以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の樹脂製タンクを適用した貯湯タンク10は、貯湯システムにおいて、ガスなどを用いる熱源によって沸かした湯水を貯めるために用いられる耐圧・耐熱容器である。貯湯タンク10は、脚部11を介して設置されている。タンク底部の入口部12には、図示しない熱源によって沸かした湯水をタンク内に導入する配管13が接続され、タンク頂部の出口部14には、貯溜した湯水を必要な箇所まで導出する配管15が接続されている。入口部12および出口部14は図示例の位置に限定されるものではなく、タンクの側壁など適宜の位置に設けることができる。貯湯タンク10の仕様は特に限定されるものではないが、一例を挙げれば、例えば、容量100リットル、耐圧力1.77MPa、使用温度約95℃である。
図2をも参照して、タンク壁面部16は、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層21と、ポリアミド樹脂からなり内層21の外方に設けられる外層22と、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり内層21と外層22との間に位置する中間層23とを有する多層構造体20から構成してなる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は硬質であるものの、他の部品に組み込むときにキズが付いたり、ゆがみが生じたりしていると、比較的脆く、亀裂が進行して破損しやすくなる。そのため、本発明の第1の実施形態の貯湯タンク10にあっては、内層21を保護するために、ポリアミド樹脂からなる外層22を内層21の外方に設けてある。
ポリアミド樹脂は、優れた強靭性、耐衝撃性を有しているので、内層21を保護するための外層22に適用して好適である。すなわち、外層22の外面においてキズまたは亀裂が生じても、そのキズまたは亀裂が進行することがなく、外部衝撃から長期に亘って内層21を保護することができる。
しかし、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層21と、ポリアミド樹脂からなる外層22とは接着し難い。そこで、中間層23を設けることによって、内層21と中間層23との間の接着強度、および外層22と中間層23との間の接着強度を確保して、多層構造体20全体の強度を高めることができる。換言すれば、同じ強度を得るためには、中間層を設けない場合に比べて、内層や外層の厚さ寸法を小さくすることができ、貯湯タンクの小型化・軽量化を一層図ることができる。
以下、多層構造体20を構成する内層21、外層22、中間層23について詳述する。
内層21の厚さ寸法、中間層23の厚さ寸法、および外層22の厚さ寸法は、要求される耐圧力、満足すべき断熱性能ないし保温性能に応じて適宜の寸法を採用し得る。中間層23の厚さ寸法はさらに、要求される剥離強度に応じて適宜の寸法を採用し得る。一例を挙げれば、後述の実施例の<耐熱・耐圧試験結果>において示したように、例えば、圧力が0.5MPaの場合、タンクの厚さ7mm、内層21:中間層23:外層22の厚さ比率が6:1:3にて、87℃での耐圧力は、1.0MPaとなり、0.5MPa(目標とする一般水道圧)に対し安全係数2が確保できると考えられる。上記の厚さ寸法における多層構造体20の比重は、1.09程度となる。本実施形態の貯湯タンク10は、耐圧力および断熱性能が同じ条件の下では、金属製タンクの重量の70%程度の重量まで軽量化(30%程度の重量を軽減)を図ることができる。さらに、軽量化を図っても同じ断熱性能を得ることができることから、断熱性の向上を図ることができるといえる。
<内層21>
内層21は、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる。内層21に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂30〜90重量%およびスチレン系樹脂70〜10重量%からなることが好ましく、ポリフェニレンエーテル樹脂40〜90重量%およびスチレン系樹脂60〜10重量%からなることがより好ましく、ポリフェニレンエーテル樹脂60〜90重量%およびスチレン系樹脂40〜10重量%からなることがさらに好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂が30重量%より少ないと、耐熱性および機械的強度が低下する傾向がある。また、ポリフェニレンエーテル樹脂が90重量%を超えると、流動性が低下し、成形工程において実用に耐えない場合がある。また、ポリフェニレンエーテル樹脂を40〜60重量%とすると、荷重たわみ温度を100℃程度に維持することができ、ポリフェニレンエーテル樹脂を60重量%以上とすると、荷重たわみ温度を130〜140℃に維持することができる。なお、荷重たわみ温度は、ISO75に準拠し、荷重1.80MPaの条件で測定された値である。
<外層22>
外層22は、ポリアミド樹脂からなる。
<中間層23>
中間層23は、内層21と中間層23との間の接着性と、外層22と中間層23との間の接着性を両立させるため、少なくともポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる。中間層23中のポリフェニレンエーテル系樹脂も構造体として機能し強度が向上するため、中間層23も内層21を保護する層として機能する。
中間層に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂20〜95重量%とスチレン系樹脂80〜5重量%からなることが好ましく、ポリフェニレンエーテル樹脂25〜85重量%、スチレン系樹脂75〜15重量%からなることが好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂が20重量%より少ないと、耐熱性および機械的強度が低下する傾向がある。また、ポリフェニレンエーテル樹脂が95重量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下し、成形工程において実用に耐えない場合がある。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜90重量%とポリアミド樹脂80〜10重量%からなる樹脂混合物であることが好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が上記下限未満で、ポリアミド樹脂の含有量が上記上限を超えると、内層21に対する接着性が劣る傾向にあり、ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が上記上限を超え、ポリアミド樹脂の含有量が上記下限未満では、外層23に対する接着性が劣る傾向にある。本発明においては、上記のような混合割合とすることにより、内層21と中間層23との間の十分な接着強度を確保しつつ、外層22と中間層23との間の十分な接着強度を確保でき、両層の接着強度をバランスよく保つことができるので一層好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂とは、より好ましくはポリフェニレンエーテル系樹脂45〜90重量%、ポリアミド樹脂55〜10重量%、さらに好ましくはポリフェニレンエーテル系樹脂50〜90重量%、ポリアミド樹脂50〜10重量%、特に好ましくはポリフェニレンエーテル系樹脂60〜90重量%、ポリアミド樹脂40〜10重量%の混合割合とする。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂を上記の割合で用いても、ポリフェニレンエーテル系樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂の割合が少ないと、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中のポリフェニレンエーテル樹脂含有量が少なくなり、耐熱性、耐圧性が劣るものとなる場合がある。従って、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に含まれるポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、前述のポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂)とポリアミド樹脂との合計100重量部中にポリフェニレンエーテル樹脂が35重量部以上、特に45重量部以上含まれることが好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂との相溶性を高め、機械的強度および内層21と中間層23、外層22と中間層23との接着性を高めるために、中間層23に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂からなる樹脂混合物100重量部に対し、相溶化剤を0.05〜5重量部含有することが好ましい。相溶化剤の含有量が上記下限未満では、接着性、耐熱性、耐圧性および機械的強度が低下する場合があり、上記上限を超えると、樹脂組成物の製造および成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性が低下することにより、機械的強度が低下しやすい傾向にある。従って、相溶化剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂との合計100重量部に対して、0.05〜3重量部がより好ましく、0.1〜2重量部がさらに好ましい。
なお、相溶化剤と共にラジカル発生剤を配合してもよい。ラジカル発生剤の配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂との合計100重量部に対して0.01〜3重量部、特に0.01〜1重量部とすることが好ましい。その配合量が少な過ぎると、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂との相溶性が不十分となり機械的強度が低下しやすい傾向にあり、多過ぎると、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や高温雰囲気で使用時の熱安定性が低下する場合がある。
以下、内層21、外層22、中間層23に用いる原料樹脂および添加剤について詳述する。
[ポリフェニレンエーテル系樹脂]
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性が高く、引張強さなどの機械的性質に優れ、耐衝撃性が高く、吸水性が低く、寸法安定性に優れ、線膨張係数が小さい、比重が小さい、難燃性であるといった長所を有する。
本発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂に対して、その流動性や耐衝撃性を改良するためにスチレン系樹脂を配合してなる複合樹脂組成物であることが好ましい。
<ポリフェニレンエーテル樹脂>
本発明に係るポリフェニレンエーテル系樹脂に用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体の何れであっても良い。
(式中、2つのRaは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表し、2つのRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、2つのRaがともに水素原子になることはない。)
Ra及びRbとしては、水素原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基が好ましい。第1級アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−、3−若しくは4−メチルペンチル基又はヘプチル基が挙げられる。第2級アルキル基の好適な例としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基又は1−エチルプロピル基が挙げられる。特に、Raは第1級若しくは第2級の炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。Rbは水素原子であることが好ましい。
好適なポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)等の2,6−ジアルキルフェニレンエーテルの重合体が挙げられる。共重合体としては、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体等の2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
本発明におけるポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノールランダム共重合体が好ましい。また、特開2005−344065号公報に記載されているような末端基数と銅含有率を規定したポリフェニレンエーテル樹脂も好適に使用できる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の分子量は、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度が0.2〜0.8dl/gのものが好ましく、0.3〜0.6dl/gのものがより好ましい。固有粘度を0.2dl/g以上とすることにより、樹脂組成物の機械的強度が向上する傾向にあり、0.8dl/g以下とすることにより、流動性が向上し、成形加工が容易になる傾向にある。また、固有粘度の異なる2種以上のポリフェニレンエーテル樹脂を併用して、この固有粘度の範囲としてもよい。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って、例えば、2,6−ジメチルフェノール等のモノマーをアミン銅触媒の存在下、酸化重合することにより製造することができ、その際、反応条件を選択することにより、固有粘度を所望の範囲に制御することができる。固有粘度の制御は、重合温度、重合時間、触媒量等の条件を選択することにより達成できる。
本発明において、ポリフェニレンエーテル樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<スチレン系樹脂>
本発明に係るポリフェニレンエーテル系樹脂に用いられるスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体及びスチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。
本発明で使用されるスチレン系樹脂としては、より具体的には、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS樹脂)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SEBS)、水添スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SEPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン・IPN型ゴム共重合体等の樹脂、又は、これらの混合物が挙げられる。さらにシンジオタクティクポリスチレン等のように立体規則性を有するものであってもよい。これらの中でも、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が好ましい。
スチレン系樹脂の重量平均分子量は、通常、50,000以上であり、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは150,000以上であり、また、上限は、通常、500,000以下であり、好ましくは400,000以下であり、より好ましくは300,000以下である。
このようなスチレン系樹脂の製造方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の公知の方法が挙げられる。
本発明において、スチレン系樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
[ポリアミド樹脂]
本発明で用いられるポリアミド樹脂は、主鎖に−CONH−結合を有し、加熱溶融できるものであり、単独重合体でも共重合体でも良い。具体的には、ラクタムの重縮合物、ジアミンとジカルボン酸との重縮合物、ω−アミノカルボン酸の重縮合物等の各種ポリアミド樹脂、又はそれ等の共重合ポリアミド樹脂やブレンド物等である。
ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、(2,2,4−又は2,4,4−)トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナンメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の脂肪族、脂環式、芳香族のジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂肪族、脂環式、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等が挙げられる。
これらの原料から重縮合されてなるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド56、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6・66共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリアミド6I・6T共重合体、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンドデカミド、ポリアミド9T、ポリアミド9MT等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
好ましいポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6及びポリアミド6I・6Tであり、これらと非晶性ポリアミド樹脂を併用することも出来る。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、JIS K6810に準拠して測定した相対粘度が2〜7.5のものが好ましく、2.5〜7がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。相対粘度が2未満であると、機械的強度が低下しやすい傾向にあり、7.5を超えると、成形加工が困難な場合がある。
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、重合体分子量、熱安定性およびポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点から、好ましくは10〜140eq/ton、より好ましくは30〜100eq/tonである。また、ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度は、重合体分子量、熱安定性およびポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶化性の観点から、好ましくは10〜140eq/ton、より好ましくは30〜100eq/tonである。
[相溶化剤]
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂との相溶化剤としては、好ましくは、不飽和酸、不飽和酸無水物およびそれらの誘導体が挙げられる。
相溶化剤としては好ましくはマレイン酸、イタコン酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、ブテニルコハク酸、テトラヒドロフタル酸、およびこれらの無水物、並びにマレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等のこれらの酸ハライド、アミド、イミド、炭素数1〜20のアルキル又はグリコールのエステルが挙げられ、好ましくはマレイン酸、無水マレイン酸である。
これらの相溶化剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
[ラジカル発生剤]
本発明の接着用樹脂組成物においては、上述のような相溶化剤と共に、ラジカル発生剤を配合してもよい。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物などを挙げることができる。
有機過酸化物の具体例として、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;例えば、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシオクタン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;例えば、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル類;例えば、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等が挙げられる。
上記のラジカル発生剤の中では、耐衝撃性の観点から、10時間での半減期温度が120℃以上のラジカル発生剤が好ましい。なお、ラジカル発生剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
[その他の成分]
内層21に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂および中間層23に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、その目的を損なわない範囲において、上述のポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂及び相溶化剤(或いは相溶化剤及びラジカル発生剤)以外の各種樹脂添加剤を含有していてもよい。含有し得る各種樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、耐侯性改良剤、核剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、充填剤、補強剤、分散剤、導電剤、耐衝撃性改良剤などが挙げられる。
例えば、内層21のポリフェニレンエーテル系樹脂および中間層23のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や使用時の熱安定性を向上させる目的で、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の熱安定剤を配合することが好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物の具体例として、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中で、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンが好ましい。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ホスファイト系化合物の具体例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)等が挙げられ、好ましくは、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ホスホナイト系化合物の具体例としては、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、好ましくは、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトである。
酸化亜鉛としては、例えば、平均粒子径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒子径が0.08〜0.8μmのものがより好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、酸化亜鉛から選ばれた1種以上の安定剤の配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂の合計100重量部に対し、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜3重量部である。安定剤の配合量が0.01重量部未満では、熱安定性の改善効果が小さく、5重量部を超えると機械的強度の低下や経済的なデメリットが大きくなり好ましくない。
また、本発明の内層21に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂および中間層23に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、難燃性を付与するために難燃剤を用いることができる。難燃剤としては、組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、リン酸エステル化合物、アルカリ金属有機スルホン酸金属塩、シリコーン化合物が好適である。本発明で用いるリン酸エステル化合物としては、例えば下記式(2)で表されるものが挙げられる。
(式中、R1、R2、R3、R4は互いに独立して、置換されていても良いアリール基を示し、Xは他に置換基を有していても良い2価の芳香族基を示す。nは0〜5の数を示す。)
一般式(2)においてR1〜R4で示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またXで示される2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基や、例えばビスフェノールから誘導される基等が挙げられる。これらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。nが0の場合はリン酸エステルであり、nが0より大きい場合は縮合リン酸エステル(混合物であっても良い)である。
このようなリン酸エステル化合物としては、具体的には、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、あるいはこれらの置換体、縮合体などを例示できる。
かかる成分として好適に用いることができる市販の縮合リン酸エステル化合物としては、例えば、大八化学工業(株)より、「CR733S」(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート))、「CR741」(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))、(株)ADEKAより「FP500」(レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート))といった商品名で販売されており、容易に入手可能である。
本発明の内層21のポリフェニレンエーテル系樹脂および中間層23のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物にリン酸エステル系難燃剤を使用する場合の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂の合計100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、より好ましくは3〜40重量部、特に好ましくは5〜30重量部である。リン酸エステル系難燃剤の含有量が1重量部未満では難燃性改善効果が十分に得られず、50重量部を超えると耐熱性が低下するので好ましくない。
本発明で用いられるアルカリ金属塩有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは脂肪族スルホン酸金属塩及び芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩を構成する金属としては、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、該アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。
有機スルホン酸金属塩は、2種以上の塩を混合して使用することもできる。
本発明で用いる脂肪族スルホン酸塩としては、好ましくはフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられ、フルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、好ましくはフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ金属塩、もしくはアルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくは炭素数4〜8のフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、もしくはアルカリ土類金属塩などが挙げられる。より好ましくはパーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられる。該フルオロアルカン−スルホン酸塩の具体例としては、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸カリウム、及びパーフルオロブタン−スルホン酸のテトラエチルアンモニウム塩などが挙げられる。
芳香族スルホン酸金属塩としては、好ましくは、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ土類金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩などが挙げられ、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩は重合体であってもよい。
芳香族スルホン酸金属塩の具体例としては、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
有機スルホン酸金属塩の配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜3重量部、とりわけ好ましくは0.03〜2重量部である。有機スルホン酸金属塩の配合量が0.01重量部未満であると充分な難燃性が得られにくく、5重量部を越えると熱安定性が低下しやすい。
本発明で用いるシリコーン難燃剤は、直鎖状あるいは分岐構造を有するポリオルガノシロキサンが好ましい。ポリオルガノシロキサンが有する有機基は、炭素数が1〜20のアルキル基及び置換アルキル基のような炭化水素又はビニル及びアルケニル基、シクロアルキル基、ならびにフェニル、ベンジルのような芳香族炭化水素基などの中から選ばれる。ポリオルガノシロキサンは、官能基を含有していなくても、官能基を含有していてもよい。官能基を含有している場合、官能基はメタクリル基、アルコキシ基又はエポキシ基であることが好ましい。
また、本発明では燃焼時の滴下防止を目的として、フッ素樹脂を含むことができる。ここでフッ素樹脂としては、フルオロエチレン構造を含む重合体、共重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体である。好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくは500,000〜10,000,000である。
なお、ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能を有するものを用いると、さらに高い溶融滴下防止性を付与することができる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。その具体例としては、例えばテフロン(登録商標)6−J(三井・デュポンフロロケミカル(株)製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業(株)製)、CD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製)等が挙げられる。また、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えばアルゴフロンF5(モンテフルオス(株)製)、ポリフロンMPA、ポリフロンFA−100(ダイキン工業(株)製)等が挙げられる。これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えばテトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。
本発明の内層21に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂および中間層のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物がフッ素樹脂を含有する場合、その含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂の合計100重量部に対し、0.05〜2重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5重量部、とりわけ好ましくは0.1〜1重量部である。フッ素樹脂の配合量が上記下限未満であると充分な滴下防止効果が得られにくく、上記上限を越えると熱安定性が低下しやすい。
また、本発明においては、着色剤を配合してもよい。着色剤としては、熱可塑性樹脂に一般的に用いられる、染料、無機顔料、有機顔料が挙げられる。
染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料、ジフェニルメタン染料、アクリジン染料、シアニン染料、ニトロ染料、ニグロシン等が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタン、べんがら、コバルトブルー等の酸化物顔料、アルミナホワイト等の水酸化物顔料、硫化亜鉛、カドミウムイエロー等の硫化物顔料、ホワイトカーボン、タルク等の珪酸塩顔料、カーボンブラック等が挙げられる。有機顔料としては、ニトロ顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が挙げられる。これらの中でも、成形品表面へブリードアウトしにくい点から、無機顔料が好ましい。また、着色剤は、押出時のハンドリング性改良目的のために、ポリアミド樹脂又はポリフェニレンエーテル系樹脂とマスターバッチ化されたものを用いてもよい。
着色剤の配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部である。特に、酸化チタンは樹脂組成物の変色を防止しやすく、淡い色に着色する上で有効である。
また、本発明の内層21に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂および中間層23に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、成形時の離型性を向上させる目的で、離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、シリコーンオイル等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリスチルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等を挙げることができる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、オレフィンの単独重合体及び共重合体等が挙げられる。オレフィンの単独重合体としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等及びこれらの部分酸化物又はこれらの混合物等が挙げられる。オレフィンの共重合体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィン等の共重合体、これらのオレフィンと共重合可能なモノマー、例えば、不飽和カルボン酸又はその酸無水物(無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸等)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステル等)等の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。また、これらの共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。オレフィン共重合体は、通常、エチレンと、他のオレフィン及び重合性モノマーから選択された少なくとも1種のモノマーとの共重合体である。これらのポリオレフィンワックスのうち、ポリエチレンワックスが最も好ましい。なお、ポリオレフィンワックスは、線状又は分岐構造であってよい。
シリコーンオイルとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンからなるもの、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部又は全部がフェニル基、水素原子、炭素数2以上のアルキル基、ハロゲン化フェニル基、フルオロエステル基で置換されたシリコーンオイル、エポキシ基を有するエポキシ変性シリコーンオイル、アミノ基を有するアミノ変性シリコーンオイル、アルコール性水酸基を有するアルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル構造を有するポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられ、これらは2種類以上併用してもよい。
離型剤の配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂の合計100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜6重量部がより好ましく、0.1〜3重量部がさらに好ましい。離型剤の配合量を0.01重量部以上とすることにより離型効果がより発揮されやすく、10重量部以下とすることにより、耐熱性や金型汚染、可塑化不良といった問題が発生しにくい傾向にある。
また、外層22に用いるポリアミド樹脂には、その目的を損なわない範囲において、各種樹脂添加剤を含有していてもよい。含有し得る各種樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、耐侯性改良剤、核剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、充填剤、補強剤、分散剤、導電剤、耐衝撃性改良剤などが挙げられる。
外層22に用いるポリアミド樹脂には、耐熱安定性の向上のために、熱安定剤を配合することが好ましい。熱安定剤としては、例えば、リン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、有機硫黄系、シュウ酸アニリド系などの有機系安定剤、銅化合物やハロゲン化物などの無機系安定剤が好ましい。リン系安定剤としては、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物が好ましい。
ホスファイト化合物としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−イソプロピルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−t−オクチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられ、特に、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
ホスホナイト化合物としては、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、特に、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中では、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)が好ましい。
ヒンダードアミン系安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する周知のヒンダ−ドアミン化合物が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェニルアセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−エチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェニルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン)−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジンの重縮合物、1,3−ベンゼンジカルボキサミド−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物の商品としては、(株)ADEKA製の商品「アデカスタブLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−63P、LA−68LD、LA−77、LA−82、LA−87」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の商品「チヌビン622、944、119、770、144」、住友化学社製の商品「スミソーブ577」、サイアミド社製の商品「サイアソープUV−3346、3529、3853」、クラリアント・ジャパン社製の商品「ナイロスタブS−EED」等が挙げられる。
シュウ酸アニリド系安定剤としては、好ましくは、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサニリド、2−エトキシ−5−第三ブチル−2’−エトキサニリド及びその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−第三ブトキサニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物、o−及びp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物などが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤とは、イオウ原子を有する酸化防止剤をいい、例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイト等が挙げられる。特に、チオエーテル構造を有するチオエーテル系酸化防止剤は、酸化された物質から酸素を受け取って還元するため、好適に使用することができる。
イオウ系酸化防止剤の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
無機系安定剤として使用される銅化合物は、種々の無機酸または有機酸の銅塩であって、第1銅、第2銅の何れでもよく、その具体例としては、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ステアリン酸銅の他、ハイドロタルサイト、スチヒタイト、パイロライト等の天然鉱物が挙げられる。
また、無機系安定剤として使用されるハロゲン化物としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物;ハロゲン化アンモニウム及び有機化合物の第4級アンモニウムのハロゲン化物;ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル等の有機ハロゲン化物が挙げられ、その具体例としては、ヨウ化アンモニウム、ステアリルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムアイオダイド等が挙げられる。これらの中では、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩が好適である。
銅化合物とハロゲン化物との併用、特に、銅化合物とハロゲン化アルカリ金属塩との併用は、耐熱変色性、耐候性(耐光性)の面で優れた効果を発揮するので好ましい。例えば、銅化合物を単独で使用する場合は、成形品が銅により赤褐色に着色することがあり、この着色は用途によっては好ましくない。この場合、銅化合物とハロゲン化物と併用することにより赤褐色への変色を防止することが出来る。
本発明においては、上記の安定剤のうち、特には、銅塩系、ヒンダードアミン系または有機硫黄系の安定剤が特に好ましい。
前記の安定剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.01〜3重量部が好ましく、0.01〜1.2重量部がより好ましく、0.01〜0.8重量部がさらに好ましい。配合量が0.01重量部未満では、熱変色改善、耐候性、耐光性改善効果が不十分な場合があり、3重量部を超えると、機械的強度が低下しやすい傾向にある。
外層22に用いるポリアミド樹脂には、結晶化速度を上げ成形性を改良するため、核剤を配合することが好ましい。核剤としては、通常、タルク、窒化ホウ素等の無機系の結晶核剤が挙げられるが、有機系の結晶核剤を添加しても良い。結晶核剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し0.05〜2重量部が好ましく、0.1〜1重量部がより好ましく、0.2〜0.6重量部がさらに好ましい。配合量が0.05重量部未満では結晶核剤としての効果が不十分な場合があり、2重量部を超えると、異物効果による機械的強度や耐衝撃性が低下しやすい傾向にある。
さらに、外層22に用いるポリアミド樹脂には、成形時の離型性を向上させるため、離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、ポリアミド樹脂の難燃性を低下させ難いものがよく、好ましくは、カルボン酸アミド系ワックスやエチレンビスステアリルアミド等のビスアミド系ワックス、長鎖脂肪酸金属塩等が挙げられる。
カルボン酸アミド系ワックスは、高級脂肪族モノカルボン酸と多塩基酸の混合物とジアミンとの脱水反応によって得られる。
高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
多塩基酸としては、二塩基酸以上のカルボン酸で、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸及び、フタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及び、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
本発明におけるカルボン酸アミド系ワックスは、その製造に使用する高級脂肪族モノカルボン酸に対して、多塩基酸の混合割合を変えることにより、軟化点を任意に調整することができる。多塩基酸の混合割合は、高級脂肪族モノカルボン酸2モルに対して、0.18〜1モルの範囲が好適である。また、ジアミンの使用量は、高級脂肪族モノカルボン酸2モルに対して1.5〜2モルの範囲が好適であり、使用する多塩基酸の量に従って変化する。
ビスアミド系ワックスとしては、例えば、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド及びN,N’−エチレンビスステアリン酸アミドのようなジアミンと脂肪酸の化合物、あるいはN,N’−ジオクタデシルテレフタル酸アミド等のジオクタデシル二塩基酸アミドを挙げることができる。
長鎖脂肪酸金属塩とは、炭素数16〜36の長鎖脂肪酸の金属塩で、例えば、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム等が挙げられる。
離型剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し0.001〜2重量部が好ましく、0.01〜1.5重量部がより好ましく、0.05〜0.8重量部がさらに好ましい。配合量が0.001重量部未満では十分な離型効果を発揮し成形性を高めることが困難な場合があり、2重量部を超えると、ポリアミド樹脂の機械的強度が低下する場合がある。
[製造方法]
本発明の内層21のポリフェニレンエーテル系樹脂、中間層23のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造にあたっては、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂および必要に応じて配合される各種の樹脂添加剤、並びに、中間層23の場合はさらにポリアミド樹脂が均一に混合される方法であればいかなる方法を採用することもできるが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について一般に実用されている溶融混練機を使用する方法が挙げられる。溶融混練機としては、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
なお、本発明の中間層23に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物においては、相溶化剤を配合することが好ましいが、ポリアミド樹脂と相溶化剤との反応性がポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶化剤との反応性よりも高いため、ポリフェニレンエーテル系組成物を製造する際の混練手順として、ポリアミド樹脂と相溶化剤との混練を、ポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶化剤との混練に先立って行うと、ポリアミド樹脂と相溶化剤とが早期に反応して相溶化剤の反応活性がポリアミド樹脂との反応に消費され、ポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶化剤との反応が進行しなくなるおそれがある。従って、まず、ポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶化剤とを溶融混練し、得られた混合物にポリアミド樹脂を添加して混練する混練手順を採用することが好ましい。
従って、例えば、混練押出機を使用して中間層23に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造する場合には、好ましくは、ポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶化剤と必要に応じて添加される各種の樹脂添加剤とを予め混合して、混練押出機の上流部分に一括投入し、溶融状態で反応させた後、続けて混練押出機の中流部分でポリアミド樹脂を投入して溶融混練し、必要に応じて、下流部分から難燃剤等を投入して樹脂組成物のペレットとする方法を採用することが好ましい。また、別な方法としては、先ず、ポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶化剤と必要に応じて添加される各種の樹脂添加剤とを予め混合して、混練押出機に一括投入し、溶融状態で反応させてペレット化した後、該ペレットとポリアミド樹脂を混練押出機に投入して溶融反応させ、必要に応じて、下流部分から難燃剤や補強剤等の添加剤を配合し、樹脂組成物のペレットを得る方法を採用することが好ましい。
本発明の内層21のポリフェニレンエーテル系樹脂および中間層23のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造する際の溶融混練温度と時間は、樹脂組成物を構成するポリフェニレンエーテル系樹脂、相溶化剤、ポリアミド樹脂の種類及び配合率や混練機の種類などによっても異なるが、通常、混練温度は210〜350℃、好ましくは220〜320℃、さらに好ましくは220〜290℃である。この混練温度が高過ぎると、樹脂組成物の熱劣化が問題となり、機械的強度の低下を生じることがある。
(第2の実施形態)
図3を参照して、第2の実施形態に係る貯湯タンク10aを説明する。第1の実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第2の実施形態に係る貯湯タンク10aは、多層構造体30が内層31と外層32との二層構造となっている点において、多層構造体20が三層構造である第1の実施形態と相違している。
第2の実施形態のタンク壁面部16は、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層31と、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり、内層31の外方に設けられる外層32とを有する多層構造体30から構成してなる。
内層31の材料は、第1実施形態における内層21と同様である。
第2の実施形態の外層32は、第1の実施形態の中間層23と同様に、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなる。さらに、第1の実施形態の中間層23と同様に、相溶化剤を含有することが好ましい。ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層31と外層32との間の接着強度を確保するためである。さらに、ポリアミド樹脂は、上述したように、優れた強靭性、耐衝撃性を有しているので、内層31を保護するための外層32に好適に適用できる。すなわち、外層32の外面においてキズまたは亀裂が生じても、そのキズまたは亀裂が進行することがなく、外部衝撃から長期に亘って内層31を保護することができる。
外層32に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜60重量%とポリアミド樹脂80〜40重量%であることが好ましく、ポリフェニレンエーテル系樹脂30〜50重量%とポリアミド樹脂70〜50重量%がより好ましい。ポリアミド樹脂の割合が40重量%未満であると、外部衝撃に対する強度が弱くなって、内層31を十分に保護することができない場合がある。また、ポリアミド樹脂の割合が80重量%を超えると、内層31と外層32との間の接着強度が不十分な場合がある。特に、ポリアミド樹脂の割合が50〜70重量%であると、内層31を十分に保護しつつ、内層31と外層32との間の十分な接着強度を確保することができるので一層好ましい。
また、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態に係る多層構造体20および30は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記の内層21、外層22および中間層23または内層31および外層32以外に、さらに他の樹脂層を有していてもよい。他の樹脂層に用いる樹脂としては、特に制限はないが、成形加工性、耐熱性、耐水性、耐圧性、機械的強度の点から、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。
[貯湯タンクの製造方法]
上記構成の貯湯タンク10および貯湯タンク10aは、ブロー成形などの一般的な樹脂成形技術を適用して製造することができ、金属製タンクを製造する場合に必要であった溶接作業などが不要となり、量産化、製造の自動化を容易に図ることができ、さらに貯湯タンクの品質の均一化・安定化も容易に図ることができる。また、金属製のタンクに比べると、タンク形状を選択する上での自由度が大きく、軽量にでき、断熱性にも優れている。必要であれば断熱材をさらに設けることもできる。その場合において、樹脂材料は金属材料に比べて熱伝導率が低いことから、断熱材の使用量を軽減することができる。さらに、汎用的な樹脂材料(ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂)から成形できるため、コストの増加を抑えることもできる。しかも、タンク壁面部16を、内層21−中間層23−外層22の三層からなる多層構造体20または内層31−外層32の二層からなる多層構造体30から構成することによって、十分な耐圧性および耐熱性を備えることができる。貯湯タンク10aにおいては、第1の実施形態における中間層23を介装せずに、内層31と外層32とを直接接着させているので、製造装置や製造手順の簡素化を図ることができるという利点を有する。もって、コスト的に有利な、耐圧・耐熱容器としての貯湯タンクを提供することができる。
ところで、プラスチック製品の安全性を確保するために、「食品、添加物等の規格基準」(厚生省告示第370号)が定められており、この規格基準は逐次改正され、「合成樹脂製器具又は容器包装の規格基準」(厚生労働省告示第201号)として個別規格が定められている。多層構造体20の内層21および多層構造体30の内層31をなすポリフェニレンエーテル系樹脂には、上記の規格基準を満足するグレードがある。したがって、本実施形態の貯湯タンク10および10aは、飲用にも適用する湯水を貯めるためのタンクとして好適に用いることができる。
(変形例)
本発明の樹脂製タンクを貯湯タンク10、10aに適用した実施形態について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、貯湯以外の用途にも適用できる。多層構造体20、30の内層21、31をなすポリフェニレンエーテル系樹脂が、「食品、添加物等の規格基準」(厚生省告示第370号)ないし「合成樹脂製器具又は容器包装の規格基準」(厚生労働省告示第201号)の規格基準に適合するグレードがあることから、例えば、牛乳加工ラインや食品加工ラインに設置するタンクに適用してもよい。さらに、本発明の樹脂製タンクは、多層構造体20、30の内層21、31を侵蝕しない材料である限りにおいて、これらの材料を貯える耐圧・耐熱容器として広く適用することができることはいうまでもない。また、液体を貯える場合に限られず、ゲル状の材料を貯えることもできる。また、本発明は、保温機能のみを有する樹脂製タンクに限られるものではなく、加熱器をさらに内蔵して保温・加熱機能を有する樹脂製タンクに適用することもできる。さらに、樹脂製タンクは、タンク形状を選択する上での自由度が大きいことから、タンク形状は図示した形状に限定されるものではなく、所望の形状を選択することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[貯湯タンクの形状と製造方法]
図4および図5を参照して、貯湯タンク110の形状および製造方法について説明する。
図4(A)(B)は、貯湯タンク110の正面図および上面図である。図5(A)は、貯湯タンク成形装置である多層ブロー成形機140を示し、図5(B)は、成形装置の金型150を開いた状態を示し、図5(C)は、金型150を閉じた状態を示している。また、図5(D)は、図5(A)のD部を拡大して示している。
<タンク110の形状>
図4に示す貯湯タンク110は、円筒形状を有し、寸法は、外径d=300mm、全長L=1600mmである。胴部の両端に位置する上蓋部および下蓋部は半球形状である。下蓋部に注水用ノズル111を3箇所、上蓋部に排水用ノズル112を3箇所、合計6箇所設けた。
図5(D)に示すように、タンク110の多層構造体を構成する材料としては、内層121には以下に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物−1を用い、外層122には以下に記載のポリアミド樹脂を用い、中間層123には、以下に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物−2を用いた。
<材料>
ポリフェニレンエーテル樹脂:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(ポリキシレノールシンガポール社製「PX100L」、クロロホルム中で測定した30℃の固有粘度0.47dl/g)
スチレン系樹脂−1:ハイインパクトポリスチレン(日本ポリスチレン社製「HT478」、重量平均分子量(Mw)200,000、MFR3.2g/10分(200℃、荷重5kgで測定))
スチレン系樹脂−2:スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(以下「SEBS」と略記する)(クラレ社製「セプトン8006」、スチレン含有量33重量%、数平均分子量200,000)
ポリアミド樹脂:ポリアミド6(東レ社製「アミランCM1056」)
相溶化剤:無水マレイン酸(日本油脂社製「クリスタルマンAB」)
安定剤−1:ホスホナイト系熱安定剤(クラリアントジャパン社製「サンドスタブP−EPQ」
安定剤−2:フェノール系酸化防止剤(吉富製薬社製「ヨシノックスBHT」)
<内層121に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物−1の調製>
二軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=42)を用いて、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数300rpmの条件にて、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂−1、スチレン系樹脂−2、安定剤−1,2を高速回転ミキサーにて均一に混合し、押出機の上流部に投入して溶融混練させてペレット化した。各成分の配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂60重量%とスチレン系樹脂−1 35重量%及びスチレン系樹脂−2 5%重量部の合計100重量部に対し、安定剤−1 0.3重量部、安定剤−2 0.3重量部とした。
<外層122に用いるポリアミド樹脂の調製>
外層122には、上記のポリアミド樹脂をそのまま用いた。
<中間層123に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物−2の調製>
二軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=42)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数300rpmの条件にて、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系樹脂−1、相溶化剤、安定剤−1,2を高速回転ミキサーにて均一に混合し、押出機の上流部に投入して溶融反応させた後、押出機中流部よりポリアミド樹脂を投入して溶融混練させてペレット化した。なお、この時のポリアミド樹脂投入後のシリンダー温度は250℃であった。各成分の配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂 47重量%、スチレン系樹脂−1 25重量%およびポリアミド樹脂 28重量%の合計100重量部に対し、相溶化剤 0.2重量部、安定剤−1 0.5重量部、安定剤−2 0.5重量部とした。
<成形装置>
図5(A)〜(C)を参照して、タンク110の作製にはブロー成形法を適用した。専用の多層ブロー成形機140と、金型150とを含む成形装置を用いてタンク110を成形した。成形機140には樹脂ペレットを溶融するための4本のスクリュー141、142、143、144が設けられている。スクリュー141、142、143、144に連続して、溶融した樹脂をためるアキュームレータ、押し出し装置が設けられている。アキュームレータは5層に分かれており、それぞれ別種類の材料を4種5層の構成で押し出すことが可能である。本成形では、スクリュー141を内層121用とし、スクリュー142を外層122用とした。また、スクリュー143、144は比較的小径であることから、両方とも中間層123用とした。
<成形条件>
内層121用のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物−1を、φ90mmのスクリュー141によって220〜290℃にて溶融した。外層122用のポリアミド樹脂を、別のφ90mmスクリュー142によって200〜270℃にて溶融した。また、中間層123用のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物−2は、φ65mmのスクリュー143、φ55mmのスクリュー144の2本のスクリューを用いて220〜270℃にて溶融した。ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物−1の溶融樹脂は内層用のアキュームレータ内に、ポリアミド樹脂の溶融樹脂は外層用のアキュームレータ内に、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物−2の溶融樹脂は中間層用のアキュームレータ内に、200〜290℃にそれぞれ加熱されて溜められる。3層(内層121、中間層123、外層122)の溶融樹脂のすべてを同時に垂直・真下に押し出し、多層となったパリソン151と呼ばれる円筒形樹脂を作成した。押し出した樹脂は外径φ120〜250mmの円筒状で、長さは約2m、重量は7〜17kgであった。
<成形方法>
押し出しと同時に、アキュームレータ下部の型締装置に取り付けた金型150を用いて樹脂を挟み込んだ。金型150に挟まれた樹脂の内部に圧力0.3〜1MPaの空気を送り込み、樹脂を金型150に押し付け、冷やし固めることによって、壁面部の厚さの異なる2種のタンク(タンク(1)、(2))を成形した(図5(B)(C)を参照)。金型150には30〜90℃の温水を通水することによって樹脂を冷却した。金型150はタンク110の上述した形状を成形するために専用に製作したものを用いた。
タンクの厚さとしては、4mm(タンク(1))と4.5mm(タンク(2))のものを成形した。内層121、中間層123、外層122の厚みの比率は、内層121:中間層123:外層122=6:1:3であった。
得られたタンク(1)および(2)を用いて、以下に記載の耐熱・耐圧試験を行った。
<耐熱・耐圧試験>
タンク110の上下のノズル各1ケ所ずつにネジ形状を後加工で作成し、またノズル中心にφ10〜15の穴をあけた。作成したネジ形状にジョイントを接続し、注水用のホース、排水用のホースをそれぞれ接続した。タンク110を直立した状態で設置した。給湯器の設定温度を一定にして、80〜95℃に加熱した水道水を注水ホースから注水していき、タンク内をお湯で充填させた。その後、排水側のジョイントを閉塞し、注水側のジョイントの接続を水圧ポンプに切り替えた。タンクが破損するまで、水圧ポンプを用いて、タンク内に圧力を徐々に加えていき、破壊試験を行った。
<耐熱・耐圧試験結果>
タンク(1)では、タンク排水部の水温が87℃で、ポンプ圧力計が0.6MPaを超えたときに、タンクの胴部側面が破裂した。破断面はギザギザであり、樹脂強度限界を超えて破断したものと考える。
タンク(2)では、タンク排水部の水温が92℃で、ポンプ圧力計が0.7MPaを超えたときに、タンクの胴部側面が破裂した。タンク(1)と同様、樹脂強度の限界を超えたと考えられる。
上記のように、試験に供した樹脂製3層貯湯タンク(1)では、87℃、0.6MPaまでは破損しないことが確認できた。特に内層のポリフェニレンエーテル系樹脂層の厚みを増すことにより、さらに耐熱・耐圧性能が向上することも判明した。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリアミド樹脂を接着させることで耐圧力がより向上したと考える。本結果から、タンクの厚さを7mm以上にし、その際の内層・中間層・外層の厚さ比率は、内層:中間層:外層=4:1:5〜8:1:1であることが好ましく、特に好ましいのは、内層:中間層:外層=6:1:3の厚さ比率である。タンクの厚さ7mmとすると、87℃での耐圧力は1.0MPaとなり、0.5MPa(目標とする一般水道圧)に対し安全係数2が確保できると考えられる。