JP4774589B2 - 高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高炉の炉内に補助燃料を吹込む操業の一形態であって、微粉炭と粉粒状ないし細片状の合成樹脂材とを同時に、多量に吹き込む技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高炉操業においてはコークスを主な燃料としてきたが、近年、羽口からの補助燃料の吹込みが盛んに行われている。その中でも特に、微粉炭は高価なコークスの使用量低減に寄与すると共に、コークス炉の稼働率減少による寿命延長につながる。その結果、溶銑の製造コストを低下させうる手段として注目されている。
このような理由から、高炉に微粉炭を多量に吹き込む技術は急速に普及し、まためざましい進歩を遂げた。最近では「材料とプロセス11(1998)p834」にみられるように、所定高炉における月間の微粉炭吹込み比が、266kg/tを記録するという、超多量吹込み高炉も出現している。
一方、高炉の補助燃料としては、微粉炭の他に、合成樹脂材等の可燃性固体を用いることができる。特に、これまで焼却あるいは埋立て廃棄されてきた都市ごみ、あるいは産業廃棄物中に混在する使用済みプラスチック(廃プラスチック)の燃料化が可能となれば、省エネルギーやリサイクル及び環境保護の見地からも望ましい。
【0003】
なお、従来技術において、高炉羽口から吹き込まれる合成樹脂材としては、主に、上述した使用済みプラスティックが対象となっている。本発明においても、対象とする合成樹脂材は、例えば一般廃棄物に含まれるペットボトル等の容器、包装材、及びプラスチック工場の作業屑等の産業廃棄物を破砕あるいは造粒したものであり、主に10mm程度以下にしたものを対象とする。
【0004】
しかしながら、これらの合成樹脂材は、微粉炭が主として数10μm以下と微細であるのに比較して粒度が大きく、且つ着火性が悪いため、高炉羽口から吹き込まれた場合、未燃のまま羽口前方の燃焼帯(レースウェイ)に入り、高炉炉芯部分に侵入し、その結果、炉内におけるガスの通気性及び溶銑滓の通液性を妨げる傾向がある。従って、高炉羽口から多量に合成樹脂材を吹き込むと、高炉の生産性を低下させる恐れがある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、特開平9−137209号公報(以下、先行技術1という)、特開平8−260007号公報(以下、先行技術2という)、及び特開平7−228905号公報(以下、先行技術3という)に下記の技術が開示されている。
【0006】
先行技術1によれば、廃プラスティック吹き込み用ランスを、羽口を貫通させて設置し、レースウェイ内に廃プラスティックを直接吹き込むことにより、燃焼性の悪い廃プラスティックを2000℃以上の高温度場であるレースウェイ内で急速加熱させ、高燃焼率を得るというものが提案されている。
また先行技術2に開示された方法は、羽口部の送風支管を貫通させて設置した廃プラスティック吹き込み用ランスから廃プラスティックを吹き込むとともに、廃プラスティック吹き込み位置より送風支管の送風方向で50〜500ミリメートル手前に(上流側に)設置した微粉炭吹き込み用ランスから微粉炭を吹き込み、微粉炭の燃焼を先行させて形成した1500〜2000℃の高温雰囲気の温度場に廃プラスティックを吹き込むことにより、廃プラスティックの燃焼促進を図るというものである。
【0007】
先行技術3には、微粉炭と粒状あるいは粉状プラスチックの混合物を高炉へ吹き込む方法が提案されており、例えば、微粉炭及びプラスティック粉をそれぞれの供給ホッパーから切り出し、粉体の分配器まで空気で搬送し、分配器で数10本の各羽口に分配して搬送配管を経て、送風支管内に挿入されたノズルから羽口を通して炉内へ吹き込むという方法が示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
先行技術1〜3の方法によれば、燃焼性の悪い廃プラスティックの燃焼促進が可能で高燃焼率が得られるとしている。しかしながら、いづれの方法にもそれぞれ下記に示すような問題があり、実用上好ましくないことが明らかとなった。
即ち、先行技術1の方法では、極めて熱負荷の大きい高炉羽口を貫通して、廃プラスチック吹込み用ランスを設置しなくてはならないため、羽口が溶損する。そのため、羽口の交換工事が必要となり、溶銑の生産性が悪化した。羽口溶損の原因として、羽口は通常純銅製で水冷構造を有するが、廃プラスチック吹込み用ランスの設置によりこの水冷機能が十分に働かなくなったものと推定される。このように、羽口を貫通させて吹込みランスを設置する場合、径が数mm程度の細いランスであれば、設置することも十分に可能であったが、粒径が10mm程度もある廃プラスティックを吹き込むためには、その吹込み用ランスの径は少なくとも20mmを超えるものが必要となり、従来の羽口には取り付けられないか、取り付けても水冷機能が上手く働かないかのいずれかである。従って、先行技術1に開示された方法は、優れているにもかかわらず、実施が困難で、羽口の改造に高額のコストがかかり、実用上は好ましくないと言わざるを得ない物である。
先行技術2の方法によれば、廃プラスティックの燃焼性向上にある程度の効果を得ることはできる。しかしながら、先ず微粉炭を燃焼させ、その燃焼熱により送風空気を加熱し、次いで加熱された空気で廃プラスティックを加熱するという過程をとるので、大きな効果は見込めない。これに対して、微粉炭の燃焼熱を直接廃プラスティック粒子に与えることができれば、さらに効果は向上するものと考えられる。
先行技術3の方法は、本発明者等の知見によれば、例えば、粉体の分配器以降の搬送用配管内の粒子の搬送速度が廃プラと微粉炭で等しい場合に、微粉炭の炭種やプラスティック粒子の粒径等、搬送速度以外のそれぞれのパラメータを変更しても、プラスチックの燃焼性改善効果はみられない。即ち、先行技術3の方法では、プラスチックの燃焼性改善に対して十分な効果が得られない。
この発明は上記のような問題点を改善するためになされたものであり、この発明における解決すべき課題は、高炉羽口から微粉炭と合成樹脂材とを同時に吹き込むに当たり、合成樹脂材の燃焼性を向上させることができる適切な吹き込み技術を開発することにある。そして、この発明の目的は、多量の合成樹脂材を微粉炭と共に吹き込むことにより、溶銑製造コストを低減することができ、且つ高生産性を確保できる安定した高炉の操業方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
高炉の羽口から微粉炭と共に吹き込まれた合成樹脂材の燃焼性が十分に改善されないのは、先行技術2のように、先ず微粉炭を燃焼させ、その燃焼熱により送風空気(熱風)を更に加熱して高温場を形成させ、こうして高温に加熱された送風空気によって合成樹脂材を加熱するという過程をとらせるので、微粉炭の燃焼熱利用効率が悪かったり、あるいは先行技術3のように、単に、微粉炭と合成樹脂材との混合物を気体搬送により炉内へ吹き込むという方法をとるだけでは、元来良好な燃焼性をもつ微粉炭の燃焼熱を、合成樹脂材に効率よく伝えることができないからである。従って、微粉炭の燃焼熱を、合成樹脂材に直接、効率よく与えることができれば、合成樹脂材の燃焼性を向上させることができることに着眼した。
【0010】
そこで、本発明者等は、微粉炭の燃焼熱により直接、合成樹脂材を加熱する方法として、合成樹脂材の表面に微粉炭を付着させて外装化し、こうして表面に微粉炭が外装化された状態の合成樹脂材を、適切な燃焼可能なゾーンに供給することが効果的であるとの着想を得た。更に、微粉炭を合成樹脂材の表面に付着させ、且つ、合成樹脂材の表面に付着した微粉炭がその表面から離脱しないうちに、上記燃焼可能なゾーンにこれらを供給するための技術を開発することにした。
【0011】
このような着眼のもとに検討を重ねた結果、本発明者等は、微粉炭を合成樹脂材の表面に付着させる条件として、微粉炭を合成樹脂材に衝突させて付着させる方法が効果的であること、そして、このように衝突させて付着させるためには、微粉炭及び合成樹脂材のそれぞれの粒子に対して、その両者間に飛行速度の差を与えることが理論上不可欠であることに着眼した。
【0012】
このような、微粉炭の飛行速度と合成樹脂材の飛行速度との間に差を生じさせる条件を、高炉羽口部から微粉炭と合成樹脂材とを吹込む操業形態において設備的に無理なく得るためには、先ず、微粉炭と合成樹脂材とをそれぞれの貯留容器から異なる搬送路で気体搬送して、それぞれの混合流体を形成させ、次いで両方の混合流体を合流させることにより、飛行速度が異なる微粉炭と合成樹脂材との両方の粒子が同一搬送流体内を移動する、新しい混合流体を形成させる。こうして合流後の新しい混合流体内、即ち合流体内で、微粉炭を合成樹脂材の表面に衝突・付着させる。そして、この付着状態が維持されている間に、高炉の送風支管内ないし羽口内を流れている熱風中に、適切な吹込みランスの先端から、微粉炭と合成樹脂材とを含んだ上記合流体を噴射する。
【0013】
なお、この発明において、微粉炭と合成樹脂材との付着・被付着関係において、表面に付着させるものとして微粉炭を選定し、合成樹脂材は表面を外装される側のものにした理由は、両者の大きさ関係が通常、微粉炭の粒径が数十μm以下を主体とするのに対して、合成樹脂材は凡そ1mmから10mm程度のものが主体を占めるように調製されることが多いからである。
【0014】
このようにして熱風中に噴射された、微粉炭が表面に付着して外装化された合成樹脂材は、先ず、表面に付着している着火性及び燃焼性のよい微粉炭が燃焼し、微粉炭の燃焼熱は直接合成樹脂材に与えられる。従って、微粉炭の燃焼熱は極めて効率よく合成樹脂材に与えられる。こうして、合成樹脂材は微粉炭の燃焼に誘導されて燃焼性が一段と向上する。
【0015】
本発明者等は、上記検討と着想に基づき、高炉羽口から吹き込むための合成樹脂材と微粉炭との混合方法について詳細に検討を行ない、先ず、以下の方法を創案した。
【0016】
図1は、本発明に係る高炉における微粉炭と合成樹脂材との同時吹込み操業方法の実施の基本的形態を説明するための、高炉羽口部の縦断面模式図である。
同図において、1は高炉下部に設けられた羽口であり、高炉鉄皮4及び耐火物5を貫通して設置されている。高炉への送風温度は通常、1200℃程度であり、送風支管2及び羽口1を通って炉内に供給される。その際、微粉炭と合成樹脂材との同時吹込みを、次のようにして行なう。即ち、合成樹脂材7aを気体搬送により合成樹脂材搬送ライン7で搬送して、合成樹脂材7aを含んだ混合流体をつくり、一方、微粉炭8aも気体搬送により微粉炭搬送ライン8で搬送して微粉炭8aを含んだ混合流体をつくり、両者を合流点9で合流させる。合流された新しい混合流体(この明細書で「合流体」という)を粉粒体吹込み用ランス6に導入する。粉粒体吹込み用ランス6は、その先端(噴射口)10の位置が熱風の送風支管2の内部ないし羽口1の内部であって、羽口1の先端(炉内側の先端)よりも手前(上流側)の位置にくるように、図1に示すように設置する。ここで、粉粒体吹込み用ランス6及びその先端部のノズル形状は、適切に設計することが重要であり、具体例を後で述べる。また、上記合流点9から粉粒体吹込み用ランス6の先端(出口)10までの距離は、関係する各装置や機構を設置するための所要長さ、即ち、合成樹脂材や微粉炭の気体搬送用配管及びその合流機構、合流後の気体搬送用配管や粉粒体吹込み用ランス6及びその接続機構等が必要とする長さの範囲内において、できるだけ短くする。このようにするのは、合流点9以後において合成樹脂材7aの表面に付着した微粉炭8aが、当該合成樹脂材7aから離脱するものの割合ができるだけ少ないうちに粉粒体吹込みランス6から噴射するように制御するためである。こうして、送風支管2内部を流れてくる熱風11の中に、微粉炭8aが表面に付着した状態の合成樹脂材7aを噴出させて、合成樹脂材の燃焼性を改善し、高炉内に吹き込む。
【0017】
前述した通り、微粉炭を合成樹脂材に衝突させて付着させるためには、微粉炭8a及び合成樹脂材7aが共存する気流内部において、それぞれの粒子の飛行速度に差があることが理論上不可欠である。実操業において、このような理論上不可欠な状態に近づけるためには、合流点9直前における両者の飛行速度が異なっていれば、合流点9直後及びその後のある時間以内においては、合流後に両者の速度には差が生じる。よって、微粉炭8aは合成樹脂材7aの表面に付着すると考えられる。
【0018】
そこで、合流後に上記両者の速度に差を生じさせるための条件は、上記の他にないかどうかを検証した。
【0019】
先ず、微粉炭及び合成樹脂材の吹込み操作を考えた場合、それぞれの粒子速度を制御するには、それぞれの粒子の搬送用気体の流速を制御するのが現実的でやり易いこと、そして、この方法をとるときは、当該粒子の流速が当該搬送用気体の流速と同一になった状態において当該搬送用気体(搬送ガス)の流速を制御するのがやり易い。また、この発明に関する実用的設備においては、当該各粒子が合流点9まで運ばれてくる搬送路の長さとして、各粒子速度が、搬送ガス速度に実際上等しくなるのに必要且つ十分な長さ、即ち10m以上が確保されている。ここで、各粒子速度が搬送ガス速度と等しくなるのに要する距離が10m程度以上あればよいということは、当該粒子の粒径及び密度、搬送用気体の流体密度及びその粘性、並びに当該搬送用流体の現実的な設定流速範囲と、この発明において対象としている設備・装置類との寸法規模から推定すると、明らかである。なお、この推定には、後述する(3)及び(4)式を適用すれば容易に説明できる。
【0020】
一般に、微粉炭8aや合成樹脂材7a等の粒子が、流体中をその流れに沿って運動する場合、当該粒子がある速度で運動してきた粒子が、ある位置からそれまでの当該粒子の速度とは異なる流速を有する次の流体中に入って運動するときには、当該粒子の流速は、当該次の流体の流速に依存して、加速又は減速される。
【0021】
このように、この発明で対象とするような、二つの異なる混合流体の合流によりその合流点を境にして、合流前の流体中にあった粒子の流速が合流後の当該次の流体中で加・減速される場合、合流による加・減速後における当該粒子の流速は、下記(1)及び(2)式又は(3)及び(4)式に示す所定粒子qの合流後の経過時間その他の因子により定まる流速vqを求める式を適用して求めることができる。
【0022】
粒子qの粒子レイノルズ数Req≦1のとき:
vq=vq0+(uq−vq0)(1−e-t/τq) ‥‥‥‥‥‥(1)
但し、
vq :合流後t秒後の粒子qの速度(m/s)
vq0 :合流直後の粒子qの速度(m/s)
uq :合流後の搬送流体(ガス)の速度(m/s)
t :合流後の経過時間(s)
τq :粒子qの緩和時間(s)
τq=Dq 2(ρq+ρf/2)/18ηf ‥‥‥‥‥‥(2)
Dq:粒子qの粒径(mm)
ρq:粒子q密度(kg/m3)
ρf:合流後の搬送流体(ガス)の密度(kg/m3)
ηf:合流後の搬送流体(ガス)の粘性(kg/m・s)
で表わされる。
【0023】
これに対して、高炉羽口からの微粉炭や粉粒体状合成樹脂材の吹き込み操作では、一般に、粒子レイノルズ数Req>1であり、この場合の合流による加・減速後t秒後の粒子qの速度vq(m/s)の近似解は、
vq=vq0+(uq−vq0)(1−e-At/τq) ‥‥‥‥(3)
但し、
A=70.13(logReq)−189.93 ‥‥‥‥(4)
Req:粒子レイノルズ数(−)
但し、高炉羽口からの微粉炭や粉粒体状合成樹脂材を吹き込む操作条件下では、
100<Req<10000
6×10-3<t/τq< 10-1
に限定されるが、実用上はこれで十分である。
【0024】
そこで、前記図1の高炉羽口1からの微粉炭8a及び合成樹脂材7aの吹込み操業において、合流点9直前における微粉炭8aの搬送ガス速度uc(m/s)、及び合流点9直前における合成樹脂材7aの搬送ガス速度up(m/s)、並びに、合流後における搬送ガス速度um(m/s)が、例えば、下記関係:
um>uc>up
にある場合を考える。
【0025】
但し、微粉炭8a及び合成樹脂材7aの各貯留容器から合流点9までの各搬送路の長さは10m以上あり、これにより合流直前のそれぞれの粒子速度が、それぞれの搬送ガス速度に等しくなるのに必要な長さが確保されているものとする。
【0026】
合流点9以降における微粉炭8aの速度vcは、上記(3)及び(4)式を適用して下記(5)〜(7)式で表わされる。但し、合流直後の微粉炭の流速(従って、合流後の微粉炭8aの初期流速)vc0は、微粉炭8aの貯留容器から合流点9までの各搬送路の長さが上記の通り確保されているので、(5)式中の合流直前の微粉炭搬送ガスの流速ucに等しい。
【0027】
vc=uc+(um−uc)(1−e-Act/τc) ‥‥‥‥‥‥(5)
但し、
vc :合流後t秒後の微粉炭の流速(m/s)
uc :合流直前の微粉炭搬送ガスの流速(m/s)
um :合流後の搬送ガスの流速(m/s)
t :合流後の経過時間(s)
Ac=70.13(logRec)−189.93 ‥‥‥(6)
Rec:微粉炭の粒子レイノルズ数(−)
但し、
100<Rec<10000、且つ、
6×10-3<t/τ< 10-1
τc :微粉炭の緩和時間(s)
τc=Dc 2(ρc+ρf/2)/18ηf ‥‥‥‥‥(7)
Dc:微粉炭の粒径(mm)
ρc:微粉炭の密度(kg/m3)
ρf:合流後の搬送流体密度(kg/m3)
ηf:合流後の搬送流体の粘性(kg/m・s)
一方、合流点9以降における合成樹脂材7aの流速vpは、上記微粉炭の流速算定式(5)〜(7)式に準じた、下記(8)〜(10)式で表わされる:
vp=up+(um−up)(1−e-Apt/τp) ‥‥‥‥‥‥(8)
Ap=70.13(logRep)−189.93 ‥‥‥(9)
τp=Dp 2(ρp+ρf/2)/18ηf ‥‥‥‥‥(10)
但し、(8)、(9)及び(10)式中の各変数及び定数の添字pは、合成樹脂材7aを指すものである。
【0028】
このように、合流点9以降における微粉炭8aの速度vcと合成樹脂材7aの速度vpとは異なる。そして、(5)及び(8)式より明らかなように、合流点9以降において、微粉炭8aも合成樹脂材7aも共に、時間経過につれて加速され、所要時間の経過後にはそれぞれの流速vc及びvpはいずれも、合流後の搬送ガスの流速umに収束する。但し、合流後の搬送ガスの流速umに収束するまでの所要時間及びその収束に至るまでの速度変化は、それぞれのレイノルズ数RecとRepとの差は、それほど大きくないので、それぞれの緩和時間τc及びτpの影響を大きく受け、微粉炭と合成樹脂材とでは大きく異なる。
【0029】
図2に、合流後における微粉炭8a及び合成樹脂材7aのそれぞれの流速の変化状況を模式的に示す。同図は、微粉炭8aの粒径を50μm、合成樹脂材7aの粒径を5mmとしたときのものである。このように、緩和時間の短い微粉炭8aは合流後、速やかに加速されるのに対して、緩和時間の長い合成樹脂材の加速は緩慢となる。
【0030】
こうして、合流点9以降で微粉炭8aと合成樹脂材7aとの間には速度差が生じ、粒子間の衝突により付着し、合成樹脂材7a表面への微粉炭8aによる外装化が可能となる。
【0031】
以上、各搬送ガス速度が、um>uc>upの関係にある場合について検討した。これと同様の検討を、各搬送ガス速度間の関係がum>uc>up以外の場合についても、前記(3)及び(4)式に基づき、(5)〜(7)式、及び(8)〜(10)式に準じた式を誘導し、それに基づき検討することが容易である。その検討結果によれば、合流点9以後の新しい混合流体(合流体)において、微粉炭8aと合成樹脂材7aとの間に速度差が生じないのは、各搬送ガス速度の関係が、um=uc=upのときに限られることがわかった。この場合には合成樹脂材表面への微粉炭による外装化は生じない。
【0032】
以上により、合流点9直前の微粉炭の搬送ガス速度uc、合流点9直前の合成樹脂材の搬送ガス速度up、及び合流点9以後の搬送ガス速度umの内、少なくとも1つが他と異なる速度である場合には、微粉炭が合成樹脂材の表面に外装化されることがわかった。
【0033】
図3(a)に、合成樹脂材7aが微粉炭8aによって外装化された、外装化粒子12の状態の模式図と、この外装化粒子12が送風支管2、羽口1ないし炉内へ吹き込まれたときの燃焼状態の推定模式図を示した。このように、外装化粒子12が燃焼空間に供給されると、先ず合成樹脂材8aの表面に外装化された微粉炭8aに着火し、その燃焼熱が効果的に合成樹脂材8aの燃焼に利用されるので、その燃焼性が向上すると推定される。これに対して、先行技術2等の従来技術においては、実際上、外装化粒子12が形成されていないので、微粉炭8aの燃焼熱は合成樹脂材7aの燃焼性向上に実際上寄与しない。
【0034】
次に、合流点9とランス先端10の間の距離Lの適正値について検討を行なった。
【0035】
長距離の搬送過程においては、例えば自然分離、あるいは炉壁との接触等により、合成樹脂材7aの粒子表面に外装化された微粉炭8aの粒子がその表面から分離するものが発生する。ところで、微粉炭8aを含んだ混合流体と合成樹脂材7aを含んだ混合流体とが合流した後の、外装化粒子を形成していない自由な粒子(微粉炭8a及び合成樹脂材7a)の存在を考えると、これら粒子の速度は、十分な時間経過後には搬送ガス速度と等しくなる。従って、微粉炭8aの粒子が上記現象により合成樹脂材7aの粒子表面から一旦分離すると、搬送ガス、合成樹脂材7a粒子及び微粉炭8a粒子はすべて等速で運動することになるので、再外装化は極めて起こりにくい。従って、合流後、外装化された粒子が燃焼領域へ供給されるまでの搬送路の長さ、即ち、図1における合流点9から粉粒体吹込み用ランス6の先端10までの距離Lは、外装化粒子と被外装化粒子との速度差による外装化が行なわれるのに十分な時間、従って十分な距離を与えられている限り、短い方が良い。
【0036】
上記観点から、本発明者等は、実機試験設備で試験を繰り返し行なった結果、微粉炭8aを含む混合流体と合成樹脂材7aを含む混合流体とを合流させた後、合成樹脂材7aの緩和時間τpの1/100以内の時間で炉内に吹き込むと、燃焼効率を著しく高くすることができることを見出した。また、外装化を行なうために必要な最小限の時間は、当該実機試験設備を用いて行ない得た合成樹脂材7aの緩和時間τpの最小比率換算(合流点9から粉粒体吹込み用ランス6の先端10までのとり得る最小距離)の条件下においても、合成樹脂材7aの燃焼効率は著しく向上した。ここで、当該実機試験設備における合成樹脂材7aの緩和時間τpは、凡そ、30〜300sec程度である。従って、合流後極めて短時間の内に、上述した外装化が十分に行なわれるものと考えられる。よって、実機における吹込み操業においては、合流点9から粉粒体吹込み用ランス6の先端10までの許容最大距離Lmaxだけを規定すればよい。なお、上記検討における合成樹脂材7a燃焼効率を、後に説明する(15)式で表わす、高炉に吹き込まれた微粉炭8a及び合成樹脂材7aの燃焼率α(={(496−コークス比)/(微粉炭吹込み比+合成樹脂材吹込み比)}×100(%))で評価した。
【0037】
次いで、実機における粉粒体吹込み設備の設計諸元を決める観点から、特に粉粒体吹込み用ランス6の長さの制限及びその先端10の設置位置の制限条件を求めるために、(8)〜(10)式で示した、合流後t秒後における成樹脂材7a粒子の速度vp(m/s)に基づき、合流点9から粉粒体吹込み用ランス6の先端10までの搬送路長さに換算するため、(8)式をtで積分して下記(11)式:
L≡∫vpdt=umt−(τp/Ap)(um−up)(1−e-Apt/τp)
‥‥‥‥‥‥‥‥(11)
但し、
Ap=70.13(logRep)−189.93 ‥‥‥(9)
τp=Dp 2(ρp+ρf/2)/18ηf ‥‥‥‥‥(10)
を導いた。(11)式をt=0からtまで積分し、次いで、t=τp/100を代入すると、合流点9から粉粒体吹込み用ランス6の先端10までの許容最大距離Lmaxが求められ、それは下記(12)式で表わされる。即ち、
Lmax=umτp/100−(τp/Ap)(um−up)(1−e-Ap/100)
‥‥‥‥‥‥‥‥(12)
但し、
up:合流直前の合成樹脂材の搬送ガス流速(m/s)
um:合流後の搬送ガスの流速(m/s)
τp:合成樹脂材の緩和時間(s)
τp=Dp 2(ρp+ρf/2)/18ηf ‥‥‥‥‥(13)
Dp:合成樹脂材の粒径(mm)
ρp:合成樹脂材の密度(kg/m3)
ρf:合流後の搬送ガスの流体密度(kg/m3)
ηf:合流後の搬送流体の粘性(kg/m・s)
Ap=70.13(logRep)−189.93 ‥‥‥‥‥(14)
Rep:微粉炭の粒子レイノルズ数(−)
但し、前述した通り、合成樹脂材の粒径>微粉炭の粒径が満たされている、
が得られる。
【0038】
次に、この発明の課題を解決するために望ましい、合流点9における微粉炭8aを含む混合流体の運動方向と、合成樹脂材7aを含む混合流体の運動方向とによって挟まれる角(この明細書で「合流角」という)θの値について検討する。
【0039】
この発明においては、合流点9以後の合流体内において、微粉炭8a粒子を合成樹脂材7a粒子の表面に付着させる方法として、当該合流体内における両者の速度差を発生させ、この速度差を利用して両者を衝突させて、微粉炭8aを合成樹脂材7aに付着外装させようとする。この観点から、本発明者等は、図1に示した高炉における微粉炭と合成樹脂材との同時吹込み操業方法の実施の基本的形態で行なった実機試験の結果を解析した。その結果、図4に示すように、合流点における混合流体の合流角が、合成樹脂材7aの燃焼効率に及ぼす影響が明らかになった。
【0040】
図4は、高炉操業条件として、送風温度1200℃、酸素富化率3.2%、調湿蒸気25.3g/Nm3、溶銑温度1500℃の一定とし、各搬送ガスの速度及び混合流体の合流角を種々に変化させたときの試験結果である。なお、合流点9から粉粒体吹込み用ランス6先端までの距離はすべて、上記の許容最大距離Lmax以下の一定値で試験し、吹き込んだ微粉炭8aの平均粒径は58μm、合成樹脂材7aの平均粒径は5mmである。
【0041】
同図において、u1、u2は合流点9までの搬送ガス速度であって、u1<u2、即ち、微粉炭8a又は合成樹脂材7aの各搬送ガス速度の内、大きい方の搬送ガス速度をu2、小さい方をu1で表わす。従って、横軸のu2−u1cosθは、搬送ガス速度が大きい方の混合流体の速度方向の、両搬送ガスの速度成分差である。同図より明らかなように、この両搬送ガスの速度成分差(この明細書では「高速搬送ガス方向の速度成分差」という)が、1.5m/sを境にして、これよりも大きくなるような合流角で混合流体が合流すると、微粉炭8a及び合成樹脂材7aの燃焼率αが著しく向上する。但し、当該燃焼率αは、下記(15)式で定義するものである。即ち、
α={(496−CR)/(PCR+PLR)}×100‥‥‥‥‥(15)
但し、
α :燃焼率(%)
CR :コークス比(kg/t−溶銑)
PCR:微粉炭吹込み比(kg/t−溶銑)
PLR:合成樹脂材吹込み比(kg/t−溶銑)
であり、燃焼率αが大きいほど、吹き込まれた補助燃料、即ち、微粉炭8a及び合成樹脂材7aが有効に利用されているを意味する。
【0042】
なお、合流点9における混合流体の合流角が、90°を超えるときには、上記u2−u1cosθの値は常に、1.5m/sよりも大きく、燃焼率αは高い値を示し、良好であった。
【0043】
従って、θ≦90°のとき、
u2−u1cosθ>1.5(m/s)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(16)
但し、
であることが望ましく、90°<θ<180°のときは、u2−u1cosθを特に規定するには及ばない。
【0044】
上記(15)式で表わされる燃焼率αは、微粉炭8aと合成樹脂材7aとの両方を区別することなく、両者の総合的燃焼率を表わす。しかしながら、高炉羽口からの微粉炭吹込み操業と合成樹脂材吹込み操業とにおけるそれぞれの燃焼率を比較すると、操業条件にも依存するが、微粉炭燃焼率は合成樹脂材燃焼率に比較して著しく高い。従って、(15)式による両者の同時吹込み操業時における両者の総合的燃焼率αで、合成樹脂材の燃焼効率を評価するための指数として用いることができる。
【0045】
次に、図1において、合流点9においては、微粉炭8a及び合成樹脂材7aが高速で搬送管の内面に衝突する。ここにおける配管の摩耗は、一般に搬送粒子の速度の2.21乗に比例して増加する。この配管摩耗を抑えるためには、搬送方向に対して垂直な方向の速度成分を一定値以下に抑えるのが効果的である。
【0046】
そこで、本発明者等は、高炉操業のオフラインにおいて、微粉炭8a及び合成樹脂材7aの粒子搬送試験を重ねた結果、下記(17)式:
(u1sinθ)/u2<1.25 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(17)
を満たすことにより、配管内面の摩耗量を配管メンテナンス上望ましい一定値以下に抑えることができることがわかった。
【0047】
以上より、θ≦90°のとき、
u2−u1cosθ>1.5 (m/s)‥‥‥‥‥‥‥‥‥(16)
且つ、
(u1sinθ)/u2<1.25 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(17)
であることが望ましく、また、90°<θ<180°のときは、
(u1sinθ)/u2<1.25 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(17)
であることが望ましいことがわかった。
【0048】
上記において、(16)式は、合流点9より上流における両混合流体の搬送ガスについて、「高速搬送ガス方向の速度成分差」の望ましい最小値を規定し、(17)式は、合流点9における配管摩耗を考慮した場合に、混合流体の合流角の望ましい限界角度を規定するものである。
【0049】
この発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は次の通りである。(a)の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法は、高炉羽口部から微粉炭と粉粒状ないし細片状合成樹脂材とからなる補助燃料を同時に吹き込む高炉の操業において、上記微粉炭を上記合成樹脂材の表面に付着させ、微粉炭が表面に付着した合成樹脂材を吹き込むことを基本とするものである。即ち、微粉炭が合成樹脂材の表面に外装化された複合的な粒子を、高炉羽口部に連接する送風支管の内部ないし羽口の内部に先端が位置するように装備した、補助燃料用の吹込みランスから噴射させる。こうして、高炉羽口を通して、微粉炭によって外装化された合成樹脂材を炉内へ吹き込むことに特徴を有するものである。
【0050】
(b)の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法は、高炉羽口部から微粉炭と粉粒状ないし細片状合成樹脂材とからなる補助燃料を同時に吹き込む高炉の操業において、上記微粉炭と上記合成樹脂材とをそれぞれ異なる搬送路で気体搬送し、搬送ガスによって気体搬送されてきたそれぞれの混合流体、即ち、微粉炭を含んだ混合流体と合成樹脂材を含んだ混合流体とを合流させる。合流して得られた合流体を、高炉羽口部に連接する送風支管の内部ないし羽口の内部に噴射出口が位置するように装備した、補助燃料用の吹込みランスから噴射させる。こうして、微粉炭によって外装化された合成樹脂材を炉内へ吹き込むことに特徴を有するものである。
【0051】
(c)の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法は、(b)記載の発明において、それぞれの混合流体の合流直前における微粉炭の搬送ガス速度uc(m/s)、合流直前における合成樹脂材の搬送ガス速度up(m/s)、並びに、合流後におけるその微粉炭及びその合成樹脂材を含む搬送ガス速度um(m/s)の内、少なくとも1つが他と異なった搬送ガス速度になるように条件を設定して、微粉炭によって外装化された合成樹脂材を炉内へ吹き込むことに特徴を有するものである。
【0052】
(d)の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法は、(b)又は(c)に記載の発明において、上記混合流体の合流点から上記吹込みランスの噴射出口までの合流体の搬送路長さLを、下記(12)式で算出される許容最大距離Lmaxよりも短くなるように設定して、微粉炭によって外装化された合成樹脂材を炉内へ吹き込むことに特徴を有するものである。ここで、その算出式とは、下記の通りである。
【0053】
Lmax=umτp/100−(τp/Ap)(um−up)(1−e-Ap/100)‥‥‥‥‥‥‥‥(12)
但し、τp:合成樹脂材の緩和時間(s)
τp=Dp 2(ρp+ρf/2)/18ηf
Dp:合成樹脂材の粒子粒径(mm)
ρp:合成樹脂材の粒子密度(kg/m3)
ρf:混合流体を構成する搬送ガス流体の密度(kg/m3)
ηf:混合流体を構成する搬送ガス流体の粘性(kg/m・s)
Ap:定数
Ap=70.13(logRep)−189.93(−)
Rep:合成樹脂材の粒子レイノルズ数(−)
(e)の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法は、(b)、(c)又は(d)に記載の発明において、上記微粉炭を含む混合流体と上記合成樹脂材を含む混合流体との合流点における、それぞれの混合流体の運動方向によって挟まれる角θと、当該それぞれの混合流体を構成する搬送ガス速度との間に、下記(16)及び(17)式の関係が満たされるように設定して、微粉炭によって外装化された合成樹脂材を炉内へ吹き込むことに特徴を有するものである。
【0054】
0°<θ≦90°のとき、
u2−u1cosθ>1.5(m/s)‥‥‥‥‥‥‥‥‥(16)
且つ、
(u1sinθ)/u2<1.25 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(17)
90°<θ<180°のとき、
(u1sinθ)/u2<1.25 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥(17)
であること。但し、微粉炭の搬送ガス速度と合成樹脂材の搬送ガス速度との内、大きい方の搬送ガス速度をu2(m/s)、小さい方の搬送ガス速度をu1(m/s)とする。
【0055】
(f)の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法は、(b)〜(e)の内のいずれかに記載の発明において、上記合成樹脂材として、使用済みプラスチックを用いて、微粉炭によって外装化された使用済みプラスチックを炉内へ吹き込むことに特徴を有するものである。
【0056】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態について説明する。
【0057】
図5に、本発明の実施形態例を説明するためのフロー概略図を示す。これは、図1に示した本発明の実施の基本的形態を説明する高炉羽口部を含む、微粉炭及び合成樹脂材を同時に高炉羽口から吹き込むためのフローである。微粉炭13及び合成樹脂材としての廃プラスチック(使用済みプラスティック)14のそれぞれが、貯留タンク15、16から微粉炭噴射機17及び廃プラスチック吹込みタンク18によって切出され、圧縮窒素19及び圧縮空気20を搬送ガスとして、微粉炭13を含んだ混合流体21と、合成樹脂材14を含んだ混合流体22とが形成される。なお、微粉炭8aの搬送ガスとして、窒素ガスの替りに空気を用いてもよい。こうして、微粉炭13及び廃プラスチック14はそれぞれの輸送配管23、24を搬送路として気体搬送して、合流点9において合流させる。
【0058】
このように、微粉炭13と合成樹脂材14とを別個の混合流体に形成させ、これらを合流させるのは、この合流以後の合流体25内において、粒径が小さく且つ着火燃焼性のよい微粉炭13を、粒径が大きく且つ燃焼性の劣る合成樹脂材14(廃プラスチック13粒子)の表面に付着・外装化させるためである。即ち、合流操作により、両方の粒子の速度差が所定値以上ある飛行状態を利用して、上記付着・外装化を行なわせることができる。微粉炭13粒子と合成樹脂材14(廃プラスチック13粒子)との飛行速度差、即ち、合流体26内における両粒子の速度差を、前述した(16)式:u2−u1cosθ>1.5(m/s)を満たすように、両粒子の気体搬送条件(uc,up,um)、及び合流角θを決めることが重要である。但し、合流角θが90°を超えるときは、実機操業条件化下では(16)式は常に満たされているので、特に問題とするに及ばない。更に、合流点9近傍における輸送配管内面の摩耗を抑制するために、前述した(17)式:(u1sinθ)/u2<1.25を満たすように両粒子の気体搬送条件(uc,up,um)、及び合流角θを決めることが重要である。
【0059】
次いで、合流点9において合流し、微粉炭13と合成樹脂材14との両方の粒子を含んだ合流体25となって、粉粒体吹込みランス26に入り、その先端10(図1参照)から噴射される。
【0060】
粉粒体吹込みランス26の先端10の位置は、熱風11が送風される送風支管(ブローパイプ)2の内部ないし羽口1の炉内側先端1a(図1参照)よりも凡そ数十cm手前(上流側)にくるように設置する。粉粒体吹込みランス26の先端10の位置をこのように設定するのは、微粉炭13粒子により外装化された廃プラスチック14粒子が、熱風11内部に噴射されて、着火・燃焼性のよい微粉炭が速やかに反応し、次いで羽口1の前方に形成されているレースウェイ27内で効率よく燃焼するようにするためである。
【0061】
更に、上記合流点9から、粉粒体吹込みランス26の先端10である噴出口までの距離Lは、前述した(12)式:Lmax=umτp/100−(τp/Ap)(um−up)(1−e-Ap/100)‥‥‥‥‥‥(12)よりも短くすることが重要である。但し、τp:合成樹脂材の緩和時間(s)、τp=Dp 2(ρp+ρf/2)/18ηf、Dp:合成樹脂材の粒子粒径(mm)、ρp:合成樹脂材の粒子密度(kg/m3)、ρf:混合流体を構成する搬送ガス流体の密度(kg/m3)、ηf:混合流体を構成する搬送ガス流体の粘性(kg/m・s)、Ap:定数であり、Ap=70.13(logRep)−189.93(−)、ここで、Rep:合成樹脂材の粒子レイノルズ数(−)である。このように、合流点9から噴出口までの距離Lを、上記Lmaxよりも小さくすることにより、合流点9以後の合流体25内部において形成された、廃プラスチック14表面に付着・外装化された微粉炭13が、離脱する割合ができるだけ小さい間に、この外装化された複合的粒子を高温燃焼場である熱風11中に噴射させるためである。即ち、こうすることにより、本発明が解決すべき重要な課題である、合成樹脂材7a(廃プラスチック14)の燃焼性向上を実現するための条件である、微粉炭13の燃焼熱を極めて効率よく合成樹脂材7a(廃プラスチック14)に伝えることができるからである。
【0062】
このように、合流点9から粉粒体吹込みランス26の先端10までの距離Lの最大値が、微粉炭13ではなく合成樹脂材14(廃プラスチック13粒子)の粒径Dpその他の物理特性値に依存して決まるとの実験結果が得られたのは、粒子の粒径をみると、この発明においても、従来技術におけると同じように、微粉炭の粒径が数十μm以下を主体とするのに対して、合成樹脂材は凡そ1mmから10mm程度のものを主体としているからである。
【0063】
【実施例】
この発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0064】
図1及び図5に示した、高炉羽口1からの微粉炭8a及び合成樹脂材7aの同時炉内吹込み説明図に従い、本発明の範囲内にある実施例1〜6及びその範囲外にある比較例1〜3の試験を行なった。試験は、内容積3443m3の実用高炉を用い、下記操業条件下において行なった。即ち、主な操業条件として、送風支管2から高炉に吹き込む熱風11の送風温度1200℃、熱風11への酸素富化率3.2%、熱風11への調湿用添加蒸気25.3g/Nm3、及び、溶銑温度1496〜1500℃とし、すべての試験に共通とした。
【0065】
実施例及び比較例における試験条件において、すベての試験に共通の条件として、微粉炭8aの吹込み量を160kg/t(一定値)、及び合成樹脂材7aの吹込み量を50kg/t(一定値)とし、一方、変化させた試験条件は、合流点9までの微粉炭8a及び合成樹脂材7aのそれぞれの搬送ガス速度、合流後の搬送ガス速度、合流点9における合流角θ、並びに、合流点9から粉粒体吹込み用ランス26の先端出口(噴射口)20までの距離であり、各種に変化させた。
【0066】
試験に用いた微粉炭8a及び合成樹脂材7aの性状をそれぞれ、表1及び表2に示す。微粉炭8aの粒度は、74μm以下のものが80mass%以上を占めるものであり、従来技術で用いられている微粉炭の一般水準にあり、一方、合成樹脂材7aとしては、都市ごみから回収された使用済みプラスティック(廃プラスティック)を破砕ないし造粒した、粒径10mm以下のものが100mass%(平均径で5mm)を占めるものである。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
また、粉粒体吹込み用ランス26の先端10からの噴射方向が、送風支管2の内周面や羽口1の内周面と交わらないようにするとともに、そのランス26の先端10の位置が、羽口1の後端1bから熱風の上流側約200mmの位置(送風支管2の内部)にくるように設置した。
【0070】
上記試験条件下で得られたそれぞれの操業成績より、微粉炭8aと共に吹き込まれた合成樹脂材7aの燃焼効率を、前述した(15)式の燃焼率α、即ち、
α={(496−CR)/(PCR+PLR)}×100‥‥‥‥‥(15)
で評価した。但し、α:燃焼率(%)、CR:コークス比(kg/t−溶銑)、PCR:微粉炭吹込み比(kg/t−溶銑)、PLR:合成樹脂材吹込み比(kg/t−溶銑)である。
ここで、燃焼率αは、炉内に吹き込まれた補助燃料(微粉炭+合成樹脂材)がどの程度燃焼し、コークス使用量をどれだけ減らすことができたかを示す指標を表わし、概ね90%以上であれば良好であるものと考えられている。更に前述した通り、燃焼率αが大きいほど、合成樹脂材7aの燃焼効率が良好であったことを示す。
【0071】
表3に、実施例及び比較例の各試験における、高炉への微粉炭8a(21)及び合成樹脂材7a(廃プラスティック22)の吹込み条件を示すと共に、得られた操業成績及び燃焼率α等、試験結果をまとめて示す。
【0072】
【表3】
【0073】
試験結果は表2より、以下の通りである。
【0074】
実施例1:
実施例1においては、合流点9まで微粉炭13と合成樹脂材14(廃プラスチック13粒子)とを異なった搬送路で気体搬送し、合流点前後の搬送ガス速度はすべて異なっており、そして、合流点までの粒子速度がより速い微粉炭の速度(uc)と、より遅い合成樹脂材の速度の微粉炭速度方向成分(upcosθ)との差(uc−upcosθ)が9.4m/sであって、その望ましい速度差((16)式参照)である1.5m/sよりも大きい。更に、合流後の搬送路長さ(L)が、この場合の望ましい許容最大距離(Lmax)である5.8mよりも短い距離の3.8mという条件で、微粉炭と廃プラスチックとを合流させて、この合流体25を粉粒体吹込みノズル26で熱風11中に噴射させた。ノズル26の噴射口位置は、前述した通り送風支管2の内部であって、羽口1の後端1bから熱風の上流側約200mmの位置である。
また、合流点における配管内面摩耗の抑制条件である、(u1sinθ)/u2<1.25((17)式参照)をも満たしている((ucsinθ)/up=0.94<1.25)。
【0075】
このように、実施例1における本発明の実施条件はすべての点において望ましいものであり、その結果、高炉操業におけるコークス比(CR)は290kg/tと好成績が得られ、燃焼率(α)は98.1%という極めて高い値が得られた。即ち、実施例1の方法により吹き込まれた微粉炭及び合成樹脂材(廃プラスチック)が補助燃料として有効に利用され、また、廃プラスチックの燃焼効率が著しく高かったことを示している。
【0076】
実施例2:
実施例2は、実施例1に対し、搬送ガス速度を変更した場合である。この場合も高い燃焼率が得られ、廃プラスチックの燃焼効率は良好であった。
【0077】
実施例3:
実施例3は、合流前後の搬送ガス速度をすべて同一とした場合である。この場合には燃焼率が90.1%(であり、ある程度良好な値が確保されている。
【0078】
実施例4:
実施例4は、合流点前後の搬送ガス速度をすべて異なったものとした点で、実施例1と同じであるが、合流前における合成樹脂材の搬送ガス速度を微粉炭の搬送ガス速度よりも速くした点で異なっている。その他の条件は、実施例1に準じたものである。この場合も、燃焼率αは98.1%と極めて高い値が得られ、微粉炭及び合成樹脂材が補助燃料として有効に利用され、また、廃プラスチックの燃焼効率が著しく高かったことを示している。
【0079】
実施例5:
実施例5は、実施例4に対し、合流角度が90°を超えた140°とした点が大きく変えた点である。この場合も高い燃焼率の95.7が得られ、廃プラスチックの燃焼効率が高かったことを示している。
【0080】
実施例6:
実施例6は、合流角度を10°と小さくしたものである。合流点前における微粉炭と合成樹脂材との粒子間速度差が、実施例1〜4に比べてかなり小さい場合である。この場合には燃焼率αは、90.5%であり、ある程度良好な値が確保されている。
【0081】
実施例1〜実施例6のいずれにおいても、高炉炉内の通気性及び通液性を評価する測定値は望ましい水準にあり、また、高炉操業は安定していた。
【0082】
比較例1:
比較例1は、微粉炭と合成樹脂材との合流点から粉粒体吹込みランス先端の噴出口までの距離を26mとし、上述した実施例における場合(2〜4m程度)よりも大幅に長くした場合であって、その他の条件は、実施例1と同じにした場合である。この場合の燃焼率αは、85.5%と低い値であった。これは、合流点から吹込み点までの距離が長すぎたために、合成樹脂材(廃プラスチック粒子)の表面に付着していた微粉炭が、合成樹脂材から分離し、その後、再付着が生じない状態で燃焼場に吹き込まれたものと考えられる。
【0083】
比較例2::
比較例2も、比較例1と同様、微粉炭と合成樹脂材との合流点から粉粒体吹込みランス先端の噴出口までの距離を26mと長くしたが、その他の条件は実施例4と同じにした場合である。この場合の燃焼率αは、85.0%と低い値であった。これは、比較例1と同様、合流点から吹込み点までの距離が長すぎたために、合成樹脂材(廃プラスチック粒子)の表面に付着していた微粉炭が、合成樹脂材から分離し、その後、再付着が生じない状態で燃焼場に吹き込まれたものと考えられる。
【0084】
比較例3:
比較例3は、微粉炭8a、21の吹込みを行なわず、合成樹脂材の単独吹込みの場合である。送風温度、溶銑温度、その他の操業条件は実施例1〜6と同一であるにもかかわらず、燃焼率αは74%と低い。このように、本発明の範囲外であって、合成樹脂材の表面に微粉炭が全く付着していない場合の燃焼率αは低く、従って、合成樹脂材(廃プラスチック粒子)の燃焼効率は極めて低く、燃料として有効に利用にくいことを示す結果となっている。
【0085】
上述した通り、微粉炭と合成樹脂材とを同時に高炉羽口を通して炉内へ吹き込む操業において、燃焼効率の劣る合成樹脂材の着火性及び燃焼性を改善するためには、微粉炭を合成樹脂材の表面に付着させ、微粉炭によって表面が外装化された合成樹脂材を燃焼場に噴射させて炉内に吹き込むことが重要であることが確認された。そして、そのような合成樹脂材の効率的な燃焼による高炉炉内への吹込み操業は、本発明の方法により行なわれ得ることがわかった。
【0086】
【発明の効果】
この発明によれば、上記のように、微粉炭と合成樹脂材(廃プラスチック)との混合吹き込み方法を適切に制御することで、その高燃焼率を達成することができ、高炉羽口からの吹込み燃料として有効に利用することができる。そして、炉内におけるガスの通気性及び溶銑滓の通液性も向上させることができ、微粉炭と合成樹脂材との同時、多量吹込み操業を安定して行なうことができる。従って、銑鉄製造コストの削減に多大な効果を奏することができる。このような高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す高炉羽口部近辺の縦断面模式図である。
【図2】 微粉炭と合成樹脂材とが気体搬送されて合流した後における、微粉炭及び合成樹脂材のそれぞれの流速の変化状況を模式的に示す図である。
【図3】 本発明の効果の発現メカニズムを示す模式図であり、合成樹脂材が微粉炭によって外装化されている場合と、外装化されていないとにおいける、着火・燃焼状態の推定模式図である。
【図4】 微粉炭と合成樹脂材との合流点における混合流体の合流角が、合成樹脂材の燃焼効率に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】 本発明の実施形態の例を説明するためのフロー概略図である。
【符号の説明】
1 羽口
1a 羽口先端(炉内側)
2 送風支管
3 レースウェイ
4 高炉鉄皮
5 高炉鉄皮
6 粉粒体吹込み用ランス
7 合成樹脂材搬送ライン
7a 合成樹脂材
8 微粉炭搬送ライン
8a 微粉炭
9 合流点
10 粉粒体吹込み用ランスの先端(噴射口)
11 熱風
12 外装化粒子
13 微粉炭
14 廃プラスチック
15 微粉炭貯留タンク
16 廃プラスチック貯留タンク
17 微粉炭噴射機
18 廃プラスチック吹込みタンク
19 圧縮窒素ガス
20 圧縮空気
21 微粉炭を含んだ混合流体
22 合成樹脂材を含んだ混合流体
23 微粉炭輸送配管
24 廃プラスチック輸送配管
25 合流体
26 粉粒体吹込みランス
27 レースウェイ
28 高炉
29 圧縮窒素供給装置
30 圧縮空気供給装置
Claims (3)
- 羽口部から微粉炭と粉粒状ないし細片状合成樹脂材とからなる補助燃料を同時に吹き込む高炉の操業において、当該微粉炭と当該合成樹脂材とをそれぞれ異なる搬送路で気体搬送し、当該気体搬送されてきたそれぞれの混合流体を合流させ、こうして得られた合流体を、前記羽口部に連接する送風支管の内部ないし羽口の内部に噴射出口が位置する、当該補助燃料用の吹込みランスから噴射させ、当該羽口を通して、高炉の炉内へ吹き込む際に、前記それぞれの混合流体の合流直前における前記微粉炭の搬送ガス速度uc(m/s)、当該合流直前における前記合成樹脂材の搬送ガス速度up(m/s)、並びに、当該合流後における当該微粉炭及び当該合成樹脂材を含む搬送ガス速度um(m/s)の内、少なくとも1つが他と異なった搬送ガス速度にして、
前記混合流体の合流点から前記吹込みランスの噴射出口までの前記合流体の搬送路長さLを、下記式で算出される許容最大距離L max よりも短くすることを特徴とする、高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法。
L max = (u m τ p /100)−(τ p /A p )(u m −u p )(1−e -(Ap/100) )
但し、
τ p :合成樹脂材の緩和時間(s)
τ p =D p 2 (ρ p +ρ f /2)/18η f
D p :合成樹脂材の粒子粒径(mm)
ρ p :合成樹脂材の粒子密度(kg/m 3 )
ρ f :混合流体を構成する搬送ガス流体の密度(kg/m 3 )
η f :混合流体を構成する搬送ガス流体の粘性(kg/m・s)
A p :定数
A p =70.13(logRe p )−189.93(−)
Re p :合成樹脂材の粒子レイノルズ数(−) - 前記微粉炭を含む混合流体と前記合成樹脂材を含む混合流体との合流点における、それぞれの混合流体の運動方向によって挟まれる角θと、当該それぞれの混合流体を構成する搬送ガス速度との間に、下記関係が満たされていることを特徴とする、請求項1に記載の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法。
0°<θ≦90°のとき、
u2−u1cosθ>1.5(m/s)
且つ、
(u1sinθ)/u2<1.25
90°<θ<180°のとき、
(u1sinθ)/u2<1.25
であること。但し、微粉炭の搬送ガス速度と合成樹脂材の搬送ガス速度との内、大きい方の搬送ガス速度をu2(m/s)、小さい方の搬送ガス速度をu1(m/s)とする。 - 前記合成樹脂材として、使用済みプラスチックを用いることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の高炉における微粉炭及び合成樹脂材の同時吹込み操業方法。
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