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JP4678229B2 - 重金属の不溶化剤、飛灰中重金属の不溶化方法 - Google Patents
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重金属の不溶化剤、飛灰中重金属の不溶化方法 Download PDF

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本発明は、重金属、殊に、Pb、Cd、As等を容易に不溶化処理することができる無機化合物の不溶化剤を提供する。
また、前記不溶化剤を用いて、簡便な方法で飛灰などの重金属を含有する汚染物質について、重金属が溶出することがないよう不溶化処理する方法を提供する。
焼却炉から排出する飛灰中には重金属(特に鉛)やダイオキシンなどの有害成分が含まれており、このうち鉛などの重金属については、液体状の高分子キレート剤の添加やセメント固化法などによる不溶化が一般的に行われている。
しかし、高分子キレート剤においては、有害ガスの発生が確認される場合があり、さらに、生態系への悪影響が懸念されている。
また、セメント固化法は、セメント固化剤を大量に添加しないと十分な重金属不溶化効果が認められず、現状においても不足している埋立処分場をセメント固化材の大量使用によりさらに逼迫させることとなり問題がある。
これまで、カルシウムアルミネート水和物の加熱処理により得られる物質や、CaO及びAlを主成分とする物質又は、石灰とカルシウムアルミネートとからなる物質を重金属の不溶化剤として用いることが知られている(特許文献1〜3)。
特開2000−93927号公報 特開2002−153836号公報 特開2004−136160号公報
前記特許文献1乃至3記載の技術では、不溶化剤が汚染対象物と十分均一に混合・接触させることが困難であり、混合方法も限定される。
従って、これまで知られている有害重金属の不溶化剤・吸着剤は、現在求められているレベルを十分に満足しているとは言い難いものである。
そこで、重金属不溶化剤として、高分子系のような有害ガス発生の恐れがなく生態系への影響も小さく、且つ、容易に汚染対象物と均一混合できる無機系(カルシウムアルミネートが主成分)不溶化剤を提供する。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、酸化カルシウムとカルシウムアルミネートとからなる不溶化剤であって、前記不溶化剤のかさ密度が0.2〜0.7g/mlであることを特徴とする重金属の不溶化剤である(本発明1)。
また、本発明は、酸化カルシウムとカルシウムアルミネートとからなる不溶化剤であって、前記不溶化剤のかさ密度が0.2〜0.7g/mlであって、乾式粒度分布計によって測定した平均粒子径(D50)が1.0〜5.0μmであることを特徴とする請求項1記載の重金属の不溶化剤である(本発明2)。
また、本発明は、カルシウムアルミネートがCa12Al1433及び/又はCaAlであることを特徴とする本発明1又は2の重金属の不溶化剤である(本発明3)。
また、本発明は、不溶化対象物が、飛灰中の重金属であることを特徴とする本発明1乃至3のいずれかの重金属の不溶化剤である(本発明4)。
また、本発明は、飛灰と本発明1乃至4のいずれかの不溶化剤とを混合し、水分の存在下で養生することを特徴とする飛灰中重金属の不溶化方法である(本発明5)。
また、本発明は、焼却炉の燃焼室から集じん機に至る内部に、本発明1乃至4のいずれかの不溶化剤をキャリアガスとともに吹き込み、集じん機から排出した飛灰を水分の存在下で養生することを特徴とする飛灰中重金属の不溶化方法である(本発明6)。
本発明に係る不溶化剤は、微粒子で挙動し、かさ密度が小さいので、気流中又は粉末状などの固形分であっても、不溶化対象物質と容易に混合することができ、不溶化剤の機能が十分に発揮でき、不溶化対象物質中の重金属を強固に不溶化することができる。
さらに、本発明に係る不溶化剤は無害な元素または化合物から構成されているので、該不溶化剤を埋め立て処分した場合も、環境への負荷は小さい。
また、本発明に係る不溶化剤は、耐熱性に優れ、焼却炉の燃焼室から空気予熱器、集じん機前、集じん後の飛灰に直接添加など、いかなる方法で添加しても、機能を発現することができる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る不溶化剤について述べる。
本発明に係る不溶化剤のかさ密度は、0.2〜0.7g/mlである。0.2g/ml以下の粒子は、飛散などが激しくなり取扱いが困難になるとともに、飛灰と比較してかさ密度が小さくなり、排ガス中または集じん機から排出した後の均一混合が困難になる。また、0.7g/mlを超える場合には、飛灰よりかさ密度が大きくなり、排ガス中または集じん機から排出した後の均一混合が困難となる。好ましくは0.2〜0.5g/mlである。
本発明に係る不溶化剤の乾式粒度分布計によって測定した平均粒子径(D50)は1.0〜5.0μmが好ましい。本発明に係る不溶化剤は850〜1200℃の高温下で焼成して調製することから、1.0μm以下の粒子は工業的に生産することが困難である。また、1.0μm未満でも機能的な問題はないが、粉末の取扱いが困難である。5.0μmを超える場合には、有害重金属イオンと不溶化剤の接触面積が小さくなるので好ましくない。好ましくは1.0〜4.0μmである。なお、これらの粒子は500μmの篩いを通過するものである。
本発明に係る不溶化剤のBET比表面積値は1.5〜10.0m/gが好ましい。BET比表面積値が1.5m/g未満の場合には、有害重金属イオンと不溶化剤の接触面積が小さくなるので好ましくない。10.0m/gを超える不溶化剤は、850〜1200℃の高温下で焼成して調製することから工業的に生産することが困難である。また、BET比表面積値が10.0m/gを超える不溶化剤は機能的な問題はないが、粉末としての取扱いが困難である。より好ましくは1.5〜5.0m/gである。
本発明に係る不溶化剤の乾式粒度分布計によって測定したSm値は0.7〜5.0m/gが好ましい。Sm値が0.7m/g未満の場合には、有害重金属イオンと不溶化剤の接触面積が小さくなるので好ましくない。5.0m/gを超える不溶化剤は、850〜1200℃の高温下で焼成して調製することから工業的に生産することが困難である。また、Sm値が5.0m/gを超える不溶化剤は機能的な問題はないが、粉末としての取扱いが困難である。より好ましくは0.7〜2.5m/gである。
本発明に係る不溶化剤の粒子形状は特に制限するものではないが、粒状が好ましい。
本発明に係る不溶化剤は酸化カルシウムとカルシウムアルミネートとからなる。カルシウムアルミネートとしては、Ca12Al1433、CaAl及びCaAl等であり、好ましくはCa12Al1433、CaAlである。カルシウムアルミネート単独及び酸化カルシウム単独では重金属を不溶化する機能が十分とは言い難い。
なお、本発明に係る不溶化剤は微粒子であるため、酸化カルシウムが空気中の水分と反応して消石灰となったり、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなることがあるが、重金属の不溶化効果は維持されるものである。
本発明に係る酸化カルシウムとカルシウムアルミネートとからなる不溶化剤のカルシウムとアルミニウムとのモル比(Ca/Al)は50/50〜80/20が好ましい。カルシウムとアルミニウムとのモル比が前記範囲外の場合には、重金属を十分に不溶化することが困難となる。
次に、本発明に係る不溶化剤の製造法について述べる。
本発明に係る不溶化剤は、カルシウム化合物とアルミニウム化合物とを混合した後、850〜1200℃の温度で酸化性また大気雰囲気で加熱処理して得ることができる。また、必要に応じて更に粉砕処理・乾式表面処理を行うことができる。
カルシウム化合物としては、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム等を使用することができ、好ましくは水酸化カルシウム、炭酸カルシウムである。カルシウム化合物の平均粒子径としては、0.2〜20μmのものが好ましい。
アルミニウム化合物としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を使用することができ、好ましくは水酸化アルミニウムである。アルミニウム化合物の平均粒子径としては0.1〜20μmのものが好ましい。
カルシウム化合物とアルミニウム化合物との混合割合は、Ca/Alのモル比で50/50〜80/20となるように混合すればよい。
前記製造法における混合機として、らいかい機、ローラー式混合機、振動ミル、ビーズミル、ディスク型湿式攪拌混合槽などが使用できる。
本発明に係る不溶化剤の前駆体である混合物の混合状態は、その後の固相反応を均一に速やかに起させるため、混合機及び混合条件の選定が重要であり、乾式法、湿式法のいずれでも均一混合できればよい。
加熱温度が850℃未満の場合には、混合粉末の脱水反応、脱炭酸反応および固相反応が進行しない又は、進行速度が極めて遅いため好ましくない。また加熱温度が1200℃を超える場合には、生成複合酸化物粒子の粒子サイズが増大して、水系での有害重金属との反応性が低下するので好ましくない。加熱処理温度は900〜1150℃がより好ましい。加熱時間は、工業的生産性を考慮すれば、30分〜180分が好ましい。加熱雰囲気は、酸化性または大気性雰囲気であればよい。
本発明において加熱処理後の粉末を乾式粉砕することが重要であり、次いで、乾式表面処理してもよい。
不溶化剤のかさ密度を0.2〜0.7g/mlにするとともに微細であって凝集が少ない粉末とするためには、BET比表面積を1.5〜10m/gに制御することが好ましく、乾式粉砕処理を行うことが必要である。
乾式粉砕処理は、加熱処理後の粉末の平均粒子径(D50)を小さくすることができるため、本発明の粉末の水存在下における有害重金属との反応性を向上させることができる。乾式粉砕処理に使用できる装置として、自由式粉砕機、ハンマーミル又は振動ミル等を使用することができる。
また、加熱処理後の粉末を有機物などで乾式表面処理することによって、水存在下における有害重金属との反応性をコントロールすることができる。表面処理剤としては、ロジン化合物、シランカップリング剤、高級脂肪酸等を挙げることができる。上記の表面処理剤による不溶化剤粉末に対する被覆量は、複合酸化物粒子粉末に対してC換算で各々0.1〜5重量%が好ましい。乾式表面処理機としては、らいかい機・振動ミル、ローラー型混合機などを使用することができる。
次に、本発明に係る不溶化剤を用いた処理方法について述べる。
本発明に係る不溶化方法は、有害重金属を放出させる可能性のある固形物(飛灰など)に不溶化剤を共存させるとともに、水分を存在させて有害重金属の水系への溶出を抑制させる。以下、本発明における重金属の不溶化方法について説明する。
本発明において固形分に対する不溶化剤の添加量は、固形分中の重金属含有量や溶出量によって適量を添加すれば良いが、1〜15重量%程度が好ましい。1重量%未満の場合には、不溶化剤と固形分との接触が不十分で不溶化反応が十分に進行せず好ましくない。15重量%を越える場合には、効果が飽和するので、必要以上に添加する意味がない。より好ましくは1〜10重量%である。
本発明においては、固形分と不溶化剤との合計量に対して5〜250重量%の水分を存在させることが好ましい。水分の存在量が5重量%未満の場合には、不溶化反応の進行が遅くなるので好ましくない。250重量%を越える場合には、効果が飽和するとともに、過剰な水分により処理対象物と不溶化剤との混合物がペースト状又はスラリー状となり好ましくなく、埋立処分の場合でも重量が増加するため好ましくない。より好ましくは10〜70重量%である。
本発明において不溶化剤を接触させるときの温度(養生のときの温度)は、特に制限されないが、本発明では、常温でも重金属を容易に不溶化処理できる。極端に低温の場合、例えば、5℃以下の場合には不溶化剤の反応速度が小さくなるために、有害重金属の捕捉速度が小さくなる。通常使用される温度範囲は5〜90℃が好ましく、より好ましくは10〜50℃である。
本発明においては、養生時に圧力の制御を行う必要はなく、常圧(大気圧)下で不溶化処理を行えばよい。
養生のための時間は、固形分中の重金属の含有量や溶出量に応じて変化させればよいが、通常、数時間〜10日程度である。
本発明においては、焼却炉の燃焼室から集じん機までの排ガス中に、キャリアガスとともに重金属の不溶化剤を気流搬送して噴霧・添加することができる。排ガス中に本発明に係る不溶化剤を噴霧・添加した場合、かさ密度が飛灰と同程度であって平均粒子径(D50)が1.0〜5.0μmと微粒子であるため、飛灰と不溶化剤との均一混合の点で効果的である。
前記気流搬送方法としては空気輸送、窒素輸送等をすることができる。
排ガス中に気流搬送式で不溶化剤を添加した後、集じん機で集められた飛灰は、前記と同様にして水分を存在させて養生させることが好ましい。
<作用>
本発明において重要な点は、本発明に係る不溶化剤は水存在下での水和反応の過程で、有害な重金属イオンを効率的に取り込む能力を有し、低濃度から高濃度の有害重金属を捕捉できるということである。
本発明に係る不溶化剤は、かさ密度が固形分、殊に、飛灰と同程度であるので、固形分と不溶化剤とが十分に混合することができ、固形分中の重金属と不溶化剤とが緊密に反応することができるので、不溶化剤中に重金属を強固に吸着・結合させることができ、優れた不溶化効果を発揮するものである。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
不溶化剤のかさ密度は、試料10.0gを上皿天秤で秤取し、50mlメスシリンダーに静かに流し込み、メスシリンダーを軽く振って試料の上部を平らにして目盛りを読み取ったものであり、次の式により算出した。
見掛け密度ρb (g/ml)=10.0÷メスシリンダーの目盛りの読み(ml)
不溶化剤の平均粒子径(D50)は、Sympatec社のHELOS SYSTEM PARTICLE SIZE ANALYZERを用いて、乾式法により分散圧1.00barで測定したときの体積基準粒度分布の50%粒子径を示したものである。
不溶化剤のSm値は、平均粒子径と同じくSympatec社のHELOS SYSTEM PARTICLE SIZE ANALYZERを用いて、乾式法により分散圧1.00barで測定したときの粒度から求めた単位重量あたりの表面積を示したものである。
BET比表面積値はBET法により測定した値で示した。
<不溶化剤を適用した飛灰の重金属溶出量の評価方法>
環境庁告示13号に準じて測定を行った。
即ち、養生した後の対象物を1日間風乾し100gを測り取り、10倍量のイオン交換水を加えて、振とう機(振とう回数200回/分,振とう幅4.5cm)で6時間振とうして、その後該水溶液から固形分を濾別して、濾液中の重金属濃度を「プラズマ発光分光分析装置 SPS4000(セイコー電子工業(株))」を用いて評価した。
実施例1:不溶化剤の製造
消石灰粉末148.0g(JIS特号、BET比表面積値15m/g、Ca=2.00molに相当)と水酸化アルミニウム104.6g(住友化学製C−301,BET比表面積値2m/g、Al=1.34molに相当)をライカイ機を用いて1時間混合した。得られた混合粉末をアルミナ製るつぼに取り分けて入れ、空気中、1000℃において4時間マッフル炉で加熱処理した。加熱処理後の粒子粉末をハンマーミルを用いて粉砕した。得られた粒子粉末は白色であった。
得られた不溶化剤は、X線回折の結果、カルシウムアルミネートと酸化カルシウムとの混合相であり、カルシウムアルミネートはCa12Al1433とCaAlであった。不溶化剤のかさ密度は0.38g/ml、平均粒子径(D50)は2.12μm、Sm値は1.21m/g、BET比表面積値は3.2m/gであった
実施例2
原料の種類、Ca/Al比、加熱温度を種々変更した以外は前記不溶化剤1と同様にして不溶化剤を得た。
比較例1
比較例1のポルトランドセメントは市販のJIS規格品を使用した。
得られた不溶化剤の諸特性を表1、表2に示す。
Figure 0004678229
Figure 0004678229
不溶化試験
実施例3
都市ごみ焼却炉のBF下より採取した飛灰に対して2重量%の不溶化剤1を添加し、次いで、前記飛灰及び不溶化剤の合計量に対して、20重量%の水分を添加した。その後、1日間保持し養生とした。
重金属溶出量を前記<不溶化剤を適用した飛灰の重金属溶出量の評価方法>に従って測定した。
実施例4〜9、比較例2〜8:
対象物の種類、不溶化剤の種類及び添加量、水分の添加量、養生期間を種々変化させた以外は、前記実施例3と同様にして不溶化試験を行った。不溶化処理の条件、不溶化試験後の各対象物の重金属溶出量を表3に示す。
Figure 0004678229
本発明に係る不溶化剤は、広い濃度範囲の有害重金属、殊に、鉛、カドミウム又はヒ素を不溶化できるので、有害重金属不溶化剤として好適である。また、本発明に係る不溶化剤は、複雑な処理工程を必要としないので、簡便な処理方法に用いる不溶化剤として好適である。
さらに、本発明に係る不溶化剤は無害な元素または化合物から構成されているので、該不溶化剤を埋め立て処分した場合も、環境への負荷は小さい。

Claims (5)

  1. 飛灰中の重金属を不溶化するための不溶化剤であって酸化カルシウムとカルシウムアルミネートとからなり、前記不溶化剤のかさ密度が0.2〜0.7g/mlであることを特徴とする重金属の不溶化剤。
  2. 飛灰中の重金属を不溶化するための不溶化剤であって酸化カルシウムとカルシウムアルミネートとからなり、前記不溶化剤のかさ密度が0.2〜0.7g/mlであって乾式粒度分布計によって測定した平均粒子径(D50)が1.0〜5.0μmであることを特徴とする重金属の不溶化剤。
  3. カルシウムアルミネートがCa12Al1433及び/又はCaAlであることを特徴とする請求項1又は2記載の重金属の不溶化剤。
  4. 飛灰と請求項1乃至のいずれかに記載の不溶化剤とを混合し、水分の存在下で養生することを特徴とする飛灰中重金属の不溶化方法。
  5. 焼却炉の燃焼室から集じん機に至る内部に、請求項1乃至のいずれかに記載の不溶化剤をキャリアガスとともに吹き込み、集じん機から排出した飛灰を水分の存在下で養生することを特徴とする飛灰中重金属の不溶化方法。
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