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JP4672841B2 - 透明性を有する難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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JP4672841B2 - 透明性を有する難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

透明性を有する難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄肉の成形品において良好な透明性および難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は透明性を有し、かつ優れた難燃性、耐熱性および強度を有することから、広い分野で使用されている。しかしながら、近年の電子・電気機器部品などの薄肉化に対しては、芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃性も十分とはいえない場合がある。更に最近ではUL規格(米国アンダーライターズラボラトリー規格)−94においてV−0に適合するような高度な難燃性が要求される例が多く、用途が制限されている。
【0003】
そこで、芳香族ポリカーボネート樹脂を難燃化する方法として、難燃剤およびポリテトラフルオロエチレンやフッ素樹脂を配合する方法が知られている。
【0004】
例えば、特開昭51−45159号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂に有機アルカリ(土類)金属塩およびフッ素化ポリオレフィンを配合した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。特開平06−271756号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂に臭素化ビスフェノールAのポリカーボネートオリゴマー、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ塩、アルコールの硫酸エステル金属塩およびフィブリル形成性フッ素樹脂を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。特開平11−217493号公報には芳香族ポリカーボネート樹脂に臭素化ビスフェノールAのポリカーボネートオリゴマー、芳香族スルホン酸金属塩、フィブリル形成性フッ素樹脂を配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記の樹脂組成物においては、難燃性を向上させる為に滴下防止剤としてポリテトラフルオロエチレンやフィブリル形成性フッ素樹脂が配合されている。これらの樹脂は芳香族ポリカーボネート樹脂との相容性および芳香族ポリカーボネート樹脂に対する分散性が良好ではない。したがってこれらの樹脂を芳香族ポリカーボネート樹脂に配合した場合、成形品に粒状のポリテトラフルオロエチレンやフィブリル形成性フッ素樹脂が観察され外観が悪化する。また成形品に白濁を生じ、芳香族ポリカーボネート樹脂の特徴である透明性が損なわれてしまい、用途が限定されていた。
【0006】
特開平11−29679号公報には、ポリテトラフルオロエチレンの分散性を改良すべく、特定の粒子径のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン混合物、および該粉体を含む熱可塑性樹脂組成物が提案されている。しかしながら、当該公報においては機械的特性および成形加工性の改良を目的としており、芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃性および透明性の改良の可能性についての十分に考慮したものではなかった。
【0007】
また、特開平07−258532号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂、分岐状ポリカーボネート樹脂、有機アルカリ(土類)金属塩からなり、透明性を有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。当該公報における発明は分岐状ポリカーボネート樹脂の燃焼軟化時の形状保持性が比較的高いことを利用して燃焼時のドリップを抑制しV−0クラスの難燃性を達成したものと考えられる。しかしながらかかる構成により更なる難燃性を達成することは困難なものがあった。すなわち形状保持性を高めるため分岐成分または樹脂の分子量などを高めると成形加工性が低下し目的とする薄肉成形品が得られにくくなる。一方分岐成分を一定にして難燃性の増量を行った場合も形状保持性は変わらないため、十分なものは得られなかった。また金属塩の増量は熱安定性が低下するとなどの問題もあった。したがって当該組成物は薄肉の成形品に対応するには不十分なレベルであった。
【0008】
特開平06−65493号公報には、分岐状ポリカーボネート樹脂、ハロゲン含有ポリカーボネート共重合体、および有機(無機)アルカリ(土類)金属塩またはハロゲン化合物が提案されているが、当該公報においても上記と同様にドリップ防止を分岐状ポリカーボネート樹脂の形状保持性に依存している関係上、薄肉の成形品に対応するには未だ十分とはいえないものであった。
【0009】
上記のように従来の技術では、薄肉の成形品において良好な透明性および難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は達成されていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、薄肉の成形品において良好な透明性および難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、芳香族ポリカーボネート樹脂、特定難燃剤の特定量の併用、および特定粒径のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合物の特定量とを組合わせた樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、下記式(1)で表される構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%であり比粘度が0.015〜0.1であるハロゲン化カーボネート化合物(B成分)、有機酸の金属塩(C成分)、並びに粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子(D1成分)1〜80重量%および有機重合体(D2成分)20〜99重量%の合計100重量%からなる混合物(D成分)を含んでなり、その割合としてA成分100重量部に対して、B成分が0.1〜20重量部、C成分が0.001〜0.4重量部、D1成分が0.005〜0.2重量部である難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物にかかるものである。
【0013】
【化3】
Figure 0004672841
【0014】
(式中、Xは臭素原子または塩素原子、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルキリデン基または−SO2−である。)
【0015】
本発明のA成分として使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0016】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0017】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、およびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましい。
【0018】
特に好ましいものとして以下のものが挙げられる。すなわち(1)ビスフェノールAの単独重合体、(2)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、およびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選択される少なくとも1種との共重合体、および(3)9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレンとビスフェノールAとの共重合体である。
【0019】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0020】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0021】
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0022】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(3)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0023】
【化4】
Figure 0004672841
【0024】
(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0025】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も示すことができる。これらのなかでは、下記一般式(4)および(5)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0026】
【化5】
Figure 0004672841
【0027】
【化6】
Figure 0004672841
【0028】
(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0029】
かかる一般式(4)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0030】
また、一般式(5)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0031】
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0032】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0033】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0034】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少および制御するために、重合反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0035】
さらにかかる重合反応において触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0036】
失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましく、また重合後の芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0037】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、粘度平均分子量で表して10,000〜50,000のものが好ましく、14,000〜30,000のものが特に好ましい。また、分子量の異なるポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0038】
上記の中で、好適なA成分の1つとして、A成分がその繰返し単位100モル%中、分岐構造を有する繰り返し単位を0.05〜0.3モル%含んでなる芳香族ポリカーボネート樹脂を挙げることができる(以下、“分岐芳香族ポリカーボネート樹脂”と称することがある)。かかる分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することで、樹脂が燃焼する際の溶融滴下(いわゆるドリップ)を抑制し、更に高度な難燃性を達成することができる。かかる分岐芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するためには通常三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合する方法が用いられる。
【0039】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0040】
A成分として好適な分岐芳香族ポリカーボネート樹脂において、その多官能性化合物の割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂における繰返し単位100モル%中、分岐構造を有する繰り返し単位を0.05〜0.3モル%、より好ましくは0.05〜0.2モル%、更に好ましくは0.05〜0.15モル%である。
【0041】
また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合がある。すなわち上記多官能性芳香族化合物を含有しない場合であっても、重合反応中のモノマー成分の異性化反応などにより分岐構造が生ずる。本発明のA−2成分はかかる分岐芳香族ポリカーボネート樹脂も含むものである。尚、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0042】
更に本発明のA成分として好適な分岐構造を有する繰返し単位をA成分の繰返し単位100モル%中、0.05〜0.3モル%含んでなる芳香族ポリカーボネート樹脂は、より高い濃度の分岐成分を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂と、分岐成分の含有量が少ないかまたは分岐成分を実質的に含有しない芳香族ポリカーボネート樹脂とを混合したものを使用することも可能である。
【0043】
更に好適なA成分の1つとして、A成分が粘度平均分子量70,000〜300,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(a−1−1成分)、および粘度平均分子量10,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(a−1−2成分)からなり、その粘度平均分子量が16,000〜35,000である芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂”と称することがある)を挙げることができる。
【0044】
かかる高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂は、a−1−2成分の存在により、樹脂のエントロピー弾性を大きくし、ブロー成形などにおけるドローダウン性、燃焼時におけるドリップ防止性、および射出成形におけるジェッティング防止性などの機能を発揮する。一方でa−1−2成分の低い分子量成分を含有することにより、全体の溶融粘度を大幅に低下し、射出成形などの各種成形法における実用性を十分に満足するものである。すなわち、上記分岐芳香族ポリカーボネート樹脂と同様に更に高度な難燃性を達成する一方、同時に上記各種の機能を有するものとなる。
【0045】
高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂において、a−1−1成分の分子量は70,000〜200,000が好ましく、より好ましくは80,000〜200,000、更に好ましくは100,000〜200,000、特に好ましくは100,000〜160,000である。またa−1−2成分の分子量は10,000〜25,000が好ましく、より好ましくは11,000〜24,000、更に好ましくは12,000〜24,000、特に好ましくは12,000〜23,000である。
【0046】
高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂は上記a−1−1成分とa−1−2成分を種々の割合で混合し、所定の分子量範囲を満足するよう調整して得ることができる。好ましくは、高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂(a−1−1成分とa−1−2成分との合計)100重量%中、a−1−1成分が2〜40重量%の場合であり、より好ましくはa−1−1成分が3〜30重量%であり、更に好ましくはa−1−1成分が4〜20重量%であり、特に好ましくはa−1−1成分が5〜20重量%である。
【0047】
また、A−1成分の調整方法としては、(1)a−1−1成分とa−1−2成分とを、それぞれ独立に重合しこれらを混合する方法、(2)特開平5−306336号公報に示される方法に代表される、GPC法による分子量分布チャートにおいて複数のポリマーピークを示す芳香族ポリカーボネート樹脂を同一系内において製造する方法を用い、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を本発明のA−1成分の条件を満足するよう製造する方法、および(3)かかる製造方法((2)の製造法)により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂と、別途製造されたa−1−1成分および/またはa−1−2成分とを混合する方法などを挙げることができる。
【0048】
本発明で使用するハロゲン化カーボネート化合物(B成分)は、前記一般式(1)で表される構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも80モル%であり、特に好ましくは実質的に前記一般式(1)で表される構成単位からなるハロゲン化カーボネート化合物である。
【0049】
また、前記一般式(1)において、Xは臭素原子または塩素原子、好ましくは臭素原子を示し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルキリデン基または−SO2−、好ましくはメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、−SO2−、特に好ましくはイソプロピリデン基を示す。
【0050】
本発明のハロゲン化カーボネート化合物は、比粘度が0.015〜0.1の範囲である。好ましい比粘度は0.02〜0.08、より好ましい比粘度は0.03〜0.07、更に好ましい比粘度は0.035〜0.065の範囲である。ここで、ハロゲン化カーボネート化合物の比粘度は、本発明のA成分であるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を算出するに際し使用した前記比粘度の算出式に従って算出されたものである。比粘度がかかる範囲にあることにより、良好な透明と難燃性を達成することが可能となる。
【0051】
本発明のハロゲン化カーボネート化合物は、残存するクロロホーメート基末端がより少ないものであることが好ましい。より具体的には末端塩素量が0.3ppm以下であるものが好ましく、更に好ましくは0.2ppm以下である。ここで、末端塩素量は、試料を塩化メチレンに溶解し、4−(p−ニトロベンジル)ピリジンを加えて末端塩素(末端クロロホーメート)と反応させ、これを紫外可視分光光度計(日立製作所製U−3200)により測定して求めたものである。末端塩素量が0.3ppm以下の場合、樹脂組成物の熱安定性がより良好となる。
【0052】
また、本発明のハロゲン化カーボネート化合物は、残存する水酸基末端が少ないものがより好ましい。具体的にはハロゲン化カーボネート化合物の構成単位1モルに対して、末端水酸基量が0.0005モル以下であるものが好ましく、更に好ましくは0.0003モル以下である。ここで、末端水酸基量は、試料を重クロロホルムに溶解し、1H−NMR法により測定して求めたものである。末端水酸基量がハロゲン化カーボネート化合物の構成単位1モルに対して、0.0005モル以下の場合には、樹脂組成物の熱安定性がより良好となる。
【0053】
本発明のB成分の製造方法は特に限定されるものではなく各種の方法により製造したものを使用することができる。しかしながら、B成分としてより好ましい態様である末端塩素量が0.3ppm以下であり、末端水酸基量がハロゲン化カーボネート化合物の構成単位1モルに対して0.0005モル以下であるハロゲン化カーボネート化合物をの製造方法としては、以下に示す方法(以下“製法I”と称することがある)を好ましく挙げることができる。
【0054】
すなわち、下記一般式(6)で示されるハロゲン置換二価フェノールを60モル%以上含む二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒および触媒の存在下反応させてハロゲン化カーボネート化合物を製造するに当り、
【0055】
【化7】
Figure 0004672841
【0056】
(式中、Xは臭素原子または塩素原子、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルキリデン基または−SO2−である。)
(1).アルカリ化合物の使用量を該二価フェノールに対して0.9〜1.4倍モル、有機溶媒の使用量を該二価フェノール100gに対して40〜250mlの割合として、且つ触媒として該二価フェノールに対して0.01〜0.05倍モルのアミン類触媒を存在させた混合液を調製し、
(2).(1)の混合液に、該二価フェノールに対して1.1〜1.8倍モルのホスゲンを添加し、反応系のpHを9〜12の範囲でホスゲン化反応させ、
(3).(2)のホスゲン化後の反応液にアルカリ化合物を添加しpH12以上とし、且つ一価フェノールを添加し、次いで反応温度が37〜45℃の範囲で、且つ該温度範囲での反応時間が10〜120分となる条件で反応させ、比粘度が0.015〜0.1であるハロゲン化カーボネート化合物を得る。
【0057】
かかる製法Iの詳細について以下に説明する。
本発明のハロゲン化カーボネート化合物を製造するに際し使用される二価フェノールは、前記一般式(6)で表されるハロゲン置換二価フェノールを60モル%以上、好ましくは80モル%以上有する二価フェノールであり、特に好ましくは実質的に前記一般式(6)で表されるハロゲン置換二価フェノールからなる二価フェノールである。かかるハロゲン置換二価フェノールとしては、具体的には2,2−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称テトラブロムビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジクロル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジクロル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジクロル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジクロル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。特にテトラブロムビスフェノールAが好ましく使用される。これらは単独もしくは2種以上を併用して使用できる。
【0058】
また、前記一般式(6)以外の二価フェノールとしては、上記ハロゲン置換二価フェノールのハロゲン置換していないもの、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、これらを全二価フェノール成分の40モル%以下になる割合で併用することもできる。
【0059】
製法Iで使用されるアルカリ化合物はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく用いられ、なかでも水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましく用いられる。
【0060】
製法Iで使用される有機溶媒は水に対して実質的に不溶で、反応に対して不活性で且つ反応によって生成するハロゲン化カーボネートオリゴマーを溶解する有機溶媒である。かかる有機溶媒としては例えば塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム等の塩素化脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等の塩素化芳香族炭化水素、アセトフェノン、シクロへキサノン、アニソール等があげられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。なかでも塩化メチレンが特に好ましく使用される。
【0061】
製法Iで使用されるアミン類触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、ジメチル−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、N−ジメチルアニリン、N−ジメチル−4−アミノピリジン、N−ジエチル−4−アミノピリジン等の三級アミン、トリメチルドデシルアンモニウムクロリド、トリエチルドデシルアンモニウムクロリド、ジメチルベンジルフェニルアンモニウムクロリド、ジエチルベンジルフェニルアンモニウムクロリド、トリメチルドデシルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルドデシルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム化合物が挙げられる。また、トリフェニル−n−ブチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド等の四級ホスホニウム塩を使用してもよく、なかでもトリエチルアミンが好ましい。これら触媒はホスゲン化反応時に存在させる。
【0062】
製法Iにおいては、まず上記二価フェノール、アルカリ化合物、水、有機溶媒およびアミン類触媒からなる混合液を調製する。
【0063】
ここでアルカリ化合物の使用量は、二価フェノールに対して0.9〜1.4倍モルとし、好ましくは0.95〜1.35倍モル、より好ましくは1.0〜1.3倍モルの範囲とする。
【0064】
製法Iにおいては、有機溶媒の使用量は二価フェノール100gに対して40〜250mlの割合とし、50〜240mlの割合が好ましく、60〜230mlの割合がより好ましい。
【0065】
製法Iにおいては、アミン類触媒の使用量は、二価フェノールに対して0.01〜0.05倍モルとし、0.015〜0.045倍モルが好ましく、0.02〜0.04倍モルがより好ましい。アミン類触媒の使用量が上記範囲の場合には、良好な反応収率が得られ、また副反応であるウレタン結合(カルバモイル)の生成を抑制し、良好な熱安定性を得ることが可能となる。
【0066】
製法Iにおいては、上記調製された二価フェノール、アルカリ化合物、水、有機溶媒およびアミン類触媒からなる混合液は、次いでホスゲン化反応を行う。ホスゲン化反応は、かかる混合液にホスゲンを添加し、且つ反応系のpHを9〜12の範囲で反応させる。
【0067】
かかるホスゲン化反応におけるホスゲンの使用量は、二価フェノールに対して1.1〜1.8倍モルである。ホスゲンの使用量が上記範囲より少いときはクロロホーメートの生成反応が進行し難く、未反応物が多くなり反応収率が低下し、上記範囲より多いときは、より過剰のアルカリ化合物が必要になって、ホスゲンや生成したクロロホーメートの分解が多くなり、更に水酸基やクロロホーメート基の量が多くなる。
【0068】
また、ホスゲン添加時に反応系のpHを9〜12、好ましくはpHを9.5〜11.8、更に好ましくはpHを10.0〜11.5の範囲に維持することが必要である。ホスゲン化反応中にアルカリ化合物を添加することで上記pH範囲を維持することができる。
【0069】
また、ホスゲン化反応の際の反応温度は10〜30℃の範囲が好ましい。かかる範囲ではホスゲンの分解が少なくホスゲン化反応速度が適度で未反応物が少なく反応収率が高くなり好ましい。
【0070】
製法Iではホスゲン化反応終了後、反応溶液にアルカリ化合物を加えて反応系のpHを12以上にし、且つ一価フェノールを添加し、次いで反応温度が37〜45℃の範囲で、且つ該温度範囲での反応時間が10〜120分間となる条件でさらに重合反応させる。
【0071】
一価フェノールとしては、例えばフェノール、クレゾール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、tert−オクチルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ヒドロキシクロマン類等が挙げられ、これらは単独で又は二種以上混合して使用してもよい。一価フェノールの使用量は目的とする反応生成物の重合度によって調整すればよい。
【0072】
重合反応温度および重合反応時間は、37〜45℃の温度範囲であり、該温度範囲での反応時間が10〜120分、好ましくは15〜90分、更に好ましくは20〜70分となる条件で重合反応させる。反応温度が溶媒の沸点以上になる場合にはオートクレープ等圧力容器を用い加圧下で行うことが好ましい。重合反応温度が37℃より低くまたは上記温度範囲での反応時間が短いと、反応完結に長い時間を要すと共に、水酸基やクロロホーメート基が残存して得られる反応生成物の熱安定性が悪化することとなり好ましくない。重合反応温度が45℃を超えると反応生成物の分解反応が生じ好ましくない。
【0073】
上記製法Iによって得られる有機溶媒溶液から酸洗浄及び水洗等によって不純物を除去した後有機溶媒を除去することによって本発明に使用するB成分において好適なハロゲン化カーボネート化合物が得られる。
【0074】
本発明のC成分である有機金属塩としては、従来ポリカーボネート樹脂を難燃化するのに使用されている各種の金属塩が使用可能である。例えば、有機スルホン酸の金属塩、硫酸エステルの金属塩、リン酸エステルの金属塩、およびカルボン酸の金属塩を挙げることができる。また金属塩を形成する金属としてはアルカリ金属、およびアルカリ土類金属が好ましい。発明のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。
【0075】
本発明の有機スルホン酸の金属塩としては、脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。かかる脂肪族スルホン酸金属塩の好ましい例としては、アルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、かかるアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩のアルキル基の一部がフッ素原子で置換したスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、およびパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味で使用する)。
【0076】
アルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用するアルカンスルホン酸の好ましい例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、へプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等があげられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。またかかるアルキル基の一部がフッ素原子で置換した金属塩も挙げることができる。
【0077】
一方、パーフルオロアルカンスルホン酸の好ましい例としては、パーフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロメチルブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸等があげられ、特に炭素数が1〜8のものが好ましい。これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
【0078】
かかるアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、エタンスルホン酸ナトリウム塩が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩を特に好ましく挙げることができる。
【0079】
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
【0080】
モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98539号公報に記載されており、例えば、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
【0081】
芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98540号公報に記載されており、例えば5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウムなどを挙げることができる。
【0082】
モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98542号公報に記載されており、例えば1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムなどを挙げることができる。
【0083】
芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98544号公報に記載されており、例えばベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
【0084】
モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98546号公報に記載されており、例えばベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウムなどを挙げることができる。
【0085】
モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭52−54746号公報に記載されている。かかる金属塩は、下記式(2)で表わすことができる。
【0086】
【化8】
Figure 0004672841
【0087】
(式中、AおよびBはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、qおよびrは0、1、および2から選択されるいずれかの整数であり、更にq+rは1〜4の整数である。またAおよびBは互いに同一または異なるいずれの場合も選択できる。)
【0088】
かかる金属塩としては、例えばジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
【0089】
芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−98547号公報に記載されており、例えばα,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムなどを挙げることができる。
【0090】
複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭50−116542号公報に記載されており、例えばチオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0091】
芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、特開昭52−54745号公報に記載されており、例えばジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウムなどを挙げることができる。
【0092】
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。
【0093】
一方、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、特に一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
【0094】
また他のアルカリ(土類)金属塩としては、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、例えばサッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。
【0095】
上記に挙げたアルカリ(土類)金属塩のうち、上記式(2)で表わされる芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩およびパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩をより好ましいD成分として挙げることができる。
【0096】
本発明のリン酸エステル金属塩としては、例えば下記一般式(7)、(9)および(10)で表される化合物を挙げることができる。
【0097】
【化9】
Figure 0004672841
【0098】
(式(7)中、Mは周期律表の1族、2族、3族、8族、11族、または12族の金属を示す。Z1およびZ2はそれぞれ炭素原子数1〜20の一価の有機残基を示す。更にZ1およびZ2が共にアリール基の場合には、Z1およびZ2は結合して下記一般式(8)に示す基を含む。)
【0099】
【化10】
Figure 0004672841
【0100】
(式(8)中、R1およびR2はそれぞれ炭素数1〜9の一価の有機残基を示す。またm1およびm2はそれぞれ0〜3の整数を表わす。R1およびR2は互いに同一または異なるいずれの場合も選択できる。更に複数のR1およびR2はそれぞれ互いに同一または異なるいずれの場合も選択できる。またYは単結合、またはCR34を表わす(ここでCは炭素原子を示し、R3はCに結合する水素原子またはメチル基を示し、およびR4はCに結合する水素原子、または炭素数1〜9の一価の有機残基を示す)。)
【0101】
【化11】
Figure 0004672841
【0102】
(式(9)中、Mは周期律表の1族、2族、3族、8族、11族、または12族の金属を示す。)
【0103】
【化12】
Figure 0004672841
【0104】
(式(10)中、Mは周期律表の1族、2族、3族、8族、11族、または12族の金属を示す。Z3およびZ4はそれぞれ炭素原子数1〜20の一価の有機残基を示す。)
【0105】
上記一般式(7)、(9)および(10)におけるMとしては、好ましくは周期律表1族のアルカリ金属または周期律表第2族のアルカリ土類金属であり、より好ましくはNa、K、CaおよびMgから選択される少なくとも1種の原子である。特に一般式(7)においてはNaおよびKが好ましく、一般式(9)においてはCaおよびMgが好ましい。
【0106】
更に上記一般式(7)におけるZ1およびZ2、ならびに一般式(10)におけるZ3およびZ4の具体例としては、アルキル基としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基およびn−ノニル基などを挙げることができる。
【0107】
シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基などを挙げることができる。
【0108】
アリール基としてはフェニル基、1−ナフチル基、および2−ナフチル基などを挙げることができる。
【0109】
アルキル置換基を有するアリール基としては、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、2−tert−ブチル−4−メチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェニル基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−s−ブチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、および4−n−ノニルフェニル基などを挙げることができる。
【0110】
アラルキル置換基を有するアリール基としては、4−(2−フェニルイソプロピル)フェニル基などを挙げることができる。
【0111】
アリール置換基を有するアリール基としては2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、および4−フェニルフェニル基などを挙げることができる。上記の具体的に例示された基を有する有機リン酸エステル金属塩を好ましく使用することができる。
【0112】
上記の中でも更にアリール基を有する有機リン酸エステル金属塩が好ましい。特にアルキル置換基、アラルキル置換基およびアリール置換基を有するアリール基を有する有機リン酸エステル金属塩が好ましい。
【0113】
一方、上記一般式(8)の置換基を有する場合、かかる有機リン酸エステル金属塩は公知の方法で製造できる。かかる際の原料としては、下記一般式(11)に示されるビスフェノール化合物またはその反応性誘導体が使用される。
【0114】
【化13】
Figure 0004672841
【0115】
(式(11)中、R1およびR2はそれぞれ炭素数1〜9の一価の有機残基を示す。またm1およびm2はそれぞれ0〜3の整数を表わす。R1およびR2は互いに同一または異なるいずれの場合も選択できる。更に複数のR1およびR2はそれぞれ互いに同一または異なるいずれの場合も選択できる。またYは単結合、またはCR34を表わす(ここでCは炭素原子を示し、R3はCに結合した水素原子またはメチル基を示し、およびR4はCに結合した水素原子、または炭素数1〜9の有機残基を示す)。)
【0116】
上記一般式(11)の化合物の具体例としては、2,2’−メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−エチリデンビスフェノール、2,2’−エチリデンビス(4−メチルフェノール)、2,2’−イソプロピリデンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルフェニルメタン、2,2’−メチレンビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、および2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などが挙げられ、好ましく使用することができる。
【0117】
一般式(11)の化合物としてより好ましくは、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、および2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を挙げることができる。
【0118】
上記一般式(7)で示される有機リン酸エステル金属塩としては、市販品としては旭電化工業(株)製の下記式(12)に示すアデカスタブNA−10、および下記式(13)に示すNA−11を挙げることができる。これらは容易に入手可能である。
【0119】
【化14】
Figure 0004672841
【0120】
【化15】
Figure 0004672841
【0121】
また一般式(9)で表わされる環状リン酸エステル金属塩としては、ナトリウム−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイド、カリウム−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイド、カルシウム−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイド、マグネシウム−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイド、アルミニウム−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイド、バリウム−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイド、亜鉛−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイド、またはスズ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイドなどが挙げられる。これらのうち、特にカルシウム−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン3,9−ジヒドロキシ−3,9−ジオキサイドが好ましい。
【0122】
本発明のD成分は、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子(D1成分)1〜80重量%、および有機重合体(D2成分)20〜99重量%の合計100重量%からなる混合物であるものである。
【0123】
かかるD成分は、ポリテトラフルオロエチレン粒子の芳香族ポリカーボネート樹脂中での分散性を向上させ、良好な透明性および高いレベルの燃焼性を得ることが可能とするものである。
【0124】
本発明のD1成分であるポリテトラフルオロエチレン(以下“PTFE”と略称することがある)としては、フィブリル形成能を有するものが使用される。フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。
【0125】
D1成分は、10μm以下の粒子径であり、好ましくは粒子径0.05〜1μmである。かかるPTFE粒子は乳化剤などを含んだ水に分散しているものであり、このPTFE粒子を含む水性分散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。PTFE粒子の乳化重合の際、PTFEの特性を損なわない範囲で他の成分を共重合することも可能である。共重合成分としては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどの含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートなどの含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。共重合成分の含有量はテトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。
【0126】
PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン30Jなどを代表として挙げることができる。
【0127】
一方D2成分として使用される有機重合体粒子としては特に制限されるものではなく各種の有機重合体を使用することができる。具体的には例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、MXDナイロンなどのポリアミド、ポリアリレートなどの全芳香族ポリエステル、ポリフェニレンエーテルなどのポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、HIPS、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、ASA樹脂、ポリメチル(メタ)クリレート、スチレンおよびブタジエンからなるブロック共重合体およびその水添共重合体、スチレンおよびイソプレンからなるブロック共重合体、およびその水添共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、ブチルアクリレート−ブタジエン等のアクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリレート等のゴム質重合体、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴム、更にかかる複合ゴムにスチレン、アクリロニトリル、ポリアルキルメタクリレート等のビニル系単量体をグラフトした共重合体等を挙げることができる。
【0128】
上記D1成分とD2成分からなる混合物を製造する方法としては、各種の方法を挙げることができる。
【0129】
第1にPTFEの水性分散液と有機重合体粒子の水性分散液、または溶液とを混合し、各種混合方法により均一な水性分散液とした後、共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法を挙げることができる。混合方法はミキサー、ホモジナイザーなどの攪拌翼によるものの他、スタティックミキサーやガラス多孔質体などの静的な混合手段も使用可能である。具体的には特開昭60−258263号公報に平均粒径0.05〜5μmのPTFEの水性分散液とビニル系重合体の分散液を混合し、30μmより大きいPTFE粒子を精製させることなく凝固させ、かかる凝固物を乾燥することによりPTFE混合物を得る方法が記載されている。また特開昭63−154744号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂溶液中にPTFEの水性分散液を混合し、攪拌し均一化した後共沈殿により混合物を得る地方法が記載されている。本発明のD1成分とD2成分からなる混合物としてこれらの製造方法によるものが使用が可能である。
【0130】
第2にPTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法を挙げることができる。かかる方法については、特開平4−272957号公報にPTFEの水性分散液とABS樹脂粉末との混合物について記載がされている。
【0131】
第3にPTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法を挙げることができる。具体的にはスプレードライヤーのような方法で高温の水蒸気雰囲気下などにかかる混合物を供給するなどの方法を挙げることができる。かかる製造方法によるD1成分とD2成分からなる混合物は特開平06−220210号公報および特開平08−188653号公報に記載されている。
【0132】
第4にPTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合することにより、D1成分とD2成分からなる混合物を得る方法を挙げることができる。かかる方法については特開平9−95583号公報に、PTFEの水性分散液中にスチレンおよびアクリロニトリルを供給することにより混合物を得る方法が具体的に記載されている。
【0133】
第5に、PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法を挙げることができる。かかる混合物については特開平11−29679号にその詳細が記載されている。すなわち粒子径0.05〜1.0μmのPTFEの水性分散液と有機重合体粒子の分散液とを均一に混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体を得る方法を挙げることができる。
【0134】
上記の各種方法の中で、PTFE粒子のより微細な分散が達成できる点から、上記の第4の方法および第5の方法を挙げることができる。すなわち、PTFEの水性分散液状態において、有機重合体を形成する単量体が重合されることにより製造されるものがより好適である。更に製造工程の簡便さなどの点から第5の方法により得られたD1成分とD2成分からなる混合物を本発明のD成分の好ましい形態として挙げることができる。かかる第5の方法によるD1成分とD2成分との混合物としては、三菱レイヨン(株)よりメタブレン「A3000」(商品名)が市販されており容易に入手できる。
【0135】
またかかる観点から、本発明のD2成分は上記にあげた各種の有機重合体の中でも乳化重合などが可能なビニル系重合体が好ましい。更に芳香族ポリカーボネート樹脂との相溶性(透明性)や難燃性の観点から、D2成分としては以下の有機重合体を好ましく挙げることができる。
【0136】
すなわち、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂を好ましく挙げることができ、更に好ましくはAS樹脂、ポリアルキル(メタ)アクリレートである。
【0137】
D1成分とD2成分からなる混合物における組成割合としては、それらの合計100重量%中、D1成分が1〜80重量%、D2成分が20〜99重量%である。D1成分が1重量%未満またはD2成分が99重量%を超える場合には、透明性の点で効率が適切でない。D2成分が20重量%未満またはD1成分が80重量%を超える場合には、D1成分のPTFE粒子の分散性が不十分となりやすく、透明性が悪化する場合がある。
【0138】
上記D1成分とD2成分の割合は、好ましくはD1成分が1〜60重量%、D2成分が40〜99重量%、より好ましくはD1成分が3〜40重量%、D2成分が60〜97重量%、更に好ましくはD1成分が5〜30重量%、D2成分が70〜95重量%である。
【0139】
また、D1成分とD2成分からなる混合物の形態は種々のものが使用可能であり、例えばポリテトラフルオロエチレン粒子の周りを有機系重合体が取り囲んだ形態、有機系重合体の周りをポリテトラフルオロエチレンが取り囲んだ形態、1つの粒子に対して、数個の粒子が凝集した形態などを挙げることができる。
【0140】
本発明のA成分、B成分、C成分およびD1成分の組成割合は、A成分100重量部に対し、B成分が0.1〜20重量部、C成分が0.001〜0.4重量部、D成分が0.005〜0.2重量部である。
【0141】
好ましい割合としては、A成分100重量部に対し、B成分は3〜15重量部、C成分は0.01〜0.4重量部、D1成分は0.005〜0.1重量部を挙げることができる。
【0142】
より好ましい割合としては、A成分100重量部に対し、B成分は4〜12重量部、C成分は0.02〜0.3重量部、D1成分は0.01〜0.1重量部を挙げることができる。
【0143】
B成分が、0.1重量部未満では難燃性が不足する場合があり、また20重量部を超えると、熱安定性の低下および金属腐食等の問題を生じる場合がある。C成分が、0.001重量部未満では難燃性が不足する場合があり、また0.4重量部を超えると熱安定性が低下する場合がある。D1成分が、0.005重量部未満では、ドリップ防止効果が不足し、0.2重量部を超えると透明性が低下してくる。
【0144】
本発明は、透明な難燃芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものであり、ここでいう透明とは厚さ2mm成形品のJIS K6714に従って測定したヘイズが7%以下である透明性を有するものである。
【0145】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を含むことができる。その他各種添加剤としては、例えば補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、導電性カーボンブラック、各種ウイスカーなど)、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、摺動剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを挙げることができる。
【0146】
上記の中でも本発明の特徴である透明性を十分に活かす添加剤として、樹脂との屈折率差が0.015以内であるガラス系充填剤、カーボンブラック、酸化チタン、各種有機染料、蛍光染料などの着色剤、光拡散剤、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを挙げることができる。
【0147】
一方で熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤などは本発明の特徴である透明性を長期に維持するため、樹脂組成物中に含まれることが好ましい。特に熱安定剤は含まれることが好ましい。
【0148】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定剤としては、リン系安定剤を含むことが好ましい。かかるリン系安定剤としては、ホスファイト系、ホスホナイト系、およびホスフェート系のいずれも使用可能である。
【0149】
ホスファイト系安定剤としては、アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物が好ましく挙げられる。例えば、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられ、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
【0150】
更に上記アリール基の一部が環状構造を有するアリール基を有するホスファイト化合物も使用できる。例えば2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス (4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
【0151】
上記以外のリン系熱安定剤として更に以下のものを挙げることができる。ホスファイト化合物としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、好ましくはジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジトリデシルホスファイトを挙げることができる。
【0152】
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
【0153】
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
【0154】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は各種の安定剤を含むことができる。酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などを挙げることができる。フェノール系酸化防止剤としては種々のものを使用することができる。
【0155】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを好ましく挙げることができ、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートをより好ましく挙げることができる。
【0156】
本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
【0157】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0158】
また紫外線吸収剤としては例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0159】
更に紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0160】
またビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮する。
【0161】
上記に挙げたリン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤はそれぞれ単独または2種以上併用することができる。
【0162】
これらの安定剤の組成物中の割合としては、本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量%中、リン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系酸化防止剤はそれぞれ0.0001〜1重量%であることが好ましい。より好ましくは難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量%中0.0005〜0.5重量%である。更に好ましくは0.001〜0.2重量%である。
【0163】
また紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量%中0.01〜5重量%、より好ましくは0.02〜1重量%である。
【0164】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は離型剤を含有することができる。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワツクス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。
【0165】
好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステルが挙げられる。かかる離型剤の場合には良好な透明性を維持することができる。例えばステアリン酸のモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステル類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用される。離型剤は難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量%中0.01〜2重量%であることが好ましい。
【0166】
また、本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。具体的なブルーイング剤としては、例えばマクロレックスブルーRR、マクロレックスバイオレットBやテラゾールブルーRLSなどを挙げることができる。
【0167】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜D成分、および任意に他の成分をV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
【0168】
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。予備混合する方法としては例えば、配合予定の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーの一部と配合添加剤とをブレンドして芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーで希釈した添加剤のマスターバッチとする方法が挙げられる。
【0169】
更にC成分を水または有機溶剤で希釈混合した後、溶融混練機に供給、またはかかる希釈混合物を他の成分と予備混合した後、溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
【0170】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は通常かかるペレットを射出成形して成形品を得ることにより各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形などを使用することができる。
【0171】
また本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより中空成形品とすることも可能である。
【0172】
本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、透明性および難燃性に優れるものであるためOA機器や家電製品の内部部品や筐体などに好適なものである。かかる用途としては例えば、リレーケース、モーターケース、コネクター、スイッチボタン、導光板、プリズムシートなどの電気・電子部品を挙げることができる。更に近年意匠性などの付与を目的とした透明性を有する各種電気製品のハウジングを挙げることかできる。電気製品としては例えば、ノートパソコン、CRTディスプレー、プリンター、携帯端末、携帯電話、コピー機、ファックス、記録媒体(CD、DVD、PD、FDDなど)ドライブ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどを挙げることができる。またランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーステレオ部品などの車両用部品を挙げることができる。その他機械部品や雑貨などの各種用途に有用である。
【0173】
【発明の実施の形態】
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。尚、評価としては以下の項目について実施した。
【0174】
▲1▼ 難燃性
UL94規格に従って作成した厚さ1.6mm、および1.4mmの試験片を用いて試験を行った。試験の結果に基づいてUL−94V−0、V−1、V−2および規格外Not−Vのいずれかの等級に評価した。
【0175】
▲2▼ 透明性
JIS K6714に従って作成した厚さ2mmの試験片を用いて試験を行い、ヘイズ値(%)を測定した。
【0176】
▲3▼ 外観
上記の透明性の評価に使用した試験片を、目視にて観察し外観の評価を行った。外観評価結果は、以下のどちらかの等級に評価した。
○:目視にて透明、かつ成形品中に粒状のポリテトラフルオロエチレンは観察さない。
×:目視にて白濁、または成形品中に粒状のポリテトラフルオロエチレンが観察される。
【0177】
[実施例1〜20および比較例1〜8]
実施例および比較例は、表1〜3に示す各成分を表記載の配合割合にてV型ブレンダーで混合した後、スクリュー径30mmのベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−30]によりシリンダー温度290℃でペレット化し、得られたペレットを120℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[ファナック(株)T−150D]によりシリンダー温度300℃、金型温度70℃で試験片を成形した。
【0178】
また、表中に記載の使用した原材料等は以下の通りである。
(A成分)
PC1:直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンより製造される粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネート樹脂)
PC2:ビスフェノールAとジフェニルカーボネートの溶融エステル交換反応により得られ、分岐結合成分が全繰返し単位中約0.1モル%であるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量22,500、尚、かかる分岐結合成分の割合は、1H−NMRの測定より算出し、同様に測定されたPC1のポリカーボネート樹脂では0モル%(該当ピークなし)であった)
分岐PC:分岐状芳香族ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製 IB2500、分岐結合成分が全繰返し単位中約0.3モル%)
UHM−PC:ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂において、粘度平均分子量15,200のものが10重量部、粘度平均分子量23,700のものが80重量部、および120,000のものが10重量部を溶融混合してなり、その粘度平均分子量が29,500の芳香族ポリカーボネート樹脂
【0179】
(B成分)
FG:以下の参考例1により製造されたテトラブロモビスフェノールAからのポリカーボネートオリゴマー
【0180】
(C成分)
F−114:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学(株)製 メガファックF−114P)
KSS:ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム塩とジフェニルスルホン−3−モノスルホン酸カリウム塩との2:8の混合物(ユーシービージャパン製 KSS)
P−Ca:下記の参考例2で作成した下記式(14)で示されるリン酸エステルカルシウム塩
【0181】
【化16】
Figure 0004672841
【0182】
(D成分)
D(1)成分:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン粒子とメチルメタクリレートおよびドデシルメタクリレートの重合体粒子からなる混合物(ポリテトラフルオロエチレン含有量20重量%)(三菱レイヨン(株)製 メタブレンA−3000)
D(2)成分:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン粒子とスチレン−アクリロニトリル共重合体粒子からなる混合物(ポリテトラフルオロエチレン含有量50重量%)(GEスペシャリティーケミカル(株)製 BLENDEX449)
【0183】
(それ以外の成分)
酸化防止剤:リン系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)製 Irgafos168)
離型剤:飽和脂肪酸エステル系離型剤(理研ビタミン(株)製リケマールSL900)
着色剤B:アンスラキノン系青色染料(バイエル社製 MACROLEX Blue RR)
着色剤Y:キノリン系黄色染料(有本化学工業(株)製 Plast Yellow 8050)
着色剤FR:ペリレン系蛍光赤色染料(BASF社製 LUMOGEN F Red300)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリフロンMPA FA500)
PMMA:ポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成工業(株)製 デルペット80N)
SAN:スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂(旭化成工業(株)製 スタイラックAS769)
【0184】
[参考例1]
FGの製法:ホスゲン吹込管、温度計および攪拌機を備えた反応器にテトラブロムビスフェノールA130kg(239モル)、7.0重量%水酸化ナトリウム水溶液161リットル(水酸化ナトリウム298モル)、塩化メチレン267リットルおよびトリエチルアミン0.84リットル(6モル)を仕込んで溶解し、攪拌下20〜25℃に保持し、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液7.76リットル(水酸化ナトリウム141モル)を加えながらホスゲン29.8kg(301モル)を60分を要して吹込んでホスゲン化反応させた。なおこの時の反応系のpHは10.2〜11.3であった。ホスゲン化反応終了後p−tert−ブチルフェノール11.1kg(74モル)と水酸化ナトリウム3.19kg(80モル)を溶解した水溶液185リットルと共に48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液9.64リットル(水酸化ナトリウム175モル)を加え、pHを12以上とし、38〜41℃の温度で60分間反応させた。反応終了後静置して水相と塩化メチレン相に分離し、水相中の未反応フェノール成分量と炭酸ナトリウム量から反応収率は99.9%以上、ホスゲン分解率は8.3%であった。
【0185】
分離した塩化メチレン相を無機塩類およびアミン類がなくなるまで酸洗浄および水洗した後、塩化メチレンを除去してハロゲン化カーボネートオリゴマー(FR−1)を得た。得られたハロゲン化カーボネートオリゴマー(FG)の比粘度は0.046、融点は230〜238℃、末端塩素量および末端水酸基量は検出されなかった。
【0186】
[参考例2]
リン酸エステルカルシウム塩の製造方法:
攪拌装置、還流冷却管、滴下漏斗、オイルバスを備えた5リットル三口フラスコに、ペンタエリスリトール204.2g(1.5mol)、オキシ塩化リン920.0g(6.0mol)、N,N−ジメチルホルムアミド5.48g(0.075mol)を仕込み、窒素気流下、反応温度を40℃で6時間反応させた。発生する塩化水素は、還流冷却管を通して反応系外の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させた。反応終了後、過剰のオキシ塩化リンの大部分を留去し、残留した白色生成物を塩化メチレンを用いて洗浄し乾燥させることで、3,9−ジクロロ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン3,9−ジオキサイド356.4gを得た(収率80%)。
【0187】
次に、攪拌装置、還流冷却管、滴下漏斗、オイルバスを備えた5リットル三口フラスコに、N,N−ジメチルスルホキシド904.2g(11.6mol)を加え18℃まで冷却し、上記方法で得た化合物300.1g(1.01mol)を反応温度25℃以下に保つように少しずつ添加し1時間反応させた。反応終了後の白色スラリーにクロロホルムを投入し白色生成物を濾別した後、さらにクロロホルムを用いて洗浄した。得られた白色生成物を乾燥させ、2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンジホスフェートのN,N−ジメチルスルホオキソニウム塩339.5gを得た(収率100%)。
【0188】
続いて、10リットル三口フラスコに、上記方法で得た化合物336.2g(1.00mol)を水5リットルに溶解させ、炭酸カルシウム122.1g(1.22mol)を加え気泡の発生が止まるまで反応させた。反応終了後、過剰の炭酸カルシウムをガラスフィルターにより除去し、その濾液にメタノールを加え白色生成物を沈殿化させた。吸引濾過により沈殿物を濾別した後、乾燥させ、2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンジホスフェートのカルシウム塩286.2g(収率96%)を得た。
【0189】
【表1】
Figure 0004672841
【0190】
【表2】
Figure 0004672841
【0191】
【表3】
Figure 0004672841
【0192】
この表1〜3より、本発明の組成物は透明性および外観を損ねることなく、高度の難燃性を実現していることが分かる。
【0193】
すなわちフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンを単独で配合した場合や、ポリテトラフルオロエチレンと有機重合体を別々に配合した場合に比較してはるかに良好な透明性を有していることが分かる。また、組成物中のポリテトラフルオロエチレン量が本発明の範囲を超える場合に比較して、本発明は同等の難燃性を達成していることが分かる。更にB成分およびC成分を併用することにより高度な難燃性を達成していることが分かる。
【0194】
更に現実の製品を問題なく成形できるか否かを確認するために、図1に示すピンゲート構造を有する箱型成形品(高さ20mm、肉厚はすべての面において1.5mm)を使用して成形の試験を行った。試験は実施例2のサンプルと、上記の原料分岐PC100重量部に対してF−114を0.05重量部配合し、上記実施例と同様に溶融混練して得られたペレットを比較対照のサンプルとして用意した。これらのサンプルはいずれも120℃で5時間熱風乾燥した後、射出成形機[ファナック(株)T−150D]によりシリンダー温度300℃、金型温度80℃で成形した。
【0195】
実施例2においては良好な成形品が得られたが、比較対照のサンプルはシリンダー温度を320℃まで昇温したが充填不良のため良好な製品を得ることが困難であった。
【0196】
【発明の効果】
芳香族ポリカーボネート樹脂に、特定の難燃剤を特定量と、かつ芳香族ポリカーボネート樹脂への分散性の改良されたポリテトラフルオロエチレン粒子と有機重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合物を組み合わせることにより、薄肉の成形品において良好な透明性および難燃性を有する樹脂組成物を達成するものである。かかる特性により本発明の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、各種電子・電気機器分野を初めとして、土木・建築分野、自動車・船舶・航空機などの分野、機械分野などにおいて好適なものであり、その奏する工業的価値は極めて大である。特にOA機器の外装材用途など、難燃性と意匠性が要求される用途に極めて適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】箱型成形品底面部を示す正面図である(高さは金型寸法で20mm、および肉厚はすべての面において金型寸法で1.5mm)。
【符号の説明】
1 成形品反り量算出用測定部位(本発明では使用せず。かかる測定部位は金型においては直径5mm、高さ0.2mmの円形凸部、成形品においては直径約5mm、深さ約0.2mmの円形凹部。また一点鎖線は対称軸、交点は円中心)
2 箱型成形品の長さ(金型寸法200mm)
3 箱型成形品の幅(金型寸法100mm)
4 箱型成形品幅方向の対称軸
5 箱型成形品長さ方向の対称軸
6 測定部位の円中心の位置(対称軸(5)から金型寸法で16mm)
7 測定部位の円中心の位置(対称軸(5)から金型寸法で25mm)
8 測定部位の円中心の位置(対称軸(5)から金型寸法で45mm)
9 測定部位の円中心の位置(対称軸(5)から金型寸法で55mm)
10 測定部位の円中心の位置(対称軸(5)から金型寸法で75mm)
11 測定部位の円中心の位置(対称軸(5)から金型寸法で84mm)
12 測定部位の円中心の位置(対称軸(4)から金型寸法で10mm)
13 測定部位の円中心の位置(対称軸(4)から金型寸法で27mm)
14 測定部位の円中心の位置(対称軸(4)から金型寸法で46mm)
15 箱型成形品のゲート(4点、直径0.8mmφピンゲート、それぞれ対称軸(4)および対称軸(5)に対して対称)
16 箱型成形品のゲートの位置(対称軸(4)から金型寸法で35mm)
17 箱型成形品のゲートの位置(対称軸(5)から金型寸法で60mm)

Claims (5)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、下記式(1)で表される構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%であり比粘度が0.015〜0.1であるハロゲン化カーボネート化合物(B成分)、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩(C成分)、並びに粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子(D1成分)1〜80重量%および有機重合体(D2成分)20〜99重量%の合計100重量%からなる混合物(D成分)を含んでなり、その割合としてA成分100重量部に対して、B成分が0.1〜20重量部、C成分が0.001〜0.4重量部、D1成分が0.005〜0.1重量部である難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0004672841
    (式中、Xは臭素原子または塩素原子、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルキリデン基または−SO−である。)
  2. A成分がその繰返し単位100モル%中、分岐構造を有する繰り返し単位を0.05〜0.3モル%含んでなる請求項1に記載の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. A成分が粘度平均分子量70,000〜300,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(a−1−1成分)、および粘度平均分子量10,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(a−1−2成分)からなり、その粘度平均分子量が16,000〜35,000である請求項1または2のいずれか1項に記載の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 厚さ2mmの板状成形品におけるJIS K6714に従い測定されたヘーズが7%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成されたJIS K6714に準拠し測定されたヘーズが7%以下である成形品。
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