ところで、上記従来のリジッド・フレキ基板を例えばマザーボード上に実装する場合には、以下のような問題が生じる。即ち、リジッド基板をマザーボード上に実装する際には一般にはんだが使用されるが、はんだが溶融温度から常温に冷却される際には、リジッド基板とマザーボードとの熱膨張係数差に起因して実装部分に熱応力が発生する。そして、大きな熱応力が、リジッド基板とマザーボードとの界面等に作用することで、リジッド基板とマザーボードとの接合部分にクラック等が生じるおそれがある。それゆえ、リジッド基板とマザーボードとの間に高い接続信頼性を付与できなくなるという問題がある。しかも、近年ではリジッド基板が大型化する傾向にあるため、さらに大きな熱応力がリジッド基板とマザーボードとの界面等に作用することで、リジッド基板とマザーボードとの接合部分にクラックがいっそう発生しやすくなることが予想される。
また、上記従来のリジッド・フレキ基板のフレキシブル基板上にICチップを実装する場合には、以下のような問題が生じる。即ち、ICチップをフレキシブル基板上に実装する際にも一般にはんだが使用されるが、はんだが溶融温度から常温に冷却される際に、ICチップとフレキシブル基板との熱膨張係数差に起因して熱応力が発生する。また、最近ではICチップの外形サイズが大きくなる傾向にあるが、チップサイズが大型化すると、大きな熱応力がICチップとフレキシブル基板との界面等に作用することで、チップ接合部分にクラック等が生じるおそれがある。それゆえ、リジッド・フレキ基板に必要とされる所定の信頼性を付与できなくなるという問題がある。さらに、ICチップにおける層間絶縁膜としてポーラスシリカ等のような低誘電体材料(いわゆるLow−K材)を採用した場合には、ICチップが脆くなってクラックがいっそう発生しやすくなることが予想される。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続信頼性に優れた複合配線基板構造体を提供することにある。
そして、上記課題を解決するための手段(手段1)としては、マザーボード上に実装可能な複合配線基板構造体において、第1主面及び第2主面を有し、内部に電子部品が埋設されるリジッド基板と、前記リジッド基板の前記第1主面側に接合され、半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定された第1樹脂基板と、前記リジッド基板の前記第2主面に接合するとともに前記電子部品に臨む接着シートと、前記リジッド基板の前記第2主面側に前記接着シートを介して接合され、非接合面側に前記マザーボードの複数の端子に対して接続可能な複数の外部接続端子が突設された第2樹脂基板とを備え、前記リジッド基板がセラミック配線基板であるとともに、前記接着シートが耐熱性の熱可塑性樹脂によって形成され、前記第1樹脂基板のヤング率が前記リジッド基板のヤング率よりも小さく、前記第2樹脂基板のヤング率が前記第1樹脂基板のヤング率よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする複合配線基板構造体がある。
従って、この複合配線基板構造体の場合、リジッド基板とマザーボードとの間に、リジッド基板及び第1樹脂基板よりもヤング率が小さい第2樹脂基板が介在されている。このような第2樹脂基板は、剛性が低いため、マザーボードが平面方向に熱膨張または熱収縮したときでもあっても、それに追従して弾性的にひずむ(変形する)ことができる。ゆえに、リジッド基板とマザーボードとの間に大きな熱応力が作用しなくなる。よって、たとえリジッド基板が大型であったとしても、クラック等が起こりにくい。ゆえに、複合配線基板構造体におけるリジッド基板とマザーボードとの接合部分に所定の信頼性が付与される。
前記リジッド基板のヤング率は15GPa以上に設定され、前記第1樹脂基板のヤング率は1GPa以上10GPa未満に設定されることが好適である。この場合、前記第2樹脂基板のヤング率は、前記第1樹脂基板のヤング率よりも小さくなるように設定され、具体的には1MPa以上1GPa未満に設定されることが好ましい。その理由は、ヤング率が1GPa以上であると、剛性が十分に低いとはいえず、熱応力の影響を軽減する効果が確実に得られない可能性があるからである。一方、ヤング率が1MPa未満であると、第2樹脂基板の製造時に材料の選定が困難になったり、製造が困難になったりするおそれがある。
ここで「ヤング率」とは、例えばJIS R 1602に規定する弾性率試験方法による測定値をいい、より具体的には超音波パルス法による測定値をいう。超音波パルス法では、超音波パルスが試験片を伝播するときの速度に基づいて動的弾性率を測定する。
また、上記課題を解決するための他の手段(手段2)としては、マザーボード上に実装可能な複合配線基板構造体において、第1主面及び第2主面を有し、内部に電子部品が埋設されるリジッド基板と、前記リジッド基板の前記第1主面側に接合され、半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定された第1樹脂基板と、前記リジッド基板の前記第2主面に接合するとともに前記電子部品に臨む接着シートと、前記リジッド基板の前記第2主面側に前記接着シートを介して接合され、非接合面側に前記マザーボードの複数の端子に対して接続可能な複数の外部接続端子が突設された第2樹脂基板とを備え、前記リジッド基板がセラミック配線基板であるとともに、前記接着シートが耐熱性の熱可塑性樹脂によって形成され、前記第1樹脂基板の平面方向における熱膨張係数が30ppm/℃以下に設定され、前記第1樹脂基板のヤング率が前記リジッド基板のヤング率よりも小さく、前記第2樹脂基板のヤング率が前記第1樹脂基板のヤング率よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする複合配線基板構造体がある。
従って、この複合配線基板構造体の場合、平面方向における熱膨張係数が30ppm/℃以下に設定された第1樹脂基板がリジッド基板上に接合されている。この第1樹脂基板は熱膨張係数が比較的小さいので、素子搭載部に半導体回路素子を接続した場合には、その半導体回路素子との熱膨張係数差を小さくすることができる。このため、半導体回路素子に直接大きな熱応力が作用しなくなる。よって、たとえ半導体回路素子が大型で発熱量が多いものであったとしても、クラック等が起こりにくい。ゆえに、複合配線基板構造体における半導体回路素子の接合部分に所定の信頼性が付与される。
また、前記第1樹脂基板の平面方向における熱膨張係数が30ppm/℃以下に設定され、前記第1樹脂基板のヤング率が前記リジッド基板のヤング率よりも小さく、前記第2樹脂基板のヤング率が前記第1樹脂基板のヤング率よりも小さくなるように設定されている。このため、半導体回路素子に大きな熱応力が作用しなくなるだけでなく、リジッド基板とマザーボードとの間にも大きな熱応力が作用しなくなる。よって、いっそう接続信頼性に優れた複合配線基板構造体とすることができる。
手段1、手段2にかかる複合配線基板構造体が実装されるマザーボードの形成材料については特に限定されず、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。前記マザーボードとしては、例えば、樹脂製のもの、セラミック製のもの、金属製のものなどが挙げられる。特に、前記マザーボードは、コスト性の観点から樹脂製であることが好ましい。
手段1、手段2にかかる複合配線基板構造体に実装されるべき半導体回路素子とは、半導体集積回路素子のほか、半導体製造プロセスで製造されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子等が挙げられる。半導体集積回路素子の例としては、熱膨張係数が2.6ppm/℃程度のシリコンからなる半導体集積回路チップ(ICチップ)などを挙げることができる。また、MEMS素子とは、半導体IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術により製造される微細回路素子をいい、通常シリコンを主体とするものである。さらに、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術により製造されるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ及び制御回路を集積化した微細システムの総称である。なお、前記半導体回路素子の大きさ及び形状は特に限定されず、例えば一辺の大きさが10mm以上であってもよい。このような大型の半導体回路素子になると、発熱量も増大しやすく熱応力の影響も次第に大きくなるため、本願発明の課題が発生しやすくなり、とりわけ手段2等の構成を採用することが有意義となる。また、前記半導体回路素子は、ポーラスな層を表層部に有していることがよい。このような半導体回路素子の場合、脆いポーラス層にクラックが起こりやすく、本願発明の課題が発生しやすくなる。この場合についても手段2等の構成を採用することが有意義となる。
前記リジッド基板としては、平面方向(XY方向)における熱膨張係数が12ppm/℃以下に設定されているものが使用されることが好ましい。このようにすることで、リジッド基板と半導体回路素子との熱膨張係数差を小さくすることができるため、リジッド基板と半導体回路素子との間に作用する熱応力をよりいっそう小さくすることができる。ゆえに、複合配線基板構造体におけるリジッド基板と半導体回路素子との接合部分の信頼性がより高くなる。
なお、リジッド基板は、配線層などが設けられたリジッド配線基板である。このため、配線層を有しない単なる基板である場合に比べて、内部に回路を構成すること等が可能となり、付加価値を高めることができる。また、平面方向における熱膨張係数が12ppm/℃以下であって、ヤング率が15GPa以上であって、セラミック配線基板であるという条件を満たしていれば、リジッド基板の形成材料については特に限定されず、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。なお、前記リジッド基板は、セラミック配線基板である。セラミックは剛性に優れるため、複合配線基板構造体の機械的強度を高くすることができる。また、セラミックは放熱性に優れるため、複合配線基板構造体に発熱部品を実装した場合であっても、その熱を効率よく放散することができる。しかも、セラミック材料は一般的に金属や樹脂に比べて熱膨張係数が低いため、リジッド基板の材料として好適である。前記セラミック配線基板の具体例としては、例えば、アルミナ配線基板、窒化アルミニウム配線基板、ベリリア配線基板、ガラスセラミック配線基板、結晶化ガラス等の低温焼成材料からなる配線基板などがあるが、これらに限ることはない。
ここで「熱膨張係数」とは、一般的に室温〜ガラス転移温度(Tg)の間のTMA(熱機械分析装置)にて測定した値のことをいう。「TMA」とは、熱機械的分析をいい、例えばJPCA−BU01に規定されるものをいう。
また、前記リジッド配線基板は、前記半導体回路素子の動作性向上に関与する受動部品を有することが好ましく、例えば半導体回路素子に供給すべき電源を安定化させるための受動部品を有することが好ましい。この種の受動部品の具体例としては、ダイオード、抵抗、インダクタ、キャパシタ、コイルなどを挙げることができる。ここに列挙した受動部品は、リジッド配線基板の表面に実装されていてもよく、内蔵されていてもよい。また、リジッド配線基板は、前記半導体回路素子の動作性向上に関与する受動部品としての「機能」を有していてもよく、例えば半導体回路素子に供給すべき電源を安定化させるための受動部品としての「機能」を有していてもよい。その具体例を挙げると、リジッド配線基板自体がかかる受動部品の機能(例えばキャパシタ機能)を有したものとして成立していてもよい。
なお、前記第1樹脂基板においては、前記リジッド基板との非接合面側に、半導体回路素子がフリップチップ接続可能な素子搭載部が設定されている。この構成の利点は、例えば第1樹脂基板が低剛性であったとしても、リジッド基板が高剛性であることから接続信頼性を維持しやすくなることである。なお、このような素子搭載部は、第1樹脂基板上に1つのみ設定されていてもよいが、複数設定されていてもよい。また、平面方向における熱膨張係数が30ppm/℃以下の樹脂であるという条件を満たしていれば、第1樹脂基板の形成材料については特に限定されず、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。
前記第1樹脂基板は、樹脂材料を主体として構成されたフレキシブル配線基板であることが好ましい。このような配線基板であれば、微細な配線層を比較的簡単にかつ正確に形成することができ、端子数の非常に多い半導体回路素子をフリップチップ実装可能な素子搭載部を容易に形成することができる。即ち、このような配線基板は半導体回路素子実装用の基板として適している。また、比較的薄く形成できるため、複合配線基板構造体を厚み方向(Z方向)に小型化することができる。さらに、リジッド基板がセラミック基板であることから、それよりも大きく形成しやすいため、セラミック基板から張り出させてその張り出し部分にさらに別の構造物を実装することもできる。加えて、張り出し部分を所定箇所で折り曲げて使用することもできる。
第1樹脂基板の具体例としては、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。
また、前記第1樹脂基板であるフレキシブル配線基板は、前記リジッド基板の平面方向に張り出した部分を有し、その張り出した部分には複数種類の電子部品を含んで構成された回路からなる機能モジュールとして成立するモジュール配線基板が1つまたは2つ以上接合されていてもよい。このような構成であると、1つのシステム化された複合配線基板構造体(いわゆるシステム・イン・パッケージ:SIP)を実現しやすくなり、付加価値も高くなる。なお、機能モジュールは、MEMS等の機能部材を含むことも可能である。機能モジュールの具体例としては、無線通信機能を有するRFモジュールや、電源電圧を制御する機能などを有する電源モジュールなどを挙げることができる。機能モジュールを構成する電子部品の具体例としては、チップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップキャパシタ、チップコイル、MEMS素子などがある。これらの電子部品は基本的に能動部品であっても受動部品であってもよく、モジュールが実現すべき機能の内容に応じて適宜選択される。なお、モジュール配線基板は、フレキシブル配線基板における屈曲予定箇所を避けて接合されていることがよい。このように構成すれば、たとえフレキシブル配線基板を屈曲させて使用するような場合であっても、機能モジュールの接合箇所に大きな変形が生じるような事態を回避でき、当該箇所の接続信頼性の低下を防止することができる。
また、前記第2樹脂基板は、樹脂材料を主体として構成されているという条件を満たしていればよく、使用する樹脂材料の種類等は特に限定されない。
第2樹脂基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。
なお、前記第1樹脂基板は、その内部に前記リジッド基板の導体部に対して電気的に接続される導体部を有し、前記第2樹脂基板は、その内部に前記リジッド基板の導体部と前記複数の外部接続端子とを電気的に接続する導体部を有することが好ましい。このようにすれば、第1樹脂基板−リジッド基板−第2樹脂基板−マザーボード間での確実な導通を図ることができる。これら導体部は、例えば導電性金属により形成される。前記導電性金属としては特に限定されないが、例えば銅、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、鉛、チタン、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブなどから選択される1種または2種以上の金属を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属としては、例えば、スズ及び鉛の合金であるはんだ等を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属として、鉛フリーのはんだ(例えば、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Sn−Ag−Bi系はんだ、Sn−Ag−Bi−Cu系はんだ、Sn−Zn系はんだ、Sn−Zn−Bi系はんだ等)を用いても勿論よい。
手段1,手段2に記載の複合配線基板構造体を比較的簡単にかつ確実に製造するための好ましい方法(手段3)としては、前記リジッド基板、前記第1樹脂基板及び前記第2樹脂基板を個別に作製する個別作製工程と、前記リジッド基板の前記第1主面側に前記第1樹脂基板を接合するととともに、その際に前記リジッド基板の導体部及び前記第1樹脂基板の導体部を互いに電気的に接続する第1主面側接合工程と、前記リジッド基板の前記第2主面側に前記第2樹脂基板を接合するととともに、その際に前記リジッド基板の導体部及び前記第2樹脂基板の導体部を互いに電気的に接続する第2主面側接合工程とを含むことを特徴とする複合配線基板構造体の製造方法がある。
以下、手段3に記載の複合配線基板構造体の製造方法について説明する。
まず、個別作製工程を実施して、リジッド基板、第1樹脂基板及び第2樹脂基板を個別に作製する。
個別作製工程におけるリジッド基板の作製は、従来周知の手法に従って行われる。例えば、リジッド基板がセラミック基板であるような場合には、リジッド基板用基材であるセラミックグリーンシートを用意し、そのセラミックグリーンシートの所定位置に、両面を貫通するビア孔を形成する。さらに、各ビア孔内に、金属を含む導電性ペーストを充填して導体部を形成するとともに、必要に応じてシート表面にも導電性ペーストを印刷する。そして、所定温度で焼成することにより、セラミック及び金属を焼結させて所定のセラミック基板とする。なお、セラミック多層基板の場合には、例えば導電性ペーストの充填・印刷を行ったセラミックグリーンシートを複数枚積層して圧着した後、焼成を行うようにする。
個別作製工程における第1樹脂基板の作製も第2樹脂基板の作製も、基本的には従来周知の手法に従って行われる。具体的にいうと、例えば、片面または両面に銅箔を有する銅張積層板を基材とし、その両面を貫通するビア孔を形成する。さらに、各ビア孔内に導電性金属ペーストの充填または銅めっき等の手法により導体部を形成した後、表面の銅箔をエッチングして配線層などをパターニングする。
なお、第2樹脂基板については下記のようにして作製してもよい。例えば、第2樹脂基板用基材に対して孔あけ加工を行い、第2樹脂基板用基材を貫通するビア孔を所定位置にあらかじめ形成するビア孔形成工程を行う。そして、ビア孔内に導体部となる材料を充填する充填工程を行った後、第2樹脂基板用基材に配線層を形成する配線層形成工程を行う。なお、配線層形成工程を最初に行い、次にビア孔形成工程を行った後、充填工程を行うようにしてもよい。
また、第2樹脂基板を作製する際において、配線層を多層化するようにしてもよい。例えば、配線層が形成された第2樹脂基板用基材に対して新たに第2樹脂基板用基材を積層する積層工程を行った後、積層した第2樹脂基板用基材に対してビア孔形成工程及び充填工程を行うようにする。つまり、積層工程、ビア孔形成工程及び充填工程を繰り返すことにより、配線層を多層化するようにしてもよい。
第1主面側接合工程及び第2主面側接合工程を実施する前には、電気検査工程を実施し、リジッド基板、第1樹脂基板及び第2樹脂基板の電気検査を個別に行っておくことが好ましい。このようにすれば、接合前に不良品を発見してそれを事前に除去することができるため、電気検査に合格したリジッド基板、第1樹脂基板及び第2樹脂基板のみを接合して複合配線基板構造体を構成することができる。従って、複合配線基板構造体が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
次に、第1主面側接合工程及び第2主面側接合工程を実施する。この場合、第1主面側接合工程後に第2主面側接合工程を実施してもよく、第2主面側接合工程後に第1主面側接合工程を実施してもよいが、両接合工程を同時に実施することがよい。同時に接合すれば工数が少なくなり、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなるからである。
第1主面側接合工程及び第2主面側接合工程を実施する場合には、あらかじめ所定の位置決め工程を実施することが好ましい。即ち、第1主面側接合工程においては、リジッド基板が第1主面側に有する複数の導体部と、第1樹脂基板の有する複数の導体部とを対応させて配置する。また、第2主面側接合工程においては、リジッド基板が第2主面側に有する複数の導体部と、第2樹脂基板の有する複数の導体部とを対応させて配置する。
第1主面側接合工程では、リジッド基板と第1樹脂基板との界面に必要に応じて接着材を配置して積層する。接着材を配置した場合、前記リジッド基板の導体部と前記第1樹脂基板の導体部とが前記接着材の導体部を介して配置される。そして、この状態で例えば加熱を行いながら積層方向に押圧力を加える。その結果、リジッド基板の第1主面側と第1樹脂基板とが接合される。また、第2主面側接合工程では、リジッド基板と第2樹脂基板との界面に必要に応じて接着材を配置して積層する。接着材を配置した場合、前記リジッド基板の導体部と前記第2樹脂基板の導体部とが前記接着材の導体部を介して配置される。そして、この状態で例えば加熱を行いながら積層方向に押圧力を加える。その結果、リジッド基板の第2主面側と第2樹脂基板とが接合される。なお、このときの加熱温度は、基板材料として使用する樹脂の種類、使用する接着材の種類、接着材の硬化度などに応じて適宜設定される。
この場合において好適な接着材としては、例えば絶縁性接着樹脂材料を用いて構成された接着シートを挙げることができる。また、接着シートにおける絶縁性接着材料としては、例えば液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが好適である。このような耐熱性の材料を使用すれば、高温での接続信頼性などに優れた複合配線基板構造体を実現しやすくなるからである。なお、前記接着シートはその表裏を導通させる導体部を有していることがよい。その理由は、接着シート内に導通部があると、それを介してリジッド基板の導体部及び第1樹脂基板(または第2樹脂基板)の導体部とを確実に接続しやすくなるからである。具体的には、前記接着シートは、シート第1主面と、シート第2主面と、前記シート第1主面側及び前記シート第2主面側を連通させるビア孔内に設けられた導体柱とを有していることが好ましい。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図6に基づき詳細に説明する。図1は、セラミック配線基板(リジッド基板)31、フレキシブル配線基板(第1樹脂基板)51及び樹脂配線基板(第2樹脂基板)41などからなる本実施形態の複合配線基板構造体11を示す概略断面図である。図2は、複合配線基板構造体11の構成を示す分解断面図である。図3〜図5は、接着シート61,71を作製するときの状態を示す概略断面図である。図6は、セラミック配線基板31、フレキシブル配線基板51及び樹脂配線基板41を互いに接合するときの様子を示す概略断面図である。
図1に示されるように、本実施形態の複合配線基板構造体11は、マザーボード81上に実装可能になっており、セラミック配線基板31、フレキシブル配線基板51及び樹脂配線基板41からなるBGA(ボールグリッドアレイ)である。なお、複合配線基板構造体11の形態は、BGAのみに限定されず、例えばLGA(ランドグリッドアレイ)やPGA(ピングリッドアレイ)等であってもよい。なお、本実施形態におけるマザーボード81はエポキシ樹脂とガラス繊維とからなる、いわゆるガラスエポキシ基板であって、その平面方向における熱膨張係数は約16ppm/℃である。
図1,図2に示されるセラミック配線基板31は、上面32(第1主面)及び下面33(第2主面)を有している。セラミック配線基板31は、複数のセラミック層30と複数の配線層(図示略)とを交互に積層した構造を有している。また、セラミック配線基板31には、上面32及び下面33を貫通する複数のビア孔34が格子状に形成されている。そして、かかるビア孔34内には、タングステンを主材料とするビア導体35(導体部)が設けられている。各ビア導体35の上端面にはタングステンからなる上側端子電極36が設けられ、各ビア導体35の下端面にはタングステンからなる下側端子電極37が設けられている。なお、本実施形態において、セラミック配線基板31はアルミナ焼結体により形成された基板である。セラミック配線基板31の平面方向における熱膨張係数は約7.6ppm/℃、ヤング率は約310GPaである。
図1に示されるように、本実施形態のセラミック配線基板31には、下面33にて開口する略矩形状の凹部が形成されている。この凹部内の奥側には、板状をなすキャパシタ131(受動部品)が配置されている。このキャパシタ131は、接着剤により凹部内に固定されている。キャパシタ131の図示しないビア導体は、セラミック配線基板31における電源用のビア導体と電気的に接続されている。このキャパシタ131は、ノイズを除去してICチップ21に供給すべき電源を安定化させる機能を有している。また、凹部の開口部付近には、板状をなすメモリIC132が接着剤により固定されている。メモリIC132の図示しない接続端子は、セラミック配線基板31におけるビア導体と電気的に接続されている。このようにすれば、メモリIC132と、複合配線基板構造体11の上面に搭載されたICチップ21とを繋ぐ配線長が短縮されるため、高速でデータの伝送を行うのに好適となる。
図1,図2に示されるように、前記フレキシブル配線基板51は、厚さ20μm程度の耐熱性ポリイミドを主体として形成された樹脂製基板からなる。本実施形態において、かかる樹脂製基板の平面方向における熱膨張係数は約17ppm/℃、ヤング率は約6.5GPaである。即ち、フレキシブル配線基板51の平面方向における熱膨張係数は、セラミック配線基板31の平面方向における熱膨張係数よりも大きな値となっている。つまり、本実施形態のフレキシブル配線基板51は、セラミック配線基板31よりも高い熱膨張性を有している。フレキシブル配線基板51のヤング率は、セラミック配線基板31のヤング率よりもかなり低くなっている。よって、本実施形態のセラミック配線基板31は、極めて高い剛性を有している。
また、フレキシブル配線基板51は、上面52及び下面53を有している。フレキシブル配線基板51には、上面52及び下面53を貫通する複数のビア導体57(導体部)が設けられている。各ビア導体57の上端面には上面側配線層54が設けられ、各ビア導体57の下端面には下面側配線層55が設けられている。なお、便宜上図示していないが、フレキシブル配線基板51の上面52側及び下面53側はカバーレイによって覆われている。また、フレキシブル配線基板51は、接着シート61(接着材)を介してセラミック配線基板31の上面32側に接合されている。
接着シート61は、耐熱性の熱可塑性樹脂(本実施形態ではPEEK:ポリエーテルエーテルケトン)より形成されている。接着シート61を構成するシート本体63は、上面64及び下面65を有している。また、接着シート61には、上面64及び下面65を貫通する複数の貫通孔66(図4参照)が格子状に形成されている。そして、かかる貫通孔66内には、表面に銀をコートした銅粉を含む導電ペーストの充填により形成された導体部62が設けられている。図1に示されるように、各導体部62の上端面はフレキシブル配線基板51の下面側配線層55に電気的に接続され、各導体部62の下端面はセラミック配線基板31の前記上側端子電極36に電気的に接続されている。これにより、各ビア導体57は、セラミック配線基板31の前記ビア導体35に対して電気的に接続される。
また、フレキシブル配線基板51の上面52側における所定領域(具体的にはセラミック配線基板31の反対側となる領域)には、上面側配線層54の一部である複数のフリップチップ接続パッドが配置された素子搭載部56が設定されている。このような素子搭載部56には、MPUとしての機能を有するICチップ21(半導体回路素子)がフリップチップ実装されている。本実施形態のICチップ21は、縦12.0mm×横10.0mm×厚さ0.7mmの矩形平板状であって、熱膨張係数が2.6ppm/℃程度のシリコンからなる。かかるICチップ21の下面側表層には、図示しない回路素子が形成されている。また、ICチップ21の下面側には、複数のバンプ状の面接続端子22が格子状に設けられている。各面接続端子22は、フレキシブル配線基板51の前記上面側配線層54(即ちフリップチップ接続パッド)に電気的に接続されている。これにより、各面接続端子22は、前記接着シート61を介してセラミック配線基板31側の上側端子電極36に接続される。なお、フレキシブル配線基板51においては、素子搭載部56を中心としてその周囲にファンアウトする複数の微細な上面側配線層54がパターン形成されている。また、前記素子搭載部56には、メモリなどの電子部品がさらに実装されていてもよい。
さらに、フレキシブル配線基板51は、セラミック配線基板31の平面方向に張り出した部分(張出部58)を有している。この張出部58には、モジュール配線基板91が接合されている。本実施形態において、モジュール配線基板91は、電源電圧を制御する機能を有する電源モジュール(機能モジュール)として成立している。この電源モジュールは、複数種類の電子部品92を含んで構成された回路からなっている。詳述すると、モジュール配線基板91は、上面93及び下面94を有する基板本体95を有している。本実施形態においてこの基板本体95は、エポキシ樹脂からなる樹脂製基板である。基板本体95には、モジュール配線基板91の厚さ方向に延びる複数のビア孔(貫通孔)が格子状に形成されており、それらビア孔内に銅めっきからなる導体柱96が設けられている。上面93において各々の導体柱96の上端面がある位置には、上面側パッド97が配置されている。各上面側パッド97は、電子部品92側に設けられたバンプ状の面接続端子98に対して接続されている。なお、電子部品92は、チップトランジスタやチップ抵抗などの部品である。一方、各々の導体柱96の下端部は、略半球状をした下面側はんだバンプ99となっている。これらの下面側はんだバンプ99は下面94から突出しており、フレキシブル配線基板51側の上面側配線層54に対して接続されている。
その結果、上面側パッド97〜導体柱96〜下面側はんだバンプ99という経路(またはこれと逆の経路)を経て電流が流れるようになっている。従って、このような構造の複合配線基板構造体11では、モジュール配線基板91の導体柱96を介して、フレキシブル配線基板51側と電子部品92側とが電気的に接続される。ゆえに、モジュール配線基板91を介して、フレキシブル配線基板51−電子部品92間で信号の入出力が行われるようになっている。
図1,図2に示されるように、前記樹脂配線基板41は、上面42(接合面)及び下面43(非接合面)を有する矩形平板状の部材からなり、1層の樹脂絶縁層44を有している。本実施形態の場合、具体的にはエポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させてなる絶縁基材により樹脂絶縁層44が形成されている。かかる樹脂絶縁層44(樹脂配線基板41)のヤング率は約0.5GPaである。即ち、樹脂配線基板41のヤング率は、フレキシブル配線基板51のヤング率(約6.5GPa)よりも小さくなるように設定されている。
また、樹脂配線基板41は、接着シート71(接着材)を介して前記セラミック配線基板31の下面33側に接合されている。接着シート71は、前記接着シート61と同じ材料にて形成されている。接着シート71を構成するシート本体73は、上面74及び下面75を有している。また、接着シート71には、上面74及び下面75を貫通する複数の貫通孔76(図4参照)が格子状に形成されている。そして、かかる貫通孔76内には、前記導体部62と同じ材料からなる導体部72が設けられている。図1に示されるように、各導体部72の上端面はセラミック配線基板31の前記下側端子電極37に電気的に接続されている。
樹脂配線基板41の上面42には、セラミック配線基板31側との電気的な接続を図るための複数の面接続パッド46が格子状に形成されている。各面接続パッド46は、セラミック配線基板31が有する前記各ビア孔34の位置に対応している。これらの面接続パッド46は、接着シート71の導体部72を介してセラミック配線基板31の下側端子電極37に接続されている。一方、樹脂配線基板41の下面43には、前記マザーボード81の複数の端子82との電気的な接続を図るための複数の面接続パッド47(外部接続端子)が格子状に突設されている。面接続パッド47の表面上には、90Pb/10Snという組成の錫鉛はんだからなる基板側はんだバンプ49が設けられている。また、樹脂絶縁層44にはビア導体48(導体部)が設けられていて、これらのビア導体48を介して、面接続パッド46及び面接続パッド47が相互に電気的に接続されている。それとともに、ビア導体48は、セラミック配線基板31のビア導体35と面接続パッド47とを電気的に接続するようになっている。
従って、このような構造の複合配線基板構造体11では、フレキシブル配線基板51のビア導体57は、下面側配線層55、接着シート61の導体部62及び上側端子電極36を介して、セラミック配線基板31のビア導体35に電気的に接続されている。さらに、セラミック配線基板31のビア導体35は、下側端子電極37、接着シート71の導体部72及び面接続パッド46を介して、樹脂配線基板41のビア導体48に電気的に接続されている。そして、素子搭載部56にICチップ21を実装した場合には、ICチップ21の面接続端子22が、上面側配線層54(フリップチップ接続パッド)を介して、フレキシブル配線基板51のビア導体57に電気的に接続される。ゆえに、セラミック配線基板31を介して、樹脂配線基板41−ICチップ21間で信号の入出力が行われるとともに、ICチップ21をMPUとして動作させるための電源が供給されるようになっている。
次に、上記の複合配線基板構造体11を製造する手順について説明する。
まず、個別作製工程を実施して、セラミック配線基板31、フレキシブル配線基板51及び樹脂配線基板41を個別に作製する。個別作製工程におけるセラミック配線基板31の作製は、従来周知の手法によって行われる。例えば、周知のセラミックグリーンシート形成技術によって、アルミナグリーンシートを複数枚作製する。そして、各グリーンシートの所定位置に、表裏両面を貫通するビア孔をパンチング等により形成する。さらに、各グリーンシートのビア孔内にタングステンペーストを充填して、後にビア導体35となるペースト充填層を形成しておく。そして、これらのグリーンシートを積層、圧着した後、還元雰囲気中にて所定温度で焼成(同時焼成)を行って、アルミナとタングステンペーストとを焼結させる。その結果、ビア導体35を有する複数のセラミック層30の積層体が作製される。さらに、各ビア導体35の両端面に対してタングステンペーストを印刷し、上側端子電極36及び下側端子電極37を形成する。その結果、図2に示すセラミック配線基板31が完成する。
また、個別作製工程におけるフレキシブル配線基板51の作製も、基本的には従来周知の手法によって行われる。即ち、銅張積層板に対してメカニカルドリル、YAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通するビア孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでビア孔内にビア導体57を形成する。さらに、銅張積層板の両面のエッチングを行って上面側配線層54及び下面側配線層55を形成する。その結果、フレキシブル配線基板51を得る。
さらに、個別作製工程における樹脂配線基板41の作製も、基本的には従来周知の手法によって行われる。即ち、銅張積層板に対してメカニカルドリルを用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通するビア孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、銅張積層板に対してYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー孔あけ加工を行うことで、ビア孔を形成してもよい(ビア孔形成工程)。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行い、ビア孔内にビア導体48を形成する(充填工程)。さらに、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って面接続パッド46,47を例えばサブトラクティブ法によって形成する。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離することにより、樹脂配線基板41を得る。なお、面接続パッド46,47を、セミアディティブ法によって形成してもよい。具体的には、無電解銅めっきの後、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、まずレジストを溶解除去して、さらに不要な無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その結果、樹脂配線基板41を得る。
また、下記の要領で接着シート61(または接着シート71)を作製する(接着シート作製工程)。具体的には、所定の大きさに切断された接着性有機材料シート60(図3参照)に対してメカニカルドリル、YAGレーザー、CO2レーザー、パンチング装置等を用いて孔あけ加工を行い、接着性有機材料シート60を貫通する貫通孔66(または貫通孔76)を所定位置にあらかじめ形成しておく(図4参照)。なお、本実施形態のパンチング装置のパンチピンは、120μmの直径を有している。また、貫通孔66(または貫通孔76)は、上側開口部の直径が約117μmとなり、下側開口部の直径が約113μmとなる。次に、従来周知の印刷法により、導電ペーストを貫通孔66(または貫通孔76)に充填し導体部62(または導体部72)を形成する。具体的には、接着性有機材料シート60を支持台(図示略)に載置する。次に、貫通孔66(または貫通孔76)に対応した位置に開口部を有する印刷マスクを用い、印圧を2kgf/cm2、印刷スピードを50mm/secに設定して、表面に銀をコートした銅粉を含む導電ペーストを印刷し、ペースト充填層を形成する。そして、印刷装置から取り外した後、導電ペースト加熱して溶剤等を蒸発させ、固形化させる。次いで、100℃程度の温度で約30分間加熱して仮硬化を行う。これにより導電ペーストからなる導体部62(または導体部72)が少しだけ硬化し、接着シート61(接着シート71)が完成する。その結果、貫通孔66(または貫通孔76)内に導体部62(または導体部72)が形成される。このとき、導体部62(導体部72)の先端部分が、接着性有機材料シート60の上面から約20μmだけ突出する(図5参照)。このような構造の利点は、例えば先端部分がフラットである場合に比べて他基板の導体部との接合強度が高くなり、接続信頼性の向上が図りやすいことにある。
次に、電気検査工程を実施し、完成したセラミック配線基板31、フレキシブル配線基板51及び樹脂配線基板41の電気検査を個別に行う。なお、本実施形態における電気検査としては、インサーキットテスタを用いて行う一般的なインサーキットテストを行っている。さらに、完成したセラミック配線基板31、フレキシブル配線基板51及び樹脂配線基板41に対し、この時点で併せて外観検査を個別に行ってもよい。このとき、不良品を発見した場合には、その不良品を事前に除去する。そして、電気検査や外観検査に合格したセラミック配線基板31、フレキシブル配線基板51及び樹脂配線基板41のみを用いて位置決め工程以降の工程を行う。従って、複合配線基板構造体11が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
そして、位置決め工程では、まず、平板状の下治具101上に、フレキシブル配線基板51を載置する。この場合、フレキシブル配線基板51の外周部分には、下治具101に突設された複数の位置決めピン105が挿通される。これにより、フレキシブル配線基板51の平面方向への位置ずれが防止される。次に、フレキシブル配線基板51上に、接着シート61、セラミック配線基板31、接着シート71、樹脂配線基板41を順番に載置する。そして、下治具101の上にスペーサ102を載置する。なお、スペーサ102の板厚は、接着シート61、セラミック配線基板31、接着シート71及び樹脂配線基板41からなる積層部の高さと略等しくなっている。また、スペーサ102には複数の位置決めピン105が挿通されている。このため、接着シート61、セラミック配線基板31、接着シート71及び樹脂配線基板41の平面方向への位置ずれが防止される。その後、樹脂配線基板41上及びスペーサ102上に平板状の上治具104を載置する(図6参照)。
そして次に、下記の要領で第1主面側接合工程及び第2主面側接合工程を同時に実施する。本実施形態において具体的には、20Torr(≒2666Pa)以下の真空下で260℃以上の温度となるように加熱を行いながら積層方向に押圧力(4MPa)を加える(真空熱プレス)。これに伴い、セラミック配線基板31がフレキシブル配線基板51側に押圧されるとともに、熱により接着シート61の可塑性が大きくなる。そして、このような状態の接着シート61を介して、セラミック配線基板31の上面32側にフレキシブル配線基板51が接合される。この際、セラミック配線基板31のビア導体35とフレキシブル配線基板51のビア導体57とが、接着シート61の導体部62を介して互いに電気的に接続される。即ち、フレキシブル配線基板51に対するセラミック配線基板31の接合は真空雰囲気下での接合となるため、エアの巻き込みによるボイドの発生を効果的に抑制できる。また、樹脂配線基板41がセラミック配線基板31側に押圧されるとともに、熱により接着シート71の可塑性が大きくなる。そして、このような状態の接着シート71を介して、セラミック配線基板31の下面33側に樹脂配線基板41が接合される。この際、セラミック配線基板31のビア導体35と樹脂配線基板41のビア導体48とが、接着シート71の導体部72を介して互いに電気的に接続される。即ち、セラミック配線基板31に対する樹脂配線基板41の接合は真空雰囲気下での接合となるため、エアの巻き込みによるボイドの発生を効果的に抑制できる。
なお、上記の上治具104は、同上治具104の下面側に、クッション材103を貼り付けた構造となっている。従って、樹脂配線基板41の下面43に突出する面接続パッド47は、弾性体であるクッション材103に接触するようになっている。このとき、クッション材103は弾性変形してセラミック配線基板31側の凹凸形状に追従する。これにより、セラミック配線基板31に対して均等に押圧力を付加することができる。なお、上記のような治具を用いて位置決めを行う代わりに、基板などの位置を検出する画像認識装置を有する、いわゆるダイマウンタ装置を用いて位置決めを行うことも可能である。
次に、樹脂配線基板41の下面43に対するはんだペースト印刷を行い、基板側はんだバンプ49を形成する。このようにすれば、第1主面側接合工程及び第2主面側接合工程を実施する際に基板側はんだバンプ49が邪魔にならなくて済む。また、前記接合工程後に基板側はんだバンプ形成を行うと、前記接合工程前に基板側はんだバンプ形成を行う場合とは異なり、基板側はんだバンプ49が260℃以上の高温に遭遇しにくくなる。従って、必ずしも高融点はんだを選択しなくてもよくなり、はんだ材料の選択の自由度が大きくなる。
もっとも、前記樹脂配線基板41を作製する工程を行う時点で、基板側はんだバンプ49を同時に形成し、その後で第1主面側接合工程及び第2主面側接合工程を実施するようにしてもよい。このようにすれば、電気検査工程にて樹脂配線基板41を検査する際に、基板側はんだバンプ49も含めて検査できるため、基板側はんだバンプ49に不良が生じた状態で複合配線基板構造体11が製造されることを防止できる。
また、フレキシブル配線基板51の張出部58における所定箇所にモジュール配線基板91を載置する。このとき、モジュール配線基板91側の下面側はんだバンプ99と、フレキシブル配線基板51側の上面側配線層54とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各下面側はんだバンプ99をリフローすることにより、下面側はんだバンプ99と上面側配線層54とを接合する。その結果、図1に示す複合配線基板構造体11が完成する。
その後、フレキシブル配線基板51の素子搭載部56にICチップ21を載置する。このとき、ICチップ21側の面接続端子22と、フレキシブル配線基板51側の上面側配線層54とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各面接続端子22をリフローすることにより、面接続端子22と上面側配線層54とを接合する。するとこの段階で、複数の機能が集積してシステム化された複合配線基板構造体11(いわゆるシステム・イン・パッケージ:SIP)が完成する。
さらに、樹脂配線基板41側の基板側はんだバンプ49と、マザーボード81側の端子82とを位置合わせして、マザーボード81上に複合配線基板構造体11を載置する。そして、加熱して各基板側はんだバンプ49をリフローすることにより、基板側はんだバンプ49と端子82とを接合する。これにより、複合配線基板構造体11がマザーボード81上に搭載される。なお、複合配線基板構造体11をマザーボード81上に搭載した後で、ICチップ21を載置するようにしてもよい。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の複合配線基板構造体11は、セラミック配線基板31とマザーボード81との間に、セラミック配線基板31及びフレキシブル配線基板51よりもヤング率が小さい樹脂配線基板41が介在されている。即ち、樹脂配線基板41は剛性が低くなっている。このため、マザーボード81が平面方向に熱膨張または熱収縮したときでも、それに追従して樹脂配線基板41が弾性的にひずむ(変形する)ことができる。ゆえに、セラミック配線基板31とマザーボード81との間に大きな熱応力が作用しなくなる。よって、たとえセラミック配線基板31が大型であったとしても、クラック等が起こりにくい。ゆえに、複合配線基板構造体11におけるセラミック配線基板31とマザーボード81との接合部分に所定の信頼性が付与される。
(2)本実施形態では、平面方向における熱膨張係数が約17ppm/℃に設定されたフレキシブル配線基板51がセラミック配線基板31上に接合されている。即ち、このフレキシブル配線基板51は熱膨張係数が比較的小さいので、フレキシブル配線基板51と同様に熱膨張係数が比較的小さいICチップ21を素子搭載部56に接続した場合には、そのICチップ21との熱膨張係数差を小さくすることができる。このため、ICチップ21に直接大きな熱応力が作用しなくなる。よって、たとえICチップ21が大型で発熱量が多いものであったとしても、クラック等が起こりにくい。ゆえに、複合配線基板構造体11におけるICチップ21の接合部分に所定の信頼性が付与される。
(3)本実施形態の製造方法によれば、セラミック配線基板31、フレキシブル配線基板51及び樹脂配線基板41を個別に作製し、さらにその電気検査を個別に行うことを特徴とする。このようにすれば、接合前に不良品を発見してそれを事前に除去することができ、複合配線基板構造体11が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上を達成しやすくなる。また、セラミック配線基板31とフレキシブル配線基板51とを接合する第1主面側接合工程、及び、セラミック配線基板31と樹脂配線基板41とを接合する第2主面側接合工程を同時に行っているため、工数が少なくなり、確実に低コスト化を達成することができる。また、フレキシブル配線基板51の素子搭載部56にICチップ21を実装する前の時点で第1主面側接合工程及び第2主面側接合工程を実施しているため、上治具104の荷重がICチップ21に加わることがない。ゆえに、ICチップ21のクラックの発生を確実に防止することができる。
[第2実施形態]
次に、図7に基づき第2実施形態について説明する。本実施形態の樹脂配線基板111は、多数の樹脂絶縁層44と多数の配線層112とを交互に積層した構造を有しており、第1実施形態の樹脂配線基板41とは構造が若干異なっている。このため、樹脂配線基板111を作製する工程も、前記第1実施形態の樹脂配線基板41を作製する工程とは若干異なっている。
即ち、樹脂配線基板111を作成する工程では、ビア導体48が形成された銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って配線層112を形成し(配線層形成工程)、最下層の樹脂絶縁層44及び配線層112を得る。
次に、最下層の樹脂絶縁層44に対して新たに樹脂層を積層する積層工程を行う。その後、積層した樹脂層にビア孔を形成するビア孔形成工程を行い、無電解銅めっき及び電解銅めっきを行ってビア孔内にビア導体48を形成する充填工程を行う。さらに、樹脂層の上面の銅めっきのエッチングを行って配線層112を形成する配線層形成工程を行い、次層の樹脂絶縁層44及び配線層112を得る。
その後、積層工程−ビア孔形成工程−充填工程−配線層形成工程を繰り返すことにより、樹脂絶縁層44と配線層112とが交互に積層されていく。その結果、本実施形態の樹脂配線基板111が作製される。このようにすれば、樹脂絶縁層44と配線層112が単層である場合に比べて、内部に複雑な回路を構成することが可能となるため、付加価値を高めることができる。なお、積層工程−配線層形成工程を繰り返して樹脂絶縁層44と配線層112とを交互に積層した後、ビア孔形成工程及び充填工程を行ってビア導体48を形成してもよい。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・例えば、以下のような手順で上記第1実施形態の樹脂配線基板41を作製することも可能である。まず、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って面接続パッド46,47を例えばサブトラクティブ法によって形成する。次に、銅張積層板に対して孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通するビア孔を所定位置に形成し、ビア孔内に導電性樹脂を充填する。
・上記各実施形態では、フレキシブル配線基板51の張出部58にモジュール配線基板91が接合されていたが、モジュール配線基板91は接合されていなくてもよい。また、モジュール配線基板91とは別の構造物がそこに接合されていてもよい。例えば、フレキシブル配線基板51の上面52に形成された上面側配線層54に、例えばチップコンデンサ等のような電子部品を実装してもよい。
・上記各実施形態では、セラミック配線基板31とフレキシブル配線基板51とが接着シート61を介して接合され、セラミック配線基板31と樹脂配線基板41とが接着シート71を介して接合されていた。しかし、接着シート61,71の代わりに導電性接着剤を用いることにより、セラミック配線基板31とフレキシブル配線基板51とを接合し、セラミック配線基板31と樹脂配線基板41とを接合してもよい。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)マザーボード上に実装可能な複合配線基板構造体において、第1主面及び第2主面を有するリジッド基板と、前記リジッド基板の前記第1主面側に接着材を介して接合され、半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定された第1樹脂基板と、前記リジッド基板の前記第2主面側に接着材を介して接合され、非接合面側に前記マザーボードの複数の端子に対して接続可能な複数の外部接続端子が突設された第2樹脂基板とを備え、前記第1樹脂基板のヤング率が前記リジッド基板のヤング率よりも小さく、前記第2樹脂基板のヤング率が前記第1樹脂基板のヤング率よりも小さくなるように設定され、前記第1樹脂基板は、前記接着材の導体部を介して、前記リジッド基板の導体部に対して電気的に接続される導体部を内部に有し、前記第2樹脂基板は、前記接着材の導体部を介して、前記リジッド基板の導体部と前記複数の外部接続端子とを電気的に接続する導体部を内部に有することを特徴とする複合配線基板構造体。
(2)マザーボード上に実装可能な複合配線基板構造体において、第1主面及び第2主面を有するリジッド基板と、前記リジッド基板の前記第1主面側に接着材を介して接合され、半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定された第1樹脂基板と、前記リジッド基板の前記第2主面側に接着材を介して接合され、非接合面側に前記マザーボードの複数の端子に対して接続可能な複数の外部接続端子が突設された第2樹脂基板とを備え、前記第1樹脂基板の平面方向における熱膨張係数が30ppm/℃以下に設定され、前記第1樹脂基板は、前記接着材の導体部を介して、前記リジッド基板の導体部に対して電気的に接続される導体部を内部に有し、前記第2樹脂基板は、前記接着材の導体部を介して、前記リジッド基板の導体部と前記複数の外部接続端子とを電気的に接続する導体部を内部に有することを特徴とする複合配線基板構造体。
(3)リジッド基板、半導体回路素子が接続可能な第1樹脂基板、及びマザーボードに対して接続可能な第2樹脂基板とを備え、前記第1樹脂基板のヤング率が前記リジッド基板のヤング率よりも小さく、前記第2樹脂基板のヤング率が前記第1樹脂基板のヤング率よりも小さくなるように設定されている複合配線基板構造体の製造方法であって、前記リジッド基板、前記第1樹脂基板及び前記第2樹脂基板を個別に作製する個別作製工程と、前記リジッド基板の前記第1主面側に前記第1樹脂基板を接合するととともに、その際に前記リジッド基板の導体部及び前記第1樹脂基板の導体部を互いに電気的に接続する第1主面側接合工程と、前記リジッド基板の前記第2主面側に前記第2樹脂基板を接合するととともに、その際に前記リジッド基板の導体部及び前記第2樹脂基板の導体部を互いに電気的に接続する第2主面側接合工程とを含むことを特徴とする複合配線基板構造体の製造方法。
(4)リジッド基板、半導体回路素子が接続可能な第1樹脂基板、及びマザーボードに対して接続可能な第2樹脂基板とを備え、前記第1樹脂基板の平面方向における熱膨張係数が30ppm/℃以下に設定されている複合配線基板構造体の製造方法であって、前記リジッド基板、前記第1樹脂基板及び前記第2樹脂基板を個別に作製する個別作製工程と、前記リジッド基板の前記第1主面側に前記第1樹脂基板を接合するととともに、その際に前記リジッド基板の導体部及び前記第1樹脂基板の導体部を互いに電気的に接続する第1主面側接合工程と、前記リジッド基板の前記第2主面側に前記第2樹脂基板を接合するととともに、その際に前記リジッド基板の導体部及び前記第2樹脂基板の導体部を互いに電気的に接続する第2主面側接合工程とを含むことを特徴とする複合配線基板構造体の製造方法。
(5)前記第1主面側接合工程と前記第2主面側接合工程とが同時に実施されることを特徴とする上記(3)または(4)記載の複合配線基板構造体の製造方法。
(6)前記個別作製工程における前記第2樹脂基板の作製は、第2樹脂基板用基材に対して孔あけ加工を行い、前記第2樹脂基板用基材を貫通するビア孔を所定位置にあらかじめ形成するビア孔形成工程と、前記ビア孔内に導体部となる材料を充填する充填工程と、前記第2樹脂基板用基材に配線層を形成する配線層形成工程とを含むことを特徴とする上記(3)または(4)記載の複合配線基板構造体の製造方法。
(7)前記個別作製工程における前記第2樹脂基板の作製において、配線層が形成された第2樹脂基板用基材に対して新たに第2樹脂基板用基材を積層する積層工程と、積層された第2樹脂基板用基材に対して孔あけ加工を行い、前記第2樹脂基板用基材を貫通するビア孔を所定位置にあらかじめ形成するビア孔形成工程と、前記ビア孔内に導体部となる材料を充填する充填工程とを繰り返すことにより、前記配線層を多層化することを特徴とする上記(3)または(4)記載の複合配線基板構造体の製造方法。
(8)前記第1主面側接合工程が実施される前に、前記リジッド基板が前記第1主面側に有する複数の導体部と、前記第1樹脂基板の有する複数の導体部とを対応させて配置するとともに、前記第2主面側接合工程が実施される前に、前記リジッド基板が前記第2主面側に有する複数の導体部と、前記第2樹脂基板の有する複数の導体部とを対応させて配置する位置決め工程を実施することを特徴とする上記(3)または(4)記載の複合配線基板構造体の製造方法。