JP4774624B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと、そのエンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられた摩擦係合装置とを有する車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の一種に、ターボチャージャやスーパーチャージャに代表される過給機がエンジンに備えられる一方、そのエンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に油圧式摩擦係合装置などを有する変速機が備えられたものがある。このような車両では、エンジンの出力トルクが推定され、推定されたエンジンの出力トルクに基づいて油圧式摩擦係合装置の係合あるいは開放をなめらかとする際の係合油圧が過渡的に制御される場合がある。エンジンの吸気管圧力を高める過給機が備えられた車両では、上記の過渡油圧制御中において過給機による過給状態の変化あるいは空燃比の変化に伴ってエンジンの出力トルクが影響を受けることから、上記エンジン出力トルクの推定と実際のエンジン出力トルク値とが相違することになるので、上記油圧式摩擦係合装置の係合状態がなめらかとはならず、伝達トルクの急変によるショックが発生する場合がある。
【0003】
これに対し、上記油圧式摩擦係合装置の係合あるいは開放の際の係合油圧を制御する過渡油圧制御中において、過給機による過給状態の変化を抑制するようにした制御装置が提案されている。たとえば、特開平9−144572号公報に記載された過給機を有する車両用自動変速機の制御装置がそれである。これによれば、過渡油圧制御中において過給状態によりエンジン出力トルク変化が小さくなるので、好適にショックが抑制される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の過給機を有する車両用自動変速機の制御装置では、過渡油圧制御中において過給状態の変更要求があったときにはその過給状態の変化が抑制されることになるので、過給機の過給状態の変更要求を満たすことができないという欠点があった。また、過渡油圧制御中において空燃比の変更要求があったときも、エンジン出力トルクが影響されるので、その空燃比の変化を抑制する場合も同様の欠点があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、過給状態あるいは空燃比の変更要求を満たしつつその過給状態あるいは空燃比の変化に起因するショックを防止できる車両の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、空燃比を制御可能なエンジンと、そのエンジンに設けられた過給機と、そのエンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられた摩擦係合装置とを有する車両において、エンジンの出力トルクを推定するエンジントルク推定手段と、そのエンジントルク推定手段により推定されたエンジン出力トルクに基づいて前記摩擦係合装置の係合あるいは開放の際の係合力を制御する係合力制御手段とを備える制御装置であって、(a) 前記係合力制御手段による前記油圧式摩擦係合装置の係合力の制御中であるか否かを判定する係合力制御中判定手段と、(b) その係合力制御中判定手段により前記係合力制御手段による前記摩擦係合装置の係合力の制御中であると判定される場合は、前記空燃比をその変更要求にしたがって一時的にリッチ側へ変化させる際、前記過給機の過給圧を一時的に低下させてそのエンジン出力増大を相殺し、そのエンジン出力トルクの変化を抑制する運転パラメータ制御手段とを、含むことにある。
【0009】
【発明の効果】
このようにすれば、係合力制御中判定手段により係合力制御手段による摩擦係合装置の係合力の制御中であると判定される場合は、前記空燃比をその変更要求にしたがって一時的にリッチ側へ変化させる際、運転パラメータ制御手段により、前記過給機の過給圧を一時的に低下させてそのエンジン出力増大を相殺し、そのエンジン出力トルクの変化を抑制するので、ショックが防止されるとともに空燃比の変更要求が満たされる。
【0010】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記エンジントルク推定手段は、エンジンの吸入空気量QN(1回転当たりの吸入空気流量)、エンジン回転速度、前記過給機による過給圧および燃料噴射量に基づいて前記エンジンの出力トルクを推定するものである。このようにすれば、エンジン出力トルク推定値の推定精度が高められ、車両のショックが好適に抑制される。たとえば、過給機による吸気管内の過給圧Pa を検出する過給圧センサが備えられ、エンジントルク推定手段は、エンジンの吸入空気量QN(1回転当たりの吸入空気流量)、エンジン回転速度に基づいて推定された推定値を、その過給圧Pa および空燃比(吸入空気量/燃料噴射量)に基づいて算出した補正係数により補正することによりエンジンの出力トルクTEX(推定値)を算出する。なお、上記推定値は、好適には、点火時期の遅角量、ターボラグ、ウエストゲート弁の開閉状態によりさらに補正される。
【0011】
また、好適には、前記エンジントルク推定手段は、前記運転パラメータ制御手段による運転パラメータの制御中には、その運転パラメータの制御開始直前に推定されたエンジンの出力トルクをこの運転パラメータの制御中のエンジン出力トルクとするものである。このようにすれば、運転パラメータの制御中にもエンジンの出力トルク推定値を求める場合に比較して、推定値のばらつきがなく安定した制御となるとともに、エンジン出力トルクを推定するための演算負荷が好適に軽減される。
【0012】
また、好適には、前記過給機は、エンジンから排出される排気流により駆動されるターボチャージャ、或いはエンジンのクランク軸或いは電動モータにより回転駆動されるスーパーチャージャなどにより構成される。
【0013】
また、好適には、前記摩擦係合装置は、前記動力伝達経路に設けられた有段式自動変速機の変速段を切り換えるために設けられたクラッチまたはブレーキ、トルクコンバータに設けられたロックアップクラッチ、2輪駆動から4輪駆動へ切り換えるために係合させられる駆動力配分クラッチなどである。摩擦係合装置として油圧式摩擦係合装置が、特に、上記有段式自動変速機において開放側摩擦係合装置の開放と係合側摩擦係合装置の係合とによってギヤ段が切り換えられるクラッチツウクラッチ変速に用いられる場合には、クラッチツウクラッチ変速期間内におけるショックが好適に抑制されると同時に、過給状態あるいは空燃比の変更要求が満たされる効果が大きい。
【0014】
また、好適には、前記運転パラメータ制御手段は、空燃比変更要求が空燃比を低下させるものである場合は、その空燃比の低下によるエンジン出力増大を相殺するために、過給圧の低下、点火時期の遅角、スロットル開度の減少などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。反対に、空燃比変更要求が空燃比を上昇させるものである場合は、その空燃比の上昇によるエンジン出力低下を相殺するために、過給圧の上昇、点火時期の進角、スロットル開度の増加などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。また、前記運転パラメータ制御手段は、過給状態変更要求が過給圧を上昇させるものである場合は、その過給圧上昇によるエンジン出力増大を相殺するために、空燃比の増加、点火時期の遅角、スロットル開度の減少などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。反対に、過給状態変更要求が過給圧を低下させるものである場合は、その過給圧低下によるエンジン出力低下を相殺するために、空燃比の低下、点火時期の進角、スロットル開度の増加などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。
【0015】
また、好適には、係合力制御中判定手段は、前記エンジントルク推定手段により推定されたエンジンの出力トルクTEXに基づく係合力制御手段による摩擦係合装置の係合力制御の実行中であることを判定するものであり、たとえば変速判断から変速終了までの期間であることに基づいて判定する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例の制御装置が適用された車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、動力源としてのエンジン10の出力は、クラッチ12、トルクコンバータ14を介して自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。上記クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。上記トルクコンバータ14は、クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。
【0018】
上記自動変速機16は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機34とを備えている。第1変速機32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
【0019】
第2変速機34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
【0020】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸46に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リングギヤR2およびサンギヤS3と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2と中間軸48との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0021】
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0022】
以上のように構成された自動変速機16では、例えば図2に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段の変速段のいずれかに切り換えられる。図2において「○」は係合状態を表し、空欄は解放状態を表し、「◎」はエンジンブレーキのときの係合状態を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。この図2から明らかなように、第2変速段(2nd)から第3変速段(3rd)へのアップシフトでは、ブレーキB3を解放すると同時にブレーキB2を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われ、ブレーキB3の解放過程で係合トルクを持たせる期間とブレーキB2の係合過程で係合トルクを持たせる期間とがオーバラップして設けられる。それ以外の変速は、1つのクラッチまたはブレーキの係合或いは解放作動だけで行われるようになっている。上記クラッチおよびブレーキは何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0023】
前記エンジン10は、後述する過給機54を備えているとともに、燃料が筒内噴射されることにより軽負荷時においては空燃比A/Fが理論空燃比よりも高い燃焼である希薄燃焼が行われるリーンバーンエンジンである。このエンジン10は、3気筒ずつから構成される左右1対のバンクを備え、その1対のバンクは単独で或いは同時に作動させられるようになっている。すなわち、作動気筒数の変更が可能となっている。
【0024】
たとえば図3に示すように、上記エンジン10の吸気配管50および排気管52には、排気タービン式過給機(以下、過給機という)54が設けられている。この過給機54は、排気管52内において排気の流れにより回転駆動されるタービン翼車56と、エンジン10への吸入空気を圧縮するために吸気配管50内に設けられ且つタービン翼車56に連結されたポンプ翼車58とを備え、そのポンプ翼車58がタービン翼車56によって回転駆動されるようになっている。上記吸気配管50内の過給圧Pa は過給圧センサ57により検出されるようになっている。この排気管52内には、タービン翼車56が設けられた部分とは並列に、吸気配管50内の過給圧Pa を調節するための排気ウエイストゲート弁59を有するバイパス管61が設けられている。
【0025】
上記エンジン10の吸気配管50には、スロットルアクチュエータ60によって操作されるスロットル弁62とが設けられている。このスロットル弁62は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応する開度θTHとなるように制御されるが、エンジン10の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。
【0026】
また、図3に示すように、前記第1モータジェネレータMG1はエンジン10と自動変速機16との間に配置され、クラッチ12はエンジン10と第1モータジェネレータMG1との間に配置されている。上記自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置およびロックアップクラッチ26は、電動油圧ポンプ64から発生する油圧を元圧とする油圧制御回路66により制御されるようになっている。また、エンジン10には第2モータジェネレータMG2が作動的に連結されている。そして、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の電源として機能する燃料電池70および二次電池72と、それらから第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2へ供給される電流を制御したり或いは充電のために二次電池72へ供給される電流を制御するための切換スイッチ74および76とが設けられている。この切換スイッチ74および76は、スイッチ機能を有する装置を示すものであって、たとえばインバータ機能などを有する半導体スイッチング素子などから構成され得るものである。
【0027】
図4は、電子制御装置80に入力される信号およびその電子制御装置80から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置80には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、自動変速機16の出力軸46の回転速度NOUT に対応する車速信号、エンジン回転速度NE を表す信号、吸気配管50内の過給圧Pa を表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバーの操作位置SH を表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置80からは、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、自動変速機16のギヤ段を切り換えるために油圧制御回路66内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号、ロックアップクラッチ26を開閉制御するために油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御する信号などが出力される。
【0028】
上記電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える変速制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放、或いはスリップを実行する制御、空燃比制御、過給圧制御などを実行する。たとえば、上記変速制御では、予め記憶されたよく知られた関係(変速線図)からアクセル開度θACC (%)および車速Vに基づいて変速判断を行い、その変速判断に対応してギヤ段が得られるように油圧制御回路66内の電磁弁(シフトソレノイド)S1、S2、S3を制御し、エンジンブレーキを発生させる際には電磁弁S4を駆動する。また、ロックアップクラッチ制御では、図示しない予め記憶された関係から実際の車両走行状態を表す車速V(出力側回転速度NOUT に対応)および運転者の要求出力量を表すアクセル開度θACC に基づいて、係合領域、解放領域、スリップ領域のいずれに属するかを判定し、その判定された領域に対応する状態が得られるように油圧制御回路66内のロックアップコントロールソレノイドを制御してロックアップクラッチ26を係合、解放、或いはスリップのいずれかの状態とする制御を実行する。また、上記電子制御装置80は、スロットル弁62の開度TAに対応した大きさのスロットル圧PTHを発生させ或いはアキュム背圧を制御するためにリニヤソレノイド弁SLT を駆動し、ロックアップクラッチ26の係合、解放、スリップ量および変速時のブレーキB3内の油圧を制御するためにリニヤソレノイド弁SLU をそれぞれ駆動する。
【0029】
図5および図6は、上記油圧制御回路66の要部を示している。図の1−2シフト弁88および2−3シフト弁90は、電磁弁S1、S2の出力圧に基づいて、第1速ギヤ段から第2速ギヤ段への変速時および第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速時においてそれぞれ切り換えられる切換弁であり、その切換位置を示す数値はギヤ段を示している。前進レンジ圧PD は、シフトレバー72が前進レンジ(D、4、3、2、L)へ操作されているときに図示しないマニュアル弁から出力される圧であり、図示しないレギュレータ弁によりスロットル弁開度あるいは自動変速機16の入力トルクに応じて高くなるように調圧されるライン圧PL を元圧としている。この前進レンジ圧PD は、前進走行時の変速に関与する各油圧式摩擦係合装置の元圧であるので、それら各油圧式摩擦係合装置の係合圧に影響する。
【0030】
第1速ギヤ段から第2速ギヤ段へ切り換える変速出力が出された時には、上記前進レンジ圧PD は、1−2シフト弁88、2−3シフト弁90、油路L01、B3コントロール弁92、油路L02を経てブレーキB3および圧力振動吸収用のダンパー94へ供給される。また、第2速ギヤ段から第3速ギヤ段へ切り換える変速出力が出された時には、前進レンジ圧PD は、2−3シフト弁90、油路L03を経て、ブレーキB2およびB2アキュムレータ100へ供給されると同時に、ブレーキB3内の作動油は、油路L02、B3コントロール弁92、油路L01、2−3シフト弁90、戻り油路L04、2−3タイミング弁98を経て調圧ドレンされるとともに、戻り油路L04から分岐する分岐油路L05およびB2オリフィスコントロール弁96を経て急速ドレンされるようになっている。
【0031】
上記B2アキュムレータ100の背圧室100B には、リニヤソレノイド弁SLT の出力圧PSLT が各変速に際して供給され、ブレーキB2内の作動油圧が制御される。
【0032】
前記B3コントロール弁92は、アキュムレータが設けられていないブレーキB3の係合圧を直接的に調圧するための係合油圧調圧弁として機能し、油路L01と油路L02との間を開閉するスプール弁子104と、スプリング106を挟んでスプール弁子104と同心に設けられ且つそのスプール弁子104よりも大径のプランジャ108と、スプリング106を収容し、前記2−3シフト弁90が第3速側へ切り換えられたときにそれから出力される前進レンジ圧PD を油路L07を介して受け入れる油室110と、プランジャ108の軸端に設けられてリニヤソレノイド弁SLU からの制御圧PSLU を受け入れる油室112とを備えている。このため、B3コントロール弁92は、1→2変速に際しては、リニヤソレノイド弁SLU の制御圧PSLU に従ってスプール弁子104を中心線の左側に示す開位置に位置させてファーストフィルをその初期に行うとともに、その後は油路L01からの作動油を油路L02に供給したり或いは油路L02内の作動油を排出油路L06へ流出させることによりブレーキB3内の係合圧PB3の立ち上がり速度が一定となるように調圧し、ブレーキB3の係合が予測されるときの直前に急速に立ち上げる。また、2→1変速に際しては、電磁弁S1およびS2は第2速の変速出力に維持されて油路L01にはDレンジ圧が保持されており、B3コントロール弁92は、制御圧PSLU に従って所定の速度で圧力降下させられた後、ブレーキB3内に作動油が供給されたと仮定したときにそのブレーキB3の係合直前となるように予め設定された設定圧力値PSLUHに維持され、第1速ギヤ段の変速完了が判定されるまでそれを持続する。また、上記B3コントロール弁92は、3→2変速および2→3変速に際しても、ブレーキB3の係合圧および解放圧を制御圧PSLU に従って直接的に制御する。なお、数式1において、S1 およびS2 はプランジャ108およびスプール弁子104の断面積である。
【0033】
(数1)
PB3=PSLU ・S1 /S2
【0034】
B2オリフィスコントロール弁96は、ブレーキB2およびB2アキュムレータ100と油路L03との間を開閉すると同時に排出油路L06とドレンポート113との間を開閉するスプール弁子114と、スプール弁子114をファーストドレン位置へ向かって付勢するスプリング116と、スプール弁子114の軸端に設けられて第3電磁弁S3の出力圧PS3を3−4シフト弁118を通して受け入れる油室120とを備えている。これにより、3→2変速時などには第3電磁弁S3がオン状態とされてその出力圧PS3が油室120に供給されなくなるので、スプール弁子114によりブレーキB2およびB2アキュムレータ100と油路L03との間を開かれて、それらブレーキB2およびB2アキュムレータ100からの作動油の排出を速やかに行うファーストドレン作動が行われる。また、1→2変速においては、上記第3電磁弁S3がオフ状態とされて制御圧PS3が油室120に供給されることにより、B3コントロール弁92の調圧作動によりそれから排出される作動油を排出させる排出油路L06とドレンポート113との間が開かれてそのB3コントロール弁92の調圧作動が許容されるが、1→2変速が完了すると第3電磁弁S3がオン状態とされて排出油路L06とドレンポート113との間が閉じられることによりB3コントロール弁92の調圧作動が停止させられる。
【0035】
2−3タイミング弁98は、第2速ギヤ段から第3速ギヤ段へのクラッチツウクラッチ変速に関与し、ブレーキB3からの解放圧をリニヤソレノイド弁SLU から制御圧PSLU に従って調圧するドレーン調圧弁として機能する。すなわち、2−3タイミング弁98は、2→3変速が出力されたときに2−3シフト弁90から出力された比較的高圧の前進レンジ圧PD (ライン圧と同じ値)が3−4シフト弁118およびソレノイドリレー弁122を通して供給される高圧ポート124と、ドレンポート126と、油路L04をその高圧ポート124またはドレンポート126に連通させることによりブレーキB3のドレン期間の圧力PB3を調圧するスプール弁子128と、スプリング130を介してスプール弁子128と同心に設けられ且つそのスプール弁子128と同径の第1プランジャ132と、スプール弁子128と同心に且つその一端に当接可能に設けられ且つそのスプール弁子128よりも大径の第2プランジャ134と、スプリング130を収容し、前記2−3シフト弁90が第2速側へ切り替えられたときにそれから出力される前進レンジ圧PD を油路L08を介して受け入れる油室136と、第1プランジャ132の軸端に設けられ、リニヤソレノイド弁SLU からの制御圧PSLU を受け入れる油室138と、第2プランジャ134の軸端に設けられ、ブレーキB2内の油圧PB2を受け入れる油室140と、フィードバック圧を受け入れるフィードバック油室142とを備えている。
【0036】
したがって、スプール弁子128および第1プランジャ132の断面積をS3 、スプール弁子128の第2プランジャ134側のランドの断面積をS4 、第2プランジャ134の断面積をS5 とすると、2→3変速出力が出された状態における解放過程のブレーキB3の圧力PB3は、2−3タイミング弁98による調圧作動により、数式2から、ブレーキB2の係合圧PB2の増加に応じて減少し、リニヤソレノイド弁SLU の制御圧PSLU に応じて増加するように調圧される。
【0037】
(数2)
PB3=PSLU ・S3 /(S3 −S4 )−PB2・S5 /(S3 −S4 )
【0038】
また、上記2−3タイミング弁98は、第2速側へ切り換えられた2−3シフト弁90から出力される前進レンジ圧PD が油室136へ供給されると、上記スプール弁子128がロックされるようになっている。これも、2−3タイミング弁98の油室138とB3コントロール弁92の油室112とが接続されていることから、第1速および第2速の状態では2−3タイミング弁98の油室138の容積変化を阻止して、B3コントロール弁92の調圧作動に影響を与えないようにするためである。
【0039】
C0エキゾースト弁150は、第3電磁弁S3の出力圧PS3および油路L01内の油圧に従って閉位置に位置させられるが、第4電磁弁S4の出力圧PS4に従って開位置に位置させられるスプール弁子152を備え、図示しない4−5シフト弁が第4速以下の切り換え状態であるときにそれを経由して供給されるライン圧PL を、第2速および第5速時以外のときにクラッチC0およびC0アキュムレータ154に供給する。
【0040】
図7は、上記電子制御装置80の制御機能の要部すなわち変速中の過給圧変更要求あるいは空燃比変更要求時にその要求を満たしつつエンジンの出力トルクTE すなわち自動変速機16の入力軸トルクTINの変化を抑制してショックを抑制するためのトルク変化抑制制御の要部を説明する機能ブロック線図である。
【0041】
図7において、エンジントルク推定手段160は、たとえば、エンジンの吸入空気(吸入混合気)量QN(1回転当たりの吸入空気流量)或いはGN(1回転当たりの吸入空気重量)、エンジン回転速度NE 、過給圧Pa 、点火時期の遅角量、ターボラグ、ウエストゲート弁59の開閉状態などの関数である予め設定された関係から、実際の吸入空気量QN或いはGN、エンジン回転速度NE 、過給圧Pa 、点火時期の遅角量、ターボラグ、ウエストゲート弁の開閉状態などに基づいて、エンジンの出力トルクTEXを算出(推定)する。たとえば、よく知られた関係からエンジン回転速度NE および燃料噴射量あるいは吸入空気(吸入混合気)量QNに基づいてエンジン出力トルクTを推定し、たとえば図8に示す関係から実際の過給圧Pa および空燃比A/F(吸入空気量/燃料噴射量)に基づいて得られた補正係数を用いてそれを補正し、必要な場合には点火時期の遅角量、ターボラグなどに基づいてさらに補正してエンジン出力トルクTEYを算出するエンジントルク算出手段161を備えている。上記の関係から推定されるエンジン出力トルクTEYは、実際にエンジン10から出力されるエンジン出力トルクTEXと損失トルクTlos とを加算したものであるが、その損失トルクTlos は、殆ど無視できる程小さい値であるため、実質的に出力トルクTEX(≒TEY)が推定される。また、その出力トルクTEXの一部はエアコンなどの補機を駆動するためのトルクTh として消費されるため、その補機の駆動状態の有無を検出し、自動変速機14の入力トルクTIN(=TEX−Th )も算出する。
【0042】
上記エンジントルク推定手段160は、エンジン暖機完了、作動油温度適温範囲、システムフェールなしなどの入力トルク推定条件が成立したか否かを判定する入力トルク推定条件成立判定手段162と、過給状態変更要求あるいは空燃比要求を満足させながら入力トルクTINを一定とするために運転パラメータを制御する運転パラメータ制御中であるか否かを判定する運転パラメータ制御中判定手段164と、運転パラメータ制御中はその運転パラメータ制御開始直前に推定された入力トルクTEXをその運転パラメータ制御中は一定であると見做す同一トルク見做し制御手段166とを含み、入力トルク推定条件成立判定手段162により入力トルク推定条件成立したと判定され、且つ運転パラメータ制御中判定手段164により後述の運転パラメータ制御手段172による入力軸トルクTINをほぼ一定とするために運転パラメータの制御中であると判定された場合には、同一トルク見做し制御手段166により、上記運転パラメータ制御手段による運転パラメータの制御開始直前に推定されたエンジンの出力トルク推定値TEXがこの運転パラメータの制御中のエンジン出力トルクとして見做されることにより、運転パラメータの制御中は一定の値が用いられる。
【0043】
自動変速機14に備えられたロックアップクラッチ26、自動変速機14内の変速用のクラッチおよびブレーキ、図示しない差動制限クラッチのような油圧式摩擦係合装置は、係合力制御手段168によってその係合力すなわち係合油圧が制御されるようになっている。この係合力制御手段168は、たとえばロックアップクラッチ26の係合圧を制御するロックアップクラッチ制御手段、自動変速機16内の変速用のクラッチあるいはブレーキの係合圧を制御する変速制御手段、2輪駆動状態と4輪駆動状態とを切り換えるための駆動力分配クラッチあるいは差動制限クラッチの係合圧を制御するクラッチ制御手段のような係合油圧制御手段に対応している。
【0044】
上記ロックアップクラッチ制御手段は、車両状態がロックアップクラッチ26の解放領域、スリップ制御領域、係合領域のいずれであるかを判定し、スリップ制御領域であれば、予め設定された目標スリップ回転速度と実際のスリップ回転速度が一致するようにロックアップクラッチ26の係合油圧を制御するが、係合領域であれば、ロックアップクラッチ26の係合油圧を最大値とする。そして、上記ロックアップクラッチ制御手段は、エンジン10の出力トルクTEXに基づいてすなわち入力トルクTINに基づいて調圧された油圧たとえばライン圧を上記ロックアップクラッチ26の係合油圧の元圧として用いることにより、或いはスリップ制御に用いる制御式のゲインを上記推定出力トルクTEXまたはそれに基づく量の関数とすることにより、ロックアップクラッチ26の係合過程の係合トルクすなわち係合油圧の立ち上がり速度や、スリップ領域におけるスリップ状態の係合トルクすなわち係合油圧を制御する。
【0045】
また、上記変速制御手段は、ギヤ段毎に設けられた変速線(シフトアップ線およびシフトダウン線)から成るよく知られた変速線図から、実際の車両状態たとえば車速およびエンジン負荷(たとえばアクセル開度θACC )に基づいて変速判断を行い、その変速判断された変速を達成するための変速出力を行うとともに、その変速に関連する油圧式摩擦係合装置の係合油圧を過渡的に制御する。たとえば、2→3変速のクラッチツウクラッチ変速が判断されて2−3シフト弁90が切り換えられたときには、上記変速制御手段は、リニヤソレノイド弁SLU に対する指令値DSLUを変化させることにより、B3コントロール弁92に対してリニヤソレノイド弁SLU から供給される制御圧PSLU を変化させて2→3変速期間において、たとえば図12に示すように、解放されるブレーキB3の係合圧PB3と係合されるブレーキB2の係合圧PB2を過渡的に制御する。そして、上記変速制御手段は、エンジン10の推定出力トルクTEXに基づいてすなわち自動変速機16の入力トルクTINに基づいて調圧された油圧たとえばライン圧を上記ロックアップクラッチ26の係合油圧の元圧として用いることにより、或いは上記係合圧PB3またはPB2の過渡時の値や変化速度を上記推定出力トルクTEXまたはそれに基づく入力トルクTINの関数とすることにより、変速期間におけるブレーキB3或いはB2の係合トルクすなわち係合油圧を制御する。
【0046】
また、上記クラッチ制御手段は、車両の走行状態或いは路面状態を検出し車両の走行性が維持されるようにそれら走行状態或いは路面状態に応じて分配クラッチあるいは差動制限クラッチの係合トルクすなわち係合油圧を制御したり、或いは特願平4−260146号の明細書に記載されているように差動制限クラッチの係合トルクすなわち係合油圧を制御する。たとえば、前輪回転速度NF と後輪回転速度NR との回転速度差ΔNに基づいて差動制限クラッチの係合圧を制御し、車両の舵角が大きくなると、差動制限クラッチCTの係合油圧が軽減されるように差動制限クラッチCTの係合油圧を制御し、路面の凹凸が多く検出されたり或いは駆動輪の空転や前後輪の回転速度の所定値以上が検出されたりすると、差動制限クラッチCTの係合油圧が増加されるように差動制限クラッチの係合油圧を制御するのである。そして、上記差動制御手段は、エンジン10の推定出力トルクTEXに基づいてすなわち入力トルクTINに基づいて調圧された油圧たとえばライン圧を上記差動制限クラッチCTの係合油圧の元圧として用いることにより、或いはその差動制限クラッチCTの係合過渡時の変化速度を上記推定出力トルクTEXまたはそれに基づく入力トルクTINの関数とすることにより、係合期間における差動制限クラッチの係合油圧を制御する。
【0047】
係合力制御中判定手段170は、前記係合力制御手段168による油圧式摩擦係合装置の係合油圧の制御中であるか否かを判定する。たとえば、エンジントルク推定手段160により推定されたエンジンの出力トルクTEXに基づく係合力制御手段168による油圧式摩擦係合装置(ロックアップクラッチ26、変速用クラッチブレーキ、図示しない駆動力分配クラッチあるいは差動制限クラッチ)の係合油圧制御の実行中であることを、たとえば変速用電子制御装置の出力信号などに基づいて判定する。
【0048】
運転パラメータ制御手段172は、該係合力制御中判定手段170により前記係合力制御手段168による前記油圧式摩擦係合装置の係合油圧の制御中であると判定される場合は、過給状態変更要求にしたがって過給圧Pa を変化させる際には過給機による過給圧Pa の変化に伴うエンジンの出力トルクの変化を抑制するように、また空燃比変更要求にしたがってその空燃比を変更させる際にはその空燃比の変化に伴うエンジンの出力トルクの変化を抑制するように、エンジン10の運転パラメータ、たとえばウエイストゲート弁59を用いて過給圧Pa を制御しあるいは燃料噴射弁を用いて空燃比A/Fを制御する。
【0049】
運転パラメータ変更許可手段174は、上記過給圧Pa あるいは空燃比A/Fにより代表されるエンジン10の運転パラメータの変更制御がエンジンに必要とされる応答性、触媒の状態、エンジンの状況に基づいて許可できる状態であるか否かを判断する。過給圧変更要求判定手段176は、過給機54による過給状態の変更要求すなわち過給圧の増加あるいは減少要求が他の制御からあったか否かを判定する。空燃比変更要求判定手段178は、空燃比A/Fの変更要求すなわち空燃比A/Fの増加あるいは減少要求が他の制御からあったか否かを判定する。上記運転パラメータ制御手段172は、上記運転パラメータ変更許可手段174により運転パラメータの変更が許可されており、たとえば過給圧変更要求判定手段176により過給圧Pa の減少要求があった場合は、その過給圧Pa の減少によるエンジン出力トルクTE の低下を相殺するために、空燃比A/Fを減少(混合気の燃料を濃く)させてエンジン出力トルクTE を増加させることによりエンジン出力トルクTE を略一定に維持する。また、上記運転パラメータ変更許可手段174により運転パラメータの変更が許可されており、たとえば空燃比変更要求判定手段178により空燃比A/Fの減少要求があった場合は、その空燃比A/Fの減少によるエンジン出力トルクTE の増加を相殺するために過給圧Pa を低下させてエンジン出力トルクTE を低下させることによりエンジン出力トルクTE を略一定に維持する。
【0050】
エンジン10は、吸気管50内の過給圧Pa が高い状態で希薄燃焼させられる過給リーンバーン作動であることから、図9に示すように、過給圧Pa が増加させられるほどエンジン出力トルクTE が増加し、且つ空燃比A/Fが減少させられるほどエンジン出力トルクTE が増加する特性を備えているのである。
【0051】
図10および図11は、電子制御装置80による制御作動の要部、すなわちエンジン出力トルクTEX或いは入力軸トルクTINを用いた係合油圧制御たとえば3→2ダウン変速制御中において、過給圧あるいは空燃比A/Fの変更要求を満足させつつエンジン出力一定制御を説明するフローチャートであり、数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。図10は前記エンジントルク推定制御ルーチンを示し、図11は運転パラメータ制御ルーチンを示している。なお、上記係合力制御手段168は、よく知られたものであるので、その作動を説明するフローチャートは省略されている。
【0052】
図10において、前記入力トルク推定条件成立判定手段162に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、エンジン暖機完了、作動油温度適温範囲、システムフェールなしなどの入力トルク推定条件が成立したか否かが判定される。このSA1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記過給圧変更要求判定手段176に対応するSA2において、過給圧の変更要求が他の制御からあったか否かが判断されるとともに、そのSA2の判断が否定される場合は前記空燃比変更要求判定手段178に対応するSA3において、空燃比の変更要求が他の制御からあったか否かが判断される。このSA3の判断が否定される場合は、前記エンジントルク算出手段161に対応するSA4において、よく知られた関係からエンジン回転速度NE および燃料噴射量あるいは吸入空気(吸入混合気)量QNに基づいてエンジン出力トルクT(基本値)が算出され、たとえば図8に示す関係から実際の過給圧Pa および空燃比A/F(吸入空気量/燃料噴射量)に基づいて補正係数が算出され、その補正係数を用いて上記基本値が補正され、さらに必要な場合には点火時期の遅角量、ターボラグなどに基づいてさらに補正が加えられることによりエンジン出力トルクTEYすなわち自動変速機16の入力軸トルクTINが算出される。
【0053】
上記SA2およびSA3の判断のいずれかが否定された場合は、前記運転パラメータ制御中判定手段164に対応するSA5において、係合圧制御中すなわち3→2ダウン変速中において過給圧変更要求あるいは空燃比変更要求を満足させつつ自動変速機16の入力軸トルクTINを略一定とするための運転パラメータ制御中であるか否かが判断される。このSA5の判断が否定される場合は、前記エンジントルク算出手段161に対応するSA6において、SA4と同様にして、よく知られた関係からエンジン回転速度NE および燃料噴射量あるいは吸入空気(吸入混合気)量QNに基づいてエンジン出力トルクT(基本値)が算出され、たとえば図8に示す関係から実際の過給圧Pa および空燃比A/F(吸入空気量/燃料噴射量)に基づいて補正係数が算出され、その補正係数を用いて上記基本値が補正され、さらに必要な場合には点火時期の遅角量、ターボラグなどに基づいてさらに補正が加えられることによりエンジン出力トルクTEYすなわち自動変速機16の入力軸トルクTINが算出される。しかし、上記SA5の判断が肯定される場合は、前記同一トルク見做し制御手段166に対応するSA7において、過給圧変更要求あるいは空燃比変更要求を満足させつつ自動変速機16の入力軸トルクTINを略一定とするための運転パラメータ制御中は、その運転パラメータ制御開始直前に推定された入力トルクTEXがその運転パラメータ制御中は一定であると見做されて、その制御中は同一の値が用いられる。
【0054】
図11のSB1では、マニアル変速中すなわちシフトレバーの変速レンジの変更操作に伴う変速や、自動変速モードから切り換えられた手動変速モードにおける変速操作体の操作による手動変速中であるか否かが判断される。このSB1の判断が否定される場合は、SB2において、変速線図に基づいて制御される自動変速中たとえば3→2ダウン変速中であるか否かが判断される。このSB2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、SB3において、変速期間内のイナーシャ相中であるか否かが判断される。このSB3の判断が肯定される場合は、SB4において、滑らかに変速が行われるように一時的なトルクダウン制御および/または変速過渡フィードバック制御が実行される。
【0055】
しかし、上記SB1の判断が肯定される手動変速中である場合、あるいは上記SB3の判断が否定される変速期間内で回転変化が発生するトルク相中である場合は、SB5以下が実行される。それらSB1およびSB3は前記係合力制御中判定手段170に対応している。前記空燃比変更要求判定手段178に対応するSB5では、空燃比変更要求が他の制御からあったか否かが判断される。この空燃比変更要求としては、たとえば希薄燃焼エンジン10の排気系に設けられたNOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵量が飽和する前にそのNOxを減少させるために空燃比A/Fを一時的に低くすなわちリッチ(混合気を濃く)とする所謂リッチスパイクがある。このSB5の判断が否定される場合は、前記過給圧変更要求判定手段176に対応するSB6において、過給圧Pa の変更要求が他の制御からあったか否かが判断される。このSB6の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、上記SB5の判断およびSB6の判断のいずれかが肯定される場合は、前記運転パラメータ変更許可手段174に対応するSB7において、エンジン出力トルクTE すなわち入力軸トルクTInを一定とするために過給圧Pa や空燃比A/Fなどの運転パラメータを変更できる余地があるか否かが、エンジン作動状態、触媒温度状態、制御の応答性などに基づいて判断される。このSB7の判断が否定される場合は、SB8において、他の制御から要求のあった過給圧Pa の変更あるいは空燃比A/Fの変更を禁止し、係合圧制御の完了以後すなわち3→2ダウン変速完了以後にその変更を遅延させる。図12の破線は、遅延させられた場合のリッチスパイクを示している。
【0056】
しかし、上記SB7の判断が肯定される場合は、SB9において、他の制御から要求のあった過給圧Pa の変更あるいは空燃比A/Fの変更が許可される。図12の実線は、この許可にしたがって実行された空燃比A/F低下要求に対応するリッチスパイクを示している。そして、前記運転パラメータ制御手段172に対応するSB10では、上記SB9において許可された過給圧Pa の変更あるいは空燃比A/Fの変更によるエンジン出力トルク変化を相殺して略一定とするトルク調整が実施される。たとえば、図12のt2 時点乃至t3 時点に示すように、空燃比A/Fを一時的に低くすなわちリッチ(混合気を濃く)とする所謂リッチスパイク要求にしたがって空燃比A/Fが一時的に低下された場合には、その空燃比A/Fが一時的低下に伴うエンジン出力トルク増加を相殺するために、過給圧Pa が一時的に低くされることによりエンジン出力が低くされる。
【0057】
上述のように、本実施例によれば、係合力制御中判定手段170(SB1、SB3)により係合力制御手段168による油圧式摩擦係合装置(ブレーキB2、ブレーキB3)の係合油圧の制御中であると判定される場合は、過給機54による過給状態をその変更要求にしたがって変化させる際、運転パラメータ制御手段172(SB10)により、過給機54による過給圧Pa の変化に伴うエンジン10の出力トルクの変化を抑制するようにそのエンジン10の運転パラメータ(空燃比A/F)が制御されるので、ショックが防止されるとともに過給圧の変更要求が満たされる。
【0058】
また、本実施例によれば、係合力制御中判定手段170(SB1、SB3)により係合力制御手段168による油圧式摩擦係合装置(ブレーキB2、ブレーキB3)の係合油圧の制御中であると判定される場合は、空燃比A/Fをその変更要求にしたがって変化させる際、運転パラメータ制御手段172(SB10)により、空燃比A/Fの変化に伴うエンジンの出力トルクの変化が抑制されるようにエンジン10の運転パラメータが制御されるので、ショックが防止されるとともに空燃比A/Fの変更要求が満たされる。
【0059】
また、本実施例によれば、エンジントルク推定手段160(SA4、SA6)は、エンジンの吸入空気量QN(1回転当たりの吸入空気流量)、エンジン回転速度、過給機54による過給圧および燃料噴射量に基づいて前記エンジンの出力トルクTE を推定するものであるので、エンジン出力トルク推定値TEXの推定精度が高められ、車両のショックが好適に抑制される。また、過給機54による吸気管内の過給圧Pa を検出する過給圧センサ57が備えられ、エンジントルク推定手段160は、エンジン10の吸入空気量QN(1回転当たりの吸入空気流量)、エンジン回転速度NE に基づいて推定された基本推定値を、図8の関係から実際の過給圧Pa および空燃比(吸入空気量/燃料噴射量)に基づいて算出した補正係数により補正することによりエンジンの出力トルクTEX(推定値)を算出し、さらに、上記推定値が点火時期の遅角量、ターボラグ、ウエストゲート弁の開閉状態により補正されるので、一層高い推定精度が得られる。
【0060】
また、本実施例によれば、エンジントルク推定手段160(SA7)は、運転パラメータ制御手段172による運転パラメータの制御中には、その運転パラメータの制御開始直前に推定されたエンジンの出力トルクをその運転パラメータの制御中におけるエンジン出力トルクとして設定するものであることから、運転パラメータの制御中においてもエンジンの出力トルク推定値を求める場合に比較して、推定値のばらつきがなく安定した制御となるとともに、エンジン出力トルクを推定するための演算負荷が好適に軽減される。
【0061】
また、本実施例によれば、前記油圧式摩擦係合装置は、有段式の遊星歯車型自動変速機16のクラッチツウクラッチ3→2ダウン変速のギヤ段が切り換えられるために開放させられる油圧式摩擦係合装置(ブレーキB3)と係合させられる油圧式摩擦係合装置(ブレーキB2)とから構成されているので、クラッチツウクラッチ変速期間内におけるショックが好適に抑制されると同時に、過給状態あるいは空燃比の変更要求が満たされる効果が大きい。
【0062】
また、本実施例によれば、運転パラメータ制御手段172(SB10)は、空燃比変更要求が空燃比A/Fを低下させるものである場合は、その空燃比A/Fの低下によるエンジン出力増大を相殺するために、過給圧の低下、点火時期の遅角、スロットル開度の減少などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。反対に、空燃比変更要求が空燃比A/Fを上昇させるものである場合は、その空燃比の上昇によるエンジン出力低下を相殺するために、過給圧の上昇、点火時期の進角、スロットル開度の増加などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。また、前記運転パラメータ制御手段172は、過給状態変更要求が過給圧Pa を上昇させるものである場合は、その過給圧上昇によるエンジン出力増大を相殺するために、空燃比A/Fの増加、点火時期の遅角、スロットル開度の減少などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。反対に、過給状態変更要求が過給圧Pa を低下させるものである場合は、その過給圧低下によるエンジン出力低下を相殺するために、空燃比A/Fの低下、点火時期の進角、スロットル開度の増加などを実行し、エンジン出力トルクをほぼ同一に維持する。
【0063】
また、本実施例によれば、係合力制御中判定手段170は、エンジントルク推定手段160により推定されたエンジン10の出力トルクTEXに基づく係合力制御手段168による油圧式摩擦係合装置の係合油圧制御の実行中であることを判定するものであり、たとえば変速判断から変速終了までの期間であることに基づいて判定するものであり、運転パラメータ変更許可手段174は、運転パラメータ変更許可手段174により運転パラメータの変更が許可されないときは、要求された運転パラメータの変更を係合圧制御の完了すなわち変速終了後に遅延させるので、エンジン作動状態、触媒温度状態、制御の応答性などに支障が発生しない。
【0064】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0065】
たとえば、前述の実施例では、図10および図11の制御が実行されていたが、必ずしも図10の制御が実施されていなくてもよい。
【0066】
また、前述の実施例において、自動変速機16は遊星歯車式有段変速機であったが、有効径が可変な一対の可変プーリに伝動ベルトが巻きかけられたベルト式無段変速機などであってもよい。
【0067】
また、前述の実施例のエンジントルク算出手段161では、よく知られた関係から実際のエンジン回転速度NE およびスロットル開度θ(吸入空気量)に基づいて基本推定値を算出し、図8に示す関係から実際の過給圧Pa および空燃比A/Fに基づいて補正値を決定し、その補正値で基本推定値を補正することによりエンジン出力トルクTEXを算出するものであったが、1つの関係から実際のエンジン回転速度NE 、スロットル開度θ、過給圧Pa 、空燃比A/Fに基づいてエンジン出力トルクTEXを算出するものであってもよい。
【0068】
また、前述の実施例の過給機54は、排気流によって回転駆動されるターボ式であったが、エンジン10のクランク軸あるいは電動機に作動的に連結されることにより回転駆動されるスーパーチャージャであっても差支えない。
【0069】
また、前述の実施例では、油圧式摩擦係合装置を例に説明したが、本発明は、パウダークラッチなどの電磁式摩擦係合装置にも適用することができる。
【0070】
その他、一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御装置が適用される車両の自動変速機の構成を説明する図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の油圧式摩擦係合装置の作動の組合わせとそれにより成立するギヤ段との関係を示す図表である。
【図3】図1の自動変速機を備えた車両のエンジンの吸気系および排気系の構成を説明する図である。
【図4】図1乃至図3の車両に備えられた電子制御装置の信号の入出力関係を説明する図である。
【図5】図3の自動変速機に設けられた油圧制御回路の要部を図6と共に説明する図である。
【図6】図3の自動変速機に設けられた油圧制御回路の要部を図5と共に説明する図である。
【図7】図4の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図8】図7のエンジントルク推定手段において、エンジン出力トルクを推定する際に空燃比および過給圧に基づいて補正するための補正係数を求める関係を示す図デある。
【図9】図3の車両に備えられたエンジンの特性図内において、運転パラメータの制御作動を説明する図である。
【図10】図4の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートであって、エンジントルク推定制御ルーチンを示している。
【図11】図4の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートであって、運転パラメータ制御ルーチンを示している。
【図12】図11の運転パラメータ制御作動を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン
54:過給機
160:エンジントルク推定手段
162:入力トルク推定条件成立判定手段
164:運転パラメータ制御中判定手段
166:同一トルク見做し制御手段
168:係合力制御手段
170:係合力制御中判定手段
172:運転パラメータ制御手段
174:運転パラメータ変更許可手段
Claims (4)
- 空燃比を制御可能なエンジンと、該エンジンに設けられた過給機と、該エンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられた摩擦係合装置とを有する車両において、エンジンの出力トルクを推定するエンジントルク推定手段と、該エンジントルク推定手段により推定されたエンジン出力トルクに基づいて前記摩擦係合装置の係合あるいは開放の際の係合力を制御する係合力制御手段とを備える制御装置であって、
前記係合力制御手段による前記油圧式摩擦係合装置の係合力の制御中であるか否かを判定する係合力制御中判定手段と、
該係合力制御中判定手段により前記係合力制御手段による前記摩擦係合装置の係合力の制御中であると判定される場合は、前記空燃比をその変更要求にしたがって一時的にリッチ側へ変化させる際、前記過給機の過給圧を一時的に低下させて該エンジン出力増大を相殺し、該エンジン出力トルクの変化を抑制する運転パラメータ制御手段と
を、含むことを特徴とする車両の制御装置。 - 前記エンジントルク推定手段は、前記空燃比に基づいてエンジンの出力トルクを推定するものである請求項1の車両の制御装置。
- 前記エンジントルク推定手段は、前記運転パラメータ制御手段による運転パラメータの制御中には、その運転パラメータの制御開始直前に推定されたエンジンの出力トルクをこの運転パラメータの制御中のエンジン出力トルクとするものである請求項1または2の車両の制御装置。
- 前記摩擦係合装置は、油圧式摩擦係合装置であり、前記係合力制御手段は、前記摩擦係合装置の係合油圧を制御することにより係合力を制御するものである請求項1乃至3のいずれか1の車両の制御装置。
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