前述のように、発熱用抵抗体を通電しながら加熱して、その上に記録媒体を通過させることにより、記録媒体への記録や消去が行われるため、記録媒体が通常のカードであれば、発熱用抵抗体の長さは56mm程度(カードの全幅)あればそのカードの記録部分の全体を加熱することができる。しかし、産業用の媒体では大きいものも使用されている。さらに、被印刷物の表面にアンダーコートやオーバーコートをする場合など、印刷物に処理を行う場合などでは、その記録媒体にA4サイズやB4サイズなどの大きいものに同時に加熱処理をする必要が出てくる。このような場合、発熱用抵抗体の長さを220〜260mm程度と大きくする必要がある。このような長い発熱用抵抗体を形成すると、両端部に印加する電圧が、たとえば100V程度以上必要となり、駆動用電源として、高電圧用の電源を内蔵することが必要となり、高価になる共に、取扱いも不便になるという問題がある。たとえば発熱用抵抗体1cm2あたり60Wの電力が必要であり、幅2.5mmで50mm長の従来の発熱用抵抗体でも75W/cm2の電力が必要であり、長さがたとえば200mmになると300Wの電力が必要となり、電圧が100V程度必要で1つの駆動源でこの電力を供給するのは非常に過酷になる。
さらに、発熱用抵抗体は、一般的にAgとPdの合金ペーストを塗布して形成されるため、発熱用抵抗体が長くなると、場所によりシート抵抗値が必ずしも安定せず、温度ムラが生じやすくなるという問題もある。また、発熱用抵抗体のシート抵抗自体は均一でも、加熱ヘッドが搭載される機器などにより長い発熱用抵抗体の長さ全体で均一な温度にならない場合もあるという問題がある。また、逆に発熱用抵抗体の全体に亘って均一な温度に上昇させないで、場所により加熱温度を変えたり、部分的に非加熱にしたりする加熱方法を採用したい場合も生じる。
一方、図10に示されるような発熱用抵抗体では、両端部の電極が設けられている部分では、熱伝導がよく、中心部よりも温度が下がりやすく、電極の近傍は加熱用に用いることができない。そのため、このような端部にのみ電極を設ける構造であればその両端部を使用しない構造にすることにより、使用領域の全長に亘ってほぼ均一な温度の加熱ヘッドとすることもできるが、たとえば100mm程度の長い発熱用抵抗体の途中に中継用の電極を設けようとすると、その部分の温度が下がり、使用領域の長さ全体に亘っての均一な温度を得ることができない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、発熱用抵抗体の長さが長くなっても低い電圧の電源で駆動することができると共に、長い発熱用抵抗体の温度が均一にならない場合でも部分的に温度制御をして均一温度にすることができるように途中に中継用の電極を形成しながら、発熱用抵抗体の全長に亘ってほぼ均一な温度にすることができる構造の加熱ヘッドを提供することにある。
本発明の他の目的は、加熱ヘッドの発熱用抵抗体を部分的に加熱して使用したり、部分的に温度を変えたりすることができるようにすることにより、記録媒体の記録または消去を部分的に行ったり、部分的に温度を変化させたりして多様な記録または消去を行うことができる加熱ヘッドの駆動方法を提供することにある。
本発明者は、発熱用抵抗体の両端部に電極を設けると熱伝導による熱の逃げが多くなり、電極部近傍で発熱用抵抗体の温度が下がり、発熱用抵抗体の全長に亘って均一な温度で使用することができないという問題解決するため、鋭意検討を重ねた結果、発熱用抵抗体と電極とを重ね、その重なり部分の電極の形状を工夫することにより、電極近傍の発熱用抵抗体の温度を均一にすることができることを見出して、特願2005−232186号により開示している。本発明者はさらに鋭意検討を重ねた結果、発熱用抵抗体の中間部に電極を設ける場合でも、加熱に用いる帯状の発熱用抵抗体に直接中継用の電極を設けるのではなく、帯状の発熱用抵抗体の側縁から発熱用抵抗体の分岐部を形成し、その分岐部に中継用の電極を接続させることにより、本体である帯状の発熱用抵抗体の温度には何ら異常を来たすことなく中継用の電極を設けることができることを見出した。
本発明による加熱ヘッドは、ヘッド基板と、該ヘッド基板の一面で、該ヘッド基板の長手方向に沿って少なくとも1本形成される帯状の発熱用抵抗体と、該発熱用抵抗体の両端部側にそれぞれ電気的に接続して設けられる第1および第2の電極と、前記発熱用抵抗体の前記両端部側以外の部分に少なくとも1個設けられる中継用の第3の電極とを有し、前記第3の電極が、前記発熱用抵抗体の幅方向の一側壁部に該発熱用抵抗体が分岐して形成される第1の抵抗体分岐部に接続して設けられ、該第1の抵抗体分岐部と対向して、前記一側壁部と反対側の側壁部に前記発熱用抵抗体が分岐して設けられる第2の抵抗体分岐部に接続して中継用の第4の電極が設けられ、該第3および第4の電極が前記発熱用抵抗体の長手方向の中継用の電極とされると共に、該第3および第4の電極間で前記発熱用抵抗体の幅方向に電流を流し得るように形成されている。
前記第3および第4の電極が前記発熱用抵抗体の長手方向でずらして設けられ、該第3および第4の長手方向両側に設けられる電極との間で形成される電流通路が該第3および第4の電極間でオーバラップするように前記第3および第4の電極が形成されても、中継用の電極が設けられることによる温度低下を保障することができる。
前記帯状の発熱用抵抗体の一側壁部に該発熱用抵抗体が分岐して抵抗体分岐部が形成され、該抵抗体分岐部に接続して中継用の電極が設けられ、該中継用の電極が前記一側壁部側に2以上形成されることにより、長い帯状発熱用抵抗体でも、低い電圧で駆動することができると共に、長い帯状発熱用抵抗体を部分的に温度上昇させたり、部分的に温度を変えたりすることができる。分割する1ブロックの発熱用抵抗体の長さは、2.5mm幅のときに50〜60mm程度になるように分割されるのが好ましく、通常の場合、消費電力は約75Wである。
本発明による加熱ヘッドの駆動方法は、ヘッド基板の一面に、該ヘッド基板の長手方向に沿って少なくとも1本の帯状の発熱用抵抗体が形成され、該発熱用抵抗体の両端部に第1および第2の電極を形成し、該第1および第2の電極間に電流を流して加熱することにより、該発熱用抵抗体上を搬送する記録媒体の記録または消去を行う加熱ヘッドの駆動方法であって、前記発熱用抵抗体の長手方向の一側壁に該発熱用抵抗体が分岐して形成される少なくとも1個の第1の抵抗体分岐部に接続して中継用の第3の電極を設け、かつ、第1の抵抗体分岐部と対向する、前記一側壁部と反対側の側壁部に、前記発熱用抵抗体が分岐して設けられる第2の抵抗体分岐部に接続して中継用の第4の電極を設け、該第3および第4の電極が前記発熱用抵抗体の長手方向の中継用の電極とされると共に、該第3および第4の電極間で前記発熱用抵抗体の幅方向に電流を流し得るように形成し、該中継用の電極により分割される前記発熱用抵抗体のそれぞれの温度を別個に制御することを特徴とする。
ここに記録とは、感熱体を発色させること、転写や再転写により画像などを記録するものを含む意味で、本発明では主に転写や再転写で行われる場合が多い。
前記発熱用抵抗体と並置して基板温度測定用抵抗体を設けて該基板温度測定用抵抗体を利用することにより、または前記発熱用抵抗体を利用することにより、前記中継用の電極により分割される長さごとの温度を測定し、該測定温度に基づいて前記発熱用抵抗体の温度を制御することにより、中継用の電極により分割された部分ごとに好みの温度に正確に制御することができる。
また、前記中継用の電極により分割される前記発熱用抵抗体の一部を用いて記録媒体の記録または消去を行う駆動をすることもできる。
さらに、前記発熱用抵抗体の一側壁側に中継用の第3の電極を設け、該一側壁側と対向する他の側壁側に中継用の第4の電極を設け、該第3の電極と第4の電極との間に電流を流すことにより、中継用電極を設ける部分でも温度を均一にしやすい。
本発明の加熱ヘッドによれば、帯状の発熱用抵抗体の中間部に中継用の電極が設けられているため、大型記録媒体用で帯状の発熱用抵抗体が非常に長くなっても、端部の電極と中継用電極との間、または中継用電極間に電圧を印加すればよく、高い電圧を印加しなくても動作させることができる。また、発熱用抵抗体が長くなると、抵抗体自身の均一性や、加熱ヘッドの周囲の環境などにより長さ全体に亘って均一な温度にし難いという問題が生じやすいが、本発明では、全体に均一な電流を流す必要はなく、中継電極間で電流を変えたり、印加時間を変えたりして、温度を均一にしたり、また逆に中継電極により区分される部分ごとに温度を故意に変化させたり、長い発熱用抵抗体の一部だけを加熱して部分的に作動させたりすることもできる。
前述の全長に亘って均一な温度にしたり、部分的に温度を変化させたりする場合には、たとえば帯状の発熱用抵抗体と隣接して基板温度測定用抵抗体を設けたり、発熱用抵抗体を利用し、その温度特性から温度を測定することにより、また、その基板温度測定用抵抗体にも中継用電極を設けることにより、部分的に発熱用抵抗体の温度を制御することができ、全体を均一の温度にしたり、部分的に温度を変化させたりすることができる。
本発明の駆動方法によれば、長い発熱用抵抗体でも、長さ全体に亘って均一な温度に制御したり、部分的な記録や消去を行ったりすることもでき、必要に応じた記録や消去を正確に行うことができる。また、中継用電極間で帯状発熱用抵抗体の幅方向に電流を流すことにより、中継用電極による温度の低下をより一層防ぐことができる。
つぎに、図面を参照しながら本発明の加熱ヘッドおよびその駆動方法について説明をする。本発明による加熱ヘッドは、その一実施形態の平面説明図および端部の断面説明図が図1に示されるように、平面形状がほぼ長方形状のヘッド基板1の一面(表面)に、ヘッド基板1の長手方向に沿って、発熱用抵抗体2が少なくとも1本形成され、その発熱用抵抗体2の両端部側にそれぞれ電気的に接続して、第1および第2の電極4、5が設けられている。この発熱用抵抗体2の両端部側以外の部分に、中継用の第3の電極6、第4の電極7が少なくとも1個設けられ、この第3および第4の電極6、7が、発熱用抵抗体2の幅方向の側壁部に分岐して設けられる第1および第2の抵抗体分岐部21、22に接続して設けられている。なお、図1に示される例では、ヘッド基板1の表面に発熱用抵抗体2と並置して基板温度測定用抵抗体3が設けられ、両端部に温度測定用電極10、11が形成され、第4の電極7を中継点として中継用電極7の両側の温度を測定できるようになっている。
ヘッド基板1は、たとえば長さ約180mm、幅約12mm、厚さ約1.0mm程度の略矩形状板からなり、その材質としてはある程度熱伝導性のあるもの、すなわち熱伝導率が0.5〜30W/K・m程度のもので、使用時の発熱温度条件において耐熱性を有し、発熱抵抗体を設ける面が絶縁性を有するもの、たとえばアルミナ(熱伝導率:21W/K・m)などのセラミックス、石英ガラス(熱伝導率:1.4W/K・m)、ガラス(熱伝導率:0.8W/K・m)などを用いることができる。これは熱伝導率が低過ぎると連続動作をした場合に過熱(オーバーヒート)する危険性があり、熱伝導率が大きすぎると発熱抵抗体2の熱量が逃げやすいからである。この観点から、樹脂系材料、表面に絶縁膜が設けられたステンレスなどからなる金属板、ガラス系材料なども使用することができる。なお、本実施形態では、ヘッド基板1として、アルミナ基板を用い、その裏面側に1mm厚程度のプラスティック断熱層を介在させてAl板などの放熱板に接着されている。温度上昇が要求される場合には、Al板を用いないで、プラスティックのみに接着される。
ヘッド基板1の上面にはガラス層(グレース層)1a(熱伝導率:0.8W/K・m)が0.08mm程度の厚さに設けられ、その上に発熱用抵抗体2が設けられている。グレース層1aは、帯状の発熱用抵抗体2の部分のみに設けられている。発熱用抵抗体2は、たとえばAg+Pd+ガラスなどのペーストを塗布して、焼成することにより形成されている。これにさらにRuO2などを加えたものを使用することもできる。焼成により形成されるAg-Pd合金からなる場合、シート抵抗として100mΩ/Sq〜500mΩ/Sqが得られ(配合、固形絶縁粉末の量、印刷する厚さ、焼成条件などによって異なる)、両者の比率により抵抗値や温度係数を変えることができる。また、導体(電極)として使用する場合、Agが多い程抵抗を低くすることができる。発熱用抵抗体の大きさは、たとえば標準的なもので幅約2.5mm、厚さ約10μmの直線状で、ヘッド基板1の長手方向である長さ方向の両端部に設けられる一対の電極4、5に重なるように印刷形成され、その長さは約56mmで、シート抵抗値が約360mΩ抵抗(全抵抗8Ω程度)、抵抗温度係数を約1500ppm/℃(温度が100℃変化すると抵抗値が15%変化する)に形成されている。しかし、発熱用抵抗体2の発熱特性は、これに限定されず、自由に設定することができるが、発熱用抵抗体2の抵抗温度係数は正に高い方が好ましく、とくに1000〜3500ppm/℃の材料を用いることが、後述する発熱用抵抗体2を用いてその温度を検出して制御したり、熱暴走による過熱を防止したりするのに好ましい。発熱用抵抗体2により直接温度を測定しない場合でも、後述するように、基板温度測定用抵抗体を形成する場合、発熱用抵抗体2と同時に形成することができながら正確な温度を測定しやすい。
抵抗温度係数が正に高いということは、温度が上昇すると抵抗値の増加が大きいことであるから、発熱させた状態における抵抗値測定により基準抵抗値からのずれにより実際の発熱温度の検出を容易に精度よく行え、印加電圧を調整し、または印加パルスのデューティを調整することにより所望の発熱温度からのずれを修正しやすくなる。また、抵抗温度係数が正であることにより、温度が上昇し過ぎた場合に抵抗値が増大して電流値が下がり、抵抗による発熱量が下がるため、より早く温度が飽和状態となり、高温時の温度安定性に優れているからであり、熱暴走などによる過熱を防止できるからである。なお、発熱用抵抗体2の幅も前述の例に限定されず、用途に応じて設定され、複数本並列に並べてもよい。
また、発熱用抵抗体2の両端部には、たとえばパラジウムの比率を小さくした銀・パラジウム合金やAg-Pt合金などの良導電体からなる第1および第2の電極4、5が印刷形成されている。この第1および第2の電極4、5は、ヘッド基板の表面、側面および裏面を利用して配線基板の端子に接続され、外部電源と接続される構造になっている。なお、後述する第3および第4の電極6、7も全く同様に同時に形成される。
図1に示される例では、この帯状の発熱用抵抗体2の中間部で、その両側に若干離間して中継用の第3および第4の電極6、7が前述の第1および第2の電極4、5と同様に銀・パラジウム合金やAg-Pt合金などの良導電体により形成されており、その第3および第4の電極6、7上に重なるように、発熱用抵抗体2の側壁から分岐して形成された第1および第2の抵抗体分岐部21、22が設けられている。この第3および第4の電極6、7は、発熱用抵抗体2の長さが長くなる場合に、その両端部の一対の(第1および第2の)電極4、5間に電圧を印加して駆動すると、発熱用抵抗体2の長さが長くなるほど抵抗値が大きくなり、同じ電流で発熱させるためには印加電圧を高くしなければならず、長い発熱用抵抗体2には駆動電源に電圧の高い電源が必要となり、取扱い上非常に不便となる。そのため、中継用の電極を設けることにより、長い発熱用抵抗体2を分割してそれぞれに電圧を印かし得るようにするものである。この場合、直接発熱用抵抗体2に中継用電極を形成すると、その電極部分で温度が下がり、発熱用抵抗体2の全体に亘って均一な温度分布の加熱ヘッドを得ることができなくなる。
そこで、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、中継用電極を直接発熱用抵抗体2に接続しないで、発熱用抵抗体2の側部から発熱用抵抗体2を分岐して延出させた第1および第2の抵抗体分岐部21、22を形成し、その抵抗体分岐部21、22に中継用電極である第3および第4の電極6、7を接続させることにより、本体の発熱用抵抗体2の温度を均一に維持しながら、第3および第4の電極6、7と第1または第2の電極4、5との間に電圧を印加することにより、その半分程度の長さの発熱用抵抗体として動作させることができながら、全体を継ぎ目による温度低下など温度変化を来たすことなく、一定の温度にすることができることを見出した。
すなわち、図2(a)に発熱用抵抗体2とその両端部および中間部に設けられる第1および第2の電極4、5と第3および第4の電極6、7の部分のみを示す概略図が示されるように、第3および第4の電極6、7の上を覆うように重ねて発熱用抵抗体分岐部21、22を形成することにより、たとえば図2(a)に示されるように、第3および第4の電極6、7をアースとして、第1および第2の電極4、5にそれぞれ+V1、および+V2の電圧を印加すると、図2に直線および矢印A、Bで示されるように、発熱用抵抗体2に電流が流れ、中継用の第3および第4の電極6、7の近傍部分でも、発熱用抵抗体2は均一な温度を維持することができる。この場合、発熱用抵抗体2の幅が広い場合には、第3および第4の電極6、7の対向する部分の発熱用抵抗体2の中心部(図2(a)のP部)では電流が流れ難く、温度が下がりやすくなる場合があるが、その場合の対策に関しては後述する。
図2に示される例では、第3および第4の電極6、7は、それぞれ発熱用抵抗体2の側壁近傍まで設けられ、グレース層1aは、発熱用抵抗体2の中心部で、第3および第4の電極6、7の方向での断面説明図が図2(b)に示されるように、本体の発熱用抵抗体2の下側のみに設けられ、抵抗体分岐部21、22の下側には設けられないで、第3および第4の電極6、7が設けられている。しかし、第3および第4の電極6、7は、発熱用抵抗体2から若干離間して形成されることもできる。こうすることにより、帯状の発熱用抵抗体2の温度を均一化させるのに都合がよい場合がある。すなわち、たとえば図3(a)に示されるように、この離間距離gが設けられることにより、発熱用抵抗体2と第3の電極6との間隙部の抵抗体分岐部21でも発熱し、前述のP点での温度低下を補うことができる。しかし、間隙gが余り長くなると好ましくなく、0〜1mm程度空けるのが好ましかった。なお、図3において、(a)以外の図も第4の電極側の図は省略されているが、第3の電極6側と同様の構成になっている。この場合、その離間した部分の抵抗体分岐部21、22の下側にもグレース層を設けることができる。
なお、この離間する間隔gは、発熱用抵抗体2の幅や抵抗値や第3および第4の電極6、7の大きさ、熱伝導率などによって異なり、それらの状況に応じて、発熱用抵抗体2への影響の少ない寸法に設定される。さらに、図3(b)に示されるように、抵抗体分岐部21の幅を第3の電極の幅w(標準的な寸法として、第3および第4の電極および抵抗体分岐部21、22の幅は、発熱用抵抗体2の幅とほぼ同じにしてあり、この例では2.5mm幅にしてある)よりも拡げる(w+2h)と、同様にこの広げられた抵抗体分岐部21の部分で発熱して、前述のP点での温度低下を補償することができた。この片側に広げる幅hは、やはり0〜1mm程度が好ましかった。また、電流は、図2(c)に示されるように、電流の流れる方向の電極の一番近い部分に集中しやすいため、たとえば図2(d)に示されるように、第3および第4の電極6、7の中心部で尖らせる形状にしたり、図3(c)に示されるように、第3および第4の電極6、7を細くしたりすることにより、温度不均一を抑制することができる。この細くする幅sは、電流を中心まで導くという観点からは、細いほど良いが、余り細くなると第3の電極6での電流密度が上昇して耐圧上の問題が出てくるため、狭くする場合でも、前述の標準的な幅2.5mmの場合に1〜2mm程度に抑えることが好ましい。しかし、第3および第4の電極6、7を厚く形成して電流容量を確保することができればこの限りではない。
この第1および第2の抵抗体分岐部21、22は、発熱用抵抗体2を形成する際に同時に形成することができ、その長さdは、第3および第4の電極6、7との重なり部分が、たとえば発熱用抵抗体2(抵抗体分岐部)の幅が2.5mm程度の場合、2〜2.5mm程度になるように形成されればよく、dは2.5〜3mm程度になるように形成される。また、第1および第2の抵抗体分岐部21、22の幅wは、第3および第4の電極6、7の幅と同程度に形成され、前述のように、共に小さいほど中心部Pでの温度低下を防止することができるため好ましく、1.5〜2.5mm程度に形成される。
基板温度測定用抵抗体3は、発熱用抵抗体2のできるだけ近くのヘッド基板1表面の温度を検出するのが目的であるため、温度係数が大きい抵抗体で、ヘッド基板1上に発熱用抵抗体2と並置して設けられ、その両端に温度測定用電極10、11が設けられている。この基板温度測定用抵抗体3は、図4で後述する分圧抵抗31の抵抗値と同程度にすることが感度の点から好ましく、一方でそれ自身が発熱して温度が上昇することは好ましくないため、基板温度測定用抵抗体3および分圧抵抗31の抵抗値は大きくして、また、分圧抵抗31は温度係数の小さいものが望ましい。その結果、基板温度測定用抵抗体に電極を接続しても温度の影響は無く、前述の温度測定用電極以外にも温度測定用電極を形成することが可能で、細かく温度測定をすることができる。基板温度測定用抵抗体3は、発熱用抵抗体2と同じ材料で形成されてもよいが、好ましくはできるだけ温度係数の絶対値(%)が大きい方(正でも負でもよい)が好ましい。この基板温度測定用抵抗体3は、たとえば0.3〜0.5mm幅程度で、発熱用抵抗体2に沿って、またはその一部近傍に設けられ、たとえば50Ω程度に形成され、基板温度測定用抵抗体3自身は発熱しないよう印加電圧が低く抑えられて5V程度が印加される。すなわち、この基板温度測定用抵抗体3はヘッド基板1上に薄い層で設けられているため、その温度はヘッド基板1と殆ど同じで、基板温度測定用抵抗体3の温度を測定することにより、ヘッド基板1表面の温度を推測することができる。
基板温度測定用抵抗体3は、発熱用抵抗体2と同じ材料であれば、印刷などにより形成する場合、発熱用抵抗体2と同時に形成することができるため製造上の観点からは好ましい。しかし、測定温度の精度を必要とする場合には、AgとPdの混合比率を変えたものや、全く別の材料で温度係数の大きいものを用いることもできる。同じ材料でも厚さや焼成温度を変えることにより特性を変えることができる。また、異なる材料を用いれば、基板温度測定用抵抗体3を500Ω程度に形成することができる。
なお、図示されていないが、発熱用抵抗体2や基板温度測定用抵抗体3の上には、磨耗および異物付着によるショートを防止するため、たとえばガラスなどからなる保護層が一般的には設けられる。本実施形態では、図示しないがガラス層(熱伝導率:1W/K・m)が0.01mm厚程度設けられている。
基板温度測定用抵抗体3の温度を検出するには、たとえば図4に示されるように、温度検出用抵抗体3の両端(図1に示されるように、中継用電極などで分断される場合には、その電極間に分割される部分の両端部)に分圧抵抗31を介して直流またはパルスの電源32を接続する。温度検出用抵抗体3は、前述のように、できるだけ温度係数の大きい材料(たとえば1000〜3500ppm/℃)が用いられ、分圧抵抗31は、温度の変化するヘッド基板1と離れた場所に設けられるため、殆ど温度変化はないが、環境温度の変化の影響を受けなくするため温度係数が小さい方が好ましい。具体例としては、たとえば基板温度測定用抵抗体3の抵抗値を50Ω程度で、分圧抵抗31の抵抗値を50Ω程度にして、電源に5V程度の直流電源を用いることができる。
このような構成で、基板温度測定用抵抗体3の両端電圧を測定し(V検出)、その電圧の変化を求めることにより、温度の変化を計算してその時点での温度検出用抵抗体3の温度を求めることができる。すなわち、温度検出用抵抗体3は、温度により抵抗値が一定の割合で変化する温度係数を有しており、その温度係数は予め測定することにより(材料により定まるが、成分により異なるので測定により正確に求める)分っている。そのため、前述のように、基板温度測定用抵抗体3と直列に分圧抵抗31を接続し、その両端に電源32が接続されて、一定の電圧が印加されることにより、基板温度測定用抵抗体3の温度が変化すると、その抵抗値が変化して電流が変化する。分圧抵抗31の抵抗値は変化しないため、基板温度測定用抵抗体3の両端電圧は、その抵抗体3の抵抗変化に応じて変化する。その電圧変化により、基板温度測定用抵抗体3の抵抗値がわかり、温度係数から変化前の温度に対する温度の変化量を知ることができ、その時点での基板温度測定用抵抗体3の温度を知ることができる。
なお、温度検出用抵抗体3の両端により電圧変化を測定している(V検出)が、これは温度変化により両端電圧の変化割合が大きい方が精度よく検出できるためで、分圧抵抗31の両端電圧を測定しても温度変化を検出することはできる。電極を設けたところは抵抗成分があっても電圧は正確に測定することができる。
前述の例では、発熱用抵抗体2とは別に基板温度測定用抵抗体3を設けて温度測定を行ったが、基板温度測定用抵抗体3を設けないで、発熱用抵抗体2を用いて同様に分圧抵抗を電源との間に直列に接続することにより、直接発熱用抵抗体2の温度を測定することができる。さらに、発熱用抵抗体2は、それ自身で発熱させることが目的であるため、発熱用抵抗体2の抵抗が分圧抵抗より遥かに大きい抵抗となるように形成され、たとえば発熱用抵抗体2の抵抗が8Ωで、分圧抵抗31が0.22Ω(電流が多くても電力を消費しないように小さく設定される)になるように形成されると共に、印加する電圧も24V程度と高い電圧が印加されるようになっている。そのため、抵抗の小さい側である分圧抵抗により電圧検出(V検出)が行われるが、発熱用抵抗体2の両端の電圧を検出することもできる。
なお、発熱用抵抗体2を用いて温度測定をする場合、発熱用抵抗体2をパルス駆動する場合には、パルスの通電時間中は温度測定をすることができるが、オフの際には測定することができない。したがって、パルスに同期させてオンの際のみに測定することになるが、実際の発熱用抵抗体の温度はオン・オフの平均の温度になり、オン時のみの測定では、平均温度より高くなるので、その分を考慮する必要がある。
図示されていないが、この加熱ヘッドは、放熱板などに接着して用いられる。この放熱板は、ヘッド基板1をしっかりと保持しながら、連続して使用されても、発熱用抵抗体2の温度が上昇し過ぎないで、常に安定した温度を維持させ得る機能を有するものが用いられる。また、加熱ヘッドの用途により、急冷したい場合には、たとえばアルミニウム板(熱伝導率:221W/m・K)、鉄板(熱伝導率:83W/m・K)などの熱伝導率の大きい材料からなる放熱板に直接貼り付けて用いられ、蓄熱させて急加熱させたい場合には、断熱材を介して金属板に貼り付けて用いられる。この断熱材としては、耐熱性が必要となり、1mm厚程度のガラスエポキシ樹脂板が用いられる。さらに、図示されていないが、放熱板の側面には、プリント基板などからなる配線基板が設けられ、前述の各電極が配線などを介して導出され、電源を接続すれば稼動できる構造になっている。
前述の図1に示される例では、発熱用抵抗体2の側壁の両側に中継用の電極として第3および第4の電極6、7が接続されていたが、発熱用抵抗体2の幅が小さい場合などでは、両側に設けられないで、片側に1個だけの中継用電極が設けられてもよい。また、量産品で温度分布などがすでに把握できている場合や、発熱用抵抗体を用いて温度測定をする場合などでは、基板温度測定用抵抗体3は無くても構わない。さらに、中継用電極を設ける構造に関しても、前述の例には限定されない。中継用電極の他の形成例について、以下に説明をする。なお、図5〜6の図面においても、図2と同様に、発熱用抵抗体2および電極が示されているだけで、ヘッド基板や基板温度測定用抵抗体などは省略してある。
図5に示される例は、前述の図2で説明したように、発熱用抵抗体2の幅が広い場合などでは、第3および第4の電極6、7の対向する発熱用抵抗体2の中心部(図2、3のP点)では電流が流れなくて温度が下がる場合があり得る。このような問題を解決する例で、第3および第4の電極6、7間に電流を流し得る構成にされている。すなわち、第1および第2の電極4、5には、それぞれ+V1、+V2(両者の抵抗値や設定温度などが等しければ同じ電圧になる)、第3の電極6をアースにすることは前述の例と同じであるが、この例では、第4の電極7に−V3の電圧が印加されている。この電圧V3は、たとえば発熱用抵抗体2の幅が2.5mmであれば、1.2V程度と、V1、V2の24V程度(印加時間を変えてエネルギーを変える場合がある)に比べて非常に小さく、第1および第2の電極4、5から第3および第4の電極6、7に流れる電流A、Bには殆ど影響しない程度であるが、第3および第4の電極6、7間には電位差が生じるため、第3の電極6から第4の電極7に向けて電流Cが流れる。その結果、発熱用抵抗体2の中心部Pの温度も上昇し、殆ど全面を均一な温度にすることができる。
図6は、発熱用抵抗体2の両側側壁側に設けられる第3および第4の電極6、7を対向させて設けるのではなく、長手方向に若干ずらして設けられている。図6に示される例では、抵抗体分岐部21、22の半分程度ずらしてある。そして、第1の電極4と第3の電極6との間に電圧V1を印加し、第2の電極5と第4の電極7との間に電圧V2を印加する構成にされている。その結果、第1の電極4から第3の電極6に流れる電流通路Aと、第2の電極5から第4の電極7に流れる電流通路Bとは、第3および第4の電極6、7間でオーバラップする構成にされている。その結果、第3の電極6と第4の電極7との間には、両方の電流が流れ、中継用の第3および第4の電極6、7が設けられることによる温度低下を補償することができる。
図7に示される例は、中継用電極が発熱用抵抗体2の1つの側壁側に設けられる個数が1個に限らず、発熱用抵抗体2の長さに応じて、何個でも設けられることを示す例である。図7に示される例では、一方の側壁側に2個の中継用電極が設けられた例で、第5および第6の電極8、9が第3および第4の電極6、7と同様に設けられている。この第5および第6の電極8、9も第3および第4の電極6、7と同様に、発熱用抵抗体2の側壁に設けられた第3および第4の抵抗体分岐部23、24と接続するように設けられている。この場合、発熱用抵抗体2の中間部は第3および第4の電極6、7と第5および第6の電極8、9との間に印加される電圧により加熱される。さらに中継用電極が形成されても同様である。
なお、電圧の印加は、たとえば前述の例と同様に、第3および第4の電極6、7と第2の電極5をアースにして、第1の電極4と第5および第6の電極8、9との電位を24Vにすれば24Vの電源で駆動することができるが、発熱用抵抗体2のバラツキなどにより温度が一定にならない場合には、第5および第6の電極8、9に印加する電圧を24Vからずらし、さらに第2の電極5をアースではなく、0に近いプラスまたはマイナスの電位にすることにより調整することができ、ブロックが多くなっても同様に調整することができる。なお、パルス駆動の場合には、電圧を一定にしておいて、デューティサイクルを変えることによっても調整することができる。
図8には、図1に示される構造に、さらに補助発熱用抵抗体12が設けられた例が示されている。すなわち、補助発熱用抵抗体12は、発熱用抵抗体2と同じ材料で、ほぼ発熱用抵抗体2と平行で、ほぼ0.3〜0.7mm程度の間隔を空けて設けられている。この補助発熱用抵抗体12は、たとえばその幅を約0.5mm程度と発熱用抵抗体2の1/5程度の幅に形成すれば、抵抗は発熱用抵抗体2の5倍程度となり、同じ電圧を印加した場合、消費電力は発熱用抵抗体2の20%程度となり、加熱に対してもその程度の割合で寄与する。しかし、この補助発熱用抵抗体12の幅や、その抵抗は自由に設定することができ、発熱用抵抗体2の補助のみならず、代用として使用することもできる。また、補助発熱用抵抗体12は、1本に限らず、複数本設けることもできる。また、図8に示されるように、この補助発熱用抵抗体12も、両端の電極13、14の他に中継用電極6、7で中継することもできる。もちろん、この場合も抵抗体分岐部を介して中継用電極6、7を形成することが温度の均一性を維持するために好ましいが、補助発熱用抵抗体の場合は、なくても構わない。
長いヘッドで発熱用抵抗体2が長くなると、とくに局部的な温度ムラが生じやすいので、図8に示されるように中継用電極6、7と第1および第2の電極4、5との間に、それぞれさらに少なくとも1個の(図8に示される例では、長手方向の発熱用抵抗体2を4分割するように)中継用の電極が設けられ、補助発熱用抵抗体12用および基板温度測定用抵抗体3の中継電極15、16、17、18が設けられることが好ましく、さらに細分化することもできる。
このような補助発熱用抵抗体12が設けられ、中継用電極6、8がたとえば2箇所形成された場合に、この補助発熱用抵抗体12と本来の発熱用抵抗体2とのブロックごとに印加電力を調整し得る電源電圧の印加方法が図9に示されている(図9においても、第4および第6の電極側を省略してある)。すなわち、図9に示される電源はパルス駆動の例で、そのデューティサイクルを変えることにより印加電力を調整して温度の均一化を図るもので、たとえば第3の電極6を0Vにして、第1の電極4および補助用電極13をそれぞれ別々のデューティサイクルで切り替えて24V電源に接続することができるようにし、さらに第5の電極8のところも補助用電極8a、8bとそれぞれ切り替えて24V電源に接続することができるようにし、第2の電極5は0Vまたは変更し得るように形成されている。このような構成にすることにより、温度を測定しながらマイコン制御で区間ごとにデューティサイクルを変えて温度を調整することができ、全体を均一な温度に制御することができる。
なお、前述の各例では、発熱用抵抗体2の幅が2.5mmの例で説明したが、発熱用抵抗体2の幅は、目的に応じて種々の寸法のものが用いられ、その幅が異なると前述の各例が異なる場合がある。
本発明の加熱ヘッドを用いれば、帯状の発熱用抵抗体2の長手方向に沿って中継用の電極が形成されているため、発熱用抵抗体2を分割して電圧を印加することができ、発熱用抵抗体が長くなっても低い電圧で駆動することができるのみならず、細かく分割して部分的に温度が均一にならない場合でも部分的に印加電圧を調整して均一な温度にすることができるし、さらに種々の駆動方法を用いることができる。すなわち、前述のように構成される発熱用抵抗体2の中継用の電極(第3および第4の電極6、7)により分割される発熱用抵抗体のそれぞれの温度を別個に制御することができる。たとえば図1に示される構造の発熱用抵抗体2の第3および第4の電極6、7の左側を110℃程度にして白濁型リライトカードの消去をしながら、右側の発熱用抵抗体2の温度を140℃程度にしてロイコ染料型カードの消去をすることにより、多機能化することができる。
このように温度を部分的に変化させる場合に限らず、全体を均一温度にする場合でも、図1に示されるように、発熱用抵抗体2と並置して基板温度測定用抵抗体3を設け、その基板温度測定用抵抗体3により、中継用の電極6、7により分割される長さごと、またはさらに分割した発熱用抵抗体2ごとの温度を測定し、その測定温度に基づいて発熱用抵抗体2の温度を制御することにより、中継用の電極により分割された部分ごとに好みの温度に正確に制御することができる。
さらに、中継用の電極6、7により分割される発熱用抵抗体2の一部を用いて記録媒体の記録または消去を行う駆動をすることもできる。
このように、本発明によれば、発熱用抵抗体2が長くなっても低い電圧で駆動しながら全体を均一の温度に制御することができるし、部分的に温度を上昇させて駆動したり、部分的に異なる温度で駆動したり、部分的に温度制御をしながら全体を均一温度にすることができる。