっていても良く、直鎖又は分岐の、無置換又は置換されたアルキル基を表し、
R3及びR4が、相互に同一でも異なっていても良く、直鎖又は分岐の、無置換又は置換されたアルキル基を表すか、又は
R3CNCR4が、無置換又は置換された環状構造を表す。
【0021】
本発明に特に好適な化合物Iは、EP−A135280、先行出願DE−A19651307、US−A5322912、US−A5412047、US−A4581429、DE−A1618141、CN−A1052847、US−A4670131、US−A5322960、先行出願DE−A19602539に記載のものである。
【0022】
これらの例としては、一般式I[但し、R1、R2、R5及びR6が、相互に同一でも異なっていても良く、C1〜C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチル;直鎖又は分岐のペンチル、フェニル、又はその置換された基を表し、そしてR3及びR4が、相互に同一でも異なっていても良く、C1〜C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチル;直鎖又は分岐のペンチル、又はその置換された基を表し、或いはCNCと共に環状構造:
【0023】
【化2】
【0024】
{但し、nが1〜10(屡々1〜6)の整数である。}及びこの種の置換環状構造を形成する。]で表される安定なN−オキシル遊離基を挙げることができる。代表例としては,2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジン、2,2,5,5−テトラメチル−1−オキシルピロリドン及び4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジンを挙げることができる。
【0025】
N−オキシル遊離基Iは、対応する第2級アミンから、これを酸化(例えば過酸化水素を用いて)することにより製造することができる。一般に、これらは純粋な物質として製造することができる。
【0026】
本発明に好適なN−オキシル遊離基Iとしては、特にピペリジン−又はピロリジン−N−オキシル、及び下記の一般式II〜IXで表されるジ−N−オキシルを挙げることができる:
【0027】
【化3】
【0028】
上式において、mが2〜10であり、
R7、R8及びR9が、相互に独立して、それぞれ
【0029】
【化4】
を表し、
【0030】
M+が、水素イオン又はアルキル金属イオンを表し、
qが、1〜10の整数であり、
R1、R2、R5及びR6が、相互に独立して且つR1、R2、R5及びR6と無関係に、R1と同一の基を表し、
R10が、C1〜C4アルキル、−CH=CH2、−C≡CH、−CN、−CO−NH2、−COO−M+、−COOCH3、又は−COOC2H5を表し、
R11が、少なくとも1個の第1級アミノ基、第2級アミノ基(例、−NHR1)又は第3級アミノ基(例、−NR1R2)、或いは少なくとも1個のアンモニウム基−N+R14R15R16X−{但し、X−がF−、Cl−、Br−、HSO4 −、SO2−、H2PO4 −、HPO4 2−又はPO4 3−を表す}、そしてR14、R15及びR16が相互に独立して有機基を表し(例、相互に独立して、且つR1と無関係にR1と同一の基を表す。)、
R12が、R11と独立して、R11と同じ基の1種を表すか、又は−H、−OH、C1〜C4アルキル、−COO−M+、−C≡CH、
【0031】
【化5】
又はヒドロキシル置換C1〜C4アルキル(例、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル)を表すか、又は
R11とR12が、一緒になってカルボニル基の酸素を表し、そして
R13が、−H、−CH3又は
【0032】
【化6】
を表す。
【0033】
R1=R2=R5=R6=R1’=R2’=R5’=R6’=−CH3が好ましい。
【0034】
本発明に好適な代表的なN−オキシル遊離基の例としては、
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジン、
4−ヒドロキシ−2,6−ジフェニル−2,6−ジメチル−1−オキシルピペリジン、
4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジン、
4−カルボキシ−2,6−ジフェニル−2,6−ジメチル−1−オキシルピペリジン、
3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチル−1−オキシルピロリジン、
3−カルボキシ−2,5−ジフェニル−2,6−ジメチル−1−オキシルピロリジン、
4−アセチル−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシルピペリジン、
N,N’−ビス(1−オキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサン及び
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペートを挙げることができる。
【0035】
3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチル−1−オキシル−ピロリジンの製造は、例えばRomanelli, M., Ottaviani, M.F., Martini, G., Kevan, L., JPCH J: Phys. Chem., EN, 93, 1 (1989), 317-322に記載されている。
【0036】
化合物(VI)及び(VII)は、US−A4665185(例、実施例7)及びDE−A19510184に従い得ることができる。
【0037】
さらに好適な代表例として下記のものを挙げることができる:
【0038】
【化7】
Sunamoto, Junzo; Akiyoshi, Kuzunari, Kihara, Tetsuji; Endo, Masayuki, BCS JA 8, Bull, Chem. Soc. Jpn., EN, 65, 4 (1992), 1041-1046;
【0039】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0040】
本発明に従い、N−オキシル基の混合物も、勿論、フェノチアジンに加えて使用することもできる。
【0041】
本発明に好適な有機ニトロソ化合物は、例えばN−ニトロソアリールアミン又は芳香核に直接結合したニトロソ基を有するニトロソ化合物である。例としては、ニトロソフェノール(例、4−ニトロソフェノール)、ニトロソナフトール(例、2−ニトロソ−1−ナフトール)、ニトロソベンゼン、N−ニトロソ−N−メチル尿素、ニトロソ−N,N−ジアルキルアニリン(アルキルはメチル、エチル、プロピル及び/又はブチル)、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルナフチルアミン、4−ニトロソジナフチルアミン及びp−ニトロソジフェニルアミンを挙げることができる。本発明によれば、上記ニトロソ化合物の今後物も勿論フェノチアジンに加えて使用することができる。
【0042】
本発明に好適なp−フェニレンジアミンは下記の一般式Xで表されるものである:
【0043】
【化13】
【0044】
[但し、上記R16、R17及びR18が、相互に独立して、それぞれ炭素原子数20個までの、アルキル、アリール(alkaryl)、アルキルアリール又はアラルキル、又は水素を表す。]
【0045】
R16、R17及びR18が、相互に独立して、それぞれメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、n−ブチル、ペンチル、フェニル又はナフチルである場合の化合物Xが特に好適である。適当な化合物Xの例として、N,N’−ビス−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピルフェニレンジアミン、N−ナフチル−N’−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’−トリエチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’,N’−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’,N’−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’,N’−ジプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’,N’−ジ−n−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−メチル−N’−エチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−メチル−N’−プロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−メチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−エチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−プロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−tert−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−n−ペンチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−n−ヘキシル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1−メチルへキシル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン及びp−フェニレンジアミンを挙げることができる。本発明によれば、p−フェニレンジアミンの混合物もフェニチアジンに加えて使用することができる。特に、この種の好適な混合物は、WO92/01665で推奨されているp−フェニレンジアミン混合物である。
【0046】
本発明によれば、全ての異なる上述の重合阻害剤の混合物は、勿論フェノチアジンとMEHQに付加的に使用される。
【0047】
本発明に好ましいフェノチアジン溶液は、重合阻害剤の全重量が一般に少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも75質量%、特に少なくとも90質量%がフェノチアジンであるものである。フェノチアジン及びMEHQ以外の別の重合阻害剤は、本発明に従い加えられるべき阻害剤溶液には存在しないのが特に有利である。MEHQは、阻害剤溶液で阻害剤としてはほとんど機能しない。
【0048】
一般に、本発明に従い加えられるべき阻害剤溶液のフェノチアジンの含有量は、溶液に対して少なくとも10%(w/w)、好ましくは少なくとも20%(w/w)、特に少なくとも30%(w/w)である。
【0049】
本発明によれば、フェノチアジンのメチルピロリドン溶液は、フェノチアジン含有量が溶液に対して35〜45%のものが好ましい。この溶液のフェノチアジン含有量は、屡々35%(w/w)である。
【0050】
阻害剤溶液中の結晶化阻害剤MEHQの含有量は、阻害剤溶液の質量に対して好ましくは2.5〜12.5%(w/w)、特に5〜10%(w/w)である。
【0051】
特に、本発明の好ましい態様では、阻害剤溶液は、35%のフェノチアジン、5%のMEHQ及び60%のN−メチルピロリドン、又は30%のフェノチアジン、10%のMEHQ及び60%のN−メチルピロリドン(いずれもw/w)を含んでいる。
【0052】
新規な方法は、どのような種類のラジカル重合の、たとえ0℃未満でも、急停止するのに好適であり、特にこの明細書の初めに述べられた不意の及び/又は生業不能のラジカル重合を急停止するのに好適である。
【0053】
これらの重合としては、特に、少なくも95質量%、又は少なくとも98質量%、又は少なくとも99質量%、又は100質量%の(メタ)アクリルモノマーを含む物質の不意のラジカル重合を挙げることができる。特に好適な(メタ)アクリルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸と一価アルコール又は多価アルコールとのエステルを挙げることができる。これは、特に一価又は多価アルカノールが炭素原子数1〜20個又は1〜12個或いは1〜8個のものである場合に適用される。このようなエステルの代表例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、及びtert−ブチルメタクリレートを挙げることができる。
【0054】
本発明は、さらに新規な方法を行うための装置に関するものである。
【0055】
ラジカル重合下にある系に極めて急速に均一分散を得るために、本発明に従い加えられるべき阻害剤溶液をスプレーノズルを介して導入することが塗布技術の観点から便宜である。DE−A19749859及びDE−A19822494に記載された装置は、特に重合下の系への阻害剤溶液の導入に特に好適である。
【0056】
勿論、上述の均一化は、ポンプによる循環及び/又は撹拌によっても維持することができる。しかしながら、このような機械的補助手段は、ラジカル重合下の系にエネルギーを導入することなるので、重合を加速する危険性を内包することにもなる。導入されるべきフェノチアジン溶液は適当な貯蔵容器に入れておくのが便宜である。(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合を急停止させる新規な方法が、溶剤の非存在下に不意に重合する場合、フェノチアジンの合計添加量は(メタ)アクリルモノマーに対して約0.01〜3質量%にすべきである。一般に、0.01〜0.05、屡々0.025質量%のフェノチアジンで十分である。
【0057】
[実施例]
阻害剤溶液の組成 結晶化温度
35%(w/w)フェノチアジン +2℃
65%(w/w)N−メチルピロリドン
35%(w/w)フェノチアジン −11℃
5%(w/w)MEHQ
60%(w/w)N−メチルピロリドン
MEHQ含有阻害剤溶液の結晶化温度と、MEHQ非含有阻害剤溶液のそれとの比較によれば、MEHQは結晶化温度を低下させ、2℃〜−11℃への13℃操作範囲が拡大することが分かる。重合阻害剤としてのフェノチアジンの効果は損なわれない。
Claims (9)
- フェノチアジン及び当該阻害剤溶液の質量に対して少なくとも50%(w/w)のN−アルキルピロリドンを含む阻害剤溶液を、ラジカル重合下にある系に添加する工程を含むラジカル重合の急停止法において、阻害剤の溶液はさらにp−メトキシフェノール(MEHQ)を含んでいることを特徴とする急停止法。
- N−アルキルピロリドンが、N−メチルピロリドン又はN−エチルピロリドンである請求項1に記載の方法。
- 阻害剤溶液のフェノチアジン含有率が、阻害剤溶液の質量に対して少なくとも10%(w/w)である請求項1又は2に記載の方法。
- 阻害剤溶液のp−メトキシフェノール含有率が、阻害剤溶液の質量に対して2.5〜12.5%(w/w)である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 阻害剤溶液のp−メトキシフェノール含有率が、阻害剤溶液の質量に対して5〜10%(w/w)である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- ラジカル重合下にある系が、ラジカル塊状重合下にある(メタ)アクリルモノマーを含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- (メタ)アクリルモノマーが(メタ)アクリル酸である請求項6に記載の方法。
- (メタ)アクリルモノマーが(メタ)アクリル酸エステルである請求項6に記載の方法。
- それぞれ阻害剤溶液の質量に対して、少なくとも10%(w/w)のフェノチアジン、5〜10%(w/w)のp−メトキシフェノール及び少なくとも50%(w/w)のN−メチルピロリドンを含む阻害剤溶液。
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