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JP4781701B2 - ポリエチレンテレフタレートの製造方法および成型体 - Google Patents
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ポリエチレンテレフタレートの製造方法および成型体 Download PDF

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Description

本発明は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とから低次縮合物を製造し、ついで重縮合触媒の存在下で重縮合させることにより製造されるポリエチレンテレフタレートに関し、さらに詳しくは、成形時に異物および環状三量体生成量を抑制したボトル成形を可能とするポリエチレンテレフタレートに関する。
ポリエチレンテレフタレートは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリア性に優れており、ジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填容器の素材をはじめとしてフィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用されている。
このようなポリエチレンテレフタレートは、通常、テレフタル酸などのジカルボン酸と、エチレングリコールなどの脂肪族ジオール類とを原料として製造される。具体的には、まず、芳香族ジカルボン酸類と脂肪族ジオール類とのエステル化反応により低次縮合物(エステル低重合体)を形成し、次いで重縮合触媒の存在下にこの低次縮合物を脱グリコール反応(液相重縮合)させて、高分子量化している。また、場合によっては固相重縮合を行い、さらに分子量を高めている。
チタンは低次縮合物の重縮合反応を促進する作用のある元素であることが知られており、チタンアルコキシド、四塩化チタン、シュウ酸チタニル、オルソチタン酸などが重縮合触媒として公知であり、このようなチタン化合物を重縮合触媒として利用するために多くの検討が行われている。
一方、ポリエチレンテレフタレートには、環状三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴマー類がブロー成形金型内面に付着して金型汚れが発生したり、あるいはまた該オリゴマー類が上述したような射出成形機の金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着して金型汚れが発生していた。
このような金型汚れは、得られるボトルの表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルが白化してしまうと、そのボトルは廃棄しなければならない。このため従来公知のポリエチレンテレフタレートを用いてボトルを成形する際に、金型汚れを頻繁に除去しなければならず、ボトル生産性が著しく低下してしまうという大きな問題点があった。
成形時に金型汚れが発生する主な原因は、ポリエチレンテレフタレートの成形時に環状三量体などのオリゴマー類が多量に生成して含有されるオリゴマー総量が増加してしまうことにある。
オリゴマーを抑制する従来技術として、特開平7−48447号公報にはポリエチレンテレフタレートを水と接触させる処理方法が開示されている。
また特許3056563号公報にはポリエチレンテレフタレートをリン酸水溶液に浸漬する処理方法が開示されている。
しかしながらこれらの方法は、Ti触媒系のポリエチレンテレフタレートに対しては必ずしも効果が十分でなく、環状三量体などのオリゴマー量を抑制するのに十分な効果が得られないか、あるいは成形品の外観を悪化させることがあった。
特開平7−48447号公報 特許3056563号公報
本発明は、Tiを含むポリエチレンテレフタレートであって成形後の環状三量体量が少なく、高い透明性を特徴とする、ポリエチレンテレフタレート樹脂を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記のような従来技術に鑑みてポリエチレンテレフタレートの製造方法について鋭意研究した結果、重縮合触媒ないし添加剤としてチタン化合物を特定量用いて製造したポリエチレンテレフタレートを吸湿処理後に特定の温度で処理することにより、成形品の外観を悪化させずに環状三量体などのオリゴマー総量の増加を抑制できることを見出した。
すなわち本発明の要旨は、Tiを3ppm以上30ppm以下含有するポリエチレンテレフタレート樹脂に、2000ppm以上の水分を吸湿させた後に、該ポリエチレンテレフタレートを温度120〜200℃で0.5時間以上熱処理する製造方法、である。
Ti含有量は4ppm以上20ppm以下がより好ましく、4ppm以上14ppm以下が更に好ましい。
2000ppm以上水分を吸湿させるにあたっては、熱水に5分間以上接触させることが好ましい。
熱処理時間は、1時間以上がより好ましい。熱処理時間が0.5時間より少ないと、オリゴマー抑制効果が十分に得られないことがある。熱処理時間の上限は特に限定されないが、製造プロセス上は通常5時間以下が好ましい。熱処理後のポリエチレンテレフタレートに含まれる水分量は100ppm以下が好ましい。
ポリエチレンテレフタレート中にはTi原子とP原子をモル比(Ti/P)が1.3以下の割合で含有させることが好ましい。(Ti/P)が1.3以下であると、オリゴマーの増加をより効果的に抑制できる。(Ti/P)比は1.0〜1.3の範囲であるとより好ましい。
本発明により得られるポリエチレンテレフタレートのカルボキシル末端[COOH]量は7〜15eq/tonの範囲にあることが好ましい(eqは当量)。末端量が同範囲にあると、より効果的にオリゴマーの増加を抑制できる。
本発明の方法によって得られるポリエチレンテレフタレート樹脂およびそれからなる成型体は、環状三量体:式(I)の含有量が0.40wt%以下であることが望ましい。
本発明の方法により得られるポリエチレンテレフタレートは、射出成形等の成形による環状三量体量の増加が少なく、成形時に金型汚れしにくく、また外観も良好である。
本発明に係るポリエチレンテレフタレートの製造方法は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体の低次縮合物を触媒の存在下に重縮合させてポリエチレンテレフタレートを製造するに際し、
前記触媒として下記(a−1)〜(a−6)から選ばれる少なくとも1種のチタン系触媒(A)を用いた前記低次縮合物を重縮合することができる:
(a−1)チタンハロゲン化物またはチタンアルコキシドを加水分解して得られる加水分解物;
(a−2)前記(a−1)を多価アルコールの存在下に脱水乾燥させて得られる固体状のチタン加水分解物−多価アルコール複合物;
(a−3)前記(a−1)または(a−2)を、エチレングリコール含有液に溶解して調製される溶液;
(a−4)チタンハロゲン化物またはチタンアルコキシドと、チタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体との混合物を加水分解して得られる加水分解物;
(a−5)前記(a−4)を多価アルコールの共存下に脱水乾燥させて調製される固体状のチタン加水分解物−多価アルコール複合物;
(a−6)前記(a−4)または(a−5)をエチレングリコール含有溶液に溶解して調製される溶液。
本発明では、前記溶液(a−3)が、前記(a−1)または(a−2)を、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムの、水酸化物、アルコキシド、脂肪酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、アミノ酸塩、脂肪族アミンおよび芳香族アミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物(B)の存在下にエチレングリコール含有液に溶解して調製されたのものであってもよく、
前記溶液(a−6)が前記(a−4)または(a−5)を、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムの、水酸化物、アルコキシド、脂肪酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、アミノ酸塩、脂肪族アミンおよび芳香族アミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物(B)の存在下にエチレングリコール含有液に溶解して調製されたのものであってもよい。
本発明では、上記チタン系触媒(A)に加えて、さらに、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムの、水酸化物、アルコキシド、脂肪酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、アミノ酸塩、脂肪族アミンおよび芳香族アミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物(B)、
および/または
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニッケル、銅、ケイ素、スズおよびリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物(C)
を用いることができる。
前記(a−4)のチタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはその前駆体としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンおよびリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体が挙げられる。
上記のようなチタン系触媒は、例えば国際公開WO02/16457公報パンフレットに詳細が記載されている。
(ポリエチレンテレフタレートの製造方法)
本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法は、上記チタン系触媒(A)を含むポリエチレンテレフタレート製造用触媒の存在下に、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエチレンテレフタレートを製造する。以下、その一例について説明する。
(使用原料)
本発明に係るポリエチレンテレフタレートの製造方法は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を原料として用いる。
本発明では、テレフタル酸とともに、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを原料として使用することができる。
また、エチレングリコールとともに、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール;ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
さらに本発明では、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することができる。
(エステル化工程)
まず、ポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化させる。
具体的には、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
このようなスラリーにはテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体1モルに対して、通常1.005〜1.4モル、好ましくは1.01〜1.3モルのエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれる。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供給される。
エステル化反応は好ましくは2個以上のエステル化反応基を直列に連結した装置を用いてエチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら行う。
エステル化反応工程は通常多段で実施され、第1段目のエステル化反応は、通常、反応温度が240〜270℃、好ましくは245〜265℃であり、圧力が0.02〜0.3MPaG(0.2〜3kg/cm2G)、好ましくは0.05〜0.2MPaG(0.5〜2kg/cm2G)の条件下で行われ、また最終段目のエステル化反応は、通常、反応温度が250〜280℃、好ましくは255〜275℃であり、圧力が0〜0.15MPaG(0〜1.5kg/cm2G)、好ましくは0〜0.13MPaG(0〜1.3kg/cm2G)の条件下で行われる。
エステル化反応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段目のエステル化反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件であればよい。
例えば、エステル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は通常245〜275℃、好ましくは250〜270℃であり、圧力は通常0〜0.2MPaG(0〜2kg/cm2G)、好ましくは0.02〜0.15MPaG(0.2〜1.5kg/cm2G)であればよい。
これらの各段におけるエステル化反応率は、特に制限はされないが、各段階におけるエステル化反応率の上昇の度合いが滑らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目のエステル化反応生成物においては通常90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
このエステル化工程により、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応物である低次縮合物(エステル低重合体)が得られ、この低次縮合物の数平均分子量が500〜5,000程度である。
(液相重縮合工程)
上記のようなエステル化工程で得られた低次縮合物は、次いで重縮合(液相重縮合)工程に供給される。
液相重縮合工程においては、上記した触媒の存在下に、エステル化工程で得られた低次縮合物を、減圧下で、かつポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度(通常250〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応のエチレングリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
重縮合反応は、1段階で行ってもよく、複数段階に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が複数段階で行われる場合には、第1段目の重縮合反応は、反応温度が250〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が0.07〜0.003MPa(500〜20Torr)、好ましくは0.03〜0.004MPa(200〜30Torr)の条件下で行われ、最終段の重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜295℃、圧力が1〜0.01kPaG(10〜0.1Torr)、好ましくは0.7〜0.07kPa(5〜0.5Torr)の条件下で行われる。
重縮合反応を3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段目の1段前間での重縮合反応は、上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件で行われる。例えば、重縮合工程が3段階で行われる場合には、第2段目の重縮合反応は通常、反応温度が260〜295℃、好ましくは270〜285℃で、圧力が7〜0.3kPa(50〜2Torr)、好ましくは5〜0.7kPa(40〜5Torr)の条件下で行われる。
このような重縮合反応では、チタン系触媒(A)を、低次縮合物中の芳香族ジカルボン酸単位に対して、金属原子換算で、0.0012〜0.012モル%使用することが望ましい。
チタン系触媒(A)に加えてさらに塩基性化合物(B)を使用する場合、塩基性化合物(B)は低次縮合物中の芳香族ジカルボン酸単位に対して、アルカリ金属原子換算で0.0006〜0.006モル%の量で使用することが望ましい。
また、チタン系触媒(A)加えてさらに化合物(C)を使用する場合、化合物(C)は低次縮合物中の芳香族ジカルボン酸単位に対して、金属原子換算で0.001〜0.5モル%、好ましくは0.002〜0.3モル%の量で使用することが望ましい。
このようなチタン系触媒(A)と、必要に応じて塩基性化合物(B)および/または化合物(C)とからなる触媒は、重縮合反応時に存在していればよい。このため触媒の添加は、原料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。また、塩基性化合物(B)および/または化合物(C)を併用する場合、チタン系触媒(A)と同じ工程で添加しても、別の工程で添加してもよい。
また、重縮合反応では、安定剤の共存下で行われることが望ましい。
安定剤として具体的に、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が挙げられる。
このようなリン化合物の添加量は、芳香族ジカルボン酸に対して、該リン化合物中のリン原子換算で、0.005〜0.2モル%、好ましくは0.01〜0.1モル%の量であることが望ましい。
以上のような液相重縮合工程で得られるポリエチレンテレフタレートの極限粘度[IV]は0.40〜1.0dl/g、好ましくは0.50〜0.90dl/gであることが望ましい。なお、この液相重縮合工程の最終段目を除く各段階において達成される極限粘度は特に制限されないが、各段階における極限粘度の上昇の度合いが滑らか分配されることが好ましい。
この重縮合工程で得られるポリエチレンテレフタレートは、通常、溶融押し出し成形されて粒状(チップ状)に成形される。
(固相重縮合工程)
この液相重縮合工程で得られるポリエチレンテレフタレートは、所望によりさらに固相重縮合することができる。
固相重縮合工程に供給される粒状ポリエチレンテレフタレートは、予め、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレフタレートを乾燥状態で通常、120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度に1分から4時間加熱することによって行うことができる。またこのような予備結晶化は、粒状ポリエチレンテレフタレートを水蒸気雰囲気、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、または水蒸気含有空気雰囲気下で、120〜200℃の温度で1分間以上加熱することによって行うこともできる。
予備結晶化されたポリエチレンテレフタレートは、結晶化度が20〜50%であることが望ましい。
なお、この予備結晶化処理によっては、いわゆるポリエチレンテレフタレートの固相重縮合反応は進行せず、予備結晶化されたポリエチレンテレフタレートの極限粘度は、液相重縮合後のポリエチレンテレフタレートの極限粘度とほぼ同じであり、予備結晶化されたポリエチレンテレフタレートの極限粘度と予備結晶化される前のポリエチレンテレフタレートの極限粘度との差は、通常0.06dl/g以下である。
固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、温度が190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、圧力が0.2〜0.001MPa(1kg/cm2G〜10Torr)、好ましくは常圧から0.01MPa(100Torr)の条件下で、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。使用する不活性ガスとしては窒素ガスが望ましい。
本発明の方法はこのような固相重縮合工程が完了した時点で得られた粒状ポリエチレンテレフタレートを吸湿させた後に、熱処理することにより行われる。
吸湿行程は熱水、水蒸気あるいは水蒸気を含むガスと接触させて水分を2000ppm以上含有させる。中でも熱水を用い、5分間以上含浸させることが好ましい。
水分を2000ppm以上含有させたポリエチレンテレフタレートは、表面に付着した水分を除去した後に、温度120〜200℃の気体中で熱処理を行う。気体は特に限定されず空気、窒素、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム等を用いることが出来るが、コストや入手の容易さから空気または窒素を用いることが好ましい。
乾燥を効率的に行うために水分量が1%以下の乾燥気体を用いることが好ましい。水分量が1%以下の気体を用いると、熱処理中の加水分解を抑えられるため好ましい。
熱処理行程は0.5時間以上行うことが好ましく、1時間以上行うことがさらに好ましい。熱処理後のポリエチレンテレフタレートは水分含有量が100ppm以下であることが好ましい。
このようにして得られた粒状ポリエチレンテレフタレートの極限粘度は、通常0.60〜1.00dl/g、好ましくは0.70〜0.90dl/gであることが望ましい。
上記のようなエステル化工程と重縮合工程とを含むポリエチレンテレフタレートの製造工程はバッチ式、半連続式、連続式のいずれでも行うことができる。
本発明に係るポリエチレンテレフタレートは、チタンの含有量が3〜30ppmの範囲にあることが好ましく、さらに4〜14ppmの範囲にあることが好ましい。チタン含有量が前記範囲にあると、重縮合時に十分な活性が得られ、かつ本発明の方法でオリゴマー総量の増加を抑制できるため好ましい。
このようなポリエチレンテレフタレートは成形体中の環状三量体含有量が少なく、ボトル用途に用いることが特に好ましい。
さらにリン原子をTi原子に対し、モル比(Ti/P)が1.3以下の割合で含有させると、オリゴマーの増加をより効果的に抑制できるので好ましい。リン化合物として具体的にリン酸およびポリリン酸;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸エステルなどのリン化合物が挙げられる。添加する時期は吸湿行程以前であればいつでもよく、重合時に触媒と一緒に添加しても良いし、重縮合後に溶融混錬しても構わない。
このようにして製造されたポリエチレンテレフタレートは、従来から公知の添加剤、例えば、安定剤、離型剤、帯電防止剤、分散剤、染顔料等の着色剤などが添加されていてもよく、これらの添加剤はポリエチレンテレフタレート製造時のいずれかの段階で添加してもよく、成形加工前、マスターバッチにより添加したものであってもよい。
本発明によって得られるポリエチレンテレフタレートは各種成形体の素材として使用することができ、例えば、溶融成形してボトルなどの中空成形体、シート、フィルム、繊維等に使用されるが、ボトルに使用することが好ましい。
本発明によって得られるポリエチレンテレフタレートからボトル、シート、フィルム、繊維などを成型する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、ボトルを成形する場合には、上記ポリエチレンテレフタレートを溶融状態でダイより押出してチューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法、上記ポリエチレンテレフタレートから射出成形によりプリフォームを製造し、該プリフォームを延伸適性温度まで加熱し、次いでプリフォームを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造する方法などがある。
(実施例)
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における分析と成形は以下のようにして行われる。
(IVの測定) 0.09〜0.095gの試料をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=1/1重量比の混合溶媒に0.5g/dlの濃度になるように調整する。この溶液に試料を入れて135℃、40分かけて溶解した後、冷却して25℃で測定した溶液粘度ηspから算出した。
(水分量の測定) ポリエチレンテレフタレート中の水分量は平沼水分気化付属装置(平沼産業株式会社 EV−6)と平沼微量水分測定装置(AQ−6)を用いて測定した。平沼水分気化付属装置にポリエチレンテレフタレートのペレットを約0.25gセットし、200℃に加熱して水分を気化させ、気化した水分を0.2L/minの窒素で平沼微量水分測定装置に供給して水分量を測定した。
(段付角板の成形) ポリエチレンテレフタレートのペレットを真空乾燥機を用いて、140℃、16時間以上、フルバキューム(1mHg)で乾燥した。これを射出成形機(名機製作所 M−70B)にて、290℃で成形し、段付角板を得た。段付角板状成形体は、図1に示すような形状をして有しており、A部の厚さは約6mm、B部の厚さは約4mm、C部の厚さは約2mm、D部の厚さは約7mm、E部の厚さは約5mm、F部の厚さは3mmである。環状三量体量を測定する際には、段付角板をニッパーでペレット状に切り分けてから測定した。
(環状三量体量の定量) 試料をメタ・パラクレゾールに溶解し、テトラヒドロフランで線状ポリエチレンテレフタレートを再析出して濾過して除いた後、濾液を液クロマトグラフィー(島津製作所 LC−7A)で分析して環状三量体量を求め、この値を測定に用いたポリエチレンテレフタレート量で割って、ポリエチレンテレフタレート中に含まれる環状三量体量(wt%)を算出した。
(末端COOH基の定量) 試料をo−クレゾールで加熱溶解し、クロロホルムを加え、電位差滴定装置を使用して1/50NのNaOH標準溶液で滴定し、末端COOH基(eq/ton)を定量した。
(製造例)
高純度テレフタル酸 13kg、モノエチレングリコール 5.10kg、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド 20%水溶液 6.88gをオートクレーブに仕込み、圧力 1.7kg/cm2G、260℃の窒素雰囲気下にて6時間攪拌しながら反応させた。この反応により生成した水は常時系外に留去した。次に、重縮合触媒として、以下に示すチタン化合物を用いて液相重縮合反応を行った。
1,000mlガラス製ビーカーに脱イオン水500mlを秤取し、氷浴にて冷却した後撹拌しながら四塩化チタン5gを滴下した。塩化水素の発生が止まったら氷浴より取り出し、室温下で撹拌しながら25%アンモニア水を滴下し、液のpHを9にした。これに、室温下で攪拌しながら15%酢酸水溶液を滴下し、液のpHを5にした。生成した沈殿物を濾過により、分離した。洗浄後の沈殿物を、30重量%エチレングリコール含有水でスラリー濃度2.0重量%のスラリーとして30分間保持した後、二流体ノズル式のスプレードライヤーを用いて温度90℃で造粒乾燥を行い、固体状の加水分解物(固体状含チタン化合物)を得た。
得られた固体状含チタン化合物の平均粒径は1.8μmであり、粒径分布は0.5〜20μmであった。
ICP分析法により測定した固体状含チタン化合物中の金属チタン含量は、34.8重量%であった。
エチレングリコール125.6gに30重量%水酸化ナトリウム水溶液9.2gとグリセリンを24.7g添加し混合した。これに固体状含チタン化合物5.5gを添加し、120℃で30分間加熱して溶解させて、ポリエステル製造用触媒であるチタン含有溶液を調製した。ICP分析法により測定したこのチタン含有溶液中の金属チタン含量は1.0重量%であった。
重縮合触媒として、上記のチタン含有溶液を18g、85%リン酸を0.39g加えた。その後、1時間かけて280℃まで昇温し系内を2torrまで減圧し、さらに反応させ、エチレングリコールを系外に留去し、IVが0.54dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。
このようにして得られたポリエチレンテレフタレートはさらに、窒素雰囲気下170℃で、2時間乾燥するとともに結晶化を行なった後、バッチ式固相重合装置で、窒素雰囲気下225℃で固相重縮合を行った。このようにして得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.74〜0.79dl/g、末端COOH基量は9〜12eq/tonの範囲にあった。
[実施例1]
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬した後、露点50℃以下の常温の乾燥空気を15分間吹き付けてペレット表面に付着した水分を除去した。このときの水分濃度は5900ppmであった。その後、120℃の空気で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.39wt%と低い値に抑制された。
[実施例2]
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に160℃の空気で2h乾燥した樹脂を成形した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.40wt%と低い値に抑制された。
[実施例3]
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に200℃の空気で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.35wt%と低い値に抑制された。
[実施例4]
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に120℃の窒素で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.37wt%と低い値に抑制された。
[実施例5]
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に160℃の窒素で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.36wt%と低い値に抑制された。
[実施例6]
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に200℃の窒素で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.39wt%と低い値に抑制された。
(比較例1)
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを浸漬処理を行わず成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.42wt%であった。
(比較例2)
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に40℃の窒素で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.43wt%であった。
(比較例3)
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に80℃の窒素で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.42wt%であった。
(比較例4)
製造例で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に230℃の窒素で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.42wt%であった。
(比較例5)
製造例の中のチタン含有溶液を24gとした以外は同じ製造方法で得られたポリエチレンテレフタレートを浸漬処理を行わずに成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.53wt%であった。
比較例6
製造例の中のチタン含有溶液を24gとした以外は同じ製造方法で得られたポリエチレンテレフタレートを90℃の水に4h浸漬し、実施例1と同様に付着水分を除去した後に120℃の窒素で2h乾燥した。この樹脂を成形し環状三量体量を測定した結果を表1に示す。段付角板成形後の環状三量体は0.47wt%であった。
ヘイズの測定に用いられる段付き角板状成形体の斜視図である。

Claims (3)

  1. Tiを3ppm以上30ppm以下含有し、さらにP原子を含有し、そのモル比(Ti/P)が1.3以下である、固相重縮合後のポリエチレンテレフタレート樹脂に、
    熱水、水蒸気あるいは水蒸気を含むガスを接触させて2000ppm以上の水分を吸湿させた後に、該ポリエチレンテレフタレートを温度120〜200℃で0.5時間以上熱処理する製造方法。
  2. 前記モル比(Ti/P)が1.0〜1.3である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られ末端COOH基量が7〜15eq/tonの範囲にあるポリエチレンテレフタレート樹脂を成形して得られる、下記式(I)で表される環状三量体量含有量が0.40wt%以下である成型体。
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