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JP4786407B2 - パワーモジュール - Google Patents
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Description

この発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるパワーモジュールに関するものである。
この種のパワーモジュールは一般に、セラミックス板において、その表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に金属層がろう付けされたパワーモジュール用基板と、金属層の表面にろう付けされたヒートシンクとが備えられ、回路層に半導体チップがはんだ接合されて用いられている。
そして、従来から、このようなパワーモジュールの接合信頼性を向上させるために、例えば下記特許文献1に示されるように、回路層または金属層を、純度が99.98%以上のAl合金若しくは純Alからなる回路層部材または金属層部材を前記のようにろう付けすることにより形成している。
再表03/090277号公報
しかしながら、前記従来のパワーモジュールでは、金属層部材が、純度99.98%以上のAl合金若しくは純Alにより形成されていたとしても、ろう付け時に、溶融したろう材に含まれるSi、Cu、Mn、Mg若しくはGe等が、金属層部材の、セラミックス板およびヒートシンクとの各ろう付け面から各別にその内部に向けて拡散するため、ろう付けされた金属層では、Alの純度が99.98%より小さくなっていた。したがって、この金属層では、ろう付け前の金属層部材と比べて、熱変形に対する抵抗力が大きくなり、さらに、熱サイクル時に熱変形が繰り返されて徐々に硬化することにもなるため、この熱サイクル時に、金属層がセラミックス板やこれらの接合界面に及ぼす負荷が大きくなり、例えば、セラミックス板が割れ易くなったり、金属層とセラミックス板との接合界面が剥離し易くなったりする等、パワーモジュールの熱サイクル寿命が短くなるおそれがあった。
特に、近年では、セラミックス板の表裏面における平面積を大きくして、1つのヒートシンクに搭載するパワーモジュール用基板の数量を少なくすることによって、製造コストを低減させたり、パワーモジュールユニットのコンパクト化を図ることに対する要望があるが、このようにセラミックス板を大きくすると、このセラミックス板の曲げ剛性が低下して熱サイクル時の熱変形量が大きくなるため、前述した金属層におけるAlの純度の低下に伴う変形抵抗の増大等が、この要望に対して大きな阻害要因となっていた。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、熱サイクル寿命を向上させることができるパワーモジュールを提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のパワーモジュールは、セラミックス板において、その表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に金属層がろう付けされたパワーモジュール用基板と、金属層の表面にろう付けされたヒートシンクとが備えられ、回路層に半導体チップがはんだ接合されるパワーモジュールであって、 前記セラミックス板は、一辺が30mmより大きく40mm以下とされており、前記金属層は、厚さが1.0mm以上4.5mm以下とされるとともに、純度が99.98%以上のAl合金若しくは純Alからなる金属層部材が、セラミックス板の裏面、およびヒートシンクの表面にそれぞれ、Al系のろう材によりろう付けされてなり、この金属層のうち、該金属層の厚さに対して40%以上87%以下の厚さ領域部分は、Alの純度が99.98%以上とされるとともに、該金属層の厚さ方向の中央部に位置されていることを特徴とする。
この発明によれば、金属層のうち、該金属層の厚さに対して40%以上87%以下の厚さ領域部分が、Alの純度が99.98%以上とされているので、この金属層における熱変形に対する抵抗力が大きくなるのを抑えることが可能になるとともに、熱サイクル時に熱変形が繰り返されて徐々に硬化することも抑制することが可能になり、この熱サイクル時に、金属層がセラミックス板やこれらの接合界面に及ぼす負荷を抑えることができる。したがって、熱サイクル時に、セラミックス板が割れ易くなったり、金属層とセラミックス板との接合界面が剥離し易くなったりする等、パワーモジュールの熱サイクル寿命が短くなるのを防ぐことができる。
これにより、例えば、セラミックス板の表裏面における平面積を大きくして、1つのヒートシンクに搭載するパワーモジュール用基板の数量を少なくすることによって、製造コストを低減させる等する一方で、セラミックス板の曲げ剛性の低下に伴い、このセラミックス板が熱サイクル時に大きく変形し易くなったとしても、熱サイクル時に、金属層がセラミックス板やこれらの接合界面に及ぼす負荷を抑えることが可能になるので、このようなパワーモジュールを熱サイクル寿命を短くさせることなく良好に実現することができる。
この発明によれば、パワーモジュールの熱サイクル寿命を向上させることができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の一実施形態に係るパワーモジュールを示す全体図である。
このパワーモジュール10は、セラミックス板11において、その表面に回路層12がろう付けされるとともに、裏面に金属層13がろう付けされたパワーモジュール用基板14と、金属層13の表面にろう付けされたヒートシンク17とが備えられ、回路層12に半導体チップ16がはんだ層15を介してはんだ接合されるようになっている。
ここで、これらの各部材を形成する材質としては、例えば、セラミックス板11ではAlN、Al、Si、SiC等が挙げられ、回路層12では純Al若しくはAl合金が挙げられ、ヒートシンク17では純度が99.98%より小さいAl合金が挙げられ、はんだ層15ではSn−Ag−Cu系若しくはPb−Sn系等のはんだ材が挙げられる。また、セラミックス板11と回路層12とをろう付けするろう材では、例えばAl−Si系等のAl系のろう材が挙げられる。
さらに、セラミックス板11は、一辺が30mmより大きく50mm以下の平面視正方形とされるとともに、厚さが0.2mm以上1.0mm以下の板状体とされ、金属層13は、一辺の大きさがセラミックス板11よりも小さく、かつ30mm以上50mm以下の平面視正方形とされるとともに、厚さが0.1mm以上1.3mm以下とされている。また、ヒートシンク17において、例えばその内部に冷媒供給流路が形成されている場合、金属層13とのろう付け面17a側の厚さが3mm以上10mm以下とされている。
そして、本実施形態では、金属層13は、純度が99.98%以上のAl合金若しくは純Alにより形成された金属層部材が、セラミックス板11の裏面、およびヒートシンク17の表面にそれぞれ、例えば、Al−Si系(例えば、Alが92.5wt%、Siが7.5wt%)、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Mg系、若しくはAl−Ge系等のAl系のろう材によりろう付けされてなり、この金属層13のうち、その総厚に対して10%以上の厚さ領域部分Aは、Alの純度が99.98%以上とされている。そして、金属層13において、その表裏面13a、13bの近傍に位置する部分は、ろう付け時に、溶融したAl系のろう材に含まれるSi、Cu、Mn、Mg、若しくはGe等が、これらの表裏面13a、13bからその内部に向けて拡散することにより、Alの純度が99.98%よりも小さくなっている。なお、図示の例では、前記厚さ領域部分Aは、金属層13の厚さ方向中央部に位置されている。
次に、以上のように構成されたパワーモジュール10の製造方法について説明する。
まず、純度が99.98%以上のAl合金若しくは純Alからなる母材を打ち抜いたり、あるいはこのAl合金若しくは純Alの溶湯を用いた鋳造により板状の回路層部材および金属層部材を形成する。また、純度が99.98%より小さいAl合金の溶湯を用いて鋳造したり、またはこのAl合金からなる部材に押出し加工を施したり、さらには、これらの鋳造品および押出し加工品をろう付け(例えば真空ろう付け等)することによりヒートシンク17を形成する。なお、回路層部材は回路層12と同形同大とされ、金属層部材は金属層13と同形同大とされている。
そして、セラミックス板11の表面にAl系のろう材箔と回路層部材とをこの順に配置するとともに、セラミックス板11の裏面に前記ろう材箔と金属層部材とをこの順に配置し、さらに、金属層部材の表面に、前記ろう材箔とヒートシンク17とをこの順に配置して積層構造体を形成する。ここで、Al系のろう材箔は、金属層部材の平面視形状と略同形同大とされるとともに、厚さが0.1μm以上30μmm以下とされている。
そして、この積層構造体を、不活性雰囲気、還元雰囲気、または真空中(真空度1×10−5Torr(1.33×10−3Pa)以下)に置いて、積層方向に0.098MPa〜0.294MPaで加圧した状態で577℃以上660℃以下で加熱し、この状態を約1時間維持してろう材箔を溶融させることによって、セラミックス板11の表面に回路層部材をろう付けするとともに、セラミックス板11の裏面に金属層部材をろう付けしてパワーモジュール用基板14を形成し、これと同時に、金属層部材(金属層13)とヒートシンク17とをろう付けすることによってパワーモジュール10を形成する。
なお、金属層13の前記厚さ領域部分Aの大きさは、例えば、前記ろう材箔に含まれるSi、Cu、Mn、Mg、若しくはGe等の濃度や厚さ、金属層部材のAl純度や厚さ等を適宜設定することにより変更することができる。
以上説明したように、本実施形態によるパワーモジュールによれば、金属層13のうち、その総厚に対して10%以上の厚さ領域部分Aが、Alの純度が99.98%以上とされているので、この金属層13における熱変形に対する抵抗力が大きくなるのを抑えることが可能になるとともに、熱サイクル時に熱変形が繰り返されて徐々に硬化することも抑制することが可能になり、この熱サイクル時に、金属層13がセラミックス板11やこれらの接合界面に及ぼす負荷を抑えることができる。したがって、熱サイクル時に、セラミックス板11が割れ易くなったり、金属層13とセラミックス板11との接合界面が剥離し易くなったりする等、パワーモジュール10の熱サイクル寿命が短くなるのを防ぐことができる。
これにより、本実施形態のように、セラミックス板11の表裏面における平面積を大きくして、1つのヒートシンク17に搭載するパワーモジュール用基板14の数量を少なくすることによって、製造コストを低減させる等する一方で、セラミックス板11の曲げ剛性の低下に伴い、このセラミックス板11が熱サイクル時に大きく変形し易くなったとしても、熱サイクル時に、金属層13がセラミックス板11やこれらの接合界面に及ぼす負荷を抑えることが可能になるので、このようなパワーモジュール10を熱サイクル寿命を短くさせることなく良好に実現することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、金属層13として1枚のAl合金若しくは純Alの金属層部材を示したが、これに代えて、この金属層13を、複数枚の金属層部材が積層されてなる積層体としてもよい。そして、この積層体のうち、その総厚に対して10%以上の厚さ領域部分が、Alの純度が99.98%以上とされていればよい。また、厚さ領域部分Aは、金属層13の厚さ方向において複数個所に互いに離れて配置されるようにしてもよい。
次に、この製造方法についての具体的な実施例について説明する。
まず、材質については、ろう付け前の金属層13(金属層部材)を純度が99.99%の純Al、ヒートシンク17を純度が99.5%のAl合金、金属層13とセラミックス板11とを接合するろう材をAl−Si系(Alが92.5wt%、Siが7.5wt%)、セラミックス板11をAlNによりそれぞれ形成した。
厚さについては、金属層13を3.0mm、ろう材箔を10μm、セラミックス板11を約0.635mmとした。
また、セラミックス板11、金属層13およびろう材箔の平面視形状をそれぞれ正方形として、一辺の大きさを、セラミックス板11では40mm、金属層13およびろう材箔では38mmとした。
そして、前記積層構造体を600℃〜650℃の真空中(真空度1×10−5Torr(1.33×10−3Pa)以下)に置いて、約1時間、積層方向に0.098MPa〜0.294MPaで加圧して、パワーモジュール10を形成した。
このパワーモジュール10において、金属層13の厚さ方向におけるAlの純度分布を、電子線マイクロアナライザ(EPMA)で分析して測定した。その結果、金属層13の厚さ方向中央部に、Alの純度が99.98%以上となる厚さ領域部分Aが、この金属層13の総厚に対して約80%存在していることを確認された。
次に、以上説明した作用効果についての検証試験を実施した。
平面視正方形のセラミックス板における一辺の長さ、および金属層の厚さの少なくとも一方を異ならせて10種類のパワーモジュールを形成し、各パワーモジュールの金属層において、Alの純度が99.98%以上とされた厚さ領域部分Aの大きさを種々異ならせた。
なお、各パワーモジュールにおいて、セラミックス板の材質および厚さと、金属層部材の材質および一辺の長さと、ろう材箔の材質、厚さおよび一辺の長さと、温度等の製造条件とは、前述の実施例と同様にした。
そして、これらの各パワーモジュールを、−40℃から105℃に約10分間で昇温した後、105℃から−40℃に10分間で降温する温度履歴を1サイクルとした熱サイクルをかけて、500サイクル経過する度に、セラミックス板を目視して割れが生じているか否かを確認するとともに、超音波検査装置を用いて、セラミックス板と金属層との接合界面、および金属層とヒートシンクとの接合界面での剥離面積をそれぞれ測定した。そして、各剥離面積がそれぞれの全接合面積に対して10%以上になっていたときを熱サイクル寿命として測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0004786407
結果、実施例では、熱サイクル寿命が1000サイクル以上であり、比較例と比べて熱サイクル寿命が向上されたことが確認された。
パワーモジュールの熱サイクル寿命を向上させることができる。
この発明の一実施形態に係るパワーモジュールを示す全体図である。
符号の説明
10 パワーモジュール
11 セラミックス板
12 回路層
13 金属層
14 パワーモジュール用基板
16 半導体チップ
A 厚さ領域部分

Claims (1)

  1. セラミックス板において、その表面に回路層がろう付けされるとともに、裏面に金属層がろう付けされたパワーモジュール用基板と、金属層の表面にろう付けされたヒートシンクとが備えられ、回路層に半導体チップがはんだ接合されるパワーモジュールであって、
    前記セラミックス板は、一辺が30mmより大きく40mm以下とされており、
    前記金属層は、厚さが1.0mm以上4.5mm以下とされるとともに、純度が99.98%以上のAl合金若しくは純Alからなる金属層部材が、セラミックス板の裏面、およびヒートシンクの表面にそれぞれ、Al系のろう材によりろう付けされてなり、
    この金属層のうち、該金属層の厚さに対して40%以上87%以下の厚さ領域部分は、Alの純度が99.98%以上とされるとともに、該金属層の厚さ方向の中央部に位置されていることを特徴とするパワーモジュール。
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