JP4771626B2 - イオン伝導性接着性多孔質膜とそれを用いて得られる高分子ゲル電解質 - Google Patents
イオン伝導性接着性多孔質膜とそれを用いて得られる高分子ゲル電解質 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
近年、電気化学素子に広く用いられている固体電解質は、固体状態でイオン伝導性の高い物質であって、なかでも、高分子物質を固体として用いる高分子固体電解質は、最近、次世代リチウムイオン二次電池用電解質として、特に、注目されており、世界的に研究が推進されている。このような高分子固体電解質は、従来の電解質溶液に比べて、液漏れのおそれがなく、また、薄膜にすることができる等、その形状も、自由度が大きい。
【0002】
しかしながら、従来、知られている非水系の高分子固体電解質は、電解質溶液に比べて、イオン伝導度が著しく低いという問題がある。例えば、従来、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等の鎖状ポリマーやポリフォスファゼン等の櫛型ポリマー等のポリマー材料を電解質塩と複合化してなる非水系高分子固体電解質が知られているが、従来、伝導度が室温で10-3S/cmを上回るものは見出されていない。
【0003】
例えば、このような従来の固体電解質を用いた電池によれば、固体電解質が液体電解質に比べてイオン伝導度が著しく劣るので、電池が高い内部抵抗を有することとなり、実用的な充放電を行なうことができない。また、電極の形状が充放電等によって変化するような場合には、固体電解質がそのような電極の形状の変化に追随できない結果、電極と電解質との間の接触が不十分となって、充放電することができなくなる。
【0004】
そこで、近年、このような固体電解質のイオン伝導性を改善するために、例えば、固体電解質に可塑剤としてプロピレンカーボネートやγ−ブチロラクトンのような有機溶媒を配合することが提案されている。
【0005】
例えば、J. Electrochem. Soc., Vol. 137, 1657-1658 (1990)には、過塩素酸リチウムを溶解させたプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの混合溶媒よりなる有機電解液をポリアクリロニトリルでゲル化し、シート状とした高分子ゲル電解質が提案されている。特開平11−16579号公報には、ポリアクリロニトリルと電解質塩と非水溶媒とからなる高分子ゲル電解質が提案されている。また、特開平8−298126号公報には、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドをポリマー成分とし、溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いてなる高分子ゲル電解質が提案されている。
【0006】
しかし、このような高分子ゲル電解質は、強度が低いので、フィルム化するためには、厚みを大きくせざるを得ず、その結果、このような高分子ゲル電解質を挟んで電極を設けて電池を組み立てれば、電極間距離が大きく、内部抵抗が高くなり、十分な充放電を行なうことができない。
【0007】
そこで、このような従来の高分子ゲル電解質における強度上の問題を解決するために、特開平11−40128号公報には、電解質溶液を保持することができる高分子物質、例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とポリオレフィン樹脂のような樹脂との混合物を加熱、混練し、シートに成形し、延伸して、多孔質膜とし、これに電解質溶液を含浸させ、ゲル化して、高分子ゲル電解質を得る方法が記載されている。また、特開平11−353935号公報には、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン等のような非水電解質を形成するための非水(有機)溶媒と共にゲルを形成するゲル形成性ポリマーからなる繊維、例えば、ポリアクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体樹脂繊維と、上記溶媒に対して耐性を有する繊維、例えば、ポリオレフィン繊維とからなる繊維構造体を形成し、これを上記非水溶媒にてゲル体を形成させ、かくして、高分子ゲル電解質を得る方法が記載されている。
【0008】
このような高分子ゲル電解質においては、いわば補強材である上記ポリオレフィン樹脂やポリオレフィン繊維によって、得られる高分子ゲル電解質は、フィルム形状においても、比較的高い強度を有するものの、実用的な強度を得るためには、これら補強材を相対的に多く用いる必要があり、その結果、電解質溶液を保持することができる高分子物質やゲル形成性ポリマーの配合割合を相対的に少なくせざるを得ない。従って、このような高分子ゲル電解質においては、これら高分子物質やゲル形成性ポリマーが不完全なゲル体を形成しやすく、その結果、液漏れがないという高分子ゲル電解質の本来的な利点が損なわれるうえに、補強材の存在によって、高分子ゲル電解質が完全な一体性と連続性をもたないので、得られる高分子ゲル電解質のイオン伝導性が低くなる問題がある。勿論、電解質溶液を保持する高分子物質やゲル形成性ポリマーの配合割合を多くすれば、得られる高分子ゲル電解質は、高いイオン伝導性を有するが、強度が弱くなる。
【0009】
更に、従来より知られている高分子ゲル電解質は、一般に、電極に対する接着性を殆どもたない。従って、従来の固体電解質を電極積層型や断面楕円状捲回型の電池に、例えば、セパレータとして用いるとき、電極間の面圧が不均一となり、また、低くなるために、電極間距離を一定に保つことが困難となって、電極間距離が部分的に大きくなることがある。このように、電池において、電極間距離が部分的に大きい場合には、すぐれた電池特性を得ることが困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の高分子ゲル電解質における上述したような問題を解決するためになされたものであって、イオン伝導性と強度を兼ね備えていると共に、それ自体、接着性を有するイオン伝導性多孔質膜、そのための多孔質膜、更に、これらを用いる高分子ゲル電解質とその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーの架橋体と電解質塩とを基材多孔質膜に担持させてなり、それ自体で、20mm幅での180°引き剥がし接着力が0.2N以上の接着性を有するイオン伝導性接着性多孔質膜が提供される。
【0013】
更に、本発明によれば、基材多孔質膜と、(a)ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーの架橋体であって、上記基材多孔質膜に担持されていると共に、有機溶媒にて膨潤せしめられている鎖状ポリマーの架橋体と、電解質塩とからなることを特徴とする高分子ゲル電解質が提供される。
【0014】
また、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒とこの有機溶媒に溶解する電解質塩とからなる電解液を上記接着性多孔質膜に接触させることを特徴とする高分子ゲル電解質の製造方法が提供される。
【0015】
更に、別の方法として、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーと第1の電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、イオン伝導性接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒とこの有機溶媒に溶解する第2の電解質塩とからなる電解液を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させることを特徴とする高分子ゲル電解質の製造方法が提供される。
【0016】
加えて、本発明によれば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーと電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、イオン伝導性接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させることを特徴とする高分子ゲル電解質の製造方法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、接着性多孔質膜は、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーの架橋体を基材多孔質膜に担持させてなり、それ自体で、20mm幅での180°引き剥がし接着力が0.2N以上の接着性を有する。
【0018】
本発明において、上記180°引き剥がし接着力は、JIS Z 0237に準じて、被着体としてステンレス板を用いて測定するものとする。
【0019】
本発明において、基材多孔質膜は、本発明に従って、これを用いて最終的に得られる高分子ゲル電解質を電池、キャパシタ等のセパレータとして用いることを考慮すれば、強度を有すると共に、電解液に溶解せず、耐酸化還元性を有すれば、特に、限定されるものではないが、例えば、超高分子量ポリエチレン樹脂を含むポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が好ましく用いられる。
【0020】
同様に、本発明において、基材多孔質膜は、本発明に従って、これを用いて最終的に得られる高分子ゲル電解質を電池、キャパシタ等のセパレータとして用いることを考慮すれば、特に、限定されるものではないが、空孔率が30〜95%、好ましくは、33〜90%、特に好ましくは、35〜85%の範囲にある。空孔率が低すぎるときは、イオン伝導経路が少なくなり、例えば、得られる高分子ゲル電解質を電池用セパレータとして用いた場合、十分な電池特性を得ることができない。しかし、空孔率が高すぎるときは、基材多孔質膜が強度において十分でなく、十分な強度を有する基材多孔質膜を得るには、膜厚を大きくせざるを得ず、膜厚をこのように大きくすれば、前述したように、得られる高分子ゲル電解質を電池用セパレータとして用いた場合、内部抵抗を高くする。
【0021】
また、基材多孔質膜は、その通気度が1500秒/100mL以下、好ましくは、1000秒/100mL以下であることが好ましい。通気度が高すぎるときは、得られる高分子ゲル電解質のイオン伝導性が低くなり、例えば、得られる高分子ゲル電解質を電池用セパレータとして用いた場合、十分な電池特性を得ることができない。更に、基材多孔質膜は、その針貫通強度が3N以上であることが好ましい。針貫通強度が小さすぎるときは、得られる高分子ゲル電解質を電池用セパレータとして用いた場合、電極間に面圧が加わった際に基材多孔質膜が破断して、内部短絡を引き起こすおそれがある。
【0022】
本発明によれば、このような基材多孔質膜に、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーを担持させた後、加熱や活性エネルギー線の照射等、適宜の手段によって、上記鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体とすることによって、上記鎖状ポリマーの架橋体を基材多孔質膜に担持させてなり、それ自体で接着力を有する接着性多孔質膜を得ることができる。
【0023】
本発明によれば、上記ポリマーは、単独で用いてもよく、また、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0024】
本発明において、上記ポリ(メタ)アクリレートは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びアクリレート/メタクリレート共重合体を含むものとし、上記ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びポリエチレンプロピレンオキシドを含むものとし、また、ポリ(メタ)アクリロニトリルは、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル及びアクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体を含むものとする。本発明によれば、上記ポリマーのなかでも、特に、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド又はポリ(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
【0025】
本発明によれば、上記ポリマーの架橋体を基材多孔質膜に担持させるには、例えば、上記ポリマーを後述するような架橋助剤と重合開始剤と、必要に応じて、増感助剤等と共に、適宜の溶媒、通常、有機溶媒に溶解させ、得られた塗工液を基材多孔質膜に塗布し、又は塗工液中に基材多孔質膜を浸漬した後、加熱し、又は放射線を照射する等の手段によって、上記ポリマーを架橋させて、架橋体とし、次いで、上記有機溶媒を除去すればよい。
【0026】
本発明において、接着性多孔質膜は、このように、ポリマーの架橋体を基材多孔質膜に担持させた結果、基材多孔質膜のすべての空孔中にポリマーの架橋体が充填されたものをも含むものとする。
【0027】
また、本発明によれば、基材多孔質膜に、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーと電解質塩とを担持させた後、加熱や活性エネルギー線の照射等、適宜の手段によって、上記鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体とすることによって、上記ポリマーの架橋体と電解質塩とを基材多孔質膜に担持させてなり、それ自体で接着力を有するイオン伝導性接着性多孔質膜を得ることができる。
【0028】
このようなイオン伝導性接着性多孔質膜も、上記接着性多孔質膜と同様に、それ自体で、20mm幅での180°引き剥がし接着力が0.2N以上の接着性を有する。
【0029】
このように、上記ポリマーの架橋体と電解質塩とを基材多孔質膜に担持させるには、例えば、上記ポリマーと電解質塩と架橋助剤と重合開始剤と、必要に応じて、増感助剤等を適宜の溶媒、通常、有機溶媒に溶解させ、得られた塗工液を基材多孔質膜に塗布し、又は塗工液中に基材多孔質膜を浸漬した後、加熱し、又は放射線を照射する等の手段によって、ポリマーを架橋させて、架橋体とし、次いで、上記有機溶媒を除去すればよい。
【0030】
本発明による高分子ゲル電解質は、基材多孔質膜と、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーの架橋体であって、上記基材多孔質膜に担持されていると共に、有機溶媒にて膨潤せしめられているポリマーの架橋体と、電解質塩とからなる。
【0031】
本発明によれば、上述した接着性多孔質膜やイオン伝導性接着性多孔質膜を用いて、種々の方法によって、上記本発明による高分子ゲル電解質を得ることができる。ここに、本発明によれば、上記電解質塩は、その少なくとも一部が上記有機溶媒中に溶解されていることが好ましい。
【0032】
本発明によれば、第1の方法として、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒とこの有機溶媒に溶解する電解質塩とからなる電解液を上記接着性多孔質膜に接触させることによって得ることができる。 即ち、第1の方法によれば、前述したように、ポリマーの架橋体を基材多孔質膜に担持させた後(即ち、接着性多孔質膜を得た後)、電解質塩を溶解すると共に上記ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒と上記電解質塩とからなる電解液を上記接着性多孔質膜に接触させることによって、高分子ゲル電解質を得ることができる。
【0033】
また、第2の方法として、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーと第1の電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、イオン伝導性接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒とこの有機溶媒に溶解する第2の電解質塩とからなる電解液を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させることによっても、高分子ゲル電解質を得ることができる。
【0034】
第2の方法によれば、上記ポリマーの架橋体と第1の電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後(即ち、イオン伝導性接着性多孔質膜を得た後)、上記ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒とこの有機溶媒に溶解する第2の電解質塩とからなる電解液を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させることによって、高分子ゲル電解質を得ることができる。
【0035】
上記第1又は第2の方法によって、本発明による高分子ゲル電解質を得るにあたって、上記電解液の調製に用いる電解質塩は、特に、限定されるものではなく、前述したイオン伝導性接着性多孔質膜を得るために、基材多孔質膜に担持させるものから適宜に選択すればよい。
【0036】
上記第2の方法においては、基材多孔質膜に第1の電解質塩を担持させて、イオン伝導性接着性多孔質膜とし、次いで、第2の電解質塩を含む電解液によって、このイオン伝導性接着性多孔質膜に第2の電解質塩を担持させるが、ここに、上記第1の電解質塩と第2の電解質塩は、特に、限定されるものではなく、例えば、前述したイオン伝導性接着性多孔質膜を得るために、基材多孔質膜に担持させるものから適宜に選択すればよい。また、第1と第2の電解質塩は、相互に同じでもよく、異なっていてもよい。
【0037】
更に、第3の方法として、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーと電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、イオン伝導性接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させることによって、高分子ゲル電解質を得ることができる。
【0038】
第3の方法によれば、前記ポリマーと電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後(即ち、イオン伝導性接着性多孔質膜を得た後)、上記電解質塩を溶解すると共に上記ポリマーを膨潤させる有機溶媒を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させて、上記ポリマーを膨潤させると共に、好ましくは、上記電解質塩の少なくとも一部を上記有機溶媒中に溶解させることによって、高分子ゲル電解質を得ることができる。
【0039】
即ち、この第3の方法は、第2の方法において用いる電解液に代えて、この電解液のための有機溶媒のみをイオン伝導性接着性多孔質膜に接触させ、電解質塩としては、最初に、イオン伝導性接着性多孔質膜を得るために、基材多孔質膜に担持させたもののみを利用するのである。従って、この第3の方法において用いる上記有機溶媒は、好ましくは、上記第1又は第2の方法において、電解液を調製するために用いた有機溶媒と同じものが用いられる。
【0040】
このように、本発明によれば、前述した接着性多孔質膜やイオン伝導性接着性多孔質膜を用いて、種々の方法によって高分子ゲル電解質を得ることができるが、特に、本発明によれば、上記第2の方法によって、高イオン伝導性を有する高分子ゲル電解質を容易に短時間で得ることができる。
【0041】
本発明によれば、上記接着性多孔質膜、イオン伝導性接着性多孔質膜又は高分子ゲル電解質の調製において、基材多孔質膜への上記ポリマーの担持量は、基材多孔質膜1cm2 当り、通常、0.01〜5mgの範囲であり、好ましくは、0.03〜3mgの範囲である。
【0042】
また、本発明において、上記接着性多孔質膜、イオン伝導性接着性多孔質膜又は高分子ゲル電解質の製造において、上記ポリマーを、必要に応じて、電解質塩と共に、基材多孔質膜に担持させる際に用いる有機溶媒は、上記ポリマーを溶解し、更に、電解質塩を用いる場合には、これを溶解する一方、基材多孔質膜を溶解させなければ、特に、限定されるものではないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゼン、トルエン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等や、また、これらの任意の混合溶媒が好ましく用いられる。
【0043】
他方、上記ポリマーの架橋体を(必要に応じて、電解質塩と共に、)基材多孔質膜に担持させた後、このポリマーの架橋体を膨潤させ、(必要に応じて、更に、電解質塩を担持させて、)高分子ゲル電解質を得るに際して用いる有機溶媒は、上記ポリマーの架橋体を膨潤させることができ、更に、電解質塩を用いるときには、これを溶解することができ、他方、用いる基材多孔質膜を溶解させなければ、特に、限定されるものではないが、非水溶媒、特に、非プロトン性有機溶媒が好ましく用いられる。そのような非水有機溶媒の具体例として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状エステル類を挙げることができ、これらは単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
【0044】
上記有機溶媒に電解質塩を溶解させて、電解液として用いる場合、電解液中の電解質塩の濃度は、特に、限定されるものではないが、通常、0.05〜3モル/Lの範囲であり、好ましくは、0.1〜2モル/Lの範囲である。
【0045】
本発明によれば、イオン伝導性接着多孔質膜において、基材多孔質膜に担持させる電解質塩は、上記ポリマー100重量部に対して、通常、1〜100重量部の割合であることが好ましい。後述するように、本発明による接着性多孔質膜やイオン伝導性接着性多孔質膜から得られる高分子ゲル電解質においても、その電解質塩の担持量は、上記ポリマー100重量部に対して、通常、1〜100重量部の割合とすることが好ましい。
【0046】
本発明において、イオン伝導性接着性多孔質膜や高分子ゲル電解質を得るために、基材多孔質膜に担持させる上記電解質塩は、特に、限定されるものではなく、イオン伝導性接着性多孔質膜やこれから得られる高分子ゲル電解質の要求特性や用途によって適宜に選択すればよいが、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属又は3級若しくは4級アンモニウム塩等をカチオン成分とし、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、六フッ化リン酸、過塩素酸等の無機酸又はカルボン酸、有機スルホン酸、フッ素置換有機スルホン酸等の有機酸をアニオン成分とする塩を例示することができる。
【0047】
本発明においては、電解質塩は、上述したなかでも、アルカリ金属イオンをカチオン成分とし、無機酸又は有機酸、後者では、特に、トリフルオロ酢酸や有機スルホン酸をアニオン成分とする電解質塩が好ましい。そのような電解質塩として、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸アルカリ金属、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム等のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等のヘキサフルオロリン酸アルカリ金属、トリフルオロ酢酸リチウム等のトリフルオロ酢酸アルカリ金属、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のトリフルオロメタンスルホン酸アルカリ金属等を挙げることができる。
【0048】
本発明による接着性多孔質膜又はイオン伝導性接着多孔質膜は、それ自体で接着性を有するので、電池、キャパシタ等の製造に有利に用いることができる。
【0049】
即ち、例えば、本発明による接着性多孔質膜又はイオン伝導性接着性多孔質膜を電極と積層し、又はこの積層物を捲回して、電極をこれら多孔質膜と接着させた後、このような多孔質膜−電極構造体に上記有機溶媒又は電解液を含浸させ、電池、キャパシタ等の仕掛り品を製作した後、適宜の外装体内に組み入れて封口したり、また、上記多孔質膜−電極構造体を適宜の外装体内に組み入れた後、この外装体中に上記有機溶媒又は電解液を注入し、封口する等の方法によって、いわば、その場で、高分子ゲル電解質を形成させ、かくして、本発明による高分子ゲル電解質を用いてなる電池、キャパシタ等を得ることができる。
【0050】
また、例えば、このようにして、電池等を組み立てるとき、電極間の面圧を均一に高くすることができるので、容易に電極間距離を一定に保つことができ、かくして、すぐれた特性を有する電池等を得ることができる。
【0051】
本発明によれば、前記ポリマーの架橋体を得るには、ポリマーと多官能性架橋助剤と有機過酸化物やアゾ化合物等のような重合開始剤を、必要に応じて、増感助剤等と共に、適宜の有機溶媒に溶解し、熱重合や、紫外線、電子線等の活性エネルギー線による光重合によって、ポリマーを上記架橋助剤によって架橋させればよい。しかし、本発明においては、上記多官能性架橋助剤の重合によって三次元網状組織を生成させ、この三次元網状組織中に上記ポリマーのポリマー鎖を取り込ませて、これら二つのポリマー鎖が相互に貫通した構造体とすることができ、本発明によれば、上記ポリマーがこのような構造体を形成するときも、架橋体の生成に含めることとする。
【0052】
本発明によれば、架橋助剤としては、多官能性重合性単量体が好ましく用いられる。このような多官能性重合性単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、オリゴプロピレングリコールジアクリレート、オリゴプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらのなかでは、特に、ポリエチレングリコールジメタクリレートが好ましく用いられる。
【0053】
また、1,3−グリセロールジメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパンジメタクリレート、1,1,1−トリメチロールエタンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1,2,6−ヘキサントリアクリレート、ソルビトールペンタメタクリレート等の脂肪族多価アルコールポリ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0054】
このような多官能性重合性単量体は、通常、ポリマー100重量部に対して、1〜100重量部の範囲で用いられる。架橋助剤の量がポリマー100重量部に対して1重量部よりも少ないときは、ポリマーを十分に架橋させることができず、他方、架橋助剤の量がポリマー100重量部に対して100重量部よりも多いときは、用いるポリマーの特徴が失われる。
【0055】
本発明によれば、このような多官能性重合性単量体は、その50重量%までの範囲で単官能性重合性単量体を含んでいてもよい。このような単官能性重合性単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類や、このほか、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類やビニルエーテル類を挙げることができる。
【0056】
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、従来より知られているものが適宜に用いられる。具体例として、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α, α' −ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。このような有機過酸化物は、その種類にもよるが、通常、ポリマーの0.01〜10重量%の範囲で用いられる。
【0057】
アゾ化合物としては、例えば、アゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、従来より知られているものが適宜に用いられる。具体例としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔N−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2'−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}二塩酸塩、2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス〔2−ヒドロキシメチル)プロピオニトリル〕等を挙げることができる。
【0058】
このようなアゾ化合物は、その種類にもよるが、通常、ポリマーの0.01〜10重量%の範囲で用いられる。
【0059】
紫外線等の活性エネルギー線照射による重合を行う場合には、増感助剤として、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−〔2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル〕ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロイド等のベンゾフェノン類、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類、アジドピレン、3−スルホニルアジド安息香酸、4−スルホニルアジド安息香酸、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)シクロヘキサノン−2,2'−ジスルホン酸(ナトリウム塩)、p−アジドベンズアルデヒド、p−アジドアセトフェノン、p−アジドベンゾイン酸、p−アジドベンザルアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトン、4,4'−ジアジドカルコン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)アセトン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4'−ジアジドスチルベン−2,2'−ジスルホン酸、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパノン−2'−スルホン酸、1,3−ビス(4'−アジドシンナシリデン)−2−プロパノン等のアジド類等が適宜に用いられる。
【0060】
【実施例】
以下に参考例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、用いた基材多孔質膜の物性は、次のように評価した。
【0061】
(厚み)
1/10000mmシックネスゲージによる測定と基材多孔質膜の断面の10000倍走査型電子顕微鏡写真に基づいて求めた。
【0062】
(空孔率)
基材多孔質膜の単位面積S(cm2 )当たりの重量W(g)、平均厚みt(cm)及び基材多孔質膜を構成する樹脂の密度d(g/cm3 )から次式にて算出した。
空孔率(%)=(1−(100W/S/t/d))×100
【0063】
(通気度)
JIS P 8117に準拠して測定した。
【0064】
(突き刺し強度)
カトーテック(株)製圧縮試験機KES−G5を用いて、突き刺し試験を行なった。得られた荷重変位曲線から最大荷重を読み取り、膜厚25μm当たりの突き刺し強度を求めた。針は直径1.0mm、先端の曲率半径0.5mmのものを用い、2cm/秒の速度で行なった。
【0065】
実施例1
メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート重量比50/50、重量平均分子量500000)6重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレート4重量部及び2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05重量部をトルエン90重量部に溶解させて、塗工液を調製した。
【0066】
超高分子量ポリエチレン樹脂(重量平均分子量2.0×106 )からなる基材多孔質膜(膜厚25μm、空孔率40%、平均孔径0.05μm、通気度500秒/100mL、針貫通強度7.0N)を上記塗工液に浸漬した後、2枚のガラス板の間に挟み、不活性ガス雰囲気中、50℃で3時間加熱し、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体を架橋させ、かくして、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体の膨潤ゲルを上記基材多孔質膜に担持させた。これを乾燥し、トルエンを除去して、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体を担持させてなる接着性多孔質膜を得た。この接着性多孔質膜は、それ自体で接着性を有し、180°引き剥がし接着力は1.6N/20mm幅であった。
【0067】
次に、過塩素酸リチウムを1モル/L濃度で溶解させたエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート混合物(容量比1/2)に上記接着性多孔質膜を3時間浸漬して、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体をポリマー成分とする高分子ゲル電解質を得た。その伝導度は、25℃において、7.0×10-4S/cmであった。
【0068】
実施例2
トルエンに代えて、溶剤としてアセトニトリルを用いた以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製した。この塗工液に前記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体とポリエチレングリコールジメタクリレートと過塩素酸リチウムを(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体A+ポリエチレングリコールジメタクリレート)/過塩素酸リチウム重量比=100/15となるように加えて、塗工液を調製した。
【0069】
実施例1と同じ超高分子量ポリエチレン樹脂からなる基材多孔質膜を上記塗工液に浸漬した後、2枚のガラス板の間に挟み、不活性ガス雰囲気中、50℃で3時間加熱し、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体を架橋させ、かくして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体の膨潤ゲルを担持させた多孔質膜を得た。これを乾燥し、アセトニトリルを除去して、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体と過塩素酸リチウムとを担持させたイオン伝導性接着性多孔質膜を得た。このイオン伝導性接着性多孔質膜は、それ自体で接着性を有し、180°引き剥がし接着力は1.8N/20mm幅であった。
【0070】
次に、過塩素酸リチウムを1モル/L濃度で溶解させたエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート混合物(容量比1/2)に上記イオン伝導性接着性多孔質膜を3時間浸漬し、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体を膨潤させ、かくして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体をポリマー成分とする高分子ゲル電解質を得た。その伝導度は、25℃において、8.6×10-4S/cmであった。
【0071】
実施例3
実施例1において、基材多孔質膜として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる多孔質膜(膜厚20μm、空孔率70%、平均孔径1.0μm、通気度200秒/100mL、針貫通強度3N)を用いた以外は、実施例1と同様にして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体を担持させた接着性多孔質膜を得た。この接着性多孔質膜は、それ自体で接着性を有し、180°引き剥がし接着力が2.1N/20mm幅であった。
【0072】
次に、過塩素酸リチウムを1モル/L濃度で溶解させたエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート混合物(容量比1/2)に上記接着性多孔質膜を3時間浸漬し、上記メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体を膨潤させ、かくして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体の架橋体をポリマー成分とする高分子ゲル電解質を得た。その伝導度は、25℃において、1.3×10-3S/cmであった。
【0073】
比較例1
重量平均分子量2.0×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂15重量部と流動パラフィン(40℃における動粘度59cst)85重量部を混合して均一なスラリーとし、これを小型ニーダーに仕込み、温度160℃で1時間、加熱、溶解させ、混練した。得られた混練物を0℃に冷却した金属板の間に挟み、急冷して、5mm厚のゲル状シートを得た。このシートをヒートプレスにて温度120℃で0.8mm厚に圧延し、温度125℃で縦横3.5×3.5倍に同時二軸延伸して、圧延延伸フィルムとした後、これをヘプタンに浸漬して、上記流動パラフィンを抽出除去して、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムを130℃で20分間、熱処理した。総延伸倍率は77倍とした。このようにして得られた多孔質フィルムは、それ自体では、接着性はなく、20mm幅での180℃引き剥がし接着力は0であった。
【0074】
過塩素酸リチウムを1モル/L濃度で溶解させたエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート混合物(容量比1/2)に上記多孔質フィルムを3時間浸漬した後、その伝導度を測定したところ、25℃において、6.0×10-4S/cmであった。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるイオン伝導性接着性多孔質膜は、前記鎖状ポリマーの架橋体と電解質塩とを多孔質膜に担持させてなり、それ自体で接着力を有し、これに前記電解質塩を溶解する溶媒や、又は前記電解質塩を含む電解液を接触させることにより、高分子ゲル電解質を得ることができる。
【0076】
ここに、本発明による上記イオン伝導性接着性多孔質膜は、それ自体で接着力を有するので、例えば、電池、キャパシタ等の製造において、電極と積層し、又は捲回して、電極をこれら多孔質膜に接着させて、多孔質膜−電極構造体を形成した後、高分子ゲル電解質とすることによって、電極間の面圧を均一に高くして、電極間距離を一定に保つことができ、かくして、すぐれた特性を有する電池等を得ることができる。
Claims (13)
- ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーの架橋体と電解質塩とを基材多孔質膜に担持させてなり、それ自体で、20mm幅での180°引き剥がし接着力が0.2N以上の接着性を有するイオン伝導性接着性多孔質膜。
- 鎖状ポリマーがポリ(メタ)アクリレートである請求項1に記載のイオン伝導性接着性多孔質膜。
- 鎖状ポリマーの架橋体が鎖状ポリマーを(ポリ)アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートにて架橋してなるものである請求項1又は2に記載のイオン伝導性接着性多孔質膜。
- 基材多孔質膜が空孔率30〜95%、通気度1500秒/100mL以下、針貫通強度3N以上を有するものである請求項1から3のいずれかに記載のイオン伝導性接着性多孔質膜。
- 基材多孔質膜と、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーの架橋体であって、上記基材多孔質膜に担持されていると共に、有機溶媒にて膨潤せしめられている鎖状ポリマーの架橋体と、電解質塩とからなることを特徴とする高分子ゲル電解質。
- 鎖状ポリマーがポリ(メタ)アクリレートである請求項5に記載の高分子ゲル電解質。
- 鎖状ポリマーの架橋体が鎖状ポリマーを(ポリ)アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートにて架橋してなるものである請求項5又は6に記載の高分子ゲル電解質。
- イオン伝導度が1×10-4S/cm以上である請求項5から7のいずれかに記載の高分子ゲル電解質。
- ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒とこの有機溶媒に溶解する電解質塩とからなる電解液を上記接着性多孔質膜に接触させることを特徴とする高分子ゲル電解質の製造方法。
- ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーと第1の電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、イオン伝導性接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒とこの有機溶媒に溶解する第2の電解質塩とからなる電解液を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させることを特徴とする高分子ゲル電解質の製造方法。
- ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシド、ポリフォスファゼン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリシロキサンから選ばれる鎖状ポリマーと電解質塩とを基材多孔質膜に担持させた後、この鎖状ポリマーを架橋させ、架橋体として、イオン伝導性接着性多孔質膜を得、次いで、上記鎖状ポリマーの架橋体を膨潤させる有機溶媒を上記イオン伝導性接着性多孔質膜に接触させることを特徴とする高分子ゲル電解質の製造方法。
- 鎖状ポリマーがポリ(メタ)アクリレートである請求項9から11のいずれかに記載の高分子ゲル電解質の製造方法。
- 鎖状ポリマーの架橋体が鎖状ポリマーを(ポリ)アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートにて架橋してなるものである請求項9から12のいずれかに記載の高分子ゲル電解質の製造方法。
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