JP4676092B2 - エレクトロルミネッセント素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターン形成されたエレクトロルミネッセント(以下ELと略称する場合がある。)素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
EL素子は、対向する電極から注入された正孔および電子が発光層内で結合し、そのエネルギーで発光層中の蛍光物質を励起し、蛍光物質に応じた色の発光を行うものであり、自発光の面状表示素子として注目されている。その中でも、有機物質を発光材料として用いた有機薄膜ELディスプレイは、印加電圧が10V弱であっても高輝度な発光が実現するなど発光効率が高く、単純な素子構造で発光が可能で、特定のパターンを発光表示させる広告その他低価格の簡易表示ディスプレイへの応用が期待されている。
【0003】
このようなEL素子を用いたディスプレイの製造にあっては、電極層や有機EL層のパターニングが通常なされている。このEL素子のパターニング方法としては、発光材料をシャドウマスクを介して蒸着する方法、インクジェットによる塗りわけ方法、紫外線照射により特定の発光色素を破壊する方法、スクリーン印刷法等がある。しかしながら、これらの方法では、発光効率や光の取り出し効率の高さ、製造工程の簡便さや高精細なパターン形成の全てを実現するEL素子を提供することはできなかった。
【0004】
このような問題点を解決する手段として、発光層をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより形成するEL素子の製造方法が提案されている。この方法によれば、従来行われてきた蒸着によるパターニング法と比較すると、高精度のアライメント機構を備えた真空設備等が不要であることから、比較的容易にかつ安価に製造することができる。一方、インクジェット方式を用いたパターニング法と比較すると、パターニングを補助する構造物や基体に対する前処理等を行うことない点で好ましく、さらにインクジェットヘッドの吐出精度との関係から、フォトリソグラフィー法の方がより高精細なパターンの形成に対しては好ましい方法であるといえるといった利点を有するものであった。
【0005】
一方、発光層を有機EL層とした場合は、発光効率を向上させるためバッファー層を形成することが好ましい。しかしながら、発光層を上述したようなフォトリソグラフィー法で形成する場合に、バッファー層を従来のバッファー層としてしまうと、発光層のパターニングに際して、例えばフォトレジストの現像工程や洗浄工程において現像液や水を用いた場合、バッファー層が膨潤したり溶出したりしてしまう可能性が生じるといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フォトリソグラフィー法によりパターニングされる有機EL層とバッファー層とを共に有するEL素子を製造する場合でも、バッファー層が膨潤もしくは溶出するといった問題が生じることのないEL素子の製造方法を提供することを主目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、EL素子を構成する少なくとも1層の有機EL層をフォトリソグラフィー法によりパターニングして形成する工程と、溶媒に不溶なバッファー層を形成する工程とを少なくとも有することを特徴とするEL素子の製造方法を提供する。
【0008】
発光効率を向上させるためにバッファー層を形成する必要性が高いEL素子、特に、発光層が有機高分子からなるEL素子においては、バッファー層と発光層とが組み合わせて用いられる。このとき、バッファー層を溶媒に不溶な層とすることにより、発光層等の有機EL層をフォトリソグラフィー法により形成する際に、バッファー層の溶出や膨潤といった不具合を防止することができる。また、この有機EL層の溶媒およびこの有機EL層をフォトリソグラフィー法によりパターニングする際に用いられるフォトレジスト用現像液等の選択の自由度が向上する。
【0009】
本発明においては、上記溶媒に不溶なバッファー層を形成する工程が、バッファー層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、塗布されたバッファー層形成用塗工液を硬化させる硬化工程とを有するものであることが好ましい。少なくとも1層の有機EL層をフォトリソグラフィー法、すなわち湿式法を用いて形成するものであることから、上記溶媒に不溶なバッファー層も湿式法により形成される方がコスト面で有利であるからである。
【0010】
本発明においては、上記溶媒に不溶なバッファー層が、少なくとも金属酸化物とバインダとからなる金属酸化物含有層であることが好ましい。このような金属酸化物層は、バッファー層として良好に機能するからである。
【0011】
本発明においては、上記溶媒に不溶なバッファー層が、少なくとも光触媒とバインダとからなる光触媒含有層であり、上記バインダがオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このような光触媒含有層はバッファー層として機能すると共に表面を露光することによりその表面を親水性とすることが可能となる。したがって、例えばこのバッファー層上に他の有機EL層をフォトリソグラフィー法によりパターニングして形成するに際して、表面の濡れ性が良好であり塗りムラ等が生じることがないからである。
【0012】
上記発明においては、上記光触媒が、二酸化チタンであることが好ましい。二酸化チタンは、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易だからである。
【0013】
上記発明においては、上記バインダが、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンがバッファー層に好適であるからである。
【0014】
本発明においては、上記フォトリソグラフィー法を用いてパターニングしてなる有機EL層が、発光層であることが好ましい。EL素子において、発光層は必須の層であり、かつ発光に際して必要な高精細なパターンを得ることができるからである。
【0015】
上記発明においては、上記発光層が、フォトレジスト溶媒、フォトレジスト現像液、およびフォトレジスト剥離液に不溶であって、かつ、フォトレジストが上記発光層形成に用いる溶媒に不溶であることが好ましい。例えばドライエッチングを用いる方法や、ドライフィルムを用いる方法等のようにフォトリソグラフィー法の種類にもよるが、一般的な湿式のフォトリソグラフィー法を用いる場合は、このような要件を満たす発光層およびフォトレジストを用いることが好ましいからである。
【0016】
上記発明においては、上記発光層をフォトリソグラフィー法を用いて3回パターニングすることによりフルカラー発光のEL素子を製造することが好ましい。近年においては、フルカラー化が望まれているからであり、本発明の方法によっても、このように3回パターニングすることによりフルカラー化が可能となる。
【0017】
本発明においては、上記フォトリソグラフィー法を用いたパターニングが、パターニングされる有機EL層上にフォトレジストを塗布し、露光し、現像することによりフォトレジストをパターニングした後、ドライエッチングを用いてフォトレジストが除去された部分の有機EL層を除去することによるパターニングであることが好ましい。
【0018】
このように有機EL層をドライエッチングする方法を用いることにより、より高精細なパターンの形成が可能となるからである。また、有機EL層を湿式法により現像する場合の現像液の影響を考慮する必要がなくなり、他の層の材料選択の幅が広くなるという利点を有するからである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のEL素子の製造方法は、EL素子を構成する少なくとも1層の有機EL層をフォトリソグラフィー法によりパターニングして形成する工程と、溶媒に不溶なバッファー層を形成する工程とを少なくとも有することを特徴とするものである。
【0020】
EL素子において、発光層の発光効率を向上させるために、バッファー層が形成される場合がある。特に、発光層が有機高分子からなるEL素子においては、発光効率の面でバッファー層と発光層とを組み合わせて用いることが好ましい。このようにバッファー層を形成する場合に、バッファー層が溶媒、例えば有機EL層をパターニングするためのフォトレジストの現像液や洗浄のための水等に溶解する材料で形成されている場合は、この現像工程や洗浄工程においてバッファー層が膨潤・溶出してしまうという問題が生じる。したがって、本発明はこのような観点からバッファー層を有するEL素子の製造方法において、溶媒に不溶なバッファー層を形成する工程を有するようにしたものである。
【0021】
また、バッファー層を溶媒に不溶な層とすることにより、他の有機EL層、具体的には発光層を形成するに際して、発光層の溶媒や発光層をパターニングするためのフォトレジストの溶媒、現像液等の選択の幅が広がり、より高品質の有機EL素子を製造することが可能となる。このような観点からも、バッファー層が溶媒に不溶であることは好ましいといえる。
【0022】
以下、このような本発明のEL素子の製造方法における各構成について具体的に説明する。
【0023】
(バッファー層)
本発明の特徴は、バッファー層が溶媒に不溶となるように形成される点にある。本発明でいうバッファー層とは、発光層に電荷の注入が容易に行われるように、陽極と発光層との間または陰極と発光層との間に設けられる層である。
【0024】
本発明におけるバッファー層は、溶媒に不溶であれば特に限定されるものではなく、例えば蒸着法により形成されたものであってもよい。しかしながら、後述するように、本発明で製造されるEL素子は、少なくとも1層の有機EL層をフォトリソグラフィー法によりパターニングされて構成されるものであり、少なくともこの工程は湿式法により製造されるものである。したがって、バッファー層も湿式法で形成されるものが好ましいといえる。
【0025】
このような観点から、本発明においては、バッファー層を形成する工程が、バッファー層形成用塗工液を塗布する工程と、塗布されたバッファー層形成用塗工液を硬化させる工程からなることが好ましい。
【0026】
本発明に用いられるバッファー層形成用塗工液としては、硬化後のバッファー層が溶媒に不溶となるような組成のものが用いられる。具体的には、ゾルゲル反応液、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を挙げることができる。すなわち、本発明においては、未硬化状態のゾルゲル反応液、光硬化性樹脂もしくは熱硬化性樹脂にバッファー層として機能させるための添加剤を加えてバッファー層形成用塗工液としたものや、ゾルゲル反応液、光硬化性樹脂もしくは熱硬化性樹脂自体を変性することにより、バッファー層として機能させるようにしたバッファー層形成用塗工液を用いることができるのである。そして、このようなバッファー層形成用塗工液を硬化させることにより溶媒に不溶なバッファー層を形成することができる。
【0027】
本発明においては、上記溶媒に不溶なバッファー層が、少なくとも金属酸化物とバインダとから金属酸化物含有層であることが好ましい。このようなバッファー層は、電荷の注入効率が良く、バッファー層として良好に機能する。この際、用いることができる金属酸化物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、遷移金属酸化物、典型金属酸化物等を挙げることができる。
【0028】
本発明においては、また上記溶媒に不溶なバッファー層が、少なくとも光触媒とバインダとからなる光触媒含有層であり、上記バインダがオルガノポリシロキサンであるバッファー層が好ましい。このようなバッファー層は、形成後に全面露光することにより、その表面を親水性とすることが可能である。したがって、このバッファー層上にさらに湿式法により有機EL層を形成する場合に、このような有機EL層形成用塗工液の塗布が容易となり、液を薄く塗布しなければならない場合でもムラ無く塗布することが可能となるからである。
【0029】
上記本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の酸化チタンが好ましい。
【0031】
また、本発明において用いられるバインダとしては、主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであって、光触媒の作用により分解されるような有機置換基を有するものが好ましく、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0032】
上記の(1)の場合、一般式:
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0033】
また、本発明に用いられるバインダとしては、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることもでき、具体的には、各種フルオロアルキルシランのうちの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物を挙げることができる。
【0034】
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0035】
【化1】
【0036】
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0037】
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物をバインダに混合してもよい。
【0038】
上記光触媒含有層は、光触媒およびバインダを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して光触媒含有層形成用塗工液を調製し、この塗工液を電極層が形成された基板上に塗布し、硬化させることにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。硬化処理は、熱処理であってもよいが、バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することかできる。
【0039】
上記、光触媒含有層形成用塗工液中の光触媒の含有量は、固形分の5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。このようにして得られた光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内であることが好ましい。
【0040】
(有機EL層)
本発明におけるEL素子には、上述した溶媒に不溶なバッファー層の他に、少なくとも1層のフォトリソグラフィー法によりパターニングされた有機EL層を有するものである。具体的には、本発明におけるEL素子は、第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、上述した溶媒に不溶なバッファー層を含むEL層と、上記EL層上に形成された第2電極層とから少なくとも構成されてなるものであり、上記EL層にはさらに少なくとも1層のフォトリソグラフィー法によりパターニングされた有機EL層が含まれるものである。
【0041】
ここで、EL層には、少なくとも上述したバッファー層と発光層とが含まれている必要があり、その他、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が組み合わされていてもよい。
【0042】
また、上記パターニングされる有機EL層は、上述したEL層を構成するいずれの層であってもよいが、本発明においては、発光層であることが、本発明の効果を最大限に発揮することができる点で好ましい。
【0043】
具体的には、第1電極層上に上述したような溶媒に不溶なバッファー層が形成され、その上にさらに有機EL層として発光層がフォトリソグラフィー法によりパターニングされて形成され、さらにその上に第2の電極層が形成されているEL層が好ましい例であり、特に上記発光層が三種類の発光層であり、3回フォトリソグラフィー法によりパターニングされて形成されたフルカラーのEL素子であることが最も好ましい例である。
【0044】
本発明においては、このような有機EL層をパターニングするに際してフォトリソグラフィー法を用いてパターニングする点にも特徴を有するものである。なお、その他の層の製法は従来用いられている方法により製造することができる。
【0045】
(フォトリソグラフィー法)
本発明のEL素子の製造方法は、上述したようにバッファー層が溶媒に不溶である点に第1の特徴を有するものであるが、第2の特徴として上記有機EL層のパターニングが、フォトリソグラフィー法により行われる点を挙げることができる。このフォトリソグラフィー法とは、光照射により膜の光照射部の溶解性が変化することを利用して光照射パターンに応じた任意のパターンを形成する方法である。以下、このフォトグラフィー法について説明する。
【0046】
(フォトレジスト)
本発明において用いることができるフォトレジストは、ポジ型であってもネガ型であっても特に限定されるものではないが、発光層などの有機EL層形成に用いる溶媒に不溶であるものが好ましい。
【0047】
具体的に用いることができるフォトレジストとしては、ノボラック樹脂系、ゴム+ビスアジド系等を挙げることができる。
【0048】
(フォトレジスト溶媒)
本発明において、上記フォトレジストをコーティングする際に用いられるフォトレジスト溶媒としては、フォトレジスト製膜の際に発光層等の上述した有機EL層とフォトレジスト材料が混合や溶解することを防ぎ、本来の発光特性を保つために発光層材料等の有機EL材料を溶解しないものを用いることが望ましい。この点を考慮すると、本発明に用いることができるフォトレジスト溶媒としては、発光層形成用材料等の有機EL層形成用の材料に対する溶解度が、25℃、1気圧で0.001(g/g溶媒)以下の溶媒を選択することが好ましく、さらに好ましくは0.0001(g/g溶媒)以下の溶媒を選択することが好ましい。
【0049】
このようなフォトレジスト溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトンをはじめとするケトン類、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、をはじめとするセロソルブアセテート類、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルをはじめとするセロソルブ類、メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノールをはじめとするアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられるが、この他でも条件を満たす溶媒であれば使用可能であり、2種以上の混合溶媒であっても良い。
【0050】
(フォトレジスト現像液)
また、本発明に用いることができるフォトレジスト現像液としては、上記有機EL層を形成する材料を溶解するものでなければ特に限定されるものではない。具体的には、一般的に使用されている有機アルカリ系現像液を使用できるが、そのほかに、無機アルカリ、またはレジストの現像が可能な水溶液を使用することができる。レジストの現像を行った後は水で洗浄するのが望ましい。
【0051】
本発明に用いることができる現像液としては、発光層形成用材料等の有機EL層形成用の材料に対する溶解度が、25℃、1気圧で0.001(g/g現像液)以下の現像液であることが好ましく、さらに好ましくは0.0001(g/g現像液)以下の現像液を選択することである。
【0052】
(フォトレジスト剥離液)
さらに、本発明において用いることができるフォトレジスト剥離液としては、上記有機EL層を溶解するものではなく、フォトレジスト層を溶解することが必要であり、上述したようなフォトレジストの溶媒をそのまま使用することがでる。また、ポジ型レジストを用いた場合はUV露光を行った後でレジスト現像液として挙げた液を用いて剥離することも可能である。
【0053】
さらに、強アルカリ水溶液、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒、およびそれらの混合物、市販のレジスト剥離液を用いてもよい。レジスト剥離後は、2−プロパノール等でリンスし、さらに水でリンスしてもよい。
【0054】
(パターニング方法)
本発明に用いられるフォトリソグラフィー法によるパターニングは、具体的には、ポジ型のフォトレジストを用いた場合、まず有機EL層を全面形成後、その上に上記フォトレジスト材料を上記フォトレジスト溶媒に溶解したフォトレジスト溶液を全面塗布して乾燥させることにより、まずフォトレジスト層を形成する。次いで、このフォトレジスト層に対してパターン露光を行い、露光部分のフォトレジストを上述したようなレジスト現像液で現像する。この現像により、未露光部のフォトレジストのみ残す。そして、フォトレジストが被覆されていない部分の有機EL層を除去することにより、有機EL層をパターニングする方法である。
【0055】
なお、上記のような有機EL層を全面形成する方法としては、通常の有機EL層の形成と同様であって特に制限はないが、蒸着法の他、電着法、材料の溶融液、溶液または混合液を使用するスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の塗布方法が挙げられる。
【0056】
本発明に用いられるフォトリソグラフィー法においては、上述したようにパターニングされる有機EL層上にフォトレジストを塗布し、露光し、現像した後、ドライエッチングを用いてフォトレジストが除去された部分の有機EL層を除去するようにしてもよい。
【0057】
通常、フォトレジスト層は、有機EL層よりかなり厚く成膜されることから、全体的にドライエッチングを行うことにより、有機EL層を除去することができるのである。
【0058】
この場合、フォトレジスト層の膜厚は、0.1〜10μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜5μmの範囲内である。このような膜厚とすることで、フォトレジストのレジスト機能を保ったまま、加工精度の高いドライエッチングが可能となる。
【0059】
このようにフォトリソグラフィー法の一部にドライエッチング法を組み合わせることにより、エッチングの端部をよりシャープとすることが可能となることから、パターンの端部に存在する膜厚が不均一な領域の幅をより狭くすることが可能となり、その結果、より高精細なパターニングが可能となるという効果を奏する。
【0060】
本発明に用いられるドライエッチング法としては、ドライエッチングが、反応性イオンエッチングであることが好ましい。反応性イオンエッチングを用いることにより、有機膜が化学的に反応を受け、分子量の小さい化合物となることにより、気化・蒸発して基板上から除去することができ、エッチング精度の高い、短時間の加工が可能となるからである。
【0061】
また、本発明においては、上記ドライエッチングに際して、酸素単体または酸素を含むガスを用いることが好ましい。酸素単体または酸素を含むガスを用いることで有機膜の酸化反応による分解除去が可能であり、基板上から不要な有機物を除去することができ、エッチング精度の高い、短時間の加工が可能である。また、この条件では、通常用いられるITO等の酸化物透明導電膜をエッチングすることがないので、電極特性を損なうことなく、電極表面を浄化することができる点においても効果的である。
【0062】
さらに、本発明においては上記ドライエッチングに、大気圧プラズマを用いることが好ましい。大気圧プラズマを用いることで、通常真空装置が必要であるドライエッチングが大気圧下で行なうことができ、処理時間の短縮、およびコストの低減が可能である。この場合、エッチングはプラズマ化した大気中の酸素によって有機物が酸化分解することを利用することとできるが、ガスの置換および循環によって反応雰囲気のガス組成を任意に調整してもよい。
【0063】
本発明に用いられるフォトリソグラフィー法においては、パターニングされる有機EL層上にフォトレジストを塗布し、露光し、現像した後、溶媒によってフォトレジストが除去された部分の有機EL層を除去することによるパターニングとしても良い。このとき用いる溶媒は、フォトレジストを剥離することなく、発光層を溶解または剥離することが必要であり、発光層の塗布溶媒の他、条件を満たす溶媒を選択することができる。
【0064】
(発光層)
次に、本発明によりパターニングされて形成される、有機EL層として好ましい層である発光層について説明する。
【0065】
このような発光層を形成する材料としては、蛍光を発する材料を含み発光するものであれば特に限定されない。発光層を形成する材料としては、発光機能と正孔輸送機能や電子輸送機能をかねていることができるが、好ましくは発光層を形成する材料が、上記フォトレジスト溶媒、上記フォトレジスト現像液、および上記フォトレジスト剥離液に不溶である材料である。また、この場合は、発光層をフォトリソグラフィー法によりパターニングする際に用いるフォトレジストが、発光層の形成に用いる溶媒に不溶の材料を用いることが好ましい。
【0066】
本発明において用いることができる発光層を形成する材料としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0067】
1.色素系材料
色素系材料としては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
【0068】
2.金属錯体系材料
金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
【0069】
3.高分子系材料
高分子系の材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体、金属錯体系発光材料を高分子化したもの等を挙げることができる。
【0070】
4.ドーピング材料
発光層中に発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピングを行うことができる。このドーピング材料としては例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィレン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができ。
【0071】
5.発光層塗布用溶媒
発光層塗布用の溶媒は、発光層を複数層塗布する場合、2色目以降の発光層製膜の際に、フォトレジスト層と発光層材料が混合や溶解することを防ぎ、さらに、すでにパターニングされている発光層を保護するためにフォトレジストを溶解しないことが望ましい。
【0072】
このような観点から、発光層塗布溶媒はフォトレジストに対する溶解度が25℃、1気圧で0.001(g/g溶媒)以下の溶媒を選択することが好ましく、さらに好ましくは0.0001(g/g溶媒)以下の溶媒を選択することが好ましい。例えば、フォトレジストが一般的なノボラック系ポジレジストの場合、ベンゼン、トルエン、キシレンの各異性体およびそれらの混合物、メシチレン、テトラリン、p−シメン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ブチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの各異性体およびそれらの混合物等をはじめとする芳香族系溶媒、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジグライム等をはじめとするエーテル系溶媒、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1−クロロナフタレン等のクロル系溶媒、シクロヘキサノン等が挙げられるが、この他でも条件を満たす溶媒であれば使用可能であり、2種以上の混合溶媒であっても良い。
【0073】
本発明においては、このような発光層を3種類用い、フォトリソグラフィー法により3回パターニングすることによりフルカラー表示のEL素子を形成することができる。近年においては、EL素子のフルカラー化が望まれている。したがって、例えば赤、緑、および青の三原色である3種類の発光層を用い、これらを3回フォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより、本発明により得られるEL素子をフルカラー化することが可能となる。
【0074】
なお、本発明においては、本発明の効果を最大限に活かす、すなわちフォトリソグラフィー法によりより高精細なパターンを形成できるという利点を活かすという観点から、発光材料として上記高分子系材料を用いたものがより好ましいものであるといえる。
【0075】
(その他の有機EL層)
1.電荷輸送層
本発明の有機EL層としては電荷注入層も挙げることができる。この電荷注入層には正孔注入層および/または電子注入層が含まれる。これらは、例えば特開平11−4011号公報に記載のもののように、EL素子に一般に用いられるものであれば特に限定されない。
【0076】
なお、以上の層を構成する、発光材料、正孔輸送材料、または電子輸送材料は、それぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。同じ材料を含む層は1層でも複数層でもよい。
【0077】
2.電極層
本発明においては、電極層は通常EL素子に用いられるものであれば限定されず基体に先に設ける電極層を第1電極層、有機EL層形成後に設ける電極層を第2電極層と呼ぶことがある。これらの電極層は、陽極と陰極からなり、陽極と陰極のどちらか一方が、透明または、半透明であり、陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料が好ましい。また、複数の材料を混合させてもよい。いずれの電極層も、抵抗はできるだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
【0078】
好ましい陽極材料としては、例えば、ITO、酸化インジウム、金が挙げられる。好ましい陰極材料としては、例えばマグネシウム合金(MgAg他)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg他)、金属カルシウムおよび仕事関数の小さい金属が挙げられる。
【0079】
3.絶縁層
本発明のEL素子において、基体上に形成されている第1電極層のパターニングしたエッジ部分および素子の非発光部分を覆い、発光に不要な部分での短絡を防ぐために、絶縁層を発光部分が開口となるように予め設けておいても良い。このようにすることにより、素子の短絡等による欠陥を低減し、長寿命で安定発光する素子が得られる。
【0080】
このような絶縁層は、通常知られている通り、例えば、UV硬化性の樹脂材料等を用いて1μm程度の膜厚でパターン形成することができるが、本発明において好適であるドライエッチングを用いて有機EL層をパターニングする場合、絶縁層はドライエッチング耐性があることが望ましく、耐性が小さい場合は、1μm以上、例えば、1.5〜10μmの膜厚で形成し、ドライエッチングで欠損しないようにすることが好ましく、さらに好ましくは2〜5μmの膜厚で形成することである。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0082】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0083】
[実施例1:発光層が単層の場合]
(バッファー層の形成)
3インチ□、板厚1.1mmのパターニングされたITO基板を洗浄し、本実施例に用いる基体および第1電極層とした。この基板上に下記組成の光触媒含有層形成用塗工液をスピンコータにより塗布し、150℃、10分間の加熱・乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサン中に強固に固定された、膜厚20nmの透明な光触媒含有層を得た。
【0084】
得られたバッファー層(光触媒含有層)に、水銀灯(波長365nm)により70mW/cm2の照度で50秒間紫外線照射を行った結果、水との接触角が10°以下の親水性表面を得た。
【0085】
(発光層のパターニング)
上記親水性のバッファー層上に以下の化学構造(1)を有するポリパラフェニレンビニレン誘導体発光高分子MEH−PPVの1wt%キシレン溶液を、2mlとり、中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。
【0086】
【化2】
【0087】
2000rpmで10秒間保持して発光層を形成し、80℃で1時間乾燥した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
【0088】
ポジ型フォトレジスト液(東京応化社製;OFPR−800)を2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。500rpmで10秒間保持し、その後、2000rpmで20秒間保持してレジスト層を形成した。この結果、膜厚は約1μmとなった。80℃で30分間プリベークを行った。その後、アライメント露光機に露光マスクと共にセットし、発光層を除去したい部分に紫外線露光した。レジスト現像液(東京応化社製;NMD−3)で20秒間現像後、水洗し、露光部のフォトレジストを除去した。この際、バッファー層の膨潤および溶出は見られなかった。
【0089】
120℃で30分間ポストベークした後、トルエンでフォトレジストが除去された部分の発光層を除去した。アセトンでフォトレジストを全て除去し、アセトンに不溶の発光層を任意のパターンに形成した。
【0090】
100℃で1時間乾燥した後、次いで得られた基体上に、第2電極層(上部電極)としてCaを500オングストロームの厚みで蒸着し、さらに保護層としてAgを2500オングストロームの厚みで蒸着し、EL素子を作成した。
【0091】
得られたEL素子は、バッファー層の膨潤および溶出による欠陥の無い高品質のものであった
(EL素子の発光特性の評価)
ITO電極(第1電極層)側を陽極、Ag電極(第2電極層)側を陰極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した。10V印加時に発光が認められ、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングによる発光開始電圧の劣化がないと評価できた。また、発光効率の低下もみられなかった。
【0092】
[実施例2:発光層が3層の場合]
(バッファー層の形成)
実施例1と同様にバッファー層を形成した。
【0093】
(発光層のパターニング)
第1の発光層として親水性のバッファー層上に化学構造(1)を有するポリパラフェニレンビニレン誘導体発光高分子MEH−PPVの1wt%キシレン溶液を、2mlとり、中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2000rpmで10秒間保持して発光層を形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
【0094】
ポジ型フォトレジスト液(東京応化社製;OFPR−800)を2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。500rpmで10秒間保持し、その後、2000rpmで20秒間保持してレジスト層を形成した。この結果、膜厚は約1μmとなった。80℃で30分間プリベークを行った。その後、アライメント露光機に露光マスクと共にセットし、第1色の発光部以外の発光層を除去したい部分に紫外線露光した。レジスト現像液(東京応化社製;NMD−3)で20秒間現像後、水洗し、露光部のフォトレジストを除去した。この際、バッファー層の膨潤および溶出は一切無かった。
【0095】
120℃で30分間ポストベークした後、トルエンでフォトレジストが除去された部分の発光層を除去し、第1の発光部がフォトレジストで保護された基体を得た。
【0096】
第2の発光層として化学構造(1)を有するポリパラフェニレンビニレン誘導体発光高分子MEH−PPVの1wt%キシレン溶液を、2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2000rpmで10秒間保持して発光層を形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
【0097】
ポジ型フォトレジスト液(東京応化製OFPR−800)を2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。500rpmで10秒間保持し、その後、2000rpmで20秒間保持してレジスト層を形成した。この結果、膜厚は約1μmとなった。80℃で30分間プリベークを行った。その後、アライメント露光機に露光マスクと共にセットし、第1の発光部以外の発光層を除去したい部分に紫外線露光した。レジスト現像液(東京応化社製;NMD−3)で20秒間現像後、水洗し、露光部のフォトレジストを除去した。この際、バッファー層の膨潤および溶出は一切無かった。
【0098】
120℃で30分間ポストベークした後、トルエンでフォトレジストが除去された部分の発光層を除去し、第1および第2の発光部がフォトレジストで保護された基体を得た。
【0099】
第3の発光層として化学構造(1)を有するポリバラフェニレンビニレン誘導体発光高分子MEH−PPVの1wt%キシレン溶液を2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2000rpmで10秒間保持して発光層を形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
【0100】
ポジ型レジスト液(東京応化製OFPR−800)を2mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。500rpmで10秒間保持し、その後、2000rpmで20秒間保持してレジスト層を形成した。この結果、膜厚は約1μmとなった。80℃で30分間プリベークを行なった。その後、アライメント露光機に露光マスクと共にセットし、第1の発光部以外の発光層を除去したい部分に紫外線露光した。レジスト現像液(東京応化製NMD−3)で20秒間現像後、水洗し、露光部のフォトレジストを除去した。この際、バッファー層の膨潤および溶出は一切無かった。
【0101】
120℃で30分間ポストベークした後、トルエンでフォトレジストが除去された部分の発光層を除去し、第1乃至第3の発光部がフォトレジストで保護された基体を得た。その後、アセトンでフォトレジストを全て除去した。
【0102】
100℃で1時間乾燥した後、次いで、得られた基体上に、第2電極層(上部電極)としてCaを500オングストロームの厚みで蒸着し、さらに保護層としてAgを2500オングストロームの厚みで蒸着し、EL素子を作製した。
【0103】
(EL素子の発光特性の評価)
ITO電極(第1電極層)側を陽極、Ag電極(第2電極層)側を陰極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した。10V印加時に第1ないし第3の発光部それぞれより発光が認められ、フォトリソグラフィー法を用いたパターニングによる発光開始電圧の劣化がないと評価できた。また、バッファー層の膨潤および溶出に起因する欠陥は見出せなかった。
【0104】
[比較例1:発光層が単層の場合]
(バッファー層の形成)
6インチ□、板厚1.1mmのパターニングされたITO基板を洗浄し、基体および第1電極層とした。バッファー層塗布液(バイエル製BaytronP、以下の化学式(2)に示す。)を0.5mlとり、基体の中心部に滴下して、スピンコーティングを行った。2500rpmで20秒間保持して層形成した。この結果、膜厚は800オングストロームとなった。
【0105】
【化3】
【0106】
(発光層のパターニング)
このように形成されたバッファー層上に上記実施例1と同様にして発光層をパターン形成した。この際、フォトレジスト層の現像工程および洗浄工程において、バッファー層が膨潤および溶出する箇所があり、発光部に欠陥が生じた。
【0107】
(EL素子の発光特性の評価)
得られたEL素子を実施例1と同様にして評価した。10V印加時に発光が認められたが、レジスト現像時に生じた欠陥が、発光の欠陥として認められた。
【0108】
[比較例2:発光層が3層の場合]
(バッファー層の形成)
比較例1と同様にしてバッファー層を形成した。
【0109】
(発光層のパターニング)
このように形成されたバッファー層上に上記実施例2と同様にして3層の発光層をパターン形成した。この際、各発光層をパターニングするときのフォトレジスト層の現像工程および洗浄工程において、バッファー層が膨潤および溶出する箇所があり、発光部に欠陥が生じた。
【0110】
(EL素子の発光特性の評価)
得られたEL素子を実施例1と同様にして評価した。10V印加時に第1ないし第3の発光部それぞれより発光が認められたが、レジスト現像時に生じた欠陥が、発光の欠陥として認められた。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、バッファー層を溶媒に不溶な層とすることにより、発光層等の有機EL層をフォトリソグラフィー法により形成する際に、バッファー層の膨潤や溶出といった不具合を防止することができ、最終的に得られるEL素子の発光欠陥の発生を防止することができる。また、この有機EL層の溶媒およびこの有機EL層をフォトリソグラフィー法によりパターニングする際に用いられるフォトレジスト用現像液等の選択の自由度が向上するという効果を奏する。
Claims (8)
- 溶媒に不溶なバッファー層を形成する工程を行った後、エレクトロルミネッセント素子を構成する少なくとも1層の有機エレクトロルミネッセント層をフォトリソグラフィー法によりパターニングして形成する工程を行うエレクトロルミネッセント素子の製造方法であって、
前記溶媒に不溶なバッファー層が、少なくとも光触媒とバインダとからなる光触媒含有層であり、前記バインダがオルガノポリシロキサンであることを特徴とするエレクトロルミネッセント素子の製造方法。 - 前記溶媒に不溶なバッファー層を形成する工程が、バッファー層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、塗布されたバッファー層形成用塗工液を硬化させる硬化工程とを有することを特徴とする請求項1記載のエレクトロルミネッセント素子の製造方法。
- 前記光触媒が、二酸化チタンであることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロルミネッセント素子の製造方法。
- 前記バインダが、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエレクトロルミネッセント素子の製造方法。
- 前記フォトリソグラフィー法を用いてパターニングしてなる有機エレクトロルミネッセント層が、発光層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のエレクトロルミネッセント素子の製造方法。
- 前記発光層が、フォトレジスト溶媒、フォトレジスト現像液、およびフォトレジスト剥離液に不溶であって、かつ、フォトレジストが前記発光層形成に用いる溶媒に不溶である請求項5に記載のエレクトロルミネッセント素子の製造方法。
- 前記発光層をフォトリソグラフィー法を用いて3回パターニングすることによりフルカラー発光のエレクトロルミネッセント素子を製造することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエレクトロルミネッセント素子の製造方法。
- 前記フォトリソグラフィー法を用いたパターニングが、パターニングされる有機エレクトロルミネッセント層上にフォトレジストを塗布し、露光し、現像することによりフォトレジストをパターニングした後、ドライエッチングを用いてフォトレジストが除去された部分の有機エレクトロルミネッセント層を除去することによるパターニングであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のエレクトロルミネッセント素子の製造方法。
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