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JP4746534B2 - 銀ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、銀ナノ粒子の製造方法に関する。本発明にしたがい製造される銀ナノ粒子は、例えば導電性インクの原料として特に好適に用いられる。
本出願人は先に、硝酸銀溶液にEDTA塩を加え、銀とEDTAの錯体スラリーを調製し、このスラリーにホルマリン等の還元剤を加え緩やかに還元反応を起こさせることで微粒銀粉を得る方法を提案した(特許文献1参照)。この方法により得られる微粒銀粉は低凝集性のものである。
特許文献1に記載の方法とは別に、銀微粒子の製造方法として、高分子化合物、還元剤、及び銀塩を溶解してなる溶液を、25℃以上、60℃以下の温度にて撹拌する方法が提案されている(特許文献2参照)。この製造方法においては、高分子化合物としてポリエチレンイミン等が用いられ、還元剤としてアスコルビン酸、アスコルビン酸アルカリ金属塩、ゲンチシン酸、ハイドロキノン、アミノフェノール類、ジハイドロキシナフタレン、アミドール、メトール、フェニドン、没食子酸、プロトカテク酸、ピロガロール、アミノナフタレンが用いられる。この製造方法で得られる銀粒子は板状のものである。
特開2004−100013号公報 特開2005−105376号公報
本発明の目的は、前述した従来技術の製造方法で得られる銀微粒子よりも更に性能が向上した銀微粒子を製造し得る方法を提供することにある。
本発明は、エチレンジアミン四酢酸塩及びポリエチレンイミンの存在下に、銀イオンをホルマリンで還元することを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、粒径がそろった球状の銀ナノ粒子を容易に製造することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の製造方法では、主に水溶液中の銀塩を還元して銀ナノ粒子を製造する。反応は、エチレンジアミン四酢酸塩(以下、EDTA塩ともいう)及びポリエチレンイミン(以下、PEIともいう)の存在下に行う。
EDTA塩としては水溶性塩を用いることができる。例えばそのナトリウム塩などを用いることができる。ポリエチレンイミンとしては、重量平均分子量が400〜100000、特に1000〜10000のものを用いることが、銀ナノ粒子の粒径を均一化し得ると共に、分散性を良好にし得る点から好ましい。
反応液中における銀イオンの濃度は、0.01〜8重量%、特に0.5〜3重量%であることが、得られる銀ナノ粒子の分散性を良好にすることと、工業的生産性を両立できる点から好ましい。なお反応液は銀塩水溶液が好適で、銀イオン源としては水溶性の銀塩を特に制限なく用いることができる。例えば硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、亜硝酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀が用いられる。
EDTA塩及びPEIの量は、銀イオンとの使用量の関係で決定される。EDTA塩に関しては、反応液中に含まれる銀イオンに対して100〜500重量%、特に150〜300重量%用いられることが、銀ナノ粒子の粒径を小さくし得ると共に、分散性を良好にし得る点から好ましい。同様の理由により、PEIに関しては、反応液中に含まれる銀イオンに対して10〜200重量%、特に20〜100重量%用いられることが好ましい。
本製造方法においては、EDTA塩及びPEIの存在下に、銀イオンを還元剤としてのホルマリンで還元する。反応温度は、40〜80℃、特に50〜70℃であることが、還元速度を適度に速くしつつ、粒子の凝集を防止し得る点から好ましい。反応時間は、0.5〜3時間、特に1〜2時間であることが好ましい。
還元剤であるホルマリンは水に希釈した状態で反応液に添加される。添加は一括添加でもよく、逐次添加でもよい。ホルマリンの希釈液の濃度は、1〜37重量%、特に30〜37重量%であることが、銀ナノ粒子を工業的に効率よく生産し得る点から好ましい。ホルマリンの添加量は、銀イオンの量との関係で決定される。詳細には、反応液中に含まれる銀イオンに対して、ホルマリンを40〜100重量%、特に50〜60重量%添加することが好ましい。
ホルマリンの添加によって銀イオンの還元が生じる。この場合、反応液中において、銀イオンはEDTA塩と錯体を形成しているので、銀イオンの還元によって生成する銀ナノ粒子は球状のものとなる。また、ホルマリンは比較的還元性の低い還元剤なので、銀イオンの還元が急速には進行しないので、微粒の銀粒子が生成する。更に、反応系にPEIが共存していることによって、銀イオンは粒径のそろった銀ナノ粒子に還元される。
粒径が一層そろった銀ナノ粒子を首尾良く生成させる観点から、反応液中には、上述したPEIに加えてポリビニルピロリドンも存在させ、PEI及びポリビニルピロリドンの共存下に銀イオンを還元することが好ましい。ポリビニルピロリドンの添加量は、銀イオンの量との関係で決定される。詳細には、反応液中に含まれる銀イオンに対して、ポリビニルピロリドンを10〜100重量%、特に30〜70重量%添加することが好ましい。
ポリビニルピロリドンとしては、重量平均分子量が10000〜500000、特に30000〜100000のものを用いることが、反応液の粘度上昇に起因する銀ナノ粒子の沈降性の悪化を防ぎ、良好な分散性を維持し得る点から好ましい。
上述の操作によって銀イオンが還元されて銀ナノ粒子が生成したスラリーを、静置又は遠心分離して銀ナノ粒子を沈降させる。この場合、沈降を促進させる観点から、生成した銀ナノ粒子を疎水化処理に付することが好ましい。銀ナノ粒子はその微粒のゆえに、通常の状態では沈降に長時間を要する。これに対して銀ナノ粒子を疎水化処理することで、沈降時間の短縮化が図られる。
銀ナノ粒子の疎水化処理には、スラリー中に疎水化剤を添加すればよい。疎水化剤としては、銀ナノ粒子の表面と親和性が良好であり且つ疎水基を有する化合物が用いられる。そのような化合物としては、例えばオレイルアミン、トリオクチルアミン、オクチルアミン等の炭化水素基を有するアミン、オレイン酸、ステアリン酸、デカン酸等の脂肪酸などが挙げられる。これらの疎水化剤のうち、オレイルアミンを用いることが、銀ナノ粒子の分散性を維持したまま、これを凝集沈殿させ得る点から好ましい。
疎水化剤によって銀ナノ粒子を疎水化するときには、疎水化剤の相溶化剤をスラリー中に共存させることが好ましい。相溶化剤の作用によって、疎水化剤が銀ナノ粒子の表面に結合しやすくなり、疎水化を一層首尾良く行い得るからである。相溶化剤としては、エタノール等の低級アルコール(炭素数1〜4)、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類などが挙げられる。相溶化剤の添加量は、疎水化剤に対して100〜10000重量%、特に500〜2000重量%であることが好ましい。
疎水化剤によって疎水化されて沈降した銀ナノ粒子は、例えばデカンテーションによってその上澄み液が廃棄される。その後、必要に応じて溶媒置換や濃縮を行う。更に銀ナノ粒子に所定の成分を配合することで、例えば導電性インクや導電性ペーストが得られる。
銀イオンが還元されて銀ナノ粒子が生成したスラリーに、銀よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、水溶性塩の形態又はイオンの形態で添加することもできる。この操作によってスラリー(水性スラリー)中における銀ナノ粒子の分散性を良好にすることができる。この理由は次のとおりである。水性スラリー中に存在する銀ナノ粒子は、その一部が銀イオンとして水中に溶解し、溶解した銀イオンが再び析出する。この再析出によって銀ナノ粒子の凝集が起こり、スラリーの保存中における銀ナノ粒子の分散性が低下する傾向にある。これに対して、銀ナノ粒子の水性スラリー中に、銀よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、水溶性塩の形態又はイオンの形態で添加することで、スラリー中に該他の金属の固体及び/又はイオンが共存することになり、それによって銀ナノ粒子の溶解が抑制され、ひいては銀イオンの再析出が抑制される。その結果、スラリーの保存中における銀ナノ粒子の分散性を高めることが可能になる。前記の他の金属は、固体の形態、水溶性塩の形態又はイオンの形態の少なくとも一種の形態で、スラリー中に添加することができる。これらの形態の少なくとも二種の組み合わせを用いてもよい。
銀よりもイオン化傾向の大きな他の金属としては、例えばニッケル、銅、鉄、スズ、亜鉛などが挙げられる。これらのうちニッケルや銅を用いることが特に好ましい。銀よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態でスラリー中に配合する場合には、バルク状の形態や、粒子の形態で配合することができる。粒子の形態でスラリー中に配合する場合には、該粒子はナノ粒子でもよく、或いはナノ粒子よりも粒径の大きなものであってもよい。該粒子の粒径は例えば1〜1000μm程度とすることができる。銀ナノ粒子との分離のしやすさを考慮すると、粒子の形態で用いるよりも、水溶性塩の形態及び/又はイオンの形態で用いることが好ましい。
銀よりもイオン化傾向の大きな他の金属の配合量は、それが固体の形態であるか、水溶性塩の形態であるか、イオンの形態であるかを問わず、銀1当量に対して0.01〜10当量、特に0.5〜2当量であることが、スラリー中での銀の溶解を効果的に防止する観点から好ましい。前記の他の金属として銅を用いる場合には、銀1当量に対して銅1当量とは、銀1モルに対して銅を0.5モル用いることをいう。
銀よりもイオン化傾向の大きな他の金属を銀ナノ粒子と分離するためには、例えば該金属を水溶性塩の形態及び/又はイオンの形態で用いる場合には、他の金属のイオンの濃度が所定の値以下となるまで、純水を用いてデカンテーションを繰り返せばよい。該金属を固体の形態で用いる場合には、製造する銀ナノ粒子の100倍以上の粒径を有する大きな粒子又はインゴットを用い、フィルトレーション等によって分離除去すればよい。
本発明においては、銀イオンが還元されて銀ナノ粒子が生成したスラリー中の銀ナノ粒子に対して、先に述べた疎水化処理を施し、その後に該スラリーに、銀よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、水溶性塩の形態又はイオンの形態で添加することができる。或いは、銀イオンが還元されて銀ナノ粒子が生成したスラリーに、銀よりもイオン化傾向の大きな金属を、固体の形態、水溶性塩の形態又はイオンの形態で添加し、その後に、銀ナノ粒子に対して疎水化処理を施してもよい。
このようにして得られた銀ナノ粒子は、その一次粒子の平均粒径が好ましくは5〜100nm、更に好ましくは10〜50nmという微粒のものになる。一次粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって撮影された粒子の写真を用い、個々の粒子のうち最も長い部分の長さを測定し、その平均値を算出することで求められる。
以上の操作によって得られた銀ナノ粒子は、例えば導電性インクや導電性ペーストの原料として好適に用いられる。かかるインクやペーストを用いてプラズマディスプレイパネルやチップ部品、ガラスセラミックパッケージ、セラミックフィルタ等の電子機器の配線回路や電極等を形成することができる。微細な回路や電極を形成するためには、銀粒子が微粒であることや凝集性が低いことが要求されるところ、本発明にしたがい製造された銀ナノ粒子は上述のとおり粒径のそろった微粒のものであり、また凝集性が低いので、前記の要求にまさに合致したものとなる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
1リットルのビーカー中に、硝酸銀10.0g、EDTA4Na塩15.0g、重量平均分子量1800のPEI3.0g及び純水300mlを投入し十分に撹拌した。液温を50℃に保った状態下に、37重量%のホルマリン水溶液100.0gを一括投入し銀イオンの還元反応を行った。反応は、液温を50℃に保ち1.5時間行った。このようにして、銀ナノ粒子のスラリーを得た。TEMによる銀ナノ粒子の一次粒子の平均粒径は28nmであった。
銀ナノ粒子のスラリーに、硝酸銅三水和物(Cu(NO32・3H2O)10.9gを純水100mlに溶解した水溶液を添加して1分間撹拌した。スラリーの温度は50℃に維持した。なお、銅は銀よりもイオン化傾向の大きな金属である。
次いで、エタノール100mlにオレイルアミン0.3gを溶解させた溶液をスラリーに添加して30分間撹拌を行い、銀ナノ粒子の疎水化処理を行った。スラリーの温度は50℃に維持した。
最後に、純水でスラリーのデカンテーションを繰り返し行い、スラリー中の銅イオンを除去した。このようにして得られた銀ナノ粒子のTEM像を図1に示す。図1に示す結果から明らかなように、銀ナノ粒子の粒径は非常に均一であることが判る。また銀ナノ粒子に凝集がほとんど観察されないことも判る。TEM観察とは別に、銀ナノ粒子についてレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.192μm、D50=0.256μm、D90=0.357μmとなり、粒度分布がシャープであることが判った。この結果から、TEM観察の結果が裏付けられた。粒度分布の測定に際しては、前分散として濃度1重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中で5分間超音波分散を行った。
〔実施例2〕
実施例1において、硝酸銅の添加及び疎水化処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして銀ナノ粒子を得た。TEMによる銀ナノ粒子の一次粒子の平均粒径は36nmであった。得られた銀ナノ粒子のTEM像を図2に示す。TEM観察とは別に、銀ナノ粒子について実施例1と同様にレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=1.284μm、D50=5.597μm、D90=13.68μmとなった。
〔実施例3〕
実施例1における疎水化処理において、更にポリビニルピロリドン(重量平均分子量35000)を3.0g添加する以外は実施例1と同様にして銀ナノ粒子を得た。TEMによる銀ナノ粒子の一次粒子の平均粒径は25nmであった。また、銀ナノ粒子について実施例1と同様にレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.178μm、D50=0.230μm、D90=0.297μmとなった。
〔比較例1〕
特開2005−105376号公報(上述の特許文献2)の実施例1に準拠し、以下の手順で銀粒子を調製した。水100重量部に、重量平均分子量1800のPEIを0.3重量部溶解させ、得られた水溶液に硝酸銀を0.024重量部添加して溶解させた。液温を60℃に保持し、還元剤としてアルコルビン酸を0.03重量部添加し、2時間撹拌させながら反応を完遂させた。TEMによる銀粒子の一次粒子の平均粒径は120nmであった。粒子の形状は不定形状であった。また、銀粒子について実施例1と同様にレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.358μm、D50=0.711μm、D90=1.306μmとなった。
実施例1で得られた銀ナノ粒子のTEM像である。 実施例2で得られた銀ナノ粒子のTEM像である。

Claims (3)

  1. エチレンジアミン四酢酸塩及びポリエチレンイミンの存在下に、銀イオンをホルマリンで還元することを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法。
  2. 更にポリビニルピロリドンの存在下に銀イオンを還元する請求項1記載の製造方法。
  3. 銀イオンの還元後に、疎水化剤を添加する請求項1又は2記載の製造方法。
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