JP4672890B2 - 画像形成装置及び現像剤担持体の表面の酸化処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、現像剤担持体及び之を用いた電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置、詳しくは、キャリア液中にトナーを分散した高粘性高濃度の液体現像剤を担持する少なくとも1つの現像剤担持体を有し、上記現像剤担持体に担持した上記液体現像剤により潜像担持体上に形成された潜像を現像する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、現像剤担持体にトナーがフィルミングする問題があった。そうすると、現像バイアス電圧が正常に印加されない場合があり、画像濃度の低下や非画像部濃度の上昇などの不具合が起こる。その対策として、表層の材料としてPTFE、PVdF、PFAなどのフッ素樹脂を用いたり、表層をそれらのフッ素樹脂でコートする方法があった。
【0003】
しかし、材料としてフッ素樹脂を用いた場合は、材料自体の強度が低く、傷が付きやすく、従来のフッ素コートでは、基材に対するコートの接着力が弱く、コートがはがれ易いという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来の方法には次のような課題がある。第1の課題は、印字特性の高精細化・高速化に伴って、ローラの高精度化の必要が強まっており、表面粗さやローラ径やフレなどの精度を極めて高くすることが必要とされている点である。ローラの径やフレのばらつきは線速のばらつきとなり、微小ドットがつぶれたり、塗布ローラとの接触に支障をきたしたり、表面粗さは、微小ドットの現像性や画像の滑らかさに影響するからである。
第2の課題は、現像剤担持体としての現像ローラなどの表面に存在させるフッ素系材料には耐摩擦性を持たせることが必須となる点である。現像ローラは現像後、ローラ上に残った現像剤を一度かき落す必要があり、常時、ブレードなどのクリーニングを当接させる必要がある。また、現像剤を塗布するために、凹凸を有するアニロクスローラなどを当接させる場合もあるからである。
【0005】
第1の課題の解決策の一つは、フッ素系材料の薄膜化である。共析メッキはこの薄膜化の観点で限界があり、ドライプロセスを用いる方法が最も薄膜化には適している。しかし、ドライプロセスのほとんどは最大でも0.1μmの薄膜が物理的に現像ローラの基材上に付着しているだけであり、第2の課題である耐摩擦性の要求を解決できない。また、ウェットプロセスを用いる方法については、PTFEのように結晶性材料では薄膜化に対応できなく、また、このような非晶質フッ素樹脂材料も基本的には物理的な付着であり、第2の課題を満たすことはできない。
【0006】
これらの課題に対する最適解決策はフッ素系材料に化学的な修飾を行い、現像ローラの基材にも積極的な最適処理を行い、強固な化学的な結合を持たせることである。
【0007】
さらに、第3の課題としてフッ素系材料と現像剤担持体との間の、一部の剥離が、大規模な剥離に拡大することを防止することが必須となる点がある。従来、ヘテロ環系の非晶質フッ素樹脂として一般的に用いられているテフロンAF(商品名、デュポン製)について摩擦に対する耐久性を実際に試験すると、その樹脂の部分的なコーティングの剥離がきわめて短時間で拡大して大規模な剥離となった。これは、上記の非晶質フッ素樹脂のガラス転移点温度が100℃以上であり、複写機やプリンタなどの画像形成装置として用いられる実用温度領域よりも十分に高く、実際の使用状態ではコーティングされた樹脂は固相であり、フィルムとして機能していることに由来する。フィルム状であるので、部分的な剥離は、すなわち現像ローラの材料表面の暴露となって剥離部分の表面エネルギーが高まるだけでなく、現像ローラの基板とフッ素材料の界面がむき出しになるためにさらなる剥離を促進してしまう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するものであり、画像形成装置において、積極的な手段によって表面を酸化させた基材を用い、少なくともその表面に、複写機、プリンタなどの画像形成装置として通常用いられる温度領域すなわち0〜70℃の温度範囲で液相である非晶質フッ素樹脂を存在させ、かつ、その樹脂が、その一部に加水分解によって現像剤担持体の基材と結合することが可能な官能基を少なくとも一つ有して化学的な修飾を行うことができる材料とすることを特徴とするものである。
【0009】
すなわち、非晶質フッ素樹脂を用いることで薄膜コーティングが達成される。フッ素樹脂の一部に設けられた加水分解可能な基が積極的な手段によって表面を酸化させた現像剤担持体の基材と強く結合することで薄膜塗布と耐摩擦性の向上とが同時に達成される。さらに上記の0〜70℃温度範囲で液相とすることで、部分的な剥離が発生しても、クリーニング部材や塗布部材などによる摩擦によって上記フッ素樹脂が移動して再度剥離面を覆うように存在せしめることが可能となり、固相のフッ素樹脂で問題となるような剥離面の拡大を防止できる。
【0010】
非晶質フッ素樹脂の材質としてはパーフルオロポリエーテル構造を主鎖とする非晶質フッ素樹脂を用いることが望ましい。パーフルオロポリエーテル構造は末端に現像剤担持体の基材と化学結合する官能基を付与しても主鎖が現像剤担持体の基材に対して水平になるように存在し、室温でも現像剤担持体の基材に結合した官能基を中心にして容易に回転運動することが知られている。このような特性を持っているので、クリーニング部材や塗布部材などによる摩擦によって部分的に生じた剥離領域を速やかに覆うことが可能である。
【0011】
一方、フルオロアルキルシランなどにおいてはミセル構造のようにシラン構造領域側だけが現像剤担持体の基材に対向し、現像剤担持体の基材に対して垂直に立ち上がった構造を有するので、一旦剥離が生じると、その剥離領域への回復は起こりにくい。
【0012】
加水分解を起こす官能基としては、炭素に直接加水分解する基が結合したアルコール基やアルコキシ基でも、また、アルコキシシラン基、シラノール基、カルボン酸基やエステル基でもかまわない。ただし、加水分解を起こり易くするために、加水分解する基はOH基かメトキシ基、エトキシ基程度の低分子量アルコキシ基が望ましい。
【0013】
加水分解をさらに促進するためには、加水分解する基と主鎖の間に少なくとも一つの水素をヨウ素や臭素などの高い電子密度を有するハロゲン原子で置換させたメチレン基を存在させることが酸素ラジカルを安定にすることになるので有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を液体現像画像形成装置である電子写真複写機(以下、複写機という)に適用した場合の実施形態の一例について説明する。図1は、本実施形態に係る複写機の要部概略構成図である。本実施形態に係る複写機は、潜像担持体として感光体ドラム1のまわりに、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写ローラ5、クリーニング装置6等が配設されている。感光体ドラム1の材質としては、a−Si、OPC等が、帯電装置2としては、ローラやチャージャ等の形態が、また、露光装置3としては、LEDやレーザー走査光学系等がそれぞれ使用できる。
【0015】
上記構成の複写機で反転現像により画像を形成する場合について説明する。感光体ドラム1は、図示しないモータ等の駆動手段によって複写時には一定速度で矢印方向に回転駆動される。そして帯電装置2により暗中にて一様に600V程度に帯電された後に、露光装置3により原稿光像が照射結像されて静電潜像が感光体ドラム1の外周表面上に担持される。その後、上記静電潜像は現像装置4の部分を通過する間に現像される。現像されたトナー像は、転写ローラ5を含む転写装置により転写紙Pに転写される。感光体ドラム1は転写紙Pの分離後、クリーニング装置6により、残留トナーが除去される。その後、感光体ドラム1の表面は図示しない除電ランプにより残留電位が除去されて次の複写に備えられる。トナー像が転写された転写紙Pは、図示しない定着装置を通過して機外に排出される。上記転写装置としては、例えば、静電ローラによる方法、コロナ放電による方法、粘着転写法、熱転写法などを用いることができる。上記定着装置としては、例えば熱転写方式、溶剤定着、UV定着、加圧定着などを用いることができる。
【0016】
本実施形態の複写機で用いられる現像剤7は、従来一般的に市販され使用されているIsopar(エクソン商標)をキャリアとした低粘性(1cSt程度)、低濃度(1%程度)の液体現像剤ではなく、高粘性高濃度の液体現像剤である。この現像剤の粘度及び濃度の範囲としては、例えば粘度が50cStから5000cSt、濃度が5%から40%のものを用いる。キャリア液としては、シリコーンオイル、ノルマルパラフィン、IsoparM(エクソン商標)、植物油、鉱物油等の絶縁性が高いものを使用する。揮発性、不揮発性については、目的に合わせて選択することができる。また、トナーの粒径は、サブミクロンから6μm程度まで目的に合わせて選択することができる。
【0017】
次に、現像装置4について説明する。現像装置4は、図示するように内部に現像剤を収容する現像剤収容タンク8,現像ローラ9、スイープローラ11、塗布手段としてのアニロクスローラ12、図示しないギヤポンプ、攪拌ローラ13から主に構成されている。現像ローラ9とスイープローラ11とにはそれぞれ金属ブレードもしくはゴムブレードからなるクリーニング部材14a、14bが備えられている。上記クリーニング部材は、ブレードに限らずローラ式であってもよい。また、アニロクスローラ12にはドクタブレード15が備えられている。
【0018】
上記現像ローラ及びスイープローラ11は、外周面にそれぞれ導電性を有する弾性体の層9a、11aが設けられている。これらの弾性体の層9a、11aの材質としてはウレタンゴムを用いることができる。各弾性体の層9a、11aのゴム硬度としては、JIS−A硬度で50度以下であることが望ましい。各弾性体の層9a、11aの材質はウレタンゴムに限られるものではなく、導電性を有するものであって、かつキャリア液・現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。現像ローラ9とスイープローラ11の表面が導電性を有し、かつキャリア液・現像剤で膨潤したり溶解したりしない材質であり、その内層にキャリア液・現像剤7が接触しないような構成であれば、その内層としての、各弾性体の層9a、11aの材質は、上記導電性・膨潤溶解の制約なく、弾性を有していればよい。このとき、現像バイアス電圧やスイープバイアス電圧は、現像ローラ9やスイープローラ11の軸からではなく、表面から印加する必要がある。
弾性体の層を現像ローラ9とスイープローラ11とに設ける構成ではなく、弾性体の層を感光体側に設ける構成であってもよい。また、感光体を無端ベルト状部材で構成してもよい。さらに、現像ローラ9、スイープローラ11は、コーティングもしくはチューブにより、その表面がRz3μm以下の平滑性を有するように構成されている。
【0019】
上記現像ローラ及びスイープローラ11を感光体ドラム1に対してそれぞれ適当な圧力で当接させると、各ローラの弾性体の層9a、11aが弾性変形し、現像ニップ17及び除去ニップ16を形成する。特に、現像ニップ17を形成することによって、現像剤7のトナーが現像領域の現像電界により、感光体ドラム1に対して移動し付着するための一定の現像時間を確保することができる。当接圧力を調整することで各ニップ部における表面移動方向の大きさであるニップ幅を調整することができる。各ニップ幅は、各ローラの線速と現像時定数との積以上に設定する。ここで、現像時定数とは、現像量が飽和するまでに要する時間であって、ニップ幅をプロセス速度で除したものである。例えば、ニップ幅が3mmでプロセス速度が300mm/secであれば、現像時定数は10msecとなる。
【0020】
現像動作時においては、上記現像ローラにアニロクスローラ12によって現像剤の薄層が形成される。このとき現像ローラ9上に塗布される現像剤7の厚みが、その表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3μg以上、60μg以下となるように設定した。このために、現像剤7の薄層を3〜10μmの厚みに塗布するようにした。この理由は、現像剤7の塗布厚が、現像ローラ9表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3μgより小さくなるような厚みでは、十分な量の顔料が上記感光体ドラム1上に形成された潜像の画像部に移動せず、画像部の画像濃度が薄くなるおそれがあるからである。また、現像ローラ9表面の1cm2当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が60μgより大きくなるような厚みでは、現像後の地肌部に残留する余剰トナーが多くなり上記スイープローラによる除去が不完全になるおそれがあるからである。
【0021】
そして、上記現像ローラ表面に形成された現像剤7の薄層は、感光体ドラム1と現像ローラ9とにより形成された現像ニップ17を通過する。一般的に電子写真の現像装置では、十分なトナーを感光体と現像装置との相対する領域に送るため、現像ローラの表面移動速度を感光体の表面移動速度よりも速めに設定している。このため、トナーは感光体表面に対して早い移動速度を持つため、潜像との間に位置的なずれを生じ、画像としては、先端がかすれたり、縦線と横線とのバランスが悪かったりする現象が現れる。この現象は液体現像でも見られる現象である。本実施形態に係る複写機では、上記現像ローラ9の表面と感光体ドラム1の表面とがほぼ等速で移動し、トナーに対して相対的に感光体ドラム1の接線方向の速度ベクトルを持たせないので、上記現象が生じることがない。
【0022】
上記現像ローラには、感光体表面電位(600V)より低い現像バイアス電圧(400V)が印加されており、露光装置3により露光されて50V以下になった画像部との間に現像電界を生じる。感光体ドラム1の画像部では、現像剤7中のトナーは上記電界によって感光体ドラム1に移動して潜像を顕像化する。一方、地肌部(非画像部)では、現像バイアス電位と感光体電位とによって形成される電界により、現像ローラ9表面にトナーを移動させて地肌部分にトナーが付着しないようにする。
【0023】
しかしながら、地肌部分のトナーの一部が、現像ローラ9の表面まで移動しきれずに感光体ドラム1側に残るとカブリの原因となる。そこで、このカブリの原因となるトナー(以下、「カブリトナー」という)をスイープ(掃除)するため上記スイープローラを設けている。このスイープローラは、現像ローラ9に対し感光体ドラム1の回転方向下流側であって、現像されたトナー層を挟むように、感光体ドラム1に押圧して設置されている。スイープローラ11の表面は、感光体ドラム1の表面と略等速で移動する。
【0024】
スイープローラ11には、現像後の画像部のトナー層からトナーをスイープローラ11に戻さないように、感光体ドラム1上の画像部のトナー層表面電位(50〜200V)に近いバイアス電圧(250V)が印加されている。地肌部では、感光体ドラム1の地肌部の電位と上記バイアス電圧による電位との差によって生じる電界により、浮遊しているカブリトナーをスィープローラ11に移動させる。この段階での地肌部の現像剤層は現像ローラ9の現像ニップ部分の厚さの約半分で、且つトナーの濃度は現像前の濃度の約50%以下程度に低下しており、カブリトナーの除去は容易に行われる。これにより、地肌部のカブリを完全に防止することができる。上述した電位の関係は次の式で示すことができる。
地肌部電位>VB1>VB2>画像部トナー層電位
ここで、VB1は感光体ドラム1素管表面と現像ローラ9との間の電位、VB2は感光体ドラム1素管表面とスイープローラ11との間の電位である。
【0025】
上記スイープローラを設置することによって、現像時に感光体ドラム1上の地肌部に付着した余分なキャリア液の約70%程度を除去することもできる。
【0026】
また、スイープローラ11によりカブリトナーの除去が効率的にできるため、感光体ドラム1と現像ローラ9との間の現像ニップ17でカブリトナーが少々残留してもよく、カブリ除去電界(現像ローラ9に印加された現像バイアスと感光体帯電電位との電位差)を低く抑えることができる。よって、感光体ドラム1の帯電電位を低くすることが可能になる。このことにより、感光体ドラム1の耐久性向上、帯電装置2の負担軽減、露光パワーの低減等、種々の利点が生じる。
【0027】
上記実施例では、1つの実施形態として、反転現像により画像を形成する場合について説明したが、正規現像により画像を形成することもできる。正規現像による場合には、上記構成の複写機において各電位の関係を次の式のように設定する。
感光体電位>画像部トナー層電位>VB2>VB1>非画像部電位
ここで、VB1は感光体ドラム1素管表面と現像ローラ9との間の電位、VB2は感光体ドラム1素管表面とスイープローラ11との間の電位である。
【0028】
具体的な電位の一例としては、マイナス帯電トナーの場合、感光体電位を+600V、画像部トナー層電位を+500V、VB2を+300V、VB1を+100V、非画像部電位を+50Vに設する。
【0029】
次に、本発明における画像形成装置の現像装置に用いる、現像剤担持体の製造方法の一実施例、この場合は、感光体を無端ベルト状部材で構成し、弾性を持たない現像ローラ9を用いる場合について、図2を用いて説明する。
【0030】
まず、少なくともその表面をニッケル層93で構成した、現像剤担持体としての現像ローラを製造する。この表層のニッケル層93に対して以下の5つの工程のうち、少なくとも一つの工程により積極的に表面酸化を行い、表面に酸化膜94を形成し、現像ローラの基材とする。第1の手段は、ニッケル層93ごと表面酸化に必要な温度環境下に所定の時間曝露するものである。ニッケル層93の場合は270℃以上の環境下に30分以上曝露することが望ましい。第2の手段は、ニッケル層93を波長400nm以下の紫外線下に所定の時間曝露するものである。光源は通常のハロゲンランプでもかまわないが、酸素分子の分解効率を高めるためにはエキシマランプのような短波長光源を用い、5分以上曝露することが望ましい。エネルギー効率の観点からはエキシマレーザ照射も有効である。第3の手段は、ニッケル層93を赤外線ランプ、フラッシュ下に曝露するものであり、第4の手段は電磁波又は高周波電圧により酸素をイオン化した又はラジカル化した酸素プラズマ下に曝露するもので、第5の手段は酸素ビーム下に曝露するものである。
【0031】
前記いずれかの手段により表面酸化処理した現像ローラの基材に、臨界表面張力が25mN/m以下で、加水分解可能な官能基を少なくとも一つ有する非晶質樹脂としてのフッ素系材料95をコーティングすれば、現像ローラ最表面にフッ素系材料95をコーティングした現像ローラ9が形成される。このようにして製作した現像ローラ9を現像ユニットに装着し、現像装置4を製作する。
【0032】
フッ素系材料95として、以下の5種類の材料をコーティングした場合および現像ローラ9の基材部分92に前述の積極的な表面酸化を施さなかった場合の合計6つの例について現像ローラを製作した。以下,そろぞれについて説明する。
【0033】
実施例1
適当なパーフルオロカーボンを溶媒としてアルコール末端変性パーフルオロポリエーテル20重量%溶液を作成し、これに上記現像ローラの基材を5分以上浸漬させた。しかる後に少なくとも50℃以上250℃以下の環境に15分以上放置して加水分解反応を完了させた。望ましい条件は80〜200℃で30分以上である。200℃以上の条件ではフッ素材料自身の分解が懸念される。なお、製作したコーティング厚さは10nm以下であった。
【0034】
実施例2
適当なパーフルオロカーボンを溶媒としてアルコキシシラン末端変性パーフルオロポリエーテル20重量%溶液を作成し、これに上記現像ローラの基材を5分以上浸漬させた。しかる後に少なくとも50℃以上250℃以下の環境に15分以上放置して加水分解反応を完了させた。望ましい条件は80〜200℃で30分以上である。200℃以上の条件ではフッ素材料自身の分解が懸念される。なお、製作したコーティング厚さは10nm以下であった。
【0035】
実施例3
適当なパーフルオロカーボンを溶媒としてカルボン酸末端変性パーフルオロポリエーテル20重量%溶液を作成し、これに上記現像ローラの基材を5分以上浸漬させた。しかる後に少なくとも50℃以上250℃以下の環境に15分以上放置して加水分解反応を完了させた。望ましい条件は80〜200℃で30分以上である。200℃以上の条件ではフッ素材料自身の分解が懸念される。なお、製作したコーティング厚さは10nm以下であった。
【0036】
比較例1
適当なパーフルオロカーボンを溶媒としてフルオロアルキルシラン(東芝シリコーンTSL8355)0.1重量%溶液を作成し、これに前記現像ローラの基材を5分以上浸漬させた。しかる後に少なくとも室温以上の環境に15分以上放置して加水分解反応を完了させた。望ましい条件は80〜200℃で1時間である。200℃以上の条件ではフッ素材料自身の分解が懸念される。なお、製作したコーティング厚さは10nm以下であった。
【0037】
比較例2
適当なパーフルオロカーボンを溶媒としてガラス転移点100℃以上の非晶質フッ素樹脂(デュポン製テフロンAF)0.1重量%溶液を作成し、これに前記現像ローラの基材を5分以上浸漬させた。しかる後に少なくとも50℃以上250℃以下の環境に15分以上放置して加水分解反応を完了させた。望ましい条件は80〜200℃で30分以上である。200℃以上の条件ではフッ素材料自身の分解が懸念される。なお、製作したコーティング厚さは10nm以下であった。
【0038】
比較例3
積極的な表面酸化を行わなかった現像ローラの基材部分92の上に実施例1記載の材料を実施例1と同じ工程でコーティングした。
【0039】
以上の6種類の現像ローラ9について、現像ユニットに組み込み、作像を繰り返し、ローラ表面へのトナーのフィルミング状況を観察した。その結果が図3である。図3において、横軸はA4横の転写紙をプリントした枚数であり、縦軸は現像ローラのフィルミング状況である。このグラフにおいて、許容レベル領域内にある材料が十分に仕様を満足する材料である。
【0040】
図3から明らかなように、実施例1と実施例2が有効で、比較例1から比較例3は仕様を満足することができなかった。実施例1から実施例3はフィルミング形成速度が緩やかであり、摩擦による微小破壊に対する回復機能を有するパーフルオロポリエーテル主鎖の効果が現れている。実施例3は実施例1と実施例2に比べ、全体的にフィルミング状態が悪い。これは実施例1と実施例2は、ほとんど加水分解が完了して強く現像ローラ9の基材にフッ素系材料が結合しているが、実施例3はこれに比べると上記現像ローラの基材への結合率が低い。
【0041】
比較例1は実施例2と同じようなアルコキシシラン基が加水分解によって現像ローラ9の基材に結合するタイプであるが、パーフルオロエーテル主鎖ではないので摩擦による微小破壊に対する回復機能を持たないため、実施例1から実施例3の材料に比べて接触角の劣化速度が速くなっている。比較例2はコーティングしたフッ素系樹脂が現像ローラの基材との化学結合もなく、回復機能も持たない材料なので、プリント開始1万枚ほどで、ほぼ完全にコーティングは剥離してしまった。比較例3は比較例1と比較例2の中間であった。現像ローラの基材部分92に積極的な表面酸化処理を行っていないので化学結合を行っている密度が低いことが原因である。未処理現像ローラの基材では酸化膜の厚さは1nm未満で、前述の積極的な表面酸化処理を行った場合には1nm以上の酸化膜が形成されることをエリプソメータにより確認している。
【0042】
以上の結果をまとめると、摩擦に対する耐久性は、主鎖構造によってもたらされる実用温度領域における液相としての剥離部回復効果と化学結合を行う官能基の結合度合い(密度)の論理積であり、耐久性の強い順に以下のような傾向を示す。液相かつ現像ローラの基材表面酸化かつ加水分解基(実施例1、実施例2)>液相かつ現像ローラの基材表面酸化かつ弱い加水分解基(実施例3)>現像ローラの基材表面酸化かつ加水分解基(比較例1)>液相かつ加水分解基(比較例3)。
【0043】
本実施例では現像ローラの基材としてニッケル基材を用いたが、シリコン基材を用いて、前述の第1から第5の工程のうちの、少なくとも一つの工程によってその表面に積極的な酸化処理を施してその表面に1nm以上の酸化膜を形成させたものと積極的な酸化処理なしのシリコン基材にドライプロセスを用いて現像ローラ9とした場合においても同様の傾向が得られた。
【0044】
現像ローラの基材材料としてポリイミドやポリサルフォンなどのポリマーを用い、その表面に対して前述の第1から第5の積極的な酸化処理工程のうち少なくとも一つの工程を行って水に対する接触角を25°以下にせしめた表面を有するポリマーと未処理のままのポリマーを現像ローラ9とした場合においても同等の傾向が得られた。
【0045】
炭化珪素や窒化珪素などの非酸化物系セラミックスに対して前述の第1から第5の積極的な酸化処理工程のうち少なくとも一つの工程を行って表面に1nm以上の酸化膜を形成させたものと積極的な酸化処理なしの非酸化物系セラミックスを用いて現像ローラ9とした場合においても同様の傾向が得られた。
【0046】
ジルコニアやアルミナなどの酸化物系セラミックスを用いて現像ローラ9としたものを用いても液相の効果や加水分解基の効果は同様であった。
【0047】
本実施例では、フッ素系材料95のコーティング厚さとして10nmとしたが、厚さを変えた実験を行った結果、1nm以上の厚さがあると効果があることが明らかになった。これ以下では初期特性がよくても、液相樹脂としての効果である回復機能が得られず、比較例1と同じような接触角の劣化特性を示した。
【0048】
上記の例では、弾性体層を持たない現像ローラ9について示したが、弾性を持つ材料を用いた場合は、弾性体層を持つ現像ローラ9として作成してもよい。また、上記フッ素系材料の層は、現像ローラ9と同様な電界のかかる上記スイープローラ表層に適用してもよい。
【0049】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、現像ローラの基材にコーテング材料が結合し,トナーがフィルミングしにくい現像剤担持体が得られる。
【0050】
請求項2の発明によれば、現像剤担持体表面に常時クリーニングブレードやトナー塗布部材その他の部材を当接して回転させたときの摩擦により、不可避となる微少な非晶質樹脂のはがれに対して速やかにこの剥離部分を覆うことができ、トナーがフィルミングすることを防ぐことが可能になる。
【0051】
請求項3乃至5の発明によれば、非晶質樹脂の主鎖部を現像剤担持体基材に対して部分的に強く密着させ、現像剤担持体に対する種々の摩擦に対する耐久性を得ることができる。
【0052】
請求項6の発明によれば、非晶質樹脂の主鎖部を現像剤担持体基材に対して部分的により強く密着させ、現像剤担持体に対する種々の摩擦に対する耐久性を得ることができる。
【0053】
請求項7の発明によれば、部分的に剥離した時、液相樹脂としての効果である回復機能を得ることができ、現像剤担持体に対する種々の摩擦に対する耐久性を得ることができる。
【0054】
請求項8の発明によれば、加水分解可能な官能基を有する非晶質樹脂を、現像剤担持体の基材に特別な酸化処理を行うことなく、強く結合させることが可能となり、現像剤担持体に対する種々の摩擦に対する耐久性を得ることができ、行程数が少なく、歩留まりの高い現像剤担持体を提供することができる。
【0055】
請求項9の発明によれば、非晶質樹脂を、現像剤担持体の基材に強く結合させることが可能となり、現像剤担持体に対する種々の摩擦に対する耐久性を得ることができる。
【0056】
請求項10の発明によれば、非晶質樹脂を現像剤担持体基材に強く結合させることが可能となり、現像剤担持体に対する種々の摩擦に対する耐久性を得ることができ、高速で駆動する現像剤担持体において継続的に安定に現像に用いることができる、
【0057】
請求項11の発明によれば、加水分解可能な官能基を有する非晶質樹脂を、現像剤担持体の基材に強く結合させることが可能となり、現像剤担持体に対する種々の摩擦に対する耐久性を得ることができ、歩留まりの高い現像剤担持体を提供することができる。
【0058】
請求項12の発明によれば、継続的に安定してトナーがフィルミングしない現像剤担持体を提供することができる。
【0059】
請求項13の発明によれば、材料を大量に酸化処理することが可能となり、行程歩留まりが向上する。
【0060】
請求項14の発明によれば、現像剤担持体材料の熱的な寸法変化などを抑えることが可能となり、行程歩留まりが向上する。
【0061】
請求項15の発明によれば、短時間で処理することが可能となり、行程歩留まりが向上する。
【0062】
請求項16の発明によれば、現像剤担持体材料の熱的な寸法変化などを抑え、かつ、酸化処理の精密な工程管理が可能となり、行程歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラー複写機の概略構成を示す正面図である。
【図2】現像ローラ表層を模式的に拡大して示した図である。
【図3】プリント枚数と現像ローラフィルミングの状況との関連を示した図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
4 現像装置
7 現像剤
9 現像ローラ
11 スイープローラ
12 アニロクスローラ
13 攪拌ローラ
14a、14b クリーニング部材
15 ドクタブレード
16 ニップ
17 ニップ
92 基材部分
93 ニッケル層
94 酸化膜
95 フッ素系材料
P 転写紙
Claims (16)
- 液体現像剤担持体に担持した液体現像剤により潜像担持体上に形成された潜像を現像する画像形成装置において、
少なくとも現像剤担持体が無機酸化物であるか、無機酸化物以外の場合は室温放置以外の積極的な表面酸化処理を行った無機または有機材料で構成され、かつ、臨界表面張力が25mN/m以下で、加水分解可能な官能基を少なくとも一つ有する非晶質樹脂が、少なくとも現像剤担持体表面において、前記材料の酸素を介した結合を行っており、かつ、前記樹脂が0℃〜70℃の温度範囲内で液相となる条件を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体における非晶質樹脂として、主鎖にパーフルオロポリエーテルを用いていることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体における加水分解可能な官能基として、アルコール基またはアルコキシ基、望ましくはメトキシ基、エトキシ基を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体における加水分解可能な官能基として、シラノール基またはアルコキシシラン基、望ましくはメトキシシラン基、エトキシシラン基を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体における加水分解可能な官能基として、カルボン基またはエステル基、望ましくはメチルカルボネート基、エチルカルボネート基を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項3または4記載の官能基と請求項2記載の主鎖の間に、少なくとも一つの水素を臭素またはヨウ素で置換させたメチレン基を存在させた現像剤担持体を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体における非晶質樹脂のコーティング厚さが、1nm以上の厚さであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体の材料として、少なくともその表面に、ジルコニアやアルミナを主組成とする酸化物系セラミクス材料を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体の材料として、少なくともその表面に、炭化珪素や窒化珪素などの非酸化物系セラミクス材料を用い、この表面に1nm以上厚さの酸化膜を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体の材料として、少なくともその表面に、シリコンまたはニッケルを主組成とする材料を用い、この表面に1nm以上厚さの酸化膜を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1記載の画像形成装置において、上記現像剤担持体の材料として、少なくともその表面に、ポリイミドやポリサルフォンに代表される有機材料を主組成とする材料を用い、表面酸化処理を行って水に対する接触角を25°以下にしたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至11のいずれか1つに記載の現像剤担持体を備えた液体現像装置。
- 請求項9乃至11のいずれか1つに記載の画像形成装置に用いられる現像材担持体の表面を酸化処理する方法であって、
上記現像剤担持体の少なくともその表面材料を表面酸化に必要な温度環境下に曝露させることを特徴とする現像剤担持体の表面の酸化処理方法。 - 請求項9乃至11のいずれか1つに記載の画像形成装置に用いられる現像材担持体の表面を酸化処理する方法であって、
現像剤担持体の少なくともその表面材料を波長400nm以下の紫外線に曝露させることを特徴とする現像剤担持体の表面の酸化処理方法。 - 請求項9乃至11のいずれか1つに記載の画像形成装置に用いられる現像材担持体の表面を酸化処理する方法であって、
現像剤担持体の少なくともその表面材料を赤外線フラッシュ光に曝露させることを特徴とする現像剤担持体の表面の酸化処理方法。 - 請求項9乃至11のいずれか1つに記載の画像形成装置に用いられる現像材担持体の表面を酸化処理する方法であって、
高周波電圧または電磁波を用いて酸素をイオンまたはラジカルにした空間を作り、ここに現像剤担持体の少なくともその表面材料を曝露させることを特徴とする現像剤担持体の表面の酸化処理方法。
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