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JP4772722B2 - 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法に関するものである。
乗用車やバス、トラックなどの輸送機械類の部品には高強度鋼板が広く用いられている。そのうち、板厚が比較的厚く、意匠性が必ずしも重要視されないような用途には熱延鋼板が採用されることが多い。こうした用途に用いられる熱延鋼板には、高延性、および高伸びフランジ性が求められる。
延性の向上を追及した高強度の鋼板としては、いわゆるDP鋼やTRIP鋼のような複相組織鋼が知られている。しかし、それらの鋼を高延性ならしめている機構は、伸びフランジ性には劣化要因となるものである。そのため、高強度鋼板の延性を大きく損ねることなく伸びフランジ性を高めるための開発が進められている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1には所定の化学成分を有し、ベイニティック・フェライトを主たるミクロ組織とすることで、引張強度が500N/mm級以上で伸びフランジ性に優れた熱延鋼板を得るための技術が開示されている。特許文献2には、所定の化学成分を有し、グラニュー・ベイニティック・フェライトまたは/およびベイニティック・フェライトを主たるミクロ組織とすることで、著しく伸びフランジ性に優れた熱延鋼板を得るための技術が開示されている。
近年、鋼板の特性の向上に応じて高強度熱延鋼板の適用範囲が広がり、更にフランジ成形性に対する要求も厳しくなってきた。例えば、バーリング加工においては、フランジアップする前の打抜き穴(下穴という。)の形状が、従来のような単純なものからより複雑なものへと変化している。バーリング加工が複雑になることによって、顕在化してきた成形上の不具合の原因として、下穴の打抜きクリアランスが不適切であったことが考えられる。
鋼板の伸びフランジ性(穴広げ性)は、下穴の打抜きクリアランスの影響を受けることは広く知られており(例えば、非特許文献1参照)、最適クリアランスが存在し、その範囲より小さくても大きくても劣化する場合が多い。しかし、特許文献1および2には、打抜きクリアランスが変化した場合の伸びフランジ性に関する記載はない。
また、6、7段の多段連続圧延機で圧延を行う場合、最終パスの圧延率はそれ以前のパスの圧延率に比べて小さくして操業されるのが一般的である(例えば、非特許文献2参照)。しかし、この文献には圧延率と伸びフランジ性との関係についての記載はない。
特開平6−172924号公報 特開2001−20030号公報 薄鋼板成形技術研究会編、「プレス成形難易ハンドブック(第2版)」、1997年7月、日刊工業新聞社発行、p.473 桂寛一郎著、「圧延技術」、1974年10月、日刊工業新聞社発行、p.101
従来、可能な限りクリアランスが最適範囲となるよう打抜き工具(金型)が設計されていた。しかし、下穴の形状が複雑になってくると、単純な形状の場合には問題とならなかった工具の僅かな位置ズレが問題になる。また、多段階のプレスを連続して行うトランスファープレス成形では、打ち抜き工程の前工程において設計通りの形状ができないという問題が生じることがある。これらの場合にクリアランスが適正範囲を外れ、バーリング加工性が低下するという事態が少なからず発生している。
こうした不具合は、成形工程の管理を相当厳しくすればそれなりに解消できるものであるが、生産効率が低下し、コストの上昇を招く。そのため、打抜きクリアランスが変化した場合でも伸びフランジ性が変動し難い鋼板が要望されている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法を提供するものである。なお、本発明の「伸びフランジ性に優れた」とは、打抜きクリアランスの変動に対して伸びフランジ性の変動が小さいことを意味する。
本発明は、化学成分と製造条件を適切に制御し、打抜きクリアランスの変動に対する伸びフランジ性の変化の程度が小さい鋼板を製造する方法であり、その要旨は、以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C:0.03〜0.08%、
Si:1.0%以下、
Mn:1.2〜2.0%、
P:0.02%以下、
S:0.01%以下、
Al:0.01〜0.05%、
N:0.01%以下、
Nb:0.03〜0.5%、
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片を熱間圧延し、該熱間圧延の最終圧延パスを、850〜950℃の温度、圧延率15〜25%で、圧延トルク[kN・m]と、圧延荷重[kN]と、圧延ロール半径[m]が下記(式1)を満足する条件で行い、引き続き、20℃/秒未満の冷却速度で700〜800℃まで緩冷却することを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
0.20≦圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])≦0.35・・・(式1)
(2) 質量%で、Ti:0.05〜0.2%を含有することを特徴とする上記(1)に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
(3) 質量%で、B:0.0001〜0.0030%を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
(4) 熱延鋼板の板厚が2〜7mmであることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
(5) 上記(1)に記載の緩冷却後、20〜70℃/sで急冷し、600℃以下で巻取ることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明の熱延鋼板は、打抜き加工時のクリアランスが多少変動してもその後の伸びフランジ成形性に及ぼす影響が小さいので、例えば頻繁な金型の調整など生産性の低下をもたらす作業を大幅に減らすことができ、製造歩留の向上も期待できるなど、産業上の貢献が顕著である。
打抜きクリアランスを変化させると、穴広げ性(穴広げ限界値;λ)が変化する原因として、打抜き断面の形状変化(ダレやバリの大きさの変化など)、打抜き面の粗さの変化、および、穴周辺の加工硬化程度変化などが知られている。本発明者らは、これらのうち、穴周辺の加工硬化の変化の重要性に着眼した。
本発明者らは、一般的に伸びフランジ性に優れることが知られているベーニティック・フェライト鋼板を用いて、穴広げ試験を行い、穴広げ前の下穴の打抜きクリアランスと穴周辺の加工効果の変化、更に、穴広げ性との関係を詳細に調査した。すなわち、打抜きを受けた穴周辺の硬さを、穴の中心線を含む断面について二次元的に測定して等硬さ線図を作成し、打抜きクリアランス、二次元的な硬さ(加工硬化)形態(分布)、およびλの関係を検討した。
その結果、破断面の到達硬さはクリアランスの増加に応じて低くなるが、λには直接には関係せず、λの変化はむしろ、剪断面の硬さ形態の影響を受けることを知見した。この原因については、バリをダイ側(外周側)とした穴広げ変形では、バリ近傍は最も強く変形を受け、亀裂の発生と進行が最も進む部位であることから、多少の硬化程度の差異はλに影響を及ぼさず、硬化程度がバリ近傍に比べて低いダレ近傍(剪断面側)の硬化程度の差異がλにより強く影響するからではないかと推測した。
更に、より多くの熱延鋼板を調査対象とし、剪断面側の二次元的な加工硬化形態が打抜きクリアランスによる影響を受け難いものがないかを調べた。その結果、化学成分としてはNbを含有しているもの、また熱延条件としては、最終の圧延パスにおいて圧延反力(荷重)が相対的に高い場合で、かつ最終パス後の冷却速度が比較的遅い場合にそうした傾向が顕著であるとの結論に到った。
本発明はこうした検討を更に進めて望ましい化学成分と熱延冷却条件を明らかとしたものである。
以下にそれらの限定理由を述べる。
まず化学成分の限定理由について説明する。
Cは鋼板の強度を確保する上で必須の元素であり、ベーニティック・フェライト相、あるいはベーナイト組織を得るためには0.03%以上が必要である。一方、過剰に含有されていると、延性の低下が著しく、溶接性の劣化も懸念されるため、0.08%を上限とする。
Siは固溶強化元素として有用であり、必要に応じて添加できるが、1.0%超では表面性状が劣化する恐れが生じるので、同値を上限とする。
Mnは、ベーニティック・フェライト相、あるいはベーナイト組織を得る条件を緩和する働きを有するので、1.2%以上添加する。しかし、過剰な添加は溶接性に悪影響を与えるので2.0%を上限とする。
Pは鋼板の強度確保に有用である反面、靭性を低下させる。そこで0.02%を上限とする。
SはMnSなどの介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させるので0.01%以下にする必要がある。
Alは脱酸元素として有用であり、0.01%以上を添加する必要がある。しかし、0.05%超となると、鋼板の清浄度が低下して、伸びフランジ性を低下させることが懸念されるので、同値を上限とする。
Nは非時効性の確保のために抑制されるべき元素であるが、0.01%までは許容できる。
Nbは本発明において最も重要な元素である。第一に、オーステナイト相の未再結晶領域を拡大し、後述する熱延条件の適切な範囲を広げる働きを有する。また、Nと窒化物を形成して非時効性の確保を容易為らしめる働きも有する。こうした働きは0.03%以上で発現し、一方0.5%超では、コストに見合った効果が得られなくなるので同値を上限とする。
TiはTiSを形成してMnSの生成を抑制する効果を有するほか、結晶粒を微細化する働きも有するので必要に応じて添加できる。その効果は0.05%以上で発現し、一方0.2%超では、コストに見合った効果が得られなくなるので同値を上限とする。
Bはベーニティック・フェライト相、あるいはベーナイト組織を安定的に生成させる働きを有するので、必要に応じて添加できる。その効果は0.0001%以上で発現するが0.0030%超では延性を著しく劣化させるので0.0030%を上限とする。
なお上記以外の残部は、Fe、および不可避的不純物である。
次に熱延条件について述べる。
鋳造した鋼塊を直接圧延してもよいし、再加熱して圧延してもよい。粗圧延の条件は特に限定しない。
6、7段の多段連続圧延機で圧延を行う場合、最終パスの圧延率はそれ以前のパスの圧延率に比べて小さくして操業されるのが一般的である。これは、各圧延機を通過する圧延材の体積が一定であること加えて、製品板厚(精度)に及ぼすロールギャップ(変動)の影響は後段になるほど漸増するためである。例えば、圧延材温度の変動、すなわち変形抵抗の変動などに対して必要な板厚精度を確保して圧延するためには軽圧延率とすることが有利である。また疵発生など表面品位を損ねる可能性を低減し、形状安定性を高める目的でも軽圧延が選択される。
本発明の技術は、一般には軽圧延率で操業される最終パスにおける圧延率に着目し、圧延トルク、圧延荷重[kN]、ロール半径[m]を検討し、最適範囲を明らかとすることですることで打抜きクリアランスの変動に対してλの変動が小さい鋼板が得られることを明らかとしたものである。
具体的には、仕上げ圧延するに際し、最終圧延パスを、0.20≦圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])≦0.35、圧延率15〜25%の条件で行い、850〜950℃の温度で完了させ、引き続き、20℃/秒未満の冷却速度で700〜800℃まで冷却する。以上の条件が満足されると、打抜きクリアランスの変動に対してλの変動が小さい鋼板が得られる。こうした条件は実施例にて説明する実験結果に基づいて決定されたものである。
詳細は実施例で説明するが、図1に示すように、剪断変形による歪みを適切に導入するためには、圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])を0.2以上とすることが必要である。一方、圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])が0.35超であっても、0.2〜0.35の場合と同等の効果が得られるものと推測されるが、ロールの磨耗軽減や、圧延材の表面品位を劣化させないために0.35以下に限定する。
そのメカニズムは現在のところ明らかではないが、オーステナイト相の未再結晶領域に相当する850〜950℃の温度域で、圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])が0.2〜0.35で圧延率15〜25%の圧延を行うと、鋼板の表層、および表層直下の領域に剪断変形による歪が導入される。更に、最終パス後に緩冷却(20℃/秒未満)されると、剪断変形による歪みが導入された領域の面方位が何らかの特有な集積形態を形成することで、他の条件の場合よりも加工硬化形態の打抜きクリアランス依存性が鈍感になるのではないかと推察している。
最終圧延パスの完了温度が950℃超では、結晶粒が粗大に成り過ぎて優れた伸びフランジ性が得られない。同温度が850℃未満の場合と、パス後の冷却速度が20℃/秒以上の場合には加工組織が残存するため、やはり優れた伸びフランジ性が得られない。これらも、熱延条件を限定した理由である。
なお、700〜800℃まで緩冷却した後も同じ冷却速度で冷却してもよいが、生産性を考慮して、20〜70℃/秒で冷却し、600℃以下で巻き取ることが望ましい。
圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])は圧延材の定常部(噛み込み始めと終わりを除いた部分)において0.2〜0.35とし、更に、潤滑剤の噴射量(または/および圧延油濃度)を制御することが好ましい。潤滑剤は、好ましくは温度20〜70℃の水を主として、これに熱間圧延油を添加したものを用いる。熱間圧延油は、ロールの磨耗と肌荒れ抑制を主眼に鉱油系、ポリマー系、グリース系などを選択することが出来るが、最終圧延パス以外の仕上げ圧延ロールに使用しているものと同じでもよい。例えば粘度(40℃)が100〜150mm/秒の鉱油を圧延材の単位面積当たり0.1〜1ml/m供給する方法が採用出来る。
潤滑剤の噴射はウォーターインジェクション方式が噴射量の均一性と制御応答性から望ましい。
ワークロールにはハイスロール、またはニッケルグレンロールを用い、表面粗度を中心線平均粗さ(Ra)で0.05〜5μmの範囲に管理することが望ましい。
仕上げ圧延後の板厚を2〜7mmとする。板厚が7mm超では、ミクロ組織が板厚方向に極めて不均一となり、好ましい特性が得られない恐れがある。一方、2mm未満では、緩冷却を行うことが容易ではなくなる恐れがある。そこでこのように限定する。
最後に鋼板のミクロ組織について述べる。
λの絶対値を高位にするためには、ベーニティック・フェライト相、ポリゴナル・フェライト相、またはベーナイト組織とすることが望ましい。これらを複合させたものでもよい。パーライト組織や、セメンタイトが含まれていてもよい。
質量%にて、C:0.04%、Si:1.0%、Mn:1.45%、P:0.01%、S:0.001%、Al:0.03%、N0.0025%、Nb:0.24%を含有し残部が、Fe、および、不可避的不純物からなる鋼塊を溶解鋳造し、熱間圧延にて板幅1260mm、板厚3.2mmの鋼板とした。再加熱温度は1250℃、30mmまで粗圧延した後、6パスの仕上げ圧延を行った。仕上げ圧延の最終パス(6パス目)の条件は、ロール半径0.31[m]、圧延率20%、完了温度910℃とし、圧延後14℃/秒の平均冷却速度で720℃まで冷却し、更に45℃/秒の平均冷却速度で550℃まで冷却し、巻き取った。
最終パスにおいては、70℃の温水と市販の熱間圧延潤滑油(協同油脂(株)製キュードールHS−40B)を種々の割合で混合した潤滑剤を、ウォーターインジェクション方式で上下のワークロールの板道(被圧延材が通過する幅)を完全に含む領域に噛み込み側から均一に噴射し、圧延荷重を制御しつつ圧延を行った。
圧延トルク[kN・m]と圧延荷重[kN]を計測し、圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])を求めた。圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])の変動幅が±0.25%以内の連続した領域を採取し、その中央値の条件の試験材とした。表1に、圧延荷重[kN]と圧延トルク[kN・m]を条件毎に示す。
得られた鋼板を酸洗した後、穴広げ試験に供した。試験は日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001に準拠して行った。初期穴径はパンチ径を10.0mmに固定し、穴径の異なるダイを用いることでクリアランスを調整した。クリアランス(%)は、(ダイ内径(mm)−10.0)/(2×板厚(mm))×100で定義し、7.0%、12.5%、18.8%、および20.3%を実行した。打抜き後、穴広げを行い、亀裂が板厚を貫通した時点で拡径を終了し、内径の変化から穴広げ限界値λを求めた。
打抜きクリアランス(%)と穴拡げ限界値λ(%)の関係を各条件毎に整理して図1に示す。図1から、条件1〜5の内で、圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])を0.2(条件3)以上とすることで打抜きクリアランスの変化に対するλの変動が小さくなることが明らかである。表1に条件1〜5を示す。
Figure 0004772722
質量%にて、C:0.035%、Si:0.75%、Mn:1.5%、P:0.005%、S:0.0004%、Al:0.03%、N:0.0015%、Nb:0.28%を含有し残部が、Fe、および、不可避的不純物からなる鋼塊を熱間圧延にて、板幅1000mm、板厚3.0mmの鋼板とした。再加熱温度は1250℃、30mmまで粗圧延し、6パスの仕上げ圧延に供した。仕上げ圧延のパス・スケジュールを調整して最終パスの圧延率を7.5〜25%の範囲で変化させた。表2に示すように圧延荷重を制御することで、定常部における圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])を0.27とした。完了温度は880℃とし、圧延後12℃/秒の平均冷却速度で700℃まで冷却し、更に50℃/秒の平均冷却速度で500℃まで冷却し、巻き取った。ロール半径は0.31[m]である。
実施例1と同様の方法で打抜きクリアランスを、7.5%、12.5%、20.0%、および21.7%と変化させてλの変動状況を調べた。ここで、λの最大値と最小値の差をλの平均値で除した値を変動係数と定義し、変動係数と最終パスの圧延率の関係を整理すると図2の結果が得られた。図2から、最終パスの圧延率を15%以上とするとこで、変動係数が大幅に低下し、すなわち打抜きクリアランスの変化に対するλの変動が小さくなることが明らかである。
Figure 0004772722
表3に記載の化学成分を有する鋼塊を溶解鋳造し、表4に記載の条件で板幅820mm、板厚2.6mmの鋼板とした。最終パスの圧延は、半径0.31[m]のロールを用いて圧延率25%で行い、圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])が0.35となるように圧延荷重を制御した。
Figure 0004772722
Figure 0004772722
得られた鋼板のλを打抜きクリアランスを8.7%、12.5%、19.2%、および25.0%と変化させて測定し、変動係数を調べた。表5にそれらの結果を示す。同表には、最終パスの圧延トルクと圧延荷重、およびJIS5号試験片(引張方向を圧延方向と垂直に採取)にて求めた、引張強さ(σB)と伸び(δ)も併せて示した。
Figure 0004772722
表5から明らかなように、本発明の化学成分と、熱延条件を満たす鋼板であれば、λが大きく(打抜きクリアランス12.5%の値を記載した)、変動係数が小さい、すなわち、打抜きクリアランスの変化に対するλの変動が小さい。
なお、熱延条件(表4)において、再加熱温度、仕上げ圧延の最終パス完了温度、および、巻取り温度をそれぞれ、SRT、FT、およびCTと表記する。また、最終パス後の最初の冷却速度をCR1、次の冷却速度をCR2、CR1からCR2に変化させる温度をMTと表記する。1種類の冷却速度でFT、CT間を冷却する条件の場合には、MT、およびCR2欄に「−」を記載した。
打抜きクリアランスと穴広げ限界値λの関係を表1記載の条件毎に示すグラフである。 最終パスの圧延率と変動係数の関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.08%
    Si:1.0%以下
    Mn:1.2〜2.0%
    P:0.02%以下
    S:0.01%以下
    Al:0.01〜0.05%
    N:0.01%以下
    Nb:0.03〜0.5%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片を熱間圧延し、該熱間圧延の最終圧延パスを、850〜950℃の温度、圧延率15〜25%で、圧延トルク[kN・m]と、圧延荷重[kN]と、圧延ロール半径[m]が下記(式1)を満足する条件で行い、引き続き、20℃/秒未満の冷却速度で700〜800℃まで緩冷却することを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
    0.20≦圧延トルク[kN・m]/(圧延荷重[kN]×ロール半径[m])≦0.35・・・(式1)
  2. 質量%で、
    Ti:0.05〜0.2%
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  3. 質量%で、
    B:0.0001〜0.0030%
    を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. 熱延鋼板の板厚が2〜7mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  5. 請求項1に記載の緩冷却後、20〜70℃/sで急冷し、600℃以下で巻取ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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