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JP4713136B2 - アルミニウム箔及びその製造方法 - Google Patents
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JP4713136B2 - アルミニウム箔及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム箔及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム箔及びその製造方法に関する。
従来からアルミニウム箔の原料としては、JIS H4160に規定されている1N30、1050、8079合金又は8021合金などのアルミニウム合金が用いられている。
そして、アルミニウム箔は、一般的に、アルミニウム又はアルミニウム合金の鋳塊に均質化処理、熱間圧延、冷間圧延を行なった後に最終焼鈍を施すことによって製造され、必要に応じて、冷間圧延の途中に中間焼鈍が行なわれる。
一方、アルミニウム箔としては、その厚みが5.5〜7.0μmのものが実用化されているが、アルミニウム箔を薄くするに伴ってピンホールが著しく増加し、アルミニウム箔が本来有する特性である光、気体及び液体に対するバリヤー性が低下すると共に、ピンホールが原因となってアルミニウム箔の圧延中に箔切れが発生するといった問題点が生じていた。
そこで、特許文献1では、Fe含有量を増加させ、均質化処理工程以降の製造条件を調整することにより結晶粒を微細化することによって圧延中の加工硬化を抑制して動的回復が生じやすいようにしてピンホールの生成を抑制したアルミニウム箔が開示されている。
しかしながら、上記アルミニウム箔では、それほどの加工硬化の抑制効果を得られないばかりでなく、製造条件によっては結晶粒が大きくなってしまうこともあり、かえってピンホールの発生が助長されてしまうといった問題点があった。
又、上述したように、アルミニウム箔の製造工程の一つに焼鈍工程があり、この焼鈍工程は、アルミニウム圧延箔をコイル状に巻回した状態で行われることから、互いに内外方向に隣接するアルミニウム箔同士がくっついた状態となる、所謂、ブロッキングが発生することがある。
このブロッキングは、アルミニウム箔同士がそれらの幅方向に均一な強度で互いにくっついている訳ではないことから、アルミニウム箔のコイル体からアルミニウム箔を巻き出す際に、アルミニウム箔をその幅方向において同一巻き出し速度で巻き出すことができず、アルミニウム箔が蛇行してしまい、アルミニウム箔の加工工程において支障をきたすといった問題点があった。
そこで、特許文献2には、芳香族成分が20容量%以下の鉱物油及び/又は合成油を基油とし、40℃における動粘度が1〜60mm2/sのアルキルベンゼンを組成物全量基準で0.1〜50質量%含有すると共に、油性剤を組成物全量基準で0.1〜5質量%含有することを特徴とするアルミ箔用冷間圧延油組成物が提案されているものの、上記ブロッキングを効果的に防止するには至っておらず、アルミニウム箔の加工工程における問題を解消するものではなかった。
更に、アルミニウム箔は、その表面に接着剤を介して合成樹脂フィルムや紙などを積層一体化させて用いられることが多いが、上述の潤滑油組成物を用いると、得られるアルミニウム箔と、合成樹脂フィルムや紙などとの接着性が低下するといった別の問題も発生していた。
特開昭63−26322号公報 特開2000−119679号公報
本発明は、ピンホールが少なくてバリヤー性に優れている上に、ブロッキングを生じ難く、合成樹脂フィルムや紙などとの接着性に優れたアルミニウム箔及びその製造方法を提供する。
本発明のアルミニウム箔は、Alを98重量%以上含有するアルミニウム合金又はAlからなるアルミニウム箔であって、このアルミニウム箔の表面には酸化皮膜が形成されており、表面にはアルミニウム摩耗粉が存在し、このアルミニウム摩耗粉の平均粒径が0.5〜1.5μmであると共に、上記アルミニウム摩耗粉の分布が15×109 個/m2 以下である一方、上記酸化被膜の表面において、Al、C及びOの総数に対する−COO−量が2%以下であることを特徴とする。
本発明のアルミニウム箔を構成するアルミニウム合金は、Alを98重量%以上含有してなり、残余は、Fe,Si,Cu,Mgなどの不可避不純物からなる。そして、本発明のアルミニウム箔の表面には、Al又はアルミニウム合金が酸化されてなる酸化皮膜が形成されている。この酸化皮膜の厚みは、厚いと、酸化皮膜自体が脆いので、酸化皮膜自体が破壊し易くなり、合成樹脂フィルムや紙などの接着性が低下するので、4.8nm以下が好ましく、薄くするためには不活性ガス雰囲気中で焼鈍しなければならず、製造工程が煩雑となる虞れがあるので、4.0〜4.8nmがより好ましい。
なお、上記アルミニウム箔の酸化皮膜の厚みは、下記の要領で測定されたものをいう。即ち、アルミニウム箔を光電子分光分析装置を用いてAl−kα線により〔Al2p〕〔C1s〕〔O1s〕軌道のピークを分析する。次に、〔Al2p〕軌道のピークを酸化アルミニウムに起因するピーク(結合エネルギー:74.0eV)と金属アルミニウムに起因するピーク(結合エネルギー:71.5eV)とに波形分離して、下記式に基づいて酸化皮膜の厚みを算出する。なお、アルミニウム箔の酸化皮膜の厚みは、島津製作所社から商品名「ESCA−850M」にて市販されている光電子分光分析装置を用いて測定することができる。
酸化皮膜(nm)=2.8×ln〔1.4×(S0 /S1 )+1〕
0:酸化アルミニウムに起因するピーク面積
1:金属アルミニウムに起因するピーク面積
そして、上記酸化皮膜の表面には、アルミニウム箔の製造工程中に発生したアルミニウム摩耗粉が存在している。このアルミニウム摩耗粉の平均粒径は、小さいと、アルミニウム箔表面にスジ状の汚れが多くなる一方、大きいと、合成樹脂フィルムや紙などとの接着性が低下するので、0.5〜1.5μmに限定され、0.7〜1.0μmが好ましい。
更に、上記アルミニウム摩耗粉の分布は、多いと、アルミニウム箔表面にスジ状の汚れが多く発生するので、15×109 個/m2 以下に限定され、8×109 個/m2 以下が好ましい。
そして、上記アルミニウム摩耗粉の平均粒径及び分布は、下記の要領で測定されたものをいう。即ち、アルミニウム箔から一辺が100mmの平面正方形状の試験片を20枚切り出す。そして、各試験片を500ミリリットルのアセトン中に浸漬し、試験片に加速電圧0.3Vにて超音波を24Mrad照射して、試験片の表面に付着しているアルミニウム摩耗粉をアセトン中に離脱させる。
しかる後、アセトンを、孔径がφ0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターを用いて濾過する。そして、濾過前後のアセトンの重量差から各試験片の表面に付着しているアルミニウム摩耗粉量を算出し、各試験片に付着しているアルミニウム摩耗粉量の相加平均をアルミニウム摩耗粉量とし、このアルミニウム摩耗粉量を1m2 当たりの量に比例換算して、1m2 当たりのアルミニウム摩耗粉量(mg/m2 )を算出した。
次に、上記アセトンの濾過に用いたメンブレンフィルターを走査型電子顕微鏡で10000倍の倍率で撮影する。そして、得られた拡大写真の任意の10箇所において、写真上に一辺50mmの平面正方形状の測定枠を作り、この測定枠内に存在する各アルミニウム摩耗粉に外接する最小径の真円(外接円)の直径を測定し、それら外接円の直径の平均をアルミニウム摩耗粉の平均粒径とする。なお、アルミニウム摩耗粉の外接円の直径は、東洋紡績社から商品名「V10」で市販されている画像解析装置を用いて測定することができる。
そして、アルミニウム合金の密度を、Alの含有量が99.85重量%以上の場合には2.70とし、Alの含有量が99.30重量%以上で且つ99.85重量%未満の場合には2.71とし、Alの含有量が98重量%以上で且つ99.30重量%未満の場合には2.72として、上記アルミニウム摩耗粉の平均粒径に基づいて球形近似を行う。次に、アルミニウム摩耗粉の平均粒径、及び、アルミニウム合金又はAlの密度から、アルミニウム摩耗粉1個当たりの平均重量を算出し、このアルミニウム摩耗粉1個当たりの平均重量でアルミニウム摩耗粉量(mg/m2 )を除してアルミニウム摩耗粉の個数(個/m2 )を算出する。
更に、上記アルミニウム摩耗粉中のFe含有量は、多いと、アルミニウム箔にピンホールが著しく発生する虞れがあるので、4.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以下がより好ましい。
同様に、上記アルミニウム摩耗粉中のSi含有量も多いと、アルミニウム箔にピンホールが著しく発生する虞れがあるので、2.0重量%以下が好ましく、1.0重量%以下がより好ましい。
なお、アルミニウム摩耗粉中のFe含有量及びSi含有量は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、アルミニウム箔から一辺が100mmの平面正方形状の試験片を20枚切り出す。そして、各試験片を500ミリリットルのアセトン中に浸漬し、試験片に加速電圧0.3Vにて超音波を24Mrad照射して、試験片の表面に付着しているアルミニウム摩耗粉をアセトン中に離脱させる。
しかる後、アセトンを孔径がφ0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターを用いて濾過する。一方、35重量%の塩酸42ミリリットルと、60重量%のフッ化水素酸8ミリリットルと、蒸留水50ミリリットルとを混合して測定用水溶液を作製する。
次に、メンブレンフィルター上に残った残渣を上記測定用水溶液中に溶解し、誘導結合プラズマ分析(ICP)装置を用いて各アルミニウム摩耗粉中に含まれるFe量及びSi量を測定した。なお、アルミニウム摩耗粉中に含まれるFe量及びSi量は、島津製作所社から商品名「I−7800」にて市販されている誘導結合プラズマ分析(ICP)装置を用いて測定することができる。
又、アルミニウム箔の表面、即ち、酸化皮膜の表面に存在する−COO−量は、多いと、アルミニウム箔の表面に、合成樹脂フィルムや紙などを接着剤を介して接着させる際に、接着剤成分がアルミニウム箔の表面の−COO−と結合してしまい、接着剤成分がアルミニウム箔と直接、結合する箇所が少なくなり、その結果、アルミニウム箔と、紙や合成樹脂フィルム等との間における接着剤による接着性が低下するので、2%以下に限定される。
なお、アルミニウム箔の表面に存在する−COO−量は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、アルミニウム箔を光電子分光分析装置を用いてAl−kα線により〔Al2p〕〔C1s〕〔O1s〕軌道のピークを分析し、全軌道ピーク面積に対する〔C1s〕軌道のピーク面積の百分率M1 (%)を算出する。
次に、〔C1s〕軌道の各ピークについて、−C−C結合のピーク位置の結合エネルギーを285.0eVとした後、〔C1s〕軌道の全ピーク面積に対する−COO−(結合エネルギー:289.2eV)のピーク面積の百分率M2 (%)を算出する。
そして、上記全軌道ピーク面積に対する〔C1s〕軌道のピーク面積の百分率M1 (%)と、〔C1s〕軌道の全ピーク面積に対する−COO−(結合エネルギー:289.2eV)のピーク面積の百分率M2 (%)とを乗じることによって、アルミニウム箔の表面に存在する−COO−量を算出することができる。なお、−COO−量の測定にあたっては、ノイズピークを完全に除去することができないため、−COO−の測定量が1.0%以下の場合は、−COO−が殆ど存在していないと判断することができる。
次に、上記アルミニウム箔の製造方法について説明する。先ず、Alを98重量%以上含有するアルミニウム合金又はAlからなる鋳塊に均質化処理工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程及び最終焼鈍を順次施し、上記冷間圧延工程において、板厚が0.5mm以下となったアルミニウム圧延板の表面に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる基油と一価アルコールとを含有し且つ一価アルコール含有量が5重量%以下、水分量が第一潤滑油全重量に対して150ppm以下である第一潤滑油を供給することによって、上述したアルミニウム箔を製造することができる。なお、冷間圧延工程の途中に中間焼鈍を行なってもよい。
つまり、本発明のアルミニウム箔は、通常のアルミニウム箔の製造方法における冷間圧延工程において、板厚が0.5mm以下となったアルミニウム圧延板の表面に所定組成を有する第一潤滑油を供給することによって製造することができる。
ここで、均質化処理工程は、アルミニウム合金の鋳塊に含有される元素成分の偏析を極力小さくするためにアルミニウム合金の鋳塊を均質に加熱するものである。そして、上記熱間圧延工程は、例えば、均質化処理工程を終えた加熱状態にある鋳塊を、一対のロールを一組とし、この一組のロールが多数組併設されたロール群における一対のロール間に順次、連続的に供給するか、或いは、一対のロール間に複数回に亘って繰り返して供給して、アルミニウム圧延板(圧延箔)を加熱状態に保持したままロール間にて圧延するものである。
更に、冷間圧延工程は、熱間圧延工程を終えて得られたアルミニウム圧延板(圧延箔)を、一対のロールを一組とし、この一組のロールが多数組並設されたロール群における一対のロール間に順次、連続的に供給するか、或いは、一対のロール間に複数回に亘って繰り返して供給して、常温又は50〜120℃に保持されたアルミニウム圧延板(圧延箔)をロール間にて圧延するものである。
なお、上記アルミニウム箔の製造方法における、均質化処理工程、熱間圧延工程及び最終焼鈍は通常のアルミニウム箔の製造方法と同様の要領で行なわれ、冷間圧延工程も第一、第二潤滑油をアルミニウム圧延板又はアルミニウム圧延箔に供給すること以外は、通常のアルミニウム箔の製造方法と同様の要領で行なわれる。
そして、上記冷間圧延工程において、板厚が0.5mm以下となったアルミニウム圧延板の片面、好ましくは両面に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる基油と一価アルコールとを含有し且つ一価アルコール含有量が5重量%以下、水分量が第一潤滑油全重量に対して150ppm以下である第一潤滑油を供給する。
又、冷間圧延工程は、冷間圧延処理が複数回繰り返して行なわれるが、全ての冷間圧延処理にてアルミニウム圧延板に第一潤滑油を供給する必要はなく、アルミニウム圧延板の板厚が0.5mm以下となって以降の全ての冷間圧延処理においてアルミニウム圧延板の片面或いは両面に第一潤滑油を供給すればよい。従って、板厚が0.5mmを越えるアルミニウム圧延板の冷間圧延処理においては、第一潤滑油を必ずしも供給する必要はなく、第一潤滑油と組成を異にする潤滑油をアルミニウム圧延板に供給してもよいが、第一潤滑油を供給することが好ましい。
上記第一潤滑油の基油は、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる。この直鎖状オレフィンの炭素数は、少ないと、引火点が低いので好ましくない一方、多いと、直鎖状オレフィンが固体状となるので、6〜40が好ましい。
上記直鎖状オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、単独で用いられても併用されてもよい。
そして、上記直鎖状オレフィンの第一潤滑油中における含有量は、少ないと、第一潤滑油の潤滑性が低下して圧延時における摩擦抵抗が大きくなり、アルミニウム摩耗粉が多量に発生してアルミニウム箔にピンホールが多量に発生することがある一方、多くても、第一潤滑油の性能に変化が見られないことから、0.5〜3.0重量%に限定される
又、環状脂肪族炭化水素としては、特に限定されないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサンなどの炭素数が3〜18の環状脂肪族炭化水素が好ましい。
そして、環状脂肪族炭化水素の第一潤滑油中における含有量は、少ないと、冷間圧延工程においてアルミニウム圧延板又はアルミニウム圧延箔とロールとの間における潤滑性が低下して冷間圧延時の摩擦抵抗が大きくなり、アルミニウム摩耗粉が多量に発生して得られるアルミニウム箔にピンホールが多量に発生することがある一方、多いと、焼鈍時に第一潤滑油が一酸化炭素又は二酸化炭素に分解し難くなり、結果として、アルミニウム箔表面に残存する油分量が多くなり、このため接触角が大きくなるので親水性が低下し、接着強度が低下することがあるので、70〜95重量%に限定される
更に、芳香族炭化水素としては、特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、p−エチルトルエン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンなどが挙げられる。
そして、芳香族炭化水素の第一潤滑油中における含有量は、少ないと、冷間圧延工程においてアルミニウム圧延板又はアルミニウム圧延箔とロールとの間における潤滑性が低下して冷間圧延時の摩擦抵抗が大きくなり、アルミニウム摩耗粉が多量に発生して得られるアルミニウム箔にピンホールが多量に発生することがある一方、多いと、焼鈍時に第一潤滑油が一酸化炭素又は二酸化炭素に分解し難くなり、結果として、アルミニウム箔表面に残存する油分量が多くなり、このため接触角が大きくなるので親水性が低下し、接着強度が低下することがあるので、0.05〜0.2重量%に限定される
又、第一潤滑油には上記基油に一価アルコールが含有されている。この一価アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数が6〜20の一価の高級脂肪酸アルコールが好ましい。
この一価アルコールの第一潤滑油中における含有量は、多いと、第一潤滑油中に含まれる水分量が多くなり、アルミニウム箔の表面に形成されている酸化皮膜中の酸素原子と水分子との間で形成される水素結合が増加し、焼鈍工程において、アルミニウム圧延箔のコイル体における内外方向に隣接するアルミニウム圧延箔同士がひっついてブロッキングが発生するので、5重量%以下に限定され、2.0〜5.0重量%が好ましい。
更に、上記第一潤滑油中における水分量は、多いと、第一潤滑油中に含まれる水分量が多くなり、アルミニウム箔の表面に形成されている酸化皮膜中の酸素原子と水分子との間で形成される水素結合が増加し、焼鈍工程において、アルミニウム圧延箔のコイル体における内外方向に隣接するアルミニウム圧延箔同士がひっついてブロッキングが発生するので、第一潤滑油全重量に対して150ppm以下に限定される。なお、第一潤滑油中における水分量は、JIS K0113−1997「電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則」に準拠して測定されたものをいう。
又、上記第一潤滑油に脂肪酸が含有されており、このような脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸などが挙げられ、オレイン酸が好ましい。そして、脂肪酸の第一潤滑油中における含有量は、多いと、アルミニウム摩耗粉の平均粒径が小さくなり過ぎると共に、アルミニウム摩耗粉の分布数が大きくなり過ぎて、アルミニウム箔表面にスジ状の汚れが発生しやすくなるので、1.0重量%以下に限定され、0.01〜0.5重量%が好ましい
更に、上記第一潤滑油にポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールの何れか一方或いは双方を含有させてもよく、ポリエチレングリコールとしてはヘキサエチレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリコールとしてはテトラプロピレングリコールが好ましい。
そして、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールの何れか一方或いは双方の第一潤滑油中における総含有量は、多いと、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの水酸基と、アルミニウム箔の表面に形成されている酸化皮膜中の酸素原子との間における水素結合が増加し、焼鈍工程において、アルミニウム圧延箔のコイル体における内外方向に隣接するアルミニウム圧延箔同士がひっついてブロッキングが発生する虞れがあるので、0.5重量%以下が好ましい。
更に、第一潤滑油中に脂肪酸エステルを含有させてもよく、このような脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸ブチルが好ましい。そして、脂肪酸エステルの第一潤滑油中における含有量は、少ないと、冷間圧延工程においてアルミニウム圧延板又はアルミニウム圧延箔とロールとの間における潤滑性が低下するために圧延率を大きくすることができず、圧延回数を多くする必要がある一方、多いと、アルミニウム箔表面に存在する−COO−量が増大することがあるので、0.5〜3.0重量%が好ましい。
又、製造しようとするアルミニウム箔の厚みが極めて薄い場合には、冷間圧延工程における最終の冷間圧延処理として、二枚のアルミニウム圧延箔を重ね合わせた状態で冷間圧延を行う、所謂、重合圧延を行なってもよい。
このように重合圧延を行なう場合、二枚のアルミニウム圧延箔を重ね合わせた状態で圧延した後、二枚のアルミニウム圧延箔を分離する必要があり、この分離作業を円滑なものとするために、二枚のアルミニウム圧延箔の対向面間に第二潤滑油を供給することが好ましい。
この第二潤滑油は、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を含有し且つ脂肪酸エステル及び一価アルコールを含有しないものである。なお、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪酸エステル及び一価アルコール、並びに、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素の第二潤滑油中における含有量は、第一潤滑油の場合と同様であるのでその説明を省略する。
ここで、第二潤滑油において、脂肪酸エステル及び一価アルコールを含有させない理由は下記の通りである。即ち、重合圧延は冷間圧延工程の最終で行なわれるために、第二潤滑油が、得られるアルミニウム箔の表面に最終焼鈍後も残存し易い。
そして、第二潤滑油中に脂肪酸エステルが含有されていると、得られるアルミニウム箔の表面に存在する−COO−量が多くなる。一方、アルミニウム箔の表面には、紙や合成樹脂フィルムなどが接着剤を介して積層一体化されて用いられることが多く、この際、接着剤成分がアルミニウム箔の表面の−COO−と結合してしまい、接着剤成分がアルミニウム箔と直接、結合する箇所が少なくなる。その結果、アルミニウム箔と、紙や合成樹脂フィルム等との間における接着剤による接着性が低下する虞れがあるからである。
又、第二潤滑油中に一価アルコールが含有されていると、第二潤滑油中に含まれる水分量が多くなり、アルミニウム箔の表面に形成されている酸化皮膜中の酸素原子と水分子との間で形成される水素結合が増加し、最終焼鈍工程において、アルミニウム圧延箔のコイル体における内外方向に隣接するアルミニウム圧延箔同士がひっついてブロッキングが発生する虞れがあるからである。
そして、上記のようにして製造されたアルミニウム箔は、種々の用途に好適に用いられ、特に、上記アルミニウム箔の一面に接着剤を介して紙や合成樹脂フィルムを積層一体化させてなるアルミニウム積層体は、菓子やタバコ等の物品を包装するための包装シートとして好適に用いられる。
上記接着剤としては、アルミニウム箔と、紙や合成樹脂フィルムとを接着一体化することができれば、特に限定されず、例えば、ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;(メタ)アクリル系重合体;エチレンとアクリル酸やメタクリル酸等のアクリル系単量体との共重合体にNa、Zn等の金属イオンを作用させて架橋させてなるアイオノマー;ポリマレイン酸エチル;ポリアクリル酸アミド等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系重合体としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等のアクリル系単量体の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
又、上記(メタ)アクリル系重合体としては、上記アクリル系単量体とこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体であってもよく、このようなビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミド、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。そして、上記アクリル系単量体とこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体としては、例えば、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸−スチレン三元共重合体等が挙げられる。
そして、上記アルミニウム積層体を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、上記アルミニウム箔の一面に接着剤を塗布した後、このアルミニウム箔の接着剤塗布面に紙を積層し、接着剤によってアルミニウム箔と紙とを一体化させるアルミニウム積層体の製造方法が挙げられる。なお、上記アルミニウム箔への接着剤の塗布にあたっては、エマルジョン化された接着剤を用いることが好ましい。
本発明のアルミニウム箔は、Alを98重量%以上含有するアルミニウム合金又はAlからなるアルミニウム箔であって、このアルミニウム箔の表面には酸化皮膜が形成されており、表面にはアルミニウム摩耗粉が存在し、このアルミニウム摩耗粉の平均粒径が0.5〜1.5μmであると共に、上記アルミニウム摩耗粉の分布が15×109 個/m2 以下である一方、上記酸化被膜の表面において、Al、C及びOの総数に対する−COO−量が2%以下であることを特徴とするので、ピンホールが少なくてバリヤー性に優れていると共にブロッキングを生じ難く、更に、合成樹脂フィルムや紙などとの間における接着剤を用いた接着性に優れている。
上記アルミニウム箔において、アルミニウム摩耗粉中のFe含有量が4.0重量%以下で且つSi含有量が2.0重量%以下である場合には、ピンホールが更に少なくてバリヤー性に更に優れている。
更に、本発明のアルミニウムの製造方法は、Alを98重量%以上含有するアルミニウム合金又はAlからなる鋳塊に均質化処理工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程及び最終焼鈍を順次施してアルミニウム箔を製造するアルミニウム箔の製造方法であって、冷間圧延工程において、板厚が0.5mm以下となったアルミニウム圧延板の表面に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を含有する基油と一価アルコールと脂肪酸とからなり且つ一価アルコール含有量が5重量%以下、直鎖状オレフィン0.5〜3.0重量%、環状脂肪族炭化水素70〜95重量%、芳香族炭化水素0.05〜0.2重量%、脂肪酸1.0重量%以下、水分量が第一潤滑油全重量に対して150ppm以下である第一潤滑油を供給して、表面に酸化皮膜が形成され且つこの酸化被膜表面にアルミニウム摩耗粉が存在し、このアルミニウム摩耗粉の平均粒径が0.5〜1.5μmで且つ分布が15×109 個/m2 以下で、上記酸化被膜の表面において、Al、C及びOの総数に対する−COO−量が2%以下であるアルミニウム箔を製造することを特徴とするので、最終焼鈍においてもブロッキングを生じることなく、ピンホールが少なくてバリヤー性に優れ且つ合成樹脂フィルムや紙などとの間における接着剤を用いた接着性に優れたアルミニウム箔を容易に製造することができる。
そして、上記アルミニウム箔の製造方法において、冷間圧延工程は、冷間圧延処理を複数回繰り返して行なわれ、この冷間圧延処理のうち、最終の冷間圧延処理が重合圧延であって、この重合圧延されるアルミニウム圧延箔間に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を含有し且つ脂肪酸エステル及び一価アルコールを含有しない第二潤滑油を供給する場合には、厚みが薄いにもかかわらずピンホールが少なくてバリヤー性に優れ且つ合成樹脂フィルムや紙などとの間における接着剤を用いた接着性に優れたアルミニウム箔を容易に製造することができる。
(実施例,比較例1〜18)
表1に示したAl含有量を有し且つ厚さが500mmであるアルミニウム合金からなる鋳塊に540℃にて4時間に亘って均質化処理を施した後、この鋳塊に直ちに熱間圧延工程を施して厚さが2.5mmのアルミニウム圧延板を製造した。なお、アルミニウム合金としては、JIS H4160に規定されている1N30、8021、1085、3N、又は、4Nを用い、用いられたアルミニウム合金の種類を、表1の「Al含有率」の欄にて括弧書きにて表記した。
次に、上記アルミニウム圧延板に冷間圧延処理を施して0.65mmのアルミニウム圧延板を得た。このアルミニウム圧延板に380℃にて5時間に亘って中間焼鈍を施した後に冷間圧延を施して表1に示した厚さ(第一冷間圧延処理の圧延前厚さ)のアルミニウム圧延板を得た。
続いて、上記アルミニウム圧延板に第一〜第三冷間圧延処理を順次、施して、表1に示した厚さ(第三冷間圧延処理の圧延後厚さ)のアルミニウム圧延箔を得た。この第一〜第三冷間圧延処理のそれぞれにおいて、アルミニウム圧延板の両面に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる基油、一価アルコール、脂肪酸、グリコール、並びに、脂肪酸エステルを表2に示した割合で含有する第一潤滑油を表1に示した通りに供給した。
上記第一潤滑油の基油は、新日本石油株式会社から販売されている商品名「圧延用潤滑油ユニロールNAR−2」を用いた。又、表2において、「33%ステアリン酸ブチル+67%パルミチン酸ブチル」とは、「脂肪酸エステル中、33重量%がステアリン酸ブチルであり且つ67重量%がパルミチン酸ブチル」であることを意味する。
なお、表1において、「圧延率」とは、冷間圧延処理が施される前のアルミニウム圧延箔(圧延板)の厚さをt0 (μm)とし、冷間圧延処理を施された後のアルミニウム圧延箔(圧延板)の厚さをt1 (μm)として、下記式により算出した。
圧延率(%)=100×(t0 −t1 )/t0
そして、上記アルミニウム圧延箔を二枚重ね合わせると共に、この二枚のアルミニウム圧延箔の対向面間に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる基油、一価アルコール、脂肪酸、グリコール、並びに、脂肪酸エステルを表2に示した割合で含有する第二潤滑油を表1に示した通りに供給して、二枚のアルミニウム圧延箔を重合圧延して表1に示した厚さ(重合圧延の圧延後厚さ)のアルミニウム圧延箔とした後に分離し、しかる後、これらのアルミニウム圧延箔に260℃にて50時間に亘って大気中で最終焼鈍を施してアルミニウム箔を得た。
得られたアルミニウム箔の酸化皮膜の厚さ、アルミニウム摩耗粉の平均粒径及び分布、表面に存在する−COO−量、アルミニウム摩耗粉中のFe含有量及びSi含有量、並びに、第一潤滑油中の水分量を上述の要領で測定すると共に、アルミニウム箔のピンホール数、接触角、接着強度及びブロッキング性を下記に示した要領にて測定し、その結果を表3に示した。
(アルミニウム箔のピンホール数)
アルミニウム箔から一辺500mmの平面正方形状の試験片を10枚、切り出し、各試験片毎に目視にてピンホール数を数え、このピンホール数を試験片の平面面積で除して1m2 面積当たりのピンホール数を算出し、その相加平均値をピンホール数とした。
(接触角)
アルミニウム箔の表面に蒸留水を滴下し、その水滴とアルミニウム箔表面とのなす角度を接触角測定装置(協和科学社製 商品名「コンタクトアングルメーター」)を用いて測定した。
(接着強度)
アルミニウム箔のマット面の接着強度をJIS K6854:1994に準拠して測定した。
(ブロッキング性)
重合圧延後、最終焼鈍前のアルミニウム圧延箔から縦120mm×横15mmの平面長方形状の試験片を12枚、切り出した。この12枚の試験片を厚さ方向に重ね合わせ、この重ね合わせて得られた積層体を、縦150mm×横80mm×厚さ10mmのSUS304製の一対のステンレス板間に挟圧した。
しかる後、積層体を260℃にて15時間に亘って大気中にて焼鈍した後、試験片を一対のステンレス板間から取り出し、卓上型引張り圧縮試験装置(日本電産シンポ社製 商品名「デジタルフォースゲージFGC−0.5B」(最大荷重:5Nレンジ))を用いて、アルミニウム圧延箔同士を引き剥がす際に要する180°引き剥がし力を測定し、この引き剥がし力をブロッキング性の指標とした。
Figure 0004713136
Figure 0004713136
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Claims (6)

  1. Alを98重量%以上含有するアルミニウム合金又はAlからなるアルミニウム箔であって、このアルミニウム箔の表面には酸化皮膜が形成されており、表面にはアルミニウム摩耗粉が存在し、このアルミニウム摩耗粉の平均粒径が0.5〜1.5μmであると共に、上記アルミニウム摩耗粉の分布が15×109 個/m2 以下である一方、上記酸化被膜の表面において、Al、C及びOの総数に対する−COO−量が2%以下であることを特徴とするアルミニウム箔。
  2. アルミニウム摩耗粉中のFe含有量が4.0重量%以下で且つSi含有量が2.0重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム箔。
  3. Alを98重量%以上含有するアルミニウム合金又はAlからなる鋳塊に均質化処理工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程及び最終焼鈍を順次施してアルミニウム箔を製造するアルミニウム箔の製造方法であって、冷間圧延工程において、板厚が0.5mm以下となったアルミニウム圧延板の表面に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を含有する基油と一価アルコールと脂肪酸とからなり且つ一価アルコール含有量が5重量%以下、直鎖状オレフィン0.5〜3.0重量%、環状脂肪族炭化水素70〜95重量%、芳香族炭化水素0.05〜0.2重量%、脂肪酸1.0重量%以下、水分量が第一潤滑油全重量に対して150ppm以下である第一潤滑油を供給して、表面に酸化皮膜が形成され且つこの酸化被膜表面にアルミニウム摩耗粉が存在し、このアルミニウム摩耗粉の平均粒径が0.5〜1.5μmで且つ分布が15×109 個/m2 以下で、上記酸化被膜の表面において、Al、C及びOの総数に対する−COO−量が2%以下であるアルミニウム箔を製造することを特徴とするアルミニウム箔の製造方法。
  4. 第一潤滑油は、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールを0.5重量%以下含有していることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム箔の製造方法。
  5. 第一潤滑油は、脂肪酸エステル0.5〜3.0重量%含有していることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム箔の製造方法。
  6. 冷間圧延工程は、冷間圧延処理を複数回繰り返して行なわれ、この冷間圧延処理のうち、最終の冷間圧延処理が重合圧延であって、この重合圧延されるアルミニウム圧延箔間に、直鎖状オレフィン、環状脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を含有し且つ脂肪酸エステル及び一価アルコールを含有しない第二潤滑油を供給することを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のアルミニウム箔の製造方法。
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