JP4701485B2 - 溶融炉排ガスの冷却方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、溶融炉排ガスの冷却方法に関し、更に詳細には、一般廃棄物等の焼却処理によって発生する焼却残渣である、焼却灰や焼却飛灰等の処理物の溶融処理を行なう溶融炉から発生する排ガスの冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前記処理物の溶融処理は、処理物の減容化、無害化のために行なわれるものであるが、特に飛灰中に多く含まれるダイオキシン類を分解するためには、例えば800℃以上の高温で完全に燃焼させる必要がある。この場合に、溶融炉から発生した排ガスを処理する後処理設備としての集塵機のバグフィルタに、排ガスをそのまま導入することはできず、その温度を集塵機に導入可能な温度以下である200℃程度まで低下させることが必要である。そこで従来は、溶融炉から排出される排ガスに多量の冷却用空気を連続的に吹込む希釈冷却を行なうことで、該排ガスの温度を200℃程度まで低下させることが行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶融炉からの排ガスを冷却用空気の希釈のみにより冷却する方法では、排ガス量が増大し、排ガスの後処理設備が大型化して、設備費や運転維持費等が高騰する問題がある。なお、前記排ガスを冷却水の噴霧により冷却する方法も提案されているが、低沸点の重金属類や高濃度の塩類等の揮発する成分を多く含む処理物を溶融処理したときに発生する排ガスを冷却水で急冷すると、その溶融過程で揮発した塩化物が液滴を経て固体として析出し、排ガスダクト内壁面に付着成長して該ダクトを閉塞させてしまう問題があり、使用できる処理物が限定されるものであった。
【0004】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来の技術に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、排ガス量を低減して後処理設備の小型化を図り、設備費や運転維持費等を低減し得る溶融炉排ガスの冷却方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため、本発明に係る溶融炉排ガスの冷却方法は、
揮発する成分として塩類を含み、該揮発する成分を多く含む処理物を溶融炉で溶融処理した際に発生した排ガスを冷却する方法であって、
先ず、前記排ガスを冷却用空気で希釈することで、該排ガスの温度が前記塩類の融点以下になるよう1次空気冷却し、
次に、前記1次空気冷却された排ガスを、その温度が400℃〜250℃の範囲で、冷却水の噴霧により水冷却し、
更に、前記水冷却された排ガスを、冷却用空気で希釈することで2次空気冷却することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る溶融炉排ガスの冷却方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【0008】
図1は、実施例に係る溶融炉排ガスの冷却方法が好適に実施される冷却装置の概略構成を示すものであって、一般廃棄物等の焼却処理によって発生する焼却灰や焼却飛灰等の処理物を溶融処理する溶融炉10の排ガス出口に、1次冷却ダクト12の一端が連通接続されると共に、該冷却ダクト12の他端が冷却塔14の上部入口に連通接続されている。1次冷却ダクト12の適宜位置には、冷却用空気の空気吹込口が設けられ、該吹込口からダクト内に吹込まれる冷却用空気によって、溶融炉10から排出される排ガスを希釈して1次空気冷却するよう構成されている。この1次空気冷却では、約1100℃の排ガスを、400℃以下まで冷却するように、冷却用空気の吹込量が設定される。なお、1次冷却ダクト12から冷却塔14に吹込まれる排ガスの温度が、250℃以下とはならないようにも設定される。
【0009】
前記冷却塔14の上部には、前記1次冷却ダクト12から塔内に吹込まれる1次空気冷却後の排ガスを、冷却水により冷却するための2流体噴霧ノズル16が複数配設されている。この2流体噴霧ノズル16は、図2に示す如く、所定圧力(例えば0.5〜0.7MPa)で冷却水が流通する内筒18の外側を、外筒20で包囲して圧力流体としてのエアの流路を確保した2重筒構造を有し、内筒18から噴出供給される冷却水に所定圧力(例えば0.3〜0.5MPa)のエアを吹付けることで、該冷却水を噴霧化し、得られた平均粒径の小さな噴霧された水を用いて前記排ガスを冷却(水冷却)するよう構成される。
【0010】
前記冷却塔14の下部排気口に2次冷却ダクト22の一端が連通接続されると共に、該冷却ダクト22の他端は、排ガスの後処理設備としての集塵機24に連通接続される。2次冷却ダクト22の適宜位置には、前記1次冷却ダクト12と同様に、冷却用空気の空気吹込口が設けられ、該吹込口からダクト内に吹込まれる冷却用空気によって、冷却塔14で水冷却された排ガスを希釈して2次空気冷却するよう構成されている。この2次空気冷却では、排ガスの温度を、集塵機24に設けられるバグフィルタ(図示せず)に導入可能な導入上限温度以下である200℃程度まで低下させるように、冷却用空気の吹込量が設定される。
【0011】
次に、前記冷却塔14で排ガスを水冷却するのに適した排ガス温度の範囲について説明する。
【0012】
図3は、排ガス中における塩の状態を温度条件別に示すものであって、約500℃より高温は塩の融点以上となるため、500℃より高い高温の排ガスを水冷却すると、前述したように処理物の溶融過程で揮発した塩化物が液滴を経て固体として析出し、冷却塔やダクトの内壁面に付着成長する不都合を生ずるおそれがある。しかし約500℃以下の温度であれば、塩はダスト状となっているため、水冷却しても塩化物が付着成長することはなく、従って塩の状態に基づく条件による好適に水冷却を適用し得る温度範囲としては、約500℃以下が望ましいこととなる。
【0013】
図4は、空気希釈により排ガスを冷却した場合における排ガス中のダスト濃度を示すもので、該濃度としては50g/Nm3以下が望ましい。すなわち、温度が1100℃の排ガスを800℃の温度まで低下させるように、冷却用空気で排ガスを希釈することで、ダスト濃度は49g/Nm3となるから、ダスト濃度に基づく条件による好適に水冷却を適用し得る温度範囲としては、約800℃以下が望ましいこととなる。
【0014】
図5は、腐食性を温度条件別に示すものであって、水冷却に用いられる冷却塔14では、350℃より高温の排ガスに晒されることで高温腐食を生ずるおそれがあり、また150℃以下の低温の排ガスに晒される場合は、酸による低温腐食を生ずるおそれがある。従って、腐食性に基づく条件による好適に水冷却を適用し得る温度範囲としては、約350℃〜約150℃の範囲が望ましいこととなる。
【0015】
すなわち、水冷却により排ガスを冷却するのに適する温度は、前述した塩の状態、ダスト濃度および腐食性の各条件での評価を総合すると、400℃〜250℃の範囲が望ましいと判断される。
【0016】
【実施例の作用】
次に、前述した実施例に係る溶融炉排ガスの冷却方法の作用につき説明する。前記溶融炉10から排出された排ガスは、前記1次冷却ダクト12を流通する過程において、前記空気吹込口を介して吹込まれる冷却用空気により、排ガス温度が400℃以下となるよう希釈冷却される。そして、1次空気冷却された排ガスは、前記冷却塔14に吹込まれる。このとき、前記2流体噴霧ノズル16からエア噴霧される冷却水により、排ガスは、その温度が250℃より低下しないように水冷却される。この水冷却される排ガスの温度は、前述したように400℃〜250℃の範囲とされるから、塩化物が冷却塔14の内壁やダクト内壁に析出して成長し、冷却塔14の各ダクト12,22との接続部を閉塞する事態の発生は抑制され、また冷却塔14が高温腐食や低温腐食に晒されることもない。更に、ダスト濃度も適正な値(50g/Nm3以下)となっているから、多量のダストが冷却塔14から2次冷却ダクト22に流出してダクト閉塞を助長するのは防止される。
【0017】
なお、前記冷却塔14での水冷却に2流体噴霧ノズル16を用いることで、噴霧化される水の平均粒径を小さくすることができ、400℃〜250℃の低温であっても噴霧後の水分を完全に蒸発させることができる。従って、冷却塔14の内壁に水滴を生ずる等、悪影響の原因が発生するのを防止し得る。
【0018】
前記冷却塔14で水冷却された排ガスは、前記2次冷却ダクト22に流出し、該2次冷却ダクト22を流通する過程において、前記空気吹込口を介して吹込まれる冷却用空気により、排ガス温度が集塵機24に導入可能な200℃以下(導入上限温度以下)まで希釈冷却される。そして、冷却の完了した排ガスは、前記集塵機24を介して排気される。
【0019】
すなわち実施例では、溶融炉10から排出される約1100℃の排ガスを、集塵機24に導入し得る導入上限温度以下まで冷却するのに、空気冷却と水冷却とを併用したことで、集塵機24で処理する排ガス量を低減することができる。従って、集塵機24等の排ガスの後処理設備を小型化し、設備費や運転維持費等を低廉に抑えることができる。また排ガスを水冷却する前に、該排ガスを空気冷却により所定温度(400℃以下)まで予め低下させるので、高温の排ガスを直接水冷却することで生ずる問題の発生を防止し得る。更に、水冷却では所定温度(250℃)より低くならないように排ガスを冷却するので、低温の排ガスを水冷却することで生ずる問題の発生も防止することができる。
【0020】
【実験例】
溶融炉10から排出される1100℃の排ガスを、1次空気冷却により400℃まで冷却し、次に水冷却により250℃まで冷却した後、更に2次空気冷却により150℃(集塵機入口の排ガス温度)まで冷却した。この場合における2次空気冷却後の排ガス量(集塵機入口での排ガス量)は、図6に示す如く、湿ガスで28590Nm3/h、乾ガスで26510Nm3/hであった。これに対し、溶融炉10から排出される1100℃の排ガスを、空気冷却のみで150℃まで冷却した場合における集塵機入口での排ガス量は、湿ガスで43970Nm3/h、乾ガスで42830Nm3/hであった。すなわち、空気冷却と水冷却とを併用することで、排ガス量を約2/3に低減できた。
【0021】
なお、実施例では冷却塔での水冷却を、1次空気冷却された排ガスが冷却塔の上部から内部に吹込まれる構成の場合で説明したが、該排ガスを冷却塔の下部から内部に吹込む構成であってもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る溶融炉排ガスの冷却方法によれば、空気冷却と水冷却とを併用することで、排ガス量を低減することができる。従って、排ガスの後処理設備の小型化を図ることができ、設備費や運転維持費等を低減することが可能となる。また排ガスを水冷却する温度範囲を、400℃〜250℃としたので、塩化物の析出による排ガス流路の閉塞を防ぎ、また高温腐食や低温腐食も防止し得る。更に、ダスト濃度が適正な値での水冷却が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る溶融炉排ガスの冷却方法を実施する冷却装置の概略構成図である。
【図2】実施例に係る2流体体噴霧ノズルを示す説明図である。
【図3】排ガス中における塩の状態を各温度条件に基づいて示す表図である。
【図4】ダスト濃度を示す表図である。
【図5】腐食性を各温度条件に基づいて示す表図である。
【図6】実験例に係る結果を示す表図である。
【符号の説明】
10 溶融炉
24 集塵機(後処理設備)
Claims (2)
- 揮発する成分として塩類を含み、該揮発する成分を多く含む処理物を溶融炉で溶融処理した際に発生した排ガスを冷却する方法であって、
先ず、前記排ガスを冷却用空気で希釈することで、該排ガスの温度が前記塩類の融点以下になるよう1次空気冷却し、
次に、前記1次空気冷却された排ガスを、その温度が400℃〜250℃の範囲で、冷却水の噴霧により水冷却し、
更に、前記水冷却された排ガスを、冷却用空気で希釈することで2次空気冷却する
ことを特徴とする溶融炉排ガスの冷却方法。 - 前記水冷却は、所定圧力で供給される冷却水を、所定圧力で供給されるエアにより噴霧化した平均粒径の小さな噴霧された水を用いる請求項1記載の溶融炉排ガスの冷却方法。
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