JP4664825B2 - 積層二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録テープ - Google Patents
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Description
A層およびB層のポリエステルは、触媒として使用されたチタン化合物を含有し、その含有量が、それぞれの層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、A層のチタン元素量(TiA)が2〜15mmol%の範囲であり、B層のチタン元素量(TiB)がA層のチタン元素量(TiA)に対して、0.2〜0.8の範囲にあり、かつB層のポリエステルの少なくとも一部が、積層二軸配向ポリエステルフィルムを回収した自己回収ポリマーからなること、
A層の表面粗さが 0.3〜4nmで、B層の表面粗さがA層の表面粗さに対して1.5〜50倍の範囲にあること、そして
A層の厚みが0.5〜5μmの範囲で、B層の厚みがA層よりも厚い積層二軸配向ポリエステルフィルムが提供される。
本発明において、A層およびB層のポリエステルは、触媒としてチタン化合物を使用されたものであることが表面の平坦性を高めるために必要である。この観点から、A層のポリエステルは、A層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、チタン元素量(TiA)で2〜15mmol%の範囲であることが必要であり、3〜12mmol%、さらに4〜10mmol%の範囲であることが好ましい。TiAが下限未満ではチタン化合物だけでは十分なポリエステルの重合反応速度が得られず、アンチモンなどの他の重縮合触媒でそれをカバーしようとすると触媒残渣による粗大突起が発生してしまう。一方、TiAが上限を越えると、ポリエステルの溶融時の熱劣化が大きく、劣化異物によって表面の平坦性が損なわれる。
本発明において、A層およびB層を構成するポリエステルは、B層に自己回収ポリマーを用いることを考えれば同じものであることが好ましい。本発明におけるポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルが挙げられ、実質的に線状であり、そしてフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有することが必要である。具体的な芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどの如き炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいはシクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これらの中でも、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートを主たる構成成分とするものが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレートが好ましい。もちろん、本発明の目的を損なわない範囲で、例えばそれ自体公知の共重合成分を共重合してもよい。
フィルムの皮膜層の表面に、白金スパッター装置により白金薄膜蒸着層を厚み2〜3nmで設け、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジース S−4700)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、それらの平均値を平均粒径とした。
フィルム表面からポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(例えばヤマト科学製P3−3型)で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSRM(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザーに結び付け、観察箇所を変えて粒子5000個を測定し、下記式によって求めた数平均粒径dを平均粒径とする。
フィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりのフィルム厚みとした。
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向に平行に切断する)を作成し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、樹脂種の違いによる層の境界線を100箇所測定し、それらの値より皮膜層の厚みを求めた。なお、この測定は粒子のない部分で行った。
Digital Instruments 社製の原子間力顕微鏡(商品名:NanoScopeIII)およびAFMのJスキャナーを使用し、以下の条件で2μm×2μmの範囲を10ケ所測定し、AFM像より高さが1nm以上の突起の数をカウントし、その平均値を面積換算により個/mm2当たりの突起個数として算出する。またカウントした各々の突起の高さを測定し、その平均値をもって突起の平均高さとする。
深針:単結晶シリコンナイトライド
走査モード:タッピングモード
面素数:256×256 データポイント
スキャン速度:2.0Hz
測定環境:室温、大気中
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張る。得られる荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
A層またはB層中のチタン元素量、リン元素量、アンチモン元素量、ゲルマニウム元素量およびアルミニウム元素量はサンプルを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。なお、触媒としてではなく、不活性粒子として酸化チタン粒子やアルミナ粒子などが添加されている場合は、それらの割合は上記元素量からは除かれる。
得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの片面(A層側)に真空蒸着により厚み180nmのコバルト−酸素薄膜を形成した後、その上にスパッタリング法により、ダイヤモンド状カーボン保護膜を10nmの厚みで常法で形成させ、次いでフッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を3nmの厚みで塗布した。続いて、B層側の表面に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を400nmの厚みで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットしリールに巻取り磁気記録テープ(DVCビデオテープ)を作成した。
◎:発生なし
○:3個/分未満
△:3個/分以上、10個/分未満
×:10個/分以上
Veeco社製、非接触式三次元粗さ計(WYKO NT−2000)を用いて、測定倍率25倍、測定面積247μm×188μm(0.046mm2 )の条件にて、測定数(n)10以上で測定を行い、該粗さ計に内蔵され表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa)を求める。なお、中心面平均粗さ(WRa)は下記式により計算され、アウトプットされた値である。
フィルム表面から削り取ったポリエステル0.1gを溶解液(ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=50/50重量%混合液)を加え溶解した液を、3μm孔径テフロン(登録商標)製メンブレンフィルター(ろ過面積=7.1cm2)でろ過する。乾燥後のろ紙を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク製 S4700型)を用いて、ろ紙上にある粒子個数をカウントし、観察面積から1cm2当りの粒子個数をカウントする。評価には以下の判断基準を設け、○以上の評価を合格とする。
◎:粒子個数が 5個/cm2未満
○:粒子個数が 5個/cm2以上10個/cm2未満
△:粒子個数が10個/cm2以上50個/cm2未満
×:粒子個数が50個/cm2以上
ゴミの入らないように同じ面同士を重ねた2枚のフィルムに単光色波長0.58μmをあてた時、この2枚のフィルム間に存在する粗大突起に起因して発生する干渉縞(ニュートンリング)を観察し、その1.0縞数以上の粗大突起(高さ=縞数×λ/2=0.44μm)について100cm2面積当たりの個数をカウントする。更にカウントした突起分を透過顕微鏡で観察し、劣化異物に起因する異物数をカウントした。反対面の解析を実施する場合には反対面同士を重ねあわせ、同じ解析を実施し、以下の基準で判定した。
平坦面側
◎:劣化異物が 5個/100cm2未満
○:劣化異物が 5個/100cm2以上20個/cm2未満
△:劣化異物が20個/100cm2以上50個/cm2未満
×:劣化異物が50個/100cm2以上
粗面側
◎:劣化異物が10個/100cm2未満
○:劣化異物が10個/100cm2以上 30個/cm2未満
△:劣化異物が30個/100cm2以上100個/cm2未満
×:劣化異物が100個/100cm2以上
溶融フィルムの体積抵抗率の測定は、図1に示す装置を用いて測定する。測定サンプル1は厚さ約150μmのフィルムを用いる。直径20cmの円柱状下部電極2の上面に、150μmの平行な隙間が保持できる直径5.6cm、厚さ0.2cmの上部電極3を配し、この間に測定サンプルが電極と密着するようにして挿入する。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100部、エチレングリコール70部およびチタン化合物(トリメリット酸チタンを表1に示す元素量となるように添加)をを使用して、エステル交換反応させたのち、安定剤としてのリン化合物(トリメチルホスフェートを表1に元素量となるように添加)を添加し、エステル交換反応を終了させた。そして、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物(3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)を1mmol%となるように添加した後、高真空下で重縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含有しない、固有粘度0.6dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部とを、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水和物を30mmol%になるように使用してエステル交換反応させたのち、安定剤としてトリメチルホスフェートを表1に示すとおり添加してエステル交換反応を終了せしめ、その後、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を1mmol%となるように添加した後、重合触媒として表1に示すとおり三酸化アンチモンを添加し、高真空下で重縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含有しない、固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
エステル交換反応の段階で、表1に示す不活性粒子を添加した以外は参考例2と同様な操作を繰り返した。
チタン化合物の量を表1に示すとおり変更した以外は参考例1と同様な操作を繰り返した。
エステル交換反応の段階で、表1に示す不活性粒子を添加した以外は参考例1と同様な操作を繰り返した。
A層用ポリマーとして、樹脂1を、B層用のポリマーとして、樹脂1と樹脂3とを重量比で57:43の混合物を用意し、それぞれ、170℃で6時間乾燥させた。こうして、乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて、2台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いてA層の片側にB層を積層させ、厚み88μmの積層未延伸フィルムを得た。この積層未延伸フィルムの全体の交流体積抵抗率は5×107 Ω・cmであった。
・バインダー アクリル―ポリエステル樹脂 79%
ポリエステル成分:イソフタル酸(95モル%)、5―ナトリウムスルホイソフタル酸(5モル%)/エチレングリコール(92モル%)、ジエチレングリコール(8モル%)
アクリル樹脂成分:メチルメタクリレート(90モル%)、グルシジルメタクリレート(10モル%)、
ポリエステル成分/アクリル樹脂成分の重量比=5/5
・不活性粒子(アクリルフィラー(平均粒径25nm、日本触媒株式会社製、商品名:エポスター))6%
・界面活性剤(三洋化成社製、商品名サンノニックSS-70)15%
皮膜層厚み(乾燥後):8nm
得られた回収ポリマー使用の積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表3に示す。
A層およびB層の厚みおよび使用する樹脂の種類や割合を表2および3に示すように変更するほかは実施例1と同様にして未使用ポリマーのみを使用した積層二軸配向ポリエステルフィルムと回収ポリマーを使用した積層二軸配向ポリエステルフィルムとを得た。得られた未使用ポリマーのみを用いた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表2に、また得られた回収ポリマーを用いた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表3に示す。
2:下部電極
3:上部電極
4:加電装置
5:温度検出端
6:電流計
7:読取温度計
8:電源
9:標準抵抗
10:エレクトロンメーター
11:保温箱
21:未使用ポリマーI
22:未使用ポリマーII
23:回収ポリマー
24:A層
25:B層
26:製品化された積層フィルム
27:回収された積層フィルム
Claims (12)
- ポリエステルA層の片面にポリエステルB層が積層されている積層二軸配向ポリエステルフィルムであって、
A層およびB層のポリエステルは、触媒として使用されたチタン化合物を含有し、その含有量が、それぞれの層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、A層のチタン元素量(TiA)が2〜15mmol%の範囲であり、B層のチタン元素量(TiB)がA層のチタン元素量(TiA)に対して、0.2〜0.8の範囲にあり、かつB層のポリエステルの少なくとも一部が、積層二軸配向ポリエステルフィルムを回収した自己回収ポリマーからなること、
A層の表面粗さが0.3〜4nmで、B層の表面粗さがA層の表面粗さに対して1.5〜50倍の範囲にあること、そして
A層の厚みが0.5〜5μmの範囲で、B層の厚みがA層よりも厚いことを特徴とする積層二軸配向ポリエステルフィルム。 - A層が安定剤としてリン化合物を含有し、A層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、該リン化合物のリン元素量(PA、mmol%)とチタン元素量(TiA)の比(PA/TiA)が0.1〜3の範囲にある請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- B層が安定剤としてリン化合物を含有し、B層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、該リン化合物のリン元素量(PB)とチタン元素量(TiB)の比(PB/TiB)が2〜20の範囲にある請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- B層が安定剤としてリン化合物を含有し、B層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたときの、該リン化合物のリン元素量(PB)と該チタン元素量(TiB)の比(PB/TiB)が、A層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたときのリン化合物のリン元素量(PA、mmol%)とチタン元素量(TiA)の比(PA/TiA)に対して、2〜10倍の範囲にある請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- B層が触媒として、チタン化合物のほかに、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する請求項3または4のいずれかに記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- A層のB層とは接していない表面に、平均突起高さ3nm以上50nm以下の微細突起が3×106個/mm2以上、60×106個/mm2以下の範囲で形成されている請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルムの全厚みが3〜10μmである請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- ポリエステルB層は少なくとも平均粒径の異なる2種以上の滑剤を含有する請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- A層およびB層のポリエステルが、それぞれポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- 磁気記録テープのベースフィルムに用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の積層二軸配向ポリエステルフィルムと、そのA層側の表面に積層された磁性層とからなることを特徴とする磁気記録テープ。
- 磁性層が強磁性金属薄膜層である請求項11記載の磁気記録テープ。
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