以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る自動変速機1は、エンジン出力軸2に入力側が連結されるトルクコンバータ3と、該トルクコンバータ3の出力側に設けられた変速機構4とを有し、該変速機構4の出力側に設けられたディファレンシャル装置5及び左右の車軸6,6が備えられている。
前記トルクコンバータ3は、エンジン出力軸2に連結されたケース31内に固設されたポンプ32と、該ポンプ32に対向状に配置されて該ポンプ32により作動油を介して駆動されるタービン33と、該ポンプ32とタービン33との間に介設され、かつ、変速機ケース10にワンウェイクラッチ34を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ35と、前記ケース31とタービン33との間に設けられ、該ケース31を介してエンジン出力軸2とタービン33とを直結するロックアップクラッチ36とで構成されている。また、このトルクコンバータ3の反エンジン側には、該トルクコンバータ3のケース31を介してエンジン出力軸2に駆動されるオイルポンプ7が配置されている。
一方、前記変速機構4は、前記タービン33の回転が入力される入力軸11と、該入力軸11と平行に配置された第1出力軸12、副軸13、第2出力軸14、及びリバースアイドル軸15とを有している。
そして、前記各軸11〜15を中継する動力伝達用歯車列20が設けられ、前記入力軸11とリバースアイドル軸15との間には後退速用歯車列27が構成され、また、前記入力軸11と第1出力軸12との間には、6速用歯車列26と2/後退速用歯車列22とが構成されている。さらに、前記副軸13と第2出力軸14との間には、5速用歯車列25と1速用歯車列21とが構成されている。
前記入力軸11には、第1歯車41が固設され、前記第1出力軸12には該第1歯車41に常時噛合う第2歯車42が遊嵌支持され、前記副軸13には該第2歯車42に常時噛合う第3歯車43が固設され、前記第2出力軸14には該第3歯車43に常時噛合う第4歯車44が遊嵌支持されており、これらの第1〜第4歯車41〜44により前記動力伝達用歯車列20が構成されている。
また、前記入力軸11には、第1クラッチ51が設けられている。図2に示すように、該クラッチ51は、入力軸11に固設された第1クラッチドラム51aと、入力軸11に遊嵌支持された第1クラッチハブ51bとを有し、該クラッチドラム51aとクラッチハブ51bとの間には、これらを締結するための複数の摩擦板51cが介設されている。また、クラッチドラム51aにはピストン51dが移動可能に配置され、該ピストン51dのエンジン側に油圧室51eが設けられている。また、入力軸11にはシールプレート51fが固設され、前記ピストン51dは該プレート51fに一端が支持されたリターンスプリング51gによりエンジン側に付勢されている。また、ピストン51dとシールプレート51fとの間に遠心バランス室51hが形成され、該バランス室51hの油圧が前記油圧室51eの遠心油圧をキャンセルするようになっている。また、入力軸11の内部には油路11a,11bが設けられ、これらの油路11a,11bがそれぞれ前記油圧室51d及び遠心バランス室51hに連通している。そして、油圧室51dへの油圧の供給によりピストン51dがリターンスプリング51gに抗して摩擦板51cに押付けられ、クラッチ51が締結状態になる。
そして、前記第1クラッチハブ51bには、第1連結部材28が固設され、該第1連結部材28には、前記6速用歯車列26を構成する6速用駆動歯車26aが設けられていると共に、2−後退速用同期装置61のハブ部61aが設けられている。図3に示すように、2−後退速用同期装置61は、ハブ部61aと、その外周側に配置されたスリーブ61bと、シンクロナイザリング61c,61cと、前記スリーブ61bの移動を制御するサーボ機構61dとを有している。該サーボ機構61dは、シリンダ61d1の内部に摺動可能にピストン61d2が配置された構造であって、該ピストン61d2の前後に形成された油圧室61d3,61d4に油圧の給排を行うことによって前記ピストン61d2の移動が制御される。そして、ピストン61d2には、シリンダ61d1外部に貫通するロッド61d5が固設され、該ロッド61d5の先端には、前記スリーブ61bに係合するシフトフォーク61eが取り付けられている。
一方、前記6速用駆動歯車26aと2−後退速用同期装置61との間には、前記後退速用歯車列27を構成する第1後退速用駆動歯車27aが遊嵌支持されている。また、2−後退速用同期装置61の反エンジン側には、前記2/後退速用歯車列22を構成する2速用駆動歯車22aが遊嵌支持されている。そして、第1後退速用駆動歯車27a及び2速用駆動歯車22aには、前記2−後退速用同期装置61のスリーブ61bに噛合うクラッチギヤ27a′,22a′がそれぞれ設けられている。
一方、前記リバースアイドル軸15には、前記後退速用歯車列27を構成すると共に前記第1後退速用駆動歯車27aに噛合う第1後退速用被動歯車27bが固設され、該第1後退速用被動歯車27bの反エンジン側に前記2/後退速用歯車列22を構成する第2後退速用駆動歯車22bが固設されている。
また、前記第1出力軸12には、エンジン側端部に第1ファイナルドライブギヤ12aが設けられている。そして、前記6速用歯車列26を構成すると共に前記6速用駆動歯車26aに噛合う6速用被動歯車26bと、前記2/後退速用歯車列22を構成すると共に前記2速用駆動歯車22a及び前記第2後退速用駆動歯車22bに噛合う2/後退速用被動歯車22cとが遊嵌支持されている。さらに、6速用被動歯車26bと2/後退速用被動歯車22cとの間には、ハブ部62aが第1出力軸12にスプライン結合された2/後退−6速用同期装置62が配設されている。また、6速用被動歯車26b及び2/後退速用被動歯車22cには、前記2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bに噛合うクラッチギヤ26b′,22c′がそれぞれ設けられている。なお、2/後退−6速用同期装置62は図3に示したものと同様の構成である。
さらに、第2歯車42と該第1出力軸12との動力伝達状態を切換える第2クラッチ52が設けられている。該クラッチ52は、第1出力軸12に固設された第2クラッチドラム52aと、第2歯車42に固設された第2クラッチハブ52bとを有し、該クラッチドラム52aとクラッチハブ52bとの間には、これらを締結するための複数の摩擦板52cが介設されている。なお、第2クラッチ52の詳細構成は前記第1クラッチ51と同様である。
一方、前記副軸13には、該副軸13からの動力伝達状態を切換える第3クラッチ53が設けられている。該クラッチ53は、副軸13に固設された第3クラッチドラム53aと、副軸13に遊嵌支持された第3クラッチハブ53bとを有し、該クラッチドラム53aとクラッチハブ53bとの間には、これらを締結するための複数の摩擦板53cが介設されている。なお、第3クラッチ53の詳細構成は前記第1クラッチ51と同様である。そして、前記第3クラッチハブ53bには、第2連結部材29が固設され、該第2連結部材29には、前記5速用歯車列25を構成する5速用駆動歯車25aと前記1速用歯車列21を構成する1速用駆動歯車21aとが設けられている。
また、前記第2出力軸14には、エンジン側端部に第2ファイナルドライブギヤ14aが設けられている。また、前記5速用歯車列25を構成すると共に前記5速用駆動歯車25aと噛合う5速用被動歯車25bと、前記1速用歯車列21を構成すると共に前記1速用駆動歯車21aと噛合う1速用被動歯車21bとが遊嵌支持されている。5速用被動歯車25bと1速用被動歯車21bとの間には、ハブ部63aが第2出力軸14にスプライン結合された1−5速用同期装置63が配設されている。そして、5速用被動歯車25b及び1速用被動歯車21bには、前記1−5速用同期装置63のスリーブ63bに噛合うクラッチギヤ25b′,21b′がそれぞれ設けられている。なお、1−5速用同期装置63は図3に示したものと同様の構成である。
さらに、第4歯車44と第2出力軸14との動力伝達状態を切換える第4クラッチ54が設けられている。該クラッチ54は、第2出力軸14に固設された第4クラッチドラム54aと、第4歯車44に固設された第4クラッチハブ54bとを有し、該クラッチドラム54aとクラッチハブ54bとの間には、これらを締結するための複数の摩擦板54cが介設されている。なお、第4クラッチ54の詳細構成は前記第1クラッチ51と同様である。
ところで、図4に示すように、前記第1、第2ファイナルドライブギヤ12a,14aは、それぞれディファレンシャル装置5に設けられたファイナルドリブンギヤ5aに噛合っている。第1、第2ファイナルドライブギヤ12a,14aの一方によりファイナルドリブンギヤ5aが駆動され、当該装置5を介して左右の車軸6,6が駆動されることになる。また、ファイナルドリブンギヤ5aの軸線上に配置された車軸6は、車両横置きの場合に、入力軸11の斜め後方に位置するように配置され、該車軸6の上方側に前記第2出力軸14が配置され、該第2出力軸14の前方側かつ入力軸11と車軸6との間に第1出力軸12が配置され、前記第1出力軸12の上方側に副軸13が配置された構成になっている。
次に、前記自動変速機1の制御系統は、図5に示すように、CPU100は、変速制御マップ101の情報、スロットル開度センサ102、及びエンジン回転数センサ103などからの信号を入力する。そして、これらの信号に基いて油圧制御回路110に制御信号を出力する。油圧制御回路110には、油圧の給排を制御する各種ソレノイドバルブなどが備えられている。
そして、油圧制御回路110は、第1〜第4クラッチ51〜54の油圧室への油圧の給排、及び2−後退速用同期装置61、2/後退−6速用同期装置62、1−5速用同期装置63に備えられたサーボ機構への油圧の給排を行うようになっている。
なお、前記第1クラッチ51は請求項1に記載の自動変速機の2速6速用クラッチに相当し、前記第2クラッチ52は同じく3速用クラッチに相当し、前記第3クラッチ53は同じく1速5速用クラッチに相当し、前記第4クラッチは同じく4速用クラッチに相当し、前記2/後退−6速用同期装置62は同じく2速6速選択用同期装置に相当し、前記1−5速用同期装置63は1速5速選択用同期装置に相当する。
次に、前記自動変速機1の1〜6速及び後退速における動力伝達経路について説明する。なお、各変速段に対応して、第1〜第4クラッチ51〜54の締結解放状態、及び2−後退速用同期装置61、2/後退−6速用同期装置62、1−5速用同期装置63のスリーブ位置の一覧を表1に示す。この表において、第1〜第4クラッチ51〜54の(●)は締結状態であることを示し、各同期装置61〜63の(●)はスリーブとクラッチギヤとが噛合って動力伝達状態であることを示し、(○)はスリーブとクラッチギヤとが噛合って待機している状態であることを示し、(★)は車速などを勘案して状況によっては待機することを示す。
まず、1速では、第3クラッチ53が締結状態に制御され、第1、第2、第4クラッチ51,52,54が解放状態に制御されると共に、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは第1後退速用駆動歯車27aのクラッチギヤ27a′に噛合った状態で待機し、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合った状態で待機し、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは1速用被動歯車21bのクラッチギヤ21b′に噛合った状態で動力を伝達する。
図6に示すように、このときの動力伝達経路としては、エンジンからの駆動力は、入力軸11から、第1〜第3歯車41〜43を介して副軸13に入力される。そして、副軸13に伝達された駆動力は、第3クラッチ53及び第2連結部材29を介して1速用歯車列21に伝達され、さらに1速用被動歯車21bのクラッチギヤ21b′から1−5速用同期装置63のスリーブ63b及びハブ部63aを介して第2出力軸14に出力される。1速では、第1歯車41と第3歯車43とで減速し、さらに1速用歯車列21で減速するようになっており、2段階で減速する構成になっている。
なお、1速において、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは、基本的には第1後退速用駆動歯車27aのクラッチギヤ27a′に噛合って待機するが、発進時や比較的高車速のときなどのシフトアップの可能性が高いときは、スリーブ61bは2速用駆動歯車22aのクラッチギア22a′に噛合って待機する。
次に、2速では、第1クラッチ51が締結状態に制御され、第2〜第4クラッチ52〜54が解放状態に制御されると共に、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは2速用駆動歯車22aのクラッチギヤ22a′に噛合った状態で動力を伝達し、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは、2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合った状態で動力を伝達し、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは1速用被動歯車21bのクラッチギヤ21b′に噛合った状態で待機する。
図7に示すように、このときの動力伝達経路としては、エンジンからの駆動力は、入力軸11から第1クラッチ51及び第1連結部材28を介して2−後退速用同期装置61のハブ部61aに伝達される。そして、ハブ部61aの駆動力は、スリーブ61bを介して2/後退速用歯車列22に伝達され、さらに2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′から2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62b及びハブ部62aを介して第1出力軸12に出力される。2速では、2速用駆動歯車22aと2/後退速用被動歯車22cとで減速するようになっている。
なお、2速において、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは、基本的には2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合って待機するが、シフトアップの可能性が高いときは、スリーブ62bは6速用被動歯車26bのクラッチギヤ26b′に噛合って待機する。
次に、3速では、第2クラッチ52が締結状態に制御され、第1、第3、第4クラッチ51,53,54が解放状態に制御されると共に、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは2速用駆動歯車22aのクラッチギヤ22a′に噛合った状態で待機し、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合った状態で待機し、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは1速用被動歯車21bのクラッチギヤ21b′に噛合った状態で待機する。
図8に示すように、このときの動力伝達経路としては、エンジンからの駆動力は、入力軸11から第1歯車41を介して第2歯車42に伝達される。そして、第2歯車42の駆動力は、第2クラッチ52を介して第1出力軸12に伝達される。3速では、第1歯車41と第2歯車42とで減速を行うようになっている。
なお、3速において、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは、基本的には2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合って待機するが、シフトアップの可能性が高いときは、スリーブ62bは6速用被動歯車26bのクラッチギヤ26b′に噛合って待機する。また、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは、基本的には1速用被動歯車21bのクラッチギヤ21b′に噛合って待機するが、シフトアップの可能性が高いときは、5速用被動歯車25bのクラッチギヤ25b′に噛合って待機する。
次に、4速では、第4クラッチ54が締結状態に制御され、第1〜第3クラッチ51〜53が解放状態に制御されると共に、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは2速用駆動歯車22aのクラッチギア22a′に噛合った状態で待機し、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合った状態で待機し、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは5速用被動歯車25bのクラッチギヤ25b′に噛合った状態で待機する。
図9に示すように、このときの動力伝達経路としては、エンジンからの駆動力は、入力軸11から第1〜第3歯車41〜43を介して第4歯車44に伝達される。そして、第4歯車の駆動力は、第4クラッチ54を介して第2出力軸14に伝達される。4速では、第1歯車41と第4歯車44とで増速するようになっている。
なお、4速において、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは、基本的には2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合って待機するが、シフトアップの可能性が高いときは、スリーブ62bは6速用被動歯車26bのクラッチギヤ26b′に噛合って待機する。
次に、5速では、第3クラッチ53が締結状態に制御され、第1、第2、第4クラッチ51,52,54が解放状態に制御されると共に、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは2速用駆動歯車22aのクラッチギヤ22a′に噛合った状態で待機し、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合った状態で待機し、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは5速用被動歯車25bのクラッチギヤ25b′に噛合った状態で動力を伝達する。
図10に示すように、このときの動力伝達経路としては、エンジンからの駆動力は、入力軸11から第1〜第3歯車41〜43を介して副軸13に伝達される。そして、副軸13の駆動力は、第3クラッチ53及び第2連結部材29を介して5速用歯車列25に伝達され、さらに5速用被動歯車25bのクラッチギヤ25b′から1−5速用同期装置63のスリーブ63b及びハブ部63aを介して第2出力軸14に出力される。5速では、第1歯車41と第3歯車43とで微小な減速を行うと共に、5速用歯車列25で大幅に増速するようになっている。
なお、5速において、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは、基本的には2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合って待機するが、比較的高車速のときなどのシフトアップの可能性が高いときは、6速用被動歯車26bのクラッチギヤ26b′に噛合って待機する。
次に、6速では、第1クラッチ51が締結状態に制御され、第2〜第4クラッチ52〜54が解放状態に制御されると共に、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは2速用駆動歯車22aのクラッチギヤ22a′に噛合って待機し、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62bは6速用被動歯車26bのクラッチギヤ26b′に噛合った状態で動力を伝達し、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは5速用被動歯車25bのクラッチギヤ25b′に噛合って待機する。
図11に示すように、このときの動力伝達経路としては、エンジンからの駆動力は、入力軸11から第1クラッチ51及び第1連結部材28を介して6速用歯車列26に伝達される。そして、6速用歯車列26の駆動力は、6速用被動歯車26bのクラッチギヤ26b′から2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62b及びハブ部62aを介して第1出力軸12に出力される。6速では、6速用歯車列26で増速するようになっている。
次に、後退速では、第1クラッチ51が締結状態に制御され、第2〜第4クラッチ52〜54が解放状態に制御されると共に、2−後退速用同期装置61のスリーブ61bは第1後退速用駆動歯車27aのクラッチギヤ27a′に噛合った状態で動力を伝達し、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ部62bは2/後退速用被動歯車22cのクラッチギヤ22c′に噛合った状態で動力を伝達し、1−5速用同期装置63のスリーブ63bは1速用被動歯車21bのクラッチギヤ21b′に噛合って待機する。
図12に示すように、このときの動力伝達経路としては、エンジンからの駆動力は、入力軸11から第1クラッチ51及び第1連結部材28を介して2−後退速用同期装置61のハブ部61aに伝達される。そして、該ハブ部61aの駆動力は、スリーブ61b及び第1後退速用駆動歯車27aのクラッチギヤ27a′を介して後退速用歯車列27に伝達され、リバースアイドル軸15に伝達される。そして、リバースアイドル軸15の駆動力は、第2後退速用駆動歯車22bを介して2/後退速用被動歯車22cに伝達される。さらに、2/後退速用被動歯車22cの駆動力は、クラッチギヤ22c′を介して2/後退速用同期装置62のスリーブ62b及びハブ部62aに伝達され、第1出力軸12に出力される。後退速では、後退速用歯車列27で減速すると共に、第2後退速用駆動歯車22bと2/後退速用被動歯車22cとで減速するようになっている。
以上のように、本実施の形態に係る自動変速機1は、1速と5速との飛び越し変速及び2速と6速との飛び越し変速とを除く変速段間の変速においては、隣り合ったものに限らず、予め同期装置61〜63のスリーブ制御を完了させておき、クラッチ51〜54の架け替えを行うことにより変速を達成することができる。このようなクラッチ51〜54の架け替えにより行われる変速は、パワーが途切れることなく伝達されるので、円滑な加速減速が実現されることになる。なお、以下の表2に、変速前と変速後の各変速段に対応した第1〜第4クラッチ51〜54の締結、解放動作の一覧を示す。
また、2速から6速に飛び越し変速を行う際には、例えば第1、第4クラッチ51,54の架け替えにより2速から4速に飛び越し変速し、さらに第1、第4クラッチの架け替えにより4速から6速に飛び越し変速を行うようにして、ステップ的に変速を達成する。1速と5速との飛び越し変速に関しても同様にステップ的に行われる。
一方、このようなステップ的に行う変速は、時間がかかるので、フィーリングの悪化を招くことがあるが、このような1速と5速との飛び越し変速及び2速と6速との飛び越し変速は、通常走行において使用される頻度が低く、円滑な加速減速を阻害する可能性は低い。
しかも、前記自動変速機1においては、例えば6速走行時には、6速で高回転となる第1出力軸12ではなく、比較的低い回転が伝達される副軸13に第3クラッチ53が設けられているので、該クラッチ53が大きな引き摺り抵抗を発生させることがなくなる。より詳しくは、第3クラッチ53のクラッチドラム53aには、第1、第3歯車41,43で若干変速されはいるが、およそ入力軸11の回転と同様の回転が入力される。一方、ファイナルドリブンギヤ5aの駆動により第2ファイナルドライブギヤ14aを介して第2出力軸14が高回転で連れ回されることになるが、このとき1−5速用同期装置63のスリーブ63bは5速側にあるため、第2出力軸14の回転は5速用歯車列25を介して減速され、入力軸11の回転に近い回転が第3クラッチ53のクラッチハブ53bに入力される。この結果、クラッチ53の入力側と出力側の回転差が小さくなって、第3クラッチ53による抵抗の発生が抑制される。
さらにこのとき、2速と6速とは同一の第1クラッチ51の締結状態において達成され、2/後退−6速用同期装置62のスリーブ制御により6速側の変速段が選択されるように構成されているので、第1クラッチ51の抵抗が問題になることはない。
一方、5速走行時には、5速で高回転となる第2出力軸14ではなく、増速前の回転が伝達される入力軸11に第1クラッチ51が設けられているので、該クラッチ51が大きな引き摺り抵抗を発生させることがない。より詳しくは、第1クラッチ51のクラッチドラム51aは入力軸11と同様の回転をする。一方、ファイナルドリブンギヤ5aの駆動により第1ファイナルドライブギヤ12aが高回転で連れ回されることになるが、このとき2/後退−6速用同期装置62のスリーブ62aが6速側にあるときに、第1出力軸12の回転は6速用歯車列26を介して減速され、入力軸11の回転に近い回転が第1クラッチ51のクラッチハブ51bに入力される。この結果、クラッチ51の入力側と出力側の回転差が小さくなって、第1クラッチ51による抵抗の発生が抑制される。
さらにこのとき、1速と5速とは、同一の第3クラッチ53の締結状態において達成され、2/後退−6速用同期装置62の切換えにより5速側の変速段が選択されるように構成されているので、第3クラッチ53の抵抗が問題になることはない。
これらの結果、クラッチ51〜54の架け替えによる飛び越し変速が可能になると共に、5速や6速走行時に低速段用のクラッチ51,53による抵抗が低減されるので、燃費向上が実現され、クラッチ51,53の耐久性が確保される。
また、各変速段のギヤ比の設定は、高速段側から低速段側に亘って等比級数的に値が増加するように設定されることになるが、第1〜第4歯車41〜44の設定と、各ギヤ列21,22,25,26の設定により容易に各変速段のギヤ比の設定が可能になる。特に、1速のギヤ比は、第1歯車41と第3歯車43との設定と、1速用ギヤ列21の設定とによる2段階で実現されるので、1速の大きなギヤ比を実現するための特別な構造等が必要なくなる。
さらに、第1クラッチ51と2/後退−6速用同期装置62とが入力軸11と第1出力軸12とに分散して配置され、第3クラッチ53と1−5速用同期装置63とが副軸13と第2出力軸14とに分散して配置されているので、各変速段の動力伝達経路がコンパクトに構成されると共に、それぞれ同一軸に設けられた場合に比べて軸方向寸法が短縮され、装置のコンパクト化が実現される。
一方、第2クラッチ52が第1出力軸12上に設けられて、締結時に動力伝達用歯車列20の第2歯車42を第1出力軸12に連結するように構成されているので、3速の動力伝達経路がコンパクトに形成される。
また、第4クラッチ54が第2出力軸14上に設けられて、締結時に動力伝達用歯車列20の第4歯車44を第2出力軸14に連結するように構成されているので、4速の動力伝達経路がコンパクトに形成される。
そして、図4に示したように、入力軸11に対して斜め後方側に車軸6が配置され、該車軸6の上方側に第2出力軸14が配置され、該第2出力軸14の前方側かつ入力軸11と車軸6との間に第1出力軸12が配置され、第1出力軸12の上方側に副軸13が配置されているので、入力軸11と車軸6とが上下に配置されている場合に比べて、装置の高さ方向のコンパクト化が実現される。
ところで、本発明の第2の実施の形態として、図13に示すように各軸11〜14を中継する動力伝達用歯車列200が構成されているものがある。
即ち、動力伝達用歯車列200は、入力軸11に固設された第1歯車201と、第1出力軸11に遊嵌支持されて、これと噛合う第2歯車202と、該第2歯車202と一体回転する第1補助歯車202′と、副軸13に固設されて第1補助歯車202′と噛合う第3歯車203と、該第3歯車203と一体回転する第2補助歯車203′と、第2入力軸14に遊嵌支持されて第2補助歯車203′と噛合う第4歯車204とで構成されている。
このような動力伝達用歯車列200の構成によると、前記第1の実施の形態における動力伝達用歯車列20と比較しても、各軸間距離を変更することなく、つまり装置を拡大することなく、前記第1、第2補助歯車202′,203′の設定によりギヤ比の設定の自由度が増すことになる。