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JP4726011B2 - 金属基複合材料の製造方法および金属基複合材料部材の製造方法ならびに撹拌装置 - Google Patents
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JP4726011B2 - 金属基複合材料の製造方法および金属基複合材料部材の製造方法ならびに撹拌装置 - Google Patents

金属基複合材料の製造方法および金属基複合材料部材の製造方法ならびに撹拌装置 Download PDF

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Description

この発明は、純金属または合金(以下、単に金属という)に強化材を分散させた粒状または片状の金属基複合材料の製造方法および該金属基複合材料を用いた部材の製造方法ならびに前記金属基複合材料の製造方法に好適に用いられる撹拌装置に関するものである。
従来、金属をマトリックスとした複合材料製の部品を作製する方法として、あらかじめ成形した強化材のプリフォームを準備し、これに溶融金属を含浸させる方法が知られている。たとえば特許文献1には、TiO粒子を加圧成形したプリフォームに溶融Alを加圧浸透させて、TiO/Al複合材料を製造する方法が示されている。
また、金属をマトリックスとした複合材料製の部品を作製する別の方法として、粉末冶金的な方法が知られている。この方法では、金属粉末と強化材粉末とを混合し、ホットプレスなどで圧縮焼結し、さらにこの焼結体に押出し、鍛造、圧延、などの塑性加工を加えることにより、複合材料を作るものである。非特許文献1には、AlマトリックスにSiC粒子を粉末冶金により製造した例が紹介されている。
特開2005-334953号公報 「複合材料活用事典」、日本複合材料学会編(産業調査会発行)、2001年4月20日(初版第1刷)、752〜764ページ
しかし、上記のようなプリフォームを用いる従来方法では、プリフォームの形成という工程が必要であり、コストアップの要因となる。また、この方法では、必要とされる複雑な形状や寸法精度や表面精度を得ることが容易ではなく、適用できる製品に限界がある。また、プリフォームへの溶融金属の含浸は、時間のかかる工法であり、工業的な生産手段としては生産性に劣るという問題点がある。
また、粉末冶金的手法は、たとえばマグネシウム合金に適用しようとすると、粉末が粉塵爆発を引き起こす危険性が大きいため、マグネシウム基複合材料の製造に適用するのは困難である、という問題点がある。
この発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決するためになされたものである。
本発明では、第一に、マトリックスとなる金属に、複合強化材(粉末・粒子・繊維)を均一に分散させた粒状または片状の原料を効率よく製造する方法を提供することを目的としている。
第二に、そのようにして製造された粒状原料を用いて、金属基複合材料部品を、生産性良く製造することを可能にする方法を提供することを目的としている。
第三に、上記金属溶湯に強化材を均等に分散させるのに好適な撹拌装置を提供することを目的としている。
すなわち、請求項1記載の金属基複合材料の製造方法の発明は、坩堝内で、溶融した金属(合金を含む。以下同様)と強化材とを、上下動可能な回転軸と、該回転軸に固定され、異なるひねり角を有する複数の撹拌翼と、前記回転軸に固定され、横方向に沿った板面を有する上下撹拌板とを備える撹拌装置を用いて、回転と上下動とを含む撹拌によって混合し、前記強化材が分散した溶融金属を急冷して箔帯形状に凝固させ、該箔帯を粉砕して粒状または片状にすることを特徴とする。
請求項2記載の金属基複合材料の製造方法の発明は、請求項1記載の発明において、前記箔帯が厚さ0.01〜2.5mmであることを特徴とする。
請求項3記載の金属基複合材料の製造方法の発明は、坩堝内で、溶融した金属と強化材とを、上下動可能な回転軸と、該回転軸に固定され、異なるひねり角を有する複数の撹拌翼と、前記回転軸に固定され、横方向に沿った板面を有する上下撹拌板とを備える撹拌装置を用いて、回転と上下動とを含む撹拌によって混合し、前記強化材が分散した溶融金属を飛散・急冷させて粒状または片状に凝固させることを特徴とする。
請求項4記載の金属基複合材料の製造方法の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記強化材の量が、前記金属基複合材料に対し、体積百分率で0.5%〜40%であることを特徴とする。
請求項5記載の金属基複合材料の製造方法の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記坩堝内での撹拌、混合を行う温度を、前記金属の融点(液相線温度) から +250℃の範囲内とすることを特徴とする。
請求項6記載の金属基複合材料部材の製造方法の発明は、請求項1〜5のいずれかの方法により製造され、強化材が分散して含まれている粒状または片状の金属基複合材料を用いて、前記金属が液相の状態、または前記金属の固相を含む状態で射出成形することを特徴とする。
請求項7記載の金属基複合材料部材の製造方法の発明は、請求項1〜5のいずれかの方法により製造され、強化材が分散して含まれている粒状または片状の金属基複合材料を用いて、前記金属の固相を含む状態で押出し成形することを特徴とする。
請求項8記載の金属基複合材料部材の製造方法の発明は、請求項7記載の発明において、前記金属の固相が、全金属に対し体積率で30〜100%であることを特徴とする。
請求項9記載の撹拌装置の発明は、上下動可能な回転軸と、該回転軸に固定され、異なるひねり角を有する複数の撹拌翼と、前記回転軸に固定され、横方向に沿った板面を有する上下撹拌板とを備えることを特徴とする。
請求項10記載の撹拌装置の発明は、請求項9記載の発明において、前記上下撹拌板は、上方または/および下方に沿った囲い面を有する囲い部を有することを特徴とする。
請求項11記載の撹拌装置の発明は、請求項9または10記載の発明において、異なるひねり角の前記撹拌翼は、軸方向位置を異にして回転軸に固定されていることを特徴とする。
請求項12記載の撹拌装置の発明は、請求項9〜11のいずれかに記載の発明において、前記上下撹拌板に気泡抜き穴が形成されていることを特徴とする。
本発明の金属基複合材料の製造方法によれば、坩堝において金属溶湯と強化材とが回転と上下動を含む撹拌によって比重の異なる金属溶湯と強化材とが効果的に撹拌され、強化材が均等に分散した金属溶湯が得られ、その後、急冷凝固による箔帯の形成、粉砕や飛散・凝固によって粒状または片状の金属基複合材料が得られる。
なお、強化材の混合は、金属および強化材の全体に対し、体積百分率で0.5%〜40%とするのが望ましい。これは混合比率が0.5%未満では、複合材料全体における強化材の分布を均一に保つのが困難になり、また一方、混合比率が40%を越えると、溶湯の流動性が低下し、ノズルからスムーズに噴射できなくなる、という弊害があるためである。
なお、上記撹拌・混合の際に、金属溶湯は、金属の融点(液相線温度)TからT+250℃の範囲内の温度とするのが望ましい。T未満であると、部分的に固相が生じ、強化粒子の分散を妨げるという弊害があり、温度がT+250℃以上になると、金属の気化が激しくなるという弊害があるためである。
上記金属溶湯を急冷することで、強化材を均等に分散させたままで金属溶湯を凝固させることができる。金属溶湯の急冷方法は、冷却されたロール間への金属溶湯の流し込みなどによる凝固や、飛散・凝固により行うことができる。本発明の一部では、前者のように急冷凝固によって箔帯を製造する。溶融金属を箔帯とする方法としては、「メルトスピン」や「ストリップキャスト」などの既知の方法がある。本発明でもこれらの方法を用いることができる。箔帯は、粉砕によって粒状、片状とされる。粉砕は、ミルなどにより行うことができ、本発明としては特定のものに限定されない。なお、箔帯は、厚さを0.01〜2.5mmとするのが望ましい。厚さが0.01mmより薄くなると、粉砕したときに微粉末状になって後段の成形プロセスにおける取り扱いが面倒になり、また金属の種類によっては、粉塵爆発などの危険性も増してくる。一方、厚さが2.5mmを越えると、粉砕して粒状原料とするのが困難になるためである。
上記金属および強化材は、金属基複合材料の適用分野などに応じて適宜の材質が選択され、本発明としては、特定の材料に限定されるものではない。ただし、粉体の取り扱いが難しいマグネシウム、マグネシウム合金を上記金属として用いる分野に特に好適である。
強化材は、粉体、粒体、繊維体、片体などを用いることができる。強化材の大きさは本発明としては特に限定されるものではないが、後述するように、金属基複合材料を射出成形や押出し成形に用いるような場合には、良好な成形を可能とするため金属基複合材料の好適な大きさがあるため、これに均等に分散できるように長軸の大きさで1〜1000μmとするのが望ましい。
また、金属基複合材料は、射出成形や押出し成形に用いるような場合、良好な成形性を確保するため、長軸側が0.5〜10mmの大きさを有するのが望ましい。
本発明の金属基複合材料は、好適には後述する射出成形や押出し成形に用いることができるが、これに限定されるものではなく、プレス固化と塑性変形などによって所望の成形体を得ることができる。該方法では、複合強化材の鍛造品が容易に成形できる、という効果がある。その理由は、粒状原料が急冷により製造されているために結晶粒が微細であり、固相温度域で塑性加工が可能になるためである。
また、本発明の金属基複合材料部材の製造方法によれば、上記金属基複合材料を用いて、成形を行うことで、強化材が均等に分散したままで成形を行うことができる。また、急冷状態の組織(微結晶粒)の変質(再結晶)が少なくなり、良好な加工性(伸び、絞り)が維持される。
また、該金属の固相を含んだ状態で射出成形または押出し成形を行う場合、射出成形では、固相の比率は体積%で50%以下、押出し成形の場合は30〜100%とするのが望ましい。射出成形の場合、50%を超えると合金の流動性が低下し、健全な成形体が得られにくくなり、また、押出し成形の場合、30%未満になると、液相の比率が高くなり、組織の変質が多くなるためである。押出し成形では、上記固相比率に示すように、液相を含まないで固相のみで成形を行うことも可能である。
また、本発明の撹拌装置によれば、ひねり角が異なる撹拌翼によってねじれを伴った正逆回転がなされ、さらに上下撹拌板によって上下撹拌がなされ、液体を効果的に撹拌することができ、該液体に固形物を含む場合、該固形物を液体中に均等に分散させることができる。
ひねり角が異なる撹拌翼は、回転軸に対し、軸方向に位置をずらして固定することで、それぞれの撹拌翼による回流同士が作用し合って撹拌作用を高める。これに上下撹拌が相乗されることでより均等な撹拌が可能になる。上下撹拌板には、上方または下方に囲い面を有する囲い部を設けることで、上下撹拌がより効果的になされる。なお、囲い面は、周方向において間隙を介して所定の間隔で設けることができる。これにより金属溶湯の上下動と、該間隙から漏れ出す放射状の流れとが重なり合って撹拌作用を高める。なお、上下撹拌板には、気泡抜き穴を設けて上下撹拌板の下降に伴って気泡抜きを可能とするのが好ましい。
本発明の撹拌装置は、上記金属基複合材料の製造に好適に用いられる。ただし、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、広い分野において液体を効果的に撹拌するために用いることができ、特に該液体に比重の異なる固形物を分散させる場合に好適に用いられる。
例えば、Mg合金とSiCの微粒子が均一に混合されたMg合金の箔体を得るには、溶解中のMg合金とSiCを上手く混合しなければならない。本発明では、好適には正回転と逆回転が交互にできる回転攪拌に加え上下動の運動の機能を有する攪拌方法と、これに下方向と横方向さらに上下方向に単独かつ総合的に有効な攪拌能力を有する攪拌の組合せで坩堝(又は容器)内に強い乱流を起こし、SiCとMg合金の溶湯を満遍なく均一に混合できる。特に、強攪拌されることで、比重差が大きいものや凝集性が強く偏析しやすいものの混合には有効である。また、Mgは大気中では空気と反応して発火することから真空中や不活性ガス中の攪拌が出来るのが望ましい。
以上説明したように、本発明の金属基複合材料の製造方法によれば、坩堝内で、溶融した金属(合金を含む。以下同様)と強化材とを回転と上下動とを含む撹拌によって混合し、前記強化材が分散した溶融金属を急冷して、箔帯形状に凝固させて該箔帯を粉砕して粒状または片状にするか、前記強化材が分散した溶融金属を飛散・急冷させて粒状または片状に凝固させるので、強化材が均一に分散した粒状原料とすることができる、という効果がある。その理由は、溶湯中で強化材を均一に分散させた状態から急冷凝固させるために、均一分散の状態をそのまま固化することができるからである(通常の凝固にともなう強化材の偏在が避けられる。)。また、箔帯とすることにより、容易に粉砕でき、粒状原料とすることが容易であり、また、飛散・凝固では直ちに粒状原料が得られる。また、強化材が均等に分散した金属基複合材料を効率的かつ安全に製造することができ、複合材料の大きさの管理も容易である。一方、従来法によって強化材を金属溶湯に分散させてインゴットにし、これをチッピングして粒状の金属基複合材料を製造することも考えられるが作業に困難性を伴う上に、マグネシウムなどにおいては取り扱いが難しく、また粒径の管理も難しい。
また、本発明の金属基複合材料部材の製造方法によれば、上記金属基複合材料の製造方法により製造され、強化材が分散して含まれている粒状または片状の金属基複合材料を用いて、前記金属が液相の状態、もしくは固相を含む状態で射出成形し、または固相を含む状態で押出し成形するので、効率的な成形を行うことができる。特に、固相を含む状態で射出成形または押出し成形することで、急冷組織を維持したままでの成形が可能になる。
射出成形では、複雑形状の複合強化材部品がネットシェイプで容易に成形できる、という効果がある。その理由は、粒状原料とすることによって、射出成形機のスクリュ・シリンダによる搬送・可塑化作用が働き、またスクリュの高速前進運動によって金型に射出されるという成形作用が生かされること、および、添加した強化材が原料中に均一に分散しているために、上記の可塑化、及び成形作用に何ら悪影響を及ぼさないからである。
押出し成形では、複合強化材の押出し品が容易に成形できる、という効果がある。その理由は粒状原料とすることにより、スクリュによる搬送・押出しが可能になるからである。また、粒状原料は急冷により製造されているために結晶粒が微細であり、固相温度域でも押出し加工が可能になるためである。
また、本発明の撹拌装置によれば、上下動可能な回転軸と、該回転軸に固定され、異なるひねり角を有する複数の撹拌翼と、前記回転軸に固定され、横方向に沿った板面を有する上下撹拌板とを備えるので、液体に比重の異なる固形物を分散させる際にも効果的な撹拌混合を行って、固形物を液体中に均等に分散させることができる。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
先ず、金属基複合材料の製造方法に用いられる溶解・混合装置について説明する。
溶解・混合装置は、図1に示すように、金属を溶解する坩堝1の周囲に真空容器2が配置されて、真空溶解炉が構成されており、前記坩堝1内を撹拌する撹拌装置3が真空容器2内の真空状態を維持できるように、該容器を貫通して配置されている。
撹拌装置3は、図1に示すように先端に撹拌子が設けられた回転軸30が縦方向に配置されており、該回転軸30は、真空容器2を封止する蓋2aを貫通しており、貫通部にはリニアボールブシュ40が設けられてガスシールされている。真空容器2の上方両外側に縦方向に沿ってガイドバー41、41が固定されており、該ガイドバー41、41に移動台44が 上下に移動可能に取り付けられており、該移動台44に前記回転軸30が回転可能に吊り下げられている。該移動台44には、回転軸30を回転駆動する撹拌用モータ45が設置されている。また、移動台44には昇降用モータ46が設置されており、該昇降用モータ46で移動台44に固定した2対のボールネジに上下の直線運動を与えて、移動台44を昇降させる。なお、移動台44には、バランスウェイト47の自重がスプロケット48によって引き上げ力として加えられており、移動台45および回転軸30、撹拌子の重力が相殺されている。
次に、撹拌子の詳細な構造を図2に基づいて説明する。
撹拌子は、最下端側に、45度のひねり角で4枚の撹拌翼31が90度間隔で固定されており、該撹拌翼31の上方には、ひねり角を90度にして縦方向に撹拌面を有するようにした4枚の撹拌翼32が90度間隔で固定されている。さらに、撹拌翼32の上方には、円板状の上下撹拌板33が固定されている。該上下撹拌板33の外周縁には、上方に折り返した上方囲い板34と、下方に折り返した下方囲い板35とが囲い面を有する囲い部として、互いに小隙間を介して周方向に沿って交互に設けられている。また、上下撹拌板33には、径方向に沿った複数の気泡抜き穴37…37が周方向に間隔を置いて等間隔で形成されている。
上記撹拌・混合装置では、撹拌用モータ45によって回転軸を正逆回転することができる。また、昇降用モータ46によって移動台44が回転軸30とともにガイドバー41でガイドされつつ昇降することができる。
次に上記撹拌・混合装置を用いた金属基複合材料の製造方法について説明する。
上記坩堝1内に金属と粉状、粒状または片状の強化材(この実施形態ではSiC)とを収容し、前記金属を金属の融点(液相線温度)TからT+250℃の範囲内に加熱するとともに、真空容器2内を図示しない排気装置で真空排気する。なお、強化材の量は、金属と強化材全体に対し、体積百分率で0.5%〜40%とするのが望ましい。また、強化材の大きさは、長軸の大きさで1〜1000μmとするのが望ましい。
上記加熱によって金属は溶解し、該金属溶湯5中に強化材6が存在することになる。この金属溶湯5中に撹拌子が位置するように昇降用モータ46によって回転軸30を下降させる。この位置で撹拌用モータ45で撹拌翼31、32を正逆回転させて金属溶湯5を撹拌する。また、これに加えて昇降モータ46によって回転軸30を上下動させて撹拌位置を変えるとともに、上下撹拌板33によって金属溶湯5を上下撹拌する。なお、撹拌翼31、32の回転と回転軸30の上下動とは同時に行っても良く、また、時機を異にして行っても良い。
上記撹拌によって回転方向の角度差がある回流が撹拌翼31、32によって生じ、これを正逆回転することによって金属溶湯5が撹拌される。さらに上下撹拌板33により金属溶湯5が上下移動して効果的に撹拌され、金属溶湯5と比重の異なる強化材5が下方に集積したり、上方側に偏在するのを防止する。なお、上下動に際しては、上方囲い板34、下方囲い板35によって上下撹拌板33の周囲が囲まれることで金属溶湯5の上下動が確実になされる。また、上下動に際しては、上方囲い板34、34間の隙間または下方囲い板35、35間の隙間によって金属溶湯5が一部放射状に移動するので、撹拌作用が高まる。また、上下撹拌板33が下降する際には、下方に位置する金属溶湯5中の気泡が気泡抜き穴37…37によって効果的に上昇、除去される。
上記のようにして強化材6が均等に分散した金属溶湯5は、坩堝1から取り出して、例えば急冷されたロール間に流し込んで急冷凝固させ、好適には厚さ0.01〜2.5mmの箔帯にして粉砕して粒状、片状にしたり、飛散・凝固の方法によって急冷して粒状、片状にしたりして金属基複合材料を得る。
次に、そのようにして製造された粒状原料を用いて、金属基複合材料部品を、生産性良く製造することを可能にする、という目的を達成するための方法について述べる。
第一に、既存の金属射出成形装置である、「チクソモールディング」機を使用する方法について説明する。図4はチクソモールディング機の模式図である。
従来、チクソモールディングで金属基複合材料を成形しようとする試みとして、以下の二つの方法が考えられてきたが、それぞれ問題点がある。
まず第一の方法として、通常の金属チップ(強化粒子を含まないチップ)と、強化粒子を、所定の割合に混合してチクソモールディング機10に供給し、チクソモールディング機のシリンダの中でスクリュで攪拌混合して、これを射出して金属基複合材料を成形しようとする方法である。しかし、この方法では、強化材を均一に分散させた溶融金属状態とすることができず、健全な複合材料成形体を得ることはできない。
また第二の方法として、最初に溶湯攪拌法などにより、溶融金属に強化材粒子を混合・分散させ、これを凝固させて強化材入りのインゴットとし、これを機械的にけずって、強化材入りのチップを製造し、これを原料としてチクソモールディングにより金属基複合材料を成形しようとする方法である。しかしこの方法は、強化材入りのインゴットを機械的に削るのが困難で、工業的な方法としては適していない。
そこで本発明では、通常の原料金属チップの代わりに、前述したプロセスで作製した複合材料の粒状原料5aをチクソモールディング機10に供給する。複合材料粒子は、シリンダ12の周囲に配した加熱手段13によって加熱されつつスクリュ11の回転によりシリンダ12前方に送られる。複合材料粒子は加熱され、溶融し、シリンダ先端部12aに一定量貯留される。その後、スクリュ11の前進運動により、貯留された溶融複合材料はシリンダ先端のノズル12bを通って、ノズル前方に設けられた金型14のキャビティ14aに充填され、凝固して、所望の形状の複合材料部品50となる。この間、溶融複合材料はスクリュ11の回転運動により常に撹拌されているので、マトリックスである金属の中で、添加した強化材とは均一に分散した状態を保ち、沈降・浮上などにより不均一に分布することはない。したがって、得られた成形品においても強化材は均一に分散しており、複合材料として優れた性能を示す。
次に、スクリュ、シリンダを用いて、粒状原料を押出し成形する方法を説明する。これも上記と同様、複合材料の粒状原料が、急冷凝固しているために微細な結晶粒となっていることを利用する。微細な結晶粒となっているため、塑性加工性が大幅に向上し、押出し加工ができるようになる。
図5は、押出し機15の模式図である。この装置はシリンダ16と、シリンダ16の中で回転するスクリュ17と、シリンダ16の先端に取り付けられて押出し物の押出し形状を規定するダイス19と、シリンダの加熱手段18とを有している。
シリンダ後方の原料供給口より供給された粒状原料5aは、スクリュ17の回転によって前方に送られつつ加熱手段18により加熱される。原料はスクリュ17によりシリンダ16の前方に押されていくが、シリンダ前方に設置されたダイス19により抵抗を受け圧縮され、徐々に緻密化する。圧縮された状態でダイス19を通過することによって、粒状だった原料は高密度の固化体51となる。シリンダの温度を、原料として使用したマグネシウム合金の固相線温度以下にすることにより、粒状原料を固体のまま押出し・緻密化することができる。
次に、プレスを用いる方法を説明する。
従来、金属基複合材料は、塑性変形能が乏しいため、鍛造や圧延などの加工が困難である。
本発明では、前述したプロセスで作製した複合材料の粒状原料が、急冷凝固しているために微細な結晶粒となっていることを利用する。微細な結晶粒となっているため、塑性変形能が大幅に向上し、鍛造ができるようになる。
図6は通常の縦型プレス20を用いて固化する場合の模式図である。金型21に粒状原料を充填し、これを室温にて圧縮固化する。この状態では完全緻密化するに至らず、相対密度で80〜90%程度の固化体5bが得られる。この予備固化体5bを、加熱炉22によって加熱し、高温でさらに塑性加工(押出し、鍛造など)することにより、密度はほぼ100%に達し、緻密な複合材料部品が得られる。この実施形態では鍛造装置23により成形体52を得るものを示している。
(実施例1)
粒状原料製造法の実施例として、メルトスピニング法をベースとした方法を述べる。この装置は、直径120mm、深さ350mmの坩堝と、溶融金属に複合強化材を添加するためのバケット、坩堝中の溶融金属を撹拌する前記実施形態の撹拌子、銅製の直径400mmの水冷回転ロール、を備えている。そして坩堝の底には溶湯(マグネシウム合金とSiC粒子の混合溶融体)を急冷ロール上に滴下するためのノズル、およびそのノズルを開閉するためのストッパーが設けられている。これら全体が雰囲気調整が可能なチャンバーに格納されている。
この装置を用いて、マグネシウム合金(AM60、液相線温度620℃)を約1.5kg溶解した。これに、粒径5〜10μmのSiC粉末約0.3kg(体積率15%)を添加し、撹拌子を用いて10分間撹拌した。撹拌終了後、溶湯の温度を750℃に調整し、坩堝底のストッパーを上げてノズルを開き、坩堝内にアルゴンガス圧を0.5MPa加えた。このガス圧により、坩堝内の溶湯は、ノズルを通して坩堝外に噴射され、坩堝直下の回転ロールに滴下される。回転ロールは250rpmで回転させており、ロール表面に滴下された溶湯は急冷されて直ちに凝固し、薄い帯状の凝固物(急冷箔帯)となった。その厚さは0.2〜0.6mm程度であった。
このようにして得られた箔帯の断面を研磨し、光学顕微鏡にて観察したところ図7のようにSiC粒子が箔帯全体に均一に分散していることがわかった。
これを通常の粉砕機で粉砕したところ、長軸長さが約5mm、短軸長さが約3mmの薄片状(厚さは、箔帯の厚さと同程度となる)となり、後段の工程である、成形プロセスに適するものとなった。
この実施例において、急冷する前の溶融金属の温度は、その融点TからT+250℃の間が適当であることがわかった。温度がT未満であると、部分的に固相が生じ、強化粒子の分散を妨げるという弊害があった。また温度がT+250℃以上になると、金属の気化が激しくなるという弊害があった。
またこの実施例において、強化材の粒子の混合比率は、体積百分率で0.5%から40%が適当であることがわかった。混合比率が0.5%未満では、箔帯全体における強化材の分布を均一に保つのが困難になり、また一方、混合比率が40%を越えると、溶湯の流動性が低下し、ノズルからスムーズに噴射できなくなる、という弊害があった。
また、この実施例において、箔帯の厚さは、0.01mmから2.5mmの間が適当であることがわかった。厚さが0.01mmより薄くなると、粉砕したときに微粉末状になって後段の成形プロセスにおける取り扱いが面倒になり、また金属の種類によっては、粉塵爆発などの危険性も増してくる。厚さが2.5mmを越えると、粉砕して粒状原料とするのが困難になった。
(実施例2)
実施例1で作製した粒状複合材料(AM60+SiC粉末)を型締め力75tのチクソモールディング機に供給し、シリンダ設定温度630℃で成形した。図8のような引っ張り試験片形状の供試成形体が容易に得られた。
この供試成形体の数箇所1、2、3のミクロ組織を観察した結果を図9に示す。この観察結果からわかるように、成形体各部位での強化材粒子の分布は極めて均一になっており、健全な複合材料成形体が得られていることがわかった。
(実施例3)
実施例1で作成した粒状複合材料(AM60+SiC粉末)を、シリンダ直径51mmの押出し機に供給し、シリンダ設定温度550℃(固相体積率100%)で押出した。シリンダ先端には内径45mmのダイスを設置した。粒状原料はほぼ100%の密度まで緻密化された棒状に押出された。
(実施例5)
実施例1で作製した粒状複合材料(AM60+SiC粉末)を内径29mmの金型に充填し、圧縮力200tで室温で圧縮固化した。理論密度の85%程度の圧縮固化体が得られたので、これを350℃で後方押出し鍛造をおこない、直径11mmの棒状に成形することができた。
(比較例1)
実施例1と同様の組み合わせ(AM60+SiC粉末)で合金とSiC粉末を混合し、撹拌して混合溶融体とした後、これを図8と同様の形状の引張試験片を、金型に鋳込んで成形体を得ようとしたが、細部まで溶湯が充填しないこと、および成形体内部に引け巣が生じること、のために実施例3で得られたような健全な成形体は得られなかった。
(比較例2)
実施例5と同様の組み合わせ(AM60+SiC粉末)で合金とSiC粉末を混合し、撹拌して混合溶融体とした後、これを内径29mmの金型に鋳込んで鋳塊とした。これを350℃で後方押し出し鍛造を行ったが、割れてしまい、成形することができなかった。
本発明の一実施形態の金属基複合材料の製造方法に用いる撹拌・混合装置を示す図である。 同じく、撹拌装置の撹拌子部分を示す詳細図である。 同じく、撹拌装置を用いた坩堝内の撹拌状態を示す図である。 同じく、金属基複合材料部材を射出成形によって製造する状態を示す図である。 同じく、金属基複合材料部材を押出し成形によって製造する状態を示す図である。 同じく、金属基複合材料部材をプレス成形によって製造する状態を示す図である。 本発明の実施例における箔帯の組織を示す図面代用写真である。 同じく、実施例で製造された成形体供試材を示す図である。 同じく、成形体供試材における複数位置における断面組織を示す図面代用写真である。
符号の説明
1 坩堝
2 真空容器
3 撹拌装置
30 回転軸
31 撹拌翼
32 撹拌翼
33 上下撹拌板
34 上方囲い板
35 下方囲い板
37 気泡抜き穴
5 金属溶湯
6 強化材
10 チクソモールディング
15 押出し機
20 縦型プレ

Claims (12)

  1. 坩堝内で、溶融した金属(合金を含む。以下同様)と強化材とを、上下動可能な回転軸と、該回転軸に固定され、異なるひねり角を有する複数の撹拌翼と、前記回転軸に固定され、横方向に沿った板面を有する上下撹拌板とを備える撹拌装置を用いて、回転と上下動とを含む撹拌によって混合し、前記強化材が分散した溶融金属を急冷して箔帯形状に凝固させ、該箔帯を粉砕して粒状または片状にすることを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
  2. 前記箔帯厚さ0.01〜2.5mmであることを特徴とする請求項1記載の金属基複合材料の製造方法。
  3. 坩堝内で、溶融した金属と強化材とを、上下動可能な回転軸と、該回転軸に固定され、異なるひねり角を有する複数の撹拌翼と、前記回転軸に固定され、横方向に沿った板面を有する上下撹拌板とを備える撹拌装置を用いて、回転と上下動とを含む撹拌によって混合し、前記強化材が分散した溶融金属を飛散・急冷させて粒状または片状に凝固させることを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
  4. 前記強化材の量が、前記金属基複合材料に対し、体積百分率で0.5%〜40%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属基複合材料部材の製造方法。
  5. 前記坩堝内での撹拌、混合を行う温度を、前記金属の融点(液相線温度)TからT+250℃の範囲内とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属基複合材料の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかの方法により製造され、強化材が分散して含まれている粒状または片状の金属基複合材料を用いて、前記金属が液相の状態、または前記金属の固相を含む状態で射出成形することを特徴とする金属基複合材料部材の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかの方法により製造され、強化材が分散して含まれている粒状または片状の金属基複合材料を用いて、前記金属の固相を含む状態で押出し成形することを特徴とする金属基複合材料部材の製造方法。
  8. 前記金属の固相が、全金属に対し体積率で30〜100%であることを特徴とする請求項7記載の金属基複合材料部材の製造方法。
  9. 上下動可能な回転軸と、該回転軸に固定され、異なるひねり角を有する複数の撹拌翼と、前記回転軸に固定され、横方向に沿った板面を有する上下撹拌板とを備えることを特徴とする撹拌装置。
  10. 前記上下撹拌板は、上方または/および下方に沿った囲い面を有する囲い部を有することを特徴とする請求項9記載の撹拌装置。
  11. 異なるひねり角の前記撹拌翼は、軸方向位置を異にして回転軸に固定されていることを特徴とする請求項9または10記載の撹拌装置。
  12. 前記上下撹拌板に気泡抜き穴が形成されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の撹拌装置。
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