ところで、前記水処理システムでは、前段の水処理部で水処理された給水が前記濾過膜部の一側から流入し、この給水中に含まれる不純物が濾過される。そして、前記濾過膜部の他側から流出した透過水が前記機器へ供給される。
また、前記濾過膜部の他側からは、透過水の他に濃縮水が流出する。前記水処理システムにおいては、水の有効利用を図るため、濃縮水の一部のみを排水し、残部を前記濾過膜部の上流側へ還流させる構成(クロスフロー濾過)がある。
一般に、前記構成の水処理システムでは、給水中に含まれる不純物の濃度により、前記濾過膜部からの透過水の水質が影響を受ける。また、前記濾過膜部における濾過膜の表面付近において、不純物が過度に濃縮されると、ファウリングやスケーリングといった現象による前記濾過膜の詰まりが発生する。ここで、ファウリングとは、水中の濁質,コロイド,有機物などが膜面に沈着または吸着する現象を云い、スケーリングとは、水中に溶解している溶存塩類が溶解度以上に濃縮されることによって、膜面に析出して沈着する現象を云う。さらに、前記濾過膜は、長期間使用していると、給水中に含まれる酸化性物質(たとえば、殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウムなど)により、前記濾過膜を形成する高分子が次第に酸化分解を受け、経時的に前記濾過膜の劣化が発生する場合がある。クロスフロー濾過を行うようになっている前記水処理システムでは、前記濾過膜の表面付近において、次第に酸化性物質の濃度が高くなり、前記濾過膜の劣化が進みやすい。この劣化は、通常、前記濾過膜が有する細孔を拡大する側へ作用するため、不純物を阻止しにくくなる。
前記濾過膜部への給水中に含まれる不純物の濃度が増加すると、前記濾過膜の表面付近において、不純物の濃縮度合が高くなり、透過水中へリークする不純物が多くなって透過水の水質悪化を生じる。また、前記濾過膜の劣化が発生すると、不純物の透過を阻止しにくくなるため、給水側の不純物の濃度が増加した場合、透過水中へリークする不純物が多くなり、透過水の水質悪化を生じる。このようなことから、前記水処理システムにおいては、前記濾過膜部からの濃縮水の排水量を前記濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮が生じない量に設定することにより、不純物の除去率を所定の範囲に維持し、前記濾過膜部からの透過水の水質悪化を抑制する必要がある。
また、前記濾過膜部における濾過膜の詰まりが発生すると、透過水の流束(以下、「透過流束」と云う)が低下するため、透過水量の低下を生じる。したがって、前記水処理システムにおいては、濃縮水の排水量を前記濾過膜の表面付近で過度の濃縮が生じない量に設定することにより、ファウリングやスケーリングを防止し、透過水量の低下を抑制する必要がある。
ここで、前記濾過膜部への給水,とくに地下水を原水とする給水の水質や水温は、地域的な要因,季節的な要因,前段の水処理状態の要因などによって変動する。また、たとえばシリカや硬度成分など、給水中に含まれる溶存塩類の溶解度は、水質や水温によって変化する。したがって、従来の水処理システムでは、給水の水質によらず、透過水を所定の水質に維持し、またファウリングやスケーリングを防止し、さらに不純物の除去率を所定の範囲に維持するため、水質や水温が最悪の条件を想定して、濃縮水の排水量を設定していた。このため、排水量が多くなり、水の有効利用を図りにくいと云う問題があった。
そこで、本願出願人は、水処理システムにおいて、透過水量の低下や透過水の水質悪化を防止することができるとともに、必要量以上の濃縮水の排水を防止するために、前記濾過膜部への給水,前記濾過膜部からの透過水および前記濾過膜部からの濃縮水のうちのいずれかの水温,もしくは前記濾過膜部への給水の水質に基づいて、濃縮水の排水量を調節する水処理システムの運転方法を、特願2005−133196において提案した。また、この特願2005−133196において、本願出願人は、水処理システムにおける透過水量や透過水の水質を維持するために、前記濾過膜部における濾過膜の詰まり状態または濾過膜の劣化状態に基づいて、濃縮水の排水量を調節する水処理システムの運転方法についても提案している。
しかし、前記濾過膜部への給水,前記濾過膜部からの透過水および前記濾過膜部からの濃縮水のうちのいずれかの水温,もしくは前記濾過膜部への給水の水質に基づいて、濃縮水の排水量を調節する方法においては、仮に前記濾過膜部への給水,前記濾過膜部からの透過水または前記濾過膜部からの濃縮水のうちのいずれかの水温や前記濾過膜部への給水の水質に関する情報が得られなくなった場合、これらに基づいて濃縮水の排水量を調節することができず、透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができなくなるおそれがある。
また、前記濾過膜部における濾過膜の詰まり状態またはこの濾過膜の劣化状態に基づいて、濃縮水の排水量を調節する方法においては、前記濾過膜の詰まり状態や劣化状態は、たとえば運転初期における透過流束と、所定時間運転後における透過流束とを比較することや、運転初期における前記濾過膜部の給水側と透過水側の圧力差と、所定時間運転後における前記濾過膜部の給水側と透過水側の圧力差とを比較することにより判断する。ちなみに、透過流束は、前記濾過膜部への給水,前記濾過膜部からの透過水および前記濾過膜部からの濃縮水のいずれかの水温,前記濾過膜部からの透過水の流量および前記濾過膜部の給水側または透過水側の圧力に基づいて算出される。また、前記濾過膜の劣化状態は、たとえば透過水の水質を監視し、不純物の残存量から判断することもできる。したがって、前記濾過膜部の給水側または透過水側の圧力,前記濾過膜部への給水,前記濾過膜部からの透過水および前記濾過膜部からの濃縮水のいずれかの水温,前記濾過膜部からの透過水の流量,前記濾過膜部からの透過水の水質に関する情報が得られなくなった場合、これらに基づいて前記濾過膜の詰まり状態や劣化状態を判断することができなくなり、この結果、濃縮水の排水量を調節することができず、透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができなくなるおそれがある。
この発明が解決しようとする課題は、前記濾過膜部への給水,前記濾過膜部からの透過水および前記濾過膜部からの濃縮水のいずれかの水温,前記濾過膜部への給水および前記濾過膜部からの透過水のいずれかの水質,前記濾過膜部からの透過水の流量または前記濾過膜部の給水側および透過水側のいずれかの圧力に基づかずに、濃縮水の排水量を調節して前記濾過膜部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができる水処理システムの運転方法を実現することである。
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、(A)給水中の濁質を除去する砂濾過装置、除鉄・除マンガン装置および精密濾過装置、(B)給水中の酸化剤を除去する活性炭濾過装置、並びに(C)給水中の硬度分を除去する軟水装置からなる群より選ばれた1以上の装置を有する第一水処理部と、前記第一水処理部からの給水中の不純物を除去するナノ濾過膜または逆浸透膜を有する第二水処理部とを備え、前記第二水処理部からの濃縮水の一部を系外へ排水し、残部を前記第二水処理部の上流側へ還流させる水処理システムの運転方法であって、濃縮水の排水量の調節を、前記第一水処理部の運転状態に基づいて行うことを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、前記第二水処理部の前段に配置された前記第一水処理部の運転状態に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部のナノ濾過膜または逆浸透膜といった濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量が調節される。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、濃縮水の排水量の調節を、前記砂濾過装置、前記除鉄・除マンガン装置および前記精密濾過装置からなる群より選ばれた1以上の装置における通水時間、通水量、濾材の詰まり状態、洗浄作動の頻度または洗浄作動不良の発生に基づいて行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、前記砂濾過装置、前記除鉄・除マンガン装置および前記精密濾過装置からなる群より選ばれた1以上の装置における通水時間、通水量、濾材の詰まり状態、洗浄作動の頻度または洗浄作動不良の発生に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部のナノ濾過膜または逆浸透膜といった濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量が調節される。
請求項3に記載の発明は、請求項1において、濃縮水の排水量の調節を、前記活性炭濾過装置における活性炭の詰まり状態または洗浄作動不良の発生に基づいて行うことを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、前記活性炭濾過装置における活性炭の詰まり状態または洗浄作動不良の発生に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部のナノ濾過膜または逆浸透膜といった濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量が調節される。
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1において、濃縮水の排水量の調節を、前記軟水装置における硬度漏れの有無に基づいて行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、前記軟水装置における硬度漏れの有無に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部のナノ濾過膜または逆浸透膜といった濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量が調節される。
請求項1に記載の発明によれば、前記第二水処理部への給水,前記第二水処理部からの透過水および前記第二水処理部からの濃縮水のうちのいずれかの水温,前記第二水処理部への給水および前記第二水処理部からの透過水のいずれかの水質,前記第二水処理部からの透過水の流量または前記第二水処理部の給水側および透過水側のいずれかの圧力に関する情報がなくても、前記第二水処理部の前段に配置された前記第一水処理部の運転状態に基づいて、濃縮水の排水量を調節することができ、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができる。そして、濃縮水の排水量を調節することにより、水の有効利用を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記第二水処理部への給水,前記第二水処理部からの透過水および前記第二水処理部からの濃縮水のうちのいずれかの水温,前記第二水処理部への給水および前記第二水処理部からの透過水のいずれかの水質,前記第二水処理部からの透過水の流量または前記第二水処理部の給水側および透過水側のいずれかの圧力に関する情報がなくても、前記第二水処理部の前段の前記砂濾過装置、前記除鉄・除マンガン装置および前記精密濾過装置からなる群より選ばれた1以上の装置における通水時間、通水量、濾材の詰まり状態、洗浄作動の頻度または洗浄作動不良の発生に基づいて、濃縮水の排水量を調節することができ、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記第二水処理部への給水,前記第二水処理部からの透過水および前記第二水処理部からの濃縮水のうちのいずれかの水温,前記第二水処理部への給水および前記第二水処理部からの透過水のいずれかの水質,前記第二水処理部からの透過水の流量または前記第二水処理部の給水側および透過水側のいずれかの圧力に関する情報がなくても、前記第二水処理部の前段の前記活性炭濾過装置における活性炭の詰まり状態または洗浄作動不良の発生に基づいて、濃縮水の排水量を調節することができ、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記第二水処理部への給水,前記第二水処理部からの透過水および前記第二水処理部からの濃縮水のうちのいずれかの水温,前記第二水処理部への給水および前記第二水処理部からの透過水のいずれかの水質,前記第二水処理部からの透過水の流量または前記第二水処理部の給水側および透過水側のいずれかの圧力に関する情報がなくても、前記第二水処理部の前段の前記軟水装置における硬度漏れの有無に基づいて、濃縮水の排水量を調節することができ、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができる。
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態の水処理システムの運転方法は、(A)給水中の濁質を除去する砂濾過装置、除鉄・除マンガン装置および精密濾過装置、(B)給水中の酸化剤を除去する活性炭濾過装置、並びに(C)給水中の硬度分を除去する軟水装置からなる群より選ばれた1以上の装置を有する第一水処理部と、前記第一水処理部からの給水中の不純物を除去するナノ濾過膜または逆浸透膜を有する第二水処理部とを備えた水処理システムにおいて実施される。
前記機器としては、蒸気ボイラ,温水ボイラ,クーリングタワー,給湯器などの熱機器を挙げることができる。また、半導体製造における電子部品,医療器具等の各種洗浄装置などの水使用機器を挙げることもできる。
前記第二水処理部は、濾過膜により、給水中に含まれる不純物を濾過するものである。前記濾過膜としては、逆浸透膜(RO膜)やナノ濾過膜(NF膜)などを挙げることができる。前記逆浸透膜は、分子量が数十程度の物質を濾別可能な液体分離膜である。また、前記ナノ濾過膜は、2nm程度より小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度の物質)の透過を阻止することができる液体分離膜であり、濾過機能の点において、限外濾過膜(分子量が1,000〜300,000程度の物質を濾別可能な膜)と前記逆浸透膜との中間に位置する機能を有するものである。
前記第二水処理部には、この第二水処理部で発生した濃縮水の排水ラインが接続されている。そして、前記排水ラインと前記第二水処理部の上流側の前記給水ラインとが、循環水ラインで接続されている。前記第二水処理部からの濃縮水は、一部が前記排水ラインから排水され、残部が前記循環水ラインを流れて前記第二水処理部の上流側へ還流されるようになっている。すなわち、前記水処理システムでは、クロスフロー濾過を行うようになっている。
前記第二水処理部以外の前記第一水処理部としては、たとえば(A)給水中の濁質を濾材によって除去する砂濾過装置、除鉄・除マンガン装置および精密濾過装置、(B)給水中の次亜塩素酸ナトリウムなどに由来する酸化剤(たとえば、遊離塩素や結合塩素など)を活性炭などの吸着材によって除去する活性炭濾過装置、(C)給水中の硬度分をイオン交換樹脂によって除去する軟水装置などを挙げることができる。前記第一水処理部は、前記第二水処理部の上流側に配置される。ここで、前記水処理システムは、前記第一水処理部として列挙した装置を全て備える必要はなく、原水の水質や、特定の前記機器へ供給される給水について要求される水質を考慮して、組合せおよび配列が適宜選択される。
さて、前記水処理システムの運転方法について説明する。前記水処理システムでは、前記第二水処理部の前段に配置された前記第一水処理部の運転状態に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部のナノ濾過膜または逆浸透膜といった濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、前記第二水処理部からの濃縮水の排水量を調節し、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
前記第一水処理部の運転状態に基づく濃縮水の排水量の調節方法について具体的に説明する。第一に、前記砂濾過装置、前記除鉄・除マンガン装置および前記精密濾過装置からなる群より選ばれた1以上の装置(以下、「濁質除去装置」という。)の運転状態に基づく濃縮水の排水量の調節方法の具体例について説明する。前記濁質除去装置の運転状態としては、たとえば前記濁質除去装置の通水時間または通水量や、前記濾材の詰まり状態を挙げることができる。また、前記濁質除去装置における、逆洗工程,水洗工程を含む公知の方法で行われる洗浄作動の頻度や、前記濁質除去装置の不具合を挙げることもできる。
まず、前記濁質除去装置の通水時間または通水量に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記濁質除去装置の通水時間が長くなり、あるいは通水量が増えると、その濁質除去能力が低下し、前記第二水処理部におけるナノ濾過膜または逆浸透膜といった濾過膜の表面付近の濁度が高くなるおそれがある。したがって、水の有効利用を図りつつも、前記濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、前記濁質除去装置の通水時間または通水量に比例して濃縮水の排水量を調節し、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
つぎに、前記濾材の詰まり状態に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記濾材の詰まり状態が一定以上になった場合、前記濁質除去装置の濁質除去能力が低下して前記第二水処理部におけるナノ濾過膜または逆浸透膜といった濾過膜の表面付近の濁度が高くなるおそれがある。したがって、前記濾材の詰まり状態に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記前記第二水処理部における濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増減させて、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
つぎに、洗浄作動の頻度に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。洗浄作動の頻度が高くなった場合、原水の濁度が高く、前記濾材の詰まりが生じやすくなるおそれがある。これにより、前記濁質除去装置の濁質除去能力が低下して、前記第二水処理部における濾過膜の表面付近の濁度が高くなるおそれがある。したがって、洗浄作動の頻度に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部における濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増減させて、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
最後に、前記濁質除去装置の不具合に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記濁質除去装置の不具合としては、たとえば洗浄作動の不良を挙げることができる。洗浄作動の不良が生じると、前記濁質除去装置の濁質除去能力が低下し、前記第二水処理部における濾過膜の表面付近の濁度が高くなるおそれがある。ここで、洗浄作動の不良は、たとえば洗浄作動における逆洗工程の際に前記濁質除去装置へ洗浄水を供給する逆洗ポンプの故障によって生じる。したがって、前記逆洗ポンプの故障を検知した場合は、前記第二水処理部における濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
第二に、前記活性炭濾過装置の運転状態に基づく濃縮水の排水量の調節方法の具体例について説明する。前記活性炭濾過装置の運転状態としては、前記活性炭の詰まり状態や、前記活性炭濾過装置の不具合を挙げることもできる。
まず、前記活性炭の詰まり状態に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記活性炭濾過装置においては、給水中の濁質によって前記活性炭の詰まりが生じることがある。これにより、前記第二水処理部への給水の濁度が高くなり前記第二水処理部における濾過膜の表面付近の濁度が高くなるおそれがある。したがって、前記活性炭の詰まり状態に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部における濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増減させて、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
つぎに、活性炭濾過装置の不具合に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記活性炭濾過装置の不具合としては、たとえば前記活性炭に付着した濁質を除去するための洗浄作動の不良を挙げることができる。洗浄作動の不良が生じると、前記活性炭濾過装置の酸化剤除去能力が低下して、前記第二水処理部へ供給される給水の酸化剤濃度が高くなり、前記第二水処理部における濾過膜の劣化が進みやすくなるおそれがある。ここで、洗浄作動の不良は、たとえば洗浄作動における逆洗工程の際に前記活性炭濾過装置へ洗浄水を供給する逆洗ポンプの故障によって生じる。したがって、前記逆洗ポンプの故障を検知した場合は、前記第二水処理部における濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
第三に、前記軟水装置の運転状態に基づく濃縮水の排水量の調節方法の具体例について説明する。前記軟水装置の運転状態としては、たとえば再生作動の際に前記イオン交換樹脂へ塩水を供給する塩水ポンプの故障や再生塩の補充し忘れなどが原因で生じる再生不良による硬度漏れの有無や、前記軟水装置の通水時間を挙げることができる。
前記軟水装置の再生不良による硬度漏れの有無に基づく濃縮水の排水量の調節について具体的に説明すると、前記軟水装置の直後を流れる給水の硬度分濃度の検出値に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記第二水処理部における濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増減させて、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
以上説明したこの実施形態の水処理システムによれば、前記第二水処理部への給水,前記第二水処理部からの透過水および前記第二水処理部からの濃縮水のうちのいずれかの水温,前記第二水処理部への給水および前記第二水処理部からの透過水のいずれかの水質,前記第二水処理部からの透過水の流量または前記第二水処理部の給水側および透過水側のいずれかの圧力に関する情報がなくても、前記第二水処理部の前段に配置された前記第一水処理部の運転状態に基づいて、濃縮水の排水量を調節することができ、前記第二水処理部からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持することができる。そして、濃縮水の排水量を調節することにより、水の有効利用を図ることができる。
(第一実施例)
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。まず、この発明の第一実施例について説明する。図1はこの発明に係る水処理システムの第一実施例を示す概略的な説明図、図2は図1の一部拡大説明図である。
図1において、水処理システム1は、水道水,工業用水,地下水などの水源から供給される原水を水処理して得られた給水を、ボイラ2へ供給するものである。この水処理システム1は、前記ボイラ2への給水ライン3を備え、さらにこの給水ライン3と接続された水処理部4を備えており、これら水処理部4を通過した給水は、給水タンク10内に貯留され、この給水タンク10から前記ボイラ2へ供給されるようになっている。
前記給水ライン3と接続された前記水処理部4は、給水中の濁質を除去する濁質除去装置5と、給水中の酸化剤を除去する活性炭濾過装置6と、給水中の硬度分を除去する軟水装置7からなる群より選ばれた1以上の装置を有する第一水処理部と、前記第一水処理部の下流側に位置し、前記第一水処理部で処理された給水中の不純物を除去するナノ濾過膜または逆浸透膜を有する第二水処理部8と、第二水処理部8の下流側に位置し、給水中の溶存気体を除去する脱気部9を備えている。
前記軟水装置7と前記第二水処理部8との間の前記給水ライン3には、前記第二水処理部8へ給水を供給するためのポンプ11が設けられている。
前記第一水処理部について詳しく説明する。前記濁質除去装置5は、給水中の濁質を濾材(図示省略)によって除去するものである。具体的には、前記濁質除去装置5は、給水に含まれているごみなどの濁質を除去する砂濾過装置である。ここで、原水の水質によっては、前記砂濾過装置に加えて、あるいは前記砂濾過装置に代えて、給水中の鉄分およびマンガンを濁質とともに除去する除鉄・除マンガン装置や、給水中の細菌類や鉄分などの濁質を除去する精密濾過装置を前記活性炭濾過装置6の上流側に備えていてもよい。前記濁質除去装置5で濾過された給水は、原水タンク(図示省略)内に貯留され、この原水タンクから、原水ポンプ(図示省略)によって前記活性炭濾過装置6へと供給されるようになっている。ちなみに、前記原水タンク内に貯留された給水(すなわち、濾過処理された原水)は、逆洗工程,水洗工程を含む公知の方法で行われる前記濁質除去装置5の洗浄作動時(後述)に、逆洗ポンプ(図示省略)によって前記濁質除去装置5の上流側へ供給されて逆洗に用いられる。
前記活性炭濾過装置6は、給水中に溶存する次亜塩素酸ナトリウムなどに由来する酸化剤を粒状の活性炭(図示省略)により吸着除去するものである。前記酸化剤は、前記活性炭濾過装置6の下流に配置される前記軟水装置7のイオン交換樹脂(図示省略)を酸化させ、イオン交換能力を早期に低下させるおそれがある。また、さらに下流に配置された前記第二水処理部8を構成する濾過膜モジュール(図示省略)を酸化させ、濾過能力を早期に低下させるおそれがある。そこで、このような酸化による早期の能力低下を防止するために、前記酸化剤を吸着除去することにより、給水の処理効率の向上や処理された給水の水質の安定化などを図るようにしている。
前記軟水装置7は、前記酸化剤が除去された給水中の硬度分,すなわちカルシウムイオンやマグネシウムイオンを前記イオン交換樹脂により除去するものである。この軟水装置7は、給水中の硬度分をイオン交換により、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどの一価の陽イオンへ交換し、給水の水質を軟水化するようになっている。
前記第二水処理部8は、前記ボイラ2が貫流ボイラである場合、この貫流ボイラの複数の伝熱管(図示省略)や下部管寄せ(図示省略)を形成する非不動態化金属体の腐食を引き起こす腐食促進成分を捕捉し、また前記非不動態化金属体の腐食の抑制に寄与する腐食抑制成分を透過する濾過膜モジュールを備え、この濾過膜モジュールにより給水を濾過処理する濾過装置である。前記濾過膜モジュールの形態には、スパイラルモジュール,中空糸モジュール,平膜モジュールなどがある。
前記濾過膜モジュールは、具体的にはナノ濾過膜(NF膜)を使用して形成されている。前記ナノ濾過膜は、ポリアミド系,ポリエーテル系などの合成高分子膜であり、2nm程度より小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度の物質)の透過を阻止することができる液体分離膜である。
前記ナノ濾過膜は、給水中の腐食促進成分を捕捉する。腐食促進成分とは、前記ボイラ2において、非不動態化金属よりなり、ボイラ水が接触する前記複数の伝熱管や前記下部管寄せの内面に作用してその腐食を促進するものを云い、通常、硫酸イオン,塩化物イオンおよびその他の成分を含んでいる。ちなみに、腐食促進成分として重要なものは、硫酸イオンおよび塩化物イオンの両者である。ところで、JIS B 8223:1999は、貫流ボイラを含む特殊循環ボイラの腐食を抑制する観点から、これらのボイラにおけるボイラ水の水質に関する各種の管理項目および推奨基準を規定し、その中で、塩化物イオン濃度の基準値を設けている。一方、ボイラ水の硫酸イオン濃度には言及されていないが、本願出願人においては、ボイラ水に含まれる硫酸イオンが、腐食促進成分として前記各伝熱管や前記下部管寄せに作用していることを確認している。
また、前記ナノ濾過膜は、給水中の腐食抑制成分を透過する。腐食抑制成分とは、前記ボイラ2において、ボイラ水が接触する前記各伝熱管や前記下部管寄せの内面に作用してその腐食を抑制可能なものを云い、通常、シリカ(すなわち、二酸化ケイ素)を含んでいる。ところで、給水に含まれるシリカは、給水として用いる水道水,工業用水,地下水などにおいて、通常含有されている成分で、一般に、前記各伝熱管や前記下部管寄せにおけるスケール生成成分と認識されており、可能な限りその濃度を抑制することが好ましいと考えられている。しかし、本願出願人においては、ボイラ水に含まれるシリカが、腐食抑制成分として前記各伝熱管や前記下部管寄せに作用していることを確認している。
前記第二水処理部8では、前記ポンプ11から送り出された給水が一側から流入し、この給水が前記ナノ濾過膜で濾過されて、他側から腐食抑制成分を含む透過水と腐食促進成分を含む濃縮水とが流出するようになっている。透過水は、前記給水ライン3を流れ、前記脱気部9を経て前記給水タンク10内に貯留されるようになっている。一方、濃縮水は、図2に示すように、その一部が、前記第二水処理部8と接続された排水ライン12から系外へ排水され、残部が前記排水ライン12と前記ポンプ11の上流側の前記給水ライン3とを接続する循環水ライン13を流れて、前記給水ライン3へ還流されるように構成されている(図1では、前記排水ライン12および前記循環水ライン13は、図示省略されている)。
前記排水ライン12は、前記循環水ライン13の接続箇所よりも下流側が、第一排水ライン14,第二排水ライン15および第三排水ライン16に分岐している。そして、これらの各排水ライン14,15,16には、それぞれ第一排水弁17,第二排水弁18および第三排水弁19が設けられている。
ここで、前記各排水弁17,18,19は、それぞれ定流量弁機構(図示省略)を備えている。この定流量弁機構は、前記各排水弁17,18,19において、それぞれ異なる流量値に設定されている。前記各排水弁17,18,19からの排水量は、たとえばつぎのように設定される。すなわち、前記第一排水弁17のみを開状態にしたときの排水量は、回収率が95%となるように設定され、また前記第二排水弁18のみを開状態にしたときの排水量は、回収率が90%となるように設定され、さらに前記第三排水弁19のみを開状態にしたときの排水量は、回収率が80%となるように設定される。ここで、回収率とは、前記第二水処理部8からの透過水量と系外への排水量との和に対する透過水量の割合のことを云う。また、以下では、排水量を透過水量と排水量との和に対する排水量の割合で述べる。たとえば、前記第一排水弁17のみを開状態にしたときの排水量,すなわち回収率が95%のときの排水量を5%排水と云い、また前記第二排水弁18のみを開状態にしたときの排水量,すなわち回収率が90%のときの排水量を10%排水と云い、さらに前記第三排水弁19のみを開状態にしたときの排水量,すなわち回収率が80%のときの排水量を20%排水と云う。
濃縮水の排水量は、前記各排水弁17,18,19をそれぞれ開閉することにより、段階的に調節することができる。たとえば、前記第二排水弁18のみを開状態とし、前記第一排水弁17および前記第三排水弁19を閉状態とすることにより、10%排水とすることができる(すなわち、回収率90%)。また、たとえば前記第一排水弁17および前記第二排水弁18を開状態とし、前記第三排水弁19のみを閉状態とすることにより、15%排水とすることができる(すなわち、回収率85%)。したがって、濃縮水の排水量は、前記各排水弁17,18,19の組み合わせにより、5%排水から35%排水まで、5%毎に段階的に調節することができ、換言すれば、回収率は、65%から95%まで、5%毎に段階的に調節することができるようになっている。
前記脱気部9は、気体透過膜を多数備えた気体透過膜モジュールと、水封式真空ポンプ(それぞれ図示省略)とを備えた膜式脱気装置であり、給水中の溶存気体,具体的には溶存酸素を前記気体透過膜モジュールを通して前記水封式真空ポンプで真空吸引するように構成されている。
ただし、前記脱気部9は、たとえばスプレー塔や充填塔内へ給水を噴霧するとともに、この塔内を減圧して排気するように構成された真空式脱気装置や、スプレー塔や充填塔内へ給水を噴霧するとともに、この塔内へ窒素ガスを供給して接触させるように構成された窒素置換式脱酸素装置であってもよい。
つぎに、前記水処理システム1の作用について説明する。前記ボイラ2を運転する場合には、水源から供給される原水の水処理を行って給水を生成し、この給水を前記給水タンク10内に貯留する必要がある。ここまでの過程について説明すると、水源から供給された原水は、まず前記濁質除去装置5を通過し、濁質が除去されて前記原水タンク(図示省略)内に貯留される。そして、この原水タンクから前記活性炭濾過装置6へ供給された給水は、この前記活性炭濾過装置6を通過し、酸化剤が除去された状態の給水になる。つぎに、この給水は、前記軟水装置7を通過して軟水化される。続いて、この軟水化された給水は、前記第二水処理部8において、前記ナノ濾過膜(図示省略)を通過する際に、腐食促進成分が前記ナノ濾過膜により捕捉される一方で、腐食抑制成分が前記ナノ濾過膜を透過する。さらに、前記第二水処理部8を透過した給水は、前記脱気部9で脱気される。そして、前記脱気部9からの給水は前記ボイラ2への給水として前記給水タンク10内に貯留される。
前記給水タンク10内に貯留された給水は、前記給水タンク10と前記ボイラ2との間に設けられた給水ポンプ(図示省略)を介して前記ボイラ2へ供給される。
一方、前記第二水処理部8からは、透過水のほか濃縮水も流出し、この濃縮水は、一部が前記排水ライン12から系外へ排水されるとともに、残部が前記循環水ライン13を流れて前記ポンプ11の上流側へ還流される。
さて、前記水処理システム1では、前記第二水処理部8の前段に配置された前記第一水処理部、すなわち前記濁質除去装置5,前記活性炭濾過装置6および前記軟水装置7の運転状態に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、前記第二水処理部8からの濃縮水の排水量を前記各排水弁17,18,19を開閉させて調節し、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
第一に、前記濁質除去装置5の運転状態に基づく濃縮水の排水量の調節方法について具体的に説明する。前記濁質除去装置5の運転状態としては、たとえば前記濁質除去装置5の通水時間または通水量や前記濾材の詰まり状態を挙げることができる。また、前記濁質除去装置5における、逆洗工程,水洗工程を含む公知の方法で行われる洗浄作動の頻度や、前記濁質除去装置5の不具合を挙げることもできる。
まず、前記濁質除去装置5の通水時間または通水量に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記濁質除去装置5の通水時間が長くなり、あるいは通水量が増えると、前記濁質除去装置5の濁質除去能力が低下し、前記ナノ濾過膜の表面付近における濁度が高くなるおそれがある。したがって、水の有効利用を図りつつも、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、前記濁質除去装置5の通水時間または通水量に比例して濃縮水の排水量を調節し、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
つぎに、前記濾材の詰まり状態に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記濾材の詰まり状態が一定以上になった場合、前記濁質除去装置5の濁質除去能力が低下して、前記ナノ濾過膜の表面付近における濁度が高くなるおそれがある。したがって、前記濾材の詰まり状態が一定以上になった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。一方で、前記濾材の詰まり状態が一定以下になった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じない範囲で、濃縮水の排水量を減少させて、水の有効利用を図る。
ここで、前記濾材の詰まり状態の判断は、たとえばつぎのようにして行う。すなわち、運転中の前記濁質除去装置5からの給水についての透過流束と運転初期の透過流束とを比較し、両者の間に所定以上の開きが生じた場合には、前記濾材の詰まりが生じたものと判断する。また、前記濁質去装置5の上流側と下流側の圧力差を比較し、両者の間に所定以上の開きが生じた場合に、前記濾材の詰まりが生じたものと判断することもできる。
つぎに、洗浄作動の頻度に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。洗浄作動の頻度が高くなった場合、原水の濁度が高く、前記濾材の詰まりが生じやすくなっているおそれがある。これにより、前記濁質除去装置5の濁質除去能力が低下して、前記ナノ濾過膜の表面付近における濁度が高くなるおそれがある。したがって、洗浄作動の頻度が高くなった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。一方で、洗浄作動の頻度が低くなった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じない範囲で、濃縮水の排水量を減少させて、水の有効利用を図る。
最後に、前記濁質除去装置5の不具合に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記濁質除去装置5の不具合としては、たとえば洗浄作動の不良を挙げることができる。洗浄作動の不良が生じると、前記濁質除去装置5の濁質除去能力が低下し、前記ナノ濾過膜の表面付近における濁度が高くなるおそれがある。ここで、洗浄作動の不良は、たとえば前記逆洗ポンプ(図示省略)の故障によって生じる。したがって、前記逆洗ポンプの故障を検知した場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
第二に、前記活性炭濾過装置6の運転状態に基づく濃縮水の排水量の調節方法について具体的に説明する。前記活性炭濾過装置6の運転状態としては、前記活性炭(図示省略)の詰まり状態や、前記活性炭濾過装置6の不具合を挙げることができる。
まず、前記活性炭の詰まり状態に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記活性炭濾過装置6においては、給水中の濁質によって前記活性炭の詰まりが生じることがある。これにより、前記第二水処理部8への給水の濁度が高くなり、ナノ濾過膜の表面付近の濁度が高くなるおそれがある。したがって、前記活性炭の詰まり状態が一定以上になった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。一方で、前記活性炭の詰まり状態が一定以下になった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じない範囲で、濃縮水の排水量を減少させて、水の有効利用を図る。
ここで、前記活性炭の詰まり状態の判断は、たとえばつぎのようにして行う。すなわち、運転中の前記活性炭濾過装置6からの給水についての透過流束と運転初期の透過流束とを比較し、両者の間に所定以上の開きが生じた場合には、前記活性炭の詰まりが生じたものと判断する。また、前記活性炭濾過装置6の上流側と下流側の圧力差を比較し、両者の間に所定以上の開きが生じた場合に、前記活性炭の詰まりが生じたものと判断することもできる。
つぎに、活性炭濾過装置6の不具合に基づく濃縮水の排水量の調節について説明する。前記活性炭濾過装置6の不具合としては、たとえば前記活性炭に付着した濁質を除去するための洗浄作動の不良を挙げることができる。洗浄作動の不良が生じると、前記活性炭濾過装置6の酸化剤除去能力が低下して、前記第二水処理部8へ供給される給水の酸化剤濃度が高くなり、前記ナノ濾過膜の劣化が進みやすくなるおそれがある。ここで、洗浄作動の不良は、たとえば洗浄作動における逆洗工程の際に前記活性炭濾過装置6へ洗浄水を供給する逆洗ポンプ(図示省略)の故障によって生じる。したがって、前記逆洗ポンプの故障を検知した場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
第三に、前記軟水装置7の運転状態に基づく濃縮水の排水量の調節方法の具体例について説明する。前記軟水化部7の運転状態としては、たとえば再生作動の際に前記イオン交換樹脂へ塩水を供給する塩水ポンプ(図示省略)の故障や再生塩の補充し忘れなどが原因で生じる再生不良による硬度漏れの有無や、前記軟水装置7の通水時間を挙げることができる。
前記軟水装置7の再生不良による硬度漏れの有無に基づく濃縮水の排水量の調節について具体的に説明する。前記軟水装置7の直後の前記給水ライン3には、硬度センサ(図示省略)を設け、この硬度センサの検出値に基づいて濃縮水の排水量を調節する。具体的には、前記硬度センサの検出値が高くなった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、濃縮水の排水量を増加させて、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。一方で、前記硬度センサの検出値が低くなった場合は、前記ナノ濾過膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じない範囲で、濃縮水の排水量を減少させて、水の有効利用を図る。
(第二実施例)
つぎに、第二実施例について説明する。図3は、本発明に係る水処理システムの第二実施例を示す概略的な説明図である。ただし、以下の説明においては、図3の他、必要に応じて図2を援用して説明する。
図3に示すように、前記水処理システム1は、水道水,工業用水,地下水などの水源から供給される原水を水処理して得られた給水を、水使用機器20へ供給するものであってもよい。
前記水使用機器20は、半導体製造で用いられる部品洗浄装置,医療現場で用いられる医療器具洗浄装置等の各種洗浄装置である。
この実施例では、前記第二水処理部8は、逆浸透膜を備えて構成される。この逆浸透膜は、たとえばポリアミド系などの合成高分子膜であり、分子量が数十程度の物質を濾別可能な液体分離膜である。この逆浸透膜は、通常、前記ナノ濾過膜と同様、濾過膜モジュールとして構成されている。この濾過膜モジュールの形態には、スパイラルモジュール,中空糸モジュール,平膜モジュールなどがある。
前記第二水処理部8の一側へは、前記ポンプ11から送り出された給水が流入し、前記逆浸透膜により、給水中に含まれる不純物が捕捉されるようになっている。
前記第二水処理部8の他側からは、不純物が除去された透過水と不純物を多く含む濃縮水とがそれぞれ分離されて流出するようになっている。そして、前記第一実施例と同様、透過水は、前記給水ライン3を流れて前記給水タンク10内に貯留され、一方で濃縮水は、その一部が前記第二水処理部8と接続された排水ライン12(図2参照)から系外へ排水されるとともに、残部が前記排水ライン12と前記ポンプ11の上流側の前記給水ライン3とを接続する循環水ライン13(図2参照)を流れて前記ポンプ11の上流側へ還流されるように構成されている(図1と同様、図3では、前記排水ライン12および前記循環水ライン13は、図示省略されている)。
前記排水ライン12は、前記第一実施例と同様、第一排水ライン14,第二排水ライン15,第三排水ライン16に分岐しており、前記各排水ライン14,15,16には、それぞれ第一排水弁17,第二排水弁18,第三排水弁19が設けられている。
さて、前記水処理システム1では、前記濁質除去装置5で濁質が除去され、前記活性炭濾過装置6で酸化剤が除去され、さらに前記軟水装置7で軟水化された給水が、前記第二水処理部8へ供給され、この第二水処理部8において、前記逆浸透膜(図示省略)を通過する際に不純物が捕捉される。そして、不純物が除去された給水が、前記脱気部9で脱気されて前記給水タンク10内に貯留され、前記水使用機器20へ供給される。
前記第二実施例の水処理システム1においても、前記第一実施例と同様にして、前記濁質除去装置5,前記活性炭濾過装置6および前記軟水装置7の運転状態に基づいて、水の有効利用を図りつつも前記逆浸透膜の表面付近で必要以上の濃縮または過度の濃縮が生じないように、前記第二水処理部8からの濃縮水の排水量を調節し、前記第二水処理部8からの透過水量や透過水の水質を所定範囲に維持する。
以上、この発明を第一実施例および第二実施例により説明したが、この発明は、その主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。