JP4681151B2 - 防水構造物の改修方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の屋上や駐車場などの防水構造物において、既設の防水シートが劣化してきたときに施される改修方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の屋上や駐車場などにおいて、コンクリートの下地に防水を施す工法として、ゴムやポリウレタン、その他の樹脂などエラストマー材料からなる防水シートの全面を、下地の表面に接着剤で貼り付けることによって防水性を確保する密着工法がある。
【0003】
このように下地に防水シートの全面を接着剤で貼り付けるようにした防水構造物にあって、防水シートとして耐候性などの物性に優れた材料で形成したものを用い、長期に亘って防水性能が維持されるようにしてあるが、長年風雨に曝されると共に太陽の紫外線などを浴びつづけることによって、防水シートが劣化していくことは避けることができず、最終的には改修することが必要になる。
【0004】
このような防水構造物を改修する場合には、下地に貼り付けられている既設の防水シートは自身が劣化しているのみならず、この既設の防水シートと下地との接着力も低下しているおそれもあるので、既設の防水シートの全面を下地から剥がし取り、下地の表面を清掃等して整備した後、下地の表面の全面に接着剤を塗布し、新規の防水シートを下地の全面に貼り直すという方法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように既設の防水シートを全面に亘って剥がす場合、防水面積が膨大に広いような構造物においては、防水シートを剥がす作業に多大の労力と時間を要し、改修工事が数日に亘ったりすることになる。このように改修工事に日数がかかると、その期間中に降雨がある可能性があり、下地に防水性がないと雨漏りが発生するおそれがあるという問題を生じるものであった。また剥がした既設の防水シートは産業廃棄物として処分しなければならないが、既設の防水シートを全面に亘って剥がすと廃棄処分量が多くなって、環境面からも問題を生じるものであった。
【0006】
さらに、下地がALC(オートクレーブド・ライトウェイト・コンクリート)板など、コンクリートのパネルで形成されている場合、隣合うパネル間の目地にはシール材を充填して防水性が確保されているが、このようなパネル工法の下地に貼られている既設の防水シートを剥がす場合、既設の防水シートを下地から剥がす際にシール材も一緒に目地から剥がれるおそれがある。このようにシール材が目地から剥がれてしまうと、新規の防水シートを貼り直す前に、もう一度目地にシール材を充填する作業を行なう必要があり、作業に余計な手間が増えるという問題を生じるものであった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、短期間で改修工事を行なうことができると共に産業廃棄物の産出量を低減することができる防水構造物の改修方法を提供することを目的とするものであり、加えて目地のある下地において改修を行なうにあたってシール材を充填し直すような必要をなくすことができる防水構造物の改修方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る防水構造物の改修方法は、パネル5を敷き並べて形成された下地1に防水シート2のほぼ全面を接着して防水を施した防水構造物を改修するにあたって、既設の防水シート2のうち、パネル5間のシール材6を充填した目地7の上の部分は剥がさずに残して他を剥がした後に、少なくとも既設の防水シート2を剥がして露出した下地1に接着剤3を塗布し、次いで既設の防水シート2を残した部分の上を含めて下地1の上に新規の防水シート4を敷設し、新規の防水シート4を接着剤3で下地1に接着固定することを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、既設の防水シート2のうち剥がす面積を、10〜70%の範囲に設定することを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、既設の防水シート2を剥がして露出した下地1と、残した既設の防水シート2の、両方の表面に接着剤3を塗布することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1(a)は建築物の屋上や駐車場など、コンクリートの下地1に防水シート2で防水を施した防水構造物を示すものであり、下地1の表面に防水シート2のほぼ全面を接着剤11で貼り付けて接着固定する密着工法で防水構造が形成してある。このように防水シート2で下地1を覆うことによって、下地1の防水が確保されているものである。そして、経年によって下地1に貼り付けられたこの既設の防水シート2が劣化すると、防水性能が低下するので改修を行なう必要が生じる。以下にこの改修の工法を説明する。
【0015】
下地1に貼り付けられている既設の防水シート2は、自身が劣化していると共に、この防水シート2を下地1に接着している接着剤11も劣化して十分な接着力を発揮していないことが考えられるので、既設の防水シート2の上に新規の防水シート4を敷設して貼り付けても、新規の防水シート4は既設の防水シート2とともに剥がれて、下地1に固定することができないおそれがある。そこで、まず下地1から既設の防水シート2を剥がす。このとき、本発明では既設の防水シート2の全部を剥がすのではなく、図1(b)に示すように、既設の防水シート2の一部を下地1に接着された状態で残し、他の部分の防水シート2を剥がすようにしている。このように、既設の防水シート2の全面を剥がすのではなく、部分的に剥がすようにすることによって、既設の防水シート2を剥がし取る作業者の手間を大幅に軽減することができ、改修の工事期間も大幅に短縮することができるものである。また既設の防水シート2を剥がす量が少なくなる結果、産業廃棄物として出る量も少なくなり、廃棄処分が容易になると共に環境面の問題も低減することができるものである。
【0016】
次に図1(c)に示すように、既設の防水シート2を剥がすことによって露出する下地1の表面に接着剤4を塗布する。接着剤4はこの露出する下地1の他に、下地1に貼り付けた状態で残された既設の防水シート2の表面にも塗布するようにしてもよい。尚、既設の防水シート2を剥がして露出させた下地1の表面には、必要に応じて下地処理を施すようにしてもよい。この下地処理は、新規の防水シート4を接着するにあたって良好な接着状態を得るために、下地1の表面状態を良くする処理であり、例えば、研磨処理、ポリマーセメントモルタルの塗布、エポキシ樹脂系プライマーやポリマーセメントペーストの塗布、水勾配の修正、段差や目違いの修正、泥汚れの水洗い・清掃、穴埋めなどである。
【0017】
そして図1(d)に示すように、下地1の露出する表面から残存させた既設の防水シート2の上にかけて、新規の防水シート4を敷設し、下地1の表面に接着剤3で防水シート4を接着固定する。このとき、既設の残存する防水シート2の表面に接着剤3を塗布しているときにはこの既設の防水シート2にも防水シート4を接着して、既設の防水シート2を介して新規の防水シート4を下地1に固定することができる。このようにして、残した既設の防水シート2の上も含めて下地1の上に新規の防水シート4を敷設して接着固定することによって、下地1の表面を新規の防水シート4で覆い、下地1の防水を確保することができるものである。
【0018】
ここで、既設の防水シート2を剥がし取る面積が小さ過ぎると、露出する下地1の面積が小さくなって新規の防水シート4を接着固定する面積が小さくなるので、新規の防水シート4を固定する接着力が不十分になるおそれがある。このために、既設の防水シート2を剥がし取る面積は防水面積の10〜70%の範囲に設定するのが好ましく、より好ましくは10〜60%である。既設の防水シート2を剥がし取る面積が10%未満であると、新規の防水シート4を接着固定する下地1の面積が小さいために接着力が不十分になる。既設の防水シート2を剥がし取る面積をこのように10%以上に設定することによって、後述のように残した防水シート2の下地1に対する接着力がゼロの状態になっていても、露出する下地1への接着力だけで新規の防水シート2の固定強度を十分に確保することができる。既設の防水シート2を剥がし取る面積が60%もしくは70%を超える場合は、新規の防水シート4を下地1に接着固定する面積が大きくなるという点では好ましいが、剥がして廃棄する既設の防水シート2の量が増えると共に既設の防水シート2を剥がし取る手間が増えるので、好ましくない。
【0019】
また、新規の防水シート4は露出する下地1に接着剤3で接着することによって十分な固定強度を得ることができるが、上記のように残した既設の防水シート2にも接着剤3で新規の防水シート4を接着するようにすれば、既設の防水シート2と下地1の間の接着剤11に十分な接着力が残存している場合もあるので、既設の防水シート2を介しても新規の防水シート4を下地1に固定することができ、新規の防水シート4の固定力を一層高く得ることができるものである。
【0020】
図2は、ALC(オートクレーブド・ライトウェイト・コンクリート)板やPCa板(プレキャスト・コンクリート・パネル)などで形成されるコンクリートのパネル5を複数枚敷き並べて構成される下地1を示すものであり、このようなパネル工法の下地1の場合には、隣合うパネル5間の目地7に変性シリコーン系やポリウレタン系などのシール材6を充填し、パネル5間の防水を確保するようにしている。そしてこのようなパネル工法の下地1の表面に固定した既設の防水シート2を剥がして改修施工する場合、この既設の防水シート2を剥がす際に目地7に充填したシール材6が既設の防水シート2に接着されたまま目地7から剥がし取られるおそれがある。
【0021】
そこでこの場合には、既述の図1(b)に示すように、既設の防水シート2を剥がす箇所を目地7以外の箇所に設定し、目地7の上に貼り付けられている既設の防水シート2は剥がさずに残すようにしてある。このように目地7の上の既設の防水シート2を剥がさずに残すことによって、目地7に充填したシール材6が目地7から剥がされるようなことがなくなり、目地7にシール材6を充填し直すというような手間が不要になるものである。勿論、目地7以外の部分で既設の防水シート2を剥がして露出する下地1に接着させる面積が確保されているので、新規の防水シート4は十分な接着力で下地1に固定することができる。
【0022】
尚、上記の既設の防水シート2や新規の防水シート4としては、通常の防水用途に用いられるものであれば何でもよく、特に材質は限定されるものではないが、例えばエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などのゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどから作製したシートを用いることができるものであり、その厚みは0.8〜2.0mm程度のものが、幅は1〜2m程度のものが用いられる。また、既設の防水シート2や新規の防水シート4を下地1に、新規の防水シート4を既設の防水シート2に、それぞれ接着させるための接着剤3,11としては、クロロプレンゴムやブチルゴム、その他の添加剤を溶剤や水に溶かして調製されたものを用いることができる。
【0023】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る防水構造物の改修方法は、下地に防水シートのほぼ全面を接着して防水を施した防水構造物を改修するにあたって、既設の防水シートの一部を残して他を剥がした後に、少なくとも既設の防水シートを剥がして露出した下地に接着剤を塗布し、次いで既設の防水シートを残した部分の上を含めて下地の上に新規の防水シートを敷設し、新規の防水シートを接着剤で下地に接着固定するようにしたので、既設の防水シートを全面に亘って剥がす必要がなく、既設の防水シートを剥がし取る作業者の手間を軽減することができると共に改修の工事期間を短縮することができるものであり、しかも剥がした既設の防水シートが産業廃棄物として産出される量が少なくなって環境面の問題を軽減することができるものである。
また請求項1の発明は、下地がパネルを敷き並べて形成されたものであり、また既設の防水シートのうち、パネル間のシール材を充填した目地の上の部分は剥がさずに残すようにしたので、既設の防水シートを剥がす際に目地に充填したシール材が目地から剥がし取られるようなことがなくなり、目地にシール材を充填し直すというような手間が不要になるものである。
【0024】
また請求項2の発明は、既設の防水シートのうち剥がす面積を、10〜70%の範囲に設定するようにしたので、既設の防水シートを剥がして露出させる下地の面積を確保することができ、十分な接着力で下地に新規の防水シートを接着固定することができると共に、既設の防水シートの剥がす量を抑えて産業廃棄物として廃棄される量を抑制することができるものである。
【0025】
また請求項3の発明は、既設の防水シートを剥がして露出した下地と、残した既設の防水シートの、両方の表面に接着剤を塗布するようにしたので、新規の防水シートを露出した下地に直接接着固定することができる他、下地に接着されている既設の防水シートによっても下地に固定することができるものであり、新規の防水シートの固定強度を高く得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり(a)〜(d)はそれぞれ一部の側断面図である。
【図2】同上の下地の一部の斜視図である。
【符号の説明】
1 下地
2 既設の防水シート
3 接着剤
4 新規の防水シート
5 パネル
6 シール材
7 目地
Claims (3)
- パネルを敷き並べて形成された下地に防水シートのほぼ全面を接着して防水を施した防水構造物を改修するにあたって、既設の防水シートのうち、パネル間のシール材を充填した目地の上の部分は剥がさずに残して他を剥がした後に、少なくとも既設の防水シートを剥がして露出した下地に接着剤を塗布し、次いで既設の防水シートを残した部分の上を含めて下地の上に新規の防水シートを敷設し、新規の防水シートを接着剤で下地に接着固定することを特徴とする防水構造物の改修方法。
- 既設の防水シートのうち剥がす面積を、10〜70%の範囲に設定することを特徴とする請求項1に記載の防水構造物の改修方法。
- 既設の防水シートを剥がして露出した下地と、残した既設の防水シートの、両方の表面に接着剤を塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載の防水構造物の改修方法。
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| JP2001177108A JP4681151B2 (ja) | 2001-06-12 | 2001-06-12 | 防水構造物の改修方法 |
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| JP2001177108A JP4681151B2 (ja) | 2001-06-12 | 2001-06-12 | 防水構造物の改修方法 |
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