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JP4783882B2 - 新規α−アミラーゼ阻害活性物質、その製造方法及びその用途 - Google Patents
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JP4783882B2 - 新規α−アミラーゼ阻害活性物質、その製造方法及びその用途 - Google Patents

新規α−アミラーゼ阻害活性物質、その製造方法及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコレウスフォルスコリから得られうる新規α−アミラーゼ阻害活性物質、新規α−アミラーゼ阻害剤及びそれ等の製造方法に関し、この新規物質又は新規αーアミラーゼ阻害剤が血糖の上昇を抑制する効果を有し、好ましくはα−グルコシダーゼ阻害活性作用やリパーゼ阻害活性作用も有しており、高血糖或いは肥満の予防、治療、改善等に有効であることから、健康食品や、各種医薬品等への使用が期待され、本発明はこれ等の用途にも関する。
【0002】
【従来の技術】
肥満は、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病等多くの疾患のリスクファクターであり、高血圧症3300万人、高脂血症2000万人、糖尿病690万人の患者のうち3〜6割については、肥満が原因と日本肥満学会は推定した。更に、日本における肥満は、この30年で2〜4倍に増えており、国民の健康を脅かす大きな要因となっている。今後、高齢化が進むにつれ、生活習慣病は益々増加するものと考えられ、肥満防止は健康面ばかりでなく社会的及び経済的側面からも克服すべき重要な課題となりつつある。
【0003】
肥満の9割以上が単純性肥満と称する消費エネルギーに対する摂取エネルギーの過多に起因するものである。これを防止するには、1)摂取エネルギーの抑制及び2)エネルギー消費の促進がある。
【0004】
1)については食事制限、食欲抑制剤の投与、消化管内での脂質等の吸着による吸収の抑制、難消化性食物繊維による満腹感の形成、消化酵素阻害剤の投与等の方法がある。
【0005】
2)については、運動療法、エネルギー代謝促進剤の投与等がある。
【0006】
コレウスフォルスコリは、その根の部分が従来インドにおいては強心剤、強精剤的効果を期待した保健食品としてピクルス等の形態で食されてきた。また、近年の医薬品開発の分野においては、1977年、Bahtにより発見された、細胞内cAMP濃度を上昇させるジテルペン化合物、フォルスコリン(Forskolin)に関して、血圧降下薬(特開昭63-10783号公報参照。)や、白髪防止薬(特開平4-124122号公報及び特開平4-360836号公報参照。)としての検討がなされている。更に、この物質に関してcAMPの上昇に伴い細胞内の脂質代謝が亢進することから、肥満防止作用(脂質代謝改善)(Biochemical and Biophysical Research Comm.,vol.107(1982), p157-164参照。)についても研究が進められている。
【0007】
現在、コレウスフォルスコリ根部よりフォルスコリンを抽出精製して、肥満防止用健康食品、育毛促進用医薬部外品の製造が行われ製品が上市されている。フォルスコリンは、水に不溶性でアセトン、クロロホルム、ベンゼン等に可溶性の化合物で、通常は、根の粉末よりアセトンにて抽出し、上記疎水性溶媒を用いて、精製される。
【0008】
このような情況下に、高血糖を改善し、或いは肥満を防止できる更に優れた薬剤、特に経口可能な薬剤、飲食品の開発が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高血糖或いは肥満を予防、治療及び/又は改善できる優れた飲食品特に健康食品、薬剤或いはそれらに使用可能な成分の開発にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題の解決に向けて鋭意検討した結果、コレウスフォルスコリから、従来コレウスフォルスコリの主たる生理活性物質とされていたフォルスコリンとは、全く異なる成分であり、フォルスコリンには認められないα−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物を含む新規物質(以下、「本発明の物質」或いは「α−アミラーゼ阻害活性物質」とも称する。)を見出した。更に、このα−アミラーゼ阻害活性物質には血糖の上昇を抑制する作用が有り、糖尿病や肥満の予防、治療、改善等に有効であることも見出され、これらの知見に基づいて本発明が完成されるに到った。
【0011】
この物質は、前記α−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物を純品で又は高純度に含むこともできるし、高度に濃縮された形態で含むこともできる。好ましくは、α−グルコシダーゼ阻害活性作用や、リパーゼ阻害活性作用を有することも見出されている。
【0012】
即ち、本発明は、その各種の形態として下記の内容を含む。
(1)フォルスコリンを抽出した残渣のコレウスフォルスコリから、水、アルコール又はこれらの混合物を用いて分離することを特徴とする、α−アミラーゼ阻害活性作用を有する抽出物の製造方法。
(2)前記α−アミラーゼ阻害活性作用を有する抽出物がα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有する(1)記載の方法。
(3)コレウスフォルスコリがコレウスフォルスコリ根部である(1)又は(2)記載の方法。
(4)アルコールが、メタノール及びエタノールの少なくとも1種である(1)〜(3)何れか記載の方法。
(5)前記α−アミラーゼ阻害活性作用を有する抽出物がアセトンに不溶である(1)〜(4)何れか記載の方法。
(6)フォルスコリンを抽出した残渣のコレウスフォルスコリから分離され、α−アミラーゼ阻害活性作用を有することを特徴とする水、アルコール又はこれらの混合物による抽出物。
(7)α−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有する(6)記載の抽出物。
(8)アセトンに不溶で、水又はアルコールに可溶である(6)又は(7)記載の抽出物。
(9)(6)〜(8)何れか記載の抽出物を含有することを特徴とする飲食品。
(10)健康食品である(9)記載の飲食品。
また、本発明は、以下の形態をも含む。尚、コレウスフォルスコリとしては、フォルスコリンを抽出した残渣のコレウスフォルスコリが選択される。
1. コレウスフォルスコリから、水又はアルコールに可溶で、α−アミラーゼ阻害活性作用を示す(有する)化合物を含む物質を分離することに特徴を有するα−アミラーゼ阻害活性物質又はα−アミラーゼ阻害剤の製造方法。
【0013】
2. α−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物を含む物質がα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有する上記製造方法。
特に好ましくは、α−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物がα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有する上記製造方法。
【0014】
3. コレウスフォルスコリとしてコレウスフォルスコリ根部、好ましくはその粉末を使用する上記製造方法。
【0015】
4. アルコールが、メタノール及びエタノールの少なくとも1種である上記製造方法。
【0016】
5. α−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物を含む物質がアセトンに不溶である上記製造方法。
本発明、特に本発明の物質(或いは本発明において製造される物質又はα−アミラーゼ阻害剤)には、その一形態としてコレウスフォルスコリからこのようにして製造されたアセトンに不溶でアルコールに可溶な物質が含まれる。従って、高純度α−アミラーゼ阻害活性物質のみならず、それを含有する未精製のアルコール抽出物(コレウスフォルスコリから)が本発明で製造される物質或いはα−アミラーゼ阻害剤に含まれ、即ち当該活性成分の化合物自体及び当該化合物を含む物質が本発明の物質或いは本発明のα−アミラーゼ阻害剤に該当する。当然、この化合物或いはこの物質は、特に好ましくは、更にα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有している。
【0017】
6. コレウスフォルスコリから分離することができ、α−アミラーゼ阻害活性作用を示すことに特徴を有する新規物質、又はα−アミラーゼ阻害剤。
このような阻害活性作用を有する化合物の形態でも、当該化合物を高純度又は濃縮された状態で含む形態でもよい。
【0018】
7. 更に、α−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有する前記物質、又はα−アミラーゼ阻害剤。
この場合、α−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物を含み、この化合物がα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有することがより好ましい。
【0019】
8. アセトンに不溶で、水又はアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)に可溶である上記新規物質、又はα−アミラーゼ阻害剤。
前記アルコール抽出物の形態であっても、この新規物質を含む限り、またα−アミラーゼ阻害活性作用を示す限りこの発明の中に含まれる。
【0020】
9. 上記新規物質、又はα−アミラーゼ阻害剤を有効成分として含有することに特徴を有する糖尿病或いは肥満の予防、治療及び/又は改善薬。
【0021】
10. 上記新規物質、又はα−アミラーゼ阻害剤を含有することに特徴を有する飲食品(健康食品等)。
【0022】
11.コレウスフォルスコリから、水又はアルコールに可溶で、α−アミラーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性及びリパーゼ阻害活性の少なくとも一の阻害活性作用を示す化合物を含む物質を分離することに特徴を有するα−アミラーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性及び/又はリパーゼ阻害活性物質、又はα−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ及び/又はリパーゼ阻害剤の製造方法。
この場合、複数の阻害活性を含む物質、特に好ましくは複数の阻害活性を有する化合物を含む物質を、高純度に分離することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の新規物質は、従来コレウスフォルスコリの主たる生理活性物質とされていたフォルスコリン(Forskolin)とは、全く異なる成分であり、フォルスコリンには認められないα−アミラーゼ阻害活性作用を有する。即ち、フォルスコリンを抽出した残渣のコレウスフォルスコリから本発明の物質を抽出することができるので、インドや日本で利用されているフォルスコリンの製造に際し、新たなる高付加価値物質が創成されることとなり、産業上の利点は大きい。
【0024】
この新規物質は水、メタノール、エタノールで、植物コレウスフォルスコリから抽出され、更に疎水性吸着剤、例えば三菱化学(株)製ダイヤイオン「Hp−20」等で精製し、高速液体クロマトグラフィーにて処理すると、α−アミラーゼ阻害活性が強く認められる分画を確認することができる。
【0025】
この物質は、前述の如く前記α−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物を純品で又は高純度に含むこともできるし、高度に濃縮された形態で含むこともできる。好ましくは、このような物質においてα−グルコシダーゼ阻害活性作用や、リパーゼ阻害活性作用をも有する物質であり、最も好ましくは、純品又は高純度のα−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物の形態で、かつα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用をも有する化合物の形態で存在する物質である。
【0026】
本発明には、その一つ形態或いは他の別の形態として、このような物質を含有することに特徴を有するα−アミラーゼ阻害剤、或いは当該物質を前記の如く製造する方法に特徴を有するα−アミラーゼ阻害剤の製造方法が含まれる。
【0027】
本発明の新規物質或いはα−アミラーゼ阻害剤を製造するための原料としてコレウスフォルスコリを使用することができるが、これはネパール、インド地方に自生するシソ科の植物 Coleus forskohlii であり、この植物から抽出するのが簡便である。同じ物質を含む別の植物から製造することもできるし、また別途合成する方法も考えられる。
【0028】
本発明の新規物質或いはα−アミラーゼ阻害剤は、下記の性状を有している:
ニンヒドリン反応陽性(アミノ基及びカルボキシル基を末端に有する);
紫外部吸収は250nmを極大とする、
フェーリング反応陽性かつアンモニア性硝酸銀を還元して銀を析出する(還元糖分子を有する);
60℃で20分の加熱処理でα−アミラーゼ阻害活性は消失しない;
蛋白分解酵素であるトリプシンによるカゼインの加水分解を阻害しない;及び
分子量は10,000以下である。
【0029】
本発明の、α−アミラーゼ阻害活性物質は、糖尿病或いは肥満の予防、治療、改善効果等好ましい作用を有し、かつ後述の試験から明らかな如く、安全性に優れているので、医薬品或いは飲食品として利用することができる。
【0030】
ラットを用いたデンプン負荷試験の結果(図5及び6参照。)では、本発明のα−アミラーゼ阻害活性物質或いはα−アミラーゼ阻害剤により血糖の上昇が抑制される傾向が明らかとなった。この結果、抗肥満、抗糖尿病を目的とする医薬品又は健康食品への使用が期待できる。
【0031】
本発明のα−アミラーゼ阻害活性物質或いはα−アミラーゼ阻害剤を投与することにより、体重の減少、体脂肪率の減少が明確に認められ、肥満の予防、治療若しくは改善に対する有効性が確認された。
【0032】
本発明のα−アミラーゼ阻害活性物質或いはα−アミラーゼ阻害剤は、植物コレウスフォルスコリから容易に分離することができ、α−アミラーゼ阻害活性作用を有する物質であり、その製造は特に困難は無く例えば、従来フォルスコリンを抽出した残渣(アセトンに不溶)から、水或いはアルコールで容易に抽出、分離することができる。コレウスフォルスコリ根部粉末から本発明の目的物質を抽出するのが簡便である。
【0033】
また、アセトン抽出残渣からではなく、コレウスフォルスコリから直接アルコール抽出物をそのまま本発明品(本発明の物質若しくはα−アミラーゼ阻害活性物質、又はα−アミラーゼ阻害剤)として使用することもできる。
【0034】
このようにして得られるアルコール抽出物(本発明の新規物質を含有する)を、更に精製することなくそのまま、α−アミラーゼ阻害剤として、またそれを含み、又は使用して健康食品等の飲食品に使用することもできるし、他の飲食品に配合して使用することもできる。
【0035】
本発明のα−アミラーゼ阻害活性作用を示す化合物を含む物質は、好ましくはα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有しており、前記各種の用途としてより好ましく利用される。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
【0037】
(実施例1)フォルスコリンとα−アミラーゼ阻害活性物質の分別採取
コレウスフォルスコリ根部(粉末)からアセトン抽出を行った。コレウスフォルスコリ根部(粉末)300gにアセトン900mlを加えて、室温で7時間攪拌を行った。得られたアセトン溶液を濾過後、濾液を減圧濃縮後乾燥してアセトン抽出乾燥末6.5g(アセトン抽出物)を得た。一方、濾過残渣を減圧乾燥し、乾燥粉末255g(アセトン抽出残渣)を得た。
【0038】
上記に得られたアセトン抽出残渣255gにエタノール600mlを加えて、室温で7時間攪拌を行った。濾過後、濾液について減圧濃縮後、減圧乾燥を行い、エタノール抽出末20g(エタノール抽出物)を得た。
【0039】
前記エタノール抽出物5gを10mlの水に溶解し、(三菱化学(株)製、疎水性吸着樹脂、ダイヤイオン「Hp−20」により50mlのカラムに通液し75mlの水で水洗した後、80%メタノール100mlを用いてカラムより溶出せしめた。溶出液を濃縮後、減圧乾固したところ、300mgの褐色粉末(「コレウスAI分画物」と称する。)を得た。この粉末は、α−アミラーゼ活性を阻害した。
【0040】
尚、α−アミラーゼ阻害活性の有無はアミラーゼのデンプン分解反応の阻害による検出法により確認された。
【0041】
アセトン抽出物とエタノール抽出物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーにて展開し比較したところ、アセトン抽出物には、フォルスコリンが存在するのに対してエタノール抽出物には、フォルスコリンは存在しなかった。更に、α−アミラーゼ阻害活性を調べたところ、アセトン抽出物にはα−アミラーゼ阻害活性作用が認められなかったが、エタノール抽出物には強いα−アミラーゼ阻害活性作用が認められた。
【0042】
前記コレウスAI分画物について高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製し、下記のように成分の分画と活性部分の同定を行った。
【0043】
Figure 0004783882
【0044】
展開条件;0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の100/0,95/5,90/10,80/20,60/40,20/80,0/100の混合比におけるステップワイズ溶出を行った。その結果を図1に示す。
【0045】
図1に得られたピークのうち分画Eのみα−アミラーゼ阻害活性作用を示した。
【0046】
(α−アミラーゼ阻害活性物質の性状)
α−アミラーゼ阻害活性物質についてその性状を調べたところ以下の結果となった。
【0047】
1)ニンヒドリン反応:陽性(アミノ基及びカルボキシル基を末端に有する);
紫外部吸収:250nmに極大;
2)フェーリング反応:陽性かつアンモニア性硝酸銀を還元して銀を析出する(還元糖分子を有する);
3)60℃で20分の加熱処理でα−アミラーゼ阻害活性は消失しない;及び
4)蛋白分解酵素であるトリプシンによるカゼインの加水分解を阻害しない。
【0048】
フォルスコリン(和光純薬工業(株)製)とα−アミラーゼ阻害活性物質(前記精製品)についての高速液体クロマトグラフィーを行った。
【0049】
Figure 0004783882
【0050】
サンプル調製;コレウスAI分画物は30mgを、フォルスコリンは10mgを、1mlの0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=40/60に溶解し、各々3μlをチャージした。
【0051】
展開条件;0.1%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=40/60、流速;1ml/分、検出;紫外部吸収:220mm。
【0052】
図2(α−アミラーゼ阻害活性物質)及び図3(フォルスコリン)に見られるようにフォルスコリンの液体クロマトグラフィーのピークは、本発明で見出されたα−アミラーゼ阻害活性物質のピークとリテンションタイムが全く異なり、しかもα−アミラーゼ阻害活性物質の抽出精製分画には、フォルスコリンのピークは全く存在せず、展開溶媒を替えても、同様の傾向が認められた。この結果より、α−アミラーゼ阻害活性に焦点を合わせた、コレウスフォルスコリからのエタノール抽出物中にはフォルスコリンは存在せず、前記図1において特定した分画中に存在するα−アミラーゼ阻害活性物質が主たる生理活性を発現していることが分かる。
【0053】
目的とするピークの画分を、この分野で各種の精製手段として知られている方法(常法、慣用法等)を利用し又は組み合わせて分離することにより目的とする阻害活性作用を有する化合物、或いはこの化合物がより精製された形態で含まれる物質を得ることができる。
【0054】
(フォルスコリンとコレウス由来α−アミラーゼ阻害活性物質[α−AI]の性状の比較)
【0055】
Figure 0004783882
*1 疎水性吸着樹脂、三菱化学(株)製ダイヤイオン
*2 疎水性吸着樹脂、ロームアンドハース社製アンバーライト
*3 強酸性イオン交換樹脂、三菱化学(株)製ダイヤイオン
*4 強塩基性イオン交換樹脂、三菱化学(株)製ダイヤイオン
*5 弱酸性イオン交換樹脂、三菱化学(株)製ダイヤイオン
*6 弱塩基性イオン交換樹脂、三菱化学(株)製ダイヤイオン
【0056】
検出方法:フォルスコリンは薄層クロマトクラマトグラフィー、α−AIはアミラーゼのデンプン分解反応の阻害で検出した。
【0057】
(分子量の測定)
コレウスAI分画物について分子量分布を求めた。
東ソー(株)製シリカ系ゲル濾過剤 TSKgel G3000SWXLカラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分子量分布を測定した。結果を下記の表に示す。
【0058】
Figure 0004783882
【0059】
以上の結果から、本発明の新規物質の分子量は10,000以下であることが分かった。
【0060】
(安全性試験)
本発明の新規物質を含有する、コレウスフォルスコリのコレウスAI分画物を、ddy系マウス雄(体重22−24g)に経口投与し、72時間飼育観察した結果、600〜2000mg/kgの投与において全例が生存し、一般行動観察及び腹腔内の解剖所見も正常であった。従って、安全性に優れた物質でることが確かめられた。
【0061】
(アミラーゼ阻害活性試験)
本発明の物質について試験管内のアミラーゼ活性に及ぼす作用を調べた。
基質緩衝液0.5mlにアミラーゼ(和光純薬工業(株)製1mg/ml濃度;枯草菌製)0.01ml及び試料(コレウスAI分画物を200mM燐酸緩衝液pH7.0に溶解、最終濃度0.25、2.5、5mg/mlになるように調整。)0.5mlを添加して、37℃で7.5分間反応をさせた後、発色試液(アミラーゼ測定キット(アミラーゼ−テストワコー)の発色液を使用。)0.5mlと水2.0mlを加え、よく混合して波長660nmで吸光度を測定する。結果を図4に示した。
【0062】
(デンプン負荷試験)
ラットを用いたデンプン負荷試験を実施し、デンプン負荷後の血中グルコース及びインスリンの変化を測定した。デンプン投与後のラット血液中のグルコース及びインスリン含量に及ぼす本発明の物質(コレウスAI分画物)の影響を図5及び6に示した。
【0063】
以上の結果から、本発明の物質を投与した群では、60分及び120分後の血中グルコース濃度は非投与群に比べて低値を示し、本発明のα−アミラーゼ阻害活性物質によりデンプンの消化吸収を阻害することによる、炭水化物の体内取り込みが抑制され血糖の上昇が抑制される傾向が明らかとなった。この結果、抗肥満、抗糖尿病を目的とする医薬品又は健康食品への使用が期待できる。
【0064】
(α−グルコシダーゼ阻害活性試験)
次に、α−グルコシダーゼ阻害活性試験を行った結果を示す。試料の調製及び試験法については下記の通り行った。
【0065】
酵素にはα−グルコシダーゼ(酵母製、和光純薬工業)を使用し、その100Uを0.05M酢酸緩衝液(pH=5.5)にて50mlに溶解した(酵素液)。
基質にはp−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシド、38mgを上記酢酸緩衝液100ml(1.2mM)に調整した(基質溶液)。
被試験物の阻害物には、試料としてコレウスエキス末(前記コレウスAI分画物使用)、桑の葉エキス末及び大麦抽出物を用い、上記酢酸緩衝液に各試料を溶解し、それぞれ1mg/ml、0.5mg/ml及び0.25mg/mlの溶液を調製した(試料溶液)。
【0066】
酵素反応を下記の通り行い、各試料についての阻害活性度を測定した。
(第1段階)
酵素液1mlに試料(阻害物)溶液1mlを加えて、35℃で10分間反応を行う。
(第2段階)
第1段階で得られた溶液に2mlの基質溶液を加え、35℃で15分間反応を行う。
(第3段階)
α−グルコシダーゼの作用による反応性生物であるニトロフェノールの量を、405nmの吸光度の測定により計算した。
【0067】
(測定結果)
以上のα−グルコシダーゼ阻害活性試験の結果、試料(阻害物)1mg/mlの濃度でコレウスAI分画物93%、桑の葉エキス末95%及び大麦抽出物13%であった。更に、コレウスAI分画物は、α−グルコシダーゼの活性を容量依存的に阻害することが確認された。即ち、1mg/ml:93%;0.5mg/ml:28%;及び0.25mg/ml:7%であった。
【0068】
この結果から、本発明の物質はα−グルコシダーゼ阻害活性作用を有していることが理解される。
桑の葉からの抽出物に関し、その有効成分(α−グルコシダーゼ阻害活性成分)は、グルコースの類似構造物質である1−デオキシノジリマイシンであり、その構造から推定してその阻害様式は拮抗阻害であると考えられる。
【0069】
一方、コレウスからのα−グルコシダーゼ阻害活性物質は、その分子量(高速液体クロマトグラフィーのピークからの推定で、分子量:1万以下、1000以上)から推定して、その阻害様式は非拮抗阻害であると考えられる。従って、上記桑の葉からの抽出物はショ糖、オリゴ糖等の基質が多量に存在すると十分な阻害効果を発揮しない可能性があるのに対し、コレウスからの抽出物は存在する基質の量に関係なく、一定の阻害効果を発揮するものと期待される。
【0070】
(リパーゼ阻害活性について)
脂質の消化阻害力の測定(日本農芸化学会誌、67巻、No.11参照。)に従って、リパーゼ阻害活性試験を行った。被試験試料調製のための酵素については、ブタ膵液リパーゼType−II(シグマ社製)を、基質にはトリオレインを、阻害の程度を試験する阻害物には試料として前記コレウスAI分画物を、それぞれ使用した。
【0071】
試料溶液1)〜3)を下記の通り調製した。
酵素は168U/ml(0.1M燐酸緩衝液、pH=8.0)の溶液(酵素液)で、基質はエーテル:エタノール=1:1の混合溶液中10mg/mlに調整した溶液(基質溶液)で、被試験物の阻害物には、試料の1%溶液(0.1M燐酸緩衝液、pH=8.0)(試料溶液)で、それぞれ用いた。
【0072】
1)前記燐酸緩衝液2ml;
2)酵素液1ml+前記燐酸緩衝液1ml:及び
3)酵素液1ml+試料溶液1ml。
【0073】
(試験法)
前記1)〜3)を、それぞれ37℃で10分間プレインキュベイトする。その後、基質溶液5mlを加えて37℃で60分間インキュベイトする。煮沸失活の後、10mlのエーテル:エタノール=1:1の混合溶媒で未反応基質を抽出し、反応物を1/100N−KOHでpH=9.0を終点として滴定する。
【0074】
(阻害活性の測定と測定値)
使用した酵素の50%を阻害する阻害物(試料)の重量(mg)を、阻害活性値として求めた。コレウスAI分画物のリパーゼ阻害活性は、671U/mgであった。
以上の結果から、本発明の物質が著しくリパーゼ阻害活性作用を有することが分かる。
【0075】
(肥満予防、治療、改善効果)
健常ボランティア6名にコレウスAI分画物80mgを含む250mg三角粒を1日六粒、14日間にわたり投与したところ2名に体重の減少、4名に体脂肪率の減少が認められ、肥満の予防、治療若しくは改善に対する有効性が認められた。本発明のα−アミラーゼ阻害活性物質には肥満の予防、治療、改善効果が認められた。
【0076】
(実施例2)コレウスフォルスコリα−アミラーゼ阻害活性物質の製造
コレウスフォルスコリ根部(粉末)30kgにエタノールを45L添加して室温で6時間攪拌し抽出を行った。抽出液について吸引濾過を行い、濾液(エタノール抽出液)34Lを得た。これを減圧濃縮して、減圧乾固することにより乾燥粉末(エタノール抽出物)2580gを得た。このようにして得られるエタノール抽出物を健康食品、或いは健康食品に添加して使用することができる。
【0077】
【発明の効果】
本発明により、糖尿病或いは肥満の予防、治療及び/又は改善に有用な新規α−アミラーゼ阻害活性物質或いはαーアミラーゼ阻害剤を提供することができる。この物質(或いはα−アミラーゼ阻害剤)は、好ましくはα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用をも有し、この物質(或いはα−アミラーゼ阻害剤)を有効成分として含有し又は使用することで、糖尿病或いは肥満の予防、治療及び/又は改善薬並びにそれ等の効果を有する飲食品(健康食品等)、又はそのための成分を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、HPLCによるα−アミラーゼ阻害活性物質の精製結果を示す図である。ピークNo.、時間及び面積比率の関係は下記の通りである。
Figure 0004783882
【図2】図2は、液体クロマトグラフィーによるα−アミラーゼ阻害活性物質のピークを示す図である。ピークNo.、時間及び面積比率の関係は下記の通りである。
Figure 0004783882
【図3】図3は、液体クロマトグラフィーによるフォルスコリンのピークを示す図である。ピークNo.、時間及び面積比率の関係は下記の通りである。
Figure 0004783882
【図4】図4は、α−アミラーゼ阻害活性物質によるアミラーゼ活性に及ぼす影響を示す図である。
【図5】図5は、α−アミラーゼ阻害活性物質によるグルコース含量に及ぼす影響を示す図である。
【図6】図6は、α−アミラーゼ阻害活性物質によるインスリン含量に対する影響を示す図である。

Claims (10)

  1. フォルスコリンを抽出した残渣のコレウスフォルスコリから、水、アルコール又はこれらの混合物を用いて分離することを特徴とする、α−アミラーゼ阻害活性作用を有する抽出物の製造方法。
  2. 前記α−アミラーゼ阻害活性作用を有する抽出物がα−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有する請求項記載の方法。
  3. コレウスフォルスコリがコレウスフォルスコリ根部である請求項1又は2記載の方法。
  4. アルコールが、メタノール及びエタノールの少なくとも1種である請求項1〜3何れか記載の方法。
  5. 前記α−アミラーゼ阻害活性作用を有する抽出物がアセトンに不溶である請求項1〜4何れか記載の方法。
  6. フォルスコリンを抽出した残渣のコレウスフォルスコリから分離され、α−アミラーゼ阻害活性作用を有することを特徴とする水、アルコール又はこれらの混合物による抽出物
  7. α−グルコシダーゼ阻害活性作用及び/又はリパーゼ阻害活性作用を有する請求項記載の抽出物
  8. アセトンに不溶で、水又はアルコールに可溶である請求項6又は7記載の抽出物
  9. 請求項何れか記載の抽出物を含有することを特徴とする飲食品。
  10. 健康食品である請求項記載の飲食品。
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