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JP4706971B2 - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
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JP4706971B2 - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

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本発明は、Crを5%以上(本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味する)含有する継目無鋼管の製造方法に関する。具体的には、本発明は、Crを5%以上含有する高合金鋼からなる被圧延材に延伸圧延を行った後におけるマンドレルバーの引き抜き不良を、効果的に抑制しながら継目無鋼管を製造するための方法に関する。
マンネスマン−マンドレルミル方式による継目無鋼管の製造では、まず、素材である丸ビレット又は角ビレットを回転炉床式加熱炉に装入して1200〜1260℃に加熱する。次に、穿孔圧延機を用いて穿孔圧延を行って、中空素管とする。つづいて、この中空素管の内面にマンドレルバーを串状に挿入し、通常5〜8スタンドからなるマンドレルミルを用いて中空素管の外面を孔型圧延ロールで拘束しながら延伸圧延を行って、素管を所定の値まで減肉する。減肉された素管からマンドレルバーを引き抜き、絞り圧延機を用いて所定の外径へ成形圧延することにより、継目無鋼管を製造する。
延伸圧延を行うマンドレルミルには、マンドレルバーの軸方向への動きを拘束しないフルロートマンドレルミルと、マンドレルミルの入側に配置したバーリテイナによってマンドレルバーの後端を保持することによりマンドレルバーの軸方向への速度(本明細書では「保持速度」ともいう)を一定に保つリテインドマンドレルミルとがある。前者のフルロートマンドレルミルを用いた場合、不可避的にマンドレルバーの速度変動が生じて、素管の寸法が変動し易い。このため近年では、この延伸圧延には、後者のリテインドマンドレルミルが多用される。
特許文献1には、マンドレルバーの保持速度が、各ロールスタンドにおける入口圧延速度の0.25倍以上、かつ出口圧延速度の1.5倍以下の値としてリテインドマンドレルミルを用いて延伸圧延することにより、被圧延材の内面品質を向上する発明が開示される。
特開平8−294711号公報
本発明者は、5%以上のCrを含有する高合金鋼からなる中空素管を、この特許文献1により開示された発明に基づいてリテインドマンドレルミルを用いて延伸圧延すると、延伸圧延を終了した後に被圧延材からマンドレルバーを引き抜き難くなる現象(本明細書では「マンドレルバーの引き抜き不良」という)が発生することを見出した。
マンドレルバーの引抜き不良は、リテインドマンドレルミルを用いる延伸圧延工程の生産性を大幅に低下させる原因の一つとなる。このため、5%以上のCrを含有する高合金鋼からなる継目無鋼管を工業的規模で量産するためには、必ず解決しなければならない極めて重要な技術課題である。
本発明は、延伸圧延時におけるマンドレルバーの軸方向への速度を一定に保つリテインドマンドレルミルを用い、マンドレルバーの保持速度Vb、リテインドマンドレルミルの入側における被圧延材の速度Vi、及びリテインドマンドレルミルの出側における被圧延材の速度Veが、0.15≦Vb/{(Vi十Ve)/2}≦0.5の関係を満足するようにして、被圧延材に延伸圧延を行うことによって、Crを5%以上含有する高合金鋼からなる継目無鋼管を製造することを特徴とする継目無鋼管の製造方法である。
本発明によれば、Crを5%以上含有する高合金鋼からなる被圧延材の延伸圧延後におけるマンドレルバーの引き抜き不良を効果的に抑制するとともに、このマンドレルバーの寿命を大幅に延長できる。そして、本発明によれば、Crを5%以上含有する高合金鋼からなる継目無鋼管を工業的規模で確実に量産することができるようになる。
本発明に係る継目無鋼管の製造方法を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態では、はじめに、Crを5%以上含有する高合金鋼からなる素材である丸ビレット又は角ビレットを、回転炉床式加熱炉に装入して1200〜1260℃に加熱する。そして、この素材を加熱炉から抽出し、穿孔機を用いて穿孔圧延を行って中空素管を製造する。
この中空素管の製造は、周知慣用の手段によればよい。このような手段は当業者には周知であるので、この工程に関するこれ以上の説明は省略する。
次に、この中空素管の内面にマンドレルバーを串状に挿入し、通常5〜8スタンド(本実施の形態では5スタンド)からなるリテインドマンドレルミルを用いて、中空素管の外面を孔型圧延ロールで拘束しながら延伸圧延を行うことにより、素管を所定の値まで減肉する。
延伸圧延を行うリテインドマンドレルミルの入側には、マンドレルバーの後端を保持するためのバーリテイナが配置される。延伸圧延時には、マンドレルバーはこのバーリテイナによってマンドレルバーの後端を保持される。これにより、延伸圧延時におけるマンドレルバーの軸方向への速度(保持速度)Vbが一定に保たれる。
本実施の形態では、この延伸圧延時におけるマンドレルバーの保持速度Vb、リテインドマンドレルミルの入側における被圧延材の速度Vi、及びリテインドマンドレルミルの出側における被圧延材の速度Veが、0.15≦Vb/{(Vi十Ve)/2}≦0.70の関係を満足するようにして、被圧延材に延伸圧延を行う。そこで、この関係を満足して延伸圧延を行う理由を説明する。
本発明者は、延伸圧延時におけるマンドレルバーの保持速度Vb、リテインドマンドレルミルの入側における被圧延材の速度Vi、及びリテインドマンドレルミルの出側における被圧延材の速度Veが特定の条件になるようにすれば、延伸圧延終了後の被圧延材(本明細書では「シェル」ともいう)と、マンドレルバーとが接触している部分(本明細書では「オーバーラップ部」という)の長さを適切に設定することができ、マンドレルバーの引き抜き不良を効果的に抑制することができるとともに、マンドレルバーの寿命の低下も抑制できることを見出した。
つまり、このオーバーラップ部は、接触するマンドレルバーによって抜熱されるため、温度低下が大きくなる。これにより、オーバーラップ部は熱収縮して外径が小さくなる。このため、マンドレルバーの引き抜き不良が発生する。
ここで、シェルの長さに対するオーバーラップ部の長さの比率(本明細書では「オーバーラップ率」という)を算出する手法を説明する。
図1(a)〜図1(d)は、1〜5stdの5スタンドからなるリテインドマンドレルミル1におけるマンドレルバー2及び被圧延材3の挙動を経時的に示す説明図である。なお、図1では、マンドレルバー2の後端2aを保持するために配置されるバーリテイナは、図1を簡略化して理解を容易にするために、省略してある。
図1(a)に示すように、リテインドマンドレルミル1を用いた延伸圧延が行われる前の被圧延材3(以下、適宜「母管」という)の長さをSiとする。また、図1(d)に示すように、リテインドマンドレルミル1を用いた延伸圧延が行われた後の被圧延材(シェル)3の長さをSeとする。さらに、図1(a)〜図1(d)において、リテインドマンドレルミル1の延伸比をEL(EL=Se/Si)とし、リテインドマンドレルミル1の入側における被圧延材(母管)3の速度をViとし、リテインドマンドレルミル1の出側における被圧延材(シェル)3の速度をVe(Ve=Vi×EL)とし、マンドレルバー2の保持速度をVbとする。
図1(c)に示すように、被圧延材3の先端が第5スタンド5stdの孔型圧延ロールに噛み込んだ状態から、図1(d)に示すように被圧延材3の後端が第5スタンド5stdの孔型圧延ロールを通過する状態に至るまでの間におけるリテインドマンドレルミル1の平均圧延速度は(Vi十Ve)/2である。また、図1(c)に示す状態から図1(d)に示す状態に至るまでの圧延時間はSe/{(Vi+Ve)/2}である。
したがって、図1(c)に示す状態から図1(d)に示す状態に至るまでの延伸圧延時にマンドレルバー2が進行する長さ△Lは、△L=Vb×Se/{(Vi+Ve)/2}により表される。
図1(c)において、マンドレルバー2のうちで被圧延材3の先端から突き出ている部分の長さ(突き出し長)をL5とすると、図1(d)に示すオーバーラップ長Lは、L=L5+△Lとして表される。そして、突き出し長L5を経験的にL5≒0と近似すると、L≒△L=Vb×Se/{(Vi+Ve)/2}となる。したがって、オーバーラップ率Kは、下記(2)式により表す。
K=L/Se≒Vb×Se/{(Vi+Ve)/2}/Se
=Vb/{(Vi+Ve)/2} ・・・・・・・(2)
発明者は、この式:K=Vb/{(Vi+Ve)/2}により求められるオーバーラップ率Kが大きくなると、早期に温度低下するため、その分だけマンドレルバー2の引き抜き不良が発生し易くなり、オーバーラップ率Kが小さくなると、早期の温度低下が抑制され、マンドレルバー2の引き披き不良が抑制されることを見出した。
さらに、オーバーラップ率Kを小さくし過ぎると、マンドレルバー2の摩耗、肌荒れさらには割れ、あるいはシェル3との焼き付き等が生じ易くなり、マンドレルバー2の寿命が低下することも見出した。
すなわち、オーバーラップ率Kを小さくし過ぎると、マンドレルバー2の狭い範囲で延伸圧延を行うことになり、マンドレルバー2の単位長さ(或いは単位面積)当たりの仕事量が部分的に増加することになる。このため、マンドレルバー2には摩耗や肌荒れ等が生じ易くなる。
また、後述するように、オーバーラップ率Kは、リテインドマンドレルミル1における平均圧延速度に反比例する。このため、この平均圧延速度とマンドレルバー2の保持速度との相対的な速度差を大きくすることによってオーバーラップ率Kを小さくし過ぎると、マンドレルバー2と被圧延材3との摩擦が大きくなる。このため、マンドレルバー2には、摩耗や肌荒れ等が生じ易くなる。
このように、オーバーラップ率Kには、マンドレルバー2の引き抜き性を確保するために好ましい上限値が存在するとともに、マンドレルバー2の寿命の低下を抑制するために好ましい下限値が存在する。
図2は、オーバーラップ率Kを0.1から0.8の範囲で変更して13%Cr鋼からなる被圧延材に延伸圧延を行って継目無鋼管を製造した場合において、オーバーラップ率Kと、ミスロールの発生率{=(マンドレルバー引抜不良が発生した本数/被圧延材の本数)×100}、又は同一のマンドレルバーを用いて50本の圧延材を圧延した後におけるマンドレルバーの表面の粗さRaとの関係を示すグラフである。
図2にグラフで示すように、オーバーラップ率Kを0.70よりも大きくすると、マンドレルバーの引き抜き性が悪化することがわかる。一方、オーバーラップ率Kを0.15よりも小さくすると延伸圧延後のマンドレルバーの表面の粗さが大きくなり、マンドレルバーの寿命が低下することがわかる。
図2にグラフで示すように、オーバーラップ率Kが0.70以下であれば、5%以上のCrを含有する高合金鋼からなる被圧延材3の延伸圧延後に発生するマンドレルバー2の引き抜き不良を効果的に抑制することができるとともに、オーバーラップ率Kが0.15以上であれば、マンドレルバー2の寿命の低下を抑制することができる。
同様の観点から、オーバーラップ率Kの上限は0.6であることがのぞましく、0.5であることがさらに望ましい。一方、オーバーラップ率Kの下限は0.2であることがのぞましく、0.3であることがさらに望ましい。
オーバーラップ率Kを0.15以上0.70以下の範囲とするには、リテインドマンドレルミル1のバーリテイナによって後端を保持されるマンドレルバー2の移動速度Vb、リテインドマンドレルミルの入側における被圧延材の速度Vi、又はリテインドマンドレルミルの出側における被圧延材の速度Veの少なくとも一の値を制御すればよい。
本実施の形態では、このようにして延伸圧延を行われて減肉された被圧延材3からマンドレルバー2を引き抜く。この際、本実施の形態によれば、オーバーラップ率Kを0.15以上0.70以下として延伸圧延を行っているので、被圧延材3の延伸圧延後に発生するマンドレルバー2の引き抜き不良を効果的に抑制することができるとともにこのマンドレルバー2に生じる損傷を抑制してその寿命を延長することができる。
そして、本実施の形態では、引き抜き不良を生じることなくマンドレルバー2を引き抜かれた被圧延材3に絞り圧延機を用いて所定の外径への成形圧延を行う。このようにして、本実施の形態によれば、Crを5%以上含有する高合金鋼からなる継目無鋼管を工業的規模で確実に量産することができる。
本発明を、実施例を参照しながらさらに具体的に説明する。
外径350mm、肉厚27.55mm、長さ9849mmの寸法を有するとともに、Cr:13%、Ni:6%を含有する鋼組成を有する母管を、リテインドマンドレルミルを用いて、外径295mm、肉厚12.55mm、長さ24685mmのシェルに延伸圧延した。
表1には、この延伸圧延におけるリテインドマンドレルミル1の入側における母管の速度Vi(mm/sec)、リテインドマンドレルミルにおける延伸比EL(EL=Se/Si)、リテインドマンドレルミルの出側におけるシェルの速度Ve(Ve=Vi×EL;mm/sec)、及びマンドレルバーの保持速度Vb(mm/sec)を、オーバーラップ率K=Vb/{(Vi+Ve)/2}、引抜き性及びバー損傷状況とともに、まとめて示す。
本実施例では、表1における母管の速度Vi(mm/sec)、延伸比EL及びシェルの速度Ve(mm/sec)は各条件について一定の値に設定するとともに、マンドレルバーの保持速度Vbを500〜2600mm/secの範囲で変更した。そして、オーバーラップ率Kが0.15以上0.70以下の範囲となるものを本発明とし、この範囲から外れるものを比較例とした。
また、表1における「引き抜き性」は、ミスロールの発生率が0.1%未満のものを○印で示し、ミスロールの発生率が0.1%以上1.0%以下のものを△印で示し、さらに、ミスロールの発生率が1%を超えるものを×印で示す。
さらに、表1における「バー損傷」は、同一のマンドレルバーを用いて50本の被圧延材を延伸圧延した後におけるマンドレルバーの表面の粗さRaが3μm未満であるものをO印で示し、3μm以上7μm以下であるものを△印で示し、さらに7μmを超えるものを×印で示す。
Figure 0004706971
表1に示すように、オーバーラップ率Kが0.15以上0.70以下の範囲であれば、引き抜き性及びバー損傷のいずれについても良好な結果が得られるのに対し、オーバーラップ率Kがこの範囲を満足しないと、引き抜き性又はバー損傷のいずれか一方が不芳な結果となることがわかる。
外径337mm、肉厚41.03mm、長さ5473mmの寸法を有するとともに、Cr:18%、Ni:8%を含有する鋼組成を有する母管を、リテインドマンドレルミルを用いて、外径295mm、肉厚31.03mm、長さ8115mmのシェルに延伸圧延した。
表2には、上述した表1に記載した事項と同じ事項の値を示す。本実施例でも表2における母管の速度Vi(mm/sec)、延伸比EL及びシェルの速度Ve(mm/sec)は各条件について一定の値に設定するとともに、マンドレルバーの保持速度Vbについては実施例1とは異なり、250〜1400mm/secの範囲で変更した。実施例1と同様に、試験結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004706971
表2に示すように、オーバーラップ率Kが0.15以上0.70以下の範囲であれば、引き抜き性及びバー損傷のいずれについても良好な結果が得られるのに対し、オーバーラップ率Kがこの範囲を満足しないと、引き抜き性又はバー損傷のいずれか一方が不芳な結果となることがわかる。
図1(a)〜図1(d)は、5スタンドからなるリテインドマンドレルミルにおけるマンドレルバー及び被圧延材の挙動を経時的に示す説明図である。 オーバラップ率Kを0.1から0.8の範囲で変更して13%Cr鋼からなる被圧延材に延伸圧延を行って継目無鋼管を製造した場合において、オーバラップ率Kと、ミスロールの発生率{=(ミスロールが発生した本数/被圧延材の本数)×100}、又は同一のマンドレルバーを用いて50本の圧延材を圧延した後におけるマンドレルバーの表面の粗さRaとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 リテインドマンドレルミル
2 マンドレルバー
2a 後端
3 被圧延材

Claims (2)

  1. 延伸圧延時におけるマンドレルバーの軸方向への速度を一定に保つリテインドマンドレルミルを用い、前記マンドレルバーの保持速度(Vb)、前記リテインドマンドレルミルの入側における被圧延材の速度(Vi)、及び該リテインドマンドレルミルの出側における被圧延材の速度(Ve)が下記(1)式を満足するようにして、該被圧延材に延伸圧延を行うことによって、Crを5質量%以上含有する高合金鋼からなる継目無鋼管を製造することを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
    0.15≦Vb/{(Vi十Ve)/2}≦0.5 ・・・・・・・(1)
  2. 前記マンドレルバーの速度(Vb)、前記リテインドマンドレルミルの入側における被圧延材の速度(Vi)、又は該リテインドマンドレルミルの出側における被圧延材の速度(Ve)の少なくとも一の値を制御することにより、前記(1)式を満足する請求項1に記載された継目無鋼管の製造方法。
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