JP4704550B2 - 含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物に関する。さらには、該含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を含有する重合性組成物、ならびに、該重合性組成物を重合して得られる光学部品に関する。本発明の含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は、分子内に硫黄原子を含有していることを構造上の特徴しており、光硬化可能な重合性組成物用のモノマーとして有用である。該重合性組成物を硬化して得られる光学部品は、光学特性、熱的特性、機械的特性に優れ、且つ、生産性が良好で、高屈折率であり、矯正用眼鏡レンズを代表とする各種プラスチックレンズ、光情報記録媒体基板、液晶セル用プラスチック基板、光ファイバーコーティング材料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
無機ガラスは、透明性に優れ、光学異方性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明性光学材料として広い分野で使用されている。しかしながら、重くて破損しやすいこと、生産性が悪い等の問題があり、近年、無機ガラスに代わる光学用樹脂の開発が盛んに行われている。
【0003】
光学材料として基本的に重要な特性は透明性である。現在までに、透明性の良い工業的な樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ビスフェノールAポリカーボネート(BPA−PC)、ポリスチレン(PS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合ポリマー(MS)、スチレン−アクリロニトリル共重合ポリマー(SAN)、ポリ(4−メチルペンテン−1)(TPX)、ポリシクロオレフィン(COP)、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(EGAC)、ポリチオウレタン(PTU)等が知られている。
【0004】
PMMAは透明性、耐候性に優れ、かつ成形性も良好である。しかしながら、屈折率(nd)が1.49と小さく、吸水性が大きいという欠点がある。BPA−PCは、透明性、耐熱性、耐衝撃性および高屈折性に優れるものの、色収差が大きく利用分野が限定される。PSおよびMSは、成形性、透明性、低吸水性および高屈折性に優れるものの、耐衝撃性、耐候性および耐熱性に劣り光学樹脂としてはほとんど実用化されていない。SANは比較的、屈折率が高く、機械的物性もバランスがよいとされているが、耐熱性にやや難があり(熱変形温度:80〜90℃)、光学樹脂としてはほとんど使われていない。
【0005】
TPXおよびCOPは透明性、低吸水性、耐熱性に優れるものの、低屈折率(nd=1.47〜1.53)で、耐衝撃性やガスバリヤー性や染色性が悪いという問題がある。EGACはジエチレングリコールビスアリルカーボネートをモノマーとする熱硬化性樹脂であり、汎用眼鏡レンズ用途には最も多く使用されている。透明性、耐熱性には優れ、色収差は極めて小さいものの、低屈折率(nd=1.50)で、耐衝撃性に劣るという欠点がある。PTUは、ジイソシアネート化合物とポリチオール化合物との反応で得られる熱硬化性樹脂であり、超高屈折率眼鏡レンズ用途には最も多く使用されている。透明性、耐衝撃性、高屈折性に特に優れ、且つ色収差も小さく、極めて優秀な材料であるが、唯一、熱重合成形時間が長い(1日〜3日)という欠点があり、生産性の点で問題を残している。
【0006】
上記の生産性を高めるために短時間で重合・硬化を行う目的で、臭素原子あるいは硫黄原子を含有する(メタ)アクリル酸エステル類を用いて、光重合によって光学用レンズを得る方法(例えば、特開平4−161410号公報、特開平3−217412号公報など)、あるいは、硫黄原子を含有する(メタ)アクリル酸チオエステル類を用いて、光重合によって光学用レンズを得る方法(例えば、USP4931521、USP4810812など)などが提案されている。しかしながら、該方法によると、短時間での重合は可能となるものの、得られる樹脂は光学部品として決して満足されるものとは言えなかった。例えば、眼鏡レンズとして用いた場合、高屈折率のものは、脆くて割れやすかったり、比重の大きい等の問題があり、それらの問題を克服した材料の開発が強く望まれていた。
【0007】
以上のように、従来の光学樹脂は優れた特徴を有しているものの、それぞれに克服すべき欠点を有しているのが現状である。このような状況下にあって、光学特性、機械的特性、熱的特性に優れ、かつ生産性がよい高屈折性の光学樹脂の開発が切望されているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の光学樹脂の欠点を解決し、光学特性、機械的特性、熱的特性に優れ、かつ生産性がよい高屈折性の光学樹脂を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物に関するもので、また、該含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を含有する重合性組成物、該重合性組成物を重合して得られる硬化物、さらには、その硬化物からなる光学部品に関する。
【0010】
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R5、R8はそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R6、R9はそれぞれ独立に、硫黄原子を含有する置換基を表し、R7、R10はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Z1、Z2は、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表す)
【0011】
さらに、本発明は、上記含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物の原料化合物となる下記一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物に関する。
【0012】
【化4】
(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R5、R8はそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、R6、R9はそれぞれ独立に、硫黄原子を含有する置換基を表し、Z1、Z2は、それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表す)
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は、前記一般式(1)で表され、分子内に硫黄原子を含有する置換基を有し、且つ、二級又は三級チオールの(メタ)アクリル酸チオエステルであることを構造上の特徴とする新規な化合物である。
【0014】
一般式(1)において、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、より好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。
【0015】
置換基R1、R2、R3、R4の具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−n−プロポキシプロピル基、3−n−ブトキシプロピル基、3−n−ヘキシルオキシプロピル基、2−メトキシエトキシエチル基、2−エトキシエトキシエチル基、2−フェノキシメチル基、2−フェノキシエトキシエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2,2,2−トリクロロエチル基、
【0016】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシオキシル基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−ブトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−エトキシプロポキシ基、3−n−プロポキシプロポキシ基、3−n−ブトキシプロポキシ基、3−n−ヘキシルオキシプロポキシ基、2−メトキシエトキシエトキシ基、2−フェノキシメトキシ基、2−フェノキシエトキシエトキシ基、クロロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、3−クロロプロポキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0017】
該置換基R1、R2、R3、R4として、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜10の無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜10の無置換の直鎖または分岐のアルコキシ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子である。該置換基R1、R2、R3、R4として、水素原子は特に好ましい。
【0018】
一般式(1)において、置換基R5、R8はそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、より好ましくは、水素原子またはメチル基であり、さらに好ましくは、水素原子である。また、一般式(1)において、置換基R6、R9はそれぞれ独立に、硫黄原子を含有する置換基を表し、該置換基の構造中に少なくとも1個の硫黄原子を含有することを特徴とする。該置換基R6、R9として、具体的には、下記式(a)または式(b)で表される置換基が挙げられる。
【0019】
R11−O− (a)
R12−S− (b)
(式中、R11は少なくとも1個以上の硫黄原子を含有する1価の有機基を表し、R12は硫黄原子を含有してもよい1価の有機基を表す)
【0020】
上記式中、置換基R11は、好ましくは、少なくとも1個以上の硫黄原子を含有する置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基またはアシル基を表す。なお、該置換基R11は複素環含有の基をも包含する。また、上記式中、該置換基R12は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基またはアシル基を表す。さらに、高屈折率を得るために、これらの置換基が硫黄原子を含有することはより好ましい。
【0021】
上記置換基R6、R9として、好ましくは、硫黄原子を含有している鎖状または環状のアルコキシ基、硫黄原子を含有しているアラルキルオキシ基、硫黄原子を含有しているアリールオキシ基、硫黄原子を含有しているアシルオキシ基、硫黄原子を含有していてもよい鎖状または環状のアルキルチオ基、硫黄原子を含有していてもよいアラルキルチオ基、硫黄原子を含有していてもよいアリールチオ基、硫黄原子を含有していてもよいアシルチオ基である。
【0022】
該置換基R6、R9としては、例えば、メチルチオエトキシ基、エチルチオエトキシ基、プロピルチオエトキシ基、ブチルチオエトキシ基、メチルチオエチルチオエトキシ基、メチルチオエチルチオエチルチオエトキシ基、2,2−ジメチルチオエトキシ基、2,2−ジエチルチオエトキシ基、2,2−ジプロピルチオエトキシ基、2,2−ジブチルチオエトキシ基、3,3−ジメチルチオプロポキシ基、3,3−ジエチルチオプロポキシ基、3,3−ジプロピルチオエトキシ基、3,3−ジブチルチオエトキシ基、(1,3−ジチオラン−2−イル)メトキシ基、2−(1,3−ジチオラン−2−イル)エトキシ基、3−(1,3−ジチオラン−2−イル)プロポキシ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)メトキシ基、2−(1,3−ジチオラン−4−イル)エトキシ基、3−(1,3−ジチオラン−4−イル)プロポキシ基、(1,4−ジチアン−2−イル)メトキシ基、2−(1,4−ジチアン−2−イル)エトキシ基、3−(1,4−ジチアン−2−イル)プロポキシ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)メトキシ基、2−(1,3,5−トリチアン−2−イル)エトキシ基、3−(1,3,5−トリチアン−2−イル)プロポキシ基、
【0023】
4−メチルチオベンジルオキシ基、3−メチルチオベンジルオキシ基、2−メチルチオベンジルオキシ基、2,4−ジメチルチオベンジルオキシ基、3,4−ジメチルチオベンジルオキシ基、2,4,6−トリメチルチオベンジルオキシ基、4−メチルチオフェニルエトキシ基、3−メチルチオフェニルエトキシ基、2−メチルチオフェニルエトキシ基、2,4−ジメチルチオフェニルエトキシ基、3,4−ジメチルチオフェニルエトキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェニルエトキシ基、4−メチルチオフェニルオキシ基、3−メチルチオフェニルオキシ基、2−メチルチオフェニルオキシ基、2,4−ジメチルチオフェニルオキシ基、2,5−ジメチルチオフェニルオキシ基、2,6−ジメチルチオフェニルオキシ基、3,4−ジメチルチオフェニルオキシ基、3,5−ジメチルチオフェニルオキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェニルオキシ基、2,3,4,5,6−ペンタメチルチオフェニルオキシ基、
【0024】
メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、メトキシエチルチオ基、ブトキシエチルチオ基、メトキシプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2−メチルチオエチルチオ基、2−エチルチオエチルチオ基、2−プロピルチオエチルチオ基、2−ブチルチオエチルチオ基、メチルチオエチルチオエチルチオ基、メチルチオエチルチオエチルチオエチルチオ基、2,2−ジメチルチオエチルチオ基、2,2−ジエチルチオエチルチオ基、2,2−ジプロピルチオエチルチオ基、2,2−ジブチルチオエチルチオ基、3,3−ジメチルチオプロピルチオ基、3,3−ジエチルチオプロピルチオ基、3,3−ジプロピルチオエチルチオ基、3,3−ジブチルチオエチルチオ基、(1,3−ジチオラン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,3−ジチオラン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,3−ジチオラン−2−イル)プロピルチオ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)メチルチオ基、2−(1,3−ジチオラン−4−イル)エチルチオ基、3−(1,3−ジチオラン−4−イル)プロピルチオ基、(1,3−ジチアン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,3−ジチアン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,3−ジチアン−2−イル)プロピルチオ基、(1,4−ジチアン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,4−ジチアン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,4−ジチアン−2−イル)プロピルチオ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)メチルチオ基、2−(1,3,5−トリチアン−2−イル)エチルチオ基、3−(1,3,5−トリチアン−2−イル)プロピルチオ基、
【0025】
ベンジルチオ基、4−メチルベンジルチオ基、4−メトキシベンジルチオ基、4−メチルチオベンジルチオ基、3−メチルチオベンジルチオ基、2−メチルチオベンジルチオ基、2,4−ジメチルチオベンジルチオ基、3,4−ジメチルチオベンジルチオ基、2,4,6−トリメチルチオベンジルチオ基、4−メチルチオフェニルエチルチオ基、3−メチルチオフェニルエチルチオ基、2−メチルチオフェニルエチルチオ基、2,4−ジメチルチオフェニルエチルチオ基、3,4−ジメチルチオフェニルエチルチオ基、2,4,6−トリメチルチオフェニルエチルチオ基、フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、4−メチルチオフェニルチオ基、3−メチルチオフェニルチオ基、2−メチルチオフェニルチオ基、2,4−ジメチルチオフェニルチオ基、2,5−ジメチルチオフェニルチオ基、2,6−ジメチルチオフェニルチオ基、3,4−ジメチルチオフェニルチオ基、3,5−ジメチルチオフェニルチオ基、2,4,6−トリメチルチオフェニルチオ基、2,3,4,5,6−ペンタメチルチオフェニルチオ基、チアゾリン−2−イルチオ基、
【0026】
メチルチオメチルカルボニルオキシ基、メチルチオエチルカルボニルオキシ基、(1,3−ジチオラン−2−イル)カルボニルオキシ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)カルボニルオキシ基、(1,3−ジチアン−2−イル)カルボニルオキシ基、(1,4−ジチアン−2−イル)カルボニルオキシ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)カルボニルオキシ基、4−メチルチオベンゾイルオキシ基、チオフェン−2−カルボニルオキシ基、チアゾール−2−カルボニルオキシ基、メチルチオメチルカルボニルチオ基、メチルチオエチルカルボニルチオ基、(1,3−ジチオラン−2−イル)カルボニルチオ基、(1,3−ジチオラン−4−イル)カルボニルチオ基、(1,3−ジチアン−2−イル)カルボニルチオ基、(1,4−ジチアン−2−イル)カルボニルチオ基、(1,3,5−トリチアン−2−イル)カルボニルチオ基、ベンゾイルチオ基、4−メチルチオベンゾイルチオ基、チオフェン−2−カルボニルチオ基、チアゾール−2−カルボニルチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
一般式(1)において、R7、R10はそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子またはメチル基である。また、一般式(1)において、Z1、Z2はそれぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは、Z1とZ2共に酸素原子、または共に硫黄原子である。
【0028】
本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物としては、下記式(1−A)、(1−B)または式(1−C)で表される構造であり、好ましくは、式(1−A)または式(1−B)で表される構造であり、特に、式(1−B)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は好ましい。
【0029】
【化5】
(上式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、Z1、Z2は前記に同じ)
【0030】
本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物の具体例として、下記第1表(表1〜40)中に示された化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】
【表13】
【0044】
【表14】
【0045】
【表15】
【0046】
【表16】
【0047】
【表17】
【0048】
【表18】
【0049】
【表19】
【0050】
【表20】
【0051】
【表21】
【0052】
【表22】
【0053】
【表23】
【0054】
【表24】
【0055】
【表25】
【0056】
【表26】
【0057】
【表27】
【0058】
【表28】
【0059】
【表29】
【0060】
【表30】
【0061】
【表31】
【0062】
【表32】
【0063】
【表33】
【0064】
【表34】
【0065】
【表35】
【0066】
【表36】
【0067】
【表37】
【0068】
【表38】
【0069】
【表39】
【0070】
【表40】
【0071】
本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は新規化合物であり、公知の反応方法に従って製造される。本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は、代表的には、下記スキーム1で表される経路により、好適に製造される。
【0072】
【化6】
(上式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、Z1、Z2は前記に同じ)
【0073】
すなわち、後で詳しく述べるように、一般式(3)で表されるビスエピチオプロピル化合物に対して、R6−H、R9−Hで表される硫黄原子を含有する化合物(含硫化合物)を作用させ、本発明の一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物を合成中間体として製造する。この一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物に対して、例えば、▲1▼(メタ)アクリル酸類を反応させる方法、▲2▼ハロプロピオン酸類(例えば、3−クロロプロピオン酸、3−ブロモプロピオン酸、3−クロロ−2−メチルプロピオン酸、3−ブロモ−2−メチルプロピオン酸など)またはその酸ハロゲン化物を反応させてハロプロピオン酸エステル化合物とした後、脱ハロゲン化水素して、(メタ)アクリル酸チオエステル化する方法、等を代表例とする公知の各種エステル化法によって、本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は好適に製造される。本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を使用して、本発明の重合性組成物、該重合性組成物を重合して得られる硬化物あるいは光学部品を製造する際には、これらの混合物を分離・精製することなく、そのまま使用しても差し支えない。
【0074】
まず、上記スキーム1中、一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物の製造方法について詳述する。本発明の一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物は、一般式(3)で表されるビスエピチオプロピル化合物に対して、一般式(4−a)または(4−b)で表される含硫化合物を作用させて、エピスルフィド基に開環付加させることにより、好適に製造される。該反応方法それ自体は公知であり、従来から知られている反応条件に従って実施され、例えば、必要に応じて、適当な触媒(例えば、酸触媒、塩基触媒など)の存在下で、好適に行われる。
【0075】
【化7】
(上式中、R1、R2,R3、R4、R5、R8、R11、R12、Z1、Z2は前記に同じ)
【0076】
かかる反応において、一般式(3)で表されるビスエピチオプロピル化合物に対して作用させる含硫化合物の使用量は、特に限定するものではないが、通常、一般式(3)で表されるビスエピチオプロピル化合物1モルに対して、0.1〜10モルであり、好ましくは、0.5〜5モルであり、より好ましくは、1〜3モルである。
【0077】
反応は、無溶媒で行ってもよく、あるいは溶媒中で行ってもよい。かかる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば、特に限定はなく、例えば、n−ヘキサン、ベンゼンまたはトルエン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンまたはテトラクロロエチレン等のハロゲン系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を併用しても差し支えない。反応温度は、特に制限されるものではないが、通常、0℃〜200℃の範囲であり、好ましくは0〜100℃である。反応時間は反応温度等の条件により左右されるが、通常、数分から数十時間である。
【0078】
次に、一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物を原料として、本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を製造する方法について、詳述する。
【0079】
前述の通り、一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物を含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化する方法として、代表的には、▲1▼下記一般式(5−a)および一般式(5−b)で表される(メタ)アクリル酸類またはその酸ハロゲン化物と反応させる方法、▲2▼クロロプロピオン酸またはその酸ハロゲン化物と反応させてクロロプロピオン酸エステル化合物とした後、脱ハロゲン化水素して(メタ)アクリル酸チオエステル化合物とする方法、などが例示される。
【0080】
【化8】
(式中、R7、R10は前記に同じ。Xはハロゲン原子を表す。)
【0081】
以下、前述の方法の中から最も代表的な例として、一般式(2)で表されるジメルカプト化合物と一般式(5−a)および(5−b)で表される(メタ)アクリル酸類またはその酸ハロゲン化物とを反応させる方法について、さらに詳しく述べる。すなわち、該方法としては、公知の方法、例えば、USP4810812、J. Org. Chem., 45, 5364(1980)、Eur. Polym. J., 19, 399 (1983)に記載の方法と同様の方法を用いることができる。例えば、撹拌下、一般式(2)で表されるジメルカプト化合物に対して、一般式(5−a)および(5−b)で表される(メタ)アクリル酸類の酸ハロゲン化物を滴下する、などの操作を行いながら作用させる方法、あるいは、一般式(2)で表されるジメルカプト化合物と一般式(5−a)および(5−b)で表される(メタ)アクリル酸類との脱水反応を行う方法などが例示される。
【0082】
上記反応の際、一般式(2)で表されるジメルカプト化合物に対して作用させる一般式(5−a)および(5−b)で表される(メタ)アクリル酸類またはその酸ハロゲン化物の使用量は、特に制限するものではないが、通常、ジメルカプト化合物1モルに対して、0.1〜10モルであり、好ましくは、0.5〜5モルであり、より好ましくは、1〜3モルである。
【0083】
反応は、無溶媒で行なってもよく、あるいは反応に対して不活性溶媒中で行なってもよい。かかる溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、ベンゼン、キシレンまたはトルエン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンまたはテトラクロロエチレン等のハロゲン系溶媒、などが挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を併用しても差し支えない。
【0084】
反応温度は特に制限はないが、原料の(メタ)アクリル酸類または反応生成物の(メタ)アクリル酸チオエステル化合物が重合しない温度であり、通常、−78〜150℃の範囲であり、好ましくは、−20〜100℃であり、より好ましくは、−10〜80℃である。反応時間は反応温度にも依存するが、通常、数分〜100時間であり、好ましくは、30分〜50時間であり、より好ましくは、1〜20時間である。また、公知の分析手段(例えば、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、IRなど)により反応率を確認しながら、任意の反応率で反応を停止することも可能である。
【0085】
一般式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物と一般式(5−a)および(5−b)で表される(メタ)アクリル酸類の酸ハロゲン化物との反応により、本発明の含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を製造する際には、ハロゲン化水素(例えば、塩化水素など)が副生するので、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等の有機塩基、あるいは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の無機塩基を脱塩化水素剤として使用してもよい。かかる脱ハロゲン化水素剤の使用量としては、特に制限はないが、一般式(2)で表されるジメルカプト化合物1モルに対して、0.1〜10モルであり、好ましくは、0.5〜5モルであり、より好ましくは、1〜3モルである。
【0086】
一般式(2)で表されるジメルカプト化合物と一般式(5−a)および(5−b)で表される(メタ)アクリル酸類との脱水反応により、本発明の一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を製造する際には、公知の各種エステル化触媒を用いることは好ましいことである。該触媒としては、例えば、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸)、有機酸(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム)等を挙げることができる。かかる触媒の使用量は、特に制限するものではないが、通常、反応原料混合物に対して、好ましくは、0.001〜50質量%、好ましくは、0.01〜30質量%である。また、反応の進行を促進するため、副生した水を系外に除去することは好ましいことであり、前記溶媒のうち水と共沸する溶媒(例えば、ベンゼン、トルエンなど)を用いたり、モレキュラーシーブス等の脱水剤を用いる方法が挙げられる。
【0087】
前述の方法の中で、一般式(2)で表されるジメルカプト化合物をハロプロピオン酸類またはその酸ハロゲン化物と反応させて、ハロプロピオン酸エステル化合物とした後、脱ハロゲン化水素して一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を製造する方法としては、例えば、特開平10−67736号公報などに記載の方法等が例示される。
【0088】
一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を製造する際に、反応中あるいは反応後において生成物の重合を防止するために、重合禁止剤を使用することは好ましいことである。かかる重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、フェノチアジン等の公知の各種化合物を例示することができる。重合禁止剤の使用量は特に制限はないが、反応系中の原料混合物あるいは反応生成物に対して、通常、0.01〜5質量%であり、好ましくは、0.05〜3質量%である。
【0089】
反応終了後、生成物の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は、公知の操作、処理方法(例えば、中和、溶媒抽出、水洗、分液、溶媒留去など)により後処理されて単離される。さらに必要に応じて、得られた一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル誘導体を、公知の方法(例えば、蒸留、再結晶あるいはクロマトグラフィー等)により分離、精製して、高純度の化合物として単離することもできる。
【0090】
次に、本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル誘導体を含有する重合性組成物について詳述する。本発明の重合性組成物は、必須成分として、本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物、ならびに、光および/または熱重合開始剤を含有する。この場合、上記(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は単独で用いてもよく、あるいは、異なる複数の(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を併用しても差し支えない。
【0091】
さらに本発明の重合性組成物は、所望の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を含有する以外に、公知の重合性を有する化合物(光または熱重合性モノマーまたはオリゴマー等)を含有していても差し支えない。上記重合性組成物中に含有する一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物の量は、特に制限はないが、通常、重合性組成物全体の質量に対して10質量%以上であり、好ましくは、20質量%以上であり、より好ましくは、30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。
【0092】
本発明の重合性組成物に使用する重合開始剤としては、特に限定するものではなく、公知の各種熱重合開始剤または光重合開始剤を使用することができる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ビベンゾイル(ベンジル)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン,4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等を例示することができる。これらは単独で使用することも、あるいは、2種以上を併用することもできる。
【0093】
該光重合開始剤の使用量は、一般式(1)で表されるアクリル酸チオエステル化合物100質量部に対して、0.001〜50質量部であり、好ましくは、0.01〜30質量部であり、より好ましくは、0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは、0.2〜5質量部である。さらに、これらの光重合開始剤と公知の光増感剤の1種または2種以上を同時に使用することは、好ましいことである。該光増感剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。
【0094】
光重合開始剤と光増感剤の好ましい組み合わせとしては、2,4−ジエチルチオキサントンまたは2−イソプロピルチオキサントンとN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルとの組み合わせ、また、上記光重合開始剤同士の好ましい組み合わせとしては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オンと2,4−ジエチルチオキサントンまたは2−イソプロピルチオキサントンとの組み合わせが挙げられる。
【0095】
熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、tert−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物ならびにアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などを例示することができる。該熱重合開始剤の使用量は、一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸チオエステル化合物100質量部に対して、通常、0.001〜50質量部であり、好ましくは、0.01〜30質量部であり、より好ましくは、0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは、0.2〜5質量部である。
【0096】
本発明の重合性組成物に用いる重合性の化合物として、一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸チオエステル化合物以外の、公知の重合性を有する化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N−n−ブチル−O−(メタ)アクリロイルオキシエチルカーバメート、アクリロイルモルホリン、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の一官能(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシプロピルトリス(メトキシ)シラン等のケイ素素含有(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
【0097】
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ビスフェノールF、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAなどのビスフェノール誘導体のアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;エチレングリコールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、フェノールグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、レゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルフィドジグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類;
【0098】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等のエポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物であるエポキシアクリレート類;ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の一官能のビニル化合物類;エチレングリコールジアリルカーボネート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル基含有化合物など公知の重合性モノマー、あるいは、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどの公知の各種重合性オリゴマー等が例示される。これらの使用量は、本発明の効果をより達成するために、一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物100質量部に対して、通常、300質量部以下であり、好ましくは、200質量部以下であり、より好ましくは、100質量部以下である。
【0099】
本発明の重合性組成物の製造方法として、具体的には、本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を用い、所望により上記の公知の各種重合性化合物を併用して、さらに上記重合開始剤を添加した後、混合・溶解させることにより得られる。該重合性組成物は、必要に応じて重合前に不溶物、異物などを濾過により除去して、さらに減圧下で十分に脱泡して重合、硬化に使用される。また、重合性組成物を製造する際には、所望に応じて、内部離型剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色顔料(例えば、シアニングリーン、シアニンブルー等)、染料、流動調節剤、無機充填剤(例えば、タルク、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等)、などの公知の各種添加剤を添加することも可能である。
【0100】
本発明の硬化物ならびに該硬化物からなる光学部品は、上記重合性組成物を重合、硬化して得られるものである。これらの方法として、従来から公知の各種方法が採用され好適に実施されるが、代表的には、上述のように得られた重合性組成物をモールド中に注入し、熱または光によって開始されるラジカル重合反応を用いた注型重合などが挙げられる。該モールドは、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等からなるガスケットを介した鏡面研磨した二枚の鋳型により構成される。鋳型としては、ガラスとガラス、ガラスとプラスチック板、ガラスと金属板等の組み合わせの鋳型が挙げられる。また、ガスケットとしては、上記の軟質熱可塑性樹脂(ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等)を用いる以外に、2枚の鋳型をポリエステル粘着テープ等で固定してもよい。また、鋳型に対して、離型処理など公知の処理方法を行ってもよい。
【0101】
ラジカル重合反応としては、前述したように、熱による重合反応(熱重合)、紫外線などの光による重合反応(光重合)、ガンマ線による重合反応等を利用する方法、あるいは、これらの複数を組み合わせた方法などが例示される。これらの方法の中で、熱重合は数時間から数十時間を要するのに対して、紫外線などによる光重合は数秒〜数分で硬化が可能であり、本発明の光学部品の製造時における生産性を高める点を考慮すると、好ましい方法である。熱重合を行う場合、重合温度は重合開始剤の種類など重合条件によって影響されるので、限定されるものではないが、通常、25〜200℃、好ましくは、50〜170℃である。
【0102】
光学レンズの成形方法としては、上述したように、例えば、光または/および熱による注型重合を行いレンズを得る方法が挙げられる(例えば、特開昭60−135901号公報、特開平10−67736号公報、特開平10−130250号公報など)。すなわち、前述の方法により製造された本発明の一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を含有する重合性組成物を、必要に応じて、適当な方法で脱泡を行った後、モールド中に注入し、通常、光照射して重合させる方法により、好適に実施される。また熱による重合では、低温から高温へ徐々に加熱して重合させる方法により、好適に実施される。得られた光学レンズは、必要に応じて、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、防曇性付与あるいはファッション性付与の目的で、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理、調光処理(例えば、フォトクロミックレンズ化処理など)など公知の各種物理的または化学的処理を施されてもよい。
【0103】
光ディスクや光磁気ディスクの基板の成形方法としては、例えば、前記の方法で得られる一般式(1)で表される含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を含む重合性組成物を、ディスク基板用型キャビティ内に注入し、これをラジカル重合方法等で重合させ、必要に応じて後熱処理する方法(特開昭58−130450号公報、同58−137150号公報、同62−280008号公報など)、両面ガラス型内で光重合する方法(特開昭60−202557号公報)、真空注型または注液完了後、加圧して液状樹脂を熱重合させる方法(特開昭60−203414号公報)など、従来から公知の方法などが挙げられる。
【0104】
本発明の上記重合性組成物を光重合して得られる硬化物、該硬化物からなる光学部品は、重合・硬化に要する時間が数分から数時間であり、既存のポリジエチレングリコールジアリルカーボネート、ポリチオウレタンに代表される熱硬化性の光学用樹脂と比較して短時間で重合成形が可能であって、生産性が高いことが特徴の一つである。さらに、本発明の硬化物および光学部品は光学特性、機械的特性、熱的特性に優れ、且つ、高屈折率であるという特徴を有している。該光学部品としては、例えば、矯正用眼鏡レンズを代表とする各種プラスチックレンズ、光情報記録媒体基板、液晶セル用プラスチック基板、光ファイバーコーティング材料などが具体的な形態として挙げられる。
【0105】
【実施例】
以下、製造例および実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の各実施例において作製した硬化物または光学部品(レンズ)の物性評価は、下記の方法により行った。
【0106】
・外観: 目視により色味、透明性を観察した。
・屈折率、アッベ数: プルフリッヒ屈折計を用いて20℃で測定した。
・耐衝撃性: 中心厚1.5mmのマイナスレンズの中心部に、高さ127cmから28.7gの鉄球を落下させて、割れの有無を調べた。
○:レンズに割れが全くない
×:レンズに割れが生じた
【0107】
実施例1[本発明の式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物の製造]
ベンゼンチオール220.4g(2.00モル)、水酸化ナトリウム3.0g(0.075モル)、メタノール300gの原料混合物に対して、下記式(3−1)のレゾルシンビス(エピチオプロピル)エーテル254.4g(1.00モル)をメタノール400gに溶解させた溶液を10℃で1時間要して滴下した。滴下終了後、室温(25℃)で3時間、攪拌した後、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で原料の残存が無いのを確認した上で、反応溶液を氷水に排出した。油状の生成物を、トルエン300gを用いて抽出し、さらに廃水相が中性になるまで水洗を繰り返した後、分液して有機相を取り出した。トルエンを減圧下、40℃で留去して、粘性のある微黄色透明液体の式(2−1)の含硫ジメルカプト化合物449.8gを得た。
【0108】
【化9】
【0109】
該生成物の質量分析の測定結果を下記に示した。
FD−MS: 474(M+)
【0110】
実施例2[本発明の式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物の製造]
実施例1において、ベンゼンチオールを用いる代わりに、2−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、上記式(3−1)のレゾルシンビス(エピチオプロピル)エーテルを用いる代わりに下記式(3−2)のベンゼンビスエピチオプロピルスルフィドを使用する以外は、実施例1に記載の方法と同様にして、無色透明液体の下記式(2−2)で表される含硫ジメルカプト化合物を得た。
【0111】
【化10】
FD−MS: 590(M+)
【0112】
実施例3[本発明の式(2)で表される含硫ジメルカプト化合物の製造]
実施例2において、ベンゼンチオールを用いる代わりに、1,3−ジチオラン−2−カルボン酸を使用する以外は、実施例2に記載の方法と同様にして、無色透明液体の下記式(2−3)で表される含硫ジメルカプト化合物を得た。
【0113】
【化11】
FD−MS: 586(M+)
【0114】
実施例4
実施例1で製造した式(2−1)で表される含硫ジメルカプト化合物55.5g(0.12モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、クロロホルム200gの混合溶液に対して、氷水冷下(10℃)でアクリル酸クロリド23.5g(0.26モル)を滴下した。滴下終了後、10℃でさらに3時間攪拌して反応を行い、その後、副生したピリジン塩酸塩を濾過して除いた。濾液のクロロホルム溶液をさらに希塩酸水200gで洗浄した後、廃水相が中性になるまで水洗を行った上で、分液して、有機相を取り出した。クロロホルムを減圧下、60℃で留去して、淡黄色透明液体の粗生成物を得た。該粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、粘性のある無色透明液体として下記式(1−1)の含硫アクリル酸チオエステル化合物63.0gを得た。
【0115】
【化12】
該生成物の質量分析の測定結果を下記に示した。
【0116】
FD−MS: 582(M+)
【0117】
実施例5
実施例4において、式(2−1)で表されるジメルカプト化合物を用いる代わりに、実施例2で製造した式(2−2)で表されるジメルカプト化合物を使用する以外は、実施例4に記載の方法と同様にして、無色透明液体として下記式(1−2)で表される含硫アクリル酸チオエステル化合物を得た。
【0118】
【化13】
FD−MS: 680(M+)
【0119】
実施例6
実施例4において、式(2−1)で表されるジメルカプト化合物を用いる代わりに、実施例3で製造した式(2−3)で表されるジメルカプト化合物を使用する以外は、実施例4に記載の方法と同様にして、無色透明液体として下記式(1−3)で表される含硫アクリル酸チオエステル化合物を得た。
【0120】
【化14】
FD−MS: 694(M+)
【0121】
実施例7
実施例4において、アクリル酸クロリドを用いる代わりに、メタクリル酸クロリドを使用する以外は、実施例4に記載の方法と同様にして、無色透明液体として、下記式(1−4)で表される含硫メタクリル酸チオエステル化合物を得た。
【0122】
【化15】
FD−MS: 610(M+)
【0123】
実施例8
実施例4で得られた式(1−1)の含硫アクリル酸チオエステル化合物30gに対して、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(「Darocur−1173」、チバガイギー社製登録商標)30mgを添加して、よく混合し溶解させた。得られた液体を十分に減圧下、脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。メタルハライドランプ(80W/cm)を使用して紫外線を60秒間、照射して重合を行った。重合終了後、徐々に冷却し、成形された硬化物をモールドから取り出した。得られた硬化物は、無色透明で光学歪みは観察されなかった。屈折率(nd)は1.614、アッベ数(νd)は30.0であった。
【0124】
実施例9〜11
実施例8において、式(1−1)のアクリル酸チオエステル化合物を使用する代わりに、実施例5〜7で製造した式(1−2)〜式(1−4)の含硫アクリル酸チオエステル化合物をそれぞれ用いた以外は、実施例8に記載の方法と同様にして、硬化物を得た。得られた重合後の成形された硬化物の物性を第2表に示した。
【0125】
【表41】
【0126】
実施例12
実施例5で得られた式(1−2)のアクリル酸チオエステル化合物20g、下記式(d)で表されるレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート5gおよびジビニルベンゼン5gの混合物に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン60mg(0.2質量%対重合性モノマー)を添加してよく混合、溶解させた。得られた液体を十分に脱泡した後、ガラスモールドとテープよりなるモールド型に注入した。メタルハライドランプにより紫外線を60秒間、照射した後、80℃で1時間加熱して重合を行った。重合終了後、室温まで放冷し、直径30mm、中心厚1.5mmのマイナスレンズを得た。該レンズは無色透明であり、屈折率(nd)は1.659、アッベ数(νd)は33.8であった。TMA法によるガラス転移温度(Tg)は70℃以上であった。また前記の方法による耐衝撃性試験の結果、レンズの割れはなかった。
【0127】
【化16】
【0128】
実施例13〜18
実施例12に記載の方法と同様にして、第3表に示した組成の重合性組成物を調製してレンズを作製した。該レンズの物性評価の結果を、第3表に示した。
【0129】
【表42】
【0130】
本発明の含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を含有する重合性組成物を重合して得られる硬化物および光学部品は、光学特性、熱的特性、機械的特性(耐衝撃性)に優れ、且つ、短時間で重合・成形硬化が可能(高生産性)であり、且つ、高屈折率である。
【0131】
【発明の効果】
本発明の含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物は、光硬化可能な重合性組成物用のモノマーとして有用である。該重合性組成物を硬化して得られる光学部品は、光学特性、熱的特性、機械的特性に優れ、且つ、生産性が良好であり、高屈折率であり、矯正用眼鏡レンズを代表とする各種プラスチックレンズ、光情報記録媒体基板、液晶セル用プラスチック基板、光ファイバーコーティング材料等として有用である。
Claims (4)
- 請求項1記載の含硫(メタ)アクリル酸チオエステル化合物を含有する重合性組成物。
- 請求項2記載の重合性組成物を重合して得られる硬化物。
- 請求項3記載の硬化物からなる光学部品。
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