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JP4739281B2 - セミ沿面スパークプラグ - Google Patents
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Description

本発明は、内燃機関に使用されるスパークプラグに係り、特に、常時セミ沿面放電を行いうるスパークプラグに関するものである。
従来、耐汚損性を改善した内燃機関用のスパークプラグとしてセミ沿面放電型と呼ばれるものが知られている。このようなセミ沿面放電型のスパークプラグは、通常の気中放電型のスパークプラグと同様に、中心電極と、その外周に設けられた絶縁体と、当該絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、基端部が前記主体金具の先端部に接合された接地電極とを備える。但し、セミ沿面放電型のスパークプラグにあっては、絶縁体の先端面が中心電極の発火部と接地電極の発火部との間に入り込む位置関係で配置されている。これにより、絶縁体先端面に沿う形で火花放電が起こりうるのである。
一般に、電極温度が例えば450℃以下の低温環境でスパークプラグが長時間使用されると、いわゆる「燻り」や「かぶり」と称される状態となり、絶縁体先端面がカーボンなどの導電性汚損物質で覆われて作動不良が生じやすくなる。この点、上記セミ沿面放電型のスパークプラグによれば、絶縁体先端面を這う形で火花放電が生じうるため、汚損物質が焼き切られることとなり、気中放電型のスパークプラグと比べて耐汚損性の向上が図られる。
しかしながら、沿面放電を行いうるスパークプラグでは、絶縁体の表面を這う火花が頻繁に発生するため、絶縁体の表面が溝状に削られる、いわゆるチャンネリングが生じやすくなることが知られている。チャンネリングが進行すると、スパークプラグの耐熱性が損なわれたり、あるいは信頼性が低下するなどの不具合が生じるおそれがある。
このようなチャンネリングを抑制するための技術として、火花放電に伴い、絶縁体の先端部表面に、絶縁体侵食抑制成分を含有した侵食抑制層が形成されるようにするという技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−165168号公報
ところで、セミ沿面放電を行いうるスパークプラグの中には、通常時には接地電極と中心電極との間で気中放電を行い、ある程度絶縁体表面が汚損されたときに沿面放電を含んで放電経路を形成する間欠放電タイプと、常に沿面放電を含んで放電経路を形成するタイプ(常時沿面放電タイプともいう)とがある。上記の絶縁体の侵食抑制層を形成する技術を採用した場合、ある程度のチャンネリング抑制効果が期待できるものの、前者の間欠放電タイプにあっては、十分な耐汚損性(清浄効果)が発揮されないおそれがある。
一方、常時沿面放電を行うタイプにあっては、間欠放電タイプと比べるとチャンネリングの抑制等が必ずしも十分とはいえず、絶縁体の先端面が削られることによるチャンネリングの懸念は依然として残存する。また、接地電極と導電体との相対位置関係によっては、絶縁体側壁に孔が形成されてしまうことによる「貫通」と呼ばれる不具合が生じるおそれもある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、常時セミ沿面放電を行うスパークプラグに関し、耐汚損性を確保しつつ、より一層のチャンネリング等の抑制を図ることのできるセミ沿面スパークプラグを提供することにある。
以下、上記課題等を解決するのに適した各構成を項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果等を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグは、
軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔に挿設された中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられ、自身の先端より前記絶縁体の先端面が突出するように配置された主体金具と、
基端部が前記主体金具の先端面に固着された複数本の接地電極とを備え、
前記各接地電極の先端面が前記軸線方向と平行に延びており、前記各接地電極の先端と前記中心電極との間の火花放電経路の一部に、前記絶縁体の先端面に沿う沿面放電経路が含まれるセミ沿面スパークプラグであって、
前記各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分が、
前記絶縁体の先端面を含む仮想平面よりも先端側で、かつ、
前記中心電極の先端面よりも先端側に位置するとともに、
前記絶縁体の先端面外周よりも外側に位置し、
前記各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度が鈍角であると共に、
前記接地電極の基端側と先端側から、それぞれ中心を通る軸線を引き、両軸線の交点が、前記絶縁体の先端面よりも基端側に位置することを特徴とする。
構成1におけるスパークプラグは、火花放電経路の一部に絶縁体の先端面に沿う沿面放電経路が含まれることを必須の要件としている。特に、構成1のスパークプラグは、いわゆる間欠放電タイプとは異なり、常時沿面放電を行いうるものである。
上記のように構成1によれば、火花放電経路の一部に、絶縁体の先端面に沿う沿面放電経路が含まれるため、絶縁体先端面を這う形で火花放電が生ずる。このため、汚損物質が焼き切られることとなり、耐汚損性の確保が図られる。特に、構成1では、各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分が、中心電極の先端面よりも先端側に位置している。このため、接地電極の先端面と中心電極の外周面との間で直接火花放電(気中放電)するという事態が起こりにくい。また、構成1では、前記エッジ部分が、絶縁体の先端面外周よりも外側に位置している。このため、接地電極の先端内側面と中心電極の先端面との間で直接火花放電するという事態が起こりにくい。これらのことから、絶縁体の先端面に沿った沿面放電のより確実な実現が図られる。その結果、セミ沿面スパークプラグとしての機能が十分に発揮され、耐汚損性に優れたものとなる。また、エッジ部分が絶縁体の先端面外周よりも外側に位置していることから、十分な燃焼スペースが確保されることとなる。従って、接地電極が火炎の伝播を阻害してしまうことによる着火性の低下を防止することができる。尚、セミ沿面放電を行うものであれば、寸法上の制約が特にあるわけではないが、気中放電と沿面放電との総合的な火花放電間隙(トータルギャップ、つまり中心電極と接地電極との最短距離)が1.8mm以下であることがより望ましい。
また、構成1では、各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分が、絶縁体の先端面を含む仮想平面よりも先端側に位置している。このため、前記エッジ部分が基端側に位置する場合に比べて電界強度が比較的弱いものとなり、火花によって受ける絶縁体のストレスも比較的小さくて済む。結果として、チャンネリングの進行を抑制することができる。また、絶縁体側面に火花が飛ぶことがほとんどなく、チャンネリングはもとより、絶縁体側壁に孔が形成されてしまう「貫通」による不具合をも抑制できる。
その上、構成1では、各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度が鈍角である。従って、各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分の電界強度が一層弱くなり、火花によって受ける絶縁体のストレスもより一層小さくて済む。結果として、チャンネリングをより確実に抑制することができる。
構成2.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、前記各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度が110度以上であることを特徴とする。
上記構成2のように、各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度を110度以上とすることで、エッジ部分の電界強度をより確実に弱くできる。その結果、より一層確実にチャンネリングを抑制することができる。
構成3.本構成のスパークプラグは、上記構成1又は2のいずれかにおいて、前記絶縁体の先端面に対する前記中心電極の先端面の軸線方向における突出長は、+0.5mm以下であることを特徴とする。
絶縁体の先端面に対する中心電極の先端面の軸線方向における突出長が+0.5mmを超える場合には、接地電極と中心電極との間で沿面放電を介さずに気中放電してしまう頻度が高くなり、汚損物質を焼き切る機会が減少し、耐汚損性が低下してしまうことが懸念される。この点、構成3では、絶縁体の先端面に対する中心電極先端面の突出長が+0.5mm以下となっているため、より確実に絶縁体先端面との間で火花放電が起こりうる。従って、絶縁体の先端面に沿った沿面放電のより確実な実現が図られ、耐汚損性の向上を図ることができる。
尚、絶縁体の先端面に対する中心電極先端面の突出長がマイナス、つまり、中心電極が絶縁体に対し没入していても何ら差し支えないが、チャンネリングのより確実な抑制(深いチャンネリングの形成を抑制する)という観点からは、前記突出長を−0.3mm以上とすることが望ましい。
構成4.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分が湾曲状又は面取り状をなすことを特徴とする。要するに、各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分が角張っていないことを要旨とする。
すなわち、構成1等のように各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度を鈍角とすることで、エッジ部分の電界強度の低減が図られるのであるが、構成4のように、前記エッジ部分を湾曲状又は面取り状とすることで、局所的に電界が集中しなくなることから放電は様々な経路を辿り、より一層チャンネリングの抑制に貢献しうる。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1(a),(b)に示すように、本実施形態のスパークプラグ100は、主体金具1と、絶縁体2と、中心電極3と、2本の接地電極4A,4Bとを備えている。主体金具1は、低炭素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジングを構成するとともに、その外周面には、スパークプラグ100を図示しないエンジンのシリンダヘッドに取り付けるためのねじ部7が形成されている。主体金具1の内側には、絶縁体2が保持されている。絶縁体2の先端面2aは主体金具1の先端面から先端側に突出している。
絶縁体2は、例えばアルミナ等のセラミック焼結体により構成され、その内部には自身の軸線方向に沿って軸孔6が形成されており、当該軸孔6に前記中心電極3が挿入状態で固定されている。本実施形態においては、中心電極3の先端面3aは、絶縁体2の先端面2aと略面一となっている。
さらに、接地電極4A,4Bは、中心電極3を挟んだ対称位置に設けられており、それぞれの基端面が、前記主体金具1の先端面に対し溶接されている。接地電極4A,4Bは、長手方向中間位置において軸線方向へ屈曲(又は湾曲)させられている。
尚、接地電極4A,4Bは、外層及び内層からなる2層構造となっている。外層は、ニッケル合金等で構成されている。これに対し、内層は、ニッケル合金よりも良熱伝導性金属(例えば銅を主体とする金属材料や、前記ニッケル合金よりも熱伝導性に優れる高純度ニッケル等)で構成されている。中心電極3の本体部もまた、外層及び内層の2層構造を具備している。
さて、本実施形態では、接地電極4A,4Bの先端面41a,41bが軸線方向と平行に延びており、各接地電極4A,4Bの先端と中心電極3との間に火花放電経路が形成されている。そして、当該火花放電経路の一部に、絶縁体2の先端面2aに沿う沿面放電経路が含まれるように設定されている。すなわち、各接地電極4A,4Bの先端面41a,41bと内側側面42a,42bとのエッジ部分EA,EBと、絶縁体2との間のギャップGA,GBでは気中放電し、絶縁体2と中心電極3との間では絶縁体2の先端面2aを経由した沿面放電する形態で、火花放電が発生するようになっている。
但し、前記エッジ部分EA,EBは、絶縁体2の先端面2aを含む仮想平面M1よりも先端側で、かつ、中心電極3の先端面3aよりも先端側に位置するとともに、絶縁体2の先端面外周G1よりも外側に位置している(図2(a)で示す領域βに位置している)。
また、本実施形態では、各接地電極4A,4Bの先端面41a,41bと内側側面42a,42bとのなす角度(エッジ部分の角度)θが鈍角(例えば、θ=120度)となっている。
本実施形態におけるスパークプラグ100は、いわゆる間欠放電タイプとは異なり、常時沿面放電を行いうるものである。特に、本実施形態では、上記のように絶縁体2の先端面2aからの中心電極3の突出長が0.5mm以下と小さく(本実施形態においては、突出長は0、すなわち絶縁体2の先端面2aと中心電極3の先端面3aとは同一平面上に位置しいている)、かつ前記エッジ部分EA,EBが、中心電極3の先端面3aよりも先端側に位置していることから、接地電極4A,4Bの先端面41a,41bと中心電極3の外周面との間で沿面放電を介さずに直接火花放電(気中放電)するという事態が起こりにくい。また、前記エッジ部分EA,EBが、絶縁体2の先端面外周G1よりも外側に位置していることから、接地電極4A,4B先端の内側側面42a,42bと中心電極3の先端面3aとの間で直接火花放電するという事態が起こりにくい。これらのことから、絶縁体2の先端面2aに沿った沿面放電のより確実な実現が図られる。特に、エッジ部分EA,EBを、絶縁体2の先端面外周G1よりも外側に位置させることで、絶縁体2の先端面2aの端縁から清浄することができる。その結果、セミ沿面スパークプラグとしての機能が十分に発揮され、耐汚損性に優れたものとなる。
次に、チャンネリングの抑制等に関する本実施形態の作用効果を確認するべく、各種条件を変更することで種々のサンプルを作製し、種々の評価を試みた。その実験結果を以下に記す。
先ず第1に、前記エッジ部分の絶縁体先端面に対する高さを種々異ならせたサンプル(スパークプラグ)を用意し、各サンプルについて電界強度のシミュレーション実験を行った。エッジ部分の絶縁体表面に対する高さに対する電界強度の関係を図3に示す。尚、グラフでは、エッジ部分と絶縁体先端面とが同一高さであるときに、横軸の値が0となっている。
図3に示すように、エッジ部分が絶縁体の先端面よりも先端側に位置している方が、電界強度が弱くなる傾向にある。従って、本実施形態のように、エッジ部分EA(EB)を絶縁体2の先端面2aよりも先端側に位置させることで、電界強度を弱くでき、もってチャンネリングの抑制に寄与しうるといえる。
次に、エッジ部分EA(EB)が絶縁体2の先端面2aよりも先端側、かつ、先端面外周G1よりも外側の領域βに位置するサンプル(図2(a)参照)であって、各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度(エッジ部分の角度)を種々異ならせたサンプル(スパークプラグ)を用意し、各サンプルについて耐久試験を行い、チャンネリングの深さを計測した。尚、耐久試験及び計測に関しては、各サンプル(スパークプラグ)をDOHC直列6気筒、排気量2000ccのエンジンに取付け、一定回転数(ここでは5000rpm)でエンジンを回転させ、500時間経過時点での最も深いチャンネリング部分の深さを求めた。当該深さと従来品(図2(b)のように、エッジ部分E2の角度θ2が直角で、かつ、エッジ部分E2が絶縁体22の先端面22aよりも基端側に位置するサンプル)のチャンネリングの深さとの比率を演算した。その結果を図4に示す。
図4に示すように、エッジ部分の角度が鈍角である場合には、直角である場合に比べてチャンネリング深さが小さくて済み、チャンネリングをより確実に抑制することができることがわかる。特に、前記角度が110度以上(特に120度以上)である場合には、より一層確実にチャンネリングを抑制することができるといえる。
次に、絶縁体の先端面に対する中心電極の先端面の軸線方向における突出長を種々異ならせたサンプル(スパークプラグ)を用意し、絶縁体の先端面への飛火確率を計測した。尚、当該計測にあたっては、点火装置に組み付けた評価試験対象の各サンプル(スパークプラグ)を試験用チャンバに取り付け、この試験用チャンバ内を大気とプロパンとを混合してなる評価混合気で充満し、スパークプラグを放電させ、絶縁体の先端面への飛火の有無を撮影画像に基づき判定し、所定回数(ここでは100回)の判定を行った上で、飛火確率を計数した。中心電極の突出長に対する絶縁体先端面への飛火確率の関係を図5のグラフに示す。
図5に示すように、前記突出長が+0.5mmを超える場合には、接地電極と中心電極との間で気中放電してしまう頻度が10%を超えてしまい、耐汚損性の低下が懸念される。これに対し、前記突出長が+0.5mm以下の場合には、より確実に絶縁体先端面に火花が飛ぶことがわかる。従って、突出長を+0.5mm以下とすることで、絶縁体2の先端面2aに沿った沿面放電のより確実な実現が図られ、耐汚損性の向上を図ることができるといえる。
続いて、図2(a)に示すように、エッジ部分EA(EB)の位置をそれぞれ3つの領域α,β,γに位置させたサンプル(スパークプラグ)を用意し、各サンプルに関し、着火性、耐熱劣化、及び、貫通の発生についての評価を行った。尚、領域αは、絶縁体2の先端面2aを含む仮想平面M1よりも先端側で、かつ、絶縁体2の先端面外周G1よりも内側の領域を指し、領域βは、前記仮想平面M1よりも先端側で、かつ、先端面外周G1よりも外側の領域を指し、領域γは、絶縁体2の先端面2aを含む仮想平面M1よりも基端側で、かつ、先端面外周G1よりも外側の領域を指す。
着火性の評価については、各サンプル(スパークプラグ)をDOHC直列6気筒、排気量2000ccのエンジンに取付け、空燃比リーン側での所定条件下において一定回転数でエンジンを回転させ、単位時間あたりの失火数を測定した。そして、従来品(図2(b)のように、エッジ部分E2の角度θ2が直角で、かつ、エッジ部分E2が絶縁体22の先端面22aよりも基端側に位置するサンプル)よりも失火数の多いものについては×、少ないものについては○とした。その結果を表1に示す。
Figure 0004739281
表1に示すように、エッジ部分が領域αに位置する場合には、従来よりも着火性が低下してしまった。これに対し、エッジ部分が領域β,γに位置する場合には、従来に比べて着火性が低下しなかった。このことから、エッジ部分EA,EBが、絶縁体2の先端面外周G1よりも内側の領域に位置すると、着火性が低下してしまうのに対し、エッジ部分EA,EBを絶縁体2の先端面外周G1よりも外側の領域に位置させることで着火性の低下を防止できることがわかる。
また、耐熱劣化の評価については、各サンプル(スパークプラグ)をDOHC直列6気筒、排気量2000ccのエンジンに取付け、一定回転数(ここでは5000rpm)でエンジンを回転させ、500時間経過時点での耐熱劣化の有無を判定した。そして、耐熱劣化がない場合には、○と評価し、耐熱劣化があった(認められた)場合には×と評価した。尚、耐熱劣化がある場合、プレイグニッション発生進角が遅角側になる傾向にある。このため、ここでは、耐熱劣化の1つの指標として、プレイグニッション発生進角が5゜以上遅れた場合に耐熱劣化あり(×)、そうでない場合に耐熱劣化なし(○)と判定することとした。
さらに、貫通の評価については、各サンプル(スパークプラグ)をDOHC直列6気筒、排気量2000ccのエンジンに取付け、一定回転数でエンジンを回転させ、500時間経過時点での絶縁体貫通の有無を判定した。そして、貫通がない場合には、○と評価し、貫通が認められた場合には×と評価した。各評価結果について表2に示す。
Figure 0004739281
表2に示すように、エッジ部分が領域γに位置する場合には、チャンネリング及び貫通が発生してしまった。これに対し、エッジ部分が領域α,βに位置する場合には、耐熱劣化及び貫通のいずれについても満足のいくものであった(軽度のチャンネリングで耐熱劣化、貫通はほとんど生じなかった)。このことから、エッジ部分EA,EBが、絶縁体2の先端面2aを含む仮想平面M1よりも基端側に位置すると、チャンネリングや貫通が発生してしまうのに対し、エッジ部分EA,EBを絶縁体2の先端面2aを含む仮想平面M1よりも先端側の領域に位置させることで耐熱劣化を抑制でき、チャンネリング及び貫通の発生を防止できることがわかる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、各接地電極4A,4Bの先端面41a,41bと内側側面42a,42bとのエッジ部分EA,EBが角張った形状をなしているが、角張っていない構成することも可能である。例えば、図6(a)に示すように、接地電極4A,4Bが湾曲状(R面を有する)のエッジ部分EA1(EB1)を備えることとしてもよいし、図6(b)に示すように、接地電極4A,4Bが面取り形状(C面を有する)のエッジ部分EA2(EB2)を備えることとしてもよい。上記実施形態のように、エッジ部分EA,EBの角度θを鈍角とすることで、エッジ部分の電界強度の低減が図られるのであるが、当該変形例のように、湾曲状又は面取り形状のエッジ部分EA1(EB1),EA2(EB2)とすることで、発火ポイントの分散が図られ、電界強度のさらなる低減が図られる。従って、より一層チャンネリングの抑制に貢献しうる。
(b)上記実施形態では特に言及しなかったが、少なくとも前記エッジ部分EA,EBに貴金属チップ(図示略)を接合することとしてもよい。このように貴金属チップを設けることで、耐久性の向上を図ることができる。
(c)絶縁体2の形状は必ずしも上記実施形態のものに限定されるものではない。従って、例えば段部のない絶縁体としてもよいし、緩やかなテーパ面を有し、先端側ほど先細り形状をなす絶縁体を採用してもよい。
(d)上記実施形態では、絶縁体2の先端面2aと中心電極3の先端面3aとが略面一であったが、中心電極3の先端面3aが幾分突出していてもよい。但し、上記実験結果を踏まえると、絶縁体2の先端面2aに対する中心電極3の先端面3aの軸線方向における突出長は、+0.5mm以下であることが望ましい。一方、絶縁体2の先端面2aに対する中心電極3の先端面3aの突出長がマイナス、つまり、中心電極3が絶縁体2に対し没入していても何ら差し支えないが、チャンネリングのより確実な抑制(深いチャンネリングの形成を抑制する)という観点からは、突出長を−0.3mm以上とすることが望ましい。
(e)上記実施形態では、2本の接地電極4A,4Bが中心電極3を挟んだ対称位置に設けられた構成となっている。これに対し、3本以上の接地電極が設けられていてもよい。
(f)さらに、図7に示すように、接地電極4A(4B)の基端側と先端側から、それぞれ中心を通る軸線L1,L2を引き、両軸線L1,L2の交点Zが、絶縁体2の先端面2aよりも基端側に位置することとする
(a)は本実施形態のスパークプラグの構成を示す一部破断正面図であり、(b)はその要部の拡大図である。 (a)はエッジ部の位置する領域を説明するための模式図であり、(b)は従来品の要部を拡大して示す模式図である。 エッジ部分の絶縁体表面に対する高さに対する電界強度の関係を示すグラフである。 エッジ部分の角度に対するチャンネリングの深さの従来品との比率の関係を示すグラフである。 中心電極の突出長に対する絶縁体先端面への飛火確率の関係を示すグラフである。 (a),(b)は、別の実施形態における接地電極を示す模式図である。 別の実施形態における接地電極を示す模式図である。
符号の説明
1…主体金具、2…絶縁体、2a…先端面、3…中心電極、3a…先端面、4A,4B…接地電極、41a,41b…先端面、42a,42b…内側側面、EA,EB,EA1,EB1,EA2,EB2…エッジ部分。

Claims (4)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔に挿設された中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられ、自身の先端より前記絶縁体の先端面が突出するように配置された主体金具と、
    基端部が前記主体金具の先端面に固着された複数本の接地電極とを備え、
    前記各接地電極の先端面が前記軸線方向と平行に延びており、前記各接地電極の先端と前記中心電極との間の火花放電経路の一部に、前記絶縁体の先端面に沿う沿面放電経路が含まれるセミ沿面スパークプラグであって、
    前記各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分が、
    前記絶縁体の先端面を含む仮想平面よりも先端側で、かつ、
    前記中心電極の先端面よりも先端側に位置するとともに、
    前記絶縁体の先端面外周よりも外側に位置し、
    前記各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度が鈍角であると共に、
    前記接地電極の基端側と先端側から、それぞれ中心を通る軸線を引き、両軸線の交点が、前記絶縁体の先端面よりも基端側に位置することを特徴とするセミ沿面スパークプラグ。
  2. 前記各接地電極の先端面と内側側面とのなす角度が110度以上であることを特徴とする請求項1に記載のセミ沿面スパークプラグ。
  3. 前記絶縁体の先端面に対する前記中心電極の先端面の軸線方向における突出長は、+0.5mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセミ沿面スパークプラグ。
  4. 前記各接地電極の先端面と内側側面とのエッジ部分が湾曲状又は面取り状をなすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセミ沿面スパークプラグ。
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