JP4771301B2 - タレット刃物台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械の工具の割出し、回転工具の駆動を行うタレット刃物台に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工作機械の工具の割出し、回転工具の駆動を行うタレット刃物台としては、刃物台本体と、前記刃物台本体に回転可能に支持され、かつ回転工具および切削用バイトが周方向に所定間隔をおいて取り付けられたタレットと、タレットを刃物台本体に対して所定の旋回割り出し位置にクランプするクランプ手段と、タレット旋回用電動機と、回転工具駆動用電動機と、タレットを固定するクランプ手段を駆動する油圧駆動機構とを備えており、大きく分けて3つの駆動装置により駆動されていた。しかしながら、近年、工作機械において、油圧駆動機構を廃止し、電動化する技術が提案されている。これは、油圧駆動機構を使用する工作機械においては、圧力油を供給するための油圧装置を常時作動させているため、機器の電力消費量が増大することが主な理由であるが、その他の理由として、油圧装置からの騒音の発生や、油漏れによる作業環境の悪化や、作動油の温度変化により動作速度が変化し刃物台の制御が不安定になるといった問題の発生が挙げられる。さらに、油圧装置や油圧駆動機構自体の温度上昇による加工精度の悪化等を防止するという問題もある。
【0003】
タレットを固定するクランプ手段を駆動する油圧駆動機構を廃止したタレット刃物台として、特開平11−239905号公報に記載されているものが知られている。
【0004】
特開平11−239905号公報記載のタレット刃物台は、刃物台本体に設けられた第1および第2の2つの電動機と、第1電動機の駆動力をクランプ手段に伝達してクランプ手段によるタレットのクランプ、アンクランプを行う第1の伝動手段と、第2電動機の駆動力をタレットに伝達してタレットを旋回させる第2の伝動手段と、第2電動機の駆動力を回転工具に伝達して回転工具を回転駆動する第3の伝動手段とを備えており、これにより油圧機構を使用することなく、タレットのクランプ、アンクランプ、タレットの旋回、および回転工具の回転駆動を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のタレット刃物台では、2つの電動機を使用しているため、タレット刃物台のサイズが大きくなり、ひいては工作機械自体のサイズも大きくなるという問題がある。さらに、2つの電動機を駆動するためのアンプ装置が必要になることから製造コストが上昇するという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決し、タレット刃物台自身およびタレット刃物台を搭載した工作機械の小型化を図りうるとともに、製造コストの削減を実現しうるタレット刃物台を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によるタレット刃物台は、刃物台本体と、刃物台本体に回転可能に支持され、かつ回転工具および切削用バイトが周方向に所定間隔をおいて取り付けられたタレットと、タレットを刃物台本体に対して所定の旋回割り出し位置にクランプするクランプ手段とを備えたタレット刃物台において、
刃物台本体に設けられた1つの電動機と、電動機の駆動力をクランプ手段に伝達してクランプ手段によるタレットのクランプ、アンクランプを行う第1の伝動手段と、電動機の駆動力をタレットに伝達してタレットを旋回させる第2の伝動手段と、電動機の駆動力を回転工具に伝達して回転工具を回転駆動する第3の伝動手段と、第1伝動手段に設けられた第1のクラッチ手段と、第2伝動手段に設けられた第2のクラッチ手段とを備えており、第1クラッチ手段を連結状態とするとともに第2クラッチ手段を切断状態とすることにより、クランプ手段によるタレットのクランプ、アンクランプを行い、第2クラッチ手段を連結状態とするとともに第1クラッチ手段を切断状態とすることにより、タレットを旋回させ、両クラッチ手段をそれぞれ切断状態にして、回転工具を回転駆動するようになされているものである。
【0008】
請求項2の発明によるタレット刃物台は、工作機械の所定の座標軸に沿って移動する刃物台本体と、刃物台本体に回転可能に支持され、かつ回転工具および切削用バイトが周方向に間隔をおいて取り付けられたタレットと、タレットを刃物台本体に対して所定の旋回割り出し位置にクランプするクランプ手段とを備えたタレット刃物台において
刃物台本体に設けられた1つの電動機と、刃物台本体に回転自在に支持されかつ電動機の駆動力により駆動される駆動軸と、駆動軸に同軸上にかつ固定状に設けられた第1の歯車と、駆動軸と平行になるように刃物台本体に回転自在に支持された第1の回転軸と、第1回転軸に同軸上にかつ回転自在に設けられるとともに、第1歯車と噛み合う第2の歯車と、第2歯車と軸方向に間隔をおいて第1回転軸に同軸上にかつ回転自在に設けられるとともに、クランプ手段を作動させる第3の歯車と、第1歯車および第2歯車と軸方向に間隔をおいて第1回転軸に同軸上にかつ固定状に設けられるとともに、タレットを旋回させる第4の歯車と、駆動軸と平行になるように刃物台本体に回転自在に支持された第2の回転軸と、第2回転軸に同軸上にかつ固定状に設けられるとともに、第1歯車と噛み合う第5の歯車と、第2歯車と第3歯車との間に設けられた第1のクラッチ手段と、第1回転軸と第2歯車との間に設けられた第2のクラッチ手段と、第2回転軸と回転工具との間に設けられた第3のクラッチ手段とを備えており、第1クラッチ手段を連結状態とするとともに第2クラッチ手段および第3クラッチ手段をそれぞれ切断状態とすることにより、クランプ手段によるタレットのクランプ、アンクランプを行い、第2クラッチ手段を連結状態とするとともに第1クラッチ手段および第3クラッチ手段をそれぞれ切断状態とすることにより、第1回転軸および第4歯車を回転させてタレットを旋回させ、第3クラッチ手段を連結状態とするとともに第1クラッチ手段および第3クラッチ手段をそれぞれ切断状態とすることにより、第2回転軸の回転により回転工具のみを回転するようになされているものである。
【0009】
請求項1および2の発明によれば、1つの電動機により、所定の旋回割り出し位置でのタレットのクランプ、アンクランプ、タレットの旋回、および回転工具の駆動を行うことができるので、2つの電動機を使用した従来のものに比較して、タレット刃物台の小型化、ひいては工作機械全体を小型化することができる。しかも、2つの電動機およびこれらを駆動するためのアンプ装置の数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明によるタレット刃物台の正面図であり、図2は図1のII−II線断面図であり、図3は図1のIII−III線断面図である。また、図4は図2の要部拡大断面図であり、図5は図3の要部拡大断面図である。なお、以下の説明において、図2の左側を前、右側を後というものとする。
【0012】
図1〜図3において、タレット刃物台は、前後方向に伸びかつ後部が前部よりも大径となされた段付き円筒状貫通穴(101a)を有する刃物台本体(101)と、刃物台本体(101)に旋回自在に支持されたタレット(102)と、タレット(102)を刃物台本体(101)に対して所定の旋回割り出し位置にクランプするクランプ手段と、刃物台本体(101)の上側部分に取り付けられた1つの電動機(119)とを備えている。
【0013】
刃物台本体(101)の貫通穴(101a)内に、その後方から円筒状支持部材(103)が挿入され、支持部材(103)の後端部に一体に形成された外向きフランジ(103a)が刃物台本体(101)の後面における貫通穴(101a)の周囲の部分に固定されている。貫通穴(101a)の内周面と支持部材(103)の外周面との間には所定の大きさの隙間が形成されている。
【0014】
タレット(102)は、前面に複数の工具取付穴(107)が周方向に所定間隔をおいて形成されたタレット本体(102a)と、タレット本体(102a)に一体に形成されて後方に伸び、かつ支持部材(103)内において前後1対の軸受(104)により回転自在に支持された旋回軸部(102b)とよりなる。工具取付穴(107)には回転工具(105)または切削用バイト(106)が取り付けられるようになっている。なお、図1および図2には、1つの回転工具(105)と1つの切削用バイト(106)のみが取り付けられた状態を示している。
【0015】
クランプ手段は、次のように構成されている。刃物台本体(101)の前面における貫通穴(101a)の周囲の部分に、厚肉円筒状部(109)が一体に形成され、厚肉円筒状部(109)の前面における外周側部分に、周方向に間隔をおいて多数の歯(109a)が形成されている。タレット本体(102a)の後面に円環状後方突出部(102c)が一体に形成され、後方突出部(102c)にリング(115)が固定されている。リング(115)の内周側部分(108)は後方突出部(102c)よりも径方向内方に突出しており、その前面は厚肉円筒状部(109)の前面と同一鉛直面上に位置している。リング(115)の内周側部分(108)の前面に、周方向に間隔をおいて多数の歯(108a)が形成されている。支持部材(103)の外側に円筒状部材(112)が前後方向に摺動自在にはめ被せられている。円筒状部材(112)は、キー(170)により、刃物台本体(101)に対して前後方向に移動するが、回転しないようになっている。円筒状部材(112)の外周面は貫通穴(101a)の内周面前端部に摺接する。円筒状部材(112)の前端部に外向きフランジ(110)が一体に形成され、外向きフランジ(110)の後面における外周側部分に、刃物台本体(101)の厚肉円筒状部(109)の歯(109a)およびタレット本体(102a)に固定されたリング(115)の歯(108a)と同時に噛み合う歯(110a)が、周方向に間隔をおいて多数形成されている。円筒状部材(112)の外向きフランジ(110)は、タレット本体(102a)の後面の環状溝(102d)内において前後方向に所定距離移動するようになっており、後退位置においてその歯(110a)が厚肉円筒状部(109)およびリング(115)の歯(109a)(108a)の両者と噛み合い、前進位置においてその歯(110a)と厚肉円筒状部(109)およびリング(115)の歯(109a)(108a)との噛み合いが解除されるようになっている。したがって、円筒状部材(112)が後退位置に来るとタレット(102)が刃物台本体(101)に固定され(クランプ)(図2参照)、前進位置に来るとタレット(102)の刃物台本体(101)への固定が解除される(アンクランプ)(図3参照)。
【0016】
円筒状部材(112)は、次のようにして前後方向に移動させられるようになっている。円筒状部材(112)の周りにおいて、刃物台本体(101)に、軸受(160)を介して円筒状部材移動用歯車(139)が回転自在に支持されている。円筒状部材移動用歯車(139)のボス部における中心貫通穴の内周面と、円筒状部材(112)の外周面との間にはすべりねじ(113)が設けられている。そして、円筒状部材移動用歯車(139)が回転すると、すべりねじ(113)の働きにより、円筒状部材(112)が前後方向に移動させられる。円筒状部材移動用歯車(139)の後端と支持部材(103)の外向きフランジ(110)との間には第1の無励磁式電磁ブレーキ(114)が設けられている。
【0017】
刃物台本体(101)の下端部に、前後方向に伸びる駆動軸(121)が回転自在に支持されている。駆動軸(121)の後端部に固定されたプーリ(122)と、電動機(119)の後方を向いた出力軸に固定されたプーリ(120)とにベルト(123)が掛けられており、電動機(119)の駆動力により、ベルト(123)およびプーリ(120)(121)を介して駆動軸(121)がその軸線の周りに回転させられるようになっている。駆動軸(121)の前部に第1歯車(124)が固定されている。
【0018】
駆動軸(121)の斜め上方において、刃物台本体(101)に、前後方向に伸びる第1の回転軸(117)が回転自在に支持されている。図5に示すように、第1回転軸(117)の周囲に、第1歯車(124)と噛み合う第2歯車(125)が、軸受(136)を介して同軸上にかつ回転自在に取り付けられている。また、第2歯車(125)の前方において、第1回転軸(117)の周囲に、円筒状部材移動用歯車(139)と噛み合う第3歯車(138)が、軸受(137)を介して同軸上にかつ回転自在に取り付けられている。さらに、第1回転軸(117)の前端部にタレット(102)を旋回させる第4歯車(118)が固定されている。第4歯車(118)の歯は、タレット(102)に固定されたリング(115)の外周面に周方向に間隔をおいて形成された多数の歯(116)と噛み合っており、第1回転軸(117)の回転力が、第4歯車(118)およびリング(115)を介してタレット(102)に伝わり、これによりタレット(102)が旋回させられる。第1回転軸(117)の後端と刃物台本体(101)との間に第2の無励磁式電磁ブレーキ(155)が設けられている。
【0019】
回転工具(105)の加工位置の後方において、刃物台本体(101)に前後方向に伸びる第2回転軸(127)が回転自在に支持されている。第2回転軸(127)の後端部に、第1歯車(124)と噛み合う第5歯車(126)が固定されている。
【0020】
第2歯車(125)と第3歯車(138)との間に第1電磁クラッチ(142)が設けられ、第1回転軸(117)と第2歯車(125)との間に第2電磁クラッチ(143)が設けられている。また、第2回転軸(127)と回転工具(105)との間に第3電磁クラッチ(129)が設けられている。
【0021】
図5に示すように、第1電磁クラッチ(142)は、刃物台本体(101)に固定され、かつ軸受(150)を介してロータを兼ねる第3歯車(138)に対して回転自在となされたフィールドコア(145)と、フィールドコア(145)に収容された電磁コイル(144)と、第2歯車(125)の前側に配されるとともにスプライン(148)により第2歯車(125)に連結され、かつ第2歯車(125)に対して前後方向に移動はするが回転はしないアーマチュア(147)と、アーマチュア(147)を後方に付勢するコイルばね(149)とを備えている。第3歯車(138)の後面とアーマチュア(147)の前面との間に、互いに噛み合うつめおよび凹部等からなる噛み合い部(140)が設けられている。
【0022】
同じく図5に示すように、第2電磁クラッチ(143)は、第1回転軸(117)の周囲に、キー(152)により固定されたロータ(151)と、刃物台本体(101)に固定されるとともに軸受(165)を介してロータ(151)に対して回転自在となされたフィールドコア(166)と、フィールドコア(166)に収容された電磁コイル(167)と、第2歯車(125)の後側に配されるとともにスプライン(153)により第2歯車(125)に連結され、かつ第2歯車(125)に対して前後方向に移動はするが回転はしないアーマチュア(154)と、アーマチュア(154)を前方に付勢するコイルばね(168)とを備えている。ロータ(151)の前面とアーマチュア(154)の後面との間に、互いに噛み合うつめおよび凹部等からなる噛み合い部(141)が設けられている。
【0023】
図4に示すように、第3電磁クラッチ(129)は、第2回転軸(127)の周囲にキー(171)により固定されたロータ(132)と、刃物台本体(101)に固定されるとともに軸受(135)を介してロータ(132)に対して回転自在となされたフィールドコア(131)と、フィールドコア(131)に収容された電磁コイル(130)と、ロータ(132)の前側に配されるとともにスプライン(172)により第2回転軸(127)に連結され、かつ第2回転軸(127)に対して前後方向に移動はするが回転はしないアーマチュア(133)と、アーマチュア(133)を前方に付勢するコイルばね(134)とを備えている。アーマチュア(133)の前端面と回転工具(105)の後端面との間に、互いに噛み合うつめおよび凹部等からなる噛み合い部(128)が設けられている。
【0024】
なお、第1〜第3電磁クラッチ(142)(143)(129)は、公知のものであり、詳細な説明は省略する。
【0025】
上記構成のタレット刃物台の動作について説明する。
【0026】
工作機械の停止時には、円筒状部材(112)は後退位置にあり、外向きフランジ(110)の歯(110a)が刃物台本体(101)の厚肉円筒状部(109)およびリング(115)の歯(109a)(108a)に同時に噛み合っており(図2参照)、さらに第1電磁ブレーキ(114)への通電が停止させられることにより、円筒状部材移動用歯車(139)が固定されて円筒状部材(112)が固定されている。また、第2電磁ブレーキ(155)への通電も停止させられており、第1回転軸(117)も固定されている。当然のことながら電動機(119)も停止している。
【0027】
工作機械を作動させ、タレット(102)を旋回させて所定の工具を加工位置に移動させる際は、まず第1電磁ブレーキ(114)に通電して円筒状部材移動用歯車(139)を回転可能とすることで円筒状部材(112)を前後方向に移動可能な状態とする。ついで、第1電磁クラッチ(142)に通電してこれを連結状態とするとともに、電動機(119)を作動させる。このとき、第2および第3電磁クラッチ(143)(129)は切断状態としておく。すると、電動機(119)によりプーリ(120)(122)およびベルト(123)を介して駆動軸(121)が回転させられ、第1歯車(124)と噛み合っている第2歯車(125)が第1回転軸(117)に対して回転し、第1電磁クラッチ(142)の働きにより第3歯車(138)が第1回転軸(117)に対して回転するとともに、第3歯車(138)と噛み合っている円筒状部材移動用歯車(139)が回転する。その結果、すべりねじ(113)の働きにより円筒状部材(112)が前方に移動し、外向きフランジ(110)の歯(110a)と刃物台本体(101)の厚肉円筒状部(109)およびリング(115)の歯(109a)(108a)との噛み合いが解除されて、タレット(102)はアンクランプ状態となる(図3および図5参照)。
【0028】
ついで、第2電磁ブレーキ(155)に通電して第1回転軸(117)を回転可能な状態にするとともに、第1電磁クラッチ(142)への通電を停止してこれを切断状態にし、さらに第2電磁クラッチ(143)に通電してこれを連結状態とする。すると、駆動軸(121)の回転力が第1歯車(124)、第2歯車(125)および第2電磁クラッチ(143)を介して第1回転軸(117)に伝えられ、第1回転軸(117)が回転させられる。その結果、第4歯車(118)が第1回転軸(117)とともに回転し、第4歯車(118)の歯が、タレット(102)に固定されたリング(115)の外周面に形成された歯(116)と噛み合っていることから、第1回転軸(117)の回転力が、第4歯車(118)およびリング(115)を介してタレット(102)に伝わり、これによりタレット(102)が旋回させられる。
【0029】
タレット(102)が所定の割り出し位置まで旋回させられると、まず第2電磁ブレーキ(155)への通電を停止して第1回転軸(117)を固定するとともに、第2電磁クラッチ(143)への通電を停止してこれを切断状態にし、さらに第1電磁クラッチ(142)へ通電してこれを連結状態にする。そして、電動機(119)を、円筒状部材(112)を前進させるときとは逆方向に回転させると、駆動軸(121)の回転力が、第1歯車(124)、第2歯車(125)および第3歯車(138)を介して円筒状部材移動用歯車(139)に伝わり、円筒状部材移動用歯車(139)が回転させられ、すべりねじ(113)の働きにより円筒状部材(112)が後方に移動して後退位置に至る。その結果、外向きフランジ(110)の歯が刃物台本体(101)の厚肉円筒状部(109)およびリング(115)の歯(109a)(108a)に同時に噛み合ってタレット(102)がクランプされる(図2参照)。タレット(102)がクランプされると、第1電磁ブレーキ(114)への通電を停止し、円筒状部材移動用歯車(139)を回転方向に固定することにより円筒状部材(112)を固定する。こうして、タレット(102)が所定の旋回割り出し位置でクランプされる。
【0030】
回転工具(105)による加工をおこなう場合には、回転工具(105)が所定の加工位置にくるように、タレット(102)を上記と同様にして旋回させるとともに、その割り出し位置でクランプした後、第1および第2電磁クラッチ(142)(143)への通電を停止してこれらを切断状態にする。ついで、第3電磁クラッチ(129)に通電してこれを連結状態にする。こうして、回転工具(105)が回転させられ、工作物に対する加工がおこなわれる。
【0031】
上記において、電動機(119)としては、サーボモータを用いることが好ましい。サーボモータには、出力軸の回転位置を検出する回転位置検出器が内蔵されており、絶対位置検出器を使用することで、モータ位置回転の回転位置だけでなく、モータが複数回回転した際の絶対位置検出が可能である。したがって、第1電磁クラッチ(142)の噛み合い部(140)および第2電磁クラッチ(143)の噛み合い部(141)が確実に噛み合う所定位置に、第2歯車(125)を停止させることができる。また、第1回転軸(117)の回転によるタレット旋回角度を正確に決めることができる。
【0032】
上記実施形態においては、クラッチ手段として電磁クラッチを用いているが、これに代えて、工場内で一般的に使用されている空気圧を利用したアクチュエータを備えたクラッチを用いてもよい。
【0033】
さらに、上記実施形態においては、タレット(102)を所定の旋回割り出し位置にクランプするクランプ手段として、前後方向に移動する円筒状部材(112)に一体に形成された外向きフランジ(110)、刃物台本体(101)に形成された厚肉円筒状部(109)、およびリング(115)の3つの部材を利用しているが、これに代えて、特開平11−239905号公報に記載されているように、タレット(102)をタレット軸方向に移動するようにしておき、さらにタレット(102)に環状可動カップリングを固定するとともに、刃物台本体(101)に環状固定カップリングを固定し、タレット(102)の軸方向の移動によりこれらのカップリングが着脱するような構造の、いわゆる2ピースカップリングを採用してもよい。
【0034】
【発明の効果】
上述のように、請求項1および2の発明のタレット刃物台によれば、油圧機構を廃止することで、電力消費量の低減、騒音や油漏れのない作業環境の改善、刃物台の安定制御を図ることができる。また、温度上昇を防ぐことによる加工精度の向上を実現することができる。さらに、1つの電動機によりタレットの旋回動作、回転工具の駆動、およびタレットを刃物台の所定の角度に固定するクランプ動作を行う構成としているので、電動機と電動機駆動アンプの使用数量を減らすことができ、小型化と低コスト化を実現したタレット刃物台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタレット刃物台の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図2の部分拡大断面図である。
【図5】図3の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
(101):刃物台本体
(102):タレット
(105):回転工具
(106):切削用バイト
(108a):歯
(109):厚肉円筒状部
(109a):歯
(110):外向きフランジ
(110a):歯
(112):円筒状部材
(113):すべりねじ
(115):リング
(116):歯
(117):第1回転軸
(118):第4歯車
(119):電動機
(120)(122):プーリ
(121):駆動軸
(123):ベルト
(124):第1歯車
(125):第2歯車
(126):第5歯車
(127):第2回転軸
(129)(142)(143):電磁クラッチ
(138):第3歯車
(139):円筒状部材移動用歯車
Claims (2)
- 刃物台本体と、刃物台本体に回転可能に支持され、かつ回転工具および切削用バイトが周方向に所定間隔をおいて取り付けられたタレットと、タレットを刃物台本体に対して所定の旋回割り出し位置にクランプするクランプ手段とを備えたタレット刃物台において、
刃物台本体に設けられた1つの電動機と、電動機の駆動力をクランプ手段に伝達してクランプ手段によるタレットのクランプ、アンクランプを行う第1の伝動手段と、電動機の駆動力をタレットに伝達してタレットを旋回させる第2の伝動手段と、電動機の駆動力を回転工具に伝達して回転工具を回転駆動する第3の伝動手段と、第1伝動手段に設けられた第1のクラッチ手段と、第2伝動手段に設けられた第2のクラッチ手段とを備えており、第1クラッチ手段を連結状態とするとともに第2クラッチ手段を切断状態とすることにより、クランプ手段によるタレットのクランプ、アンクランプを行い、第2クラッチ手段を連結状態とするとともに第1クラッチ手段を切断状態とすることにより、タレットを旋回させ、両クラッチ手段をそれぞれ切断状態にして、回転工具を回転駆動するようになされているタレット刃物台。 - 工作機械の所定の座標軸に沿って移動する刃物台本体と、刃物台本体に回転可能に支持され、かつ回転工具および切削用バイトが周方向に間隔をおいて取り付けられたタレットと、タレットを刃物台本体に対して所定の旋回割り出し位置にクランプするクランプ手段とを備えたタレット刃物台において刃物台本体に設けられた1つの電動機と、刃物台本体に回転自在に支持されかつ電動機の駆動力により駆動される駆動軸と、駆動軸に同軸上にかつ固定状に設けられた第1の歯車と、駆動軸と平行になるように刃物台本体に回転自在に支持された第1の回転軸と、第1回転軸に同軸上にかつ回転自在に設けられるとともに、第1歯車と噛み合う第2の歯車と、第2歯車と軸方向に間隔をおいて第1回転軸に同軸上にかつ回転自在に設けられるとともに、クランプ手段を作動させる第3の歯車と、第1歯車および第2歯車と軸方向に間隔をおいて第1回転軸に同軸上にかつ固定状に設けられるとともに、タレットを旋回させる第4の歯車と、駆動軸と平行になるように刃物台本体に回転自在に支持された第2の回転軸と、第2回転軸に同軸上にかつ固定状に設けられるとともに、第1歯車と噛み合う第5の歯車と、第2歯車と第3歯車との間に設けられた第1のクラッチ手段と、第1回転軸と第2歯車との間に設けられた第2のクラッチ手段と、第2回転軸と回転工具との間に設けられた第3のクラッチ手段とを備えており、第1クラッチ手段を連結状態とするとともに第2クラッチ手段および第3クラッチ手段をそれぞれ切断状態とすることにより、クランプ手段によるタレットのクランプ、アンクランプを行い、第2クラッチ手段を連結状態とするとともに第1クラッチ手段および第3クラッチ手段をそれぞれ切断状態とすることにより、第1回転軸および第4歯車を回転させてタレットを旋回させ、第3クラッチ手段を連結状態とするとともに第1クラッチ手段および第3クラッチ手段をそれぞれ切断状態とすることにより、第2回転軸の回転により回転工具のみを回転するようになされているタレット刃物台。
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