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JP4743787B2 - Dna中のシトシンのメチル化法および検出法 - Google Patents
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Dna中のシトシンのメチル化法および検出法 Download PDF

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Description

本発明はDNA中の5−メチルシトシンの検出法に関する。5−メチルシトシンは真核細胞のDNAの中で共有結合的に修飾を受ける頻度の最も高い塩基である。この塩基は、とりわけ転写の調節、遺伝すり込みおよび癌の発生において生物学的に重要な役割を演じている(総説:Millerら、:Five not Four:第五番目の塩基の歴史と意義、S.Beckおよび A.Olek(編),Epigenome,Wiley−VCH Verlag Weinheim 2003年,3〜20ページを参照)。それゆえ、5−メチルシトシンを遺伝子情報の要素として確認することは重要な課題である。シトシンおよび5−メチルシトシンは塩基対の形成において同じ挙動を示すためメチル化の検出は当然のこととして困難である。従って混成を基礎にする従来の検出法の多くは、シトシンとメチルシトシンとを識別できない。加えて、PCR増幅時にメチル化情報は完全に失われる。
従来のメチル化分析法は、大きく分けて二種類の異なった原理に基づいている。その一つは、メチル化に対して特異的な制限酵素を使用する方法である。もう一つは、選択的に非メチル化シトシンをウラシルに化学変換する方法である(いわゆる亜硫酸水素塩処理。例えばDE 101 54 317 A1;DE 100 29 915 A1)。そこで、酵素または化学的に処理されたDNAは、多くの場合増幅したのち異なったやり方で分析することが可能である(総説:WO 02/072880 S.1 ff)。その場合、メチル化を感度よく定量的に検出できる方法に関心が向けられる。このことは、癌の発生におけるシトシンのメチル化の重要な役割を考えれば、特に診断への応用の面に大きな関心が寄せられる。その場合、体液、例えば血清で異常なメチル化パターンを検出する方法が特に重要な意味を持つ。なぜなら、不安定なRNAと違い、体液中にDNAが見つかることが少なくないからである。それどころか、癌のような破壊的な病理過程においては、血中DNA濃度が上昇する。したがって、体液中に存在する腫瘍DNAのメチル化分析によって癌を診断することが可能であり、そのことについてはすでに数多くの記載がある(例えば、Palmisanoら:Predicting lung cancer by detecting aberrant promoter methylation in sputum.Cancer Res.2000 Nov 1;60(21):5954〜8)。そこで問題になるのは、体液中には疾患タイプのメチル化パターン以外に、配列が同じでメチル化パターンが異なるDNAが多量に存在していることである。そのため、診断法は、配列が同じDNAの強いバックグラウンドの中で、メチル化のパターンが異なる少量の、とりわけ、メチル化DNAを検出する必要がある。
感度の高い現行検出法は、PCR増幅を通じて行われる。その場合に使用される方法は、いわゆるメチル化に感応するPCR法である(「MSP」;Hermanら、:Methylation−specific PCR:a Novel PCR assay for methylation status of CpG islanda.Proc.Natl Acad Sci USA.1996 Sep 3:93(18):9821〜6)。この場合、あらかじめメチル化されているか(または逆の手法ではメチル化されていない)、亜硫酸水素塩で処理された配列位置のみに特異的に結合するプライマーが使用される。これに比する感度の高い方法は、いわゆる「ヘビー・メチル」法である。この場合は、メチル化に特異的なブロッカーオリゴマーを使用することで、もともとメチル化されている(またはメチル化されていない)DNAのみが特異的に増幅される(総説:WO 02/072880)。MSP法もヘビー・メチル法も定量可能なリアルタイム改変法として使用できる。そのため、あとで生成物を分析する必要がなく、PCR実施中に直接メチル化のステータスが低い位置を検出することができる(「MethylLight」−WO 00/70090;US 6,331,393)。この場合、実施形態は「Taqman」法である。この方法は蛍光色素−クエンチャー対を有するプローブ分子を使用する。プローブは配列特異的に増幅体(Amplifikate)と混成し、次の増幅サイクルの過程でポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって分解する。クエンチャーと色素が分離されると、検出可能な蛍光シグナルが生じる(Eadsら:MethyLight:a high−throughput assay to measure DNA methylation,Nucleic Acids Res.2000 Apr 15:28(8):E32参照)。さらに別の実施形態はいわゆるライトサイクラー法である。この方法は2種類の異なったプローブが使用される。プローブは、互いに直接的に近接して増幅体と混成し、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を通じて検出可能なシグナルを発生する。
このリアルタイム法のメチル化分析への適用性はもちろん限られる。それは、特に、特異性、選択性および反応速度に関してあてはまる。しかし、シトシンのメチル化の特別な生物学的医学的重要性のため、優れたメチル化分析法の開発に対して強い技術的な需要がある。以下にそのような方法について記述する。本発明においては、プローブとプライマーは互いに結合し、プローブは分子内的に混成して標的配列を形成することができる。本発明による方法は効果的かつ迅速な検出が可能であり、そのため、極めて高感度で極めて特異性の高いメチル化分析を可能にする。
本発明による方法に類似するメチル化分析法はすでに「スコーピオン」の名称で記載されている(例えば、Whitcombeら、Detection of PCR products using self−probing amplicons and fluorescence.Nat Biotechnol.1999 Aug;17(8):804〜7;Thelwellら:Mode of action and application of Scorpion primers to mutation detection.Nucleic Acids Res.2000 Oct 1;28(19):3752〜61;米国特許第6,326,145;米国特許第6,365,729号;米国特許出願第20030087240 A1号)。スコーピオン法は異なる実施形態で適用することが可能である。もちろん、全ての方法は、プローブが分子内的に結合する点で共通している。いわゆる「ヘアピンループ」改変法の場合、スコーピオン・プライマーは、5’末端に、特別なヘアピンループ配置で存在する特異的なプローブ配列を有する。プローブ配列の末端には蛍光色素とクエンチャーとが存在し、ヘアピンを形成することで互いに近接する。プローブ配列とプライマー配列は、いわゆるPCRストッパーを有するリンカーを介して結合している。増幅が一巡して、生成した二本鎖が分離すると、プローブは分子内的に同じ分子鎖の伸張したプライマー配列に結合する。この混成によってヘアピンが開くと、蛍光色素とクエンチャーは分離し、その結果、シグナルを検出することができる。PCRストッパーは、PCRの中でポリメラーゼが「通読」するのを阻止し、間違った正信号を回避する(参照:Thelwellら、2000,特に上記文献の3753ページの図1)。
スコーピオン法の別の改変法は、いわゆる「デュプレックス」法である。この場合は、プローブ配列は、ヘアピン構造ではなくて、別のオリゴヌクレオチドとデュプレックスを形成する。すなわち、プローブ配列の5’末端は蛍光色素と結合し、他方もう一つのオリゴヌクレオチドは3’末端にクエンチャーを有する。デュプレックスが形成することで、クエンチャーと色素とは互いに近接する。増幅が一巡して、二本鎖が分離すると、プローブは分子内的に同じ分子鎖の伸張したプライマー配列に結合する。蛍光色素とクエンチャーは分離し、その結果、シグナルを検出することができる(Solinasら、:Duplex scorpion primers in SNP analysis and FRET applications.Nucleic Acids Res.2001 Oct 15;29(20):E96)。さらに、プローブが2種類の色素を有していて、蛍光共鳴エネルギー移動を介してシグナルが形成されるデュプレックス法の改変法も記載されている(参照:Solinasら、2001,上記文献、特に7fページおよび6ページの図5)。上に述べたヘアピン法と比べてデュプレックス法が優れている点は、クエンチャーと色素とが完全に分離して活性化された形をとると、ヘアピン法の場合より強い蛍光シグナルが発生することである。加えて、デュプレックス・スコーピオン・プライマーは、対応するヘアピン・プライマーより合成が簡単で、安価である(参照:Solinasら、2001,上記文献、8fページ)。
さらにスコーピオン法の別の改変法は、米国特許第6326145号および米国特許出願第20030087240号に詳しく記載されている。
スコーピオン法は、従来法のリアルタイムPCR法と比べていくつかの利点を有している。このことは特に反応速度の点であてはまる。スコーピオン・プローブは、分子内的に標的配列と混成すると、一分子反応の速度論に従う。それに対してTaqman法の場合は、プローブの結合は、二分子反応の速度論に従って起こり、ライトサイクラー法の場合は3分子反応の速度論に従う。さらに、ライトサイクラー法の場合は、シグナルが検出可能になる前に酵素によってプローブが分解される必要がある。それゆえ、例えば迅速分析に必要な高速PCRサイクルは、ごく限定的にしか使用できないかもしれない。したがって、スコーピオン法は、特に迅速サイクル条件では、従来法であるリアルタイム法より高性能である(Thelwellら、2000,上記文献)。スコーピオン法の別の利点は特別な特異性にある。すなわち、プローブ配列を短くすると特異性が高まり、ただ一つの塩基対の欠陥を検出することが可能である。従来法であるリアルタイム法の改変法では対応する特異性の強化は不可能である。この場合、プローブを短くすると非特異的なPCR生成物と結合する確率が高くなるため、特異性はむしろ低下する(参照:Thelwellら、2000,上記文献、3760ページ)。
以下では、まずメチル化分析へのスオーピオン法の適用について述べる。シトシンのメチル化は、特に生物学的医学的に重要であることと、公知の方法の欠点とを考慮して、この有益で新しい技術の扉を開くことは重要な技術の進歩をもたらす。メチル化分析へのスコーピオン法の適用は、すでに変異分析から知られているスコーピオン法の利点以外に、別の利点ともつながっている。すなわち、従来のPCR法では、複数個の位置が同時メチル化されたシトシンを含む配列のみが、高感度で特異的なメチル化分析が可能である。それに対して、本発明のいくつかの実施形態では、同時メチル化された位置はわずかの数しか必要としない。この場合、スコーピオン法は配列依存性であるため、比較し得る既知のPCR法(「ヘビー・メチル法」、下記参照)よりも適用範囲が広い。2種類のスコーピオン・プライマーを使用すれば別の特別な利点がもたらされる。すなわちメチル化と変異とを同時に検査することができる。加えて、2種類のスコーピオン・プライマーを使用すれば内部定量が可能である。
本発明による方法は、シトシンのメチル化を高感度で検出することが可能である。次に挙げる5つの段階からなる:
1)検査すべきDNAを反応試薬または酵素と反応させると、メチルシトシンは反応しないまま残る。それに対して、非メチル化シトシンはウラシルまたは別の塩基に変換され、それらはシトシンとは塩基対形成における挙動が異なる。
2)あらかじめ処理したDNAを、ポリメラーゼおよび少なくとも一つのプライマーによって増幅し、その5’末端をリンカーを介してプローブと結合させる。
3)プライマー伸張生成物をマトリックス鎖から分離する。
4)プローブを分子内的にプライマー伸張生成物と混成させる。その場合、混成はDNAのメチル化状態に依存して進行する。
5)プローブの混成が起こっていれば検出される。
本発明の方法の第一段階は、検査すべきDNAを反応試薬または酵素と反応させると、5−メチルシトシンは反応しないまま残り、非メチル化シトシンはウラシルまたは別の塩基に変換され、それらはシトシンとは塩基対形成における挙動が異なる。検査すべきDNAは、診断に関する問題か学術的な問題かによって、異なる試料源から採取することができる。診断に関する問題の場合は、好ましくは組織が検査試料として使用されるが、体液、特に血清を使用することもできる。痰、糞便、尿または脳脊髄液からのDNAも使用可能である。DNAは、好ましくはまず生物試料から分離される。DNAの抽出は、標準的方法に従い、血液から、例えばQiagen UltraSens DNA抽出キットを使って行われる。次に、分離したDNAは、例えば制限酵素を作用させて断片化することができる。反応条件と問題となる酵素は、当業者にとってよく知られており、例えばメーカーが添付するプロトコルの記載に従うこともできる。次に、DNAを化学的または酵素的に変換する。化学的変換は、好ましくは亜硫酸水素塩で行われる。亜硫酸水素塩による変換の異なる変形が当業者には知られている(例えば、Frommerら:A genomic sequencing protocol that yields a positive display of 5−methylcytosine residues in individual DNA strands.Proc Natl Acad Sci USA.1992 Mar 1;89(5):1527〜31;Olek,A modified and improved method for bisulphite based cytosine methylation analysis.Nucleic Acids Res.1996 Dec 15;24(24)5064〜6.;DE 100 29 915;DE 100 29 915)。亜硫酸水素塩の反応は、特に好ましくは変性溶媒、例えばジオキサン、およびラジカル捕捉剤の存在下に行われる(参照:DE 100 29 915)。別の好ましい実施形態では、DNAは、化学的に変換するのではなく、酵素的に変換される。これは、例えばメチル化シチジンより、非メチル化シチジンの方が速く変換されるシチジンデアミナーゼの使用によって考えることができる。相当する酵素は最近同定された(Bransteitterら:Activaton−induced cytidine deaminase deaminates deoxycytridine on single−stranded DNA but requires the action of rnase.Proc Natl Acad Sci USA.2003 Apr 1;100(7):4120−7)。
本発明による第二段階において、あらかじめ処理したDNAは、ポリメラーゼおよび少なくとも一つのプライマーによって増幅される。この増幅に関しては、例えば等温増幅法など異なる可能性が当業者に知られている。もちろんポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が好ましい。その場合、プライマーの構造によって異なる実施形態が考えられる。言うまでもなく、全ての実施形態はプライマーの少なくとも一つの5’末端が、リンカーを介してプローブと結合していることで共通している。プライマー、リンカーおよびプローブの配列全体はプローブの二次構造に依存しない−以下ではスコーピオン・プライマーと呼ぶ。それに対して、プライマーは、スコーピオン・プライマーのプライマー配列のみを指す。メチル化に特異的な検出を行うには、プローブの配列かプライマーの配列がメチル化に対して特異的でなければならない。例えば、もともとメチル化されているDNAもメチル化されていないDNAも同様に増幅することが可能であり、両者の形はメチル化に特異的なプローブと混成して初めて区別することが可能になる。逆に、一種類のDNAを増幅し、次いでこれを非特異的なプローブで検出することも可能である。高い特異性が要求される場合は、増幅も検出もメチル化特異的に行われる方法が好ましい。
メチル化に特異的な増幅は異なる方法で実現することができる。好ましい実施形態では、PCRは、あらかじめメチル化して(または逆の手法では:メチル化しないで)変換された配列位置でのみ特異的に結合するプライマーを使用して行われる。この方法は、メチル化感受性PCR(MSP)の名称で知られている。ここでは、少なくとも一つのCGジヌクレオチドを含むプライマーが使用され、好ましくはCG位置を少なくとも3個所有し、そのうちの一つが3’末端に位置するプライマーが使用される。非メチル化配列または非転写鎖の増幅には、それに応じてTGジヌクレオチドまたはCAジヌクレオチドが必要である。MSPを実施するための正確な技術的指示は当業者に知られている(参照:Hermanら:Mthylation−specific PCR:a novel PCR assay for methylation status of CpG islands.Proc Natl Acad Sci USA.1996 Sep 3;93(18):9821〜6;米国特許第5,786,146号;米国特許第6,017,704号;米国特許第6,200,756号)。
メチル化に特異的な増幅の好ましい別の実施形態は、「ヘビー・メチル」法である。この場合、一つのCG(またはTGまたはCA)−ジヌクレオチドと結合し、それゆえバックグラウンドDNAの増幅を阻止する、少なくとも一つのメチル化に特異的なブロッカーオリゴマーが使用される。実施形態は、ブロッカーの分解または伸張が極力抑えられるよう、ポリメラーゼの選択またはブロッカーオリゴマーの改変を通じて、ブロッカーの分解または伸張が極力抑えられるように構成される。増幅を行うための正確な技術的指示は当業者には知られている(WO 02/072880)。
メチル化に特異的な増幅およびメチル化に非特異的な増幅は、本発明により、異なるリンカーエレメントおよびプローブエレメントと組み合わせることができる。言うまでもなく、全ての実施形態は、プライマーの少なくとも一つの5’末端が、リンカーを介してプローブ配列と結合していることで共通している。リンカーの長さおよび構造に関する指示は、従来技術から得られる。特に、プローブは増幅されないようにしなければならない。これは当業者に知られている様々な形態を通じて実現することができる(欧州特許第0416817号;米国第5,525,494号;米国特許出願第20030087240号)。好ましい実施形態ではリンカーにプライマーの伸張によって非転写鎖を阻止するPCRブロッカーが含まれる。その場合、ヘキサエチレングリコール(HEG)モノマーが特に好ましい。別法としてリンカーに2−O−アルキルーRNAを含めることができる。部分的に5’−5’方向に互いに連結しているオリゴヌクレオチドの使用も考えられる(参照:米国特許出願第20030087240号)。
さらにスコーピオン・プライマーは、プローブが分子内的にプライマーの伸張生成物に結合できるような構造に作られている。本発明によれば、プローブの混成は本来のDNAのメチル化状態に依存して行われる。このことは、マトリックスDNAの検査すべき位置がもともとメチル化されているか、または同じくメチル化されていないで存在する場合に限り、混成が起こることを意味する。該当するメチル化に特異的な検出は異なるやり方で行うことができる。すでに増幅がメチル化特異的に行われれば、メチル化に非特異的なプローブで十分かもしれない。すなわち、(メチル化特異的に)増幅体が生成した場合に限って、プローブの混成が行われる。言うまでもなく、本発明によればメチル化に特異的なプローブを使用することが好ましい。これはもともとメチル化されているかメチル化されていないDNAとしか結合しない。それに応じて、プローブには少なくとも一個のメチル化に特異的なCG、TGまたはCAジヌクレオチドが含まれる。1〜3個の該当するジヌクレオチドが好ましい。プローブ配列の長さは、好ましくは6〜50個のヌクレオチドであり、特に好ましくは10〜40個のヌクレオチドであり、さらに好ましくは15〜30個のヌクレオチドである。その場合、プローブは、核酸のアナログ、例えばペプチド核酸(PNA)または2’−O−アルキル−RNAを含む。プローブの長さおよび構造に関する技術的な指示は米国特許第6,326,145号および米国特許出願第20030087240号に記載されている。
加えて、プローブは少なくとも一つの目印を有しており、もし混成が行われたときはその目印によって検出することができる。これに関しては、様々なシグナルシステムが当業者に知られている。例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を通じてシグナルを発生する蛍光色素−クエンチャーの組み合わせ(ペア)や層間挿入色素−色素の組み合わせ(ペア)を使用することができる。さらに、増幅体と固相との結合を可能にするシステムの使用も考えられる。これらの例や、同じくメチル化分析に使用することができ、それゆえ本発明の一部をなす別の例は、米国特許第6,326,145号および米国特許出願第20030087240号(特に[0018];[51]およびそれにつづく段落)に詳細かつ別の補強資料とともに記載されている。
シグナルシステムは好ましくは2成分からなる。これらは、実施形態では両成分が空間的に互いに離れている場合に限ってシグナルを発生するように考案されている。これとは逆に、両成分が互いに近接して存在する場合に限ってシグナルを発生するようにすることも可能である。両実施形態では、両成分は同じ分子によって使用に供されることもできるし、異なる分子によって使用に供することもできる。両成分は、プローブの様々な二次構造を通じて必要な空間構造を維持することができる。そのような例として、ヘアピン、ループ、嚢胞、アーム、エルボおよび幹などの構造をあげることができる。それぞれに応じて考え得る多くの実施形態は従来技術に属する(米国特許第6,326,145号および米国特許出願第20030087240号、特に[52]およびそれにつづく段落)。これらの実施形態もメチル化分析に使用することができ、それゆえ本発明の一部をなす。
好ましい実施形態では、蛍光色素−クエンチャーの組み合わせ(ペア)が使用される。これに該当する組み合わせ(ペア)は当業者に知られている(例えば、補強資料を含む米国特許出願第20030087240号、[0020]を参照)。特に好ましい変形実施形態では、クエンチャーおよび色素がプローブと結合してヘアピンを形成することで互いに近接して不活性な形で存在する(参照:Thelwellら 2000 前記文献)。使用可能なヘアピン構造に関する正確な技術的指示は従来技術に属する(米国特許第6,326,145号および米国特許出願第20030087240号)。
別の好ましい実施形態では、スコーピオン・プライマーは二つのシグナル成分を有し、これら二つの成分は、空間的に互いに離れていて不活性な形で存在し、プローブがプライマーの伸張生成物と混成すると、空間的に互いに近接するようになる。特に好ましい変形実施形態では、活性な形のシグナル成分は、蛍光共鳴エネルギー移動を通じてシグナルを発生する。その場合、第一成分はスコーピオン・プライマーの3’領域に、そして第二成分は5’領域に存在する。
特に好ましい別の実施形態では、シグナル成分は、異なる分子と結合して空間的に互いに近接して不活性な形で存在する。この実施形態は、例えば、プローブと不活性な形のデュプレックスを形成するさらなる別のオリゴヌクレオチドを使用することで実現可能である。その場合、プローブはその5’末端に蛍光色素を有するのに対して、上記オリゴヌクレオチドはその3’末端にクエンチャーを有する。オリゴヌクレオチドの代わりに、核酸アナログから選択されるオリゴマー、例えばペプチド−核酸オリゴマーも使用することができる(参照:Solinasら、上記文献;米国特許第6,326,145号;米国特許出願第20030087240号)。
特に好ましい別の実施形態では、クエンチャーは、同じように、不活性な形でプローブと特別な空間的構造を形成する、さらなる別のヌクレオチドと結合している。この場合プローブは2種類の色素を有する。プローブと別のオリゴヌクレオチドとが互いに離れるとすぐに、両色素の間で蛍光共鳴エネルギー移動によるシグナルが発生する。オリゴヌクレオチドの代わりに、核酸アナログから選択されるオリゴマー、例えばペプチド−核酸オリゴマーも使用することができる(参照:Solinasら、2001、上記文献、特に7ページ以下と、6ページの図5)。
特に好ましい第五の実施形態は、ライトサイクラー法に似ており、色素標識分子を追加使用する。この実施形態では、さらなる分子とプローブとの間で特別な空間構造を必要としない。シグナルの発生は、ここでも蛍光共鳴エネルギー移動によって行われる。プローブだけでなく、このさらなる分子は、活性な形で増幅体と結合するため、両色素は互いに近接するようになり、その結果、シグナルを発生する。別の分子としては、好ましくは、オリゴヌクレチドか、核酸アナログから選択されるオリゴマーが使用される。オリゴヌクレオチド配列またはオリゴマー配列がメチル化に対して特異的である場合は、すなわち少なくとも一つのCG(またはTGまたはCA)−ジヌクレオチドを有する場合は、検出反応の特異性が高まる。配列の長さは、好ましくは15〜30ヌクレオチドである。当業者にとって、さらなる技術的指示は公知のライトサイクラー法から得られる。
ここまで述べてきた全ての実施形態は、通常のプライマーとならんで、スコーピオン・プライマーを使用して行うことができる。しかし本発明によれば、プライマーは、それが前進プライマーであれ逆進(リバース)プライマーであれ、サソリの形で存在することが好ましい。このような組み合わせは多様な利点と結びつけることができる。例えば、特に好ましい第一の実施形態は、メチル化分析の感度を上げることができる。その場合、両スコーピオン・プライマーは、活性な形で同じシグナルを発生する。プローブは、DNAの異なる共メチル化位置と結合する。両スコーピオン・プライマーのシグナルは重畳してシグナル強度を増す。逆に、特に好ましい第二の実施形態では、検出反応の特異性が高まる。その場合、スコーピオン・プライマーは異なるシグナル成分を有する。ここでもプローブはDNAの異なる共メチル化位置と混成する。しかし両シグナルが同時に現れる場合に限って正シグナルと見なされる。特に好ましい第三の実施形態では、メチル化分析の正確な内部定量化が可能である。その場合、一方のスコーピオン・プライマーはメチル化分析に使用され、他方のスコーピオン・プライマーは全DNA量の定量に使用される。このような使用は、例えばメチル化に対して非特異的な増幅が行われ、かつ両スコーピオン・プライマーが異なるシグナル成分を有する場合に可能である。そこで、第一スコーピオン・プライマーのプローブは、上で述べたようにメチル化に特異的な位置と混成し、第二スコーピオン・プライマーのプローブは、非メチル化位置に結合する。したがって、第二スコーピオン・プライマーによって発生するシグナルで、DNAの全量が定量できるのに対して、第一スコーピオン・プライマーのシグナルは、メチル化(または非メチル化)DNAの量を示す。両シグナルから、メチル化DNAの量が正確に決定される。特に好ましい第四の実施形態では、メチル化分析と変異分析または対立遺伝子の識別を同時に行うことができる。それには、第一スコーピオン・プライマーがメチル化分析(上記を参照)に使用され、第二スコーピオン・プライマーが変異分析(または対立遺伝子の識別)に使用される。その場合、両スコーピオン・プライマーは、異なるシグナル成分を有する。第二スコーピオン・プライマーのプローブ配列は、ある決められた変異(またはある決められた対立遺伝子)に対して特異的である。次に、発生したシグナルからメチル化状態と変異の有無が結論される。
すでに上で述べたように、異なるメチル化に特異的な増幅法またはメチル化に非特異的な増幅法と、異なるリンカーおよび各種プローブシステムとを組み合わせることができる。同時に一つまたは二つのスコーピオン・プライマーを使用することができる。これによって、メチル化分析に適し、そしてそれゆえ本発明の範囲内に入るものと見なすことができる、多様な実施形態が生まれる。この方法をいかに実施すべきかは、本願明細書と従来の技術路とを組み合わせることから生まれる。次に、本発明の好ましい反応条件を詳しく記述する。当業者に知られているように、最適反応条件は、実施形態に応じて変形することができる。
本発明による方法にとっては、排他的にスコーピオン・プライマーを使用する必要はない。むしろ、スコーピオン・プライマーは、同じ配列を持つ従来のプライマーと一緒に、わずかな比率で使用するだけで十分である。両プライマー種の間の最適な比率は、特別なアッセイの構成によって変わるが、実験的に容易に決めることができる。好適なシグナルシステム(例えば異なる蛍光色素)を使用する場合、異なったスコーピオン・プライマーを使って複数個の配列を同時に検査することもできる(Thelwellら 2000 上記文献;米国特許出願第20030087240号)。スコーピオン・プライマーは、増幅反応実施中の異なる時間に加えることができる。それゆえ、スコーピオン・プライマーは、増幅反応の最後のサイクルに参加していれば十分である。これは、例えば終点分析を実施しなければならないような場合に適合する(参照:Solinasら、2001 上記文献、6ページ)。もちろんスコーピオン・プライマーは、好ましくは、増幅開始時にはすでに存在している。このことは、特にリアルタイム法が適用される場合にあてはます。増幅は好ましくはPCRを通じて行われる。当業者であれば、いかなる試薬、濃度および温度サイクルを使用すべきか、理解しているであろう。
本発明の方法の第三段階では、プライマー伸張生成物がマトリックス鎖から分離される。プライマー伸張生成物にプローブを結合させるには、この操作は不可欠である。この分離は、好ましくは昇温して行われる。PCRでは、この昇温操作を通常の温度サイクルの一環として行うことができる。
本発明の方法の第三段階では、プローブをプライマー伸張生成物と混成させる。その場合、混成は、最初のDNAのメチル化状態に依存して行われる。このことは、マトリックスDNAの検査すべき位置が最初からメチル化されているか、またはメチル化されない場合に限って混成が行われることを意味している。もしメチル化に非特異的な増幅を行おうとすれば、プローブの配列によって、メチル化に特異的な混成が確実に行われるようにしなければならない。一般に、(メチル化に特異的な)生成物が形成されたときに限って、メチル化に特異的な増幅と、メチル化に非特異的なプローブの使用で結合が行われる(上記を参照)。全DNA量を決定し、メチル化分析とならんで変異分析も行わなければならないような場合は、2種類のスコーピオン・プライマーで反応を行うと、2種類のスコーピオン・プライマーのプローブの混成は、メチル化状態とは無関係に行うことができる(上記を参照)。
本発明の方法の第五段階では、混成が行われたか否かを検出する。その場合、検出は現在の技術水準によるシグナルの発生に依存して行われる。
当業者であれば、本発明による方法の段階2〜5が何回もくり返し可能であることを知っている。このことは特にリアルタイム法の適用に対してあてはまる。
すでにくり返し述べてきたが、本発明による方法は様々な実施形態に適用することができる。以下に、いくつかの好ましい実施形態を詳しく述べる。これらの方法を実施するための正確な技術的指示は、当業者にとって、従来技術と本願明細書との組み合わせから明らかとなろう。それにもかかわらず、本発明の方法は、以下に記載する変形に限定されるものではない。別の場所に開示されたメチル化分析に関するスコーピオン技術の実施形態も適用でき、それゆえ、本発明の一部をなす(特に、Thelwellら、上記文献;Solinasら、上記文献;米国特許第6,326,145号;米国特許出願第20030087240号、特に[52]以下を参照)。
第一の好ましい実施形態は、以下「メチル−ヘアピン」と名づける。その場合、増幅は、化学的に、または酵素で前処理したDNAのメチル化に非特異的なPCRによって行われる。それに応じて、もともとメチル化DNAおよびもともとメチル化されていないDNAに同じやり方で結合するプライマーが使用される。それゆえ、このプライマーは、CGジヌクレオチドを含まず、すでに変換前からこの配列に存在する位置に相当するTGジヌクレオチドおよびCAジヌクレオチドのみを含む。プライマーのペアとして、好ましくは、スコーピオン・プライマーと通常のPCRプライマーとが使用される。スコーピオン・プライマーのリンカーには、プローブの増幅を阻止するため、好ましくはヘキサエチレングリコール(HEG)モノマーが含まれる。当業者であれば、リンカーエレメントの設計方法については理解していよう(EP 0416817;米国特許第5,525,494号;米国特許出願第20030087240号)。スコーピオン・プライマーのプローブエレメントは、ヘアピン構造を形成する。プローブ配列の長さは、好ましくは6〜50ヌクレオチド、特に好ましくは10〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは15〜30ヌクレオチドである。その場合、プローブは、核酸アナログ、例えばペプチド核酸(PNA)または2’−O−アルキル−RNAを含むことができる。使用可能なヘアピン構造の長さおよび構造に関する正確な技術的指示は、現在の技術水準に属する(米国特許第6,326,145号;米国特許出願第20030087240号)。プローブ配列はメチル化に対して特異的である。すなわち、プローブ配列は少なくとも一つのCGジヌクレオチドを有するか、またはメチル化に特異的なTGジヌクレオチドおよびCAジヌクレオチドを有する。該当するジヌクレオチドは、好ましくは1〜3個である。プローブは、さらに蛍光色素−クエンチャーのペアを有し、そのペアは、ヘアピンを形成することにより、空間的に互いに直接的に近接して存在する。PCRの過程でスコーピオン・プライマーを伸張し、つづいて、伸張したプライマーをマトリックス鎖から分離する。次に、スコーピオン・プライマーのプローブを、メチル化状態に依存する形で伸張プライマーに結合させる。色素とクエンチャーとを引き離すと蛍光シグナルが発生する。シグナルの検出は、現在の技術水準により、様々な方法で行うことができる。本発明の方法は、同じ配列の通常のプライマーに加えて、わずかな比率でスコーピオン・プライマーを使用するだけで十分である(上記を参照)。好適なシグナルシステムを使用する場合、異なるスコーピオン・プライマーを使用すれば同時に複数個の配列を同時に検査することが可能である。実施例1にはメチルーヘアピン法が記載されている。実施例2ではメチルライト法とメチル−ヘアピン法とが比較されている。図5は、メチル−ヘアピンの反応の経過を概略的に示したものである。
第二の好ましい実施形態は、以下「MSP−メチル−ヘアピン」と呼ぶ。その場合、増幅は、化学的に、または酵素で前処理したDNAのメチル化に特異的なPCRによって行われる。それに応じて、好ましくは、もともとメチル化されたDNAまたはもともとメチル化されていないDNAに結合するプライマーが使用される。したがって、このプライマーは、CGジヌクレオチドまたはメチル化に特異的なTGジヌクレオチドまたはCAジヌクレオチドを含む。好ましくは、プライマーは少なくとも3つの対応するジヌクレオチドを有し、少なくとも1つの3’末端が限定される。プライマーのペアとして、好ましくはスコーピオン・プライマーと通常のPCRプライマーとが使用される。リンカーおよびプローブは、メチル−ヘアピン法の場合と同様に構成される(上記を参照)。その場合、プローブは、好ましくはメチル化に特異的な配列を使用する。すなわち、プローブは少なくとも一つのCGジヌクレオチドを有するか、またはメチル化に特異的なTGジヌクレオチドまたはCAジヌクレオチドを有する。該当するジヌクレオチドは、好ましくは1〜3個である。増幅はすでにメチル化に特異的に行われるため、メチル化に非特異的なプローブを使用することもできる。シグナルの発生は、メチル−ヘアピン法の場合と同様、蛍光色素−クエンチャーのペアを通じて行われる(上記を参照)。
第三の好ましい実施例は、以下「ヘビー・メチル−ヘアピン」と呼ぶ。その場合、増幅は、化学的に、または酵素で前処理したDNAのメチル化に特異的なヘビー・メチルPCRによって行われる(上記を参照)。これにはメチル化に非特異的なプライマーが使用される。すなわち、もともとメチル化されたDNAおよびもともとメチル化されていないDNAに同じやり方で結合するプライマーが使用される。それゆえ、このプライマーは、CGジヌクレオチドを含まず、すでに変換前からこの配列に存在する位置に相当するTGジヌクレオチドおよびCAジヌクレオチドのみを含む。メチル化に特異的な増幅は、少なくとも一つのメチル化に特異的なブロッカー−オリゴマーを使用して確実に行われるようにされる。ブロッカーは、CGジヌクレオチド(またはメチル化に特異的なTGジヌクレオチドまたはCAジヌクレオチド)に結合してバックグラウンドDNAの増幅を阻止する。この実施形態は、ポリメラーゼの選択を通じて、またはブロッカーオリゴマーの修飾を通じて、ブロッカーの分解または伸張を極力抑えるように構成することができる。プライマーのペアとして、好ましくはスコーピオン・プライマーと通常のPCRプライマーとが使用される。リンカーおよびプローブは、メチル−ヘアピン法の場合と同様に構成される(上記を参照)。その場合、プローブは、好ましくはメチル化に特異的な配列を使用する。すなわち、プローブは少なくとも一つのCGジヌクレオチドを有するか、またはメチル化に特異的なTGジヌクレオチドまたはCAジヌクレオチドを有する。該当するジヌクレオチドは、好ましくは1〜3個である。特に好ましい実施形態では、ヘビー・メチル−ヘアピンアッセイは、ブロックとシグナル発生とに、メチル化に特異的な同じジヌクレオチドを使用する。これによって、分析に必要なジヌクレオチドの数が少なくなり、その結果、ヘビー・メチル−ヘアピン法は、ヘビー・メチル法より広い適用範囲を持つことができる。さらに、より高い特異性も実現される。増幅は、すでにメチル化特異的に行われるため、メチル化に非特異的なプローブを使用できる。シグナルの発生は、メチル−ヘアピン法の場合と同様、蛍光色素−クエンチャーのペアを通じて行われる(上記を参照)。実施例3でヘビー・メチル−ヘアピン法について説明する。
第四の好ましい実施例は、以下「メチル−デュプレックス」と呼ぶ。この改変法と上記メチル−ヘアピン改変法とでは、プローブエレメントだけが異なる。メチル−デュプレックス法の場合は、色素とクエンチャーは異なる分子に連結されていて、空間的に互いに近接して不活性な形で存在する。これは、例えばプローブと不活性な形でデュプレックスを形成する別のオリゴヌクレオチドの使用によって可能である。オリゴヌクレオチドの代わりに、核酸アナログ、例えばペプチド−核酸−オリゴマーから選択される別のオリゴマーを使用することもできる(参照:Solinasら、上記文献;米国特許第6,326,145号;米国特許出願第20030087240号)。図6は、メチル−ヘアピンの反応の経過を概略的に示したものである。
第五の好ましい実施形態は、以下「MSP−メチル−デュプレックス」と呼ぶ。この改変法と上記MSP−メチル−ヘアピン改変法とでは、プローブエレメントだけが異なる。これも別のオリゴマーとで特殊な空間構造、例えばデュプレックスを形成する(上記参照)。
第六の好ましい実施形態は、以下「ヘビー・メチル−デュプレックス」と呼ぶ。この改変法は、「ヘビー・メチル−ヘアピン」と、別のオリゴマーと一緒に特殊な空間構造、例えばデュプレックスを形成するプローブエレメントとを組み合わせたものに相当する(上記参照)。
第七の特に好ましい実施形態は、定量的「メチル−ヘアピン」アッセイを対象とする。この実施形態は、「メチル−ヘアピン−アッセイ」というべきものであり、第二のスコーピオン・プライマーが使用される。これによれば内部定量が可能となる。第二スコーピオン・プライマーのプローブはメチル化に非特異的であり、メチル化状態には無関係に増幅体に結合する。これによって発生するシグナルを使ってDNAの全量が定量される。他方、第一スコーピオン・プライマーは、メチル化(または非メチル化)DNAの値を与える。両シグナルからメチル化DNAの正確な量を決定できる。
本発明の別の局面は、本発明による全ての実施形態を使用することにある。本発明による方法は、疾患に特異的なシトシンの位置を検査する場合、特に、癌またはメチル化状態の変化を伴うその他の疾患の診断または予後の予測に適している。これに該当する症例は、中枢神経系の障害、攻撃的症状または行動傷害;脳障害による臨床的、心理的および社会的結果;精神障害および人格障害;認知症および/またはそれに関連する症状;心臓血管に関する疾患、機能不全および障害;胃腸管の機能不全、障害または疾患;呼吸器系の機能不全、障害または疾患;負傷、炎症、感染、免疫および/または回復;発育過程における逸脱としての身体の機能不全、障害または疾患;皮膚、筋肉、結合組織または骨の機能不全、障害または疾患;内分泌系および代謝系の機能不全、障害または疾患;頭痛または性的機能不全などである。さらに、本発明による方法は、治療薬の副作用の予想、特異的な薬物治療の決定(各個人に合わせた医学)、薬物治療結果の監視にも適する。さらに別の応用は、細胞のタイプまたは組織の識別および細胞分化の検査である。
メチル化分析および、メチル化状態の変化を伴う上記疾患の立証または予後の予測にスコーピオン・プライマーを使用することも本発明の対象である。治療薬の副作用の予想、特異的な薬物治療の決定(各個人に合わせた医学)、薬物治療結果の監視へのスコーピオン・プライマーの使用も本発明のさらに別の対象である。さらに、細胞のタイプまたは組織の識別および細胞分化の検査も本発明の対象である。本明細書で使用される「スコーピオン・プライマー」は、その5’末端でリンカーを介してプローブ配列に結合したプライマーである(上記を参照)。
最後に、少なくとも一つのスコーピオン・プライマーと、ポリメラーゼと、PCRのために必要な試薬とからなるキットも本発明の対象である。
実施例1:メチル−ヘアピン−リアルタイムPCRアッセイによるbrcal遺伝子のメチル化DNAの定量
ヒトbrcal遺伝子の亜硫酸水素塩で処理した断片を増幅した(Genbankアクセッション番号:L78833.1,nt 3538〜nt 3666;SeqID−7)。マトリックスには末梢血球からのDNA(Roche Diagnostics)および包括的にメチル化したヒトDNA(Serologicals)を使用した。両DNA種は、亜硫酸水素塩溶液で処理した(Olekら、1996,上記文献)。この処理によって非メチル化シトシンはウラシルに変換されたのに対して、5−メチルシトシンは変化しないで残った。亜硫酸水素塩処理後、DNA濃度をUV吸収(260nm)によって決定した。10ng、1ngおよび0.1ngの亜硫酸水素塩でそれぞれ処理したメチル化マトリクス−DNAを使用して、アッセイの能力を調べた。反応は、ライトサイクラー装置を使用し、全体積20μLで行った。反応混合物は、10μLのマトリックスDNA(濃度については下記を参照)、2μLの混成プローブ用FastStart−LightCycler反応混合物(Roche Diagnostics)、0.30μmol/Lの前進プライマー(5’−GAAGtTGAtAGATGGGTATTtTTTGA−3’;SeqID−1)、0.10μmol/Lの逆進プライマー(5’−CCCCCTTCCTaATCCTCAa−3’;SeqID−2)、0.5μmol/Lのスコーピオン・プライマー(5’−FAM−GGCAGCCTAGGTCGCGAGGGAAGGCTGCC−MR−HEG−CCCCCTTCCTaATCCTCAa−3’;プローブエレメント:SeqID−6;プライマーエレメント:SeqID−8)および2mmol/L MgCl2を含む。加熱サイクルは、95゜Cで10分間保温することから開始し、そのあとは、95゜Cで10秒間、56゜Cで30秒間そして72゜Cで10秒間のサイクルを55回くり返した。毎サイクル、56゜Cで行うアニーリングの前に、蛍光シグナルを検出した。
ウラシルとチミンは、塩基対の特性が同じであるため、変換されない非メチル化シトシンに対応する位置を小文字の「t」(あるいは相補鎖では小文字の「a」)で示した。それに対して、亜硫酸水素塩で処理する前から存在していたチミンに対しては大文字のA(あるいは相補鎖では「A」)で示した。この実施例およびそのあとの実施例でプライマー配列の表記に使われている略字の意味は次の通りである:FAM=フルオレッセインでラベル;red640=ライトサイクラー−フルオレッセインでラベル、チャンネルF2;MR=メチルレッドでラベル;HEG=ヘキサエチレングリコールのスペーサー;pho=リン酸塩で修飾;fluo=フルオレッセイン。
結果を表1および図1に示す。表1は、ライトサイクラー・ソフトウェアで計算した2回くりかえし閾値の平均値を示す。負の比較対照からは、増幅体は生成しなかった(10ngの亜硫酸水素塩で処理した非メチル化DNA;50ngのゲノムDNA;水)。得られたデータから、メチル−ヘアピンアッセイによって、brcal遺伝子の亜硫酸水素塩処理したメチル化DNAを検出できることがわかる。亜硫酸水素塩で処理したメチル化マトリックスDNAの場合、PCR法は、少なくとも3桁のオーダーで直線性を示す(図1)。したがって、メチル−ヘアピンアッセイは、リアルタイムPCRプラットフォーム上で、メチル化DNAを定量することができる。
Figure 0004743787
亜硫酸水素塩で処理したマトリックスDNAの量(ng) メチル-ヘアピンの限界サイクル
実施例2:亜硫酸塩処理したメチル化DNAと非メチル化DNAとからなるDNA混合物中のbrcal−Ampliconsのメチル化に特異的な検出に対するメチル−ヘアピンアッセイとメチルライトアッセイとの比較
以下では、リアルタイムPCR法メチルヘアピンとメチルライトとを比較した。亜硫酸塩処理した、もともとメチル化されていないDNAのバックグラウンド下において、亜硫酸塩処理した、もともとメチル化されていないDNAの量を決定した。
PCRによる増幅は、ライトサイクラー装置(Roche Diagnostics)を使用し、20μLの全体積で行った。ヒトbrcal遺伝子(Genbankアクセッション番号:L78833.1のnt 3538〜nt 3666;SeqID−7)の亜硫酸水素塩で処理したDNA断片を増幅した。メチル−ヘアピン反応混合物は、10μLのマトリックスDNA(濃度については下記を参照)、2μLの混成プローブ用FastStart−LightCycler反応混合物(Roche Diagnostics)、0.30μmol/Lの前進プライマー(5’−GAAGtTGAtAGATGGGTATTtTTTGA−3’;SeqID−1)、0.10μmol/Lの逆進プライマー(5’−CCCCCTTCCTaATCCTCAa−3’;SeqID−2)、0.5μmol/Lのスコーピオン・プライマー(5’−FAM−GGCAGCCTAGGTCGCGAGGGAAGGCTGCC−MR−HEG−CCCCCTTCCTaATCCTCAa−3’;プローブエレメント:SeqID−6;プライマーエレメント:SeqID−8)および2mmol/L MgCl2を含む。メチルライト反応混合物は、10μLのマトリックスDNA、2μLの混成プローブ用FastStart−LightCycler反応混合物(Roche Diagnostics)、0.30μmol/Lの前進プライマー(5’−GAAGtTGAtAGATGGGTATTtTTTGA−3’;SeqID−1)、0.30μmol/Lの逆進プライマー(5’−CCCCCTTCCTaATCCTCAa−3’;SeqID−2)、0.25μmol/Lの混成プローブ1(5’−GCGGAAttTGAGAGGCGTA−fluo−3’;SeqID−3)および混成プローブ2(5’−red640−GCGTTGTGAAtttTGGGGAG−pho−3’;SeqID−4)を含む。加熱サイクルは、95゜Cで10分間保温することから開始し、そのあとは、95゜Cで10秒間、56゜Cで30秒間そして72゜Cで10秒間のサイクルを55回くり返した。毎サイクル、56゜Cで行うアニーリングの前に、蛍光シグナルを検出した。
実施例1に記載の試料と同じ試料からDNAを分離した。いずれの反応でも亜硫酸水素塩で処理した全量20ngのDNAを使用した。メチル化DNAの比率は、100%、50%および10%とした。これは各反応当たりの絶対量で20ng(100%)、10ng(50%)および2ng(10%)に相当する。両アッセイは、同じライトサイクラー装置で同じDNA混合物を使い、並行して行った。蛍光シグナルは別々のチャンネルで検出した。メチル−ヘアピンアッセイは、チャンネルF1(520nm)でシグナルを発生した。メチルライトアッセイのシグナルは、チャンネルF2で検出した(640nm)。
実験データから、両アッセイとも全濃度で、非メチル化DNAのバックグラウンド下において、メチル化DNAのシグナルを得ることができることが証明された(図2および3)。亜硫酸水素塩で処理したメチル化DNAはシグナルを生じなかった。メチル−ヘアピンアッセイは、メチルライトアッセイと比較して強いシグナルを発生し、良い分析結果を与えた。このことは、特に10%試料で当てはまる。すなわち、メチルライトアッセイのシグナルはバックグラウンドのシグナルに対して140%、スコーピオンアッセイのシグナルは180%であった。これらの結果から、メチル−ヘアピンアッセイは、18ngのバックグラウンド下で、少なくとも2ngのメチル化DNAを検出できることがわかる。すなわち、メチル−ヘアピンアッセイは、メチルライトアッセイより感度が高い。
実施例3:4000倍の非メチル化DNAバックグラウンド下における、brcal遺伝子のメチル化DNAの検出にヘビー・メチル−ヘアピンアッセイの使用
本明細書に記載するアッセイは、ヘビー・メチル−ヘアピン技術およびメチル−ヘアピン技術の利点と結び付いている。メチル化特異的ブロッカー(ヘビー・メチル)と、スコーピオン・プライマー(メチルヘアピン)によるメチル化特異的検出と、を使用するとメチル化DNAを選択的に検出するための新しいリアルタイムPCR技術(ヘビー・メチル−ヘアピン)が創出される。
ヘビー・メチル−ヘアピンアッセイは、ライトサイクラー装置(Roche Diagnostics)を使用し、20μLの全体積で行った。ヒトbrcal遺伝子(Genbankアクセッション番号:L78833.1のnt 3538〜nt 3666;SeqID−7)の亜硫酸水素塩で処理したDNA断片を増幅した。反応混合物は、10μLのマトリックスDNA(濃度については下記を参照)、2μLの混成プローブ用FastStart−LightCycler反応混合物(Roche Diagnostics)、0.30μmol/Lの前進プライマー(5’−GAAGtTGAtAGATGGGTATTtTTTGA−3’;SeqID−1)、0.10μmol/Lの逆進プライマー(5’−CCCCCTTCCTaATCCTCAa−3’;SeqID−2)、0.5μmol/Lのスコーピオン・プライマー(5’−FAM−GGCAGCCTAGGTCGCGAGGGAAGGCTGCC−MR−HEG−CCCCCTTCCTaATCCTCAa−3’;プローブエレメント:SeqID−6;プライマーエレメント:SeqID−8)、4μmol/Lのブロッカー(5’−TAATCCTCAaCACTTCCCTCACAACCT−pho−3’:SeqID−5)および2mmol/L MgCl2を含む。加熱サイクルは、95゜Cで10分間保温することから開始し、そのあとは、95゜Cで10秒間、56゜Cで30秒間そして72゜Cで10秒間のサイクルを55回くり返した。毎サイクル、56゜Cで行うアニーリングの前に、蛍光シグナルを検出した。実施例1に記載の試料と同じ試料からDNA混合物を分離した。亜硫酸水素塩処理した、もともとメチル化されているDNAの量は、各試料、100pgとした。バックグラウンドの非メチル化DNAの量は試料ごとに変えた。メチル化DNAと非メチル化DNAのとの比、1:1000および1:4000は、亜硫酸水素塩処理したあとで所定の比になるように混合して調製した。それぞれに対応して、DNAの絶対量は、反応に対して100.1ng(1:1000)、または400.1ng(1:4000)であった。正の対照試料として、非メチル化バックグラウンドを含まない100pgのメチル化DNAを使用し、負の対照試料として100ngの非メチル化DNAを使用した。
結果を図4に示す。ヘビー・メチル−ヘアピンアッセイにより、1:1000および1:4000の両感度比で100pgのメチル化DNAを検出することができた。100ngの非メチル化DNAではシグナルは得られなかった。それに対して、非メチル化DNAのバックグラウンドを含まない100pgメチル化DNAからなる正の対照試料では強いシグナルが発生した。これらのデータから、ヘビー・メチル−ヘアピンアッセイは、4000倍の非メチル化DNAのバックグラウンド下でも、メチル化DNAを高感度で検出できることがわかる。
実施例4(理論的実施例):スコーピオ・リアルタイム分析(ヘビー・メチル−ヘアピンアッセイ)によるGSTPi遺伝子のメチル化分析
GSTPi遺伝子の下記断片(亜硫酸水素塩で処理)を増幅する:
CGGGAttAtttTTATAAGGtTCGGAGGtCGCGAGGttTTCGtTGGAGTTTCGtCGtCGtAGTtTTCGttAttAG(SEQ ID No.9 nt;1845〜nt1924 Genbankアクセッション番号AY324387)。PCRは上記の反応条件で行った。プライマーには次の配列を使用した:前進プライマー(GGGAttAtttTTATAAGGAtT;SEQ ID NO:10)、逆進プライマー(TACTCACTaaTaaCKAAaACTaC;SEQ ID NO:11)、スコーピオン・プライマー(FAM−ggcagccGtTGGAGtttCGtCGggctgcc−DDQ−HEG−TACTCACTAATAACKAAAACTAC;SEQ ID NO:12,13)、4μM ブロッキング試料(CTAATAACaAAAACTACaACaACaAAACTCCAAC−PHO;SEQ ID NO:14)。上記の標準スコーピオプライマーの代わりに次のデュプレックススコーピオプライマーも使用できる:FAM−GtTGGAGtttCGtCG−HEG−TACTCACTAATAACKAAAACTAC(Seq ID;CGaCGaaaCTCCAaC−DDQ;Seq ID NO:15;NO:16)。
メチル−ヘアピンアッセイによる亜硫酸水素塩処理したbrcalDNAのリアルタイム増幅(実施例1):Y軸はサイクルごとに測定される蛍光シグナルを表す(チャンネルF1)。X軸はサイクル回数を示す。負の対照試料はシグナルを発生しなかった:水(星印)、50ngゲノムDNA(×)、10ng亜硫酸水素処理した非メチル化DNA(○)。亜硫酸水素処理したメチル化DNAは、●(10ng)、▲(1ng)および■(0.1ng)で示してある。 混成プローブを使用するメチルライトアッセイによる亜硫酸水素塩処理したbrcalDNAのリアルタイム増幅(実施例2):Y軸はチャンネルF2(640nm)における蛍光シグナルを表す。測定はサイクルごとに行った(X軸)。曲線は、非メチル化DNAのバックグラウンド下における100%(●)、50%(◆)および10%メチル化DNA(▲)を表す。各試料中の20ng亜硫酸水素塩処理DNAを、全部一斉に検査した。20ngの非メチル化DNAはシグナルが決定できなかった(□)。 混成プローブを使用するメチル・ループアッセイによる亜硫酸水素塩処理したbrcalDNAのリアルタイム増幅(実施例2):Y軸はチャンネルF1(520nm)における蛍光シグナルを表す。測定はサイクルごとに行った(X軸)。曲線は、非メチル化DNAのバックグラウンド下における100%(●)、50%(◆)および10%メチル化DNA(▲)を表す。全部合わせて、各試料当たり20ng亜硫酸水素塩DNAを使用した。20ngの非メチル化DNAの場合、シグナルは検出されなかった(□)。 ヘビー・メチル−ヘアピンアッセイによるbrcal−DNAの高感度検出(実施例3):Y軸はチャンネルF1(520nm)における蛍光シグナルを表す。測定はサイクルごとに行った(X軸)。下記量の非メチル化DNAのバックグラウンド下に、それぞれ100pgのメチル化DNAを決定した:バックグラウンドDNA非存在(●)、100ng(▼)、400ng(▲)。負の対照試料(100ngの非メチル化DNA、メチル化DNAを含まず)ではシグナルは得られなかった(□)。 メチル−ヘアピン法の経過を概略的に表したものである。スコーピオン・プライマーは左側に存在する。スコーピオン・プライマーの(メチル化に特異的な)プローブエレメントは、ヘアピン状の形で存在する。それは蛍光色素(▲)とクエンチャー(■)とを有し、それらはヘアピン構造を取ることによって空間的に互いに直接的に近接して存在する。ジグザグの線はリンカーエレメント内のPCRストッパーを表す。すでに亜硫酸水素塩処理した検査すべきDNAは二本の棒で表わしてある。DNA内のCG位が検査すべき位置である。シトシンがもともとメチル化されている場合だけ、シトシンは、亜硫酸水素塩で処理しても変化を受けないままであった。それに対して、非メチル化シトシンはウラシル(またはチミン)に変換される。スコーピオン・プライマーの(ここではメチル化に対して非特異的な)プライマーエレメントは、熱変性後、一本鎖DNAに結合することができる。ポリメラーゼによってプライマーの伸張が起こる。さらに熱変性を行うと、プローブは、伸張生成物がCGヌクレオチドを含む限り、伸張したプライマーに分子内的に結合する。しかしこれがあてはまるのは、検査すべきDNAがもともとメチル化されて存在した場合に限る。非メチル化シトシンは、プローブに結合しないTGジヌクレオチドを生成する(図示されていない)。伸張したプライマー配列にプローブが結合するとヘアピンが解除され、蛍光シグナルが検出できるようになる(図は、Thelwellら 2000、上記文献、3753ページによって改変)。 メチル−デュプレックス法の経過を概略的に表したものである。スコーピオン・プライマーは左側に存在する。スコーピオン・プライマーの(メチル化に特異的な)プローブエレメントは、別の追加オリゴヌクレオチドと一緒になって、二本鎖の形で存在する。プローブエレメントは、蛍光色素(▲)を有する。追加オリゴヌクレオチドにクエンチャー(■)が結合する。両成分は、デュプレックスによって、空間的に互いに直接的に近接して存在する。ジグザグの線は、スコーピオン・プライマーのリンカーエレメント内のPCRストッパーを表す。すでに亜硫酸水素塩処理した検査すべきDNAは二本の棒で表わしてある。検査すべき位置はDNA内のCG位である。シトシンがもともとメチル化されている場合に限って、シトシンは、亜硫酸水素塩で処理しても変化を受けないまま残った。それに対して、非メチル化シトシンはウラシル(またはチミン)に変換される。スコーピオン・プライマーの(ここではメチル化に対して非特異的な)プライマーエレメントは、熱変性後、一本鎖DNAに結合することができる。ポリメラーゼによってプライマーの伸張が起こる。さらに熱変性を行うと、デュプレックスは、プローブおよび追加オリゴヌクレオチドから分離し、プローブは、伸張生成物がCGヌクレオチドを含む限り、伸張したプライマーに分子内的に結合する。しかしこれがあてはまるのは、検査すべきDNAがもともとメチル化されて存在した場合に限る。非メチル化シトシンは、プローブに結合しないTGジヌクレオチドを生成する(図示されていない)。伸張したプライマー配列にプローブが結合すると、色素およびクエンチャーが分離され、蛍光シグナルが検出できるようになる(図は、Solinasら 2001、上記文献、e96ページによって改変)。

Claims (28)

  1. a)5−メチル化シトシンが未反応にとどまる一方で、非メチル化シトシンがウラシルまたは、シトシンと塩基対の挙動が異なる、その他の塩基に変換されるように、検査すべきDNAと試薬または酵素とを反応させることと、
    b)処理した前記DNAをポリメラーゼと少なくとも一つのプライマーとで増幅し、その5’末端にリンカーを介してプローブを結合し、該プローブは少なくとも1つのメチル化特異的CGジヌクレオチドを含み、該プローブの二次的構造は、ヘアピン形状又はデュプレックス構造を含み、
    それによってスコーピオン・プライマーがもたらされ、プライマー伸長生成物が生成されることと、
    c)前記プライマー伸張生成物を工程a)の処理DNAから分離することと、
    d)前記プローブが、分子内的に前記プライマー伸張生成物とハイブリダイズし、そしてそのハイブリダイズが、検査すべきシトシンの位置が最初にメチル化された場合にのみ起こることと、
    e)前記プローブのハイブリダイズが起こったか否かを検知することと
    を特徴とするDNA中のシトシンのメチル化を検出する方法。
  2. 試薬または酵素とを反応させる過程が亜硫酸水素塩で処理することを含む請求項1に記載の方法。
  3. 試薬または酵素とを反応させる過程がシチジン脱アミナーゼで処理することを含む請求項1に記載の方法。
  4. 工程b)の前記増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応によって行われることを特徴とする請求項1〜3の少なくとも一項に記載の方法。
  5. 前記ポリメラーゼ連鎖反応がMSP法またはヘビー・メチル法の形で行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記プローブが、2種類のシグナル成分を有しており、そしてそれら2種類のシグナル成分が空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブが、プライマー伸張生成物と混成すると、前記シグナル成分が、互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも一項に記載の方法。
  7. 前記両シグナル成分が、クエンチャー蛍光色素の対であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 不活性な形での2つのシグナル成分の空間的な隔たりが、前記プローブの二次的構造によって確保されることを特徴とする請求項6〜7の少なくとも一項に記載の方法。
  9. 前記スコーピオン・プライマーが、2種類のシグナル成分を有しており、そしてそれら2種類のシグナル成分が空間的に互いに遠ざかっていて不活性な形で存在し、前記プローブが、プライマー伸張生成物と混成すると空間的に互いに近接することを特徴とする請求項1〜5の少なくとも一項に記載の方法。
  10. 前記シグナル成分が、活性な形で、蛍光共鳴エネルギー移動によってシグナルを発生することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記プローブと、さらなる別のオリゴヌクレオチドとが、それぞれ少なくとも一つのシグナル成分を有していて、そしてそれらのシグナル成分が空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブがプライマー伸張反応生成物と混成すると、前記シグナル成分が互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも一項に記載の方法。
  12. 前記両シグナル成分が、クエンチャー蛍光色素の対であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記プローブと、前記さらなる別のオリゴヌクレオチドとの間の不活性な形での空間的な近接が、デュプレックス構造によって確保されることを特徴とする請求項11〜12の少なくとも一項に記載の方法。
  14. 前記プローブと、前記さらなる別のオリゴヌクレオチドとが、それぞれ少なくとも一つのシグナル成分を有していて、そしてそれらのシグナル成分は空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブがプライマー伸張反応生成物と混成すると、前記シグナル成分が互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも一項に記載の方法。
  15. 前記シグナル成分が、活性な形で、蛍光共鳴エネルギー移動によってシグナルを発生することを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記さらなる別のオリゴヌクレオチドが、前記プローブに直接的に近接してプライマー伸張生成物と結合することを特徴とする請求項14〜15の少なくとも一項に記載の方法。
  17. 複数個の配列を同時に増幅することを特徴とする請求項1〜16の少なくとも一項に記載の方法。
  18. 前記増幅が、2種類のスコーピオン・プライマーによって行われることを特徴とする請求項1〜17の少なくとも一項に記載の方法。
  19. 前記スコーピオン・プライマーが、異なるシグナル成分を有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記スコーピオン・プライマーの一方が、メチル化に対して特異的なプローブを有し、前記スコーピオン・プライマーのもう一方が、メチル化に対して非特異的なプローブを有することを特徴とする請求項18〜19の少なくとも一項に記載の方法。
  21. 前記スコーピオン・プライマーの一方が、メチル化に対して特異的なプローブを有し、前記スコーピオン・プライマーのもう一方が、変異または対立遺伝子に対して特異的なプローブを有することを特徴とする請求項1〜19に記載の方法。
  22. メチル化に対して非特異的なPCR増幅が行われ、その際、前記プローブが、クエンチャーと色素分子とを有し、そしてこれらのクエンチャーと色素分子とが、空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブがプライマー伸張生成物と混成すると互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
  23. MSP増幅が行われ、その際、前記プローブが、クエンチャーと色素分子とを有し、そしてこれらのクエンチャーと色素分子とが、空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブがプライマー伸張生成物と混成すると互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
  24. ヘビー・メチル増幅が行われ、その際、前記プローブが、クエンチャーと色素分子とを有し、そしてこれらのクエンチャーと色素分子とが、空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブが、プライマー伸張生成物と混成すると互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
  25. メチル化に対して非特異的な増幅が行われ、その際、前記プローブが色素分子を有し、そしてさらなる別のオリゴヌクレチオドがクエンチャーを有し、そしてこれらの色素分子とクエンチャーが、空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブが、プライマー伸張生成物と混成すると互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
  26. MSP増幅が行われ、その際、前記プローブが色素分子を有し、そしてさらなる別のオリゴヌクレチオドがクエンチャーを有し、そしてこれらの色素分子とクエンチャーが、空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブが、プライマー伸張生成物と混成すると互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
  27. ヘビー・メチル増幅が行われ、その際、前記プローブが色素分子を有し、そしてさらなる別のオリゴヌクレチオドがクエンチャーを有し、そしてこれらの色素分子とクエンチャーが、空間的に互いに近接して不活性な形で存在し、前記プローブが、プライマー伸張生成物と混成すると互いに遠ざかることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
  28. 前記増幅が、2種類のスコーピオン・プライマーによって行われ、前記スコーピオン・プライマーの一方が、メチル化に対して特異的なプローブを有し、前記スコーピオン・プライマーのもう一方が、メチル化に対して非特異的なプローブを有することを特徴とする請求項23に記載の方法。
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