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JP4771666B2 - 導電性酸化錫粉末及びその製造方法 - Google Patents
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JP4771666B2 - 導電性酸化錫粉末及びその製造方法 - Google Patents

導電性酸化錫粉末及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性酸化錫粉末及びその製造方法に関し、詳しくは、プラスチック製品や塗料等に用いられるポリマーに添加してこれらに良好な導電性を付与すると共に、塗料に対する易分散性及び透明性に優れた導電性酸化錫粉末及びその製造方法に関するものである。
プラスチック製品や塗料等には導電性が要求される場合が少なくない。例えば帯電、静電防止機能が要求される薄膜塗料には導電性が要求されている。これらプラスチック製品や塗料等に導電性を付与するためには、プラスチック製品や塗料等に用いられるポリマーに導電性粉末を添加することが知られている。
このようにプラスチック製品や塗料等に導電性を付与する導電性粉末としては、種々知られており、例えば、金属粉末、カーボンブラック又はアンチモン等をドープした酸化錫粉末等が挙げられる。
しかし、これら導電性粉末の中で金属粉末やカーボンブラックをポリマーに添加するとポリマーが黒色になり、その使用用途が限定されるため好ましくない。また、アンチモン等をドープした酸化錫粉末をポリマーに添加した場合、導電性に優れているという利点を有するものの、ポリマーが青黒色に着色するためカーボンブラック等を添加した場合と同様にその用途が限定されると共に、アンチモン自体に毒性が懸念されるため使用が制限される。
これに対し、特許文献1には、実質的に二酸化錫からなり、粒度分布におけるD50の粒径が0.01〜5μm、比表面積が5〜100m/g、体積抵抗率が10−3〜10Ω・cmであり、かつアンチモン等のドーパントを含有しない導電性超微粉二酸化錫が開示されている。この超微粉二酸化錫は、高透明性であり、かつ導電性に優れるものであるとされている。
また、特許文献2(特開2002−29744号公報)には、酸化錫粉末の製造方法として、pH0.5〜pH4の領域で反応させた後、焼成することが記載されている。
特開平6−345429号公報 特開2002−29744号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の微粉二酸化錫は、塗料に対する粉末の分散性が充分ではないという問題がある。以上及び以下において、塗料に対する粉末の分散性を示す用語として「易分散性」を用いることとする。従って、塗料に対する粉末の分散性が良好な場合には「易分散性」に優れる等のように用いる。導電性粉末をポリマーに添加して塗料の用途に供する際には、塗料に対する易分散性は重要な要求特性である。しかも、このような導電性粉末をポリマーに添加して塗料とする場合には、得られる塗膜により高い透明性が要求されてきている。
そして、上記特許文献2に記載の製造方法は、錫塩水溶液とアルカリ溶液を反応させて酸化錫粉末を製造するものであり、この場合にも上記したような塗料に対する易分散性や透明性が充分ではないという問題がある。
従って、本発明の目的は、有害性のあるアンチモン等のドーパントを含まず、ポリマー等に良好な導電性を付与すると共に、塗料に対する易分散性及び透明性にも極めて優れた導電性酸化錫粉末及びその製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、以下に述べる粉体特性を備え、その結果として塗料化した時の塗膜のヘイズ及び表面抵抗が一定値以下である導電性酸化錫粉末及びその好適な製造方法によって、上記目的が達成し得ることを知見し、本発明に到達した。
(導電性酸化錫粉末)
本件発明に係る導電性酸化粉末は、粉粒の凝集状態が容易に解粒し単分散に近づく解粒特性に優れた導電性酸化錫粉末であって、当該導電性酸化錫粉末は、分散処理前の粒度(以下、単に「D50(I)」として表す。)とペイントシェーカーを用いた分散処理後の粒度(以下、単に「D50(II)」として表す。)との比[D50(I)/D50(II)]の値が10.0以上となる解粒特性を備え、且つ、ドーパントを含まないことが主な特徴である。本発明に係る導電性酸化錫粉末は、アンチモン等のドーパントを含まない。アンチモン等のドーパントを含まないことによって、着色の問題や毒性の危惧が生じない。
そして、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、製造直後には粉粒の凝集状態が存在しても、僅かの物理的分散処理を施すことで、容易に凝集状態が解消(これを「解粒」と称している。)し単分散に近づくという性質を備えている。本件発明に於いて、この性質の評価には、ペイントシェーカーを用いている。このペイントシェーカーを用いた評価方法に関しては、実施例中で説明する事とする。本件発明に係る導電性酸化錫粉末は、ペイントシェーカーによる分散処理前の粒度D50(I)と分散処理後の粒度D50(II)との粒度比[D50(I)/D50(II)]の値が10.0以上という粉体特性を備えるのである。このような粉体特性は、塗料を構成する有機溶媒等に対して容易に分散するか否かを決定づけるものであり、粒度比が10.0以上となると塗料中での導電性酸化錫粉末の分散性が急激に改善されるのである。
本件発明に係る導電性酸化錫粉末に限らず、一般的な金属系及び金属酸化物系粉末は、微粒の粉体であるほど、粉粒同士が凝集した二次粒子の状態で製造される傾向が強い。従って、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で得られる粒度D50(I)は二次粒子の粒子径を測定していることとなる。一般的に、粉体の凝集状態が著しいと、塗料の中での分散性に劣り、その塗料を用いて形成した塗膜の膜密度のバラツキが大きくなり、塗膜の表面抵抗も大きくなる傾向にある。
また、粉体の塗料中での分散性を考慮するに、粉体を構成する粉粒が微粒になりすぎて、その粉体の表面エネルギーが大きくなりすぎると、易分散性が得られなくなり、難分散性の粉体となる。従って、もともと微粒の一次粒子により構成された導電性酸化錫粉末の二次粒子を、予め行う分散処理で単分散状態に近づけ過ぎると易分散性が得られなくなるのである。
そこで、本件発明者等は、これらのことを前提に、粒度比[D50(I)/D50(II)]の値が10.0以上となるようにすれば、導電性酸化錫粉末を構成する粉粒が微粒でも、塗料中での易分散性が安定して得られることに想到したのである。このときD50(I)が3.0μm以下であることが好ましい。このD50(I)が3.0μmを超えると分散処理が行いにくくなり、工程の負荷が増大し生産性に劣るものとなるのである。また、より好ましくは2.5μm以下である。D50(I)が2.5μm以下となると分散処理時間等を殆ど一定に保つことで、良好な分散処理が行えるのである。
そして、D50(II)は0.20μm以下であることが好ましいのである。分散処理した後の粒度が0.20μmを超えると、粉粒の一次粒子径が大きいか、若しくは、分散処理が良好に行えていないことを意味するものと言え、塗料中での導電性酸化錫粉末の沈降速度が速くなり、攪拌して塗料中に強制分散させる頻度が多くなり、しかも、塗膜を焼成若しくは固化した後の塗膜表面の荒れも目立つようになるのである。また、D50(II)は0.12μm以下であることがより好ましい。塗膜表面の滑らかさを確保し、同時に良好なヘイズ値が得られるのである。塗料中への易分散性を備える限り、微粒で有ることが好ましく、後述する製造方法によれば、この範囲に含まれる導電性酸化錫粉末が効率よく得られるのである。
ここで、D50(I)及びD50(II)に関する下限値に関して規定していないが、本件発明に係る導電性酸化粉末の粉粒の一次粒子径は、0.01μm〜0.10μm程度のものを基準としている。但し、上述した粒度比は、一次粒子径のサイズが同レベルであれば、一次粒子のサイズによらず、一般的に適用できる概念である。
また、本発明に係る導電性酸化錫粉末は、比表面積が通常1〜300m/g、好ましくは5〜200m/g、さらに好ましくは10〜100m/gである。導電性酸化錫粉末の比表面積が上記範囲にあることにより適度な粘度を維持して樹脂等中に分散し易いものとなる。また、体積抵抗率が通常100Ω・cm未満、好ましくは50Ω・cm未満にあり、体積抵抗が上記範囲にあることにより導電性が高いものとなる。
そして、上述してきた導電性酸化錫粉末を塗料化した時の塗膜のヘイズが5%以下という透明性を確保でき、且つ、表面抵抗が1010Ω/□以下のレベルで安定した低抵抗化を両立させることが出来るのである。更に、後述する製造方法により得られた微粒で塗料に対する易分散性を備える導電性酸化錫粉末を用いると、導電性酸化錫粉末を塗料化した時の塗膜のヘイズが5%以下という透明性を確保し、且つ、表面抵抗が10Ω/□以下という低抵抗化を達成することも可能となる。
(導電性酸化錫粉末の製造方法)
本件発明に係る導電性酸化錫粉末の好適な製造方法は、酸水溶液に、錫酸ナトリウム溶液を添加終了時のpHが5以下となるように徐々に添加して反応させ、生成したスラリーを洗浄、濾過、乾燥後、得られた乾燥粉を粉砕し、次いで非酸化性雰囲気で焼成することを基本的な特徴とする。ここで、酸水溶液に対し、錫酸ナトリウム溶液を添加する手法を採用したのは、酸水溶液と接触する錫量を少量にすることで、得られる酸化錫粉粒の成長速度のコントロールが容易であり、大量の酸化錫粉粒が一挙に発生しないため酸化錫の粉粒の凝集が起こりにくく、凝集しても強固な凝集状態とならず解粒特性に優れ、シャープな粒度分布を持つようになるからである。
この本件発明で言う酸水溶液とは、錫酸ナトリウム水溶液と中和反応を起こすことの出来る硫酸水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液の一種又は二種以上を混合して用いる事が可能である。中でも、硫酸水溶液若しくは塩酸水溶液のいずれかを用いることが、工程安定性、廃液処理の負荷及びコスト的観点から好ましいのである。
本発明の製造方法では、酸水溶液に、錫酸ナトリウム溶液を添加終了時のpHが5以下、好ましくはpHが2〜4、さらに好ましくはpHが2〜3になるように徐々に添加して中和反応を行う。このようにpHを酸性領域としたのは、中性領域〜アルカリ領域では粉粒の凝集が起こりやすくなるのである。このときの添加速度は、5分〜180分の時間をかけて添加する。添加速度が5分未満の場合には解粒特性に優れた導電性酸化錫粉末を得ることが出来ないのである。一方、添加速度が180分を超えた場合には生産性が著しく低下すると同時に、得られる導電性酸化錫粉末の解粒特性が向上することも無くなるのである。また、添加終了時のpHが5を超えると、得られる導電性酸化錫粉末は塗料に対する易分散性に劣ったものとなる。ここに用いられる酸水溶液の酸濃度は、一般的には酸溶液の酸成分濃度が0.02N〜3.00Nであり、また錫酸ナトリウムの濃度が10g/l〜500g/lの範囲で組み合わせて用いることが適当である。この範囲をはずれた場合には、液温、pH変動等の工程変動により生じる影響が大きくなる傾向にあるのである。
上記中和反応における反応温度、すなわち反応溶液の温度は30℃〜90℃である。中和温度が30℃未満の場合には、反応速度が遅く工業的生産性を満足せず、中和温度が90℃を超えると反応速度が速くなり過ぎ製品品質のバラツキが生じやすくなるのである。しかも、30℃〜90℃の範囲でなければ、生成する粉粒の凝集が進行しすぎて良好な解粒特性を維持できなくなるのである。更に、中和反応の工程安定性を考慮し、製品品質のバラツキを最小限にするためには50℃〜80℃の中和温度を採用することがさらに望ましい。
次に、生成したスラリーをリパルプ洗浄、濾過、乾燥する。さらに、得られた乾燥粉を粉砕器で粉砕する。
次いで、粉砕後、非酸化性雰囲気で焼成する。非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気、水素を含有した窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等が挙げられる。このうち、水素を含有した窒素雰囲気は安価であるため好ましい。また、水素を含有した窒素雰囲気の場合、水素の含有量は、通常0.1〜10体積%、好ましくは1〜3体積%である。水素の含有量が上記範囲内であると、酸化錫が還元によりメタル化されるのを防ぎ、酸素欠損をさせ易いため好ましい。
焼成温度は、好ましくは200℃〜1200℃、さらに好ましくは300℃〜800℃であり、焼成時間は、好ましくは5分〜120分、さらに好ましくは15分〜60分である。焼成条件が、上記範囲内にあると、酸化錫が焼結することなく、酸化錫に効率的に酸素欠損を形成させ易いため好ましい。そして、さらに好ましいとして設けた範囲は、酸化錫に酸素欠損を形成させる際の工程安定性に優れるのである。
(導電性酸化錫粉末を用いた塗料)
本発明に係る導電性酸化錫粉末は、例えば、紙、プラスチック、ゴム、樹脂、塗料等に添加してこれらに導電性を付与することができ、特に塗料に添加することにより塗料に対する優れた易分散性及び塗膜透明性を発揮する。また、本発明の製造方法によって、上記導電性酸化錫粉末が工業的規模で安定して得られる。
本発明に係る導電性酸化錫粉末は、ポリマー等に良好な導電性を付与すると共に、塗料に対する易分散性及び透明性に優れ、しかもアンチモン等のドーパントを含まないため、これらに起因する着色の問題や毒性の危惧が生じない。また、本発明の製造方法によって、上記導電性酸化錫粉末が工業的規模で安定して得られる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を具体的に説明する。
溶液温度80℃で硫酸濃度3%に調整した硫酸水溶液2.5リットルに、溶液温度25℃で濃度250g/lの錫酸ナトリウム溶液を、液温(反応温度)を80℃に維持して60分間でpH2.5になるまで徐々に添加して反応させた。
次に、生成したスラリーを温水を用いてリパルプ洗浄した。洗浄終了後は、脱水濾過を行い、ケーキを回収した。次いで、得られたケーキを150℃の雰囲気中に15時間放置して、乾燥させた。得られた乾燥ケーキをフォースミルを用いて粉砕し、得られた粉砕物について水素を2体積%含有した窒素ガスを流通させながら、450℃で90分間焼成を行い、酸化錫粉末を得た。
得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗率、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗料化した時の塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を下記の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
(比表面積):ユアサアイオニクス株式会社製モノソーブを用いてBET比表面積を測定した。
(体積抵抗率):試料粉体を三菱化学株式会社製粉体抵抗測定システムMCP−PD41を用いて500kgf/cmに加圧した状態で、三菱化学株式会社製ロレスタAPを用いて体積抵抗率を求めた。
(分散処理前の粒度):D50(I)は、200ccのサンプル容器に試料0.1gを採り、ここに純水90mlを加え(この段階での溶液pHは試料からの溶出成分により2〜3の範囲となる)、NHOHを用いてpH6.8に調整し、超音波分散機日本精機株式会社製US−300Tにより10分間分散しサンプル液を調製した。測定には、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置である日機装株式会社製マイクロトラックUPAを用いて測定した。
(分散処理後の粒度):D50(II)は、試料粉体2.5g、純水50g、NHOH水にてpH6.8に調整し、ジルコニアビーズφ0.3mmを100g加えたガラス容器(100ml)をペイントシェーカーを用いて分散処理を60分間行い、得られたスラリーのD50を、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置である日機装株式会社製マイクロトラックUPAを用いて測定した。
(表面抵抗):試料粉体を三菱レイヨン株式会社製アクリル樹脂LR167に固形分重量70重量%混合し、これをペイントシェーカーにて1時間分散した後、バーコーターを用いてPETフィルムの上に塗布し、乾燥して厚さ1μmの塗膜を形成し、該塗膜の表面抵抗を三菱化学株式会社製ロレスタHPを用いて測定した。
(ヘイズ):上記表面抵抗に用いた塗膜シートを日本電色工業製ヘーズメーターNDH−1001DPで測定した。
反応温度を60℃とした以外は実施例1と同様にして酸化錫粉末を得た。得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
硫酸濃度4%の硫酸水溶液を用い、かつ錫酸ナトリウム溶液温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして酸化錫粉末を得た。得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
硫酸濃度2%の硫酸水溶液を用い、かつ錫酸ナトリウム溶液温度を60℃とした以外は実施例1と同様にして酸化錫粉末を得た。得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
錫酸ナトリウム溶液温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして酸化錫粉末を得た。得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
硫酸濃度2%の硫酸水溶液を用い、かつ錫酸ナトリウム溶液温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして酸化錫粉末を得た。得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
比較例1
水3.5リットルに錫含有量41重量%の錫酸ナトリウム576gを投入し、錫酸ナトリウムを溶解させた。該溶解液に20%希硫酸を溶解液のpHが2.5になるまで98分間かけて添加して中和した。生成したスラリーを温水を用いて洗浄した。洗浄終了後は、脱水濾過を行い、ケーキを回収した。
次に、得られたケーキを150℃の雰囲気中に15時間放置して、乾燥させた。得られた乾燥ケーキをアトマイザーを用いて解砕し、該解砕物について水素を2体積%含有した窒素ガスを流通させながら、700℃で90分間焼成を行い、酸化錫粉末を得た。
得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
比較例2
錫酸ナトリウム576gに代えて四塩化錫518gを用い、20%希硫酸に代えて水酸化ナトリウム水溶液を用い、中和する際のpHを3.0とした以外は比較例1と同様にして酸化錫粉末を得た。
得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
比較例3
中和する際のpHを4.0とし、焼成温度を500℃とした以外は比較例1と同様にして酸化錫粉末を得た。
得られた酸化錫粉末について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
比較例4
この比較例では、60重量%SnCl溶液3170g(SnO 換算量で1100g)と水1800gとを混合して3.6リットルの第ニスズ塩溶液を得た。また、一方で25%アンモニア水5リットルと水5リットルとを混合して10リットルの中和溶液を得た。これらの両溶液を6000rpmの高速攪拌中の反応糟の槽底に定量ポンプで4分程度の時間で送液した。即ち、第二スズ塩溶液と中和溶液とを一括添加に近い条件で反応させた。このときの、反応槽内のpH値はpH5で安定させた。反応時間は15分程であり、この間の反応槽中の温度は60〜80℃であった。得られたスラリーを反応槽の上部より連続して排出し、濾過し、洗浄し、乾燥させた後、水平環状炉中でNガス流量300ml/minで450℃で2時間焼成し、導電性超微粒二酸化錫を得た。
得られた導電性超微粒二酸化錫について、比表面積、体積抵抗、分散処理前後の粒度D50、分散比及び塗膜特性(表面抵抗及びヘイズ)を実施例1と同様の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0004771666
まず、粒度に関して表1の結果から判断するに、比較例1〜比較例4の分散処理前の粒度(D50(I))の方が、実施例1〜実施例6の分散処理前の粒度(D50(I))よりも小さくなっている。このことは比較例の方が粉粒の凝集状態レベルが低いことを意味していると考えられる。しかしながら、実施例1〜実施例6で得られた酸化錫粉末は、比較例1〜比較例4で得られた酸化錫粉末に比較して、分散処理後の粒度(D50(II))が小さくなっており、分散比が大きくなっている。従って、本件発明に係る導電性酸化錫粉末は、製造された直後には凝集レベルの高い粉体ではあるが、塗料に混合させる際の攪拌等の分散処理に相当する僅かの物理的負荷が加わることで、従来の製品以上の解粒性能を発揮するのである。この結果、本件発明に係る導電性酸化錫粉末を用いて塗料を製造する際に、導電性酸化錫粉末の粉粒が容易に分散する易分散性を得ることができ、その塗料を用いて形成した塗膜の塗膜特性である表面抵抗及びヘイズも低い値を示すのである。
本発明に係る導電性酸化錫粉末及びその製造方法は、導電性の要求される種々の分野、特に導電性と共に高い塗料に対する易分散性及び透明性が要求される塗料の用途に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 粉粒の凝集状態が容易に解粒し単分散に近づく解粒特性に優れた導電性酸化錫粉末であって、
    当該導電性酸化錫粉末は、分散処理前の粒度(以下、単に「D50(I)」として表す。)とペイントシェーカーを用いた分散処理後の粒度(以下、単に「D50(II)」として表す。)との比[D50(I)/D50(II)]の値が10.0以上となる解粒特性を備え、且つ、ドーパントを含まないことを特徴とする導電性酸化錫粉末。
  2. 50(I)が3.0μm以下である請求項1に記載の導電性酸化錫粉末。
  3. 50(II)が0.20μm以下である請求項1又は請求項2に記載の導電性酸化錫粉末。
  4. 塗料化した時の塗膜のヘイズが5%以下、表面抵抗が1010Ω/□以下である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電性酸化錫粉末。
  5. 酸水溶液に、錫酸ナトリウム溶液を添加終了時のpHが5以下となるように5分〜180分の時間をかけて徐々に添加して反応溶液の温度を30℃〜90℃で反応させ、生成したスラリーを洗浄、濾過、乾燥後、得られた乾燥粉を粉砕し、次いで非酸化性雰囲気で焼成することを特徴とする導電性酸化錫粉末の製造方法。
  6. 酸水溶液は、硫酸水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液のいずれか一種若しくは二種以上を混合したものである請求項5に記載の導電性酸化錫粉末の製造方法。
  7. 上記pHが4以下である請求項5又は請求項6に記載の導電性酸化錫粉末の製造方法。
  8. 上記酸水溶液の酸濃度が0.02N〜3Nであり、錫酸ナトリウムの濃度が10g/l〜500g/lである請求項5〜請求項7のいずれかに記載の導電性酸化錫粉末の製造方法。
  9. 上記非酸化性雰囲気が窒素ガス雰囲気であり、上記焼成温度が200℃〜1200℃である請求項5〜請求項のいずれかに記載の導電性酸化錫粉末の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電性酸化錫粉末を含有することを特徴とする塗料。
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