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JP4773919B2 - 制電性に優れたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント - Google Patents
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JP4773919B2 - 制電性に優れたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント - Google Patents

制電性に優れたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント Download PDF

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本発明は、表面が改質されたモノフィラメントに関する。さらに詳細には、スクリーン印刷用のメッシュ織物、特にプリント配線基盤の製造などの高度な精密性を要求されるハイメッシュでハイモジュラスのスクリーン紗を得るのに好適なモノフィラメントに関する。
モノフィラメントは衣料分野ではもちろん、産業資材の分野でも幅広く利用されてきている。特に後者の産業資材の分野での用途の例として、タイヤコード、ロープ、ネット、テグス、ターポリン、テント、スクリーン、パラグライダー、およびセールクロス用などの原糸としてのモノフィラメントがある。そして、このモノフィラメントに要求される物性も厳しくなり、ゴムとの接着性、耐疲労性、染色性、耐摩耗性、結節強力などの改善が迫られている。特に最近の電子回路分野での印刷においては集積度が高まる一方であり、スクリーン紗としての印刷緻密さのためハイメッシュ、ハイモジュラス化及び印刷性向上、特に連続印刷における寸法安定性の要求が強くなっている。
又、ハイメッシュ、ハイモジュラススクリーン紗を用いることによって、紗の目開き量が小さい緻密性の高い印刷が可能になり、今まで問題にならなかったごく僅かな印刷欠点も著しく目立つようになってきた。このような印刷欠点の中には糸削れによるものばかりでなく、使用する紗が帯電することにより起因するものが多い。例えば、加工工程において紗への摩擦などによって静電気が紗に帯電すると塵やゴミの付着に伴う印刷欠点が生じたり、静電気を帯電した静電気によって印刷時に印刷インキが飛散したりすることにより、印刷欠点が生ずるという問題があった。それらに対応した原糸が要求されている。
スクリーン紗用原糸を設計する上で特許文献1(特開平2−289120号公報)では、ポリエステル芯鞘型モノフィラメントの破断強度や破断伸度、10%伸長時のモジュラス、及び鞘部のポリエステルのTgを特定し、芯部で高モジュラス、高強度を取り、鞘部で製織時の筬による糸削れ防止、スカムの発生防止することが提案されている。確かに該方法により高強力、高モジュラススクリーン紗が得られ且つ糸削れを減少させることは可能であるが、スクリーン紗製造にあたり、織目調整や湿熱セットや紗張りの工程を経過する際、原糸は収縮し、糸の荷重曲線が収縮前と異なったものとなるため、スクリーン紗としての寸法安定性が悪く、連続印刷性の良いものが得られなかった。
又帯電抑制については特許文献2(特開平2−289119号公報)、特許文献3(特開2001−262438号公報)でポリアルキレンエーテルを含有するポリエステルを芯成分とした芯鞘型複合モノフィラメントを提案されているが、芯側に制電剤が含有し、表面に露出しないため、良好な制電性能を得ることができない。特許文献1ではポリエチレングリコールを鞘成分ポリエステルに共重合することが示されているが、ある程度効果はあるものの共重合量には物性上限度があり、十分帯電防止効果をもたらすものではなかった。
又、これらの種の問題に対処するためにポリエステルモノフィラメント織物の一部に、銅線などの金属線を交織した工業用織物が知られているが、これは使用中に金属線に錆が発生したり、織物が接触するローラーを擦過するなどの問題があるため、実用的ではなかった。また、高導電性カーボンブラックを高濃度にブレンドした導電性ナイロン樹脂組成物を鞘成分に用いた導電性芯鞘ナイロンモノフィラメントを、ポリエステルモノフィラメント織物に交織した工業用織物も用いられてきたが、この場合、ポリエステルモノフィラメントと導電性芯鞘ナイロンモノフィラメントとの吸湿時の寸法安定性が異なるため、乾燥機内などで織物にうねりが発生するばかりか、カーボンブラックを高濃度にブレンドしたナイロン樹脂の流動性が悪いため、均一な導電性芯鞘ナイロンモノフィラメントが得られないなどの問題があった。
又、特許文献4(特開昭56−85423号公報)にあるような芳香族ポリエステル/脂肪族ポリエステル(混合重量比率80/20〜98/2)のポリエステル混合物と導電性カーボンブラックとからなる組成物を芯成分とし、芳香族ポリエステルからなる鞘成分とする導電性複合繊維が提案されているが、鞘成分に導電性カーボンブラックが存在しないため導電性が不十分であり、カーボンブラックが20〜30重量%と多量に混合する必要があるため、紡糸口金面汚れが発生し、長時間安定した生産が困難であるという問題を有していた。又、特許文献5(特開平8−74125号公報)にあるような高導電性カーボンブラック4〜15重量%からなる鞘成分とポリエステル組成物96〜85重量%からなる芯成分にて構成される芯鞘複合型導電性ポリエステルモノフィラメントが提案されているが、カーボンが表面に露出しているため、製織時での筬摩耗や織物が接触するローラーを擦過するなどの問題があり、又スクリーン紗作成時、乳剤を塗布をして感光させる際に発生するハレーション防止するための染色が出来ないという問題もあった。
こうした現状に鑑み、製織安定性、寸法安定性と帯電防止性を兼ね備えたスクリーン紗の開発が大いに望まれていた。
特開平2−289120号公報 特開平2−289119号公報 特開2001−262438号公報 特開昭56−85423号公報 特開平8−74125号公報
本発明はスクリーン印刷に用いられるメッシュ織物に好適なポリエステルモノフィラメント、詳しくは加工時の製織安定性、スクリーン紗としての連続印刷性能(寸法安定性)に優れ、高度な精密性を要求されるハイメッシュで更に帯電性に優れたハイモジュラスのスクリーン紗を得るのに好適なモノフィラメントに提供することにある。
繊維成形性ポリマーを芯成分、ポリエステルを鞘成分で構成される芯鞘型複合モノフィラメントにおいて下記A〜Iを満足することを特徴とする芯鞘型複合モノフィラメントにより達成される。
A.モノフィラメントの湿熱処理前の原糸最大点強力が5.5〜8.0cN/dtex、5%伸張時の強度が3.5〜5.0cN/dtex、最大点伸度が20〜35%、湿熱収縮率が2.5〜9.0%であること。
B.モノフィラメントの湿熱処理後の原糸最大点強力が5.0〜7.5cN/dtex、15%伸張時の強度が4.0〜7.0cN/dtex、最大点伸度が20〜40%であること。
C.芯側ポリマーの固有粘度が0.70〜1.00dL/gであること。
D.鞘側ポリマーが、芳香族ポリエステル100重量部に対して、制電剤としてポリオキシアルキレン系ポリエーテルを0.2〜30重量部及び該ポリエステルと実質的に非反応性の有機イオン性化合物を0.05〜10重量部含有するポリエステルであること。
E.鞘側ポリマーの固有粘度が0.40〜0.55dL/gであること。
F.鞘側ポリマーの複屈折率が140×10−3〜170×10−3であること。
G.ポリマーの芯鞘比率が30:70〜70:30であること。
H.単糸繊度が4〜24dtexであること。
I.モノフィラメントの繊維長手方向50万メートルで繊維直径に対し1.1倍以上の節糸が1個以下であること。
スクリーン紗の湿熱セット前後の原糸物性の適正化、特に湿熱セット後の原糸の最大点強度、伸度、15%伸長時の強度を特定することで、連続印刷性に優れたスクリーン紗とし、また、鞘側のポリマーとして、ポリオキシアルキレンエーテルと有機イオン化合物が配合されたポリエステルで構成することで帯電防止に優れたものとすることができる。
精密印刷に適したハイメッシュスクリーン(200〜500メッシュ)用として24dtex以下の細繊度モノフィラメントが用いられる。紗織物用フィラメントには製織性の低下や印刷時のスクリーン紗の伸び(寸法安定性の低下)などの発生を抑えるだけの特定の強度、伸度等の物性が必要である。一般的には原糸の伸度5%時の応力(モジュラス、以下5%LASE)により性能を評価することが行われているが、本発明者は更に高度な寸法安定性を得るためにはそれだけでなく、スクリーン紗の製造工程での湿熱処理により原糸が受ける影響を考慮することが重要であることを見出した。(湿熱処理とは、通常製織されたスクリーン紗を精錬や染色等の処理時における温水、蒸気処理することを意味する)これらの知見に基づいてなされたもので、本発明のスクリーン紗用モノフィラメントは、高IVのポリエステルを芯成分、低IVのポリエステルを鞘成分とする単糸繊度が4〜24dtexの芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントからなり、該モノフィラメントの湿熱処理前の最大点強力を5.5〜8.0cN/dtex、5%伸張時の強度を3.5〜5.0cN/dtex、最大点伸度を20〜35%、湿熱収縮率を2.5〜9.0%とし、湿熱処理後の最大点強力を5.0〜7.5cN/dtex、15%伸張時の強度(モジュラス、以下15%LASE)を4.0〜7.0cN/dtex、最大点伸度を20〜40%とすることにより、スクリーン紗として織目調整や湿熱セットや紗張りの工程経過後、高度に寸法安定性に優れるスクリーン紗とすることができる。最大点強度、伸度とは原糸の荷伸曲線における切断時の強度、伸度を意味する。
本発明に使用する芯側へのポリマーの種類はポリエチレン、ポリエステルなどが挙げられ、許容IVが0.7〜1.0dL/gあれば、限定せず、使用することができる。中でもポリエステルは、特に好ましい。又鞘成分としては、0.45〜0.55の低IVのポリエステルにポリオキシアルキレンエーテル及び後述する有機イオン化合物を含有するポリエステルを使用する。通常の複合紡糸装置を用いて芯鞘型モノフィラメントとする。断面形状については安定した製糸性および高次加工性が得やすいという点や製織後の乳剤を塗布して感光させる際に発生するハレーションを防止する点、スクリーン紗の目開きの安定性などにより丸断面が好ましい。断面での芯と鞘部が相似形、或いは同心円状である必要はないが、芯部は鞘部で十分に覆われていることが必要である。好ましい芯:鞘面積比率は30:70〜70:30である。
芯部のポリエステルのIVは0.7以上とすることにより高い強伸度、高モジュラスとすることができ、鞘部のポリエステルのIVを0.45〜0.55とすることによりソフトであるため製織時の筬による糸削れが減少する。
使用するポリエステルの種類としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のような芳香族ポリエステルが挙げられ、いずれでもよい。中でもPETは溶融紡糸を行う際の操業性、コストの面でももっとも好まれる。
本発明のモノフィラメントは湿熱処理前の最大点強力が5.5〜8.0cN/dtex、5%LASEが3.5〜5.0cN/dtex、最大点伸度が20〜35%、湿熱収縮率が2.5〜9.0%に設計することが必要である。
5%LASEは高い方が好ましいが、5.0cN/dtexを超えると製織時に筬による削れが発生し、織物に織込まれ、欠点となってしまうため好ましくない。逆に3.5cN/dtex以下ではスクリーン連続印刷時での寸法安定性が悪くなり、目ズレが発生しやすくなり、印刷物の欠点となるため好ましくない。
湿熱処理後の最大点強度が5.0cN/dtex以下ではスクリーン紗強度が不足し、スクリーン連続印刷時に目ズレが発生し易くなったり、印刷時の被印刷物との紗離れが良くない。7.5cN/dtex以上では、製織時に筬による削れが発生しやすくなる。
又最大点伸度が20%未満では製織糸切れが多発するなど糸の取り扱い性が悪くなる。最大点伸度が40%以上では紗伸びが発生し易くなる。
湿熱収縮率は2.5〜9.0%の範囲が好ましく、この範囲外では湿熱処理後の15%LASEを特定の範囲内にすることができず好ましくない。(湿熱処理後の糸の15%LASEと、湿熱処理を経たスクリーン紗の寸法安定性が相関することに基づくものであり、本発明のモノフィラメントの湿熱処理後の15%LASEが4.0〜7.0cN/dtexであることが必要である)
本発明に使用する鞘側のポリエステルに配合するポリオキシアルキレン系ポリエーテルは、ポリエステルに実質的に不溶性のものであれば、単一のオキシアルキレン単位からなるポリオキシアルキレングリコールであっても、二種以上のオキシアルキレン単位からなる共重合ポリオキシアルキレングリコールであってもよく、また、下記一般式(I)、
Z−[(CHCHO)n(RO)m−R]k ・・・式I
[式中、Zは1〜6個の活性水素原子を有する有機化合物残基、R は炭素原子数6以上のアルキレン基又は置換アルキレン基、R は水素原子、炭素原子数1〜40の一価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の一価のヒドロキシ炭化水素又は炭素原子数2〜40の一価のアシル基、kは1〜6の整数、nはn≧70/kを満足する整数、mは1以上の整数]で表わされるポオキシエチレン系ポリエーテルであってもよい。
上記のポリオキシアルキレン系ポリエーテルの具体例としては、分子量が4000以上のポリオキシエチレングリコール、分子量が1000以上のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、分子量が2000以上のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド共重合体、分子量4000以上のトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物、分子量3000以上のノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、並びにこれらの末端OH基に炭素数が6以上の置換エチレンオキサイドが付加した化合物があげられ、なかでも分子量が10000〜100000のポリオキシエチレングコール、及び分子量が5000〜16000の、ポリオキシエチレングリコールの両末端に炭素数が8〜40のアルキル基置換エチレンオキサイドが付加した化合物が好ましい。
又ポリオキシアルキレン系ポリエーテル化合物の配合量は、前記芳香族ポリエステル100重量部に対して0.2〜30重量部の範囲である。0.2重量部より少ないときは親水性が不足して充分な制電性を呈することができない。一方30重量部より多くしても最早制電性の向上効果は認められず、かえって得られる組成物の機械的性質を損うようになる上、該ポリエーテルがブリードアウトし易くなるため溶融成形時チップのルーダーへのかみこみ性が低下して、成形安定性も悪化するようになる。
本発明の鞘成分のポリエステルには、更に制電性を向上させるために有機イオン性化合物を配合する。有機イオン性化合物としては、例えば下記一般式(II),(III)で示されるスルホン酸金属塩及びスルホン酸第4級ホスホニウム塩を好ましいものとしてあげることができる。
RSOM ・・・式(II)
[式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基又は炭素原子数7〜40のアリール基、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す:Rがアルキル基のときはアルキル基は直鎖状であっても又は分岐した側鎖を有していてもよい:MはNa,K,Li等のアルカリ金属又はMg,Ca等のアルカリ土類金属であり、なかでもLi,Na,Kが好ましい]
上記スルホン酸金属塩は1種のみを単独で用いても2種以上を混合して使用してもよく、好ましい具体例としてはステアリルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸ナトリウム混合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム(ハード型、ソフト型)等をあげることができる。
RSO ・・・式(III )
[式中、Rは上記式(II)におけるRの定義と同じであり、R ,R ,R 及びR はアルキル基又はアリール基でなかでも低級アルキル基、フェニル基又はベンジル基が好ましい]
上記スルホン酸第4級ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。好ましい具体例としては炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸テトラフェニルホスホニウム、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム(ハード型、ソフト型)等をあげることができる。
又有機のイオン性化合物は1種でも、2種以上併用してもよく、その配合量は、芳香族ポリエステル100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲が好ましい。0.05重量部未満では制電性向上の効果が小さく、10重量部を越えると組成物の機械的性質を損なうようになる上、該イオン性化合物もブリードアウトし易くなるため、溶融成形時のチップのルーダーかみこみ性が低下して、成形安定性も悪化するようになる。
次に本発明の芯鞘型複合モノフィラメントを得るための具体的な製造法について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記した芯成分用ポリマー、鞘成分用ポリマーを常法により複合紡糸口金を用いて、溶融紡糸し芯鞘型複合モノフィラメントとし、続いて延伸を施すことにより得られる。紡糸工程で一旦未延伸糸として巻き取り改めて延伸工程に供することもできるが、紡糸工程と直結して延伸を行うことが好ましい。
直接紡糸延伸においては、数対の加熱ロールを用い、一段又は多段で延伸することが好ましく、最終的に強度、伸度、収縮率が所定の範囲に入るように延伸倍率を定める。この延伸にはリラックス延伸等の弛緩処理を含めることができ、湿熱収縮率を所定の範囲に入るよう調整することができる。
このように製織前の原糸物性を調整し、しかる後製織工程に供し、必要に応じて精錬、染色、等の湿熱処理を経ることにより収縮し、糸は湿熱収縮後の所定の強伸度特性を有するものとなり、スクリーン紗は高度の寸法安定性を有するものと成る。
モノフィラメントの表面に生じる節は製織時において糸の切断やスカム発生の原因となり好ましくなく、出来るだけ発生を防止する必要がある。節の発生要因としてはポリマーに含有する未溶融異物やポリマー自身の劣化が挙げられる。ポリマー内の未溶融異物については、パック入り口から口金吐出口までに濾過層を形成することでその排出を抑制させたり、分散させたりすることができる。この濾過層についてはモノフィラメント直径の約20〜30%の目開き量が好ましく、20%以下にするとパック内に異常な圧力がかかり、パック内部品とパック本体の破損につながる。30%以上にすると節糸の主因となる未溶融異物が粗大粒子のまま糸に含有し、節の発生リスクが大きくなる。また、ポリマー自身の劣化についてはポリマー送液に関し、配管の曲がりを減らし、パック導入から吐出までの時間を1分以内とし、ポリマーが受ける熱量を出来る限り軽減することによって節の発生リスクを低減させることができる。
以下の実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例中、固有粘度、強度、伸度、湿熱時収縮率、湿熱処理後の強度、湿熱処理後の伸度、15%伸張時の強度、節数の数の評価、糸削れ評価、ヒステリシスの評価は、以下の定義で行った。
固有粘度:
35℃でオルトクロロフェノールにサンプルを溶解した各濃度(C)の希釈溶液を作成し、それら溶液の粘度(ηr)から下記式によってCを0に近づけることで算出した。
η=limit(ln(ηr/C))
なお、芯鞘の各成分は製糸時に使用する口金と溶融での滞留時間が同等となると共に芯と鞘のポリマーが別々に吐出できるよう設計した口金を作成し、十分に放流状態を安定させた上で、放流ポリマーをそれぞれ採取して測定した。
強度、伸度:
繊維の強度および伸度はJIS−L1017に準拠し、オリエンテック社製のテンシロンを用いてサンプル長25cm、伸張速度30cm/minで測定し、サンプル破断した時の強度と伸度である。5%LASEは上記の測定時のサンプルが5%伸張した時の応力を測定した。
湿熱収縮率:
5000m採取して、かせ状態にし、高圧内130℃の湿熱雰囲気内に繊度×0.1倍(g)をかけつつ、10分間入れた。処置終了後の糸は自然乾燥を行い、糸長を再度測定した。処置後の糸長を処置前の糸長5000mで割って百分率表示として湿熱処置後の収縮率とした。
湿熱処理後の強度、伸度、15%SSC:
湿熱処理後の繊維の強度および伸度は湿熱処置後の糸をオリエンテック社製のテンシロンを用いてサンプル長25cm、伸張速度30cm/minで測定し、サンプル破断した時の強度と伸度である。15%LASEは上記の測定時のサンプルが15%伸張した時の応力を測定した。
節数の数の評価:
整経機のクリール出口に設置されているドロッパー前に隙間が糸径×1.1倍で公差±2μmとなる12本通しのスリットガイド設置した。そのスリットガイドに糸を通し、12本×8段=96本をそれぞれ糸速500m/minにて各糸長20万m整経した。その際、スリットガイドにて断糸した回数を節の数と見なし、整経中での断糸回数を測定した。検出した断糸回数を糸長10万m換算して評価を行った。
糸削れの評価:
スルーザー型織機により、織機の回転数250rpmとして織幅1インチあたり300本の経糸を用いてメッシュ織物を製織し、織りあがった反物を検反機にて目視検査を行った。この時、通常黒に見えるメッシュ模様が白色化して見える織物欠点の数を数えて評価した。
織幅1.5m×織物長さ300mあたり糸削れによる欠点5個未満を○、5以上10ヶ未満を△、10ヶ以上を×と判定した。
ヒステリシス評価(スクリーン紗寸法安定性代用特性):
湿熱処理後の原糸に7%伸長時の荷重を初期荷重としてかけ、そこから更に1.5%連続伸長を1000回させた時の荷重(B)が30回目の荷重(A)対比、C=B/A×100により得られるCの値が98%以下となる連続荷重回数が1000回以下は×、1000回以上は○とした。
制電性能評価:
延伸糸を筒編みもしくは織物として精練を行い、JIS−L−1094法に準じ、摩擦布は羊毛とし、測定室温を20℃、湿度40%とし、摩擦帯電圧を測定した。摩擦60秒後の帯電圧が500V以下を○、1000V以下を△、1000V以上を×とした。
[実施例1]
芯側に固有粘度0.87dL/gのポリエチレンテレフタレート、鞘側に制電剤として分子量10000のポリエチレングリコールとドデシルスルホン酸ソーダをポリエステル全重量に対してそれぞれ3重量%重合の末期に添加した固有粘度0.68dL/gの制電性ポリエチレンテレフタレートを使用し、双方とも295℃の温度にて溶融し放流開始から2時間後にサンプリングした。芯側の固有粘度は0.75dL/gで、鞘側の固有粘度は0.50dL/gであった。1200m/分の紡速にて巻き取りつつ、オイリングローラーにて油剤を付着させながら、未延伸糸を得た。その後、加熱されたホットローラーにて予熱後、スリットヒーター200℃で加熱しながら3.8倍で延伸し、0.03倍のリラックス処理を施した後、巻き取り、13dtex−1filの延伸糸を得た。得られた延伸糸は強度6.0cN/dtex、伸度25%、5%LASE 3.9cN/dtex、湿熱収縮率7.0%、沸水処理後の強度は6.0cN/dtex、伸度32%、15%LASEは4.2cN/dtexであった。原糸の節糸発生個数は0個であった。この原糸をスルーザー型織機で製織した際、糸削れ発生による織物欠点は300mあたり0ヶであった。ヒステリシス評価は○であった。制電評価は○であった。仕上げ加工したスクリーン紗を連続印刷したところ、伸びが少なく寸法安定性に優れるものであった。
[比較例1]
実施例1においてリラックス延伸を止め、その部分で1.2倍延伸を実施し、得られた延伸糸を13dtexと合せた。得られた延伸糸は強度6.2cN/dtex、伸度20%、5%LASE 4.4cN/dtex、湿熱収縮率10.0%、沸水処理後の強度は6.1cN/dtex、伸度38%、15%LASEは3.5cN/dtexであった。原糸の節糸発生個数は0個であった。この原糸をスルーザー型織機で製織した際、糸削れ発生による織物欠点は300mあたり3ヶであり、ヒステリシス評価は×であった。制電評価は○であった。仕上げ加工したスクリーン紗を連続印刷したところ、伸びが大きく寸法安定性に問題があった。
[実施例2]
実施例1において、延伸実施時のスリットヒーター温度を200⇒230℃に変更した以外は実施例1と同様な方法で延伸糸を得た。得られた延伸糸は強度6.1cN/dtex、伸度24%、5%LASE 3.9cN/dtex、湿熱収縮率5.8%、沸水処理後の強度は6.1cN/dtex、伸度32%、15%LASEは4.3cN/dtexであった。原糸の節糸発生個数は0個であった。この原糸をスルーザー型織機で製織した際、糸削れ発生による織物欠点は300mあたり0ヶであった。ヒステリシス評価は○であった。制電評価は○であった。仕上げ加工したスクリーン紗を連続印刷したところ、伸びが少なく寸法安定性に優れるものであった。
[比較例2]
実施例1において、芯鞘の比率を95:5にて紡糸した以外は、実施例1と同様な方法で延伸糸を得た。得られた延伸糸は強度5.9cN/dtex、伸度24%、5%LASE4.2cN/dtex、湿熱収縮率15.0%、沸水処理後の強度は5.8cN/dtex、伸度33%、15%LASEは4.5cN/dtexであった。芯成分が糸表面に露出した部分が多い影響で糸削れによる織物欠点が多く、織物欠点は300mあたり8ヶであった。また、鞘成分の吐出量が下がった影響で溶融領域内での滞留が長くなり、若干節糸が発生した。原糸の節糸発生個数は6個であった。ヒステリシス評価は○であった。制電性評価も鞘側が薄く、芯側の露出が多く×であった。
実施例1〜2、比較例1〜2の結果を表1にまとめる。
Figure 0004773919
本発明は、表面が改質された芯鞘複合モノフィラメントに関し、ハイメッシュでハイモジュラスで且つ寸法安定性、帯電防止性に優れたスクリーン紗を得るのに好適であり、スクリーン印刷用のメッシュ織物としてプリント配線基盤の製造などの高度な精密性を要求される用途に有用である。

Claims (2)

  1. 繊維成形性ポリマーを芯成分、ポリエステルを鞘成分で構成される芯鞘型複合モノフィラメントにおいて、下記A〜Iを満足することを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメント。
    A.モノフィラメントの湿熱処理前の原糸最大点強力が5.5〜8.0cN/dtex、5%伸張時の強度が3.5〜5.0cN/dtex、最大点伸度が20〜35%、湿熱収縮率が2.5〜9.0%であること。
    B.モノフィラメントの湿熱処理後の原糸最大点強力が5.0〜7.5cN/dtex、15%伸張時の強度が4.0〜7.0cN/dtex、最大点伸度が20〜40%であること。
    C.芯側ポリマーの固有粘度が0.70〜1.00dL/gであること。
    D.鞘側ポリマーが、芳香族ポリエステル100重量部に対して、制電剤としてポリオキシアルキレン系ポリエーテルを0.2〜30重量部及び該ポリエステルと実質的に非反応性の有機イオン性化合物を0.05〜10重量部含有するポリエステルであること。
    E.鞘側ポリマーの固有粘度が0.40〜0.55dL/gであること。
    F.ポリマーの芯鞘比率が30:70〜70:30であること。
    G.鞘側の複屈折率が140×10−3〜170×10−3であること。
    H.単糸繊度が4〜24dtexであること。
    I.モノフィラメントの繊維長手方向50万メートルで繊維直径に対し1.1倍以上の節糸が1個以下であること。
  2. 湿熱処理後の原糸に7%伸張時の荷重を初期荷重としてかけ、そこから更に1.5%連続伸長を1000回させた時の荷重(B)が30回目の荷重(A)対比、C=(A−B)/A×100により得られる強力劣化(C)が0〜1%である請求項1記載のスクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメント。
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