JP4744779B2 - 水性ボールペン用インキ組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、濃紺色を有する顔料を用いた水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペンに関するものである。
背景技術
従来、水性顔料インキの色を濃紺色とする場合、着色剤として濃紺色のものを用いるか、複数の着色剤を混色して濃紺色となすことが行なわれてきた。濃紺色の着色剤としては、紺青やコバルトブルー(酸化アルミニウムコバルト:C.I.77346)などがあり、また混色の場合の着色剤としては、カーボンブラックと銅フタロシアニン顔料との組合せなどがある。しかし、後者の混色による方法は、ボールペン中のインキ粘度を50〜1000mPa・s程度に調合する場合には有効な手段であると言えるが、インキ粘度が1〜10mPa・s程度の場合、選択沈降を起こす可能性が高く、経時安定性に乏しい。
また、紺青やコバルトブルーなどの無機顔料は有機顔料に比べ着色力が弱く、特にインキのpHを7〜10に設定する場合、紺青のような耐アルカリ性に乏しい無機顔料は更に着色力が低下する。そのため、インキ中の配合量を増やす必要があり、その結果インキタンク内のインキを外部より視認することが可能なボールペン容器に充填した際、インキタンク内のインキの外部から視認できる色と描線色とが非常に異なった色となり、外観上では描線色の識別が出来ない。
さらに、インキ中の顔料配合量を増加することは、長期的に保存した場合、顔料の凝集傾向が著しく、特に無機顔料の場合、筆記によるボールペンチップの摩耗が大きくなるという問題を生じ、書き味および筆記距離の低下につながる。
特開平10−95947号公報には、描線色をコバルトブルー色(淡青色)にするため、チタン酸リチウムコバルトを用いたインキが開示されている。しかしながら、このような無機顔料は、特にインキ粘度が1〜10mPa・sの場合、前記したような要因で経時安定性に乏しく、書き味および筆記距離が低下する。
本発明の目的は、インキタンク内のインキを外部より視認することが可能なボールペン容器に充填した場合、インキタンク内のインキ色と描線色とがほぼ同一の濃紺色として視認可能なインキであって、長期保管においてもインキ組成が変化することなく、潤滑性に優れた水性ボールペン用インキ組成物を提供することにある。
発明の開示
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意研究を行った結果、水性濃紺色インキにおける着色剤としてコバルトフタロシアニンブルーを用いることで、前記目的を達成できることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち本発明は、好適には以下の(1)〜(7)からなる。
(1) 着色剤、水および分散剤を含有するインキ組成物において、着色剤として少なくともコバルトフタロシアニンブルーを用い、かつ、インキのpHを7〜10の範囲とすることを特徴とする濃紺色の水性ボールペン用インキ組成物。
(2) コバルトフタロシアニンブルーの含有量が全組成物中の0.05〜30重量%である上記(1)記載の水性ボールペン用インキ組成物。
(3) インキ粘度が1〜10mPa・s(25℃)、インキ表面張力が25〜45mN/mである上記(1)又は(2)に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
(4) コバルトフタロシアニンブルーが粒径500nm以下である上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の水性ボールペン用インキ組成物。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の水性ボールペン用インキ組成物を内蔵したボールペン。
(6) ペン先がボールペンチップであり、該ボールペンチップの少なくとも一部が金属材料より構成されることを特徴とする上記(5)記載のボールペン。
(7) インキタンク内のインキの色を外部より視認することが可能なものである上記(5)又は(6)に記載のボールペン。
発明を実施するための最良の形態
本発明の水性ボールペン用インキ組成物に用いるコバルトフタロシアニンブルーは、銅フタロシアニンブルーの配位金属をコバルトとした化合物である(例えば、C.I.74160:2、CAS No.3317−67−7など)。
上記コバルトフタロシアニンブルーは、その粒径が500nm以下のものが好ましく、300nm以下であればより好ましい。500nm以下の粒径であれば、分散安定性に優れ、筆記具インキとしての経時安定性に優れるものである。
本発明インキ組成物中のコバルトフタロシアニンブルーの含有量は、0.05〜30重量%とすることができ、好ましくは3.0〜15.0重量%、より好ましくは5.0〜10.0重量%の範囲である。配合量が0.05重量%未満では着色が弱くなり、紙に書いたときの色相を認識できなくなってしまうことがある。また、30重量%を超えると、長期に保存した場合に顔料が凝集したりしてペン先につまり、筆記不良を起こすことがある。
本発明のインキ組成物に着色剤として用いられる上記コバルトフタロシアニンブルーは、インキタンク内のインキを外部より視認することが可能なボールペン容器に充填した場合、インキタンク内のインキ色が描線色と同じ色に視認可能なため、他の着色剤を用いる必要は特にないが、描線色の多様性を図る目的で水溶性染料を併用することも可能である。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも用いることができる。
直接染料の例としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同119等が挙げられる。
酸性染料の例としては、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同141、同127、同135、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレッド15、同17、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27等が挙げられる。
食用染料は、その大部分が直接染料又は酸性染料に含まれるが、これらに含まれないものの例としては、例えば、C.I.フードエロー3等が挙げられ、このような染料も本発明の着色剤として用いることができる。
塩基性染料の例としては、C.I.ベーシックエロー1、同2、同21、C.I.ベーシックオレンジ2、同14、同32、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同14、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同7、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックブラウン12、C.I.ベーシックブラック2、同8等が挙げられる。
上記水溶性染料は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は組成物全量に対し、通常0.05〜30重量%とすることができ、好ましくは1〜15重量%の範囲である。着色剤(水溶性染料)の配合量が30重量%を超えると、長期に保存した場合に染料が析出したりしてペン先につまり、筆記不良をおこすことがある。一方、配合量が0.05重量%未満では、着色が弱くなり、紙に書いた時の色相変化を認識できなくなってしまうことがある。
本発明のインキ組成物には、着色剤としてコバルトフタロシアニンブルーを用いるため、分散剤を使用することが必要である。分散剤は、顔料粒子表面に吸着して水中に顔料を分散させる作用を有するものであり、概ね以下に例示するようなノニオン系またはアニオン系の界面活性剤や、水溶性高分子等を用いることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸エステル及びその誘導体、糖の高級脂肪酸エステルなどが例示される。より具体的には、例えば、グリセリンの脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物などを挙げることができる。
アニオン系界面活性剤としては、高級脂肪酸アミドのアルキル化スルフォン酸塩、アルキルアリルスルフォン酸塩等が例示され、より具体的には、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、リン酸エステルおよびその塩などを挙げることができる。
分散剤として用いられる水溶性高分子は、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸樹脂等が例示される。より具体的には、例えばアクリル樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等の樹脂を塩の形にして水溶性にしたものなどを挙げることができ、上記の塩を形成するアルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム等が挙げられ、アミンとしては、例えばモノ−、ジ−又はトリ−メチルアミン等の脂肪族第1ないし第3級アミン、モノ−、ジ又はトリ−プロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルコールアミン、その他、アンモニア、モルホリン、N−メチルホリン等を挙げることができる。
分散剤を使用する場合の配合量は、組成物全量に対し0.1〜10重量%とすることが好ましい。
本発明のインキ組成物における水の配合量は特に限定されないが、組成物全量に対して40〜90重量%とすることが望ましい。配合量が40重量%未満では、相対的に溶剤や着色剤が多くなるためインキが揮発しにくくなり、紙に書いた時、インキが乾きにくくなってしまうことがあり、逆に90重量%を超えるとインキが揮発し易くなり、ペン先が乾燥して筆記不良となることがある。
本発明のインキ組成物には、ペン先の乾燥を防ぐため、保湿剤を配合できる。保湿剤としては、例えば、尿素、チオ尿素、プルラン、デキストリン、マルトデキストリンや、水溶性の溶剤として比較的高沸点の溶剤、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの水溶性多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)などのセロソルブ類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)などのカルビトール類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類などが挙げられる。これらの保湿剤は単独でも、2種以上を混合して用いることもでき、その含有量は、全組成物に対し通常50重量%以下、好ましくは5〜50重量%の範囲から適宜選択できる。配合量が5重量%未満では、ペン先の乾燥を防ぐという配合の目的が十分に達せられない場合があり、50重量%超えるとインキが裏抜けしたり、描線が乾き難くなる場合がある。
以上の成分の他、本発明の組成物には、必要に応じて、例えば、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、増粘剤、腐食抑制剤、樹脂エマルジョン等の成分を配合することができる。
潤滑剤としては、例えば、リノール酸カリウム、リシノール酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩の他、分散剤として挙げた前記界面活性剤を挙げることができる。
防腐剤としては、例えば、フェノール、イソプロピルメチルフェノール、ペンタクロロフェノールナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム塩、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,4−チアゾリンベンズイミダゾール、パラオキシ安息香酸エステルなどを挙げることができる。
pH調節剤としては、アミンまたは塩基、例えばアミノメチルプロパノール、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の各種アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ剤、アンモニアなどを挙げることができる。
増粘剤は、有機系増粘剤と無機系増粘剤とに大別されるが、有機系増粘剤としては、例えばアクリル系合成高分子、天然ガム、セルロース、多糖類等が使用できる。より具体的には、例えばアラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンタンガム、デキストラン等の天然系のもの、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の半合成系のもの、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、架橋型アクリル酸重合体、スチレンアクリル酸共重合体の塩などの合成系のものが挙げられる。また、無機系増粘剤としては、例えばスメクタイト、ベントナイト、ケイソウ土等の粘土類、二酸化珪素等の微少粒体等が挙げられる。
なお、これら増粘剤の配合量は、インキの粘度値により適宜増減されるものである。
腐食抑制剤としては、例えば、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、リン酸オクチル、チオリン酸ジオクチル等のリン酸やチオリン酸の誘導体、イミダゾール、ベンゾイミダゾールおよびその誘導体、2−メルカプトベンゾチアゾール、オクチルメタンスルホン酸、ジシクロヘキシルアンモニウム・ナイトライト、ジイソプロピルアンモニウム・ナイトライト、プロパルギルアルコール、ジアルキルチオ尿素などが挙げられる。
樹脂エマルジョンは、主として粘度調整剤として、またはその不透明感から視認性向上剤としての働きを期待して配合されるものであり、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネイト、ポリメチルメタクリレート、ベンゾグアナミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリロニトリル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸・メタクリル酸・アクリル酸アルキルエステル共重合体、塩化ビニリデン・アクリル酸アルキルエステル共重合体などが挙げられる。
本発明インキ組成物においては、インキ組成物のpHを7〜10の範囲に調整することが必要である(測定温度;25℃、測定器;ホリバ製pHメーター)。pHを上記範囲に調整するのは、金属ボールペンチップの防錆とともに、顔料の分散に使用する分散剤の凝集を防ぐためである。通常、ボールペンチップはボールとホルダーより構成されており、少なくともこれらの一部が金属で構成されている場合には錆に対する配慮が必要であり、本発明のような水性インキの場合は防錆対策は必須要件となる。例えば、ボールペンチップ材料として一般的なタングステンカーバイドを用いる場合には、上記範囲内であればコバルトやタングステンの溶出による筆記性能への悪影響が生じないので好ましい。
また、分散剤の凝集防止については、特にアルカリ溶解型の分散剤(例;スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩等)を用いる場合には、pHを上記範囲に調整することによりその効果が十分に発揮されるので好ましい。
本発明インキ組成物の粘度は、幅広い粘度領域で用いることができるが、特に粘度を1〜10mPa・s(測定温度:25℃、測定器:東京計器製ELD型粘度計)の範囲に調整することが好ましい。インキ組成物の粘度は、例えば、水溶性溶剤、樹脂エマルジョン、増粘剤などの配合量により調整できる。
本発明インキ組成物の表面張力は、約16〜約45mN/m(測定温度:25℃、測定器:協和界面科学製表面張力測定器)の範囲で適宜設定することが好ましい。例えば、本発明インキ組成物を粘度が1〜10mPa・s(25℃)程度の低粘度インキとして後記する直留直液方式のボールペンに使用する場合には、ペン体の品質を維持するために、インキの表面張力は約35〜約45mN/mに調整されることが好ましく、より好ましくは約37〜約42mN/m、望ましくは約38〜約40mN/mであり、また、同様の粘度で後記する中綿方式のボールペンに使用する場合には、ペン体の品質を維持するために、インキの表面張力は約25〜約40mN/mに調整されることが好ましく、より好ましくは約27〜約38mN/m、望ましくは約30〜約36mN/mである。以上の各方式のボールペンにおいて、インキの表面張力がそれぞれ上記の好ましい範囲を下回ると、描線が滲みやすくなったり、ペン体品質に悪影響(直流・吹き出し等)を生じることがあり、それぞれ上記の好ましい範囲を越えるとペンの書き味や流量安定性が低下することがある。
一方、本発明インキ組成物に擬塑性を付加させ、せん断速度3.84s−1における粘度が100〜4000mPa・s(25℃)程度の中粘度インキとする場合には、表面張力を約16〜約38mN/mの範囲となるように調整することが好ましく、より好ましくは約17〜約35mN/m、望ましくは約20〜約33mN/mである。表面張力が16mN/m未満では、直流現象を起こしやすく、また、顔料の凝集や沈降を起こしやすくなってしまう。一方、38mN/mを超えると、ボテ現象や、線割れ現象などを起こしやすく、更に、保存環境や筆記状態によって、インキの流出量が不安定になり、描線の濃度や幅にバラツキを生じやすくなってしまうことがある。
本発明のインキ組成物は、常法に従い、上記成分を撹拌、混合等することにより製造できる。
本発明のボールペンの好ましい態様としては、例えば、上記インキ組成物を内蔵するインキ収容管と、ステンレス、真鍮、洋白、熱可塑性樹脂(成形品)等の材質のチップホルダーと、超硬合金(例;タングステンカーバイド等)、ジルコニア、炭化珪素等の材質のボールを有するペン先とを具備する構成を採用することができる。
本発明の水性インキ組成物は、中綿方式のボールペンやボールペン内にインキを直接貯蔵する直液方式のボールペンなどに好適に使用される。特に、直液方式のボールペンの場合、インキタンク部を透明な材質(例;ポリプロピレン等)にしてインキ残量をユーザーが確認できるような機構が一般的であるが、本発明水性ボールペン用インキではインキ外観色と描線色とが同等に視認できるので、ユーザーが容易にインキ色を確認できるという利点がある。
なお、中綿方式のボールペンとは、前記本発明のインキを吸蔵させた中綿を収容した軸筒、その中綿に接続される繊維束等からなる中継芯、ボールとチップホルダーからなるペン先などから構成されるボールペンである。また、直液方式のボールペンには2種類あり、直留直液方式は、インキを直接貯溜するインキタンク、インキタンク内の空気が温度上昇などによって膨張した場合にインキタンクから押し出されるインキをペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保留するインキ保留部材(コレクター)、ボール、チップホルダーからなるペン先等から構成されるボールペンであり、貯留直液方式は、インキを直接貯溜するチューブ、ボール、チップホルダーからなるペン先などから構成されるボールペンである。
以上示したボールペンは、インキの粘度領域によって区別されて用いられる。例えば、インキ粘度1〜10mPa・s(25℃)のものは、中綿方式または直留直液方式に好適に用いられる。また、せん断速度3.84s−1におけるインキ粘度が100〜4000mPa・s程度のものは、主に貯留直液方式のボールペンに好適に使用される。
なお、本発明のインキ組成物は、上記以外の水性ボールペンにも適用可能であることは言うまでもない。
実施例
次に、実施例等によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制約されるものではない。
実施例1
下記の各成分を攪拌機にて3時間攪拌・混合した後、サンドミルにて5時間分散し、更に粗大粒子を遠心分離器により除去することにより、濃紺色水性ボールペン用顔料インキを調製した。
<成 分> <配合量:重量%>
顔料:コバルトフタロシアニンブルー 8.0
(大日精化製:Pigment Blue 75)
溶媒:グリセリン 8.0
溶媒:プロピレングリコール 1.0
溶媒:ジエチレングリコール 8.0
分散剤:スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩 3.0
潤滑剤:ノニオン性界面活性剤 0.1
(花王製:スコアロール700)
pH調整剤:アミノメチルプロパノール 0.2
防腐剤:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1
(ゼネカ製:Proxel BDN)
防錆剤:ベンゾトリアゾール 0.1
精製水: 残 部
比較例1
コバルトフタロシアニンブルーの代わりに酸化アルミニウムコバルトを用いた以外は、実施例1と同様にして濃紺色水性ボールペン用インキを調製した。
比較例2
実施例1におけるアミノメチルプロパノールの配合量を0.5重量%に増量して、濃紺色水性ボールペン用インキを調製した。
実施例2
下記の配合に従い、実施例1と同様の方法で濃紺色水性ボールペン用顔料インキを調製した。
<成 分> <配合量:重量%>
顔料:コバルトフタロシアニンブルー 8.0
(大日精化製:Pigment Blue 75)
溶媒:グリセリン 4.0
溶媒:プロピレングリコール 6.0
溶媒:ジエチレングリコール 6.0
分散剤:スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩 3.0
潤滑剤:ノニオン性界面活性剤 0.5
(花王製:スコアロール700)
pH調整剤:アミノメチルプロパノール 0.2
防腐剤:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1
(ゼネカ製:Proxel BDN)
防錆剤:ベンゾトリアゾール 0.1
精製水: 残 部
比較例3
実施例2におけるコバルトフタロシアニンブルーの代わりに以下の着色剤を用い、実施例1と同様の方法で濃紺色水性ボールペン用インキを調製した。
着色剤:カーボンブラック 1.0
(三菱化学製:カーボンブラックMA100)
着色剤:銅フタロシアニンブルー 7.0
(大日精化製:Chromofine Blue 4965)
実施例3
下記の配合に従い、実施例1と同様の方法により濃紺色水性ボールペン用顔料インキを調製した。
<成 分> <配合量:重量%>
顔料:コバルトフタロシアニンブルー 8.0
(大日精化製:Pigment Blue 75)
溶媒:グリセリン 4.0
溶媒:エチレングリコール 20.0
分散剤:スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩 3.0
潤滑剤:ノニオン性界面活性剤 1.0
(花王製:スコアロール700)
pH調整剤:アミノメチルプロパノール 0.5
増粘剤:アクリル系合成高分子 0.4
防腐剤:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1
(ゼネカ製:Proxel BDN)
防錆剤:ベンゾトリアゾール 0.2
精製水: 残 部
比較例4
コバルトフタロシアニンブルーの代わりに紺青を用いた以外は、実施例1と同様にして濃紺色水性ボールペン用インキを調製した。
試験例
上記実施例、比較例で得られたインキの評価は、以下の視認性試験、耐摩耗性試験および経時安定性試験により判定した。その結果を表1に示す。
(視認性確認試験)
前記実施例および比較例のインキを、以下の〜のボールペン仕様に充填し、組立てた。
▲1▼直液直留方式ボールペン(ボール径φ0.5)
実施例1
比較例1、比較例2
▲2▼中綿方式ボールペン(ボール径φ0.5)
実施例2
比較例3
▲3▼直液貯留方式ボールペン(ボール径φ0.5)
実施例3
比較例4
その後、インキの外観色とボールペン描線色の色相を下記の基準にて評価し、比較した。
<判定基準>
○:外観と描線色が同等。
×:外観に比べ、描線色が薄い。
(耐摩耗性試験)
実施例および比較例の各インキを上記記載の▲1▼〜▲3▼のボールペン仕様で5本組立て、以下の条件での機械筆記にて、ボール沈みの値を測定した。
評価温度・湿度:25℃、60%
筆記速度 :4.5m/分
筆記角度 :60°
筆記荷重 :100g
筆記距離 :1200m
(経時ペン品質安定性試験)
実施例および比較例の各インキを上記記載の▲1▼〜▲3▼のボールペン仕様で組立て、50℃で3ケ月間下向き放置後、ペン性能を確認した。
<判定基準>
○:描線品質、ペン体品質ともに問題なし
△:描線品質に関して、色相が変化している
×:顔料がペン先につまり、筆記不能
※:ボール腐食による書き味低下
産業上の利用可能性
本発明の水性ボールペン用インキ組成物は、着色剤としてコバルトフタロシアニンブルーを用いることにより、インキタンク内のインキを外部より視認することが可能なボールペン容器に充填した際、インキタンク内のインキ色と描線色とがほぼ同一の濃紺色として視認できる。また、この水性ボールペン用インキは、長期保管においてもインキ組成が変化することがなく、潤滑性に優れたインキであり、顔料の特長でもある、高い堅牢性レベルを付与させることが可能なもので、直液直留方式、直液貯留方式、中綿方式のボールペンに好適に使用できる。
Claims (7)
- 着色剤、水および分散剤を含有するインキ組成物において、着色剤として少なくともコバルトフタロシアニンブルーを用い、かつ、インキのpHを7〜10の範囲とすることを特徴とする濃紺色の水性ボールペン用インキ組成物。
- コバルトフタロシアニンブルーの含有量が全組成物中の0.05〜30重量%である請求項1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- インキ粘度が1〜10mPa・s(25℃)、インキ表面張力が25〜45mN/mである請求項1又は2に記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- コバルトフタロシアニンブルーが粒径500nm以下である請求項1〜3のいずれか1つに記載の水性ボールペン用インキ組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の水性ボールペン用インキ組成物を内蔵したボールペン。
- ペン先がボールペンチップであり、該ボールペンチップの少なくとも一部が金属材料より構成されることを特徴とする請求項5記載のボールペン。
- インキタンク内のインキの色を外部より視認することが可能なものである請求項5又は6に記載のボールペン。
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