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JP4715095B2 - オンラインロールグラインダおよびそれを用いた圧延機ワークロールの研削方法 - Google Patents
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オンラインロールグラインダおよびそれを用いた圧延機ワークロールの研削方法 Download PDF

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Description

本発明は、オンラインロールグラインダおよびそれを用いた圧延機ワークロールの研削方法に関する。
金属板(金属帯を含む、以下同じ)、中でも、帯鋼に代表される薄鋼板は、溶製後、鋳造されてスラブにされ、しかる後、熱間圧延、冷間圧延を経て製造され、あるいは更に鍍金処理を施される等する。
図1は従来から多くある熱間圧延ライン4の設備列の一例を示す。加熱炉5により1000〜1300℃に加熱された厚み150〜300mmの金属材料(以下、被圧延材6)は、例えばR1〜R3の3スタンドの粗圧延機群7、例えばF1〜F7の7スタンドの仕上圧延機群10により厚み1〜25mmまで圧延されて薄く延ばされる。
数百〜千数百℃の高温の被圧延材6を圧延する熱間圧延における圧延機の上下ワークロール14、15(以下、ロール)は、高温の被圧延材6と接触する際の熱負荷と摩擦力により、被圧延材6との接触部分において、ロール表面が摩耗する。この摩耗は、被圧延材6に各種の幅があることに伴って、何本もの被圧延材6を圧延するうちに、被圧延材6との接触頻度の高いロール14、15の胴長方向中央域と接触頻度の低い胴長方向両端域との大体の境界部分に段差ができるような進展のしかたをするが、ロール14、15の表層に発生した段差が被圧延材6に転写しない様、ロール14、15の胴長方向両端域を研削して胴長方向中央域との段差を解消し、平坦化することを目的に、特許文献1、特許文献2、特許文献3等のように、熱間圧延操業を継続しつつロールを圧延機内で研削する、オンラインロールグラインダ11が熱間圧延ラインにおける仕上圧延機10の後段スタンド(全6乃至7スタンドのうちの後方3スタンドを指す)に対し、実用化されてきている。
又、ロールの胴長方向両端域を研削するだけでなく、被圧延材6との接触頻度の高いロール14、15の胴長方向中央域においても摩耗量のばらつきによる段差を平坦化するために、ロール14、15の胴長方向中央域を研削する技術も実用化されてきている。
図において、1はビジネスコンピュータ、2はプロセスコンピュータ、3は制御装置、8はデスケーリング装置、9はクロップシャー、12は冷却ゾーン、13はコイラーである。
特開平08−039115号公報 特開平07−314018号公報 特開平06−335716号公報
しかし、先に述べた従来のオンラインロールグラインダを用いても、ビルドアップ、ロースポット、ハイスポットと呼ばれる熱間圧延後の製品金属帯の厚みが幅方向に平坦でないことに起因する不良の問題は解消されていない。また、オンラインロールグラインダを用いることによって、逆にこうした不良が頻発する場合があることがわかってきており、問題となってきていた。このような場合には、オンラインロールグラインダを不使用とせざるを得ず、ロール表面の摩耗による段差が被圧延材に転写しない様、ロールを頻繁に交換する必要が生じたり、同じロールを用いて圧延する本数が、ある本数を超える場合に、被圧延材の幅接続を広幅から狭幅に移行する場合だけに制限せざるを得ず、操業上の大きな制約になっていた。
本発明の課題は、オンラインロールグラインダでの研削によって生じる圧延後の製品金属帯の厚みが幅方向に平坦でない不良の発生を抑制し、ロールを頻繁に交換する必要を無くし、被圧延材の幅接続の制限を緩和乃至撤廃することで、操業上の制約を緩和して、大幅な生産性向上、ロールのランニングコスト低減を図ることにある。
本発明は、砥石、砥石の回転装置、及び、砥石を圧延機のワークロールに押し付ける押付装置を備えた研削ユニットと、該研削ユニットを前記ワークロールの胴長方向に移動させるオシレート装置と、を有するオンラインロールグラインダにおいて、前記押付装置が油圧シリンダであり、該油圧シリンダの油圧配管のヘッド側に油だまり、ロッド側にアキュムレータを設置し、更に、前記押付装置の押付方向の機械抵抗を下記式の範囲内とすることにより、前記課題を解決したものである。
Figure 0004715095
又、本発明は、砥石、砥石の回転装置、及び、砥石を圧延機のワークロールに押し付ける押付装置を備えた研削ユニットと、該研削ユニットを前記ワークロールの胴長方向に移動させるオシレート装置と、を有するオンラインロールグラインダにおいて、前記押付装置が油圧シリンダであり、更に、回転装置と砥石をつなぐ連結軸にスプラインを備え、前記油圧シリンダのシールを樹脂製とすると共に、前記スプラインをボールスプラインとし、更に、前記油圧シリンダの油圧配管のヘッド側に油だまり、ロッド側にアキュムレータを設置したものである。
又、前記油圧シリンダに位置センサを設置したものである。
本発明は、又、前記研削ユニットがワークロールの胴長方向に複数設置されたオンラインロールグラインダを用いて、隣り合う研削ユニットのロール胴長方向研削範囲のラップ量を5〜10mmとすることを特徴とするオンラインロールグラインダによる圧延機ワークロールの研削方法を提供するものである。
本発明によれば、オンラインロールグラインダでのロールの研削によって生じる圧延後の製品金属帯の厚みが幅方向に平坦でない不良の発生を抑制し、ロールを頻繁に交換する必要を無くし、被圧延材の幅接続の制限の緩和乃至撤廃による大幅な生産性向上、ロールのランニングコスト低減を図れる。
先述の図1に従来から多くある熱間圧延ライン4の設備列の一例を示した。本発明を適用すべき熱間圧延ラインは必ずしもこれに限るものではなく、本発明は、熱間圧延ラインのみならず、冷間圧延ラインにも適用できるが、便宜上、図1に示す熱間圧延ライン4を対象とした場合を例に、以下に本発明に至る経緯について説明する。
仕上圧延機群10の後方4スタンド(図1の例ではF4〜F7)にオンラインロールグラインダ11が設置されている。
図2はオンラインロールグラインダ11の構造を示している。上下のロール14、15それぞれに対し、ロール胴長方向に2個の研削ユニット17を設けている。該研削ユニット17はセパレータ18により結合され、オシレート装置19により、研削ユニット17、セパレータ18一体にてロール胴長方向に移動する。2個の研削ユニット17は、それぞれロール胴長の中央部を境に片側ずつを研削し、ロール胴長の全範囲を研削する。
図3は研削ユニット17の構造を示す図である。研削ユニット17は、砥石20、押付装置21、回転装置22から構成される。回転装置22により砥石20を回転しつつ押付装置21のロッド21Rにより砥石20をロール14または15に押し付けることでロール14又は15の研削を実施する。
回転装置22と砥石20とをつなぐ連結軸23は、図3の右側に示したA−A断面で見るとわかる通り、スプライン(26)と呼ばれる溝加工を施した形状をしており、回転装置側の軸24と砥石20側の軸25がスプライン部でかみあうことにより、回転装置22と砥石20の間の距離が変わっても、軸方向に互いに位置がずれ、回転方向の力を砥石20に伝えることができる。
押付装置21は油圧シリンダを用いており、砥石ホルダ27を油圧シリンダにより前後させる。
砥石ホルダ27と砥石20の間には軸受28が設置してあり、砥石20を回転させながら、押し付けが可能となっている。また、油圧シリンダのシール部29にはゴム製のUパッキンが使用されている。
押付装置21は必ずしも油圧シリンダでなくても、サーボモータ、ステッピングモータ等、砥石20のロール14、15への押付と、押付方向の位置決めが可能なアクチュエータであれば、どのようなものでも良いが、油圧シリンダが構造簡単で設置スペースも小さくて済むため最も好ましい。また、パッキンは、ゴム製に限らず、樹脂製、あるいは金属製であっても良い。
尚、本発明にいう機械抵抗とは、押付装置21が油圧シリンダの場合は、油圧シリンダのロッド21Rとシール部29のパッキンとの摺動抵抗等を意味し、油圧モータやステッピングモータの場合は、ベーンとケーシングとの間の摩擦等や、モータ軸とケーシングの間のベアリングの摩擦等を意味し、いずれの場合も、スプライン24の摺動抵抗等も含み、とにかく機械的に抵抗になるものに該当する場合について用いる。
図4は押付装置21が油圧シリンダである場合の油圧の配管系統図を示す。圧力ライン34から供給される油圧シリンダ30のヘッド側の圧力は、比例減圧弁31で制御され、又、同じく圧力ライン34から供給される油圧シリンダ30のロッド側の圧力は、減圧弁32で制御される。又、ヘッド側、ロッド側とも、配管内に油が封じ込められた状態で圧縮された場合に異常な高圧とならない様にリリーフ弁33を有しており、配管内の圧力が、リリーフ弁33の設定圧力以上になると、リリーフ弁33及びタンクライン35を通し、図示しないタンクに油を逃がし、圧力を低減させる構造である。リリーフ弁33の設定圧は、常時作動させることのない様、ヘッド側、ロッド側とも比例減圧弁31、減圧弁32の設定圧より10乃至15%高く設定されている。図において、PTは油圧の圧力センサである。
図5は、このようなオンラインロールグラインダ11によるロールの研削方法を示している。圧延することにより、ロール表面36は、被圧延材との接触部分が摩耗する。この摩耗は、被圧延材に各種の幅があることに伴って、何本もの被圧延材6を圧延するうちに、被圧延材6との接触頻度の高いロール胴長方向37の中央域と接触頻度の低いロールの胴長方向両端域との大体の境界部分に段差ができるような進展の仕方をしている。又、ロール胴長方向中央域においても、不均一な摩耗に起因する段差が矢印で示すように随所に発生している。オンラインロールグラインダは、こうした段差が被圧延材6に転写しない様、図1に示したプロセスコンピュータ2からの指令により、ロール胴長方向両端域の段差研削範囲38を研削してロール胴長方向中央域との段差を解消して平坦化することを目的とする段差研削、全面研削範囲39を研削して摩耗量のばらつきによる段差を平坦化することを目的とする全面研削という2種類の研削を実施することによりロール表面36の凹凸を除去する。
図6は、こうしたオンラインロールグラインダによる研削を実施しても発生する製品厚みの幅方向不均一による不良の例を示している。図6(a)では、厚みが幅中央部を境に11μm変化している。図6(b)では、幅端部に厚み減少部が見られる。図6(c)では、幅中央部に7μmの厚み減少部が見られる。こうした厚みの段差は、会社にもよるが、5μm内外以上となるとロースポット、ハイスポットと呼ばれる不良となり、切り捨てにより大きく歩留まりを低下させてしまう。図6は幅方向断面での板厚分布を示しているだけであるが、実際には長手方向にずっと被圧延材が延在するわけであるから、それら不良部全長を切り捨てざるを得ないからである。
図7は、図6の不良が発生した際の、仕上圧延機群10の最終圧延機であるF7スタンドのロール表面の状況を示している。製品厚みの段差に対応する位置に、やはり段差が発生しているのが分かる。発明者らは、こうした段差の発生原因が従来のオンラインロールグラインダにあることを見出した。
図8は、従来のオンラインロールグラインダによる、図7に示すような各種のロール表面の段差の発生原因を、その形態に関連づけて、3つの類型に分けて示したものである。発明者らは、オンラインロールグラインダによる研削量の誤差、2個の研削ユニットの幅中央部でのラップ量の誤差により、こうした段差が発生することを見出し、本発明をなすに至った。
ちなみに図8中、ロール表面36(研削後)と研削前のそれとで囲まれた部分に相当する、符号40で示す研削範囲は、図5で示した段差研削範囲38と、全面研削範囲39を足し合わせた研削範囲を意味するが、研削後のロール表面36(研削後)には、段差が発生してしまう場合があり、図8(a)、(b)、(c)は、その段差の発生原因を、その形態に関連づけて、3つの類型に分けて示したものである。図において、41は、2つの研削ユニットのラップ量、42は、該ラップ量の誤差に起因する段差である。
図9は、研削前後のロール径を測定することによって評価した従来のオンラインロールグラインダの設定した研削量と実績の研削量との差を比較して示した図である。設定と実績では、±30%程度も違う場合もあり、しかも、その違いはばらついている。発明者らの対象としている熱間圧延ライン4にて、金属帯の製品板厚の精度を左右する最終F7スタンドでは、1本のロールに対する研削量(研削深さ)は最大で50μm程度としていることから、その場合、15μm(50μm×0.3)程度の研削量の誤差が発生しうることになる。2個の研削ユニットの研削量の差としては、設定に対する実績の誤差がそれぞれ±30%発生すると考えると、最大30μm(15μm×2)となるから、図7(a)、(b)に示す段差プロフィールは容易に発生しうることが分かる。
図7(c)の2個の研削ユニットでの研削時におけるロール胴長方向中央部でのラップ量の誤差の発生原因について、図10に示す。図3に示す研削ユニット2個にてロール胴長方向中央部を境に片側ずつを研削すると説明したが、ロール胴長方向中央部に未研削部が残らぬ様、図8(c)に示すように2個の研削ユニットの研削範囲を砥石とロール接触幅の約半分のラップ量41(20mm程度)だけラップさせている。図中細い線は研削前のロール表面36のプロフィルを簡素化して示したものである。図10に戻り、研削前、ロール胴長方向端にオンラインロールグラインダ11が寄った状態にあり、押付装置を後退させておくことにより、ロールから所定の距離だけ離してあった研削ユニット17のうちの片方44は、オシレート装置19によりロール胴長方向に移動しつつ、研削を開始すべきロール胴長方向位置から研削を開始できるよう、少し手前でプロセスコンピュータ2からの砥石前進指令により、押付装置によりロール側に前進を開始する。ロールに接触したと制御装置3が認識する時点から研削が開始されるが、接触による荷重の起立をトリガーにすると、荷重センサの値はばらつくため、前進開始からのタイマ値とせざるを得ない。前進開始から接触までの時間の実績がタイマ値からずれると、ロール胴長方向での研削位置がずれ、ある位置をとってみると研削深さが所望の値からずれることになる。オシレートが進み、ロール胴長方向中央部に近い後半を研削しようとする頃になると、もう片方の研削ユニット43がロール側に前進を開始する。前進開始から接触までの時間のずれ方はもう一方の研削ユニット44と異なる場合が少なくない。すると、図8(a)に示すようなラップ部での段差が発生する。
図8(a)に示すようなラップ部の段差は、研削状態44にある研削ユニットに比べ、待機状態43にある研削ユニットの方が前進開始から接触までにより短い時間しか要しない場合に発生する。
一方、図8(b)に示すようなプロフィールは、何らかの理由により、研削状態44にある研削ユニットも待機状態43にある研削ユニットもロール側への前進開始から接触までの時間が所望の値よりも短くて過研削になる場合、図8(c)に示すようなプロフィールは何らかの理由により、研削状態44にある研削ユニットも待機状態43にある研削ユニットもロール側への前進開始から接触までの時間が所望の値よりも長くて研削不足になる場合を示している。このような場合、ロール胴長方向中央部には、2つの研削ユニットのラップ量に、所望の値からの誤差が発生しやすく、すると、それに起因して、ロール胴長方向中央部に凸状の段差42が発生しやすい。
図11は、砥石前進開始の指令から、ロールに接触するまでの時間のばらつきを調査した結果であるが、従来のオンラインロールグラインダにおいては、σ=0.14秒程度もばらつくことが分かった。オシレート装置によるロール胴長方向の移動速度が120mm/秒程度であることよりロール胴長方向の研削位置のずれは17mm(120mm/秒×0.14秒)、ロール胴長方向中央部でのラップ量の誤差は、2個の研削ユニットの誤差の合計であるから、34mm程度は容易に発生し、20mm程度のラップ量では、容易に未研削部が残ることが分かる。又、ラップ部は2個の研削ユニットにより研削する原理上、1個の研削ユニットにて研削するロール胴長方向のその他の範囲より本来過研削となるため、ラップ量が大きくなる時は勿論、20mm程度の設定値通りであっても、段差を発生させる可能性があった。
このように、従来のオンラインロールグラインダは、圧延後の製品金属帯の厚みが幅方向に平坦でない不良を発生させる場合がある、という点で十分ではなかった。
(第1、第2、第3発明の説明)
図12は、こうした問題を解決し、圧延後の製品金属帯の厚みが幅方向に平坦でない不良の発生を抑制できる、本発明のオンラインロールグラインダの研削ユニットの構造である。押付装置21のシール部を、従来、ゴム製であったものを、樹脂製のシール51としている。また、回転装置22と砥石20とを繋ぐ連結軸23は、スプライン形状をしているが、回転装置22側の軸と砥石20側の軸のスプライン溝の間に砥石20と回転装置22の間の距離が変動した時に転動する鋼鉄製の玉を配置したボールスプライン52を設置している。また、押付装置21のシリンダ部に、位置センサ60を設置している。
図13は、本発明のオンラインロールグラインダの、押付装置21の油圧シリンダ30周辺の油圧の配管系統図を示している。従来の系統図に較べ、油圧シリンダ30のヘッド側に容量10Lの油たまり53、ロッド側に容量5Lのアキュムレータ54を設置している。
なお、押付装置21のシリンダ部に、位置センサ60を設置することで、図7(a)のような段差は少なくとも抑制できる。タイマ値によると、前進指令からロールへの接触に時間的なばらつきが出ることは避けられないが、この点、位置センサ60の出力が、押付装置後退限での砥石20の研削面からロール表面までの機械的な距離(ロール径を測定することで幾何学的にわかる)に達したなら、砥石の前進を停止するようにすれば、研削深さに2個の研削ユニットで差が出にくくなるからである。砥石20の研削面からロール表面までの機械的な距離は、複数ある中の1つの研削ユニットの前進指令から荷重検出(ある荷重の閾値を超えたことを油圧の圧力センサPTの出力を以って検出する)までの位置センサ60の出力の変化から見た移動量を以って制御装置3で記憶におき、他の研削ユニットが前進指令を受けてからその移動量だけ前進したときに砥石20に接触したものとする、という具合に運用することもできる。
しかし、位置センサを用いて制御したとしても、絶対的な押付装置の前進速度が所望の値より速かったり、遅かったりすると、図7(b)、(c)のような段差は、抑制されることなく依然として発生する問題が残る。発明者らは、これをいかにして抑制するか、を考え、本発明に想到した。
ここで、本発明の要点の話にうつるが、発明者らは、回転装置22、押付装置21の押付方向の機械抵抗を下記式を満たすように従来のオンラインロールグラインダより低減することで、研削誤差が格段に低減することを見出した。
Figure 0004715095
機械抵抗低減による研削精度向上のメカニズムを図14に示す。砥石20のロール14、15への押付は、押付装置21である油圧シリンダによって行われることは、先述したが、ロールへの押付力55は、油圧シリンダの出力57から、回転装置、押付装置の押付方向の機械抵抗56を差し引いた値となり、機械抵抗が変動するとロール14、15への押付力も変動してしまう。
又、油圧シリンダが(a)前進方向か(b)後退方向かによっても機械抵抗の方向が異なり、砥石20のロール14、15への押付力が変動してしまう。このことは、日常生活上も経験する通り、抵抗のあるものを介して何かを押そうとすると、機械抵抗の分を差し引いた力でしか押せないことと、逆に、押す力を緩めるときは、ドンと押し戻されるように抵抗の分が加わってくることからも容易に理解できる通り、油圧シリンダを前進方向に押し付けるときは機械抵抗を差し引いた値がロールへの押付力55となり、後退方向に押し付ける(押し戻される)ときは機械抵抗を足し合わせた値がロールへの押付力55となる。上記した式は、仕上圧延機最終圧延機であるF7スタンドの出側での被圧延材の板厚誤差を許容値以下とするために押付装置の押付方向の機械抵抗をいくら以下に抑えるべきかを示したものであり、今、対象としている圧延機の、押付力の設定値や、仕上圧延機出側での被圧延材の板厚誤差の許容量が大きいほど大きく、今、対象としている圧延機の、ワークロールの最大研削深さや、ワークロール表層の段差が仕上圧延機の最終圧延機であるF7スタンドの出側での被圧延材の板厚に転写する割合が大きいほど小さい。
この転写割合ηは、仕上圧延機各圧延機ごとに値をとる。最終圧延機であるF7スタンド以外の圧延機における転写割合は、F7スタンドよりも前方の圧延機にて被圧延材に転写された段差の影響が、どの程度F7スタンドの出側での被圧延材の板厚に残存しているか、を示す指標であるから、いわば、遺伝割合とも言える。実験等により求まる。
αは、実験等により求まる押付力と研削深さの関係を回帰して決まる値であり、0乃至1の間の値である。押付装置の押付方向の機械抵抗(以下、単に機械抵抗)その他の値は、ここでの例では、オンラインロールグラインダを設置した仕上圧延機F4〜F7各スタンド共通で、Fn=900N、ΔHcrit=0.000005m、Tmax=0.00005m、α=0.6、η=0.63とした。これより、Fμ=298Nとなる。
機械抵抗を低減するために各種の研削ユニットの構造を実験した。結果を図15に示す。従来のゴム製シールとスプライン構造では、600Nもの機械抵抗があった。これは、ばね秤でロッドを引っ張って実際に測定した値である。スプライン部に潤滑材を塗布したものは多少改善されたが、500Nであり、効果は不十分であった。結局、シールを樹脂製のシールとし、スプラインをボールスプラインとすることで機械抵抗も250Nと本発明の298N以下となった。
(第3発明の説明)
油圧系統にも問題があった。ヘッド側の圧力を所定の圧力に設定したとしても、砥石20がロールから押し戻されたような場合、配管内の油は圧縮されて内圧が上昇する。先述の図4に示したとおり、配管内の内圧が上がらないよう、リリーフ弁33を設けているが、リリーフ弁33の設定圧を比例減圧弁31の設定圧より10乃至15%大きくしているため、比例減圧弁31の設定圧とリリーフ弁33の設定圧の間であれば圧力は上昇してしまう。又、ロッド側についても、研削時の砥石20の振動を防止するため、押付時の値であるが、ロッド側も2.4MPa程度の圧力を設定して使用しており、油圧シリンダ30が前進する時にヘッド側と同様、ロッド側においても配管内の油が圧縮され、リリーフ弁33の設定圧との範囲内で圧力が変動してしまう。
油圧シリンダ30のヘッド側の径を0.032m、ロッド側の径を0.025m、ロッド側の減圧弁32の設定圧を2.4MPa、押付力の設定値を90Nとすると、ヘッド側の比例減圧弁31の設定圧は2.1MPa(2.4×10^6×π/4×(0.032^2−0.025^2)+900)/(π/4×0.032^2))、リリーフ弁33の設定圧は、ヘッド側2.4MPa(2.1×1.15)、ロッド側2.8MPaとなり、各0.3〜0.4MPa、比例減圧弁31、減圧弁32の各設定圧より大きい。0.3〜0.4MPaの圧力変動を砥石20のロール14または15への押付力に換算すると、最大322N(0.4×10^6×π/4×0.032^2)となり、先述の機械抵抗の目標値298Nと同等となることから、無視できないことが分かる。また、従来、一般的なリリーフ弁の設定圧の目標に対する実績のばらつきは、最小でも±1MPa程度はあり、圧力変動を0.3〜0.4MPaの範囲に抑えることさえ困難であった。
そこで、発明者らは、こうした圧力上昇が、ヘッド側であれば、ロールによる砥石の押し戻しにより起こるものであり、ロッド側であれば、油圧シリンダの前進に対する機械抵抗による妨げが原因になって起こるものであることに着目し、図13に示したように、こうした現象による配管内の油の圧縮による圧力上昇を吸収する、油たまり53、アキュムレータ54を設置することに想到した。ヘッド側については、ロール14または15による砥石20の押し戻し量が1mm程度と小さいことから、圧縮性のガスを詰めた風船状のものを内包したアキュムレータではなく、単なる油たまりで良い。油たまりの体積は、目標圧力変動量を、全く研削能力に影響を与えない0.05MPaとし、油の体積弾性係数を650MPa、配管体積を0.7m3、押し戻される体積を8×10^−7 m3(0.001×π/4×0.032^2)とすると、10L((650×10^6×8×10^−7/(0.05×10^6)−0.7)×1000)となる。ロッド側については、押し戻される量が油圧シリンダのストロークの約200mmあるため、単なる油たまりでは非常に大きなものとなってしまう。このため、同様の計算により圧力変動量を0.05MPa以下とするよう5Lのアキュムレータを設置した。
(第4発明の説明)
なお、押付装置21のシリンダ部に、位置センサ60を設置することは、何ら問題ない。タイマ値によると、前進指令からロールへの接触に時間的なばらつきが出ることは避けられないが、この点、位置センサの出力が、押付装置後退限での砥石の研削面からロール表面までの機械的な距離に達したなら、砥石の前進を停止するようにすれば、研削深さに2個の研削ユニットで差が出にくくなることは、以上述べた第1〜第3発明においても、何ら変わるところはないからである。
(第5発明の説明)
図16は、本発明の機械抵抗低減、油圧系統改善後の、製品厚みの幅中央部での段差量(図6(a)に示したのと同様のもの)の製品1000本での最大値を示したものである。本発明により、製品厚みの幅中央部での段差量は、最大でも4μmとなり、5μmの不良判定値以下となるという良好な結果が得られた。また、図6(b)に示したような幅端部での研削残しに起因する段差も同時に撲滅できた。
しかしここで、発明者らは図6(c)に示す幅中央部のラップ部の不良をより確実に撲滅できる方法に想到した。それについて、以降に説明する。
図17は、第1〜第4発明を実施した後の、製品厚みの幅方向分布を示したものである。幅中央部のラップ部に相当する20mmの範囲が過厚部分59となって厚くなっていることが分かる。
図18は、図11に示した砥石前進指令から、ロール接触までの時間のばらつきを、本発明の機械抵抗低減、油圧系統改善後に測定したものである。機械抵抗低減、油圧系統改善により、砥石の前進速度のばらつきが低減したことに加え、押付装置の油圧シリンダ部に位置センサを設置し、ロールと砥石の距離を正確に測定することができるようになったことに加え、研削前のロールと砥石との距離を、従来、砥石がロールに接触しないよう50mm程度離していたものを、10mm程度に近接化したことで、砥石前進指令から、ロール接触までの時間のばらつきはσ=0.02秒と大幅に低減、図8に示したラップ量41の誤差も4.9mmとラップ量20mmに対して十分小さい値となったが、ばらつきが低減したことにより、未研削というような現象は無くなったものの、2個の研削ユニットが、ラップ部を確実に研削することで、ロールを深く削りすぎ、製品幅中央部が厚くなってしまったと考えられる。
図19は、この問題を解決するために実施したラップ量の変更実験結果である。従来のオンラインロールグラインダでは砥石前進指令から、ロール接触までの時間のばらつきのために設定困難であった5〜10mmとすることで、製品幅中央部の厚み段差不良を撲滅できることが分かった。5mmより小さくすると、逆に研削不足になった。
以上の説明は、研削ユニットが2つの場合を例に説明したが、3つ以上の場合についても、各ラップ量を5〜10mmとすることで過研削、研削不足の発生を抑制することができることは言うまでもない。
従来からある一般的な熱間圧延ラインの設備列の概要を示す工程図 オンラインロールグラインダの全体構造を模式的に示す斜視図 研削ユニットの構造を示す断面図 従来のオンラインロールグラインダの、押付装置である油圧シリンダを含む油圧の配管系統を模式的に示した図 オンラインロールグラインダによるロールの研削方法を模式的に示した図 製品厚みの幅方向不均一による不良の例 図6の不良が発生した際の仕上圧延機最終圧延機であるF7スタンドのロール表面の様子を模式的に示した図 従来のオンラインロールグラインダによる、図7のロール表面の段差の発生原因を説明するための図 従来のオンラインロールグラインダによる、設定した研削量と実績の研削量との差を比較して示す図 2個の研削ユニットの幅中央でのラップ量の誤差の発生原因を説明するための図 砥石前進指令からロール接触までの時間のばらつきを示す図 本発明のオンラインロールグラインダの研削ユニットの構造を示す断面図 同じく、押付装置である油圧シリンダを含む油圧の配管系統を模式的に示す図 機械抵抗低減による研削精度向上のメカニズムを説明するための図 各種構造と機械抵抗の関係の実験結果を示す図 本発明適用前後の製品厚みの幅中央部での段差量を示す図 幅中央ラップ部の製品厚みの不良の例を示す図 本発明適用後の砥石前進指令からロール接触までの時間のばらつきを示す図 ラップ量の変更実験結果を示す図
符号の説明
1…ビジネスコンピュータ
2…プロセスコンピュータ
3…制御装置
4…熱間圧延ライン
5…加熱炉
6…被圧延材
7…粗圧延機群
8…デスケーリング装置
9…クロップシャー
10…仕上圧延機群
11…オンラインロールグラインダ
12…冷却ゾーン
13…コイラー
14…上ロール
15…下ロール
17…研削ユニット
18…セパレータ
19…オシレート装置
20…砥石
21…押付装置
22…回転装置
23…連結軸
24…回転装置側の軸
25…砥石側の軸
26…スプライン
27…砥石ホルダ
28…軸受
29…シール部
30…油圧シリンダ
31…比例減圧弁
32…減圧弁
33…リリーフ弁
34…圧力ライン
35…タンクライン
36…ロール表面
37…ロール胴長方向
38…段差研削範囲
39…全面研削範囲
40…2つの研削ユニットの研削範囲
41…ラップ量
42…ラップ量の誤差に起因する段差
43…待機状態
44…研削状態
45…オシレート方向
46…所定の距離
47…砥石とロールの接触幅
48…前進開始状態
49…前進方向
50…ラップ量の誤差
51…樹脂性のシール
52…ボールスプライン
53…油たまり
54…アキュムレータ
55…ロールへの押付力
56…機械抵抗
57…油圧シリンダの出力
59…過厚部分
60…位置センサ
PT…油圧の圧力センサ

Claims (6)

  1. 砥石、砥石の回転装置、及び、砥石を圧延機のワークロールに押し付ける押付装置を備えた研削ユニットと、該研削ユニットを前記ワークロールの胴長方向に移動させるオシレート装置と、を有するオンラインロールグラインダにおいて、
    前記押付装置が油圧シリンダであり、該油圧シリンダの油圧配管のヘッド側に油だまり、ロッド側にアキュムレータを設置し、
    更に、前記押付装置の押付方向の機械抵抗を下記式の範囲内としたことを特徴とするオンラインロールグラインダ。
    Figure 0004715095
  2. 砥石、砥石の回転装置、及び、砥石を圧延機のワークロールに押し付ける押付装置を備えた研削ユニットと、該研削ユニットを前記ワークロールの胴長方向に移動させるオシレート装置と、を有するオンラインロールグラインダにおいて、
    前記押付装置が油圧シリンダであり、更に、回転装置と砥石をつなぐ連結軸にスプラインを備え、前記油圧シリンダのシールを樹脂製とすると共に、前記スプラインをボールスプラインとし
    更に、前記油圧シリンダの油圧配管のヘッド側に油だまり、ロッド側にアキュムレータを設置したことを特徴とするオンラインロールグラインダ。
  3. 前記油圧シリンダに位置センサを設置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のオンラインロールグラインダ。
  4. 前記研削ユニットがワークロールの胴長方向に複数設置された請求項1乃至のいずれかに記載のオンラインロールグラインダを用いて、隣り合う研削ユニットのロール胴長方向研削範囲のラップ量を5〜10mmとすることを特徴とするオンラインロールグラインダによる圧延機ワークロールの研削方法。
  5. 砥石、砥石の回転装置、及び、砥石を圧延機のワークロールに押し付ける押付装置を備えた研削ユニットと、該研削ユニットを前記ワークロールの胴長方向に移動させるオシレート装置と、を有するオンラインロールグラインダであって、前記研削ユニットがワークロールの胴長方向に複数設置され、更に、前記押付装置の押付方向の機械抵抗を下記式の範囲内としたオンラインロールグラインダを用いて、
    隣り合う研削ユニットのロール胴長方向研削範囲のラップ量を5〜10mmとすることを特徴とするオンラインロールグラインダによる圧延機ワークロールの研削方法。
    Figure 0004715095
  6. 砥石、砥石の回転装置、及び、砥石を圧延機のワークロールに押し付ける押付装置を備えた研削ユニットと、該研削ユニットを前記ワークロールの胴長方向に移動させるオシレート装置と、を有するオンラインロールグラインダであって、前記押付装置が油圧シリンダであり、更に、回転装置と砥石をつなぐ連結軸にスプラインを備え、前記油圧シリンダのシールを樹脂製とすると共に、前記スプラインをボールスプラインとし、更に、前記研削ユニットがワークロールの胴長方向に複数設置されたオンラインロールグラインダを用いて、
    隣り合う研削ユニットのロール胴長方向研削範囲のラップ量を5〜10mmとすることを特徴とするオンラインロールグラインダによる圧延機ワークロールの研削方法。
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