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JP4776966B2 - イオンセレクタ - Google Patents
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Description

本発明は、質量分析計のためのイオンセレクタ装置、および、イオンを選択するための方法に関する。特に、本発明は、飛行時間型質量分析計(TOF−MS)、特にTOF MS/MS分析計で使用するためのイオンセレクタ装置に関する。
最も幅広く使用されるタイプの質量分析計のうちの1つが飛行時間型(TOF)質量分析計である。TOF質量分析計は、周知の距離にわたるイオンの異なる飛行時間によってイオンを分類する。
一般に、飛行時間型質量分析計はイオン源と検出器とを有している。イオン源と検出器との間でのイオンの移動に用いられる経路は、イオン飛行経路として知られている。
一般に、イオンの収集は、イオン源内のサンプルから例えばレーザ脱離によって引き起こされる。イオンは、選択された運動エネルギまで加速されて、ドリフト領域に入る。このドリフト領域では、各イオンの運動エネルギが(1/2)mvに等しく且つ各イオン毎に同じ値を有しているため、質量が異なるイオンが異なる速度を有している。
比較的高い速度を有するイオンは、比較的低い速度を有するイオンよりも短い時間で検出器に到達する。このようなことから、飛行時間と分子量とを関連付けることができ、それにより、未知の化合物を分析する際に、未知のピークにおける飛行時間に基づいて、未知のピークに対して分子量を割り当てることができる。
これにより、質量が異なるイオンを検出器によって識別することができる。
TOF技術の開発においては、第1のマススペクトル(MS)の後に、オリジナルイオンのフラグメントイオンが分析されるMSの第2の段階を伴うことができる。このMS/MSは、タンデムTOFとして知られる2つの結び付けられたTOF質量分析計において、あるいは、フラグメントイオンをその異なるエネルギによって分けるためにイオンリフレクタが設けられたシングルTOF質量分析計において、連続して行なうことができる。TOF MS/MSによれば、娘イオンすなわちオリジナルイオンの分解の結果として形成されるフラグメントイオンの分析が可能となる。
TOF MS/MSにおいては、イオン源で生じた準安定イオンがドリフト領域に入り、このドリフト領域において、前記準安定イオンがポストソース分解として知られるプロセスで複数のフラグメントに分かれる。フラグメントイオンを生成するため、ポストソース分解は、自動的に生じる場合があり、あるいは、レーザによって誘発させることができ、または、衝突セル内で生じ得る。これらのフラグメントイオンすなわち娘イオンは、準安定イオンを生じさせるサンプルの構造を決定するために役に立つ。例えば、ペプチドサンプルの場合、これらの娘イオンは、サンプル分子のアミノ酸組成に関与しており、したがって、配列情報を推論するために使用することができる。
娘フラグメントを分析するためには、イオン源で形成された前駆イオンに対して娘フラグメントを明確に割り当てなければならない。これは、通常、時間イオンゲートとしても知られるイオンセレクタゲートをイオン源と検出器との間の任意の場所に配置することにより達成される。
イオンセレクタゲートは、イオン源から検出器へのイオンの移動を選択的に妨げることができる。これは、一般に、イオン飛行経路の各側にそれぞれ1つずつ合計で2つの平行なプレートを設けるとともに、これらのプレート間に選択的に電位を加えて静電場を生成し且つゲートを選択的に開閉することによって達成される。
したがって、ゲートを「閉じる」ためには、プレート間に電位差を与えて偏向場を生成し、それにより、イオンをその当初の飛行経路から離れるように偏向させて検出器から離間させるようにする。逆に、イオンゲートが「開放された」形態である場合、イオンが検出器へのその当初の飛行経路を維持することができるように、電位差が接地される。
イオンゲートにおけるイオンの到達時間は、イオンの速度、したがってイオンの質量によって決定される。そのため、所定の時間にイオンセレクタゲートを開閉することにより、分解が生じ得るドリフト領域に所定のイオンを選択的に通し続けることができる。このようにすれば、検出器に到達する任意の娘イオンを所定のイオンに対して明確に割り当てることができる。
イオンセレクタゲートの質量分解能Rは、2つのイオンの質量が互いにどの程度接近することができ且つ個々のMS/MSにおいてどのように分離され得るのかを決定する。例えば、単純なプレートイオンデフレクタは20の質量分解能を有している。この質量分解能では、1000Daの公称イオン質量で最小質量分離が50Daとなる。
したがって、質量分解能は、イオンゲートがどの程度正確に所望のイオンの組を選択できるかについての目安を与える。質量分解能が高いと、イオンゲートは、狭い分布のイオンすなわち質量変化がごく僅かなイオン群を選択することができる。質量分解能が比較的低いと、イオンゲートは、幅広い分布のイオンすなわち質量変化が大きいイオン群しか選択することができない。
高い質量分解能を実現するという先の試みによると、イオンゲートの有効長lに対する、イオン源からのイオンゲートの距離Lの割合が最大になってしまう。この割合は質量分解能の基本的な限界を表わしている。すなわち、R=m/δm=L/lである。
実際には、これは、イオン源から遠くへゲートを移動させることにより、あるいは、ゲートを非常に短くすることによって達成することができる。イオン源からの距離は、イオンを十分に偏向させてイオンを検出器に到達させないようにする必要性と相まって、機器の物理的なサイズによって制限される。
イオンゲートの長さは、イオンゲートの物理的なサイズと生成される静電場の性質とによって制限される。例えば、ゲートの物理的な先端をはるかに超えて延びる大きな静電場を形成するゲートは、大きな有効長を有するとともに、ゲートの物理的な先端の外側であってもイオンを偏向させることができる。
また、ゲートを開閉させるために使用されるパルス発生エレクトロニクスの速度も、イオンゲートの有効長に影響を与え、したがって質量分解能に影響を与える。
すなわち、イオンゲートを開状態と閉状態との間で切り換えることができる速度、および、ゲートが開位置および閉位置を維持できる時間の最小長さは、質量分解能に影響を与える。
ゲートに加えられる切り換えパルスの長さに対する質量分解能Rの依存度、すなわち、ゲートが開状態または閉状態を維持できる時間の最小長さは、以下のように得ることができる。
パルスがONに切り換えられ且つ最初の質量Mがイオンゲートを通り抜けることができる時間は、以下の式によって与えられる。
on=kL1/2
式中、kは質量分析計の定数(抽出電位(extraction potential)およびソースイオン光学素子電圧(source ion optics voltages)によって決まる)である。
パルスがOFFに切り換えられ且つ最後の質量M+δMがイオンゲートを通り抜けることができる時間は、以下の式によって与えられる。
off=kL(M+δM)1/2
ゲートパルスの幅Tgsは、単にToff−Tonであり、以下の式によって与えられる。
gs=kL1/2[(1+δM/M)1/2−1]
δM/M<<1の場合、これを展開すると、以下のようになる。
gs=Ton(δM/2M)
この式は、質量分解能におけるイオンゲートに関する良く知られた以下の方程式を与える。
M/δm=Ton/2Tgs
したがって、高い質量分解能M/δmを得るためには、非常に小さいパルス幅Tgsが必要となる。
また、イオンセレクタの性能は、十分な偏向を行なうことができるイオンゲートの能力に関与している。
一般に、前述した種類のプレートデフレクタに印加される電圧は、イオンがゲートの全長にわたって移動して完全な偏向が起こり、それにより、イオンが検出器に到達しないような大きさに設定される。したがって、低い印加電圧を補償するために(イオン飛行経路の方向に)長い偏向ゲートが使用されても良く、逆もまた同様である。
また、質量分析計においては、ブラッドベリー・ニールソンゲート(Bradbury−Nielson gate)としても知られるワイヤイオンゲートも使用されてきた。これらのゲートは、イオン飛行経路を横切って延びる複数の平行なワイヤを備えている。ワイヤはプラス電位とマイナス電位とに対してそれぞれ交互に接続されている。一般に、イオンゲートは、ゲートが開状態に切り換えられる点に所定のイオンが達するまで、閉状態に維持される。
ワイヤゲートの有効長は非常に短く例えば2mmから3mmであるため、所定のイオンがゲートを急速に通過し、また、他のイオンがゲートを通過しないようにするためには、ゲートをできる限り迅速に閉状態に切り換え可能であることが望ましい。
しかしながら、ワイヤイオンゲートの短い有効長をうまく利用することができる十分に短いパルス信号を生成することは非常に困難である。非常に短い切り換えパルス、例えば10nsから30nsの切り換えパルスを生成するために必要なパルス発生エレクトロニクスは複雑であり高価である。
周知のワイヤイオンゲートの作用が図1aから図1cに概略的に示されている。直径が50μmで且つ互いに500μmの距離をもって離間する複数の平行なワイヤを有するワイヤイオンゲート2は、イオン源4と検出器6との間にあるTOF質量分析計のイオン飛行経路内に配置されている。交互に配置されたワイヤ8、10は互いに電気的に絶縁されており、それにより、交互に配置されたワイヤに対してプラス電圧およびマイナス電圧を印加することができるようになっている。
図1aは閉状態のゲートを示している。この閉状態では、ワイヤに電圧が印加されることにより、ゲートを通過するイオン12を偏向させる静電場が形成される。
図1bは開状態のゲートを示している。この場合、ワイヤは接地されており、それにより、所定のイオン14は、偏向されることなくゲートを通過することができ、そのため、検出器6に到達することができる。
図1cは、ゲートを開状態と閉状態との間で切り換えるためにゲートに加えられる切り換えパルスを概略的に示している。最初は、ゲートが閉状態16に保持され、それによりイオン12が偏向される。所定の時間Tonが経過した後、切り換えパルス18がゲートに加えられてゲートが開かれ、所定のイオン14は偏向されることなく通過できる。切り換えパルスのパルス幅はTgsであり、そのため、時間Tgs後にゲートが元の閉状態に戻る。
プレートデフレクタとワイヤイオンゲートとの組み合わせが米国特許第6489610号明細書および米国特許第5986258号明細書に記載されている。これらの両方の特許は、イオンが通過できる一連のチャンネルを形成するべくイオン飛行経路を横切って延びる薄い平行なストリップの配列について記載している。平行なストリップは、互い違いなストリップに対してプラス電圧およびマイナス電圧がそれぞれ与えられるように電源に接続されている。
米国特許第5986258号明細書においては、ブラッドベリー・ニールソンゲートとほぼ同じ方法でイオンを選択するために、シングルストリップデフレクタすなわち「拡張ブラッドベリー・ニールソンゲート」が使用されている。
また、2つの別個のゲートを有するイオンセレクタゲートも知られている。例えば、イオン飛行経路に沿って2対のプレートデフレクタを互いに前後に配置することができ、また、切り換えパルスを第1のゲートに対して加えた後に続けて第2のゲートに加えることができる。この手法を用いて質量分解能をある程度向上させることができるが、デュアルプレートデフレクタでは高い質量分解能が得られなかった。
米国特許第6489610号明細書においては、2組のストリップデフレクタがデュアルゲート構造において使用されている。ストリップゲートは、所定のイオンを最初に第1の方向に偏向させた後に反対の第2の方向に偏向させるように操作される。このようにすれば、イオンは、結局、その当初の軌道と平行な経路を辿るようになる。
このデュアルゲート構造においては、2つのストリップゲートがイオン飛行経路に沿って互いに離間している。第1および第2のストリップゲートは、互いに反対の極性を有しており、そのため、閉じられると反対方向で偏向を引き起こす。
第1のゲートが最初に閉状態に維持され、これにより、このゲートを様々に通過する任意のイオンが第1の方向に完全に偏向する。第2のゲートは最初に開かれる。
所定のイオンが第1のゲートに達すると、ゲートが開かれるとともに、切り換えプロセス中に生じた減衰する静電場により、所定のイオンが第1の方向に不完全に偏向する。不完全に偏向されたイオンは、第1のゲートから出て、(依然として開放されたままの)第2のゲートの方へ移動する。
所定のイオンが第2のゲートに到達する所定の時間に第2のゲートが閉状態に切り換えられるが、静電場の極性または方向は第1のゲートのそれと反対である。第2のゲートの切り換え中に生じた成長する静電場により、所定のイオンが第1の方向と反対の第2の方向に不完全に偏向される。
2つの不完全な反対方向の偏向により、最終的に、所定のイオンは、その当初の経路と平行な軌道上を検出器の方へと進み続ける。所定のイオンの前または後にゲートに到達するイオンは、第1の方向または第2の方向で正味の偏向を受け、その軌道に起因して検出器に到達しなくなる。したがって、切り換えパルスを第1のゲートに加えた後に続けて第2のゲートに加えることにより、イオン選択が行なわれる。
本発明者らは、TOF−MSにおける既存のイオン選択方法に伴う多くの欠点を認識した。
1つのイオンゲート、例えば平行ワイヤゲートまたはブラッドベリー・ニールソンゲートが使用される場合、質量分解能は、ゲートに加えられる切り換えパルスの長さ、すなわち、ゲートが開状態または閉状態を維持できる時間の最小長さ、特にゲートが開状態を維持できる時間の最小長さによって制限される。非常に短い切り換えパルス、例えば10nsから20nsの切り換えパルスを生成することは、非常に困難であり、したがって高価である。そのため、例えばワイヤイオンゲートの物理的に短い長さをうまく利用することは難しい。
ストリップデフレクタは、プレートデフレクタよりも小さいキャパシタンスを有しているが、高い作動電圧を必要とする。これは、ゲートの長さが一般に非常に短く、そのため、イオンの完全偏向が短い距離にわたって生じるからである。いずれにせよ、ストリップデフレクタの性能は、ゲートに加えられる切り換えパルスの長さによって制限される。
米国特許第6489610号明細書 米国特許第5986258号明細書
本発明の目的は、既存のイオンセレクタ方法および装置に伴う幾つかの欠点または全ての欠点の解消に取り組むことである。また、本発明は、高い質量分解能を与えるという課題を扱う。
最も広い意味において、本発明は、閉状態と開状態との間で同時に切り換えられる2つのイオン偏向領域を有するイオンセレクタを設けることにより高い質量分解能を得ることができることを提案する。
第1の態様において、本発明は、イオン源と、検出器と、イオン源と検出器との間のイオン飛行経路に沿って直列に配置された第1および第2のイオン偏向領域を有するイオンセレクタゲートとを有する飛行時間型質量分析計におけるイオン選択方法であって、両方のイオン偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えることにより両方の偏向領域を同時に開き或いは閉じるステップを含み、1つの偏向領域が閉じられると、この偏向領域がイオンを偏向し、それにより、イオンが検出器に到達しなくなる方法を提供する。
この方法は、切り換えパルスを2つの偏向領域に対して同時に加えることにより高質量分解能を与えることが好ましい。
本発明の利点は、非常に短い切り換えパルスを生成するために複雑で且つ高価な電子切り換え回路を使用することなく高い質量分解能を得ることができるという点である。すなわち、本発明の方法を使用する場合には、非常に狭いパルス幅を有する切り換えパルスが不要となる。
本発明によれば、高い質量分解能を与えつつ、比較的長い切り換えパルス、例えば80nsから200nsの切り換えパルスを使用することができる。これは、比較的長い切り換えパルス、例えば80nsから200nsの切り換えパルスによって質量分解能に限界があるこれまでのイオン選択方法とは全く異なっている。
2つの偏向領域を使用することにより、好ましくは両方の偏向領域に対して同じ切り換えパルスを加えることにより、ゲートによって選択されるイオンの空間的な体積を減少させることができる。これは、空間的な分布における開始点が第1の偏向領域の開放によって定義され且つ終了点が第2の偏向領域の閉塞によって定義されるが故に達成される。
方法は、両方のイオン偏向領域を閉状態に設定するステップと、両方のイオン偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えることにより両方の偏向領域を開いた後に閉じるステップとを含んでいることが適している。
このようにすれば、イオン源からイオン飛行経路に沿って検出器へと移動するイオンは、最初に、偏向領域が同時に開かれる時間まで第1のイオン偏向領域により完全に偏向され、開かれた時点で、イオンは、第1の偏向領域を通過した後、第2の偏向領域に達することができる。イオンは、偏向領域が閉じられるまで両方の偏向領域を通過し続け、閉じられた時点で、第2の偏向領域を未だ通過していなかった任意のイオンは、閉じられた第2の偏向領域を通過する際に偏向される。すなわち、偏向領域が元の閉状態に切り換えられる時に2つの偏向領域間に捕捉された任意のイオンは検出されない。
そのため、大きく偏向されることなく第1および第2の偏向領域の両方を通過したイオンだけが選択されることが好ましい。
したがって、大きく偏向されることなくイオンセレクタゲートを通過する(すなわち、ゲートによって「選択される」)イオンの総数は、第1の偏向領域が開状態にある間に第1の偏向領域を通過するイオンの数から、偏向領域が元の閉状態に切り換えられる時に偏向領域間に捕捉されたイオンの数を差し引いた数である。
一般に、装置は、所定の最小質量イオンが第1の偏向領域に達する時がイオンセレクタゲートの「ONタイム」であり、所定の最大質量イオンが第2の偏向領域に達する時が「OFFタイム」となるように動作される。更に高い選択された質量を第1の偏向領域から第2の偏向領域へと移動させるためには付加的な時間が必要であり、それにより、特定の質量分解能において必要なパルス幅が1つの偏向領域におけるそれよりも長くなるという点が本発明の利点となる。
このように、本発明は、2つの偏向領域と1つの切り換えパルスを組み合わせて使用することが好ましい。
好ましくは、本発明によれば、2つの偏向領域間の離間距離を変えることにより質量分解能を調整することができる。好ましくは、偏向領域に加えられる信号パルスの長さを変えることにより質量分解能が調整されてもよい。方法は、2つの偏向領域に対して切り換えパルスを加える前にパルス幅を選択するステップを含んでいることが適している。
適切には、質量分解能を最適化するために切り換えパルスの持続時間及び/又は2つの偏向領域間の離間距離が調整されてもよい。したがって、例えば切り換えエレクトロニクスを簡略化するためにより長い切り換えパルス幅が使用される場合には、これは、2つの偏向領域間の離間距離を増大させることにより補償可能である。好ましくは、これが本発明の他の利点である。
適切には、質量分析計は2つ以上のイオン偏向領域を有していてもよい。例えば、3つ、4つ、又は5つの偏向領域が設けられてもよい。2つの偏向領域を設けることが好ましい。3つ以上の偏向領域が設けられる場合、方法は、全ての偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えるステップを含んでいることが好ましい。
両方の偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えるステップは、両方の偏向領域に対して同じ切り換えパルスを加えることにより、あるいは、各偏向領域に対して異なる切り換えパルスを同時に加えることにより達成されてもよい。各偏向領域に対して異なる切り換えパルスが同時に加えられる場合には、偏向領域に対する切り換えパルスの印加が1つの制御回路によって制御されることが好ましい。
2つの偏向領域に対する切り換えパルスの印加に関してここで使用される用語「同時に」は、各偏向領域が切り換えパルスを受ける無視して良い或いは非常に僅かな実時間の差を含む。そのような差は、例えば電子移動時間の差の結果として生じる。すなわち、本発明の目的を達成する際には、表現「両方の偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加える」の中に、無視して良い或いは問題にならない差が含まれている。
しかしながら、同じ切り換えパルスが両方の偏向領域に加えられることが好ましい。1つのパルス発生器だけを使用し、それにより、コストを節約して、電子回路を簡略化することが好ましい。
1つの拡大されたイオンゲート内に或いは2つの別個のイオンゲートにより2つのイオン偏向領域が設けられてもよい。
1つの拡大されたイオンゲートによって2つのイオン偏向領域が設けられる場合、各偏向領域は、閉じられた状態の時に、それを通過する任意のイオンを完全に偏向させる。すなわち、閉状態にある一方の偏向領域を通過するイオンは、検出器に到達せず、そのため、検出されない。
各偏向領域での完全な偏向は、例えば、1つの拡大されたゲートを十分な長さに設定することによって各偏向領域において完全な偏向を行なえるようにすることにより達成されてもよい。これに加え或いはこれに代えて、1つの拡大されたイオンゲートに供給される電圧は、両方の偏向領域において完全な偏向を引き起こすことができる十分な大きさである。例えば、拡大されたゲートが約3mmの長さを有していても良く、また、印加される電圧は、拡大されたイオンゲートの第1の半分のおよび第2の半分のゲートの両方で完全な偏向を引き起こすことができる十分な大きさである。1つの拡大されたイオンゲートは、約3mmから12mmの長さを有していることが好ましく、5mmから9mmの長さを有していることが更に好ましい。
2つのイオン偏向領域が1つの拡大されたイオンゲートによって形成される場合、1つの拡大されたイオンゲートは、複数の平行な導電ストリップを有するストリップデフレクタであることが好ましい。この場合、複数の平行な導電ストリップは、使用時にイオン飛行経路を横切って延びることにより、イオンが通り抜けできる複数のチャンネルを形成する。
しかしながら、2つの偏向領域は、2つの別個のイオンゲートによって形成されることが好ましい。
この場合、ゲートは、約1mmから20mmだけ離間されることが好ましく、約1mmから10mm離間されることがより好ましく、約2mmから6mmだけ離間されることが更に好ましい。特に好ましい離間距離は、約2mmから5mmであり、特に約4mmである。
2つの別個のイオンゲートは、使用時に直交する偏向場を形成するように配置される。一般に、別個のイオンゲートは略直角に配置される。他の偏向場方向も可能であるが、偏向場は、少なくとも20°の角度、好ましくは40°の角度であることが好ましく、少なくとも60°であることが更に好ましく、少なくとも80°であることが最も好ましい。
偏向領域は、ワイヤイオンゲートまたはストリップデフレクタによって形成されてもよい。
各偏向領域は、前述したブラッドベリー・ニールソンゲートとしても知られるワイヤイオンゲートによって形成されることが好ましい。好ましくは、ワイヤイオンゲートは複数の平行なワイヤから成る組を有しており、各ワイヤの直径は、約10μmから100μmであり、更に好ましくは約30μmから70μmであり、最も好ましくは約45μmから55μmである。
ワイヤは、約200μmから1000μmだけ離間されていることが適切であり、好ましくは約300μmから700μmだけ離間され、更に好ましくは約400μmから600μmだけ離間され、約480μmから520μmだけ離間されることが最も好ましい。
ワイヤイオンゲートが好ましい理由は、これらが短い物理的長さを有しているからであり、これにより、本発明にしたがって使用されると、高い質量分解能を得ることができる。実際には、好ましくは、本発明により、そのようなイオンゲートを用いて得ることができる高い理論質量分解能をうまく利用できるようになる。
好ましくは、本発明においてワイヤイオンゲートを使用する利点は、これらが良好なエッジ分解能を有し、それにより、本発明にしたがって使用されると、非常に狭いパルス幅を必要とすることなく高い質量分解能が得られるという点である。
エッジ分解能は、ゲートのエッジから偏向場が無視できる場所までの距離に依存している。前述したワイヤイオンゲートは、近接して離間されたワイヤ上に互い違いの極性を有している。そのようなゲートによる電界は、2つの平行板によって生成される双極子電場によるそれよりも急速にゼロまで下がる。
一般に、2つのワイヤイオンゲート、例えばブラッドベリー・ニールソンゲートはそれぞれ平行な複数のワイヤから成る組を1つずつ有しており、これらの2つの平行ワイヤ組は互いに平行である。また、第1のイオンゲートの平行ワイヤは、第2のワイヤイオンゲートの平行ワイヤと非平行であってもよい。第1のイオンゲートの平行ワイヤは、第2のイオンゲートの平行ワイヤの方向に対して「交差され」ていることが好ましい。すなわち、これらのワイヤは、第1のイオンゲートのワイヤの長軸が第2のイオンゲートのワイヤの長軸と所定の角度を成すように位置合わせされることが好ましい。前記角度は、少なくとも10°であることが好ましく、少なくとも45°であることが更に好ましく、少なくとも80°であることが最も好ましい。特に好ましい角度は約90°である。イオンゲート内の「交差された」(非平行な)配置構成により、所望のイオンの選択が向上することが分かった。
他の角度も可能であり、そのような角度は、例えば0°から90°の間の任意の角度であり、例えば少なくとも20°であり、好ましくは少なくとも40°であり、更に好ましくは少なくとも60°であり、最も好ましくは80°である。
他の態様において、本発明は、イオン源と検出器とを有する質量分析計で使用するためのイオンセレクタ装置であって、第1の偏向領域と第2の偏向領域と制御手段とを有し、使用時において第1および第2の偏向領域がイオン源と検出器との間に配置され、制御手段により、第1および第2の偏向領域を、イオンが検出されないように各偏向領域がイオンを偏向する閉状態とイオンが偏向領域を通過して検出器に達することができる開状態との間で同時に切り換えることができるイオンセレクタ装置を提供する。
好ましくは、使用時、第1および第2の偏向領域がイオン飛行経路に沿って直列に配置され、これにより、イオンは、第1の偏向領域を通過し、その後、第2の偏向領域を通過する。
第1および第2の偏向領域は、制御手段により開状態から閉状態へと同時に切り換え可能であることが適している。好ましくは、2つの偏向領域は、制御手段により、閉状態から開状態へと同時に切り換え可能であり、その後、元の閉状態に切り換え可能である。
したがって、使用時、イオンセレクタ装置は、開状態にある際に第1の偏向領域に達するイオンの前縁および第2の偏向領域が閉じられる際に第2の偏向領域から出るイオンの後縁によってその限界が定義されるイオンの空間的分布を選択することができる。
好ましくは、本発明の装置によれば、順次に供給される切り換えパルスによって動作するデュアルイオンゲートと比較して、質量分解能が向上する。
前述した本発明の方法の特徴および利点は、ここで説明した本発明の装置にも当てはまる。また、装置の特徴および利点は、本発明の他の態様にも当てはまる。
制御手段は、両方の偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えるための切り換え回路を含んでいることが好ましい。
切り換え回路は、好ましくは約30nsから500nsのパルス幅を有する切り換えパルス、更に好ましくは約40nsから200nsのパルス幅を有する切り換えパルス、最も好ましくは約50nsから150nsのパルス幅を有する切り換えパルスを供給する。
2つの偏向領域は、これらが同じ電源を共有するように電気的に接続されてもよい。また、各偏向領域に印加される電圧は、異なる電源によって供給されてもよい。後者の場合、偏向領域には、2つの偏向領域に対して別個の電圧を同時に印加するための切り換え回路が適切に設けられる。
切り換え回路は、高電圧パルス発生器と、高電圧パルス発生器を駆動させるためのトリガパルスを生成するためのトリガパルス発生器とを含んでいることが好ましい。
切り換え回路は、2つの高電圧パルス発生器を含んでいることが好ましい。トリガパルス発生器は、両方の高電圧パルス発生器に対してトリガパルスを同時に供給することが適している。
使用時、偏向領域に印加される電圧により、いずれかの偏向領域が閉じられている場合には、その偏向領域を通過する任意のイオンが偏向される。そのため、イオンが検出されない。
各偏向領域に印加される電圧は、約200Vから2kVが適しており、更に好ましくは約300Vから1kVであり、最も好ましくは約400Vから800Vである。特に好ましい電圧は約500Vである。
一方の高電圧パルス発生器がマイナスの電圧を供給し、他方の高電圧パルス発生器がプラスの電圧を供給することが適している。
偏向領域によって生成される静電場の方向または極性は、各偏向領域において同じであることが好ましい。
2つの偏向領域は、それらが非連続的であるという意味では別個であっても良く、あるいは、前述したように、連続する又は拡大されたゲート構造の一部として存在してもよい。
したがって、本発明のイオンセレクタ装置は、例えば互いに離間された2つのワイヤイオンゲートによって形成されても良く、あるいは、例えば拡大されたストリップゲート構造によって形成されてもよい。
連続する拡大されたゲートによって2つの偏向領域が形成される場合には、拡大されたゲートが拡大されたストリップゲートであることが好ましい。イオン飛行経路の方向で測定されたストリップゲートの長さは、約3mmから8mmであることが好ましく、約4mmから6mmであることが更に好ましい。前述したように、使用時に偏向領域に対して印加される電圧により、イオンがいずれかの偏向領域を通過する場合には、イオンが偏向され、それにより、イオンが検出されない。
偏向領域が拡大されたストリップゲートによって形成される場合、第1の偏向領域は、拡大されたストリップゲートの第1の半分のゲート、例えば拡大されたストリップゲートの長さが6mmの場合には初めの3mmの長さのゲートによって形成され、また、第2の偏向領域は、拡大されたストリップゲートの第2の半分のゲート、例えば拡大されたストリップゲートの長さが6mmの場合には後ろの3mmの長さのゲートによって形成されてもよい。
しかしながら、イオンセレクタ装置が2つの別個の偏向領域を含んでいることが好ましい。
好ましい構成において、偏向領域は、前述した種類のワイヤイオンゲート、例えばブラッドベリー・ニールソンゲートである。
2つの偏向領域が2つのイオンゲートによって形成されるとともに、両方のワイヤイオンゲートに対して切り換えパルスを同時に加えるための切り換え回路を装置が含んでいることが特に好ましい。
この構成は、高い質量分解能を得るためにブラッドベリー・ニールソンゲート等の周知のワイヤイオンゲートを本発明にしたがって使用できるという利点を有している。
更なる態様において、本発明は、第1の偏向領域と第1の偏向領域から離間された第2の偏向領域とを有するイオンセレクタゲートであって、第1および第2の偏向領域は、第1の偏向領域に対して印加される電圧が第2の偏向領域にも印加されるように電気的に接続されているイオンセレクタゲートを提供する。
したがって、2つの別個の偏向領域は、1つの電源を使用して両方のゲートを駆動できるように接続されることが好ましい。
2つの別個のイオンゲートは、使用時に直交する偏向場を形成するように直角に配置されることが好ましい。
好ましい構成において、第1および第2の偏向領域は、第1のワイヤイオンゲートおよび第2のワイヤイオンゲートによってそれぞれ形成され、各ゲートが複数の平行なワイヤを有し、第1のワイヤイオンゲートの複数の平行なワイヤのうちの少なくとも1つは、第1のワイヤイオンゲートから第2のワイヤイオンゲートへと延びることにより、第2のワイヤイオンゲートの平行なワイヤのうちの少なくとも1つを形成する。
1つのワイヤは、第1のワイヤイオンゲートにおける交互に配置される平行な複数のワイヤを形成するとともに、第2のワイヤイオンゲートにおける交互に配置される複数のワイヤを形成することが好ましい。
好ましくは、イオンセレクタゲートは、平行なワイヤを支持するための少なくとも1つの絶縁ポストと、第1および第2の導電ポストとを含んでいる。各導電ポストは、使用時に、プラス電源およびマイナス電源に接続される。
第1のワイヤイオンゲートの交互に配置される平行なワイヤおよび第2のワイヤイオンゲートの交互に配置される平行なワイヤは、第1の導電ポストに対して接続されることが好ましい。
そのようなワイヤは、1本の連続するワイヤによって形成されることが好ましい。
これに代えて或いはこれに加えて、第1のワイヤイオンゲートの交互に配置される他の平行なワイヤおよび第2のワイヤイオンゲートの交互に配置される他の平行なワイヤは、第2の導電ポストに対して接続される。そのようなワイヤは、1本の連続するワイヤによって形成されることが好ましい。
他の好ましい構成においては、2つの偏向領域が2つのストリップデフレクタによって形成され、両方のストリップデフレクタに対して切り換えパルスを同時に加えるための切り換え回路を装置が含んでいる。
更なる態様において、本発明は、前述したイオンセレクタ装置を含む質量分析計を提供する。
他の態様において、本発明は、前述したイオンセレクタゲートを含む質量分析計を提供する。
適切な場合、以下の特徴および利点は、質量分析計に関する本発明の前記両方の態様に当てはまる。
一般に、質量分析計は、イオン源と、検出器と、イオン源と検出器との間のイオン飛行経路とを有している。イオンセレクタ装置の2つのイオン偏向領域は、イオン飛行経路に沿って、イオン源と検出器との間に直列に配置されていることが好ましい。
質量分析計は、TOF質量分析計であることが好ましく、TOF MS/MS分析計であることが更に好ましい。特に好ましい実施形態において、質量分析計はリフレクトロンを含み、イオンセレクタ装置の偏向領域はイオン源とリフレクトロンとの間に配置される。
以下、添付図面を参照しながら、単なる一例として本発明を説明する。
図1a〜図1cに示される従来のワイヤイオンゲートについては既に前述したが、図1a〜図1cで使用した参照符号は、他の図面において対応する部分を説明するために使用される。
図2は、質量分析計内に配置される本発明に係る2段階ワイヤイオンセレクタゲートを示している。質量分析計は、イオン源4と、検出器6と、イオン源4と検出器6との間にあるイオン飛行経路とを有している。イオンセレクタゲートは、イオン飛行経路に沿って配置されている。
2段階ワイヤイオンゲートは2つのワイヤイオンゲート20、22を含み、各ゲートは複数の平行なワイヤを含んでいる。交互に配置されたワイヤ23、25は互いに電気的に絶縁されている。ゲート間の間隔Xは、例えば1から10mmであるが、好ましくは2mmから5mmである。
2段階イオンセレクタゲートは、例えば、図1a〜図1cに示されるタイプの2つのゲートを含んでいてもよい。2つのイオンゲートは、使用時に電源24によって供給されるプラス電圧が各ゲートの交互のワイヤ23に対して印加されるように電気的に接続されていることが好ましい。同様に、使用時、電源26によって供給されるマイナス電圧が各ゲートの交互のワイヤ25に対して印加される。
電源24及び26によって2つのワイヤイオンゲートに対して印加される電圧はそれぞれ、例えば約+500Vおよび−500Vであるが、それぞれ300Vから1000Vの範囲および−300Vから−1000Vの範囲であってもよい。
このような構成によって高い質量分解能が得られることが好ましい。この高い質量分解能は、比較的長い切り換えパルスを使用することによって適切に得られる。このことは、切り換えエレクトロニクスを簡略化できることを意味し、したがって、必要な装置が安価で且つ高い信頼性を有していることを意味している。
質量分解能、ゲートの間隔、切り換えパルスのパルス幅の関係は、以下のように示すことができる。
前述したように、ゲートパルスがONに切り換えられる時間は以下のようになる。
on=kL1/2
しかし、2段階イオンゲートの場合、off時間は以下の式によって与えられる。
off=k(L+x)(M+δM)1/2
ここで、Xは2つのイオンゲート間の間隔である。この時、ゲートパルス幅Tgdは以下の通りである。
gd=kL1/2[(1+x/L)(1+δM/M)1/2−1]
この場合も同様に、δM/M<<1として展開すると、以下のようになる。
gd=Ton(x/L+δM/M)
イオンゲートを通じて速度に変化がないため、質量Mのイオンがイオンセレクタゲートを通過するために要する時間がTxgdの場合、以下のようになる。
xgd/Ton=x/L
そのため、
gd=Ton(Txgd/Ton+δM/M)
そして、最終的に、分解能は以下のようになる。
M/δM=Ton/[2(Tgd−Txgd)]
そのため、同じ質量分解能の場合、TgdはTxgdだけTgsよりも大きい。1000Daイオンのエネルギが20keVで且つゲート間の間隔が3mmである場合、Txgdは約50nsである。したがって、最大理論質量選択分解能を得るためには、最小パルス幅は82nsであり、これは、1つのワイヤイオンゲートを用いて同じ質量分解能を得るために必要なパルス幅よりもかなり大きい。
図3は、本発明にしたがって2つのワイヤイオンゲート32、34を駆動するためのスイッチング回路(切換回路)30を示している。
一般に、使用時、ゲートパルスTgdの幅と等しい或いは比例する時間幅をもって且つイオンゲートを開いて正しい公称質量のイオンを通過させることができるようにする必要がある時間位置でタイミングエレクトロニクス(図示せず)により1つの低電圧トリガパルスが生成される。このトリガパルスは、インバータ38を介した後、2つの高電圧(HV)パルサー40及び42へ向かう。高電圧パルサーはそれぞれ、グランドに切り換える信号を同時に生成するとともに、同じ振幅から再び高電圧に戻るが、極性は反対となる。例えば、Tgdが100nsである場合、パルサー40は、+500Vからグランドに切り換わる(約10nsで)とともに、100ns後に元の+500Vに切り換わる(約10nsで)。同時に、第2のパルサー42は、−500Vからグランドに切り換わる(約10nsで)とともに、100nsの遅延後に元の−500Vに切り換わる。
HVパルサーの出力は、両方のイオンゲート32、34の交互的なワイヤに対して接続される。したがって、HVパルスが両方のイオンゲートに対して同時に加えられる。他の構成においては、インバータ38を設けなくてもよい。
幾つかの実施形態においては、インバータ38の前でトリガ信号36が分割されてもよい。他の構成において、HVパルサー40、42は、1つのバイポーラユニットであっても良く、あるいは、個々にトリガ信号が供給される2つの別個のユニットであってもよい。
いずれにせよ、HVパルスは、イオンゲート32、34に対して同時に加えられるとともに、振幅が類似または同じであるが、極性が反対である。図示の実施形態においては、各パルスが例えば直列に或いは並列に接続された両方のイオンゲートに対して加えられ、それにより、2つのイオンゲート32、34が同時に動作される。
図4aおよび図4bは、2つのワイヤイオンゲート52、54を有するイオンセレクタゲート50を示している。この場合、両方のゲートの幾つかの平行なワイヤは、1本の所定長のワイヤによって形成されている。
図4aはイオンセレクタゲート50の正面図を示しており、図4bは平面図を示している。
この構成では、互いに約5mm離間した2つのブラッドベリー・ニールソンタイプのイオンゲート52、54が形成されているが、例えば2mmから10mmの離間間隔が使用されてもよい。使用時、イオンセレクタゲートは、質量分析計のイオンビーム軸51がその中心を通るように、質量分析計内に配置される。
平行ワイヤ56、58は、直径が50μmであり、500μmの間隔を有している。これらのワイヤは、電気的に絶縁された3つの円柱状のポスト60、62及び64によって所定の位置に正確に保持されている。これらのポストはPEEKによって形成されていることが好ましい。ポストは、5mmよりも僅かに大きい直径を有するとともに、その円筒状の外面に複数の溝を有している。これらの溝は0.5mmの垂直間隔を有しており、したがって、この垂直間隔によりワイヤの間隔が決定され、また、溝は、ワイヤ間に例えば1000Vよりも大きい電位差がある場合であっても隣り合うワイヤ同士を電気的に絶縁できる十分な深さを有している。
図示の実施形態では、2つの単一ワイヤだけしか存在しない。そのうちの一方のワイヤ56は、導電ポスト66から始まって導電ポスト66で終端している。一方、他方のワイヤ58は、導電ポスト68から始まって導電ポスト68で終端している。両方のポストは、ステンレススチールによって形成されていることが好ましいが、任意の適当な金属または他の導電材料によって形成されていてもよい。2つのワイヤ56、58は、導電ポストと絶縁ポストとに対して交互に巻回される。使用時、プラスHVパルスが一方の導電ポストに対して加えられるとともに、マイナスHVパルスが他方の導電ポストに対して加えられる。このようにすると、隣り合うワイヤが反対の極性を有するようになる。
ワイヤが連続している場合には、導電ポスト66、68の一方または両方が絶縁されていてもよい。同様に、例えば絶縁体を設けることによってワイヤとポストとの間の電気的な接触が避けられる場合には、任意のポスト60、62、64が導電性を有していてもよい。
導電ポスト66、68はポストから延びるペグ70を有しており、ペグ間の間隔は正確で且つ等しくなっている。この実施例では、間隔が1mmである。ペグ70は、絶縁ポスト60、62及び64の溝と水平に位置合わせされている。導電ポスト66のペグ70は、導電ポスト68のペグに対して、ペグ間の間隔の半分と等しい大きさだけ垂直にオフセットされている。これは平行ワイヤ間の垂直間隔と等しく、そのため、この実施例ではオフセットが0.5mmである。
単一の第1のワイヤ56は、導電ポスト66の上部から始まって、この上部から絶縁ポスト64を水平に横切って通り絶縁ポスト62に至るとともに、ここで絶縁ポスト62の背後に回り込み、元の絶縁ポスト64に戻ってこれを横切り、導電ポスト66へと戻っている。そして、ワイヤは、導電ポスト66上で次の下側のペグへと掛け渡され、絶縁ポスト62へ向かう経路を再び辿って、1mm下側で絶縁ポスト62を回り込む。これは、導電ポスト66の最も下側のペグに達するまで繰り返される。このようにして、1本の単一ワイヤは、平行なワイヤから成る2つの配列を形成する。この場合、各配列のワイヤ同士は1mmの間隔をもって離間している。
第2の単一ワイヤ58は、導電ポスト68の上部から始まって、この上部から、導電ポスト66と接触することなく、絶縁ポスト64及び62を水平に通り越して、絶縁ポスト60に至る。この場合、ワイヤは、第1のワイヤ56によって占められる溝間にある絶縁ポスト62及び64の溝を通り過ぎる。第2のワイヤ58は、引き続いて絶縁ポスト60を周回し、元の絶縁ポスト62及び64を越えて戻り、導電ポスト68へと至るとともに、この導電ポスト68において高さが1mm低い次の下側のペグに回し込まれる。ワイヤ58は再び絶縁ポスト64及び62を横切って戻り、絶縁ポスト60を周回して導電ポスト68に戻る。これは、ワイヤが導電ポスト68の最も下側のペグに達するまで繰り返される。このようにして、第2のワイヤ58は、第1のワイヤ56によって形成される配列と平行で且つこれらの配列と500μmの間隙をもって互い違いに配置される2つのワイヤ配列を形成する。
最後に、2つの導電ポスト66及び68を対応する各プラスおよびマイナスHVパルサー回路に接続することにより、イオンセレクタゲートを制御するための電気信号が供給される。
以下の実施例は本発明の利点を示している。
本発明に係る2つのイオンゲートを有するイオンセレクタゲートの性能をイオン光シミュレーションによってモデリングするとともに同一条件下で従来のシングルワイヤイオンゲートの性能と比較した。これは、市販のイオン軌道シミュレーションパッケージ(SIMION 3DV7)の全反射型MALDIリフレクトロンTOF MSのイオン光学モデルを使用して行なわれた。それぞれの場合において、イオンは、20keVのエネルギを有するイオン源から引き出されるとともに、互いに0.5mmの間隔をもって離間し且つ隣り合うワイヤ同士に+500Vおよび−500Vの電圧が印加された10本の細いワイヤを有するイオンセレクタゲートに通された。
ダブルワイヤイオンゲートは、イオン飛行経路に沿って直列に配置され且つ互いに5mmの間隔をもって離間された2つの単一ワイヤイオンゲートを含んでいた。1050Daの質量を有する単独で帯電したイオンがイオンゲートに達するまでの飛行時間は7.4μsを僅かに超えており、これはゲートを開くための開始時間の値であった。以下の表は、ゲートを通過したイオンにおける切り換えパルス幅Tgdに応じた質量範囲の変動およびイオンセレクタゲートにおける相当質量選択分解能を示している。
Figure 0004776966
Figure 0004776966
シングルイオンゲートの場合、最小開口幅は20nsのパルス幅において2Daであり、これにより相当質量選択分解能は500となる。70nsのパルス幅においては、質量ウインドウ(mass window)は16Daであり、分解能は65まで低下する。実際には、現在利用可能な装置のHVパルサーは最小パルス幅が約50nsであり、そのため、質量選択分解能が約100に制限される。
本発明のダブルワイヤイオンゲートの場合、500の質量選択分解能を得るために必要な最小パルス幅はたったの100nsである。質量選択ウインドウはパルス幅と共に増大し、それにより、150nsにおいて、ゲートは15Daウインドウにより65の分解能に相当することができる。したがって、シングルおよびダブルイオンゲートの質量選択範囲は、同じ方法でスケーリングするが、パルス幅の差は80nsである。この付加的なパルス幅により、既存のHVパルスエレクトロニクスを有するワイヤイオンゲートの全質量選択分解能を利用することができる。
図5は、イオンゲートが平行ではなく「交差した」本発明の実施例として、2つのイオンゲートを駆動するための電気的方式を示している。この実施形態において、イオンゲートは約90°で「交差」している。他の角度、例えば70°から90°も可能であり、80°から90°であることが好ましい。
ゲートへ達するイオンの視点から2つのイオンゲートを見た場合、第1および第2のイオンゲートの各平行ワイヤは直角に交差する。
イオンゲートを開いて正しい公称質量のイオンを通過させることができるようにする必要がある時間幅Tgateおよび時間位置と等しい或いは比例する時間幅をもって装置のタイミングエレクトロニクスにより1つの(低電圧)トリガパルスが生成される。このトリガパルスは、インバータ80を通過した後、2つの高電圧パルサー82及び84に達する。各高電圧パルサーは、グランドに切り換える信号を生成するとともに、同じ振幅から再び高電圧に戻るが、極性は反対となる。例えば、Tgateが100nsである場合、パルサー82は、+500Vからグランドに切り換わる(約10nsで)とともに、100ns後に元の+500Vに切り換わる(約10nsで)。同時に、第2のパルサー84は、−500Vからグランドに切り換わる(約10nsで)とともに、100nsの遅延後に元の−500Vに切り換わる。HVパルサーの出力は、両方のイオンゲート86及び88の交互的なワイヤに対して接続される。したがって、HVパルスが両方のイオンゲートに対して同時に加えられる。
一実施形態において、インバータおよび2つのHVパルサーは1つのボックス内に収容されており、HVパルサーは米国のDEI(ディレクテッド・エネルギ株式会社)から市販されている1つのユニットである。使用されるHVパルサーの特定の構造に応じて、インバータが必要とされても或いは必要とされなくても良く、インバータの前または後でトリガ信号が分割されてもよい。また、HVパルサーは、1つのバイポーラユニットであっても良く、あるいは、個々のトリガを有する2つの別個のユニットであってもよい。しかしながら、HVパルスは、基本的に同時に生成され、振幅が同じ(または類似)であるが、極性が反対である。各パルスは、(直列に或いは並列に接続された)両方のイオンゲートに対して加えられ、それにより、2つのイオンゲートが同時に動作する。
図6aおよび図6bは、イオンがイオンゲートに達する際にイオンの視点でイオンビーム軸と垂直な上側から見た交差構造の本発明において使用できるダブルワイヤゲートの基本的な構造を示している。なお、図は、一定の倍率で示されておらず、図示されているよりも多くの(あるいは少ない)ワイヤを有していてもよい。
この構造は、イオンビーム軸がその中心を通る互いに約5mm離間した直列の2つのブラッドベリー・ニールソンタイプのイオンゲートを形成している。2つのイオンゲートは、第2のイオンゲートのワイヤの組が第1のワイヤゲートのワイヤの組と90°を成すように配置されている(すなわち、交差構造)。このようにすると、イオンは、第1のゲートにより1つの軸内で偏向されるとともに、第2のゲートにより垂直な軸に沿って偏向される。ワイヤは、直径が50μmであり、間隔が500μmである。
1つの軸において、ワイヤは、外側支持体90および内側支持体92(導電性を有していても良く、あるいは、電気的に絶縁されていてもよい)によって所定位置に保持されている。電気的に絶縁された溝付きのバー3がワイヤを正確に位置決めして案内する。溝は、隣り合うワイヤ間に1000Vを超える電位差がある場合であっても隣り合うワイヤが電気的に絶縁される十分な深さおよび0.5mmの間隔(ワイヤの間隔)を有するように非常に正確に機械加工されている。溝付きのバーは、外側支持体から内側支持体を超えて通り過ぎるワイヤが内側支持体または内側支持体上のワイヤと接触しないように上方に引き上げられている。
2つの単一のワイヤだけしか存在しない。そのうちの一方のワイヤは、外側支持体90から始まって外側支持体90で終端している。一方、他方のワイヤは、内側支持体92から始まって内側支持体92で終端している。2つのワイヤは、これらが互い違いに配置されるようにペグ96に巻回されている。プラスHVパルスが一方の金属ポストに対して加えられるとともに、マイナスHVパルスが他方の金属ポストに対して加えられる。このようにすると、隣り合うワイヤが反対の極性を有するようになる。ペグ96は、それらの間の間隔が正確で且つ等しくなるように、この例では1mmの間隔となるように取り付けられている。ペグは、溝付きバー94の溝と一直線を成して水平に配置されている。外側支持体のペグは、内側支持体のペグに対して、ペグ間の間隔の半分と等しい大きさだけオフセットされている。これはワイヤ間の間隔と等しく、そのため、この実施例ではオフセットが0.5mmである。2つの単一ワイヤのうちの一方は、内側支持体の上部から始まって、この上部から溝付きバー94を水平に横切って通るとともに、他方の内側支持体に至るとともに、ここでペグに回り込み、元の溝付きバーに戻ってこれを横切り、他方の内側支持体へと戻っている。ここで、ワイヤは次のペグを周回し、経路が1mm下側で繰り返される。この場合、経路は、最も下側のペグに達するまで繰り返される。このようにして、1本の単一ワイヤは、平行なワイヤから成る1つのグリッドを形成する。この場合、ワイヤ同士は1mmの間隔をもって離間している。第2の単一ワイヤは、外側支持体の上部から始まって、この上部から、溝付きバー94を横切って他方の外側支持体に至る。ワイヤは、第1のワイヤによって占められる溝間にあるバー94の溝内に入り込む。第2のワイヤは、ペグ96を周回し、元の溝付きバー94を越えて戻り、第1の外側支持体へと至るとともに、この第1の外側支持体において高さが(1mmだけ)低い次の下側のペグに回し込まれる。これは、ワイヤが外側支持体の最も下側のペグに達するまで繰り返される。このようにして、第2のワイヤは、第1のワイヤによって形成される組と平行で且つ間隔すなわち0.5mm(または500μm)の半分で互い違いに配置されるワイヤのグリッドを形成する。最後に、ダブルイオンゲートを制御するための電気信号は、各プラスHVパルサー回路からの1本のワイヤを外側支持体90の1本のワイヤおよび内側支持体92の1本のワイヤに対してそれぞれ接続することにより供給される。
第2の軸は、基本的に第1の軸と同じであるが、90度回転されるとともにイオン光軸に沿って約5mmだけオフセットされている。ワイヤは、一方の極性が内側支持体のワイヤに与えられ且つ他方の極性が外側支持体のワイヤに与えられるように、同じ方法でHVパルサー回路に対して接続される。
前述した実施形態は単なる一例として与えられており、変形例は当業者にとって明らかである。
従来のイオンセレクタゲートの作用を概略的に示す図である。 従来のイオンセレクタゲートの作用を概略的に示す図である。 従来のイオンセレクタゲートの作用を概略的に示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る2段階イオンセレクタゲートを示す図である。 切り換え回路を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る2段階イオンセレクタゲートを示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る2段階イオンセレクタゲートを示す図である。 「交差した」ワイヤイオンゲートを伴う切り換え回路を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る2段階「交差型」ワイヤイオンセレクタゲートを示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る2段階「交差型」ワイヤイオンセレクタゲートを示す図である。
符号の説明
4 イオン源
6 検出器
20、22、32、34、52、54 ワイヤイオンゲート
23、25 ワイヤ
24、26 電源
30 スイッチング回路(切換回路)
36 トリガ信号
38 インバータ
40、42 高電圧(HV)パルサー
50 イオンセレクタゲート
56、58 平行ワイヤ
60、62、64 ポスト
66、68 導電ポスト
70、96 ペグ
80 インバータ
82、84 高電圧パルサー
86、88 イオンゲート
90 外側支持体
92 内側支持体
94 溝付きバー

Claims (31)

  1. イオン源と、検出器と、イオン源と検出器との間のイオン飛行経路に沿って直列に配置された第1および第2のイオン偏向領域を有するイオンセレクタゲートとを有する飛行時間型質量分析計におけるイオン選択方法であって、両方のイオン偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えることにより両方の偏向領域を同時に開き或いは閉じるステップを含み、1つの偏向領域が閉じられると、この偏向領域がイオンを偏向し、それにより、イオンが検出器に到達しなくなる方法。
  2. 方法が両方の偏向領域を閉状態に設定するステップと、両方の偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えることにより両方の偏向領域を開いた後に閉じるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 方法が両方の偏向領域に対して同じ切り換えパルスを加えるステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 偏向領域に対して加えられる切り換えパルスの長さが約80nsから200nsである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 第1及び第2の偏向領域が2つの別個のイオンゲートによって形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 2つの別個のイオンゲートが約1mmから10mmだけ互いに離間されている、請求項5に記載の方法。
  7. 別個のイオンゲートがワイヤイオンゲートである、請求項5または6に記載の方法。
  8. ワイヤイオンゲートは複数の平行なワイヤから成る配列を有し、各ワイヤは約10μmから100μmの直径を有している、請求項7に記載の方法。
  9. ワイヤ間の間隔が約200μmから1000μmである、請求項8に記載の方法。
  10. 2つの別個のイオンゲートは、使用時に直交する偏向場を生成するように配置される、請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. イオン源と検出器とを有する質量分析計で使用するためのイオンセレクタ装置であって、第1の偏向領域と第2の偏向領域と制御手段とを有し、使用時において第1および第2の偏向領域がイオン源と検出器との間に配置され、制御手段により、第1および第2の偏向領域を、イオンが検出されないように各偏向領域がイオンを偏向する閉状態とイオンが偏向領域を通過して検出器に達することができる開状態との間で同時に切り換えることができる、イオンセレクタ装置。
  12. 2つの偏向領域は、制御手段により閉状態から開状態へと同時に切り換え可能であり、その後、元の閉状態に切り換え可能である、請求項11に記載のイオンセレクタ装置。
  13. 制御手段は、両方の偏向領域に対して切り換えパルスを同時に加えるための切り換え回路を含む、請求項11または12に記載のイオンセレクタ装置。
  14. 切り換え回路は、約30nsから500nsのパルス幅を有する切り換えパルスを供給することができる、請求項12または13に記載のイオンセレクタ装置。
  15. 第1および第2の偏向領域が2つの別個のイオンゲートによって形成される、請求項11から14のいずれか一項に記載のイオンセレクタ装置。
  16. 2つの別個のイオンゲートが約1mmから10mmだけ互いに離間されている、請求項15に記載のイオンセレクタ装置。
  17. 別個のイオンゲートがワイヤイオンゲートである、請求項15または16に記載のイオンセレクタ装置。
  18. ワイヤイオンゲートは複数の平行なワイヤから成る配列を有し、各ワイヤは約10μmから100μmの直径を有している、請求項17に記載のイオンセレクタ装置。
  19. ワイヤ間の間隔が約200μmから1000μmである、請求項18に記載のイオンセレクタ装置。
  20. 2つの別個のイオンゲートは、使用時に直交する偏向場を生成するように直角に配置される、請求項15から19のいずれか一項に記載のイオンセレクタ装置。
  21. 第1の偏向領域と第1の偏向領域から離間された第2の偏向領域とを有するイオンセレクタゲートであって、第1および第2の偏向領域は、第1の偏向領域に対して印加される電圧が第2の偏向領域にも印加されるように電気的に接続されている、イオンセレクタゲート。
  22. 第1および第2の偏向領域は、第1のワイヤイオンゲートおよび第2のワイヤイオンゲートによってそれぞれ形成され、各ゲートが複数の平行なワイヤを有し、第1のワイヤイオンゲートの複数の平行なワイヤのうちの少なくとも1つは、第1のワイヤイオンゲートから第2のワイヤイオンゲートへと延びることにより、第2のワイヤイオンゲートの平行なワイヤのうちの少なくとも1つを形成する、請求項21に記載のイオンセレクタゲート。
  23. 1つのワイヤは、第1のワイヤイオンゲートにおける交互に配置される平行な複数のワイヤを形成するとともに、第2のワイヤイオンゲートにおける交互に配置される複数のワイヤを形成する、請求項22に記載のイオンセレクタゲート。
  24. 第1のワイヤイオンゲートの交互に配置される平行なワイヤおよび第2のワイヤイオンゲートの交互に配置される平行なワイヤは、第1の導電ポストに対して接続される、請求項22または23に記載のイオンセレクタゲート。
  25. 第1のワイヤイオンゲートの平行なワイヤは、第2のワイヤイオンゲートの平行なワイヤと直交している、請求項22から24のいずれか一項に記載のイオンセレクタゲート。
  26. 請求項11から20のいずれか一項に記載のイオンセレクタ装置を含む、質量分析計。
  27. 請求項2から25のいずれか一項に記載のイオンセレクタゲートを含む、質量分析計。
  28. イオン源と、検出器と、イオン源と検出器との間のイオン飛行経路とを有し、イオンセレクタ装置の2つの偏向領域は、イオン飛行経路に沿って、イオン源と検出器との間に直列に配置されている、請求項26または27に記載の質量分析計。
  29. 質量分析計がTOF質量分析計である、請求項28に記載の質量分析計。
  30. 質量分析計がTOF MS/MS分析計である、請求項29に記載の質量分析計。
  31. 質量分析計がリフレクトロンを含み、イオンセレクタ装置の偏向領域がイオン源とリフレクトロンとの間に配置されている、請求項30に記載の質量分析計。
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