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JP4736622B2 - 単結晶育成用基板 - Google Patents
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本発明は単結晶育成用基板に関し、特に液相エピタキシャル法を用いて磁性ガーネット単結晶膜を育成する際に用いられる単結晶育成用基板に関する。
磁性ガーネット単結晶膜は、光アイソレータ等に用いられるファラデー回転子として光通信システムに多く用いられている。磁性ガーネット単結晶膜は、液相エピタキシャル(LPE)法により単結晶基板上に育成される。
図5は、LPE法により磁性ガーネット単結晶膜を育成する工程の一部を示している。図5に示すように、単結晶育成用の単結晶基板10は基板固定用治具2により保持される。基板固定用治具2は、単結晶基板10を3点で支持する3本の線状支持部と、単結晶基板10を保持するために各線状支持部の一端側で折り曲げられた基板保持部とを有している。各線状支持部の他端側は、一つにまとめられてセラミック製の支持棒7に接続固定されている。単結晶膜を育成する際には、支持棒7が所定距離だけ貴金属製の坩堝(るつぼ)4内に搬入され、単結晶基板10の少なくとも片面が坩堝4内の原料融液8中に浸される。支持棒7がその中心軸回りに回転すると、単結晶基板10も基板固定用治具2と共に回転する。これにより、単結晶基板10片面には磁性ガーネット単結晶膜12がエピタキシャル成長する。育成した磁性ガーネット単結晶膜12に研磨や切断などの加工を施して単結晶片を作製し、単結晶片の表面に無反射膜を成膜してファラデー回転子が作製される。
近年、1枚の単結晶基板10から得られるファラデー回転子の個数を増やして低コスト化を図るために、従来の2インチの単結晶基板10に代えて、よりサイズの大きい3インチの単結晶基板10が用いられている。
一般に、単結晶を加工する工程での割れを防止するために、加工が行われる室温において単結晶に内在する応力をできる限り小さくするのが望ましい。このためには、単結晶基板と磁性ガーネット単結晶膜とを含む単結晶全体の格子定数が室温で一致していればよい。ところが、単結晶基板と磁性ガーネット単結晶膜とは互いに異なる線膨張係数を有しているため、室温で格子定数が一致していても700〜900℃の育成温度では格子定数が互いに異なってしまう。したがって、育成中の単結晶内には応力が発生し、単結晶が割れてしまう場合がある。
図6は、育成中の単結晶基板に生じるクラック(割れ目)を示している。基板厚の比較的厚い単結晶基板では、図6(a)に破線で示すような劈開クラックが生じ易く、逆に基板厚の比較的薄い単結晶基板では、図6(b)に破線で示すような同心円クラックが生じ易い。いずれのクラックも、発生する応力の大きい単結晶基板外周部に生じ易い。単結晶基板に割れが生じてしまうと、得られる単結晶片の個数が減少して歩留りが低下してしまう。ここで、歩留りとは、1枚の単結晶基板を用いた1回の育成工程を経て実際に作製できた単結晶片の平均個数を、当該単結晶基板から幾何学的に取り得る単結晶片の個数で除した値とする。
さらに、図5に示したように単結晶基板10は外周部の3点で基板固定用治具2に支持されるため、外周部の1箇所に割れが生じるだけでも単結晶が原料融液8内に落下してしまう場合がある。特に、基板サイズが大きくなると単結晶内の外周部に生じる応力が大きくなるため、単結晶が割れる頻度が増加してしまう。したがって、単結晶基板10のサイズを大きくしても単結晶片の歩留りが低下するため、得られるファラデー回転子の平均の個数は十分に増えない。このため、単結晶基板10のサイズを単に大きくしても、ファラデー回転子の製造コストを十分に削減できないという問題が生じている。
特許第3197383号公報
本発明の目的は、ファラデー回転子の製造コストを削減できる単結晶育成用基板を提供することにある。
上記目的は、基板直径が2.5インチ以上2.7インチ以下であることを特徴とする単結晶育成用基板によって達成される。
上記本発明の単結晶育成用基板であって、前記基板直径は約2.6インチであることを特徴とする。
上記本発明の単結晶育成用基板であって、基板厚が500μm以上800μm以下であることを特徴とする。
上記本発明の単結晶育成用基板であって、酸化物を用いて作製されていることを特徴とする。
上記本発明の単結晶育成用基板であって、結晶構造がガーネット構造であることを特徴とする。
上記本発明の単結晶育成用基板であって、磁性ガーネット単結晶膜の育成に用いられることを特徴とする。
上記本発明の単結晶育成用基板であって、膜厚200μm以上600μm以下の単結晶膜の育成に用いられることを特徴とする。
本発明によれば、ファラデー回転子の製造コストを削減できる単結晶育成用基板を実現できる。
本発明の一実施の形態による単結晶育成用基板について図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施の形態による単結晶育成用の単結晶基板20の構成を示す斜視図である。図1に示すように、単結晶基板20は略円板状の形状を有している。単結晶基板20の基板直径はdであり基板厚はtである。単結晶基板20はCaMgZr置換GGG単結晶等の酸化物単結晶を用いて作製され、その結晶構造はガーネット構造である。単結晶基板20は、例えばLPE法を用いて膜厚200μm以上600μm以下の磁性ガーネット単結晶膜を育成する際に用いられる。
図2は、単結晶基板20の基板直径dと基板厚tとの関係を示すグラフである。グラフの横軸は基板直径d(インチ)を表し、縦軸は基板厚t(μm)を表している。本実施の形態の前提として、LPE法を用いて単結晶膜を育成する際に、基板厚tの比較的薄い単結晶基板20を用いると同心円クラックが生じ易いため、基板厚tがt≧500(μm)(図2の線a及びそれより上)を満たす単結晶基板20を用いるのが好ましい。一方、基板厚tの比較的厚い単結晶基板20を用いると劈開クラックが生じ易いため、基板厚t(μm)と基板直径d(インチ)とがt≦−400d+2000(図2の線b及びそれより下)の関係を満たす単結晶基板20を用いるのが好ましい。これらの条件に加えて本実施の形態では、基板直径dが2.5インチ(約63.5mm)以上2.7インチ(約68.6mm)以下である単結晶基板20が用いられる。また単結晶基板20の基板厚tは、500μm以上800μm以下であることが望ましい。すなわち、単結晶基板20の基板直径dと基板厚tとの関係が図2のグラフ中の領域A内に含まれる場合に、単結晶基板20を用いた育成1回当たりに得られる単結晶片の個数が特に増加し、ファラデー回転子の製造コストがより削減される。
以下、本実施の形態による単結晶育成用基板について、実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。
(実施例1)
CaMgZr置換GGG単結晶を引き上げ法により育成した。X線回折により単結晶の方位出しを行い、円筒研削及びワイヤーソー切断を行って、育成面が(111)面となる円板状基板を作製した。円板状基板の基板直径は2.5インチ、2.6インチ及び2.7インチの3種類とし、基板厚はいずれも500μmとした。これらの円板状基板の側面に端面丸め加工を施し、砥粒にコロイダルシリカを用いた最終研磨などの鏡面研磨加工を育成面に対して行った。さらに、約80℃でリン酸及び硫酸の混酸によるエッチングを行って加工変質層を除去し、3種類の基板直径dを有するエピタキシャル成長用の単結晶基板20を作製した。
白金製の坩堝にGd、Yb、Fe、Ge、B、Bi、PbOを充填した。次に、前工程で作製した単結晶基板20を用いてLPE法により、組成がBi1.20Gd0.60Yb0.58Pb0.02Fe4.98Ge0.01Pt0.0112である単結晶膜を約500μmの厚さに育成した。育成した単結晶膜を研磨及び切断して、10mm四方の板状の磁性ガーネット単結晶片を作製した。単結晶膜に割れが生じていなければ、単結晶片の個数は、1枚の単結晶基板20から幾何学的に取り得る10mm四方の単結晶片の個数に一致する。3種類の基板直径dを有する単結晶基板20に対して育成をそれぞれ10回ずつ繰り返し、育成後の単結晶膜から実際に得られた単結晶片の平均個数を評価した。基板直径dがそれぞれ2.5インチ、2.6インチ、2.7インチである単結晶基板20を用いた場合、幾何学的に取り得る単結晶片の個数Aがそれぞれ21個、24個、26個であるのに対し、実際に得られた単結晶片の平均個数Bはそれぞれ20.6個、23.0個、22.6個であった。
(比較例1)
CaMgZr置換GGG単結晶を引き上げ法により育成した。X線回折により単結晶の方位出しを行い、円筒研削及びワイヤーソー切断を行って、育成面が(111)面となる円板状基板を作製した。円板状基板の基板直径は2.0インチ、2.4インチ、2.8インチ及び3.0インチの4種類とし、基板厚はいずれも500μmとした。これらの円板状基板の側面に端面丸め加工を施し、砥粒にコロイダルシリカを用いた最終研磨などの鏡面研磨加工を育成面に対して行った。さらに、約80℃でリン酸及び硫酸の混酸によるエッチングを行って加工変質層を除去し、4種類の基板直径dを有するエピタキシャル成長用の単結晶基板20を作製した。
白金製の坩堝にGd、Yb、Fe、Ge、B、Bi、PbOを充填した。次に、前工程で作製した単結晶基板20を用いてLPE法により、組成がBi1.20Gd0.60Yb0.58Pb0.02Fe4.98Ge0.01Pt0.0112である単結晶膜を約500μmの厚さに育成した。育成した単結晶膜を研磨及び切断して、10mm四方の板状の磁性ガーネット単結晶片を作製した。4種類の単結晶基板20に対して育成をそれぞれ10回ずつ繰り返し、育成後の単結晶膜から実際に得られた単結晶片の平均個数を評価した。基板直径dがそれぞれ2.0インチ、2.4インチ、2.8インチ、3.0インチである単結晶基板20を用いた場合、幾何学的に取り得る単結晶片の個数Aがそれぞれ12個、20個、28個、32個であるのに対し、実際に得られた単結晶片の平均個数Bはそれぞれ11.8個、19.6個、19.6個、19.2個であった。
表1は、実施例1及び比較例1をまとめて示している。また図3は、実施例1及び比較例における単結晶基板20の基板直径dと、実際に得られた単結晶片の平均個数B及び歩留りとの関係を示すグラフである。グラフの横軸は単結晶基板20の基板直径dを表し、縦軸は単結晶片の平均個数B及び歩留りを表している。表1に示すように、基板直径dが大きくなるとともに幾何学的に取り得る単結晶片の個数Aは増加する。しかしながら、表1及び図3に示すように、基板直径dが大きくなると歩留り(B/A)が低下するため、実際に得られる単結晶片の平均個数Bは基板直径dに依存して単調増加するわけではない。平均個数Bは、基板直径dが約2.6インチのときに極大値をとる。また、基板直径dが2.0インチ又は3.0インチである単結晶基板20を用いたときと比較すると、基板直径dが2.5インチ以上2.7インチ以下である単結晶基板20を用いることによって、実際に得られる単結晶片の平均個数Bは明らかに多くなる。
Figure 0004736622
このように、基板直径dが2.5インチ以上2.7インチ以下、好ましくは約2.6インチの単結晶基板20を用いることによって、育成1回当たりに得られる単結晶片の個数が増加し、ファラデー回転子の製造コストが削減される。
(実施例2)
CaMgZr置換GGG単結晶を引き上げ法により育成した。X線回折により単結晶の方位出しを行い、円筒研削及びワイヤーソー切断を行って、育成面が(111)面となる円板状基板を作製した。このとき、基板直径を2.5インチ及び2.7インチの2種類とし、基板厚を500μm及び750μmの2種類として、計4種類の円板状基板が作製された。これらの円板状基板の側面に端面丸め加工を施し、砥粒にコロイダルシリカを用いた最終研磨などの鏡面研磨加工を育成面に対して行った。さらに、約80℃でリン酸および硫酸の混酸によるエッチングを行って加工変質層を除去し、2種類の基板直径dと2種類の基板厚tとを組み合わせた4種類のエピタキシャル成長用の単結晶基板20を作製した。
白金製の坩堝にGd、Yb、Fe、Ge、B、Bi、PbOを充填した。次に、前工程で作製した単結晶基板20を用いてLPE法により、組成がBi1.20Gd0.60Yb0.58Pb0.02Fe4.98Ge0.01Pt0.0112である単結晶膜を約500μmの厚さに育成した。育成した単結晶膜を研磨及び切断して、10mm四方の板状の磁性ガーネット単結晶片を作製した。4種類の単結晶基板20に対して育成をそれぞれ10回ずつ繰り返し、育成後の単結晶膜から実際に得られた単結晶片の平均個数を評価した。基板直径dが2.5インチである単結晶基板20を用いた場合、幾何学的に取り得る単結晶片の個数Aが21個であるのに対して、実際に得られた単結晶片の平均個数Bは、基板厚tが500μmのとき20.6個であり、基板厚tが750μmのとき20.4個であった。また、基板直径dが2.7インチである単結晶基板20を用いた場合、幾何学的に取り得る単結晶片の個数Aが26個であるのに対して、実際に得られた単結晶片の平均個数Bは、基板厚tが500μmのとき22.6個であり、基板厚tが750μmのとき19.8個であった。
(比較例2)
CaMgZr置換GGG単結晶を引き上げ法により育成した。X線回折により単結晶の方位出しを行い、円筒研削及びワイヤーソー切断を行って、育成面が(111)面となる円板状基板を作製した。円板状基板の基板直径は2.5インチ及び2.7インチの2種類とし、基板厚はいずれも1000μmとした。これらの円板状基板の側面に端面丸め加工を施し、砥粒にコロイダルシリカを用いた最終研磨などの鏡面研磨加工を育成面に対して行った。さらに約80℃でリン酸および硫酸の混酸によるエッチングを行って加工変質層を除去し、2種類の基板直径dを有するエピタキシャル成長用の単結晶基板20を作製した。
白金製の坩堝にGd、Yb、Fe、Ge、B、Bi、PbOを充填した。次に、前工程で作製した単結晶基板20を用いてLPE法により、組成がBi1.20Gd0.60Yb0.58Pb0.02Fe4.98Ge0.01Pt0.0112である単結晶膜を約500μmの厚さに育成した。育成した単結晶膜を研磨及び切断して、10mm四方の板状の磁性ガーネット単結晶片を作製した。2種類の単結晶基板20に対して育成をそれぞれ10回ずつ繰り返し、育成後の単結晶膜から実際に得られた単結晶片の平均個数を評価した。基板直径dがそれぞれ2.5インチ及び2.7インチである単結晶基板20を用いた場合、幾何学的に取り得る単結晶片の個数Aがそれぞれ21個及び26個であるのに対し、実際に得られた単結晶片の平均個数Bはそれぞれ19.0個及び16.8個であった。
表2は、実施例2及び比較例2をまとめて示している。また図4は、実施例2及び比較例2における単結晶基板20の基板厚tと、実際に得られた単結晶片の平均個数Bとの関係を示すグラフである。グラフの横軸は単結晶基板20の基板厚t(μm)を表し、縦軸は単結晶片の平均個数Bを表している。表2及び図4に示すように、基板直径dが同一であっても基板厚tが1000μm程度に厚くなると、実際に得られる単結晶片の平均個数Bは減少する傾向にある。したがって、ファラデー回転子の製造コストを削減するためには、基板厚tが500μm以上800μm以下である単結晶基板20を用いるのが有効であることが分かった。
Figure 0004736622
以上説明したように、本実施の形態によれば、単結晶基板20の基板直径d及び/又は基板厚tの範囲を選択することにより、育成中の単結晶に生じる割れが抑制され、ファラデー回転子の製造コストが削減される。
本発明の一実施の形態による単結晶育成用基板の構成を示す斜視図である。 単結晶基板の基板直径dと基板厚tとの関係を示すグラフである。 単結晶基板の基板直径dと、実際に得られた単結晶片の平均個数B及び歩留りとの関係を示すグラフである。 単結晶基板の基板厚tと、実際に得られた単結晶片の平均個数Bとの関係を示すグラフである。 LPE法により磁性ガーネット単結晶膜を育成する工程を示す図である。 育成中の単結晶基板に生じるクラックを示す図である。
符号の説明
2 基板固定用治具
4 坩堝
7 支持棒
8 原料融液
10、20 単結晶基板
12 磁性ガーネット単結晶膜

Claims (3)

  1. CaMgZr置換GGG単結晶を用いて作製され、結晶構造がガーネット構造であり、
    磁性ガーネット単結晶膜の育成に用いられる単結晶育成用基板であって、
    基板直径が2.5インチ以上2.7インチ以下であり、
    基板厚が500μm以上800μm以下であること
    を特徴とする単結晶育成用基板。
  2. 請求項1記載の単結晶育成用基板であって、
    前記基板直径は約2.6インチであること
    を特徴とする単結晶育成用基板。
  3. 請求項1又は2に記載の単結晶育成用基板であって、
    膜厚200μm以上600μm以下の単結晶膜の育成に用いられること
    を特徴とする単結晶育成用基板。
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