JP4691815B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスや発光ダイオードなどの素材に利用することができるSiC単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、SiC単結晶を成長させる方法として、昇華法が広く用いられている。この昇華再結晶法は、黒鉛製るつぼ内に配置した黒鉛台座に種結晶を接合すると共に、るつぼ底部に配したSiC原料粉末を加熱、昇華させ、その昇華させたガスを種結晶上で再結晶化させるというものである。
【0003】
しかしながら、現状の昇華再結晶法によって、品質を良好に保つようにSiC単結晶を成長させた場合、成長速度が数百μm/hと遅く、逆に成長速度を数mm/hと早くした場合、結晶性が劣化して多結晶になるという問題が生じている。例えば、Materials Science and Engineering B46(1997)296−299において成長速度とマイクロパイプ密度の関係が示されており、0.7mm/hの成長速度で数百個/cm2であったマイクロパイプ密度が、1.4mm/hの成長速度では数千個/cm2となっていることが報告されている。
【0004】
このため、特公平7−88274号公報では、種結晶温度を2200〜2400℃、原材料温度を2300〜2500℃、圧力を1.33×102〜1.33×103Pa(1〜10Torr)とし、黒鉛からなる集中手段によって昇華ガスを絞り種結晶表面上へ集中して導くことで、上記問題の解決を試みている。そして、1〜2mm/hの成長速度で結晶性の良好な結晶が得られたということが報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
良好な結晶が得られるようにするためには、ガスの供給が十分に行われることと、供給されたガスが適切に成長表面で反応することが必要とされる。これに対し、上記従来公報に示される方法では、ガスの供給による工夫は行われているが、供給されたガスを適切に成長表面で反応させる工夫は成されていないため、結局、SiC単結晶の結晶性が劣化し、多結晶化してしまう。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、供給されたガスが適切に成長表面で反応させられるようにし、速い成長速度においても結晶性の良好な成長が行えるSiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点(成長速度の上昇により結晶性の劣化)が2次元核の生成、2次元核の成長、2次元核の衝突の3ステップによって発生していると推定し、2次元核の生成を抑制するための手法について検討を行った。
【0008】
2次元核を生成させないようにするためには、吸着原子(分子)が表面マイグレーションによってキンクの位置に到達し、そこで結晶に取り込まれる必要がある。そして、このように吸着原子(分子)が結晶に取り込まれるようにするためには、2つの方策がある。1つ目は、表面マイグレーションの抵抗となる結晶欠陥を低減し、吸着原子(分子)の自由行程を大きくすることである。このことにより吸着原子(分子)はキンクの位置に到達でき、良好に結晶成長できる。2つ目は、成長表面の温度を高温化することで活性化し、マイグレーション速度を高速化することである。このことにより、雰囲気中の吸着原子(分子)がすばやくキンクの位置に移動でき、原子(分子)が次々結晶表面に吸着しても良好に結晶成長できる。
【0009】
ただし、単に結晶表面を高温化して結晶成長させた場合、高温化のため初期成長における揺らぎが大きくなって欠陥密度が増加するため、吸着原子の自由行程が短くなり結晶性が劣化する。逆に、成長中においては結晶表面を高温化した方が、表面マイグレーション速度が高速化するため結晶性が良好になる。
【0010】
実際に、初期成長時の転位密度1×105個/cm2で成長速度2.5mm/hで成長したものは新たな欠陥を発生させず良好(転位密度一定)に結晶成長しているのに対し、初期成長時の転位密度1×106個/cm2で成長速度2.5mm/hで成長したものは結晶品質が成長とともに劣化し、多結晶化したという結果が得られている。
【0011】
そこで、請求項1に記載の発明では、容器(1)内にSiC種結晶(2)を配置すると共に、SiC種結晶の表面に原料ガスを供給することで、該SiC種結晶の表面にSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法において、SiC種結晶の表面に、SiC単結晶の転位密度が1×105個/cm2以下となるように成長させる第1工程と、第1工程の後で、第1工程より速い成長速度で、かつ、該成長速度の上限を3mm/hとしてSiC単結晶を成長させる第2工程とを有し、第1工程から第2工程への移行に際し、SiC単結晶表面の温度を第1工程の条件から第2工程の条件に移行させるタイミングが、原料ガスの供給条件を第1工程の条件から第2工程の条件に移行させるタイミングよりも早くなるようにし、第1工程では、成長速度を0.5mm/h以下で成長させることにより、SiC単結晶の成長初期時の転位密度が1×10 5 個/mm 2 以下となるようにし、第1工程により、SiC単結晶を少なくとも100μm以上を成長させることを特徴とする。
このように、第1工程で転位密度が低くなる成長を行っておき、第1工程と第2工程とでSiC単結晶の成長速度を変えることで効率良く良好なSiC単結晶が得られる。そして、第1工程から第2工程への移行に際し、SiC単結晶表面の温度を第1工程の条件から第2工程の条件に移行させるタイミングが、原料ガスの供給条件を第1工程の条件から第2工程の条件に移行させるタイミングよりも早くなるようにすることにより、表面マイグレーション速度に余裕を持たせたまま、第1工程から第2工程への移行が可能となり、第1工程から第2工程への過渡期に発生する欠陥を抑制できる。また、第1工程において、成長速度を0.5mm/h以下にすることで初期成長時に発生する欠陥を低減し高品質にSiC単結晶を成長させることができる。さらに、第1工程を10min以上行うことで、第1工程を安定化させることができ、第1工程によって欠陥の発生を抑制してから第2工程を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、容器(1)内にSiC種結晶(2)を配置すると共に、SiC種結晶の表面に原料ガスを供給することで、該SiC種結晶の表面にSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法において、SiC種結晶の表面に、SiC単結晶の転位密度が1×10 5 個/cm 2 以下となるように成長させる第1工程と、第1工程の後で、第1工程より速い成長速度で、かつ、該成長速度の上限を3mm/hとしてSiC単結晶を成長させる第2工程とを有し、第1工程から第2工程への移行に際し、SiC単結晶表面の温度を第1工程の条件から第2工程の条件に移行させるタイミングが、原料ガスの供給条件を第1工程の条件から第2工程の条件に移行させるタイミングよりも早くなるようにし、第1工程では、成長速度を0.5mm/h以下で成長させることにより、SiC単結晶の成長初期時の転位密度が1×10 5 個/mm 2 以下となるようにし、第1工程により、SiC単結晶を少なくとも100μm以上を成長させることを特徴とする。
このように、第1工程により、SiC単結晶を少なくとも100μm以上を成長させることで、第1工程を安定化させることができ、第1工程によって欠陥の発生を抑制してから第2工程を行うことができる。
請求項3記載の発明では、第2工程では、第1工程の後で、該第1工程より成長結晶表面温度を高くしてSiC単結晶を成長させることを特徴とする。
このように、第1工程で転位密度が低くなる成長を行っておき、第1工程と第2工程とでSiC単結晶の成長温度を変えることで効率良く良好なSiC単結晶が得られる。
【0013】
なお、第1工程をSiC単結晶成長中いつでも行うことが可能であるが、請求項4に示すように、第1工程を成長初期に行うことにより、効率良く良好なSiC単結晶が得られる。
【0016】
請求項5記載の発明では、第2工程における成長速度を第1工程の成長速度の5倍以上とすることを特徴とする。
このようにすれば、成長初期にはゆっくり高品質にSiC単結晶を成長させられ、その後成長速度を速くすることで、効率良く良好なSiC単結晶を得ることができる。
【0017】
請求項6記載の発明では、第2工程におけるSiC単結晶表面の温度を2500℃以上とすることを特徴とする。
これにより、第2工程における表面マイグレーション速度を速くすることができ、良好なSiC単結晶を成長させることができる。
【0018】
請求項7記載の発明では、第2工程におけるSiC単結晶表面の温度を第1工程におけるSiC単結晶表面の温度より100℃以上高温とすることを特徴とする。
これにより、初期成長は制御性の良い低温で良好にSiC単結晶を成長させられ、その後高温で成長速度を速くすることで、良好なSiC単結晶を効率よく得ることができる。
【0019】
請求項8記載の発明では、第2工程におけるSiC単結晶の転位密度が1×105個/cm2以下となるようにすることを特徴とする。
これにより、成長中に新たに欠陥が発生しない条件を満たしたままSiC単結晶を成長させられ、高品質なSiC単結晶を安定して成長させることができる。
【0020】
請求項9記載の発明では、SiC種結晶の表面に原料ガスを供給する方法として、SiC粉末原料を加熱昇華させる昇華法を用い、第2工程におけるSiC粉末原料の温度を2600℃以上とすることを特徴とする。
このようにすることで、原料ガスを高速でSiC種結晶の表面に供給でき、高速かつ良好にSiC単結晶を成長させることができる。
【0021】
請求項10記載の発明では、第1工程におけるSiC粉末原料とSiC単結晶表面との間の温度差を100℃以内とし、第2工程におけるSiC粉末原料とSiC単結晶表面との間の温度差を200℃以上とすることを特徴とする。
これにより、第1工程では成長初期に起こり易い揺らぎを低減して良好なSiC単結晶を成長させることができ、また、第2工程では初期成長の品質を保ったまま成長速度を速くしてSiC単結晶を成長させることができる。
【0022】
請求項11に記載の発明では、第2工程におけるSiC単結晶の成長速度を2.5mm/h以上とすることを特徴とする。
これにより、結晶性を良好に保った上で、効率的にSiC単結晶を成長させられる。
【0024】
請求項12に記載の発明では、第1工程から第2工程への移行に際し、第1工程の成長条件から第2工程の成長条件への移行を連続的に30min以上の時間をかけて行うことを特徴とする。
これにより、第1工程から第2工程への移行の過渡期に発生する欠陥を抑制できる。
【0025】
請求項13に記載の発明では、第1工程では、雰囲気ガスとして使用されるガス種の分圧を原料ガスの分圧より大きくし、第2工程では、雰囲気ガスとして使用されるガス種の分圧を原料ガスの分圧よりも小さくすることを特徴とする。
このように、第1工程では、雰囲気中に雰囲気ガスを原料ガスよりも多量に存在させることにより、雰囲気ガスによる原料ガスの散乱の増大を利用し、原料ガスがSiC単結晶表面に到達する速度を遅くすることができる。このため、過飽和度を抑制でき良好にSiC単結晶を成長させられる。また、第2工程では、雰囲気ガスを少なく、原料ガスを多くすることにより、原料ガスの散乱を少なくし、SiC単結晶表面に多量の原料ガスを供給することができる。このため、高速にSiC単結晶を成長させられる。
【0026】
請求項14記載の発明では、第2工程では、雰囲気ガスとして水素、酸素及び塩素のうちの少なくとも一つの気体を導入することを特徴とする。
これにより、SiC単結晶成長中に生成される2次元核を選択的にエッチングでき、2次元核を抑制した良好なSiC単結晶を得ることが可能となる。
【0027】
請求項15記載の発明では、c面から傾いた面を種結晶とすることを特徴とする。これにより、SiC単結晶の成長面に現れるステップの密度を増すことができ、さらに高速で良好なSiC単結晶を成長させることが可能となる。
【0028】
請求項16記載の発明では、第1工程ではSiC単結晶表面の温度を2400℃以下とすることで、SiC単結晶を4H−SiCとすることを特徴とする。
このように単結晶表面の温度を2400℃以下とすることで、4H−SiCを形成され易くすることができ、良好な4H−SiCを作製した後、第2工程において良好な4H−SiCの成長速度を速くし、成長させることにより、効率よく良好な4H−SiCを得ることができる。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態で用いられた単結晶製造装置の断面構成を示す。以下、図1に基づいて単結晶製造装置の構成についての説明を行う。
【0031】
図1に示すように、単結晶製造装置には、容器本体1aと蓋体1bとによって構成されたグラファイト製の成長容器1が備えられている。この成長容器1内には、蓋体1bの裏面に貼り付けられるようにSiC種結晶2が配置され、このSiC種結晶2の表面にSiC単結晶が成長するようになっている。また、成長容器1のうち容器本体1aの底部には、昇華ガスの供給源となるSiC粉末原料3が配置されている。
【0032】
さらに、成長容器1の外周には断熱材4が配置されており、断熱材4を含む容器全体が石英反応管5に取り囲まれている。この石英反応管5の外周には高周波の誘導コイル6が配置されており、これに高周波の電流を流すことにより、成長容器1を加熱できるようになっている。そして、石英反応管5内に雰囲気ガスとなるArガス等の不活性ガスを導入できるように不活性ガス導入管7が設けられている。
【0033】
なお、図示しないが、石英反応管5には真空ポンプ等の排気機構も接続されており、この排気機構によって石英反応管5における排気も行えるようになっている。また、ここでは、原料としてSiC粉末原料3を配置した例を示しているが、これに限るものではなく、例えばSi含有ガス及びC含有ガスを外部から導入するものであっても良い。また、加熱装置も同様に高周波加熱装置に限るものではなく、例えば抵抗加熱装置を用いても良い。ただし、高周波加熱装置を用いれば容器を直接加熱できるため、本発明の特徴の一つである高温を達成するためには高周波加熱装置を用いることが望ましい。
【0034】
次に、上記構成の単結晶製造装置によるSiC単結晶の製造工程について説明する。
【0035】
まず、排気機構を用いて成長容器1内を真空にし、高周波コイル6にて成長容器1内を所定温度にする。その後、不活性ガス導入管7を通じて不活性ガス、例えばArガスを流入させる。そして、石英反応管5の内部を所定圧に保ちつつ、SiC種結晶2の成長面の温度及びSiC粉末原料3の温度を目標温度まで上昇させる。例えば、成長結晶を4H−SiCとする場合、成長結晶表面の温度を2200〜2400℃とし、SiC粉末原料3の温度を成長結晶表面の温度よりも10〜100℃程度高くする。このとき、SiC粉末原料3に対して成長結晶表面を高くする温度が100℃以下となるようにすれば、成長初期に起こり易い揺らぎを低減し、良好な結晶成長が行える。
【0036】
そして、第1工程として、排気機構を用いて石英反応管6内を減圧し、6.65×103〜1.33×104Pa(50〜100Torr)にして、SiC種結晶2の表面に単結晶を例えば0.5mm/h以下、好ましくは0.4mm/h前後の成長速度で成長させる。これにより、転位密度1×105個/cm2以下で単結晶が成長する。
【0037】
この第1工程においては、雰囲気中の不活性ガスを原料ガスよりも多量に存在させておけば、不活性ガスによる原料ガスの散乱を増大させられ、原料ガスが結晶表面に到達する速度を遅くすることができ、過飽和度を抑制できて、より良好な単結晶を成長させることができる。
【0038】
その後、第2工程として、単結晶の成長が安定化した時点、例えば第1工程を10min以上行った時点又は単結晶が100μm以上成長した時点で、成長結晶表面の温度が第1工程の時よりも100℃以上高い2500℃以上、例えば2500〜2600℃まで上昇させ、SiC粉末原料3の温度を成長結晶表面の温度よりも200℃以上高温、例えば2600℃以上にする。またこのとき、圧力を1.33×102〜4×103Pa(1〜30Torr)に減圧し、単結晶の成長速度を2.5〜3mm/hとして成長させる。これにより、第1工程よりも速い成長速度、例えば第1工程の5倍程度の成長速度で単結晶が成長するが、第1工程の際に形成された結晶性を保ったまま、良好な単結晶が成長する。
【0039】
この第2工程においては、雰囲気中の不活性ガスを少なくし、原料ガスを多くすることで、原料ガスの散乱を少なくできるため、成長結晶表面に多量の原料ガスを供給することができ、より速い成長速度で単結晶を成長させることができる。
【0040】
このように、成長初期においては、第1工程によって良好な単結晶を成長させ、その後は、第2工程によって速い成長速度で単結晶を成長させるようにしている。このため、第1工程において予め良好な単結晶を成長させられ、第2工程で成長速度を速くしても良好な単結晶を成長させることができる。また、第2工程において、第1工程よりも成長結晶表面の温度を高くしているため、成長速度が速くても良好な単結晶を成長させることができる。実験によれば、第2工程における成長速度が2.5mm/h以上となっても結晶性を良好に保ったまま効率的に単結晶をさせられることが確認されている。
【0041】
なお、第1工程から第2工程に移行するに際し、成長結晶表面の温度を移行するタイミングを原料供給(例えば、原料温度、原料供給量など)を制御するタイミングよりも速くすれば、表面マイグレーション速度に余裕を持たせたまま、第1工程から第2工程への移行が可能となり、第1工程から第2工程への過渡期に発生する欠陥を抑制することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図2に、本発明の第2実施形態で用いる単結晶製造装置の断面構成を示す。ここでは、第1実施形態と異なるところについて説明する。第2実施形態では、原料ガス及び雰囲気ガスの導入口として、ガス導入管9を取り付け、第1実施形態において使用していたSiC粉末原料3(図1参照)を使用せず、原料ガスとしてSiH4及びC3H8を用いる。また、雰囲気ガスとして不活性ガスであるArに加え、H2を用いる。
【0043】
次に、上記構成の単結晶製造装置によるSiC単結晶の製造工程について説明する。
【0044】
まず、排気機構を用いて成長容器1内を真空にし、高周波コイル6にて成長容器1内を所定温度にする。その後、ガス導入管9を通じてH2ガスまたはArガスを導入し、SiC種結晶2の成長面の温度を目標温度まで上昇させる。例えば、Ar流量を2SLMとし、石英反応管5内の圧力が500Torrになるようにする。このとき、例えば、成長結晶を4H−SiC(000−1)とする場合、成長結晶表面の温度を2200〜2400℃とする。
【0045】
そして、この温度に到達したら第1工程として、ガス導入管9から原料ガスとなるSiH4を250sccm、C3H8を68sccm導入し、成長結晶を0.4mm/h前後の成長速度で成長させる。
【0046】
その後、成長が安定化したところで、第2工程として、成長結晶表面温度を2500〜2600℃まで上昇させ、SiH4を2SLM、C3H8を0.56SLMと導入量を増加させると共に、Arを1SLMと導入量を減少させ、成長結晶を2.5〜3mm/hの成長速度で成長させる。
【0047】
このように、原料ガスとしてSiH4及びC3H8を用い、雰囲気ガスとして不活性ガスであるArに加えてH2を用いるようにしても、第1実施形態と同様の効果が得られ、第1実施形態と同様に結晶性の良好なSiC単結晶を得ることができる。
【0048】
(他の実施形態)
上記第1実施形態においては、成長中の雰囲気ガスをArとしているが、これに微量の水素、酸素もしくは塩素ガスを混合しても良い。また、第2実施形態においても、微量の酸素もしくは塩素ガスを混合しても良い。これらのガスを導入することにより、表面が多く露出している2次元核を選択的にエッチングできるため、2次元核生成が抑制され、より良好な成長結晶が得られる。
【0049】
また、第1、第2実施形態において、種結晶面方位としてc面から傾いたoff基板を用いても良い。このようなoff基板を用いることにより、成長結晶表面のステップ密度を増すことができるため、良好な結晶成長が可能となる。
【0050】
また、第1、第2実施形態では、第1工程を成長初期としたが、転位密度が1×105個/cm2以上の状態から、成長中に転位密度を減少させて1×105個/cm2以下とした後、第1工程を行っても良い。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
上記第1実施形態の効果を確認するために、上記図1に示した装置を用い、上述した方法に従ってSiC単結晶を成長させた。
【0052】
具体的には、種結晶2として4H−SiC単結晶(000−1)を使用し、第1工程を1時間、第2工程を5時間行った。そして、第1工程から第2工程への移行時間を40minかけて行った。また、SiC種結晶2の表面とSiC粉末原料3の表面との距離は30mmとした。
【0053】
まず、排気機構により、成長容器1内を真空にし、900℃まで昇温した後、不活性ガス導入管7からArを導入しながら石英反応管5内の圧力を6.65×104Pa(500Torr)に保ち、初期の結晶成長表面である種結晶2の表面温度が2250℃、SiC粉末原料3の温度が2300℃となるまで昇温した。
【0054】
その後、第1工程として、石英反応管5内を緩やかに減圧し、雰囲気圧力を1.33×104Pa(100Torr)に設定し、SiC粉末原料3から原料ガスを昇華させ、1時間成長させた。なお、これと同じ条件で別の実験を行い、第1工程のみによってSiC単結晶を成長させた場合、成長速度が0.28mm/h、転位密度が4×104個/cm2であった。
【0055】
次に、第2工程として、成長結晶表面の温度を2500℃まで上昇させ、SiC粉末原料3の温度を2700℃、圧力を4×103Pa(30Torr)として、成長を行った。そして、第1工程から第2工程の成長条件への移行タイミングは、移行開始からそれぞれ、成長結晶表面の温度を直後から20minの間、SiC粉末原料3の温度は5〜30minの間、圧力を20〜40m1nの間とし、徐々に各条件を移行させた。
【0056】
このとき、成長結晶表面の温度を250℃上昇しているため、表面マイグレーション速度が上昇し、より多くの結晶の取り込みが可能となる。それからSiC粉末原料3の温度を400℃上昇させ、より多くの原料を供給する。また、温度が安定化したところで圧力を減圧することにより、更に多くの原料ガスが供給を可能となる。
【0057】
また、第1工程では、雰囲気圧力を1.33×104Pa(100Torr)とし、SiC粉末原料3(2300℃)の分圧の4×102Pa(3Torr)以上としているため、SiC粉末原料3から昇華した原料ガスの拡散を制御でき、初期成長を安定化させることができる。
【0058】
一方、第2工程では、雰囲気圧力を4×103Pa(30Torr)としているのに対し、SiC粉末原料3の2700℃での分圧が2.66×104Pa(220Torr)と大きいため、SiC粉末原料3から昇華した原料ガスは雰囲気ガスにほとんど散乱されることなく自由に成長結晶表面上まで到達することになり、原料の供給速度が速くなる。
【0059】
このような全6時間40minの成長時間を経て得られた成長結晶は、17mmの長尺量となっていた。このことから、第2工程の成長速度が約3mm/hであることが分かった。また、得られた成長結晶に対し、成長方向において数枚、c面に平行に成長結晶を切り出し、KOHエッチングを行ったあとに転位密度を求めた結果、転位密度は成長初期から成長後期まで一定値で6×104個/cm2であった。このことから、成長速度が3mm/hの条件においても、転位密度が1×105個/cm2以下の高品質な結晶を成長できたと言える。
【0060】
(実施例2)
上記第2実施形態の効果を確認するために、上記図2に示した装置を用い、上述した方法に従ってSiC単結晶の成長を行った。
【0061】
具体的には、上記実施例1と同様のSiC種結晶2を用い、基本的には実施例1と同様の条件でSiC単結晶を成長させているが、以下の点について条件を変えている。この異なる部分について説明する。
【0062】
まず、排気機構により、成長容器1内を真空にし、その後、H2ガスを1SLM導入しながら成長結晶表面を1400℃まで上昇させる。その後、H2ガスの導入を止め、Arガスを2SLM導入しながら更に成長結晶表面を2250℃まで昇温させる。そして、成長結晶表面の温度が安定化したところで、第1工程として、原料ガスとなるSiH4を250sccm、C3H8を68sccm徐々に導入し、1時間成長させた。
【0063】
次に、第2工程として、成長結晶表面の温度を2500℃まで上昇させ、SiH4を2SLM、C3H8を0.56SLMと導入量を増加させると共に、Arを1SLMと導入量を減少させて成長を行った。そして、第1工程から第2工程の成長条件への移行タイミングは、移行開始からそれぞれ、成長結晶表面の温度を直後から20minの間、SiH4及びC3H8の導入を5〜30minの間、Arの導入の減少を20〜40minの間とし、徐々に各条件を移行させた。
【0064】
このとき、第1工程では、雰囲気ガスとなるArの流量が2SLMであり、原料ガスに対して多く、また分圧も高くなる。このため、成長結晶表面に到達する原料ガスが制御されると共に、パーティクルが発生しないように、未反応ガスの成長結晶表面での停滞が防止され、欠陥の発生が抑制される。一方、第2工程では、原料ガスを増加し、雰囲気ガスを減少させているため、原料の供給速度が速くなる。
【0065】
このようにして得られた成長結晶を確認したところ、第2工程の成長速度が約3mm/hであることが確認された。また、転位密度は成長初期から成長後期まで一定値で2×104個/cm2であった。従って、原料供給をガスで直接行うようにしても、実施例1と同様の成長を行うことができると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に用いる単結晶製造装置の断面構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に用いる単結晶製造装置の断面構成を示す図である。
【符号の説明】
1…成長容器、2…SiC種結晶、3…SiC粉末原料、4…断熱材、
5…石英反応管、6…誘導コイル、7…Ar導入管、9…ガス導入管。
Claims (16)
- 容器(1)内にSiC種結晶(2)を配置すると共に、前記SiC種結晶の表面に原料ガスを供給することで、該SiC種結晶の表面にSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法において、
前記SiC種結晶の表面に、前記SiC単結晶の転位密度が1×105個/mm2以下となるように成長させる第1工程と、
前記第1工程の後で、第1工程より速い成長速度で、かつ、該成長速度の上限を3mm/hとして前記SiC単結晶を成長させる第2工程とを有し、
前記第1工程から前記第2工程への移行に際し、前記SiC単結晶表面の温度を前記第1工程の条件から前記第2工程の条件に移行させるタイミングが、前記原料ガスの供給条件を前記第1工程の条件から前記第2工程の条件に移行させるタイミングよりも早くなるようにし、
前記第1工程では、成長速度を0.5mm/h以下で成長させることにより、前記SiC単結晶の成長初期時の転位密度が1×10 5 個/mm 2 以下となるようにし、
前記第1工程を10min以上行うことを特徴とするSiC単結晶の製造方法。 - 容器(1)内にSiC種結晶(2)を配置すると共に、前記SiC種結晶の表面に原料ガスを供給することで、該SiC種結晶の表面にSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法において、
前記SiC種結晶の表面に、前記SiC単結晶の転位密度が1×10 5 個/mm 2 以下となるように成長させる第1工程と、
前記第1工程の後で、第1工程より速い成長速度で、かつ、該成長速度の上限を3mm/hとして前記SiC単結晶を成長させる第2工程とを有し、
前記第1工程から前記第2工程への移行に際し、前記SiC単結晶表面の温度を前記第1工程の条件から前記第2工程の条件に移行させるタイミングが、前記原料ガスの供給条件を前記第1工程の条件から前記第2工程の条件に移行させるタイミングよりも早くなるようにし、
前記第1工程では、成長速度を0.5mm/h以下で成長させることにより、前記SiC単結晶の成長初期時の転位密度が1×10 5 個/mm 2 以下となるようにし、
前記第1工程により、前記SiC単結晶を少なくとも100μm以上を成長させることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。 - 前記第2工程では、前記第1工程の後で、該第1工程より成長結晶表面温度を高くして前記SiC単結晶を成長させることを特徴とする請求項1または2に記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1工程を前記SiC単結晶の成長初期に行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第2工程における成長速度を前記第1工程の成長速度の5倍以上とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第2工程における前記SiC単結晶表面の温度を2500℃以上とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第2工程における前記SiC単結晶表面の温度を前記第1工程における前記SiC単結晶表面の温度より100℃以上高温とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第2工程における前記SiC単結晶の転位密度が1×105個/cm2以下となるようにすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記SiC種結晶の表面に前記原料ガスを供給する方法として、SiC粉末原料を加熱昇華させる昇華法を用い、
前記第2工程における前記SiC粉末原料の温度を2600℃以上とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記SiC種結晶の表面に前記原料ガスを供給する方法として、SiC粉末原料を加熱昇華させる昇華法を用い、
前記第1工程における前記SiC粉末原料と前記SiC単結晶表面との間の温度差を100℃以内とし、
前記第2工程における前記SiC粉末原料と前記SiC単結晶表面との間の温度差を200℃以上とすることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第2工程における前記SiC単結晶の成長速度を2.5mm/h以上とすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1工程から前記第2工程への移行に際し、前記第1工程の成長条件から前記第2工程の成長条件への移行を30min以上の時間をかけて行うことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1工程及び前記第2工程では、前記原料ガスと共に雰囲気ガスを導入し、
前記第1工程では、雰囲気ガスとして使用されるガス種の分圧を原料ガスの分圧より大きくし、前記第2工程では、雰囲気ガスとして使用されるガス種の分圧を原料ガスの分圧よりも小さくすることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第2工程では、前記雰囲気ガスとして水素、酸素及び塩素のうちの少なくとも一つの気体を導入することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記SiC種結晶として、c面から傾いた面を持つ結晶を用いることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1工程では前記SiC単結晶表面の温度を2400℃以下とすることで、前記SiC単結晶を4H−SiCとすることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1つに記載のSiC単結晶の製造方法。
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