JP4707326B2 - 硬化性樹脂エンボス化粧板の製造方法 - Google Patents
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Description
(2)ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いた化粧フィルムを(フィルム製膜時、或いは化粧フィルムに加工した後)加熱軟化させ、エンボス版を押圧して、化粧フィルムに凹凸模様を賦形し、これを鋼板等の基板に貼付けて化粧板とする方法。
(3)金属等からなる基板に、塗装(常温硬化型樹脂塗料、熱硬化性樹脂塗料等)を施した塗装板に、エンボス版を押圧して、基板ごと賦形して化粧板とする方法。
(4)基板上にポリエチレン等の熱可塑性樹脂層をエンボス加工時に変形可能な受容層として設けた上で、この上に熱硬化性樹脂塗料を塗布し加熱し完全硬化状態(或いは不完全硬化状態)の塗膜に対して、塗膜表面からエンボス加工で熱可塑性樹脂層にまで至る凹凸模様を賦形して化粧板とする方法(特許文献1)。
(5)シルクスクリーン印刷による盛上げ印刷で、インキの厚みを利用して凹凸模様を賦与させて化粧板とする方法。
また、上記(2)の熱可塑性樹脂の化粧フィルムを用いた形態でも、熱可塑性樹脂に一般的な塩化ビニル樹脂を用いれば上記(1)と同様の考慮が必要となる。そこで、基板が鋼板の場合等では、熱可塑性樹脂にオレフィン樹脂を用いた化粧フィルムを使用するのが一般的であるが、加工性が悪く、燃焼性試験における着火等の防火性が劣るという問題を解決する必要が有る。
また、上記(1)及び(2)共に、エンボス加工後、再度、加工時、環境下の加熱より、残留応力が解放され凹凸模様が平坦化する傾向があり、また、表面の耐擦傷性等の耐久性も不足気味となる。
また、上記(4)の形態では、上記(1)〜(3)の課題をまとめて解決し、凹凸模様の賦形性、凹凸模様の耐熱堅牢度、難燃性、及び環境安全性を兼備させることを目差すものであったが、現実には、熱硬化性樹脂の塗膜と基板間に介在させる熱可塑性樹脂層は、その上に施す塗膜の硬化時の加熱により、再度、軟化・流動して残留応力を解放し、凹凸模様は平坦化する。また、熱可塑性樹脂層は加熱時の流動性が良すぎて、薄い塗膜が過剰に変形して、硬化性樹脂からなる塗膜にエンボス加工時に亀裂を生じ易い。更に、塗膜を完全硬化させる場合は、該亀裂が更に生じ易い。
また、上記(5)のシルクスクリーン印刷による凹凸模様では、凹凸模様の凹部は印刷面が露出し、凹部は印刷面にする基調塗膜面が露出し凹部の基調色と凸部(凹凸模様)の印刷色とのコントラストが影の様に表現される事で奥行き感の有る意匠を得られるが、木目柄では導管が太くなり、繊細な凹凸感は得られない等、凸部と凹部の境界が不自然に強調されて感じられて粗雑な凹凸意匠感となり、高級感は得られない。
(2)また、基板に予め特定の下塗塗膜を設ければ、プライマー層として機能させて上塗塗膜と基板との密着性向上も図れる。しかも、凹凸模様の形状の耐久性も得られる。
(3)また、下塗塗膜はプライマー層、上塗塗膜は着色層として、上塗塗膜の凹凸模様に於ける凸部上のみに上塗塗膜とは別色調のインキ層を設ければ、インキ層で意匠全体の基調色等を表現できる上、凹凸模様と位置同調した絵柄を再現出来、高級感を付与できる。また、従来からある塗装品や化粧フィルムラミネート品に似た意匠表現を、熱硬化性樹脂塗膜でも可能となる。
基板1としては、エンボス加工時の熱や、上塗塗膜や下塗塗膜の加熱硬化時の熱に、耐え得る耐熱性を備えるものであれば基本的には特に制限は無く、例えば従来公知の化粧板に於ける各種材料を、用途に応じて適宜採用すれば良い。従って、例えば、基板の材料としては、金属系、無機非金属系(セラミック系、非セラミックス窯業系等)が代表的であるが、この他、木質系、耐熱性が許せば樹脂系等でも良い。また、基板はこれらの混合系、積層物等の複合系等でも良い。なお、基板の形状は、板状が代表的であるが、この他、立体物等でもよい。
下塗塗膜2は、基板1に上塗塗膜3を施す前に予め形成し、基板1と上塗塗膜間に介在させる層である。本発明では、基板と上塗塗膜間に樹脂層を介在させる場合に於いて、熱可塑性樹脂の層としてでは無く、この下塗塗膜2を熱硬化性樹脂の通常は完全硬化状態の層として形成しておく。また下塗塗膜はその密着性向上等の目的から厚みが通常最大でも10μm程度でもあるので、下塗塗膜をエンボスの受容層としては機能させる事が出来ないが、その代わりに、基板と上塗塗膜間に熱可塑性樹脂層を介在させてこれをエンボスの受容層とする構成に対して、エンボス加工で形成する凹凸模様は、その形状の耐久性が良好となる。
上塗塗膜3は、その塗膜にエンボス加工によって凹凸模様が賦形される層である。本発明は、上記した下塗塗膜を設ける場合でも、該下塗塗膜は、エンボス加工時の熱及び応力で流動しない程度に硬化させ、この硬化状態の下塗塗膜の上に、上塗塗膜を形成してエンボス加工することにより、エンボス時の上塗塗膜の過剰な変形による亀裂発生等を解消し、また、その代わり上塗塗膜の厚みを凹凸模様の凹部での深さ(凸部と凹部との高低差)よりも大とし、上塗塗膜は不完全硬化状態としておけば、支障無く凹凸模様をエンボス加工で賦形すること可能であると判明して、本発明に至ったものである。
なお、本発明で不完全硬化状態とは、硬化反応の進行度が0%超過且つ100%未満の状態であり、更に尚且つ、(エンボス版に上塗塗膜が取られない様に)指触乾燥状態を呈する状態を意味する。
なお、塗膜中の固形分(顔料等の添加量)量により固化塗膜の形成速度が異なり、固形分が少ない方が固化塗膜形成は比較的早くなる傾向が有る。この場合、硬化を遅らせる物質(例えば、塩基性触媒等)を添加する事で固化塗膜の形成を遅らせる事が出来る。
なかでも、インキ層を設ける場合に、インキ層は着色層として、この上塗塗膜もインキ層とは別色調の着色層として設ける形態は、意匠表現上、好ましい形態の一つである。なお、上塗塗膜を着色するには、公知の着色剤を適宜使用することができる。公知の着色剤としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、黄鉛、酸化クロム、群青、メタリック顔料、パール顔料等を用いることができる。
なお、上塗塗膜の厚みは、エンボス加工で形成する凹凸模様の凹部の深さ(凸部と凹部の高低差)よりも大きな厚みとすれば良い。従って、上塗塗膜の厚みは、凹部の深さにもよるが、例えば10〜50μm程度である。
上記の様な不完全硬化状態とした熱硬化性樹脂からなる上塗塗膜の表面に、エンボス加工で凹凸模様を賦形するには、公知のエンボス版を用いた方法で良い。この際、エンボス版としては、平版のものでも良いが、ロール状のもの、つまりエンボスロールの方が連続生産性、及び広い面積にわたって連続した凹凸模様を賦形できる点で好ましい。また、エンボス加工時の温度条件は、不完全硬化状態とした上塗塗膜の、樹脂組成や硬化の進行度等による柔軟性、賦形する凹凸模様の凹部深さ等にもよるが、例えば、エンボス版に実用的なエンボスロールを用いる場合で、凹凸模様を賦形するのに適した賦形直前の上塗塗膜の温度を、120〜130℃程度とするのが望ましい。上塗塗膜の温度がこの温度範囲より低くなると、熱による上塗塗膜の軟化度合いが低下し、柔軟性が低下する為にエンボス版で加圧しても、凹凸模様が賦形され難くなる。また、上塗塗膜の温度がこの温度範囲よりも高くなると、今度は硬化反応の進みすぎてこれにより上塗塗膜の軟化度合いが低下し、柔軟性が低下する為にエンボス版で加圧しても、凹凸模様が賦形され難くなる。
また、凹部の深さが同じでも、凹部での上塗塗膜の厚みt=0であると、該厚みt>0の場合に比べて、凹部で排除された上塗塗膜の樹脂が、凹部周縁部で隆起し、凹部の形状が崩れる。また、厚みtが0(ゼロ)に近づくにつれて、凹部での上塗塗膜は実際には薄膜となり、一部は基板上に残留するが、その一部はエンボス版の凸部に移行して版汚れとなる上、この現象は再現性が無く不安定で、化粧板の外観不良につがなる。
図1(B)に例示する化粧材10の如く、インキ層5を、上塗塗膜3に賦形された凹凸模様4に於ける凸部4a上(天面)のみに設けると、より一層意匠性を高められる。インキ層を凸部上のみに選択的に形成するには、グラビアオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写印刷、或いはロールコート等の公知の印刷法乃至は塗工法を適宜選択すればよい。なお、本発明の説明にて、「凸部上のみ」とは厳密な意味では無く、凹部の一部にインキ層が形成されていても良い。例えば、凸部上から凹部の一部にまでインキ層のインキが流れ込むこともあり、また意匠表現上、意識的にインキを凹部の一部にまで流し込ませることもある。この様な場合も含めて凸部と凹部との両方を含めた全表面の意味の対語として「凸部上のみ」と表現したものである。なお、意匠表現上の例示としては、凸部上のみのインキ層として、凸部上のインキ層の色調と、凹部で見える上塗塗膜の色調との色差が大きいと、柄が抜けた様な感じになり意匠感が低下することがあるために、あえて凹部の一部までインキが入り込む様に形成する等である。
インキ層を設ける時期は、エンボス加工後、上塗塗膜の熱硬化性樹脂を、完全硬化させる前でも、完全硬化させた後でも、どちらでも良い。但し、更にインキ層の上に、オーバーコート層等として熱硬化性樹脂の表面保護層を設ける場合等も含めて、最後に複数の不完全硬化状態の各層をまとめて完全硬化させるのであれば、完全硬化前にインキ層は形成するのが、硬化工程数の省略、層間密着性等の点で好ましい。
本発明では、上記した層以外に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、適宜その他の層を追加しても良い。例えば、最表面にオーバーコート層(或いはオーバープリント層)等と呼ばれる表面保護層の追加である。
表面保護層の形成は、塗工法や印刷法等の公知の形成方法で形成すれば良い。塗工法としては、例えば、ロールコート、フローコート、スプレーコート等、印刷法としては、例えば、グラビアオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、等である。そして、熱硬化性樹脂の表面保護層は、塗料を施した後、例えば200℃以上の温度で焼付け乾燥させて完全硬化状態の塗膜として形成する。なお、表面保護層の厚みは、用途に応じた適宜厚みとすれば良く、1〜50μm程度だが、通常は1〜10μm程度である。また、表面保護層の厚みが厚くなるほど、表面保護層の下となる凹凸模様は内部凹凸模様として感じられ、内部凹凸模様の意匠にも出来る。なお、表面保護層で凹凸模様の凹凸形状を完全に埋め尽くしても良い(内部凹凸模様となる)。また、厚みは図2の如く全面(ほぼ)均一でも良いし、特に(着色した場合には)凸部よりも凹部により多量に流込み、充填して凹部を相対的に凸部より濃色としても良い。
本発明による化粧板の用途は、特に制限されるものではない。用途に応じた基板の材質や形状、その他構成を採用することで、各種用途に使用し得る。例えば、壁面、天井等の建築物の内外装材、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、電気製品等のキャビネット等である。なかでも特に、塩化ビニル樹脂系の塗料や樹脂フィルムを基板に施した化粧板の従来用途は、環境配慮型製品として好適な用途である。
図2(A)の断面図に示す様な化粧板10を次の様にして作製した。先ず、基板1として厚み0.6mmの電気亜鉛めっき系鋼板に、熱硬化性ポリエステル樹脂系プライマーをロールコートして厚み3μmの下塗塗膜2を塗布後、加熱乾燥した(樹脂は不完全硬化状態)。次いで、平均分子量8000のポリエステル樹脂を用いた熱硬化性ポリエステル樹脂系着色塗料(弁柄を主体とする顔料を添加して褐色に着色)を、カーテンフローコータにより、乾燥時厚み40μmとなる様に塗布後、塗膜温度140℃で加熱乾燥し、塗膜を不完全硬化状態とした上塗塗膜3を形成した。
図2(B)の断面図に示す様な化粧板10を次の様にして作製した。先ず、基板1として厚み0.6mmの電気亜鉛めっき系鋼板に、熱硬化性ポリエステル樹脂系プライマーをロールコートして厚み5μmの下塗塗膜2を塗布後、加熱乾燥した(樹脂は不完全硬化状態)。次いで、平均分子量8000のポリエステル樹脂を用いた熱硬化性ポリエステル樹脂系の黒色塗料(カーボンブラックを添加し黒色に着色)をカーテンフローコータにより、乾燥時厚み40μmとなる様に塗布後、塗膜温度145℃で加熱乾燥し、塗膜を不完全硬化状態させて上塗塗膜3を形成した。
2 下塗塗膜
3 上塗塗膜
4 凹凸模様
4a 凸部
4b 凹部
5 インキ層
6 表面保護層
10 硬化性樹脂化粧板
t 凹部での塗膜厚み
Claims (1)
- 基板上に予め、熱硬化性樹脂からなる下塗塗膜をプライマー層として形成し、
熱可塑性樹脂層は介さずに、熱硬化性樹脂からなる上塗塗膜を着色層として且つ不完全硬化状態として形成した後、該上塗塗膜の表面にエンボス版を押圧するエンボス加工により、凹凸模様の凹部に於いても該上塗塗膜が有限の塗膜厚みを有する凹凸模様を賦形し、
上塗塗膜の熱硬化性樹脂が未だ完全硬化しない間に、上塗塗膜の凹凸模様に於ける凸部上のみに上塗塗膜と別色調のインキ層を形成し、
この後、少なくとも該上塗塗膜中の熱硬化性樹脂を熱により完全硬化させる、硬化性樹脂エンボス化粧板の製造方法。
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