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JP4721282B2 - 要素分割法、要素分割演算装置及び損傷進展解析装置 - Google Patents
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JP4721282B2 - 要素分割法、要素分割演算装置及び損傷進展解析装置 - Google Patents

要素分割法、要素分割演算装置及び損傷進展解析装置 Download PDF

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Description

本発明は、有限要素解析に適用する要素分割法、及びそれを利用して亀裂、はく離等の損傷の進展を予測する損傷進展解析に関する。
特許文献1に、はく離の進展を解析する方法及び装置が記載されている。特許文献1にも記載されているように、亀裂、はく離等の損傷の進展を予測する解析においては、損傷の進展に応じて損傷の前縁に節点を有したメッシュ状の要素に解析対象物を分割する必要がある。しかし、特許文献1においては、亀裂の進展に伴いメッシュを再作成することが記載されており、実際のメッシュの分割例が図示されるものの、その数理的方法論についてはなんら記載されていない。
特開2003−302331号公報 特願2006−164752
しかしながら、適用する要素分割法によって、解析精度や計算時間が左右される。そのため、特許文献1記載の発明を利用したとしても、適用する要素分割法によってはメッシュの作成に時間を要したり、予測精度が悪くなったりする。
すなわち、高速、高精度な有限要素解析は、適用する要素分割法によるところが大きい。
予測精度が落ちる場合はもちろん、計算に時間を要する場合も実用性に欠ける。
例えば、従来の要素分割法にあっては、はく離進展の様子を早送りの動画として瞬時に見せることなどは難しい。
また、損傷進展の予測装置は、余寿命の予測装置とすることもできるが、寿命となる破壊状態までの損傷進展計算に長期を要する場合は、使用者を長時間待たせることとなり、利便性に欠ける。
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、有限要素解析を高速化、高精度化できる要素分割法及び要素分割演算装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、高速で高精度な損傷進展解析装置を提供することを課題とする。
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、有限要素解析に適用する要素分割法であって、
(1)対象領域をある座標系に配置して、前記対象領域の外形線を含む境界線について当該境界線上の点の座標を決定するステップと、
(2)前記(1)のステップで決定した前記境界線上の点の座標を節点として、デローニー三角分割法により前記対象領域を分割するステップと、
(3)モンテカルロ法により前記座標系において任意の座標を選出し、当該座標が前記対象領域に入るか否かを判定するステップと、
(4)前記(3)のステップにより前記対象領域に入ると判定された座標を中心とする円を、既定の関数に基づきその半径を決定して順次仮定し、仮定した円が既存の円と交わらない場合に当該仮定した円を採用するステップと、
(5)前記(4)のステップにより採用したすべての円について、モンテカルロ法により1つの円を抽出し、前記1つの円との間隔が最も小さい6つの円を特定し、前記1つの円の中心座標をモンテカルロ法により仮に移動させ、移動前後について前記1つの円との間隔の分散度の値を計算して、移動後の分散度の値が移動前の分散度の値に対して低下した場合に移動後の中心座標を採用するステップと、
(6)前記(1)のステップで決定した前記境界線上の点の座標と、前記(2)〜(5)のステップを経て採用した座標とを節点として、デローニー三角分割法により前記対象領域を分割するステップとを備える要素分割法である。
請求項2記載の発明は、
(7)前記(6)のステップにより形成した三角メッシュについて、モンテカルロ法により節点を抽出し、抽出した節点の座標をモンテカルロ法により仮に移動させ、抽出した節点を頂点とするすべての三角形について前記節点移動前後の非正三角形度の値の総和を計算して、移動後の非正三角形度の値の総和が移動前の非正三角形度の値の総和に対して低下した場合に移動後の節点座標を採用するステップと、
(8)前記(1)のステップで決定した前記境界線上の点の座標と、前記(2)〜(7)のステップを経て採用した座標とを節点として、デローニー三角分割法により前記対象領域を分割するステップとを備える請求項1に記載の要素分割法である。
請求項3記載の発明は、前記(5)における分散度が下記Φで定義される請求項1又は請求項2に記載の要素分割法である。
Figure 0004721282
(但し、driは注目する円と上記6個の円のうちのi番目の円との間隔、draは注目する円と上記6個の円とのそれぞれの間隔の平均値である。)
請求項4記載の発明は、前記(7)における非正三角形度が下記DTRで定義される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の要素分割法である。
Figure 0004721282
(但し、a,b,cは各要素の三角形の辺の長さ、Sは各要素の三角形の面積とする。)
なお、この非正三角形度DTRは要素がいかに正三角形に近いか(遠いか)を示す指標となる。DTRの値が0ならば正三角形であり、値が大きくなるほどいびつな三角形となる。値が大きいほど、正三角形から形状が遠くなるので、ここでは非正三角形度と称する。上記(7)のステップにおいて「非正三角形度の値が低下した」とは、「正三角形度の値が高くなった」と同義である。
請求項5記載の発明は、前記(4)における既定の関数は、前記(4)の座標と前記(1)の境界線との最小距離を変数とし、この変数が大きくなるほど前記(4)の半径を大きくする相関を有することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の要素分割法である。
請求項6記載の発明は、前記(4)における既定の関数は、前記(1)の境界線上で前記(1)のステップで決定した隣接する2点を端点とする線分のうち、前記(4)の座標に最も近い線分の長さを変数とし、この変数が大きくなるほど前記(4)の半径を大きくする相関を有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の要素分割法である。
請求項7記載の発明は、前記(3)における判定をローソン探査法により行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載の要素分割法である。
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の要素分割法を実行可能にされてなる演算装置を備えた要素分割演算装置である。
請求項9記載の発明は、モデルの属性情報及びこのモデルへの荷重条件を定める情報を記憶する記憶装置と、
前記対象領域内の初期損傷を設定する初期損傷設定手段と、
前記初期損傷設定手段により設定された前記初期損傷の前縁上にも前記(1)の境界線上の点があるようにして、請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の要素分割法を実行する要素分割演算手段と、
前記要素分割演算手段により要素に分割された対象領域に対し、前記荷重条件下で、前記前縁上の節点における損傷の進展量及びその方向を算出する有限要素解析手段とを備える損傷進展解析装置である。
請求項10記載の発明は、前記有限要素解析手段により算出された前記損傷の進展量及びその方向に基づき、前記損傷の前縁を進展させて、前記損傷を進展させるごとに、
前記要素分割演算手段に対しては、進展後の損傷の前縁上にも前記(1)の境界線上の点があるようにして、前記対象領域を再分割させ、
前記有限要素解析手段に対しては、前記要素分割演算手段により再分割された前記対象領域に対し、前記荷重条件下で、当該進展後の損傷の前縁上の節点における損傷の進展量及びその方向を算出させる進展制御手段を備える請求項9に記載の損傷進展解析装置である。
請求項11記載の発明は、前記要素分割演算手段は、請求項6に記載の要素分割法を実行し、その実行にあたって前記(1)のステップにおいては、前記初期損傷及びその後に進展する損傷について、当該損傷の外形線上及びその内部に配置される前記(1)の境界線上の隣接する2点の間隔を、前記損傷の外形線の外部に配置される前記(1)の境界線上の隣接する2点の間隔より狭くすることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の損傷進展解析装置である。
請求項12記載の発明は、前記損傷の外形線の外部に配置される前記(1)の境界線上の隣接する2点の間隔を、損傷に近いものほど狭くすることを特徴とする請求項11に記載の損傷進展解析装置である。
請求項13記載の発明は、前記初期損傷設定手段は、前記モデルに相当する実物に対し非破壊検査装置により検出された損傷を、前記対象領域内の初期損傷に設定することを特徴とする請求項9から請求項12のうちいずれか一に記載の損傷進展解析装置である。
請求項14記載の発明は、許容損傷限界を設定する許容限界設定手段と、
前記初期損傷から前記許容損傷限界までの進展に要する条件を算出する余寿命算出手段とを備えることを特徴とする請求項9から請求項13のうちいずれか一に記載の損傷進展解析装置である。
請求項15記載の発明は、損傷を含んだ前記モデルの画像情報を生成する画像情報生成手段と、
前記画像情報生成手段が生成した画像情報に基づき、前記損傷を含んだ前記モデルをグラフィック表示する画像表示装置とを備えることを特徴とする請求項9から請求項14のうちいずれか一に記載の損傷進展解析装置である。
請求項16記載の発明は、前記進展制御手段は、損傷の前縁を進展させるごとに、前記画像情報生成手段に対し進展後の損傷を含んだ前記モデルの画像情報を生成させることを特徴とする請求項15に記載の損傷進展解析装置である。
請求項17記載の発明は、前記画像情報生成手段が生成した一つの損傷の状態に対応する画像情報を1フレームとして、所定のフレームレートで損傷の進展過程に沿って前記画像表示装置に損傷を含んだ前記モデルをグラフィック表示させる再生表示制御手段を備えることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の損傷進展解析装置である。
本発明によれば、有限要素解析を高速化することができるという効果がある。
すなわち、負荷のかかる計算をモンテカルロ法により行うので、計算負荷を軽減することができ、これにより有限要素解析を高速化することができる。
しかも本発明によれば、有限要素解析を高精度化することができるという効果がある。
すなわち、(5)のステップにより、内部の1点の周囲の6点を、その中心の1点に対し均等度の高い6方に配置することができる。ここで、均等度の高い6方に配置するとは、中心の1点と周囲の6点の各点とをそれぞれ結ぶ直線を仮想したとき、隣接する2直線のつくる角度を60度に近づかせることをいう。
この(5)のステップを行った上で、(6)のステップでデローニー三角分割法により対象領域を三角形要素に分割することにより、内部の1点を共有する三角形が6つとなる。上述した隣接する2直線のつくる角度が60度に近いため、その近似度に応じて、各三角形要素は正三角形に近い形となる。
したがって、対象領域を正三角形度の高い三角形要素に分割することができ、これにより、有限要素解析の高精度化を図ることができる。
さらに、請求項2及びこれを引用する各請求項に記載の発明によれば、(7)のステップによりさらに各三角形要素の正三角形度を上げることができ、これにより、有限要素解析の高精度化を図ることができる。
以下に本発明の一実施の形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。本実施形態においては、接着のはく離進展についての解析を行うはく離進展解析装置について説明する。本実施形態のはく離進展解析装置は、本発明の要素分割法を実行する装置であり、本発明の損傷進展解析装置を接着のはく離に特化して構成したものである。図1は、本発明の一実施形態に係るはく離進展解析装置の概略ブロック図である。
本実施形態のはく離進展解析装置は、演算装置1と、操作入力装置2と、記憶装置3と、画像表示装置4と、非破壊検査装置5とを備える。
演算装置1は、コンピュータとこれに実行させるプログラム等からなり、初期はく離設定手段11、要素分割演算手段12、有限要素解析手段13、進展制御手段14、許容限界設定手段15、余寿命算出手段16、画像情報生成手段17、再生表示制御手段18等を構成し、記憶装置3、画像表示装置4及び非破壊検査装置5を制御する。
操作入力装置2は、オペレータのキー操作などによる操作指令を演算装置1へ入力する。
記憶装置3は、モデルの属性情報、荷重条件を定める情報、初期はく離を定める情報、許容はく離限界を定める情報、予測進展歴情報を記憶する。
モデルの属性情報、荷重条件を定める情報は予め記憶装置3に記憶される。モデルの属性情報には、モデルの幾何学的情報及びモデルを構成する部材の物性情報が含まれる。モデルを構成する部材には、接着剤のほか、この接着剤により接着される部材が含まれる。
画像表示装置4は、演算装置1から出力される画像情報に基づき画像を表示する。表示される画像には、操作のガイダンスのほか、はく離を含んだモデルの画像が含まれる。
非破壊検査装置5は、既存のものの中から任意のものを選んで使用すればよいが、超音波を利用したものや、光ファイバセンサを利用したものが挙げられる。光ファイバセンサを利用したものとしては、本願出願人が出願した特許文献2が挙げられる。
本実施形態のはく離進展解析装置における処理内容につき説明する。図2は、本実施形態における基本的な処理内容を示すフローチャートである。本実施形態においては図3に示す構造物aを検査対象とする。図3に示す構造物aは、航空機の翼の外板a1と、ハット型縦通材a2と、外板a1とハット型縦通材a2とを接着固定する接着剤により形成された接着層a3とからなる。このような構造物aでは、ハット型縦通材a2の接着面の内側角部からはく離が開始される。そのうち1つは図3に示す点Oである。同図に点Oを原点とするX−Y座標を示した。
まず、データ入力ステップS1として、非破壊検査装置5が検出したはく離形状を示す情報を演算装置1に入力する。すなわち、演算装置1は、操作入力装置2からはく離進展解析の開始命令が入力されると、非破壊検査装置5を制御して構造物aに対しはく離の有無及びはく離が存在している場合はその形状を検出させるとともに、その検出した情報の提供を要求する。この構造物aは、記憶装置3に属性情報が記憶されているモデルに相当する実物である。
演算装置1は非破壊検査装置5から検出結果を受けると、記憶装置3に初期はく離を定める情報として記憶させる。また、演算装置1の初期はく離設定手段11は、非破壊検査装置5から検出結果を初期はく離として設定する。初期はく離の設定は、非破壊検査装置5の検出結果に基づくほか、例えば、オペレータが操作入力装置2を操作して入力したものに基づいて行っても良い。
〔要素分割〕
次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、ステップS2として2次元要素分割を行う。また、要素分割演算手段12は、必要によりステップS3として3次元要素分割を行う。以下に、ステップS2とした2次元要素分割の演算処理内容につき説明する。図4(a)に図3中と同じX−Y座標を示す。図4は、モデルの対象領域に対する分割処理の過程を示す平面図である。本実施形態においては、図3に示す点Oに相当する点を中心とする扇形の対象領域20を設定した。
(1)まず、演算装置1の要素分割演算手段12は、対象領域20をある座標系に配置して、対象領域20の外形線を含む境界線について境界線上の点の座標を決定するステップを実行する。ここで、ある座標系にはX−Y座標が該当する。対象領域20の外形線とは、上述した扇形の外形線である。また、はく離前縁21及び円弧線22を境界線とする。
これらの境界線上に要素分割に用いる点を決定する。図4(a)に示すように、はく離の外形線上及びその内部については、はく離の外形線の外部に対して、狭い間隔で点を決定する。ここで、はく離の外形線は、原点Oを中心としはく離前縁21を弧とする扇形の外形線に相当する。したがって、円弧線22ははく離の内部に相当する。
また、図4(a)に示すように、はく離の外形線の外部に配置される点の間隔を、はく離に近くなるほど狭くする。
はく離の進展に対する影響度の高いはく離部及びこれに近い領域をより細かな要素に分割し、解析精度を向上するためである。
(2)次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、(1)のステップで決定した境界線上の点の座標を節点として、デローニー三角分割法により対象領域20を分割するステップを実行する。本ステップにより図4(b)に示すように対象領域20は三角形要素に分割される。このとき、三角形要素として、鈍角をもった三角形や、細長い三角形が多く見られる。
(3)次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、モンテカルロ法によりX−Y座標において任意の座標を選出し、当該座標が対象領域20に入るか否かをローソン探査法により判定するステップを実行する。節点を含む三角形の探査法であるローソン探査法を行うことで、選出した任意の座標に対し一次元(直線的)探査が可能となり、探査時間が短縮できる。
(4)次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、(3)のステップにより対象領域20に入ると判定された座標を中心とする円を、既定の関数に基づきその半径を決定して順次仮定し、仮定した円が既存の円と交わらない場合にその仮定した円を採用するステップを実行する。
ここで、この既定の関数は、例えば図4(b)に示す点pを中心座標とする円と、境界線(この場合Y軸上の境界線が相当)との最小距離dを変数とし、この変数dが大きくなるほど円の半径rを大きくする相関を有する。
また、この既定の関数は、境界線上で(1)のステップで決定した隣接する2点を端点とする線分のうち、円の中心座標pに最も近い線分の長さeを変数とし、この変数eが大きくなるほど円の半径rを大きくする相関を有する。
すなわち、演算装置1の要素分割演算手段12は、変数dが大きくなるほど、変数eが大きくなるほど半径rを大きくする。円の仮定を順次行い、1番目の円を採用し、2番目以降の円では仮定した円が既存の円と交わらない場合にその円を採用する。
本ステップの実行により、図4(c)に示すように大小の円が配置される。
(5)次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、(4)のステップにより採用したすべての円について、モンテカルロ法により1つの円を抽出し、その1つの円との間隔が最も小さい6つの円を特定し、前記1つの円の中心座標をモンテカルロ法により仮に移動させ、移動前後について前記1つの円との間隔の分散度Φの値を計算して、移動後の分散度Φの値が移動前の分散度Φの値に対して低下した場合に移動後の中心座標を採用するステップを実行する。
演算装置1の要素分割演算手段12は、このモンテカルロ法による試行を繰り返し、分散度Φを全体的に低下させていく。これにより図4(d)示すように円が配置される。
図4(c)と図4(d)を比較すれば分かるように、円の配置が均等化している。本ステップの実行により、内部の1点の周囲の6点を、その中心の1点に対し均等度の高い6方に配置することができたためである。ここで、均等度の高い6方に配置するとは、中心の1点と周囲の6点の各点とをそれぞれ結ぶ直線を仮想したとき、隣接する2直線のつくる角度を60度に近づかせることをいう。
(6)次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、(1)のステップで決定した境界線上の点の座標と、(2)〜(5)のステップを経て採用した座標とを節点として、デローニー三角分割法により対象領域20を分割するステップを実行する。本ステップの実行により図4(e)に示すように、対象領域20は三角形要素に分割される。この時、内部の1点を共有する三角形要素は必ず6つとなる。三角形要素は、図4(b)に比較して正三角形度の高い要素が増えている。これは、(5)のステップの実行により、上述した隣接する2直線のつくる角度が60度に近くなっているため、その近似度に応じて、各三角形要素は正三角形に近い形となるからである。
ここで、要素分割を終了しても正三角形に近い三角形要素に分割された三角メッシュを得ることができるが、本実施形態ではさらに次のステップを実行する。
(7)次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、(6)のステップにより形成した三角メッシュについて、モンテカルロ法により節点を抽出し、抽出した節点の座標をモンテカルロ法により仮に移動させ、抽出した節点を頂点とするすべての三角形について前記節点移動前後の非正三角形度DTRの値の総和を計算して、移動後の非正三角形度DTRの値の総和が移動前の非正三角形度DTRの値の総和に対して低下した場合に移動後の節点座標を採用するステップを実行する。
演算装置1の要素分割演算手段12は、このモンテカルロ法による試行を繰り返し、非正三角形度DTRを全体的に低下させていく。
(8)次に、演算装置1の要素分割演算手段12は、(1)のステップで決定した境界線上の点の座標と、前記(2)〜(7)のステップを経て採用した座標とを節点として、デローニー三角分割法により対象領域20を分割するステップを実行する。これにより図4(f)示すように、より正三角形に近い三角形要素に分割された三角メッシュを得ることができる。
〔接着はく離の進展解析〕
次に、演算装置1の有限要素解析手段13は、要素分割演算手段12により要素に分割された対象領域20に対し、記憶装置3に記憶された荷重条件を定める情報に基づきその荷重条件下で、はく前縁21上の節点におけるはく離の進展量及びその方向を算出する(ステップS4)。
本実施形態においてはく離進展解析に適用する理論は、以下による。他の形態の損傷の進展を解析する場合には、それに応じた進展理論を適用すればよい。
接着はく離進展量を決定する破壊力学パラメータには、接着はく離前縁における全エネルギー解放率Gtotalを用いる。本実施形態では,全エネルギー解放率Gtotalを仮想亀裂進展法により算出する。仮想亀裂進展法の概要は、図5,図6に示される。これによって全エネルギー解放率Gtotalを求める(ステップS5)。そして、はく離の進展量を次式のパリス則より求める。
Figure 0004721282
ここで、Δaは接着はく離進展量、Nは負荷繰り返し数、C,mは実験により得られる定数である。また、接着はく離の進展方向は、図7に示すようにその前縁に対する法線方向とする。
次に、演算装置1の進展制御手段14は、有限要素解析手段13により算出されたはく離の進展量及びその方向に基づき、はく離の前縁を進展させて(ステップS6)、ステップS2へ処理を回帰させる。
したがって、ステップS2〜S6が繰り返され、はく離が順次進展する。ステップS2〜S6の演算は、予め設定した繰り返し数までとして終了しても良い。また、次に説明する余寿命算出を行って終了しても良い。
演算装置1の許容限界設定手段15は、ステップS1のデータ入力において、操作入力装置2からの指令に基づき許容はく離限界の入力の要求を画像表示装置に表示し、これに対応して操作入力装置2から入力されたはく離の寸法や形状を許容はく離限界として設定する。
演算装置1の余寿命算出手段16は、ステップS2〜S6の繰り返しの実行により、はく離が、許容限界設定手段15により設定された許容はく離限界までの進展に要する条件を算出する。ここで、許容はく離限界までの進展に要する条件は、例えば、単純な繰り返し荷重が負荷されている場合は、荷重負荷の繰り返し数Nである。演算装置1は算出された許容はく離限界までの進展に要する条件を余寿命として画像表示装置4に表示する。余寿命の表現単位としては、荷重負荷の繰り返し数Nに限らない。荷重条件が時間の要素を有して決められている場合は、時間でも良い。航空機の場合、標準的な荷重条件の変遷を1フライト単位で定めた標準荷重歴モデルがあるから、これを荷重条件として用いる場合、余寿命は1フライトを単位として表現しても良い。
一方、演算装置1の画像情報生成手段17は、記憶装置3に記憶されたモデルの幾何学的情報と、ステップS1のデータ入力で得られた初期はく離とに基づき、初期はく離を含んだモデルの画像情報を生成する。
演算装置1は、画像情報生成手段17が生成した画像情報に基づき、初期はく離を含んだモデルを画像表示装置4にグラフィック表示させる。
さらに、ステップS2〜S6の演算が開始されると、進展制御手段14は、はく離の前縁を進展させるごとに、画像情報生成手段17に対し進展後のはく離を含んだモデルの画像情報を生成させるとともに、画像情報生成手段17が生成した画像情報に基づき、はく離を含んだモデルを画像表示装置4にグラフィック表示させる。
以上により、画像表示装置4には、ステップS2〜S6の演算の実行に応答した速度ではく離の進展の様子がグラフィック表示される。
任意の速度ではく離の進展の様子を表示させるためには、次のように構成する。
すなわち、演算装置1は、画像情報生成手段17が生成した初期はく離を含んだ画像情報及びはく離進展ごとの画像情報を予測進展歴として記憶装置3に記憶させる。
演算装置1の再生表示制御手段18は、記憶装置3に予測進展歴として記憶された一連の画像情報(動画ファイル)を読出し、一つのはく離の状態に対応する画像情報を1フレームとして、所定のフレームレートではく離の進展過程に沿って画像表示装置4にはく離を含んだモデルをグラフィック表示させる。操作入力装置2から入力される信号により所定のフレームレートを操作可能としても良い。この所定のフレームレートは、常に一定である必要は無い。操作入力装置2を介した操作に基づき、フレームレートの上げ下げが可能となるように構成しても良い。これにより使用者ははく離進展の様子を観察しやすくなる。
本発明の一実施形態に係るはく離進展解析装置の概略ブロック図である。 本発明の一実施形態における基本的な処理内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態において検査対象とする構造物の斜視図である。 本発明の一実施形態においてモデルの対象領域に対する分割処理の過程を示す平面図である。 仮想亀裂進展法を定義するためのはく離進展モデルの見取図である。 仮想亀裂進展法を構成する理論式である。 (a)ははく離進展モデルの見取図、(b)ははく離進展の方向を示すはく離前縁の平面図である。
符号の説明
a 構造物
a1 外板
a2 ハット型縦通材
a3 接着層
20 対象領域
21 はく離前縁

Claims (17)

  1. 有限要素解析に適用する要素分割法であって、
    (1)対象領域をある座標系に配置して、前記対象領域の外形線を含む境界線について当該境界線上の点の座標を決定するステップと、
    (2)前記(1)のステップで決定した前記境界線上の点の座標を節点として、デローニー三角分割法により前記対象領域を分割するステップと、
    (3)モンテカルロ法により前記座標系において任意の座標を選出し、当該座標が前記対象領域に入るか否かを判定するステップと、
    (4)前記(3)のステップにより前記対象領域に入ると判定された座標を中心とする円を、既定の関数に基づきその半径を決定して順次仮定し、仮定した円が既存の円と交わらない場合に当該仮定した円を採用するステップと、
    (5)前記(4)のステップにより採用したすべての円について、モンテカルロ法により1つの円を抽出し、前記1つの円との間隔が最も小さい6つの円を特定し、前記1つの円の中心座標をモンテカルロ法により仮に移動させ、移動前後について前記1つの円との間隔の分散度の値を計算して、移動後の分散度の値が移動前の分散度の値に対して低下した場合に移動後の中心座標を採用するステップと、
    (6)前記(1)のステップで決定した前記境界線上の点の座標と、前記(2)〜(5)のステップを経て採用した座標とを節点として、デローニー三角分割法により前記対象領域を分割するステップとを備える要素分割法。
  2. (7)前記(6)のステップにより形成した三角メッシュについて、モンテカルロ法により節点を抽出し、抽出した節点の座標をモンテカルロ法により仮に移動させ、抽出した節点を頂点とするすべての三角形について前記節点移動前後の非正三角形度の値の総和を計算して、移動後の非正三角形度の値の総和が移動前の非正三角形度の値の総和に対して低下した場合に移動後の節点座標を採用するステップと、
    (8)前記(1)のステップで決定した前記境界線上の点の座標と、前記(2)〜(7)のステップを経て採用した座標とを節点として、デローニー三角分割法により前記対象領域を分割するステップとを備える請求項1に記載の要素分割法。
  3. 前記(5)における分散度が下記Φで定義される請求項1又は請求項2に記載の要素分割法。
    Figure 0004721282
    (但し、driは注目する円と上記6個の円のうちのi番目の円との間隔、draは注目する円と上記6個の円とのそれぞれの間隔の平均値である。)
  4. 前記(7)における非正三角形度が下記DTRで定義される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の要素分割法。
    Figure 0004721282
    (但し、a,b,cは各要素の三角形の辺の長さ、Sは各要素の三角形の面積とする。)
  5. 前記(4)における既定の関数は、前記(4)の座標と前記(1)の境界線との最小距離を変数とし、この変数が大きくなるほど前記(4)の半径を大きくする相関を有することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の要素分割法。
  6. 前記(4)における既定の関数は、前記(1)の境界線上で前記(1)のステップで決定した隣接する2点を端点とする線分のうち、前記(4)の座標に最も近い線分の長さを変数とし、この変数が大きくなるほど前記(4)の半径を大きくする相関を有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の要素分割法。
  7. 前記(3)における判定をローソン探査法により行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載の要素分割法。
  8. 請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の要素分割法を実行可能にされてなる演算装置を備えた要素分割演算装置。
  9. モデルの属性情報及びこのモデルへの荷重条件を定める情報を記憶する記憶装置と、
    前記対象領域内の初期損傷を設定する初期損傷設定手段と、
    前記初期損傷設定手段により設定された前記初期損傷の前縁上にも前記(1)の境界線上の点があるようにして、請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の要素分割法を実行する要素分割演算手段と、
    前記要素分割演算手段により要素に分割された対象領域に対し、前記荷重条件下で、前記前縁上の節点における損傷の進展量及びその方向を算出する有限要素解析手段とを備える損傷進展解析装置。
  10. 前記有限要素解析手段により算出された前記損傷の進展量及びその方向に基づき、前記損傷の前縁を進展させて、前記損傷を進展させるごとに、
    前記要素分割演算手段に対しては、進展後の損傷の前縁上にも前記(1)の境界線上の点があるようにして、前記対象領域を再分割させ、
    前記有限要素解析手段に対しては、前記要素分割演算手段により再分割された前記対象領域に対し、前記荷重条件下で、当該進展後の損傷の前縁上の節点における損傷の進展量及びその方向を算出させる進展制御手段を備える請求項9に記載の損傷進展解析装置。
  11. 前記要素分割演算手段は、請求項6に記載の要素分割法を実行し、その実行にあたって前記(1)のステップにおいては、前記初期損傷及びその後に進展する損傷について、当該損傷の外形線上及びその内部に配置される前記(1)の境界線上の隣接する2点の間隔を、前記損傷の外形線の外部に配置される前記(1)の境界線上の隣接する2点の間隔より狭くすることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の損傷進展解析装置。
  12. 前記損傷の外形線の外部に配置される前記(1)の境界線上の隣接する2点の間隔を、損傷に近いものほど狭くすることを特徴とする請求項11に記載の損傷進展解析装置。
  13. 前記初期損傷設定手段は、前記モデルに相当する実物に対し非破壊検査装置により検出された損傷を、前記対象領域内の初期損傷に設定することを特徴とする請求項9から請求項12のうちいずれか一に記載の損傷進展解析装置。
  14. 許容損傷限界を設定する許容限界設定手段と、
    前記初期損傷から前記許容損傷限界までの進展に要する条件を算出する余寿命算出手段とを備えることを特徴とする請求項9から請求項13のうちいずれか一に記載の損傷進展解析装置。
  15. 損傷を含んだ前記モデルの画像情報を生成する画像情報生成手段と、
    前記画像情報生成手段が生成した画像情報に基づき、前記損傷を含んだ前記モデルをグラフィック表示する画像表示装置とを備えることを特徴とする請求項9から請求項14のうちいずれか一に記載の損傷進展解析装置。
  16. 前記進展制御手段は、損傷の前縁を進展させるごとに、前記画像情報生成手段に対し進展後の損傷を含んだ前記モデルの画像情報を生成させることを特徴とする請求項15に記載の損傷進展解析装置。
  17. 前記画像情報生成手段が生成した一つの損傷の状態に対応する画像情報を1フレームとして、所定のフレームレートで損傷の進展過程に沿って前記画像表示装置に損傷を含んだ前記モデルをグラフィック表示させる再生表示制御手段を備えることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の損傷進展解析装置。
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